2017年8月10日木曜日

ドイツ ― ワシントンが発動した新たな対ロ経済制裁に大憤慨



この7月、米議会は新たに対ロ経済制裁を議決した。そして、トランプ大統領は、83日、それに署名。米国の新しい対ロ経済制裁が法律化されたのである。大統領令で発動された今までの経済制裁とは違って、この新しい経済制裁は法律となったことから、それを撤廃することは議会の仕事であって、大統領の一存では決められない。

これを受けて、ロシアのメドベージェフ首相は「この経済制裁はロシアに対する全面的な経済戦争である。奇跡が起こらない限り、今後何十年も居座り続けることになるかも知れない」と批判した [1]。以前にもこの種の法律化があったとして例証を挙げている。一度法律になってしまうと、長い期間にわたってそのまま居座ることが多い。プーチンとは違って、メドベージェフは西側にもっとも近いロシアの大物政治家として見なされて来た。今回の米国の対ロ経済制裁はそのメドベージェフをも敵に回してしまった感じがする。あるいは、上述のメドベージェフの発言は単に目つぶしでしかないのであろうか?

ドイツとロシアとの間では「ノルドストリーム2」と称される天然ガスパイプラインのプロジェクトが始まっていた。

このパイプラインは内戦が膠着状態になっているウクライナを避けて、既存の「ノルドストリーム」パイプラインに沿って新たにもう1本施設し、そのパイプラインはロシアからバルト海を横断し、直接ドイツへ上陸し、ノルドストリームの輸送能力を倍増することによって西ヨーロッパ地域のエネルギーのニーズを満たそうというものである。進行中のウクライナ紛争は米ロ間の関係をフルに反映しているだけに、近い将来好転するとはとても思えないことから、ウクライナを経由せずに安価なロシア産天然ガスを確保するというこのプロジェクトはヨーロッパの将来のエネルギー政策にとっては中核的な存在である。

専門家の指摘によると、今回の米国の対ロ経済制裁の本命はこの進行中のノルドストリーム2パイプラインをご破算にすることにあると言われている。米国産の液化天然ガス(LNG)はロシアから調達できる天然ガスに比べて輸入単価が割高(50パーセント高)になると言われており、市場競争の原理では誰も米国産のLNGには関心を持たないだろうと予測されることから、ノルドストリーム2パイプラインをからめ手でご破算にすることによって米国は否が応でもヨーロッパに米国産LNGを調達させようと迫っているのである。

商品市況やエネルギー価格に関する情報を提供する「S&P Global Platts」の20174月の特別報告「US LNG VS PIPELINE GAS: EUROPEAN MARKET SHARE WAR?」によると、契約や価格の専門家としてガスプロム・エクスポートにて働いているヴァレリー・ニモフは「米国のLNG輸出は次の20年間は赤字続きのままとなるだろう。100パーセントの確率でそう言える」と述べ、ロシア産天然ガスが持つ価格競争力を背景として米国産LNGが直面するであろう価格問題について展望を語っている

しかし、本日のブログではロシアの反応についてではなく、EU圏の政治と経済でもっとも重要な地位を占め、指導的な役割を演じているドイツに焦点を当ててみたいと思う。

ここに、81日に配信された1本の記事 [2] がある。「ドイツ ― ワシントンが発動した新たな対ロ経済制裁に大憤慨」との表題だ。本日はこの記事を仮訳して、ドイツの経済界の反応に関して読者の皆さんと一緒におさらいをしておきたいと思う。著者のピーター・ケーニッヒはこのブログには何回か登場しているので、多くの読者の皆さんにはすでにお馴染みの著者のひとりである。


<引用開始>

冷静にものを考える人であるならば誰だって米議会が最近議決したロシアに対する経済制裁はまったく無意味だとして、大憤慨であるに違いない。何故かと言うと、ロシアはワシントン政府やその従僕役を務める西側諸国が非難しているようなことは何もしてはいないからだ。たとえば、米大統領選に対するロシアの干渉(証拠は何もない、と米国のシークレットサービスが繰り返して述べている)、ウクライナへの干渉(ワシントン政府、NATOおよびEU20142月に流血沙汰となったマイダン・クーデターを引き起こし、資金提供を行った)、クリミアの併合(クリミアの人たちはロシア連邦への再統合に向けて97パーセントという圧倒的多数の賛成票を投じた。国連憲章によると、投票による意思決定は正当に与えられた権利である)、等。たとえロシアが自分たちの「間違い」を修正したいと思ったとしても、それは不可能だ。これらは何れも作り話であるからだ。

どの非難を取り上げてみても、実体はない。しかし、西側のプレスティチュート [訳注: プレスティチュートとは商業主義に陥り、ジャーナリズム精神を忘れてしまった大手メディアを指している] は愚かな庶民の頭の中へこれらの作り話を叩き込もうとしている。これは、まさに、ヒトラーの宣伝相を務めたジョセフ・ゲッペルスのやり方を繰り返していることになる。彼はこう言った。「メディアをコントロール下に置いて、国全体を豚の群れにしてやろう。」 西側の英・シオニストによるプロパガンダ・マシーンは成功裏に西側の文明を豚の群れに変えてしまった。 

いったい米議会の個々のメンバーはロシアが米大統領選へ介入したという話を本当に信じているのであろうか?それとも、彼らは単に「全世界の主であるわれわれは米国で何時もそうして来ているのだから、ロシアだってそうしているに違いない」とでも思い込んでいるのではないか?

上院(彼の上院)も下院が示した方向に従い、圧倒的多数でこの新しい「経済制裁」を承認したことに関してトランプは酷い嫌悪の念を示したようではあるが、結局のところ、彼はこの経済制裁に署名した。彼の嫌悪感は単にもうひとつの詐欺行為であっただけなのだろうか? 

マダム・メルケルはこの新しい経済制裁には「大憤慨」のようである。ところで、この経済制裁自体がロシアに対して何かを引き起こすかと言うと、必ずしもそうではない。ロシア経済は西側の経済からは大きく分離していることから、この経済制裁によってロシアが甚大な影響を受けるには程遠い。ロシアならびに中国、そして、上海協力機構(SCO)の各国は速やかに学んだのだ。

プーチン大統領はこの愚かな経済制裁の発動を目にして、たとえそれが全面的な虚偽に根ざしたものではあっても、これは配下にある国が指示通りに行動しなかった場合に世界の主が「下の国家」に対して制裁を施す権利なのだと信じ込んでいる西側の無知・無能振りに接して、真面目腐った顔をしながらも、クスクス笑っているに違いない。事実、これらの反ロ経済制裁は愚かな従属国家の役割を演じているヨーロッパ諸国に罰を与えることになるだろう。大騒ぎをして、彼らは、たとえば、ロシア・ヨーロッパ間のパイプライン・プロジェクトに参画する欧州企業を罰っしようとしているのである。

それはそうと、どうして経済制裁は続いているのだろうか?「それはプロパガンダのためなんだよ、お馬鹿さん!」 米国以外の国々は誰もが米国はもっとも偉大な国家であって、最強力であり、思いつくままに世界の警察官役を演じることができるのだと信じなければならないのである。それこそがワシントン政府の生存のための究極のツールなのだ。つまり、これは強力なプロパガンダに裏付けられた嘘の塊りであって、まさにゲッペルスが示したことそのものである。

これは西側のシステムをその頂点に導くことになる。完全に無法な世界であって、道徳も無ければ倫理感もない。すべてはネオリベラル主義的で、ネオファッシズムへと導かれる。どうか間違えないで貰いたい。自分の目を開いて欲しい。もしも未だ気付いてはいなかったとしたら、これこそが今日われわれが住んでいる世界なのだ。古代文明の遺跡が破壊されている。今日の西側の文明の発祥の地であったギリシャは無慈悲に破壊され、シリアやイラク、ならびに、中東や北アフリカ諸国では火の手が上がっている。しかし、誰もそこを覗き込もうとはしない。新標準が出現したのだ。病気に罹った西側の人々はビールを飲みながら、フットボールの試合を観戦する。西側はまったく無頓着で、利己的で、無学な「労働者階級」に成り下がったのである。

しかし、マダム・メルケルは「お馬鹿さん」の範ちゅうには所属しない。彼女は何がなんでも再選を果たそうとする。あるいは、もっと的確に言うと、彼女はディープ・ダーク・ステーツによって2017924日には4期続投のための再選を指令されているのである。したがって、彼女は人気取りのためには国内では何でもしなければならない。たとえワシントン政府との関係に悪い影響を与えるようなことになってもだ。ところで、トランプもディープ・ダーク・ステーツの手先でしかなく、彼らの指令を実行しなければならない。彼はそのことをわきまえているし、彼女もそのことをわきまえている。ふたりの間の見せかけの喧嘩なんて問題ではない。それは一般大衆を騙し、混乱させて、大西洋同盟派には背を向け、自分たちの責任と主権を取り戻そうとしているマダム・メルケルの尽力によってヨーロッパはついに主権を回復するかも知れないと信じ込ませるための単なるゲームに過ぎないのだ。もちろん、彼女の後輩に対する貢献を忘れてはならない。他のふたりの「M」、マクロンとメイは彼女の指導的立場を支えるだろう。したがって、小さな事柄はすべてが上手く収まってくれることだろう。

マダム・メルケルは、「もうたくさんだ」と言って、「経済制裁」を非難する連中の大合唱に加っている。最近のハンブルグでのG20サミットで彼女が用いたものと同様な口調で、「われわれは自分たちの責任を自分たちの手に取り戻さなくてはならない」と言った。基本的には、彼女や他のヨーロッパの従属国の首脳は自分たちの責任をワシントンの血に染まった鋭い爪に委ねてしまっていたことを認めたのである。

ハンブルグでのG20 会議はすべてが演出された茶番劇であり、これからやって来るもっと性質の悪い状況に対処するための予行演習の場であった。あれは警察のための訓練場であって、暴力的なデモ要員が導入された。これはサクソニーのアルトハウスでもっとひっそりと準備が進められている市街戦訓練の一部を成すものである。そこでは、ドイツ連邦軍やNATO軍は将来やって来るかも知れないネオファシストの暴政や緊縮政策に反対する市民を押さえ込むために必要となる軍隊や警察に訓練を施す場としてのゴーストタウンをヨーロッパでもっとも近代的な陸軍キャンプのひとつに建設している。

これは近い将来にやって来る状況を示すひとつの兆候であって、ディープ・ダーク・ステ―ツが「新世界秩序」や「完全支配」に近いものとして考えている状況である。市民たちよ、目を覚まそう。決して遅すぎると言うことはない。彼らはあなたの街のすべての通りに軍隊を配備し、あなたに残された僅かばかりの市民権の最後のかけらさえをも奪い取ろうとするだろう。フランスを始めとして、EU のメンバー国家の憲法には間もなく戒厳令が刻み込まれる。このことは間違いなく計画にあり、カードのひとつでもある。3人の「M」(メルケル、マクロン、メイ)はそれが実現するように協力し合う。これらの三人の偉大な指導者が歩調を合わせれば、他のEU の従属国も調子をそろえて三人に従うだろう、と新世界秩序を標榜する一派は考えている。そして、犯罪的なプロパガンダ・マシーンが西側の一般庶民の真只中に向けて嘘の塊りの一斉射撃を行う中で彼らはそうすることであろう。

マダム・メルケルの「責任を取り返す」と言う主張や米国の新たな対ロ経済制裁に対する彼女の激しい抗議は再び彼女を人気者にして、彼女の再選を可能にすることだろう。またもや、2ヶ月未満という時間しかない。これがドイツの人たちが望んでいることだ。とにかく大多数は独立と主権を持ったドイツとヨーロッパを切望しており、ブリュッセル・NATO・ワシントンの専制が及ばない体制を望んでいるのである。

市民は、特に、ビジネス界は対ロ経済制裁にはうんざりしている。皆は平和とロシアとの正常な関係とを望んでいる。新アングロ帝国が大西洋を挟んで出現する前は何世紀にもわたって維持されていた隣人との自然な関係を望んでいるのだ。念を押して言うと、新アングロ帝国はヨーロッパからの亡命者で成り立っているんだ。それと、非情な戦士とで。彼らは紛争続きの古くて独裁的な大陸に自分を縛り付けておくよりもふたつの輝く大洋の間に居る方が遥かに安全に感じるのである。そうこうしているうちに新帝国では目には見えないディープ・ダーク・ステ―ツが横行するようになった。

マダム・メルケルの話へ戻ろう。最近の経済制裁に対する彼女の抗議は単に選挙民を騙すための策略であって、再選を果たすために世論を操作しようとしているものだとしたらどうであろうか?彼女が再選された暁には、再びプーチンには背を向け、トランプと握手をするのではないか?これらの想定はすべてが起こり得ることである。これはネオリベラル派が示す典型的な混乱状態のための設計図である。人々を精神錯乱に陥れ、自分が思うことは何でも実行することが可能だ。確実なことがひとつだけある。それは、大きくて執拗なブルドッグは噛みついたらその目的を果たすまでは決して離してはくれないということだ。この場合は「新しいアメリカの世紀のためのプロジェクト(PNAC)」の目的である。つまり、「完全支配」である。これは鋼鉄の同盟を維持するロシアと中国を支配下に置くことを意味する。

しかしながら、この鋼鉄の如き同盟に抗ってみたとしても、ブルドッグは酸欠やエネルギーの不安定さに屈することになるかも知れない。上海協力機構(SCO)と称される新同盟は新しく、かつ、本物の経済展望を提供している。それは新シルクロード、一帯一路(OBOR)、あるいは、一帯イニシアチブ(OBI)と呼ばれる概念だ。習書記長のOBIは急速にその勢いを増し、同盟国を獲得している。西側の非道な独裁から逃れようとするも、そうすることには躊躇して来た西側の国々にとっては、これはより大きな力を与え、素晴らしい魅力として感じられる。

これは何度繰り返しても言い過ぎることではない。将来は東方にあるのだ。西側は血にまみれた暴力沙汰や嘘のプロパガンダに浸って、ゆっくりとではあるが確実に衰退して行く。マダム・メルケルよ、あなたはこのことに気付いた方がいい! 

著者のプロフィール: ピーター・ケーニッヒは 経済専門家であり、地政学的な分析の専門家でもある。以前は世界銀行の職員を務め、環境や水資源の分野を中心に世界中で仕事をして来た。彼は米国、ヨーロッパ、および、南アの大学で講義を受け持っている。彼は定期的にグロ―バル・リサーチ、インフォメーション・クリアリング・ハウス、RT、スプートニク、プレスTV、第4メディア(中国)TeleSUR、セイカー・ブログ、その他のインターネット・サイトへ寄稿している。彼は諸々の事実や世界銀行での30年間の国際的な経験に基いて書いたフィクションImplosion – An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed を出版した。また、彼はThe World Order and Revolution! – Essays from the Resistanceの共著者でもある。

注: この記事に表明されている見解は全面的に著者のものであって、必ずしもInformation Clearing Houseの意見を反映するものではありません。

<引用終了>


これで、全文の仮訳は終了した。

この記事の魅力は国際政治の裏側で何が起こっているのか、将来何が起こり得るのかについて具体的な描写をしている点にあると私は思う。つまり、大手メディアの報道によってすっかり洗脳されてしまっているわれわれ一般大衆の表面的な理解を崩し、事実に基づいた新たな世界観を一から構築し直す手助けをしてくれるのだ。

マダム・メルケルの新対ロ経済制裁に対する非難を額面通りには受け取らず、さまざまな可能性を取り上げ、それらを分析しようとする姿勢はさすがに凄いと思う。何と言っても、長年訓練されて来た専門家だけに期待することが可能な内容やレベルである。

いったい米議会の個々のメンバーはロシアが米大統領選へ介入したという話を本当に信じているのであろうか?それとも、彼らは単に「全世界の主であるわれわれ米国は何時もそうして来ているのだから、ロシアだってそうしているに違いない」とでも思い込んでいるのではないか?』 という記述があるが、この状況はまさに私個人が考えていたこととまったく同じで、実に興味深い。詳しくは、729日に「芳ちゃんのブログ」へ掲載した『元諜報専門家のグループが「ロシア人によるハッキング」に関して疑問を表明』と題した投稿を覗いてみていただきたい。

米議会のメンバーは、たとえば、外交政策に関しては詳しいことは何も知らないと酷評する論客もいる。その人物に言わせるとこういう具合だ。その人物に対してある議員はこう言ったそうだ。「私や私の議員仲間はさまざまな事柄に関して一般的にはよく知っている。しかしながら、私たちの知識の深さはせいぜい1インチだけだ。」 換言すると、彼らの職員や委員会が提供する説明はC-SPANのテレビカメラの前で彼らがその特定の事柄に関して十分に理解していると見える程度の情報でしかない。不必要な詳細情報にまで分け入る訳ではない。議員らが混乱してしまうのが落ちだからだ。

こうして、対ロ経済政策が米議会の下院と上院で圧倒的多数で可決され、大統領の署名を貰うために大統領府へ送付されたのである。

議員の質を向上させることにはまったく役立たない慣行としてはこういった見かけを良くするだけの情報の提供だけではなく、委員会等で行われる公聴会も大問題である。委員会のメンバーが聞いていて耳に心地よいような証言をしてくれる専門家だけが招待されるという現状があるのだ。言うまでもなく、これは米国に限ったことではなく、日本でもまったく同じことだ。これらの点については、別のブログで詳細におさらいをしたいと思う。 

『病気に感染した西側の人々はビールを飲みながら、フットボールの試合を観戦する。西側はまったく無頓着で、利己的で、無学な「労働者階級」に成り下がったのである』という描写は古代ローマ帝国の暴君ネロを描いた名作映画「クォ・ヴァディ」を彷彿とさせる。古代ローマではフットボールではなく、円形競技場で繰り広げられる人と猛獣との闘いが市民にとっては最大の娯楽であり、一般大衆の関心を政治からまったく関係のない事柄に向かわせる有効なツールでもあった。政治の手法は2000年を経った今でもまったく変わってはいない。ここに、「歴史は繰り返す」という言葉の重みを実感させる明白な事例を見る思いがする。

ハンブルグでのG20 会議が開催された頃(778日)、ハンブルグの市街はさまざまな暴力沙汰に曝された。すべてをあからさまには述べている訳ではないが、著者は「暴力的なデモ要員が導入された」と書いている。誰が導入したのかについての解説はなく、それは読者のさらなる情報の探索に任されているようだ。ディープ・ダーク・ステ―ツはこれからやって来る不安定な世相に準備するために、世論および一般大衆を「完全支配」しようとしている。警察や軍隊を市街戦のために訓練する場としてG20の会議が開催されていたハンブルグが用いられた・・・と、この著者は述べている。これらの文言は私にとっては初めて聞く事柄である。

ディープ・ダーク・ステ―ツが持つ徹底した秘密主義や陰湿さ、あるいは、老獪さを表しているように思える。そう言われてみると、着々と警察国家へと変身して来た米国社会のことを考えてみれば、米国の指導力に疑問を挟もうとはしないヨーロッパ各国や日本あるいはオーストラリアの首脳にとっては、これらの文言には十分な信ぴょう性があると思うのではないか。ただし、余りにもあからさまに記述されたので、どちらかと言うと、彼らは当惑しているのではないか。

また、著者はEU加盟各国の憲法には戒厳令の条項が書き加えられるだろうとも述べている。フランスさえもがそうするであろうと。私に言わせると、これも超富裕者たちの安全と防護のための策であろう。

戒厳令が敷かれ、重箱の隅をほじくるような警察の捜査が始まり、痛くもない腹をさぐられ、ないものをあると自白させられるような時代がやって来れば、つまり、専制国家となった暁には、今回引用した記事には陰謀論として摘発されてもおかしくはないような要素が含まれているように思える。これは表現の自由の範ちゅうであると判断するが、当局は自分たちのシナリオに都合がよくないことはことごとく排除しようとするのではないか。国連人権理事会特別報告者が日本の政府に対して述べているように(2017518)、表現の自由を不当に損なってはならない。

戦前のような世相がわれわれの日本にやって来ないことを祈るばかりだ。

そういった観点から世界を見回してみると、20178月現在の世相はかなり悲観的であると言わざるを得ない。その根源的な要因は、この著者流に言えば「ディープ・ダーク・ステ―ツ」となるが、米国の帝国主義的な内政や外交政策にあると言えよう。そのことを著者は訴えようとしているのである。



参照:

1Sanctions reload ushers in the ‘new normal’ for Russia: By RT, Aug/06/2017, https://on.rt.com/8jow

2Germany, “Up in Arms” Against Washington’s Sanctions Regime: By Peter Koenig, Information Clearing House, Aug/01/2017





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