2024年5月5日日曜日

最近の学生運動はここ数十年間に米国で起こった出来事の中ではもっとも重要だ ― スコット・リッターの言

 

イスラエル・ハマス戦争は膠着状態に陥り、停戦を巡る交渉で大詰めを迎えている。果たして、どのような決着が実現されるのであろうか?

2014年に起こったイスラエル・ハマス戦争に関しては、国際刑事裁判所(ICC)はイスラエルとパレスチナの両者に関して戦争犯罪を起こした可能性について調査が開始されていた。

昨年の10月に起こったハマスによるイスラエルに対する奇襲攻撃によって始まったガザ地区に対するイスラエルの攻勢ではその悲惨さは目を覆うばかりである。429日のNBCニュースによると、イスラエル首相のベンジャミン・ネタニヤフ、国防相のヨアフ・ギャラン、イスラエル国防軍参謀長のヘルヅィ・ハリヴァに対してICCは逮捕状を発行するかも知れないという。この報道に関してイスラエル政府は懸念を示している。イスラエルの内外ではガザ地区やウェストバンクにおけるイスラエル軍の攻勢についてますます批判が集まっている。

そして、ガザ地区でのイスラエル軍の攻勢が余りにも酷いとして米国では学生たちによる抗議行動が激化していた。51日のアルジャジーラ紙によると:

警察は、ニューヨークのコロンビア大学やニューヨーク市立大学を襲撃し、イスラエルのガザ戦争に抗議する282人の学生を逮捕した。

カリフォルニア大学のロサンゼルス校にあるパレスチナ人連帯キャンプサイトは親イスラエル派の活動家によって攻撃され、授業がキャンセルとなった。

南フロリダ大学ではキャンパスでの抗議行動の後、10人が拘束されたと警察が報じている。

ルイジアナ州ニューオーリンズのテュレーン大学では警察署はテュレーン大学の学生2人を含む少なくとも14人のデモ参加者が抗議行動に関連して逮捕されたと発表した。

ここに、「最近の学生運動はここ数十年間に米国で起こった出来事の中ではもっとも重要だ ― スコット・リッターの言」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1: © AFP 2023 / CHARLY TRIBALLEAU

先週、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相はビデオ演説で、つい最近始まったばかりの米国の大学における抗議行動は大学のキャンパスを「乗っ取った」、「反ユダヤ主義の暴徒」であると述べた。彼は米国当局に対して彼らを阻止するためにもっと努力するよう求めた。

イスラエル政府によるガザ地区の住民に対する継続的な爆撃に反対する学生抗議運動の高まりは、「何十年にもわたって」米国で起こった最も重要な出来事のひとつであると元国連査察官であり、軍事専門家でもあるスコット・リッターは、火曜日(430日)、スプートニクの「クリティカル・アワー」に語った。

「もしあなたが私のような米国人であって、外に出て抗議をしたり、プラカードを掲げたり、物事を混乱させたりする気がないのならば、諸君、われわれは目を覚まさなければならない」と彼は説明した。「目を覚まさなければならない。われわれは何らかの形でこれらの学生たちに加わり、米国市民が発言し、集会し、たとえ政府の責任を問う権利を警察が抑圧することに直面しても、われわれは沈黙しないということを政府に知らせるために彼らの大義に加わらなければならない。」

「今起きている学生たちの抗議行動は、ここ数十年間に米国社会で起こった出来事の中で最も重要なことのひとつであると思う」とリッターは強調した。

ニューヨーク市のエリック・アダムス市長によると、火曜日(430日)の夜、ニューヨーク市警の数百人の警官と思われる人物が暴動鎮圧用の装備をまとって、軍用車両でコロンビア大学に侵入し、約300人を逮捕した。この家宅捜索はテキサス州を含む全米各地でも同様に行われ、学生たちに加わった教職員を含めて、79人が逮捕された後に起こった。

ところで、65歳のスティーブ・タマリ教授は、病院からの彼の声明によると、セントルイスのワシントン大学で警官に地面に叩きつけられ、複数の肋骨と手を骨折し、入院した。この抗議行動で100人以上が逮捕された。

大学が思想を自由に交換し合う場であることはわれわれの社会の重要な部分であるとリッターは主張し、これらの取り締まりはこれを終わらせるために企図されていると考えると付け加えた。

「米国憲法を支持し、擁護すると宣誓した者の一人として私は言論の自由や集会の自由に対する学生の憲法上の権利を尊重するだけではなく、大学が善良な市民を育成するための素晴らしい環境のひとつであることも認識している」とリッターは述べた。

この週末、大統領候補のジル・スタインが抗議行動で逮捕された。スタインは警官に対する暴行で起訴されたと告げられたが、後にジャーナリストのグレン・グリーンワルドとのインタビューで書類にはその記載はなかったことを明らかにしたという。

リッターは、大学の目的の一部は「従順なゾンビではなく、善良な市民を育成するための保育器を維持すること」にあると説明し、米国には「物事を考え、知識と情報で力を与え、それを個人的および集団的に表現することができる市民」が必要であると主張している。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校では親イスラエル派のグループが衝突の最中に学生のデモ参加者に向けて唐辛子スプレーと花火を発射したと報じられている。目撃者らは、警察は待機している間、何時間にもわたって何の介入もしなかったと主張している。

米国政府は「あり得る限りのあらゆる間違い」を仕出かしているとリッターは指摘し、米国は「これらの学生たちに表に出てきてもらう必要があったにもかかわらず、われわれが政府として行っているあらゆる間違いの総体であるガザ問題を彼らは選んだことを明確にしたのである。

「大学に進学したら、過激にならなければいけない。物事を考える必要がある。われわれは学生たちが自分の頭脳と精神と良心を鍛えることを必要としている。そして、政府が彼らを抑圧しようとしているのは、どうやら、われわれはもう善良な市民を望んではいないからだ」と述べて、同アナリストは話を終らせた。

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これで全文の仮訳は終了した。

「米国では民主主義が崩壊することはない。なぜならば米国の民主主義はとうの昔に無くなってしまったからだ」という皮肉たっぷりの言葉が世間に広まって、すでに久しい。民主主義はあえなくグローバリズムやネオキャピタリズムの犠牲になったのである。残念ながら、今でも民主主義があると思うことは、今や、単なる妄想に過ぎない!(注:詳細は201677日に掲載した「民主主義はもはや西側には存在しない」をご覧いただきたい。)たとえば、最近の例で言えば、新型コロナ禍で政府側が推進した諸々の対策だ。規制に違反した者には罰金刑を課す国家さえもが現れた。一般的に、規制当局の横暴振りは左翼系の指導者が君臨している国(米国の場合は民主党系の州知事が治めている州)では特に酷い状況が観察された。WHOや各国政府による感染予防対策の進め方は、とてもじゃないが、民主主義的であるとは言えなかった。あれはWHO、民間の寄付団体、新型のお注射を製造する製薬大手企業、主流メデイア、ソーシャルメデイアプラットフォーム、等が徒党を組んで推進した巨大プロジェクトであったと言えそうだ。何のためか?製薬企業の金儲けだ。あるいは、権力の中枢にあるエリートたちの権力欲や自己顕示欲のためだ。最近は、その底流には人口削減という政治目標が存在するという指摘もある。

そして、これらの指導者らに見られる共通項はグローバリズムまたはネオキャピタリズムである。

果たして、スコット・リッターが述べた「最近の学生運動はここ数十年間に米国で起こった出来事の中ではもっとも重要だ」という認識が世界中でますます支配的な考え方となるかどうかは私には分からない。米国では大学における学生運動は警察の介入によって鎮静化されたとの直近の報道もあることから、最近の学生運動という局地戦では、幸か不幸か、グローバリズムを標榜する権力者側が当面の勝利を収めたのかも知れない。スコット・リッターの表現を借りると、これは「あり得る限りのあらゆる間違い」を仕出かしている政府側が持っている権力を存分に発揮したということでもある。

しかしながら、この反動として、11月の米大統領選では民主党側は若者たちの支持を大量に失うことになるかも知れない。

参照:

注1:Scott Ritter: Student Protests Among ‘Most Important Things’ to Happen in US in Decades: By Ian DeMartino, Sputnik, May/02/2024

 

 


2024年5月1日水曜日

ゲームは終わったか?ペルシャ湾岸諸国は米軍が対イラン攻撃のために国内の基地を使用することを拒否

 

中東における米国の存在は陰りを見せてすでに久しい。

イスラエル・ハマス紛争を受けて、米国とイランとの関係は危険になりつつある。その危険の度合いが何処まで拡大するのかは誰にも分からない。しかしながら、現状についての一つの見方として、イラン外務省のスポークスマンであるナセル・カナニは次のように述べている。つまり、「一極世界はもはや存在せず、今や、米国は超大国として知られてはいない。もちろん、米国は強国である。しかし、実際には、もはや超大国として見なすことはできない。イスラム共和国の能力や地域レベルと国際レベルでのふたつの領域における力の均衡の変化に照らして、イラン政権はイランの国家としての利益を確保し、極めて包括的なアプローチとして地域の集結を促進するために、そのような可能性のすべてを解き放とうとしてきた。」 (出典:Iran: Unipolar world is dead; US no longer known as superpower: By Press TV, Apr/17/2023

これがイランがちょうど一年前に描いた米国の姿である。

また、この地域における米国の動きは世界規模の超大国の地位を失いつつあることを隠蔽するためであるとイランは言う。(原典:Iran: US military moves aimed at covering up its declining global power: By Press TV, Apr/10/2023

1989年にベルリンの壁が崩れ、1991年には旧ソ連邦が崩壊してから30年間というもの、米国は単独覇権国家として我が世の春を堪能してきた。しかしながら、あれから30年余、米国が自国の軍事的優位性や資本主義の勝利に陶酔している間に、ロシアや中国、グローバル・サウス諸国は経済力を拡大し、国力をつけ、今や、G7を追い越した。この現状は昨年520日に広島で開催されたG7サミットでは中核的な懸念であった。ロイターは次にように報じた:

日本とドイツは、国連安全保障理事会を含む世界で最も強力な機関のいくつかが新興国にどのように対処するかを再考する時期に来ていると述べている。インドを含む一部の低・中所得国の略称である、いわゆる「グローバル・サウス」への働きかけは今年の広島でのG7サミットで焦点となっている。利他的な関心だけではない。世界の裕福な民主主義国は発展途上国における中国の大きな足跡に疑問を呈し、サプライチェーンや重要鉱物資源に対する中国の影響力を懸念している。(原典:At G7 Japan and Germany want a rethink on the Global South'': By Sakura Murakami and Andreas Rinke, Reuters, May/20/2023

ここに「ゲームは終わったか?ペルシャ湾岸諸国は米軍が対イラン攻撃のために国内の基地を使用することを拒否」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

ウクライナだけではなく、中東で起こっている国際政治における最近の地殻変動に関しても常に情報を漁り、理解に内容を更新しておく必要がある。

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1991年の湾岸戦争に遡ると、米国は中東全域における大規模な軍事作戦を同地域の同盟国に大きく依存していた。現在、イスラエルとイランとの間の緊張が高まり、米国が率いる一極世界秩序が緊張状態に陥る中、米国の伝統的な同盟国は、明らかに、ワシントンと歩調を合わせることを拒否している。

ペルシャ湾岸諸国は、地域の緊張が高まる中で自国の領土や領空からイランに対するいかなる攻撃も行わないよう米国に伝えたと報じられている。

米政府高官を含め、情報筋は「ミドル・イースト・アイ」(訳注:Middle East Eye:ロンドンに本拠を置くオンライン・ニュース社) に湾岸君主諸国は「テヘランやその代理国家に対する米国による報復攻撃については君主国内の基地からの作戦の道を閉ざす」べく、外交を通じて「残業」も厭わずに作業をしていると語った。

これらの国々には、地域の大国サウジアラビアやアラブ首長国連邦、オマーン、クウェートが含まれ、これらの国々の指導部は米国の基地協定の詳細について「疑問を呈し」、イランに隣接する基地がイランに対して使用されるのを阻止する措置をとっていると報じられている。

NATO加盟国のトルコも米国がイランに対する攻撃のために自国の領空を使用することを禁じたと報じられているが、スプートニクはこの情報について独自の検証はできていない。

41日にテルアビブがシリアのダマスカスにあるイラン大使館を攻撃したことを受け、バイデン政権がこの地域で最大の同盟国イスラエルに対するイランの報復攻撃に備える中で、バイデン政権が直面している頭痛の種に言及し、「混乱状態だ」と米政府高官は述べた。

このミドル・イースト・アイの報道は、もしもワシントンがイランとイスラエルの軍事衝突に介入すれば、中東の米軍を標的にするとしてイランが米国に内密に警告したという米当局者の言を引用した金曜日(412日)のアクシオス(訳注:米国バージニア州に所在するオンライン・ニュース社)による報道に続くものである。

米国は中東に点在する基地に推定で40,000人強の軍人を擁している。これには中東全域の軍事作戦を担当する戦闘司令部であるカタールのアル・ウデイド空軍基地が含まれ、少なくとも10,000人の軍隊を擁しており、米中央軍の前方本部として機能する。近隣のバーレーンには、最大で7,000人の兵士とペルシャ湾や紅海、アラビア海、インド洋の一部で活動する米第5艦隊が駐留している。米国はクウェートに15,000人の駐屯地を有し、UAEに少なくとも5,000人の兵士、サウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地に約2,700人の兵士と戦闘機を駐屯させている。オマーンは数百人の米軍を受け入れており、米空軍が上空飛行と着陸を行い、軍艦が年間80回の寄港を行うことを認めている。

独立する一途にある湾岸諸国の外交政策は、第二次世界大戦後何十年もの間(特に冷戦後)、石油が豊富な地域での軍事作戦をペルシャ湾岸君主国に頼ることができたワシントンにとっては大きな後退となる可能性がある。

サウジアラビアとUAEを中心とする地域諸国は、最近、経済的・政治的・軍事的に米国への依存から脱却するための一連の措置を講じており、リヤドは中国との原油取引においてオイルダラーの独占を打ち破り、イエメンのフーシ派民兵に対する軍事作戦を一時停止し、イランとの外交関係を回復し、 アブダビとともに「BRICSプラス」陣営に加わる。

パレスチナ・イスラエル危機は、湾岸諸国の指導者とその住民をイスラエルとの関係樹立という考えから遠ざけ、バイデン政権がガザ戦争の過程でテルアビブを全面的に支援したおかげで、米国との関係を冷え込ませた。

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これで全文の仮訳は終了した。

ガザにおけるイスラエル・ハマス紛争は決着がついてはいない。どの状況で両者が停戦に応じるのかは未だ見えてはいない。ガザが地図上から抹殺されるのか、イスラエルが国際世論に抗しきれずに譲歩するのか、あるいは、第三の出口があるのか、私には分からない。大局的な流れを重視するとすれば、従来型の米国の政策にはもはや大見えをきって、大向こうを唸らせるような舞台は用意されてはいないようだ。

米国内ではガザにおけるイスラエルの戦争犯罪に抗議をするコロンビア大学での学生の反政府デモは過激化しており、フランスでも学生デモが激しさを増している。この動きは、今や、世界規模になろうとしている。(原典:LIVE: US university protests spread amid growing calls to end Gaza war: By Nils AdlerMay/01/2024

思うに、中東諸国が自国内にある米軍基地を米国がイランを攻撃する際には使わないように米国へ伝えたというこのニュースは大多数の国民が米国に追従することを受け入れている日本社会にとっては意外に思えるかも知れない。私は日本におけるこの状況は閉ざされた社会が時折見せるものであって、偏った集団心理状態であると見ている。何時の日にか、このガラパゴス症候群に見舞われている多くの日本人にも目を覚ます時が来る筈だ。

ところで、米海兵隊で元諜報専門家であった人の話によると、バイデン大統領が、たとえば、ホワイトハウスからヘリポートまで歩く場合、大統領の周りには人垣を作って、大統領と一緒に移動するという。報道陣のカメラが大統領の歩行の様子を撮影できないようにすることが彼らの仕事である。これらの人たちは「walker」と呼ばれているそうだ。(出典:【アメリカ崩壊】ユダヤ資本の寄付金によって成り立ってきたアメリカ政権は今後どうなるか?!(マックス×石田和靖)@tokyomax【越境3.0チャンネル】石田和靖May/01/2024https://youtu.be/LySk4gb_kgE?si=WrzXMOIT9Dx4Wmaf

米大統領個人の周りに人垣を作ることは簡単に出来るけれども、米国という国家の周りには人垣を築くことは出来ないということを今回の引用記事は示唆しているかのようだ。少なくとも、イラン政府の高官たちには米国のすべてが見え見えなのである。

参照:

注1:Game Over? Persian Gulf Powers Reportedly Refuse to Give US Access to Bases for Anti-Iran Strikes: By Ilya Tsukanov, Sputnik, Apr/14/2024

 

 

 


2024年4月28日日曜日

たとえ支援法案が可決されてもウクライナは崩壊する ― 米億万長者の言

 

420日、米連邦議会の下院本会議は9兆4000億円(610億ドル)のウクライナ支援予算案を可決した。民主党と共和党との駆け引きで長い時間をかけたが、この議会ショーは終わりを告げた。結局のところ、紆余曲折があったものの、軍産複合体は自分たちの目標を達成したということになる。

ここに、「たとえ支援法案が可決されてもウクライナは崩壊する ― 米億万長者の言」と題された記事がある(注1)。ウクライナの人たちには冷たい現実が待っているのだ。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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かって、米国の億万長者である投資家のデビッド・サックスは第三次世界大戦を避けるためにはロシアとの「取引を結び」、緊張緩和を模索する必要性を強調した。だが、ワシントンDCで開かれた共和党のシンクタンク「アメリカン・モーメント」の祝賀会においては、ウクライナで進行中の代理戦争への米国の関与は膠着状態を長引かせるだけだと語った(36日)。

米下院がキエフへの610億ドルの援助を含む対外援助パッケージを可決したにもかかわらず、ウクライナの崩壊は避けられないと、米国の起業家デビッド・サックスはソーシャルメディアプラットフォーム「X」に書いたのである。

「いずれにせよ、ウクライナが崩壊すれば、特にこういった祝賀会の光景は愚かに見えるだろう。連邦政府はより多くの紙幣を印刷することができる。砲弾や防空ミサイルは増やせばいいだけだ」と、同投資家は一部の議員がウクライナ国旗を振っている下院での歓喜の光景に反応し、書いている。続けて、彼は「そして、私はこう付け加えるべきだった。彼らはこれ以上兵士を印刷することはできない」と言った。

Photo-1デイビッド・サックスのXへの投稿 © Photo : DavidSacks

サックスの投稿は共和党のランド・ポール上院議員(ケンタッキー州選出)の批難の投稿に呼応するものであった。彼は法案可決後に下院の映像を投稿し、「彼らは、あなた方が苦労して稼いだお金を、腐敗した外国政権に送ることに投票している。そして、彼らはまさにそう叫んでいる。ウクライナの国境を守るためだ。われわれの国境ではなく、ウクライナの国境を守るために彼らは喜んで投票しているのだ」とコメントした。

億万長者の投資家はXのスレッドで「ただ単に610億ドルの話だけではない」と指摘。「ウクライナの完全な敗北を食い止めるために、毎年、巨額の現金注入を必要とするであろう。つまり、新たな永遠の戦争における年間予算の基準として、610億ドルを注入することになるのだ。」

Photo-2:デイビッド・サックスのXへの投稿 © Photo : DavidSacks

彼は「イラクとアフガニスタンの戦争でも年間600億ドルの範囲の歳出で始まった」と指摘した。「これらの戦争は何兆ドルもの費用を負担することになったのである。」

投資家はこう言った。『単純計算をすると、この新しい資金法案を可決しても、ウクライナには「昨夏の大反撃のちょうど半分程度」を買ってやる以上のことはしてやれないことを示している。』

そして、もちろん、昨年の大々的に喧伝されていた大反撃の試みでは戦場での成果は限られ、膨大な人員とハードウェアとの損失によってどのように終わったかは誰もがよく知っている。

サックスによれば、これは「外国の旗を振りながら海外に送金することに投票すれば、あなたは米国の愛国者と呼ばれる」という極めて奇妙な世界なのである。「自分たちの国境を守るべく国内の優先事項に資金を供給するために自分たちのお金を国内に留めておくことに投票すれば、あなたは外国の代理人と呼ばれてしまう。」

同起業家は次のようなエピソードを思い起こした。米国の調査ジャーナリストであるシーモア・ハーシュによると、「バーンズCIA長官はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に大金を盗むのをやめるよう警告しなければならなかった。彼の部下たちは、彼が戦利品を分け合っていないことに腹を立てていたのだ。この問題が解決し、今や、ゼレンスキーは戦利品をもっと多く分け合うとでも思うのか?」とデビッド・サックスは問うている。

スペースXの創設者でテクノロジー界の大御所でもあるイーロン・マスクもサックスの投稿に加わって、彼の「最大の懸念」は「出口戦略がなく、永遠の戦争だけだ」とコメントした。

土曜日(420日)、米下院はウクライナやイスラエル、台湾に対して支援を提供する法案を可決した。現在上院に提出されているこの法案にはウクライナ関連の支援として6084000万ドルが含まれている。つまり、ウクライナに供与される防衛用品やサービスの補充に233億ドル、先端兵器システムの調達に138億ドル、この地域での米軍の作戦に113億ドル。この法案には、ウクライナに陸軍の長距離戦術ミサイルシステム(ATACMS)を提供する措置も含まれている。

さらには、下院はバイデン政権が違法に凍結したロシアの資産をウクライナに移転できるようにする、いわゆるREPO法も可決した。

デイビッド・サックスは、以前は、ウクライナへの軍事支援を推し進めようとする西側諸国の取り組みを背景に第三次世界大戦が勃発する可能性についての警告に加わって、NATOのロシアとの代理戦争を煽っていたものである。

米国は世界平和のベースラインを提供するためにロシアと「取引を結び」、緊張緩和を模索すべきだと、3月にワシントンで開かれた共和党のシンクタンク「アメリカン・モーメント」の祝賀会でこの米投資家は指摘した。演説の中で、51歳の彼はウクライナ紛争への米国の関与はついに失敗に終わったことが証明されたと主張。彼は膠着状態を長引かせ、ロシアに経済制裁を課したとしてワシントン政府を非難した。

「経済制裁が機能しているという考えは完全に妄想だ。ロシア経済は2023年に安定し、G7諸国をも上回った」と同ベンチャーキャピタリストは強調した。

サックスは、経済制裁の「本当の犠牲者」はヨーロッパだと主張し、ヨーロッパ大陸の人々は「このNATOの代理戦争、ロシアとの戦争は自分たちの利益にはならないことに気づいた」と付け加えた。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官によると、ウクライナ支援を提供するという米下院の予想された決定は米国に利益をもたらし、ウクライナには損害を与える。彼は、ロシア資産の没収は米国のイメージを傷つけ、恐怖を与えるであろうと付け加えた・・・(スプートニク (@SputnikInt)2024420

米上院は火曜日(423日)にウクライナを含む同盟国を支援する法案とロシア資産を差し押さえるイニシアチブについて投票する予定だと、上院多数党院内総務のチャック・シューマーは法案が下院を通過した後に述べた。

これに対して、ロシアはキエフに対する米国の軍事支援のさらなる提供はウクライナを破滅させ、ウクライナ人を殺害する一方で、米国をさらに豊かにするだけだと警告した。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官はロシア資産を没収した場合、米国はその影響に対処しなければならないだろうと述べ、この動きは海外での米国のイメージを傷つけると付け加えた。

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これで全文の仮訳が終了した。

ウクライナに対する610億ドルの支援パッケージは下院で可決された後、上院でも可決された。そして、バイデン大統領はこの新法案に署名をした。

138億ドルの支援は、少なくとも、長距離用ATACMSミサイルやF-16 戦闘機、等をウクライナへ送り込むことに費やされるようだ。こうして、ロシア側の戦略的優勢が明白であるという客観的な地上の状況があるもかかわらず、この消耗戦は継続される。この状況が続けば続くほど、米国の軍産複合体には巨額な利益が舞い込んでくる。

ロシア・ウクライナ戦争についてはさまざまな批判や論評があるが、この紛争が始まった当初から一貫して批判的であった西側の論者のひとりにスコット・リッターがいる。「スコット・リッター:ウクライナに対する米国からの巨額な支援法案もロシアの戦略的な優位性を阻止することはないだろう」と題された最近の記事(原題:Scott Ritter: Hefty US Military Aid for Ukraine Won’t Hamper Russia’s Strategic Advantage: By Sputnik,  Apr/25/2024)によると、「ウクライナに提供される138億ドルの軍事支援は、進行中にあるロシア軍の進撃を基本的に止めるには不十分だ」とし、「戦場の結果を変えるには不十分だ」と彼は述べている。この金額は、キエフ政権が「ゼレンスキーの計算によれば、1991年の国境にロシア軍を押し戻すために流れを変える」のにはまったく役には立たないであろうとリッターは強調した。これと同じような評価を下しているのは彼だけではない。

この戦争はいったい誰のためなのか?2014年のマイダン革命以降のさまざまな出来事を眺めてみると、どう見てもこれはウクライナの民主主義と自由を守るためのものではなく、軍産複合体に金儲けをさせるためのものだ。

まさにそのために、西側のメデイアではロシア敵視やプーチン悪党説が都合よく喧伝されてきたのだと言えるのではないか。トランプ政権の最中(20172021年)はロシア疑惑がでっち上げられ、米国内政治は混乱を極め、麻痺状態に陥った。あの混乱も米国やその同盟国の人たちにロシア敵視を植え付け、洗脳し、ロシア・ウクライナ戦争を駆り立てるのに重要な要素のひとつであったのではないかとさえ思える。

だが、遅かれ早かれ「兵どもの夢の跡」となりそう・・・

参照:

1US Billionaire Investor Warns Ukraine Will 'Collapse Anyway,' Despite Aid Bill: By Svetlana Ekimenko, Sputnik, Apr/21/2024

 

 


2024年4月26日金曜日

チェコの研究結果はお注射が何の効能も示さなかったことを指摘

 

お注射には効能がなかったとする主張するが出回っている。実は方々でそういった主張がされているのだが、ここにご紹介する記事はまったく新しい専門領域の論文であって、私には興味津々であった。「チェコの研究結果はお注射が何の効能も示さなかったことを指摘」と題されており、最近(418日)発行されたものだ(注1)。

早速この記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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副題:新型感染症用のお注射での失敗 ― その1

お注射戦争に関する他の記事はこちら RTE地域コミュニテイーはこちら

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上の画像はチェコ共和国のパラツキー大学オロモウツ校の教員である4人の応用数学者が書いた論文の表題を示す。これらの人たちは私と同じ専門分野の人たちだ。

私は2021年の当初から「お注射の有効性はゼロという仮説」(ZVEH)を主張しており、2021年の末までに何本かの論文を出版した

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今後1~2年で生活のストレスが少しでも減ったならば、私はチェコスロバキアに飛んで、この論文の研究者の皆さんにビールを奢るかも知れない(Fürst et al, 2024)。本稿ではこれらの著者のグループを「チェコ・チーム」と呼ぶことにする。

これは新型感染症のための疑似お注射に関する研究においてもっとも素晴らしい瞬間のひとつである。われわれはこの瞬間を生かすことを怠ってはならない。重大な間違いがないと仮定すると(そして、彼ら

の研究結果が私の他のすべての研究と一貫しているかどうかは必ずしも確かではないが)、この論文は過去数年間に私がこの疑似お注射について言ってきた事柄の多くを報告している。

この研究を埋もれさせないでいただきたい!これは主要な研究としてブックマークを付けるべきであり、この記事を保存し、 友人たちに送信することが可能だ。

私の知る限りでは、「お注射の有効性」(VE)を主張するデータでふたつの主要な統計的なバイアス、もしくは、トリック(誤分類バイアス)のひとつを初めて適切に説明してくれたマーティン・ニールとノーマン・フェントンの両氏に脱帽する。

数値は何処に?ノーマン・フェントンとマーティン・ニール著:

チェコの人口レベルでのお注射データに関する新たな研究によると、お注射の安全性や有効性は認められない

チェコ共和国からの新しいデータと論文:220万人分の個人の健康記録から収集されたチェコ共和国からの予防接種プログラムに関する人口レベルでの新データはFürstらによって分析され、彼らの分析は・・・にて発表することが受理された。

詳細はこちら

二日前 ― いいね124 ― コメント24 ― マーティン・ニールとノーマン・フェントン

チェコ・チームが見出した事柄の概要:

チェコ・チームは概要を述べる前に次のような事柄を強調している:

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Photo-35項目について仮訳を示すと、)

強調事項:

▪ふたつの独立したデータに基づいて分析。データの大きさは総数で約220万人分。

新型感染症を予防するお注射を受けたグループと受けなかったグループの全死因死亡率(ACM

▪最近接種したグループではACMが一貫して低く、新型感染症の枠外でも同じ傾向。

▪健康な接種者のバイアスはデータを可視化する。

▪このバイアスは観察研究においては新型感染症用のお注射の効果を過剰に評価する。

注:著者が述べている「健康な接種者のバイアス/効果」(HVE)は私が何度も書いてきた「健康なユーザーのバイアス」(HUB)と本質的に同じである。

チェコ・チームの論文が強調している事項はかなり控えめだ。お注射の懐疑論者はこの研究を他の人たちにも回覧する義務があると思うが、それはこの分析は、まさに、誠実な統計学者であるならば誰でもが行うことができた筈であるし、何時でも行うべきであったと考えるからだ。上記の科学的な発言から、次のように解釈するのが妥当であろう:「データを注意深く調べてみると、新型感染症のお注射は人々が死を回避するのを助けるという主要な仕事には完全に失敗したことを示しているようだ。」

ニールとフェントンはチェコ・チームによる主要な観察結果を(1)健康な接種者の効果(HVE)と(2)お注射の誤分類バイアスとの組み合わせであるとして正しく要約している。

UVE(訳注:何の略語であるかは不明だが、VEのことかも知れない)と誤分類とのメカニズムが一緒に働くと、接種者は安全ではないお注射のせいで自然に重篤な状態に陥ったり、死亡率が高くなったりするが、再分類という単純な行為によって、この増加した死亡率の負担はお注射を接種しなかった群に容易に転嫁され、接種を受けた群は比較的健康に見え、お注射が効果的に安全であるかのように見えるのである。

明確に言うと、

1.    HVEを巡る議論:肯定的なVEが認められることからお注射は何となく成功であると見える。だが、この肯定的なVEはより健康な人たちが接種を受けたという事実を反映しているに過ぎないようだ。

2.    誤分類の議論:HVEの補正に失敗すると、VEが適度に存在することになる。最近お注射を受けた人たちの接種状況を誤って分類すると、お注射の未接種の人たちの死亡率が過大評価され、接種者の死亡率が過小評価される。こうして、控えめなVEでさえもが目覚ましいVEに見えるようになる。

まさに、これは2023年を通して私が見舞われた一連の病気(そして、今もなお100%完全に回復したとは感じられない)に遭遇する前、昨年の2月から5月にかけて、私が連載記事で提起していた議論である。マーティンとニールはHVEに焦点を定めた私の見解やチェコ・チームの見解とはまだ異なっている。しかしながら、英国のデータはHVEの欠如を示す点で異常であるか(英国の裕福なエリートの多くを占める金融セクターはほとんどの国よりも、少なくとも部分的に、事前に警告されていたと私は複数の関係者から聞いている)、あるいは、彼らは議論を誤っていると私は考える。私はこの記事で、そして、それに続く記事においても詳細を調べるために最善を尽くす積りだ。これまで書いてきたように、HVEHUBについて効果レベルを正確に掴むことは歴史的に見て困難であり、製品や期間、年齢、地理的な人口統計によって異なる可能性がある。(そう、この課題は統計データのより良い収集方法によって是正される可能性もあるのだが、これは中央集権的な公衆衛生機関は人々の健康よりもむしろ権力を重視することがあることを示すひとつの兆候である)。

いずれにせよ、誤分類バイアスは「有効性の低下」を示していると主張するチャートの姿を変え得るような、まさに手が届きそうな低い枝になっている果実であり、実際には「誤分類バイアスの低下」に過ぎないという点では誰もが同意しているようだ。今のところ、ニール/フェントン・グループ、チェコ・チーム、そして私自身の視点の違いは、上記のふたつの範疇のバイアスは相対的に重要だということだけだと思う。幸いなことには、大局的に見れば、重要なのはふたつのバイアスが一緒になって、その重み(他の多くの変数に加えて、接種からの時間的近さによって変化する)には関係なく、VEが完全に欠如していることを示している。個人的には、複数のバイアスを完璧に解きほぐすという困難な作業はお注射の効果に関して錯覚を計画するに当たっては重要な側面であったのではないかと思う。

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なお、これら8つの記事のうちのひとつ目では、私は「健康なユーザーのバイアス」(HUB)は著者らが採用している「健康な接種者のバイアス」(HVE)とはやや異なるとしているが、それを包含するものと定義している。これらの用語は100%同一ではないが、実際には非常に近いため、読者の皆さんはそれらを同じものとして扱うことが可能だ。科学文献では広く普及していることやそれを測定することが比較的簡単な仕事であることから、(HUBではなく)単にHVE言語を使用することはよくある。また、全体として、HVEHUBの観測値はほぼ同じになる傾向があるため、HVEに焦点を当ててもその価値が失われることはほとんどない。

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ZVEHの事例を提示:

本章は疑似お注射のデータで観察された有効性がゼロを示す統計事例を示す。後続の章では統計データの読み方に自信のない人たちのために簡単な説明をしたいと思う。

ニールとフェントンが記したコメントに注目していただきたい:

われわれは、読者の皆さんもご存知の通り、お注射に関する観察データは「安っぽいトリック」によって誤った分類選択バイアス効果に苦しんでいることを強く、そして、繰り返して主張してきた。現在までに本件に関して圧倒的な証拠が挙げられており、問題を要約した組織的な評論を書き、出版のために提出した(プレプリントはこちらからアクセスが可能)。

われわれは観測データには多くの選択バイアスが潜んでいる可能性が高いと考える。つまり、安っぽいトリックは唯一ではないのである。他のバイアスは、おそらく、異なる時期に、異なる群において、異なる程度で作用する。一部の年齢層はHVEによってバイアスがかかっている可能性があるが、他のより脆弱な年齢層にはUVEバイアスと誤分類バイアスの両方が含まれ、相互に影響し合っている可能性がある。また、英国のデータでは未接種である人たちの割合が当局によって過小評価されており、お注射が接種されてはいない人たちの死亡率が体系的に過大評価され、お注射を受けた人たちの死亡率が過小評価されているという既知の問題が存在する。

「安っぽいトリック」というラベルはまさにそのことについて話しているからこそ、ありがたいことだ。私が見てきたデータが増えれば増えるほど、お注射の支持者たちは(a)ある研究から次の研究へとさまざまなゲームをしている専門家であり、矛盾を認識するのに十分な時間をかけて証拠全体を見ることを厭わない他の専門家のせいで崩壊していく、(b)混乱を解明することができない非専門家であるかのどちらかであることが明らかになった。われわれは安っぽい魔術ショーを見ていたのだが、観客にはそのことを解明する十分な時間はなかった。

ニールやフェントン、私、ならびに、他の人々がまとめた議論について懐疑的な人たちもいるであろう。だが、われわれが提案するバイアスを修正しても、効果的な製品が効果がないように見えることはない!したがって、分析結果の間に矛盾がある限り、これは通常の論理によって正しさの推定をわれわれに有利な方向へと押しやってくれる筈だ。

ここで、チェコ・チームがまとめた2021年と2022年の全死因死亡率(ACM)を追跡するグラフについて考えてみよう:

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(下部に示されているように)お注射の接種済みの群のACMが上昇傾向にあることに注意していただきたい!お注射の支持者は、ますます好都合になっている「免疫逃避変異株」の破滅警告、等、ウイルスの病原性について議論を組み立てるかも知れないが、お注射が未接種の群にも同じ議論が当てはまる筈である。しかしながら、お注射が未接種の人たちのACMは減少の傾向にある。実際、この減少傾向は新型感染症による死亡率のピークと想定される波を突き抜け、「プライマリー・コース」の群のACM頻度を下回ることさえもある!

ニール、フェントン、および、共著者ら(Neil et al, 2022)は、この統計的に誤った分類が新型感染症以外の死亡率の予防において明らかに強大なVEをもたらすことを指摘することによってACMの違いを実質的なVEに帰することの不合理さを示唆した!

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別の考えとしては、ある群がお注射をすると、行動をまったく変えなかった人たちの死亡率は一時的に急上昇するが、それは3週間だけだと考えることができる。

ニールとフェントンの見解は、お注射安全性データリンク(VSD)が若者たちの群においては銃撃や自殺、さらには自動車事故による死亡を必然的に含んでおり、新型感染症以外の原因に対する実質的なVEを表わしているという私の観察と驚くほど似ている。もしも裕福で教養のある人たちが本当にこの効果を信じているとしたら、彼らは、毎朝、新しい予防接種で目覚めるのではないか?!

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前にも書いたように、

好奇心に駆られて、mRNAや脂質ナノ粒子でやる気満々の人たちの死亡頻度がもっともらしく(もっともらしく??)減少する可能性があると想像しながら、私は死因について少し調べてみた。残念なことには、CDCの死因データは年齢層が一致しない(これらのデータは腹立たしいほどに標準的でない)。しかし、18歳から44歳までの死因をかなり正確に把握でき、より小さな年齢層をいくつか見つけた。特に、米国の若年成人の死因として最も多いのは、(1)事故(主に自動車事故)、(2)自殺、(3)殺人のみっつである。私はこれを「肉体的な死のトリオ」または「PDT」と呼ぶことにする。実際、20歳から24歳の年齢層では、これらが全死亡率の78%を占める。このデータを使用し、人口統計をどのように分割するかについて控えめに推定してみたところ、1844歳の年齢層ではPDTによる死亡率は約50%である。

次に、上のグラフでこの年齢層に注目していただきたい。

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お注射がこの年齢層で新型感染症以外の要因による死亡率を64%も減らすことができるとすれば、その64%(絶対値)の数字の少なくとも14%分はPDT全体の数字から来ていることを意味する。50%のうちの14%は全PDT死亡者の28%に相当する!

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単一のタンパク質を作ろうとする(そして、その過程で同じくランダムにアミノ酸鎖を作る)実験的なバイオ製剤が発散する傾向や実質的には的外れの効果は実質的なVEの主張とはうまく適合せず、これらは誤った分類に関するフェントンの議論と完全に一致する。これについては分子と分母(死亡者数/お注射以降の日数)が最近お注射を受けた人についてどのようにして誤解を招き、異なった範疇に不適切に分類されるのかを明らかにすることを目的としており、私はこの点で共鳴した。

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接種後14日間の患者は未治療と見なすべきだと主張する人たちは(あらゆる歴史や理性に反して)感染者(または死亡者)と「人数xお注射に費やした日数」の分類の両方にこの原則を適用しなければならない。そうとでもしなければ、上記に示したように、彼らの方法論は(生理食塩水のような)不活性剤が非常に効果的であると示すことになる。明らかに、それは何の意味もなさない。定義を分割することは「有効性の低下」というわずか3年ほど前に怪しげにでっち上げられた言葉の出現を計画させる。「有効性の低下」の話はまさにわれわれが信じる「バイアスの衰退」のモデルに当てはまるのである。

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チェコ・チームは誤分類の証拠を見つけたのか?

そう。そう、その通りだ。接種状況別に分類されたACMに関する彼らのチャートのひとつを以下に示す:

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論文から引用すると:

一見すると、数値はお注射が死亡を防ぐのに非常に効果的であることを示唆しているかも知れない。しかしながら、 1は新型感染症関連の死亡率ではなく、全死因死亡率を示している。研究期間中の全死亡者のうちで新型感染症関連の死因はわずか約14%(死亡者269,000人中で37,000人)であったため[7,8]、お注射が全死因死亡率にそのような影響を与えることはあり得ない。新型感染症の感染強度が高い時期と低い時期を別々に分析すると、この知見はさらに逆説的になるのである( 2)。

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これはVSDデータに驚くほどよく似ている。問題は、われわれは誤分類バイアス、HVE、あるいは、その両方を議論しているのかどうかということだ。

異なったデータの並べ替えでは異なったバイアスが起こる:

一般大衆はこのようなレベルの高い統計的なトリックについて深く学習し、探求する気はない(しかし、統計学者にとってこれは決して理解するのには高過ぎるようなレベルではない)。応用定量分析の専門家としての私は、とてもじゃないが、彼らを責めることはできない!われわれ一人一人が高度な技術的スキルのすべてを学ぶことを要求されたならば、世界はすぐにでも停止してしまうであろう。誠実な仕事をし、それを促進するかどうかはある程度までは訓練を受けた数学者や統計学者にかかっている。これは重要な点だ。

われわれが見てきたのはさまざまな方法で提示された研究とデータの要約である。主要なバイアスはデータの並べ替えや要約の方法に大きく関わっている。

初期のレトロスペクティブ分析に対するマーク・リーダーの批判を思い出していただきたい(Dagan et al, 2021)。この分析では情報打ち切りの対象となる輪番コーホートの組み合わせ(rolling cohort pairing)が用いられた。このようなデータ打ち切りは誤分類やHVEバイアスを悪化させる可能性があるが、他のバイアスがない場合でさえも、リーダーは不活性または効力がゼロの生理食塩水溶液さえもが新型感染症の症例や死亡を防ぐのに非常に効果的であるかのように見せかけること(あるいは、人々が銃弾をかわすのを助け、自動車事故を避けるのを助け、癌を治すのを助け、ガラガラヘビに噛まれること、等を避けるのを助けること)が可能であることを示した。

誤分類バイアスは個人のお注射の接種データが母集団全体にわたって存在する場合に関与する。

お注射の接種状況が感染者数や死亡者数について誤って分類されるかも知れない可能性を母集団全体にわたって調べることによって回避することができるならば、HVEを検査することは可能である。これは、実際に米国のデータに完全に適合することが分かる!

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オーっと、これは米国における2019年の郡別の死亡率との相関関係だ。奇しくも、これは健康/富裕層/教育を受けたユーザーのバイアスと同等であることを示している。しかし、このグラフに適合し、米国のすべての郡にも適合し、これは2019年の郡別の死亡率の差を厳密に予測せしめ、世帯収入の中央値がお注射の接種後の新型感染症による死亡者数をも同様に厳密に予測させた。

もっと多くの実証が必要か?

軍事データ請負業者のSAIC = Science Applications International Corpが独自のお注射データをオンラインに投稿し、すぐにそれを削除したという話を思い出していただきたい。私がそのデータを分析したところ、短期的にはマイナスのVEが続き、その後、VEはゼロに向かって横這いになることが示されていた。

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そして、もう一度新型感染症による死亡率の全体像を見ると:

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「どれほど悪かったのか?」についてお注射が登場する前と後健康や教育、富の状態に関して同じように追跡した場合、「もっと悪かったのかも」と言うだけでは十分ではない。

もっと簡略にしよう:

体と感染性病原体(たとえそれがウィルス、あるいは、ウィルス様粒子、細菌、その他の病原体であろうとも)との境界である粘膜で起こる感染を防ぐために筋肉内注射が行われるとは誰も予想してはいなかった筈だ。

新型感染症の重症化の主な原因であると主張する一部の研究者たちはトランスフェクション(=遺伝子を細胞内に送り込んで増殖させること)によって体を刺激し、スパイクタンパク質を産生させることが人々の健康を維持するのに良い方法であるとして提案すべきではなかった。

お注射の試験は誰も後押しをするべきではなかった。これらのお注射は成功の証として臨床試験群の間で病気を代理試験することについてさえも調整されてはいなかった人体実験や治験データのごまかし、政治的操作の歴史をふんだんに持っている製薬会社の言葉は独立した懐疑的な精神の持ち主たちとの徹底した議論なしには鵜呑みにするべきではない。良く言って、ハウス・オブ・カードは絶えず揺れ動いていた

安全信号を定義することや安全信号分析の意図的な欠如には誰もが注意を払うべきであった。

新しい遺伝子技術を過去のお注射の接種結果が、たとえそれが本物であろうと、操作されたものであろうと、これらの疑似お注射に使用された遺伝子のトランスフェクション技術の結果と関係があるかのように扱うべきではなかった。

チェコ・チームによる分析に関しては誠実な保健数理士ならば誰でもが提案するであろうこと、つまり、質の高い健康保険データを活用することを実践した。ドイツの大手医療保険会社の責任者 20218月に私が発表した推定と完璧に一致するお注射と死亡率との関連性を示す数十万件のインタビューに関する詳細な分析を発表したが、その後彼は解雇されたことを思い出していただきたい。保険会社にはデータを理解し、侵害されにくいデータベースを保持するという動機が与えられている。もしも危険なバイオ医薬品プログラムを推進する体制が整っていたとしたら、その動機とデータを扱う人材の組み合わせを突破することは難しいであろう。

確認内容と一貫性:

複雑な環境における理論を真にテストする目標は複数のテストから得られた結果や分析の形式における一貫性にある。私が見てきた限りでは、すべての証拠は統計的バイアスフィルターによって説明することが可能で、お注射の有効性はゼロであるという仮説とうまく一致する。だが、お注射に関する実質的な有効性の理論についてこれと同じことは言えない。

おそらくは、これこそが全世界が文化戦争とデータの解釈をめぐって意見の相違を解決するためにお互いに話し合うことを妨げるその他の感情的気晴らしとの組み合わせに追い込まれた理由なのである。(お注射の)効力に関する錯覚は機能している(コミュニケーションが行われている)社会では持続することはできなかったであろう。

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これで全文の仮訳が終了した。

この引用記事の著者は統計学がどれだけ真理を追究することが出来るのかについて説得力のある見解を示してくれた。統計学についてはまったくの素人である私はそんな印象を感じた。率直に言って、私には難解な部分が何カ所かあった。だが、むしろ、「統計学はここまで出来るの?」といった驚きを覚えながら、著者が描写する統計学の世界に引き込まれて行った。

彼の政治的には最強と思われる指摘は実に圧巻である。新型感染症用のお注射の有効性はゼロであったと言う。もしも世界中が自由闊達なコミュニケーションに完全に解放されていたならば、新型感染症の大流行で数多くの人達があのような災難に見舞われることはなかったであろうと暗に述べている。

その一方で、「誠実な仕事をし、それを促進するかどうかはある程度までは訓練を受けた数学者や統計学者にかかっている。これは重要な点だ」とも指摘。「この分析は、まさに、誠実な統計学者であるならば誰でもが行うことができた筈であるし、何時でも行うべきであったと考える」と言い切っている点が実に興味深い。

誠実な仕事をする統計学者の目には最近数年間の社会は「安っぽい魔術ショーを見ていたのだが、観客にはそのことを解明する十分な時間はなかった」と映った。われわれ一般大衆はこの魔術ショーの観客であったことは言うまでもない。

統計学者だけではなく、医者や研究者、ジャーナリストらを含めて、新型感染症の恐怖が世界中で喧伝され、集団免疫を獲得するために人々の行動には厳しい制約が課され、社会全体が行動の自由を奪われた当時、多くの専門家は当局側の筋書きに反することになりそうな論文や記事を出版することには大きな抵抗を感じたことであろうし、そうすることは控えざるを得なかったと推測される。

後知恵になるが、ここに引用したような統計学者の見解がもっと早く、方々から、そして、世に広く紹介されていたならば、さらには、そうすることについてもっと寛容な社会であったならば、お注射のせいで世界中で1700万人もが命を奪われることはなかったに違いない。さらには、日本ではお注射を7回も受けるような人たちはいなかったに違いない。製薬企業の金儲けが科学をハイジャックした代価は余りにも大きい!

参照:

注1:Czech Study Points to Zero Vaccine Effectiveness: By Mathew Crawford, Rounding the Earth Newsletter, Apr/18/2024