2016年12月13日火曜日

本物のフェークニュースが見つかった - 「科学者の97パーセントが気候変動に同意」という報道は巧妙なでっち上げだ。メディアが伝えたくはなかった真相は・・・



米国の大統領選の投票の結果、大手メディアが推進していたヒラリー・クリントンは落選し、大手メディアがあることないことを報道し、こっぴどく叩いていた相手のドナルド・トランプが当選してしまった。

そして、それらの報道の中には数多くのフェーク(偽)ニュースが含まれていた。落選したクリントンの支持者らは、今、選出されたトランプ次期大統領の正当性を覆そうとしてやっきとなっている。醜い米国政治の現状がことさらに顕わになり、この混乱状態は少なくとも来年120日の新大統領就任の日までは続きそうだ。

しかし、フェークニュースの最たる物は米政府が行う報道内容だと指摘する声もある。つまり、米国の大手メディアが世界に向けて流す報道は米政府を代弁するものであり、民衆を洗脳するためのものであると言わんばかりだ。

1124日、ワシントンポスト紙は「専門家によると、ロシアのプロパガンダが米大統領選中のフェークニュースの拡散に貢献」と題した記事を掲載した [1]

この記事をきっかけにして今米国では2正面の争いが顕在化している。つまり、大手メディア対代替メディアという構図だけではなく、トランプ次期大統領の出現によって政府対メディアという新しい構図が加わりそうだ。特に、後者に関しては、選挙運動期間中にさんざん悪口を言った大手のメディアに対してトランプ新大統領が正式に就任してから何らかの施策をとるのかどうかが見物である。

ところで、フェークニュースは政界だけの専売特許というわけではない。科学の世界でも起こっている。

ここに、『本物のフェークニュースが見つかった - 「科学者の97パーセントが気候変動に同意」という報道は巧妙なでっち上げだ。メディアが伝えたくはなかった真相は・・・』と題された記事がある [2]

本日はこの記事 [2] を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。


<引用開始>

(NaturalNews) 最近の「本物のニュース」対「フェークニュース」という馬鹿馬鹿しい論争においては、大手メディアの嘘つき連中は気候変動論争こそがフェークニュースが真実を妨げ続けている好例であると言う。彼らは「科学者の97パーセントが人為的な気候変動に合意しており、これに反対する者は明らかにフェークニュースをかき集めようとしているのだ」と繰り返し主張している。

だが、ちょっと待ってくれ。その「97パーセント」という数字はいったいどこから来たのか?確かに、彼らは何回も繰り返してそう主張している。しかし、その主張はいったい科学を正当に代弁する内容であるのか?

ある本の著者であるマーク・ステインはより権威のある答えを探そうとして、この問題を掘り下げようとした。彼は非常に多くの不正や虚偽を見い出し、それらを「
A Disgrace to the Professionと題する本に纏めた。「97パーセントの科学者」の背後に潜む科学界における驚くべき不正を概略次のように述べている(斜体の部分): 

世界規模で起こっている気候変動に関する地球科学の専門家の意見についてひとつの調査が実施された。この調査は理学修士号を持つマーガレット・RK・ツィンマーマンによって実施され、その結果は2008年にイリノイ大学によって出版された。

Pantsdoumi博士から受ける彼に対する支援とは別に、マンは「決着がついている科学」のお墨付きをしばしば求める [訳注:「マン」とはMichael E. Mannを指しているものと判断される。マンは「ホッケースティック論争」で一躍有名になった]。つまり、人為的な要因によって危機的な地球の温暖化が進行しており、これを解決するには強力な政府の介入を必要とする、と世界の科学者の97パーセントが信じているとされている。このパーセントの値はMRK・ツィンマーマンによって行われた調査に由来している。

この「調査」は二回の質問で構成されている。質問票はオンラインで10,257人の地球科学を専門とする
科学者に送付され、そのうち3,146人から回答があった。

回答をした科学者の中で96.2パーセントは北米からのものであった。

たった6.2パーセントだけがカナダからの回答であった。つまり、米国からの回答総数は北米内の統計標本としては過大であった。
米国の回答者の9パーセントはカリフォルニアからであった。カリフォルニアからの回答数は米国内の統計標本としては過大であっただけではなく、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、太平洋、南米およびアフリカの全地域の合計に比べてさえも2倍も大きかった。

米国以外の地域からの回答は全体の10パーセントを占めたが、その内の62パーセントはカナダからの回答であった。

上記に示すように偏った標本群には満足することができなかったことから、研究者らは79人の回答者を選びだした。これらの回答者は皆がその方面の「専門家」であると言う。

79人の科学者の内で二人が二回目の質問からは除外された。この意見調査の最終段階を終了した77人中で75人、つまり、97.4パーセントが「大多数の意見」に合意した。ここから97パーセントという数値が由来したのである。

つまり、これは多分にマイケル・マン的な「再構築」だ。何人かのカリフォルニアの連中が千年後の気候を断定することが可能となるように、何十人かのカリフォルニアの科学者が世界中の大多数の意見だとして代弁することが可能となるのだ。

それでもなお、データの編纂者は回答者からのコメントを集め、得られたコメントを付属文書として出版した。具体的な科学的題材の観点から言えば、ホッケースティック論争については3種類のコメントが寄せられた。そのひとつは穏やかで、肯定的なものであるが、他のふたつはそれ程肯定的ではなかった。
何とまあ!97パーセントの大多数の意見は電子メールによるアンケート結果から自分に都合が良いように選んだ75人だけの意見を纏めたものに過ぎない、とあんたは言うのかい?

その通り。世界には何十万人もの科学者が存在するが、大手のメディア・ニュース企業が事実だとして引用する気候変動に関する調査結果を「説明する」ために、その中からたった75人が選ばれたというわけだ。

あんたが説明を受けた「決着した科学」という状況ではないようだね。そうじゃないかい?実際には、むしろ、すべてがいい加減に見えてくる。

これは一種のプロパガンダだ。「本当のニュース」だとして取り扱われ、それは明らかに間違った科学だと指摘する人たちは
「フェークニュースを呼び込もうとしているとして非難される始末だ。

もしも「本当のニュース」が自分たちの好みに合った回答だけに根ざしており、それらの回答が気候変動論を支持する「科学者たち」だけで構成され、ひどく歪められ、科学者全体を代表するわけでもない一団によって支配され、回答者が彼女(編纂者)の主観的な目的に合致するように回答を明らかに改ざんしていたとするならば、そもそもこの「本当のニュース」の信ぴょう性はいったいどれだけあるのだろうか?
さらには、「決着した科学」という考え方はまったく非科学的である。正当な科学の真髄は新しい考えの探求や発見および革新に対する開放された心構えにあることから、科学は決して決着することはない。新しい考えが古い考えを更新していく。しかしながら、今日、我々は「真実省」の事実をチェックする担当官や「本当のニュース」だとして本人たちが宣言し、独占的に情報を提供する者たちによって彼らが発信する考え方だけが正当であり、それ以外の者は誰も「決着がついた」事柄については質問を挟むことさえも許されないと聞かされてきた。
「多数決による科学」は定義上からも非科学的であり、現実に起きる現象は人間の間違いだらけの意見によって断定されるものではない。

このように、科学に決着がついたと断言するアプローチはそれ自体が非科学的である。事実であると見なされている事柄が質問や批判あるいは議論を受け付けないならば、それはもはや科学ではない。しかし、反対派を抑圧する論争こそがこの新たに生まれた「ニュースの真実性」を標榜する部隊が実現しようとしている点だ。つまり、科学における異論や代替となる考え方を排除しようとしているのである。「大多数の意見」を強引に認めさせられることに反対する人たちに関しては、彼らはあらゆる討論(二方向性)を容赦のない教え(一方向性)に転換させようとしている。

科学的な反対意見が認知能力が旺盛な専制君主によってひとたび沈黙させられると、その行き着く先は科学的であると見なされた間違いだらけの考えに根ざした「科学主義」に対する支配者の熱狂に他ならない。多分、これこそがかの有名な物理学者、リチャード・ファインマンが言いたかったことではないだろうか。彼はかって「科学とは専門家が無知であることを信じることだ」と言った。もしも彼が今も生存していたならば、気候変動にまつわる不正を見て、「それはたわ言に過ぎない」と評するに違いない。

ニューヨークタイムズが繰り返して報道したからといって嘘が事実になるわけではない: 

これは嘘つきの大手メディアが報道するいわゆる「科学」と称される事柄はすべてが非常に注意深く構築された嘘の塊りであるという現実を説明するものだ。たとえば、ワクチンは完全に無害である、遺伝子組み換え生物は環境には何らの危害も与えない、株式市場は常に上昇する、アスパルテームは赤ちゃんに対して無害だ、殺虫剤には発癌性がない、農地にばら撒かれる下水処理場由来の生物スラッジは「有機肥料」だ、等々。

これらの事例は彼らが「受け入れられた真実」として体系化したい嘘である。そして、彼らは反対意見にはどれもこれも信ぴょう性がないとして公然と非難する。

さてと、これはグーグルやフェースブックおよび大手
メディアに関するニュースだ。あなた方(大手メディア)は自分たちの信頼性をすでに放り捨ててしまった。あなた方を信じる者なんて誰もいない。そして、代替メディアを検閲することによって、これからあなた方に起こることは何かと言うと、何百万もの読者を急速に失っていくことだろう。読者は真実を読むことが可能なメディア、つまり、独立したメディアへと乗り換えようとする。

どんな話題についても本当に真実だけを読みたい?そうしたければ、まずは体制側に立つ大手メディアや「門番」役を務めるグーグル、フェースブック、ヤフーのウェブサイトはすべて避けることだ。彼らは、今や、歪曲され、作り話で構成され、虚偽が満載となっている自分たちが発信する「事実」を支持しようとはしない見解や意見は何でも沈黙させようとし、それらを検閲しようとしている(これらの「事実」はすべてが政治的な思惑から来るものである。念のため)。

ニュースの検索には
GoodGopher.comを使ってみたらどうだろうか。あるいは、一日中繰り返して更新されるAlternativeNews.com をチェックしてみてはどうか。お気に入りの話題はFetch.newsから。ややもすると、大多数が認める事実として悪意に満ちた嘘が世間に横行する今の世界においては、これこそが自分の頭脳を解放し、本当の真実を見い出す唯一の方策だ。

<引用終了>


これで仮訳は終了した。

科学に決着がついたと断言するアプローチはそれ自体が非科学的である。事実であると見なされている事柄が質問や批判あるいは議論を受け付けないならば、それはもはや科学ではないという著者の意見は実に秀逸だ。

正直に言うと、地球の温暖化説がこれほどまでに歪曲され、これほどまでに科学の本質からかけ離れているとは私は知らなかった。一例に過ぎないとは言い切れないような大きな団体特有の傲慢さを見るような感じがする。

科学者が発信する情報は素人である門外漢にはその信ぴょう性を議論することはできない。その作業は、少なくとも、非常に困難だ。

オバマ米大統領は、2014516日、「97パーセントの科学者が信じるところによれば、気候変動は実際に起こっており、人為的に生成されたものであって非常に危険である」とツイートした。これは「97パーセント云々」が一人歩きを始めたことを如実に示すものだ。政治家にとっては単純で、しかも説得力があるとして多用される。

地球の温暖化は実際に起こっているのだろうか?温暖化説に批判的な人たちは特に最近の約20年間は温暖化が停止しており、むしろ、寒冷化していると主張している。例の有名な「ホッケースティック」説を信じるならば、最近の20年間においても地球の温暖化は継続している筈だった。

そして、太陽活動の周期性による影響の方が大きいのではないかとい説も飛び出してきた。これを受けて、米国政府は地球の温暖化説を認めない有力な根拠としているようだ。

科学者が恣意的に自分たちに都合のいい情報だけを流し、マスコミが一団となってそれを増幅していたとすれば、われわれ一般庶民にとってはまさに「何をかいわんや!」である。

ここで、想像を逞しくしてみよう。

地球の温暖化は実際に起こっているのかも知れない。しかしながら、そのような場合であっても、今まで報道されていた程度に比べれば、多分、その程度ははるかに小さいレベルのものであるのかも知れない。

あるいは、いわゆる人為的な要因によって引き起こされたとする地球の温暖化は起こってはいないのかも知れない。本当の理由は二酸化炭素やメタンガスといった温暖化ガスではなくて、それ以外の要因が存在しているのかも知れない。

リチャード・ファインマンはかって「科学とは専門家が無知であることを信じることだ」と言ったそうだが、専門家といえども大気現象を完全には理解してはおらず、あるいは、理解することができず、彼らが提唱する仮説がどこまで現実を説明することができるのかに関しては誰にも正確には分からない。スーパーコンピュータを使用したとしても、それはコンピュータ科学の能力を遥かに越した世界なのだ。

だからこそ、さまざまなフェークニュースが巷に溢れる余地が残されるのだ。


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最近の約20年間は地球の「温暖化が休止」してしまった。これは炭酸ガスを主要因とする人為的地球温暖化説には批判的な人たちを勇気付け、温暖化の主要因は太陽活動の周期性によるものであるとする説が支持を集め始めた。

ところが、地球温暖化説は、再度、論争の主役になりそうな気配だ。昨年の6月に発表されたサイエンス誌の記事 [3] は皆を、特に、人為的地球温暖化説には批判的な人たちをアッと驚かせた。

米国海洋大気庁(NOAA)の傘下にある米国環境情報局(NCEI)がコンピュータ計算に使用される地球の表面温度(陸上と海上)を見直し、修正を加えた。その結果、最近の約20年間の傾向は従来のそれ(つまり、温暖化の休止)とは違う傾向を示した。このデータの修正によって、「温暖化の休止」は20世紀後半の温暖化傾向とそれほど変わりがない「温暖化の傾向」へと修正されたのである。

この修正が大局的にはどのような影響をもたらすのかと言うと、注3の文献によると、1880年から今日までの全期間で見ると、新たに再計算された温暖化傾向(0.68/世紀)は今までに報告されている傾向(旧データでは0.65/世紀)から実質的に大きく異なるものではない。一方、この修正は主として最近の20年間に対しては大きな影響を与えることになる。

こうして、太陽活動因果説が新たな主役になりそうな気配を見せていたところへ、炭酸ガスによる地球温暖化説が舞い戻って来た。またもや、舞台上ではあらたな混乱が始まろうとしている。

政治や科学の世界におけるフェークニュースが暴露されて、今や、メディア各社にとっては今後生き残ることができるのかどうかを占う正念場となるかも知れない。一般読者や視聴者にとっては、個々のメディアが「本当のニュース」をどう扱うのかが格好のリトマス試験紙となりそうだ。



参照:

1Russian propaganda effort helped spread ‘fake news’ during election, experts say: By Craig Timberg, The Washington Post, Nov/24/2016

2The REAL FAKE NEWS exposed: '97% of scientists agree on climate change' is an engineered hoax... here's what the media never told you: By Mike Adams, The Health Ranger, Nov/22/2016

3Science publishes new NOAA analysis: Data show no recent slowdown in global warming: By NOAA, Jun/04/2015







2016年12月6日火曜日

それは我々次第だ



米大統領選ではどうしてトランプが勝利を手にすることができたのであろうか。今、さまざまな見解がインターネットを賑わしている。

そして、世界の将来像に関して日本でも、ロシアでも、ヨーロッパでもそれぞれ違った見方がたくさん出回っている。世界に対する米国の覇権が揺らぎ始めたとは言え、トランプ次期米大統領が描く世界像は広く関心を集めている。

今回の米大統領選が見せた新しい基本的な潮流は草の根的な一般庶民が政治的に覚醒したことにあると見られる。西海岸や東部の都市部に強い民主党のクリントンは捨てられ、経済的に疲弊している中西部や南部の州の住民は多くがトランプを選んだのである。換言すると、多くの住民が既存の政治路線、つまり、寡頭制や軍産複合体に支配された対外政策には決別して、まったく新しい政治を求めているのだ。

興味深いことには、フランスやドイツにおいても、来年の大統領選に向けて、今、米国の潮流と同じような胎動が感じられる。124日、イタリアでは首相が提案した憲法改正に関する住民投票が行われたが、反対が多数を占め、首相は辞任に追い込まれている。ここでも、権力者対民衆の構図で争われ、民衆が勝ったのだ。

そんな世相に答えるかのような興味深い記事が見つかった [注1]。その表題は「それは我々次第だ」と題されている。

本日はその記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。


<引用開始>

ドナルド・トランプは彼が人種偏見主義的であり、女性嫌いであって、米国人たちもそうだからこそ、この選挙に勝ったのだろうか? 

そうではない。そのような見方は権力層からたっぷりと給料を貰っている連中や「リベラルな進歩派」、シンクタンク、あるいは、大学の連中のたわ言に過ぎない。

トランプが選挙を盗んだからこそ、この選挙に勝ったのだろうか?

それもたわ言だ。投票装置をことごとくコントロール下に置いているのは権力層だ。彼らは今回の選挙を盗むことには失敗した。世論調査ではヒラリーに投票をしたいと言いながらも、実際の投票では多くの市民が権力層を出し抜いたのだ。ヒラリーは間違いなく勝利するというプレスティチュートのプロパガンダが独り歩きし、権力層は自分たちが推進していたプロパガンダ路線を信じ込んでしまい、自分たちの勝利を確実にしなければならないなんて夢にも思わなかった。

[訳注: 「プレスティチュート」とは「プレス」と「プロスティチュート」との合成語。この新語はジャーナリズムの腐敗ぶりを表現する言葉として米国では多用されている。]

トランプは米国の市民に直接語りかけ、真実を喋ったので大統領選に勝った。彼は市民らが以前から知っていることだけではなく、今まで政治家が口にしたこともないようなことまでも喋ったのである。たとえば、こんな具合だ:

「我々の新政府は、失敗に失敗を重ね、腐敗し切っている政治的権力層をあなたたちによって、つまり、米国市民によってコントロールされた政府で置き換える積りだ。権力層の連中は何十億ドルもの金をこの選挙に賭けている。ワシントンで権力のレバーを握っている連中、ならびに、彼らと連携してグローバルな規模で特別な利害関係を持っている連中はあなた方のためになることなどは何も考えようとはしない。我々の動きを止めようとする政治的権力層こそがわれわれに惨めな自由貿易協定をもたらし、大量の不法移民を放置し、この国の富を流失させてきた経済政策や対外政策にかかわってきた張本人なのだ。」

「経済に関する意思決定に関与しているのはグロ-バルな権力構造だ。この構造こそがわれわれの労働者階級を強奪し、この国の富を略奪して、その金を一握りの巨大企業や政治家集団のポケットに押し込んできたのだ。この腐敗し切ったマシーンを止めることが出来るのはあんた方だけだ。我が国を救うことが出来る唯一の勢力は俺たち自身だ。この堕落した権力者集団を出し抜いて選挙で勝ち抜くことができるのはあんた方、米国市民だ。」

トランプは投票者に多くの約束をしたわけではない。彼はあれについても解決する、これについても解決すると言ったわけではない。彼はほころびてしまったわれわれの国を修復できるのは米国市民たちだけだと主張し、彼自身は有権者から付託された権限を行使するエージェントであると言う。

市民たちはこの選挙戦を勝ち抜いたが、権力層は依然としてそこに存在している。しかも、前と同じように強力なままだ。彼らは、トランプの合法性を認めないとして、メディア界における彼らの追従者やリベラルな進歩派グループを介して抗議や請願およびフェーク(偽)・ニュースを使ってすでに攻撃を開始している。ジョージ・ソロスは、彼がかって英国通貨に対して攻撃を仕掛けて大儲けした金を使って、トランプ新政権の発足を邪魔しようとして何千人ものデモ参加者に金を支払うことだろう。

トランプの動きはどうだろうか?トランプ自身が見い出したように、寡頭制の経済や対外政策を操る権力層には属さないような人物を指名することは非常に難しい。ワシントンは批判者や反対者が心地よく感じることができるような場所ではない。たとえば、パット・ブキャナンのことを考えてみよう。ふたつの政権でホワイトハウスの高官として勤め、二回も大統領候補になった。彼は非常に経験豊かな人物である。しかしながら、ワシントンは彼を脇に押しやってしまった。

さらには、たとえ部外者のための居場所を見つけたとしても、部外者は内部の連中によって生きたまま喰われてしまうことだろう。トランプは部内者を採用しなければならないだろう。しかし、彼はある程度は自己主張がはっきりしている部内者を任命しなければならない。マイケル・フリン将軍を国家安全保障担当補佐官に任命したことは決して悪い選択ではない。フリンはシリアに対してISISを採用することについては反対だとオバマ政権に提言した前国防情報局長官である。シリアにおけるISISの出現はオバマ政権の「意図的な意思決定」の産物であると、フリンはテレビで公言している。換言すると、ISISはワシントンのエージェントであり、それが故にオバマ政権はISIS を防護したのだ。

トランプの首席補佐官となるプリーバスや最高戦略責任者となるバノンは妥当な選択である。セッションズ(検事総長)とポンペオ(CIA長官)は彼らのメディアが名声を盛り挙げたものであって、いささか気に掛かる指名だ。とは言え、もしもセッションズが拷問を認めるようであるならば、憲法が拷問を禁止していることから、彼は検事総長には向かない。米国としては米国憲法を支持しない検事総長がまたもや出現することは許容することができない。

もしもポンぺオが実際には余りにも情報不足であったが故にイランとの和解に反対したというのであれば、彼はCIA 長官には向かない。イランは核兵器プログラムを持ってはいないと CIA自身が言い、ロシアの助けを得てあの問題を解決したのである。トランプはネオコンの連中がイランとの喧嘩を再開するために使えそうなCIA 長官を望んでいるのであろうか?

セッションズやポンぺオの見解は時世の産物であると言えそうであって、心の底からそう思っているものではなさそうだ。とにかく、トランプは強靭で、強情な人物である。もしもトランプがロシア人や中国人との和平を望むならば、邪魔をしようとする指名者は更迭されるだろう。まあ、トランプ政権をこき下ろす前に、まずは同政権が何をするのかを注視しようではないか。

過激なネオコンであるジョン・ボルトン、あるいは、以前は地方検事を務め、ニューヨーク市長を歴任したルディ―・ジウリアーニが国務長官の候補者として挙げられているというプレスティチュートの報道は信用出来そうにはない。もしもトランプがプーチンと仲良くやって行きたいと思うならば、彼の国務長官がロシアとの戦争を望むようではトランプはいったいどうやってロシアとの和平を実現するのだろうか?トランプは旧ソ連邦と交渉をした経験を持つ外交官を見つけるべきである。リチャード・バートは戦略兵器制限交渉で重要な役割を担ったことから、彼は理に適った人選ではないだろうか。もう一人の妥当な候補者としてはリーガン政権時代に駐ソ連邦米国大使を務めたジャック・マトロックが挙げられる。

もしもトランプがロシアとの和平を望むならば、国務長官の任命は非常に重要なものとなる。もしもトランプとしては権力層が米国市民を略奪することを何としてでも中断させたいならば、国務長官の任命は非常に重要なものとなろう。

過去3代の大統領の下では、財務長官は潰すには余りにも巨大な銀行やウールストリートのためのエージェントであった。金融ギャングが財務省を抱き込むことは、今や、伝統と化してしまっている。この伝統が余りにも強固であって、トランプにはそれを壊すことが出来ないのかどうかは時を待つしかない。

権力層はトランプ大統領が就任する前に彼の信用を落とそうとしいる。この動きはリベラル派や進歩派が移民法を執行しようとはしないこと、同性愛者や性転換者の権利を擁護すること、等を表面化させ、逆に彼ら自身の信用を落とすことになろう。しかし、これらの課題は経済的な富が減少するばかりで、過去の15年間はネオコンの覇権を推進する政策を支え、軍部・警備の複合体に利益や権力をもたらしただけの戦争にすっかり飽きてしまっている有権者にとっては重要な争点ではないのである。

The Saker [訳注: 米国の多言語ブログ・サイトのひとつであって、ロシアの情勢について詳しい分析を提供することで人気を博している] の報告によると、プーチンは ロシア国内の第5列部隊の一員である汎大西洋主義者の影響力を低減するために、彼らを排除し始めた。トランプがわれわれの国の第5列部隊、つまり、米国の市民や米国の品位を売り渡したネオコンの連中やネオリベラル派を排除することが出来るかどうかに注目しよう。

[訳注: 「汎大西洋主義」とはロシアではEUや米国との協調を重視しようとする一派を指し、中国や中央アジア諸国との連携を強めようとしているプーチン路線とは異なる。また、「第5列部隊」とは戦争などで敵を支持するグループを指す。第二次世界大戦前のスペイン内戦で使われた言葉が定着したもの。]

もしもトランプが成功しなかったならば、米国の市民に残される唯一の解決策はもっと急進的になることしかない。 

著者のプロフィール: ポール・クレイグ・ロバーツ博士はリーガン政権にて財務省の副長官を務め、経済政策を担当した。また、ウールストリートジャーナル紙の共同編集者の任にも就いた。ビジネスウィーク、スクリップス・ハワード・ニュースサービス、クリエーターズ・シンジケート、等でコラム記事を執筆した。多くの大学から招聘を受けた。彼のインターネットでのコラムは世界中のファンの関心を呼んでいる。近著: The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West, How America Was Lost、および、The Neoconservative Threat to World Order.

<引用終了>


これで、仮訳が終了した。

今回の米国の大統領選は革命的であるという指摘もある。それは、この選挙を通じて、有権者は権力層が推進していたヒラリー・クリントンを捨てて、ドナルト・トランプを勝利させたからだ。

ヒラリー・クリントンを支持していた権力層とは米国の有権者の1パーセントのことであり、米国の資本主義を支える大富豪や軍産複合体、大銀行、多国籍企業、それらを取り巻き、情報を操り、一般大衆をひとつの方向に誘導しようとしていた大手メディア、等が含まれる。そして、残りの99パーセントは民主党と共和党に二分された。

クリントン支持派は「自分たちが推進してきたプロパガンダを信じ込んでしまって、クリントンの勝利を確実なものにしようなんて夢にも思わなかった・・・」という指摘は痛快だ。彼らは熱狂した挙げ句に、自己暗示に陥り、冷静な判断が出来なくなったのだ。競争相手であるトランプの選挙演説会場は大入り満員であるにもかかわらず、自分たちの会場では有権者を十分に動員できなかった。挙げ句の果てには、報道に使われる写真を加工して、あたかも数多くの有権者が駆け付けたかのように見せるべく改ざんさえも行った。そうした目に見える現実がありながらも、自己陶酔のあまりに彼らは盲目になっていたのだ。

フェーク・ニュースは昔から存在していた。しかし、今回の大統領選では大手メディアによるフェーク・ニュースの横暴振りはその極に達した。それだけに、118日の開票結果はクリントンを支持していた権力層には大きなショックを与えた。米国の大手メディアは自らの手で自分たちのために大きな墓穴を掘ったことに今気付いている筈だ。

それとも、一部の者にとってはこの大統領選の展開のすべては最初からシナリオ通りであったのであろうか。私には分からない。

要は、一国の将来を決めるのは一般大衆だとする古くて新しい方程式が、今、その勢いを増しているかのようだ。資本主義国ではどこの国でも富裕層とそれ以外の大多数の持たざる者たちとの間では富の配分が過剰なまでに偏ってしまっている。今までの民主主義は権力者たちの意向に沿って展開されて来た。そこには、大多数の一般民衆に対する情報操作や洗脳さえもが巧妙な形で動員された。今、一般大衆はその現実に明確に気付いたのだ。

今回の米国での大統領選の結果はこれまで見られていた現実に対する反発であり、民主主義の本質を探ろうとする動きであるのかも知れない。そういう意味で、すべては我々次第なのである。

有権者は今までの政治の在り方にうんざりしている。米国ではトランプの勝利となった。英国では欧州同盟からの脱退となった。そして、今度はイタリアでも政府が提案した憲法改革案が拒否された。権力層にとっては脅威の時代がやって来たとも言えよう。要は、有権者が日頃感じている政治に対する不満感を建設的な政治への参画に結集させることができるかどうかだ。政治家は本気で有権者の声なき声を聞かなければならない。

この構図は日本にも当てはまりそうだ。

最後にこの著者は「もしもトランプ政権が有権者の期待に応えなかったとしたら、有権者はもっと急進的にならなければならない」と述べている。それは、質的には一般大衆が政治に目覚めることであり、量的には一人でも多くの庶民が覚醒しなければならないという意味であろうか。それがなくしては、米国における極端に偏った富の配分が是正されることはない。ネオリベラリズム、あるいは、ネオキャピタリズムによって米国の社会から消えてしまいそうだとも言われている中産階級が復帰してくることはないだろう。

米国においてさえも、本当の民主主義はこれからなのである。今後の4年間、有権者から付託を受けたトランプ大統領が有権者のエージェントとして働いてくれるのかどうかに注目して行きたいと思う。



参照:

注1: It Is Up To Us: By Paul Craig Roberts, Information Clearing House, Nov/24/2016