2024年2月22日木曜日

本当であることが判明した二大陰謀論

 

新型コロナ騒動が始まった頃は、当局側の筋書きに沿って学会、医師会、等の団体、大手メデイアは新型コロナ感染症がもたらす脅威を喧伝し、一般庶民に恐怖心を抱かせるような情報操作作戦をとっていた。今思うに、あれはすべてが一人でも多くの人がワクチン接種を受けるようにするために設計されていた茶番劇であったと言える。

当時、一部の専門家を除けば、誰もが恐怖に駆られて、ワクチン接種の有効性を疑うといった批判的な余裕などは持ち合わせてはいなかったが、ワクチン接種を開始してみると、ショック死があちらこちらで多発。たとえば、血気盛んなスポーツ選手が競技場でバタバタと倒れた。当局側はワクチン接種に疑問を呈する意見や反論を検閲し始めた。最初のワクチン接種は医療関係者が対象となった。しかしながら、米国では、医療関係者の間では一部の人たちから強い反論が現れた。私は「オヤッ」と思った。彼らはどうして反論するのかという素朴な疑問だった。彼らはわれわれ一般庶民が持ってはいない情報をすでに持っていたに違いない。そして、いわゆる体制側は反ワクチンの意見を述べる者には陰謀論者というレッテルを貼り始めた。都市閉鎖の策として新たに課されたルールに従わない者には罰金を課す国も現れた。国によってルールの詳細は異なるが、一部の国は他の国に比べて極めて厳しいルールを課した。

あの大混乱から3年が経った。今、振り返ってみると、当時の社会の空気は極めて摩訶不思議な様相を呈していた。それは、それだけ強烈な洗脳作戦が実施されたということを示していた。社会が完全に正常な状態に復帰したとはまだ言えないであろうが、当時は陰謀論者としてレッテルを貼られるような議論も、今や、ようやく公に発言することができるようになったようだ。皮肉なことには、3年前に反ワクチン論者を陰謀論者だと言っていた連中こそが実は本物の陰謀論者であることが判明し始めたのである。このことが判明しただけでも喜ばしいことだと思う。

ここに、「本当であることが判明した二大陰謀論」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

副題:ジョン・フレデリックスが「米国の真の声」で質問

メディアに友達がいるのはいつの世でも好ましいことだ。ジョン・フレデリックスはウェブサイト「米国の真の声」において「ベルトウェイの外で」の司会を務めており、パンデミック対策における大失敗に関して政府には批判的であって、当初から私の陣営にいた。彼は、メディアで私が立ち往生させられた陰謀論のうちで時間の経過とともに真実であることが判明した上位ふたつについて私に質問して来た。彼は世界中の人々に最も大きな影響を与え、最も影響力のあったふたつのことを望んでいるのだと私は解釈した。私が選ぶトップふたつはこうだ:

陰謀論No.1:新型コロナウィルスの起源は武漢ウイルス研究所にあり、米国と中国との協力の下で研究が行われ、4人の主要な共謀者たちがもたらしたものである:ノース・カロライナ大学チャペル・ヒル校のラルフ・バリック博士、エコヘルス・アライアンス社長のピーター・ダスザク博士、国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ博士、ならびに、中国の武漢ウィルス研究所のシ・ゼングリ(石正麗)博士。

Photo-1

現在、複数の米国政府機関がこのウイルスは自然発生したものではなく、研究所から漏洩したものであることを認めており、当時、我が国の諸々の機関が真実を隠蔽するために共謀していたことを示す証拠は増える一方である。

Photo-2

***

これで全文の仮訳が終了した。短い記事であるが、内容は画期的なものだ。

私が知る限りでは、この引用記事の著者であるピーター・マッカロー医師は当初から新型コロナ感染症については専門的な知識に基づいて十分な疑念を抱いていた。その旨を議会で証言して来た。それは彼のニューズレターを読んでいると容易に分かる。その著者が陰謀論のNo.1として新型コロナパンデミックを取り挙げたのは医師としては当然であろう。この記事の全文は彼のニューズレターの有料購読者に限って公開されており、私には彼が取り挙げた二番目の陰謀論とは何なのかはまったく分からない。察して見るに、この議論の対象を過去の2030年間とするならば、9/11同時多発テロかも知れないし、対象の期間を最近の数年間に絞るのであれば、2020年の米大統領選挙における不正選挙ではないだろうかと私は思う。

◆ ◆ ◆

もうひとつの記事を覗いてみよう。

2020年の始め、致死性の高い感染症が中国から全世界に広がっていることを知った時、誰もが恐怖に襲われた。そして、言論の自由が抑圧され、科学は政治によってハイジャックされた。新型コロナウィルスの起源があれこれと追求され、新たなmRNAワクチンがワープ・スピードをもって開発された。FDAの仮承認を得たワクチンの安全性に関して疑義を挟む学者たちは個人攻撃に曝され、人格をキャンセルされ、医学研究上の議論を行うプラットフォームからは追放された。こうして、言論の自由は大手製薬企業の利益の追求を容易にするために完全に抑圧されたのである。

このような状況に関連して、タッカー・カールソンはインターネット上での言論の自由を擁護する動きで旗艦的な存在であるマイク・ベンツとのインタビューを行った。

ここに「国家安全保障を標榜する国家による支配」と題された記事がある(注2)。この記事も仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

タッカー・カールソンは元国務省職員のマイク・ベンツにインタビューを行ったばかりであるが、国家安全保障国家はそもそも外敵から米国本土を守るために考案されたものであるが、それは米国民を支配することにますます注意を向けていると指摘。主な手段は検閲である。

この状況は建国の父たちが米国のために考えたこととは真逆である。ジェームズ・マディソンは182284日の手紙で次のように書いている:

大衆に関する情報やそれを得る手段を持たない大衆政府は茶番劇、あるいは、悲劇の序章に過ぎない。あるいは、その両方かも知れない。知識は永遠に無知を支配する:そして、彼らの統治者であろうとする人物は知識が与える力によって自分自身を武装しなければならない。

マイク・ベンツは、国家安全保障国家を注意深く研究するのに何年も費やしてきたようだ。米国で起こっていることに関する彼のプレゼンテーションは非常に博識で、組織化されており、それは複数の信頼できる情報源によって裏付けられている。私がこのサブスタックで指摘しようと努めてきたように、新型コロナ感染症の大流行に対する対応策は選挙で選ばれたわけでもないディープステートの連中によって指揮されている数多くの公共政策プログラムのひとつに過ぎない。

ベンツはパンデミックに対する対応策と2020年の大統領選挙における郵便投票の重要な役割との相互関係を強調している。また、新型コロナ感染症と新型コロナワクチンに関する情報を制御したのと同じ検閲装置が2020年の大統領選挙で投票結果がどのように処理されたのかについて批判的であった者たちを先制的に抑圧したのであると指摘している。

彼の結論はこうだ。わが国の国家安全保障国家は国民の意思の正当性を認めてはいないという。選挙で選ばれたわけでもない役人たちがわが国を動かし、大衆政府には敬意を払ってはいない。大衆政府の生命線である筈の大衆に関する情報を尊重してはいないのである。

このインタビュー全体を視聴することを私は強くお勧めする。

Photo-3:写真の上部に挿入されたキャプションの仮訳:この安全保障国家こそが米国における検閲や不正選挙を推進する元凶である。「私が今記述しているのは軍の支配のことだ」とマイク・ベンツは言う。「それは民主主義の真逆だ。」

あなたは、今、ピーター・マッカロー博士とジョン・リークが主催するCourageous Discourse™を無料購読しているが、その恩恵を全面的に享受するにはアップグレードをお勧めしたい。 

***

これで二番目の記事の仮訳が終了した。

米国の民主主義はどこへ行こうとしているのか。

20191129日、私は「米国は民主主義を失うことはない。民主主義はとうの昔に失われてしまったからだ ― プリンストン大学の研究」と題して投稿した。この5年前の投稿に念を置いて、本日の投稿の中にある要素をあれこれと考察していただきたいと思う。今、識者たちは米国が軍産複合体、あるいは、グローバリズムによって支配されていることを危険視しているのである。

新型コロナ感染症が世界を席巻し、その対応策は混乱の極を呈して、全世界を翻弄した。新規に開発されたmRNAワクチンの安全性に関する当局の姿勢はいい加減で、人命を尊重し、感染症による被害を最低限にしようとして本気で対応していたのか、今になって見ると、極めて心もとない感じがするのである。まさに暗黒の時代に突入したかのような観がする。また、2020年の米大統領選において観察された選挙不正は、幸か不幸か、民主主義を説いてまわる米国とはまったく相容れないものであって、衆人の目に醜い実態を曝すことになった。そして、今年の秋に行われる米大統領選は4年前のそれ以上の醜態を見せることになるのかも知れない。こういったふたつの出来事は同根であるとタッカー・カールソンは看破している。

参照:

1Top Two Conspiracy Theories that Turned Out to be True: By Peter A. McCullough, MD, MPH, Feb/19/2024

注2:Rule By The National Security State: JOHN LEAKE, Feb/19/2024

 

 



2024年2月19日月曜日

心筋炎は新型コロナ感染症によって引き起こされるとする主張は解剖によって覆された

 

新型コロナ感染症の大流行においては、不幸にして、数多くの人たちが死に追いやられた。すべての事例が解明されているわけではないが、大別すると、これらの死因はコロナウィルスの感染によって肺炎を引き起こして重症化し、死亡した場合とか、新型コロナワクチンによる副作用、たとえば、心臓麻痺や脳卒中によって死亡したケース、等に大別される。ある研究者の報告によると、新型コロナ感染症による超過死亡数は全世界で1700万人に上ると推定されるそうだ。これらの人たちがワクチンのせいで亡くなったのか、それともコロナウィルスに感染した結果死亡したのかを明確に区分することは専門家にお任せするしかない。

ワクチンの副作用で死亡した人達はさらに数多くの症状に区分される。血栓症、心臓麻痺、脳卒中、急性腎臓疾患、乳幼児突然死、ターボ癌、ギラン・バレ症候群、等。あるいは、死を免れたとして、さまざまな症状に見舞われ、毎日の生活に支障を来す。

ここに「心筋炎は新型コロナ感染症によって引き起こされるとする主張は解剖によって覆された」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

副題:保健当局が言っていたことの嘘が暴かれた

新型コロナウィルスの感染は新型コロナワクチンの接種よりも多くの心筋炎を引き起こすと多くの公衆衛生当局者が述べているのを私は聞いたことがある。ワクチンの配布を促進するために、米国心臓病学会はこのプラットフォームを歪んだ理論的根拠として使用し、倒錯した方法で我が国の国民により多くの心筋炎を引き起こした。

新型コロナウィルスの感染が心筋炎や心筋組織に炎症を引き起こした場合、新型コロナの致命的な症例では剖検によってそれが実証される筈だ。ポローニ他は新型コロナの致命的な症例において患者の心臓を具体的に検査し、ウイルスは心臓に感染しないと結論付けた。

Photo-1Poloni TE, Moretti M, Medici V, Turturici E, Belli G, Cavriani E, Visonà SD, Rossi M, Fantini V, Ferrari RR, Carlos AF, Gagliardi S, Tronconi L, Guaita A, Ceroni M. COVID-19 Pathology in the Lung, Kidney, Heart and Brain: The Different Roles of T-Cells, Macrophages, and Microthrombosis. Cells. 2022 Oct 4;11(19):3124. doi: 10.3390/cells11193124. PMID: 36231087; PMCID: PMC9563269.

マッキオ他によると、新型コロナ由来の致命的な肺炎についての別の解剖による研究では内皮炎と呼ばれる心臓に作用する小さな毛細血管の炎症が発見されたが、心筋組織自体には炎症が見られなかった(図6のパネルaに示されている心筋炎は見られなかった)。これにより、新型コロナ感染症は血管や心筋の炎症を伴わないインフルエンザとは区別された。しかし、重要な点としては、マッキオは新型コロナ感染症の症例では心筋炎を見つけることが出来なかったことである。

***

これで全文の仮訳が終了した。

短い記事ではあるが、その内容は極めて重要である。つまり、これらの解剖所見は保健当局が今まで述べていたことを完全に覆すことになるからだ。心筋炎で家族の一員を失った人たちは、上述の医学的知見に基づいて、国の賠償責任を100%追及することができるであろう。

心筋炎で亡くなった若者や働き盛りの人たちの数はいったいどれだけの数に達したのだろうか?かってのFDAは赤ちゃん用の粉ミルクがふたりの赤ちゃんに死をもたらした際には製造工場を閉鎖した。ワクチンの安全基準は百万回の接種で死者がひとり以下とされていたらしいが、mRNAワクチンではどうか?もう、話にならない!保健当局は数値を公表しようとはしない。そうすることは彼ら自身にとっては余りにも危険過ぎるに違いない。

ここで、過去の34年間の歴史を振り返ってみよう。新型コロナ感染症による緊急事態に対処するためとして新たに開発されたmRNAワクチンは20201211日にFDAの仮承認を受けた。その後、製薬企業からの催促や研究者らからの推奨に応じて、2021823日、FDAは正式承認を与えた。しかも、依然として、長期的な安全性の確認も無しに・・・。

情報公開請求によって公開された内部文書が示すところによると、これはFDA当局がワクチン接種の義務化に踏み切り、ワクチンの販売を加速させるために正式承認に踏み切ったのではないかと見られると報告されている。承認プロセスの速さを巡ってはFDA内部でさえも摩擦が生じて、二人が辞職した。これは人目を引く出来事であった。(原典: Did the FDA rush to license Pfizer’s covid vaccine to enable vaccine mandates?: By MARYANNE DEMASI, PHD, Mar/20/2023

不幸なことには、実弾をふんだんに所有する製薬企業によってがんじがらめに捕獲され、企業側の市場開拓路線に貢献しようとしていたFDAにとっては彼らの判断、つまり、新型ワクチンに正式承認を与え、ワクチンの販売を早めてやることは「当然のこと」と言えよう。こういった状況を見て、口喧しい第三者はFDAは製薬企業の市場開拓部門に成り下がったと評したが、言い得て妙である。

これらの一連のエピソードはすべてが製薬企業が濡れ手に粟の状態で最大限の利益を短期間のうちに手にすることに収斂する。そのために官民挙げて邁進していた状況を示している。その過程ではビジネス倫理は振り向きもされず、多数の死者が出てもその事実を直視しようとはしない。製薬企業の振る舞いには人々の健康に貢献する医療行為の一環であるといった伝統的な位置付けを見い出すことは極めて難しい。すべてが利益を最大限にするという方向性を示していた。

最近の34年間に展開された新型コロナワクチンを巡る大騒動は世界が大きく変貌してしまったと実感させられた。グローバリズムがバラ色の将来をもたらすという見方は初期の印象操作であった。有体に言えば、それとは反対に言論の自由は抑圧され、グローバリストらが目指す筋書きに異論を唱え、反論する者は個人攻撃に曝され、社会からキャンセルされた。また、ルールに従わない者は罰金を課された。都市閉鎖によって行動の自由が奪われた。こういった極めて抑圧的な環境がわれわれの目前に出現したのである。

基本的な部分で大きく間違っているように思えてならない。保健当局は嘘をついて一般庶民を騙そうとした。主流メデイアは恐怖を煽った。はたしてわれわれはそんな世界に住み続けたいのだろうか?

WHOは、今、各国とパンデミック条約を締結しようとしている。そして、世界保健規則の改訂をしようとしている。これらの背景には新型コロナ感染症でわれわれが最近の数年間に強いられてきた極めて窮屈な抑圧的な環境をさらに推し進め、各国の主権を剥奪し、世界政府を構築しようとするグローバリスト的な意図が垣間見られる。そのような世界では一般庶民はデジタルデータによって一元化されたコントロール下に置かれるらしい。一般庶民にはプライバシーの自由は与えられない。透明性なんて何もない。こういった動きによって最大の恩恵を受けるのはいったい誰なのか?

参照:

1Autopsy Studies Rules Out Myocarditis from SARS-CoV-2 Infection: By Peter A. McCullough, MD, MPH, Feb/15/2024





2024年2月14日水曜日

ヘリテージ財団の代表がトランプを擁護し、世界経済フォーラムで「あなたたちこそが問題だ」と言って、エリートらを「叱る」

 

国際経済フォーラム(WEF)の年次総会は202411519日にダボスで開催された。今回の総会のためのキャッチフレーズは「信頼の再構築へ」と題されていた。何らかの理由でWEFの信頼が損なわれたようである。

口喧しい第三者らは「このキャッチフレーズは彼らが仕出かした間違いを明白にしない限りは意味がない」と言う。たとえば、新型コロナの大流行においては具体的な対応策で大きな間違いを犯した。その結果、政策に対する批判的な意見を封じ込めただけではなく、接種によって世界中で1700万人もの無駄な死者をもたらした。それにもかかわらず、WEFはその責任の追及や反省については何の議論もせず、何の提言もしないのである。それどころか、今後さらなる検閲を行い、監視の策を強めることが予想されるのである。今回の総会である講演者は人類が直面する「問題」に関しては今まで以上に専制主義的な解決策を講ずるべきであるとさえ発言した。

WEFは概してグロ-バリストたちの集まりであり、新型コロナウィルスの大流行の際には製薬企業の金儲けをおおっぴらに後押ししたように、多国籍企業の利益を援護する立場をとる。

今回のWEF総会における数多くの講演者の中でふたりの人物が抜きんでていた。これらふたりの主張はWEFの出席者に「アッ」と言わせた。その一人はヘリテージ財団の代表を務めるケビン・ロバーツであり、もう一人は最近アルゼンチンの大統領に選出されたばかりのハビアー・ミレイである。それぞれがWEFのエリートたちに向かって彼らをこき下ろした。WEFの年次総会としては極めて異例な事態が起こったのである。

ここに「ヘリテージ財団の代表がトランプを擁護し、世界経済フォーラムであなたたちこそが問題だと言って、エリートらを叱る」と題された記事がある(注1)。

トランプ前大統領は反グローバリズムの立場を取ったが故に、彼の再選は、2020年、デイープステーツ(=グローバリスト)による前代未聞の不正選挙によって阻止されたことは周知の通りである。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

副題:「敬意を表して言うが、あなた方こそが問題なのだ」とケビン・ロバーツはダボスの会議で語った

米国の人々はDHS(国土安全保障省)のマヨルカスが不信任となり、辞任することには心の準備ができている ― ケビン・ロバーツの言

ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長は国土安全保障省(DHS)のアレハンドロ・マヨルカス長官に対する下院での2回目の弾劾公聴会について議論し、政府の閉鎖を回避し、2024年の選挙への期待を述べた。

ヘリテージ財団の会長は木曜日(118日)にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムでホストと対峙し、WEFは民主主義を保護しているという主張に対して異議を唱え、(このWEF総会に集まっている)「いわゆるエリートたちこそが問題の一部である」とあるさえ主張した。

ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長はWEFのパネルディスカッションに招待され、ダボスの総会で発言をした。ロバーツ氏は演説後、記者団に対して、世界の指導者やグローバリストの人物が集まるこの年次総会への招待状を受け取ったことに多少のショックを受けたが、ここに出席している人たちの集団によって傾聴されたり、彼らに考えて貰うこともない「忘れられた人々」に発言の機会を与えることを大切にしたいと語った。

「忘れられた人々とは数多くの民族的背景を持った貧しい人たちや労働者階級に属する米国人だけに限られるわけではない。最近の数年で判明しているように、忘れられた人たちはたくさんいる。小規模のビジネス・オーナーや掻き集めて救い上げられた人たちのことだ」と彼は言う。これらの人たちの多くは本質的に政治的ではないとも付け加えた。

「彼らは皆同じことを信じている。つまり、彼らが信じてきた「アメリカン・ドリーム」は、今や、彼らの手から滑り落ちつつある。」

関連記事:ゼレンスキーはダボスでJPモルガンのダイモンと面会

Photo-1:ヘリテージ財団会長のケビン・ロバーツ (Tom Williams/Getty / Getty Images)

WEFでロバーツ氏は「共和党政権の可能性に期待したいこと」と題されたパネルディスカッションで講演したが、これにはロブ・ポートマン元上院議員(共和党、オハイオ州)、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のジェラルド・ベイカー、バード大学教授のウォルター・ラッセル・ミードらも参加した。彼はダボス会議の大多数の参加者たちに反論する鋭い見解を示し、時には司会者を動揺させているようにも見えた。

司会者である英国の国際問題の専門家であるロビン・ニブレット卿は、ある時点で、トランプ前大統領が大統領に返り咲いた場合には「報復する」との約束についてロバーツに質問し、WEFが主張する自由や民主主義の擁護は大御所によって「カーペットの下へと一掃される」可能性があると口を挟んだ。

「あなたや誰かがダボス会議は『自由や民主主義を擁護する』と主張するのはおかしな話だ」とロバーツは述べた。

「同様に、ダボス会議で『独裁』という言葉を使い、それをトランプ大統領に向けて使うこともお笑い草だ。実際、馬鹿げていると思う。」

ダボス会議でロバーツは保守派からの次期大統領はエリートたちの権力を引き継ぐことについて国民の負託を受けるであろうと述べた。

関連記事:スイスのダボスにおける2024年度世界経済フォーラムが開幕

Photo-2

関連記事:中国は敵である。「ありのままに言う」時がやって来た ― ヘリテージ竿弾会長

ヘリテージ財団会長のケビン・ロバーツ博士は「Mornings with Maria」の番組に参加し、米国と中国の関係、ならびに、バイデン政権の5.8兆ドルの予算について話し合った。

「私が皆さんに納得して貰いたい点、つまり、私がここダボスでの会議に座っている理由はここにいる多くの人々に向かって、敬意を込めて、そして、見守っている多くの人々に対して個人的なことは何ら関係なく、あなた方こそが問題の一部であるということを説明するためだ」と彼はニブレットに語った。

WEFの流れを汲むエリートたちは国境警備から気候変動に至るまでの諸々の課題について平均的な人々に対して「現実は『X』だが、実際には『Y』である」と述べているとロバーツ氏は言った。

ニブレットがロバーツに、第2次トランプ政権の一部になると思われる人物について尋ねると、それは次期大統領が決めることだろうと答えた。しかしながら、ロバーツは、続けて、「忘れられた人々」が官僚機構に見たいと思う人物像についてはっきりとした特徴付けをした:

「率直に話すよう私はここに招かれていると思うので、ここでは率直に話そう。次の保守政権に就任する人物はひとつの原則によって支配される。それは政治エリートや選挙で選ばれてはいないテクノクラートが平均的な人々に対して持っている強大な支配を破壊することだ」と彼は言った。

「率直に言って、(次期)政権のすべての閣僚らが解決すべき課題はWEFでこれまでに提案されてきたすべてをリストにまとめ、それらすべてについて全面的に反対することだ」と述べた。

47代大統領のオフィスの官僚機構を改革する気がない高官らはワシントンには居場所がないだろうと彼は言った。

Photo-3

関連記事:Manchin apologetic for slamming 'open press system' at Davos panel

ジョー・マンチン上院議員(民主党)はFOXビジネス」のマリア・バーティロモにダボス会議のパネルディスカッションで「オープンな報道システム」は「問題」だと言ったことを「完全に」謝罪したいと語った。

WEFでの発言に先立って、FOXビジネスのマリア・バーティロモと共演したロバーツは「アメリカ・ファースト」のメッセージは会議では共感を呼ばないように思えたと皮肉って述べた:

「意外なことには、そうではない。それなのに、ここに招待されている数千人のうちで45人はアメリカ・ファーストの政策が米国人だけでなく、非米国人にとっても正しいということを実際に理解している」と彼は「Mornings with Maria」の番組で述べた。

「米国人が自由の頂点にいる限り・・・世界の他の国々の人たちも本当にその恩恵を享受することであろう。」

***

これで全文の仮訳が終了した。

ケビン・ロバーツがWEF総会で述べた言葉は総会出席者たちにとっては極めて挑発的に聞こえたに違いない。彼らが彼の言葉をすんなりと理解することができたのかどうかは私には分からない。多くの人達は否定的であったのではないだろうか。心理学者がよく説明するように、自分の立ち位置が真っ向から否定されると、多くの人々は、通常、まずはその指摘を否定しようとする。

米大統領選がある年には何が起こっても不思議ではないとよく言われる。今回のWES総会でヘリテージ財団会長のケビン・ロバーツとアルゼンチンのハビアー・ミレイ大統領の二人は異彩を放つ主張を公開した。

それでは、ふたりめのアルゼンチン大統領のハビアー・ミレイの演説を覗いてみることにしよう。演説の冒頭で彼は次のように所信を述べた:

本日、私は西側世界が危機に瀕していることをお伝えするためにここにいる。欧米の価値観を守らなければならない筈の人々が容赦なく社会主義に傾き、ひいては、貧困へと導くような世界観に取り込まれているからだ。残念なことには、ここ数十年、西側世界の主要な指導者たちは自由のモデルを放棄し、私たちが集団主義と呼ぶ体制のさまざまなバージョンのために行動してきた。他の人たちを助けたいという善意によって動機づけられた人もいれば、特権階級に属したいという願望に動機づけられた人もいる。集団主義的な実験は世界の市民を苦しめている問題の解決策には決してならないことをお伝えするために私は今ここにいる。むしろ、ここに出席している皆さん方こそが根本的な原因である。私を信じていただきたい!われわれアルゼンチン人ほどこれらふたつの点を証言するのにふさわしい人たちはいない。・・・(出典:Davos 2024: Special address by Javier Milei, President of Argentina: By World Economic Forum, Davos 2024: Special address by Javier Milei, President of Argentina | World Economic Forum (weforum.org), Jan 18, 2024

ケビン・ロバーツとハビアー・ミレイのふたりは今回のWEF総会で歯に衣を着せない、率直な発言をした。実に見事である。これらおふたりの言葉が世界の新たな潮流となって欲しいものである。

グローバリストたちが主導する世界において、新型コロナウィルスの大流行の際には人々の健康を守る筈の国際的な機関がとんでもない間違いを引き起こし、推計で1700万人もの人々を死に至らしめた。

ロシア・ウクライナ戦争では当事国間で和平の合意がイスタンブールでほぼ到達しかけた際、急遽、当時英国の首相であったボリス・ジョンソンがワシントンの命を受けて、乗り込んで来て、その合意をぶっ潰した。この出来事がなかったならば、18カ月前に停戦して、何十万人もの若者が死ぬ必要はなっかったであろうと交渉に当たったウクライナ側の当事者(ウクライナ側の交渉団長を務めたダビッド・アラハミア)が述べている(原典:「米メデイア、特別軍事作戦地域における現状を認める」:芳ちゃんのブログ、Nov/26/2023)。

これらの出来事の背景に見られる共通要素はグローバリストたちの暗躍である。

これらふたつの歴史的な出来事や他の様々な出来事を総合的に俯瞰してみると、ここにご紹介したヘリテージ財団会長のケビン・ロバーツの主張やハビアー・ミレイ大統領の所信表明は常識的に見て極めて妥当であると言える。

2024年は何が起こっても不思議ではないという命題を実証するかのように、最近、タッカー・カールソンがプーチンとのインタビューを行い、その全体を収録した動画を公開した。ロシア・ウクライナ戦争を背後から支援し、指揮してきた米国(あるいは、デイープステーツ)の暗躍ぶりが詳細にわたって暴露されたのである。もっと、正確に言えば、プーチンは何ら新しいことを暴露したわけではないのだが、この2時間のインタビューにおいてロシアの歴史的背景やロシア文化、ロシア人の魂を説明することによって、プーチンはロシアとウクライナの全体像を総合的に浮き彫りにした。ロシア側は和平交渉の準備が出来ていると何度となく繰り返した。今、戦争を悪化させないためのイニシアチブを取らなければならないのは米国(西側)だと指摘しているのである。こうして、今まで西側のメデイアが公開しようとはしなかった数多くの要素がタッカー・カールソンのインタビューによって諸々のエピソードや文化的背景、歴史的事実、2014年のマイダン革命、等が有機的に散りばめられた一枚の壮大なタペストリーとして米国の一般大衆や世界中の人たちに向けて公開されたのである。まさに、とどめを刺すかのようだ。その結果、言わば、「グローバリズム教」を崇拝する西側の指導者やメデイアはパニック状態に陥ったと報じられている。

本年、さらなる大きな出来事が起こるとすれば、それはいったい何だろうか?自暴自棄に陥った戦争屋がウクライナで核のボタンを押すのか、ガザ地区が地図上から抹殺されてしまうのか、米国がイラン爆撃を開始するのか、米国の大統領選でまた何かが起こるのか、それとも、米国の内戦か?・・・


参照:

1Heritage Foundation head defends Trump, 'scolds' elites at World Economic Forum: 'You’re part of the problem': By Charles Creitz,  FOXBusiness, Jan/18/2024

 

 

 


2024年2月11日日曜日

タッカー・カールソンがプーチンとのインタビューについて印象を語る

 

モスクワを訪れていた米国のジャーナリスト、タッカー・カールソンはプーチン大統領とのインタビューを終え、その全貌が公開された。これには世界中が注目しており、インタビュー動画を公開した「X」を閲覧しに訪れた人たちの数は公開した当日(8日)の夜のうちに6千万に達し、ユーチューブでも3百万に迫ったという。今現在ではどれだけの数になっているのであろうか。まさに社会現象を呈している。

ロシア・ウクライナ戦争では「ロシアの軍事侵攻はけしからん」、「プーチンは悪党だ」と一方的に喧伝し続けてきた西側の主要メデイアに人々は飽き足らなく感じていた。ロシア・ウクライナ戦争がどのように始まり、何が起こり、いったいどのように終わるのかについてロシアを代表するプーチン大統領の見方やロシアの文化、ロシアの歴史に関して多くの人達が新しい理解を切望していることを物語っているようだ。

インタビュー動画を見て私が最初に感じたことはタッカー・カールソンはこのインタビューを心底楽しんでいるようであった。何か高揚した気分をにじませていた。それは当然そうだろうと思う。世界中の人々から注目され、彼にとってはジャーナリスト冥利に尽きるテーマであり、舞台である。

NATOを主導する米国は納税者から徴収した税金からあれだけの多額な支援をウクライナへ提供してきた。ウクライナ紛争は2014年のマイダン革命に顕著となり、米国はウクライナに対する支援を続けた。その背後にあったのは賞味期限がとうに切れている冷戦時代の偏見に基づいて米国がソ連邦とはまったく違うロシアを不必要に敵視し続けてきた精神構造だ。そうすることが軍産複合体の利益に繋がったからであろう。

ここに「タッカー・カールソンがプーチンとのインタビューについて印象を語る」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

Photo-1© Sputnik / Gavriil Grigorov

米国のジャーナリスト、タッカー・カールソンは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とのインタビュー後、ロシアの指導者と議論全体についての印象を共有し、この政治家(プーチン)が「西側の拒絶によって非常に傷ついている」という印象を受け、それについて怒っていると述べた。

「米国はロシアを嫌っているし、米国政府もロシアを嫌っている。察するに、多くのロシア人と同じように彼もまた冷戦の終焉はロシアがヨーロッパに招き入れられるようなもの、あるいは、アジアの半分を占めるヨーロッパの国なので、ヨーロッパへのご招待のようなものになるであろうと予想していたのだと思う。でも、ここにはヨーロッパ的なものはたくさんある。モスクワに来てみれば、それはとてもヨーロッパ的な街であるし、物事を見て、文化的に感じることができる。けれども、西側諸国はロシアを拒絶した」とタッカー・カールソンは述べている。

「西側諸国はロシアと同盟を結ばないと固く決意していた。それは極めて明白であった。NATOの要点はロシアを封じ込めることにあったと私は思う。そして、プーチンはこれに傷つき、これに非常に腹を立てている。私たちふたりがそのことについて話していた時、彼の目は輝いていた」とカールソンは彼のウェブサイトで公開された動画で説明し、「ロシア大統領は怒っている」と付け加え、「それについて憤っている」と付け加えた。

カールソンは、プーチンとのインタビューは「部族から国家へとロシアが形成された9世紀にまで遡る非常に詳細な歴史と、その中でウクライナが果たした役割」から始まり、「実に興味深い」とし、「それが何であるかを理解すると、はるかに興味深くなった。それは彼がこの地域についてどのように考えているかを知る窓である」と述べた。このメディアの人物はロシア大統領から手渡された文書が入った分厚い「古風な」フォルダも見せてくれ、彼はそれを「夜の読書」と称した。

本ジャーナリストはプーチンを「賢い」と言ったが、ロシア大統領は「明らかに、自分自身を説明する必要のない世界で多くの時間を使っている」ので、「自分自身を説明するのがあまり得意ではない」と指摘した。

また、カールソンはロシアは「米国務省を動かしている嘘つきやイデオロギー信奉者らのすべてが提示しているような拡張主義大国ではない」と述べ、ロシアは「既に大きすぎる」し、人口はわずか15000万人が「世界でも最大の大陸国家」で暮らしている国家なので、「そう考えるのは愚か者であるに違いない」と付け加えた。

「ところで、彼ら(ロシア人)がポーランドを乗っ取りたがっているという主張があるが、いったいなぜそんなことをしたいのか?・・・彼らがウィーンやどこかへなだれ込んでくるとでも言うのか?そんなことを考えるのは馬鹿者に違いない。それは真実ではなく、実際、そのような証拠はない」とカールソンは述べ、ロシア人は「安全な国境を望んでいるだけだ」と付け加えた。

このジャーナリストは「ワシントンのプロの嘘つき連中はこの地域について、あるいは、ニューヨークを越えた世界について本当に何も知らない」と主張し、「プーチンが犯した多くの過ちが何であろうとも・・・ロシアは拡張主義的な大国ではない」と述べた。

カールソンにとっては、プーチンが「ウクライナでの和平合意を望んでいることを喜んで認めた」ことは「印象的」でさえあった。この米国人ジャーナリストは「(西側が)クリミア半島に至れば、プーチンは戦争に、つまり、核戦争に突入するであろう」と述べ、「クリミア半島はロシアの不凍港艦隊の本拠地であり、ロシア人が住んでおり、住民投票も行なわれ、住民らはロシアを選んだし、同地域はロシア産ワインが生産されていることから、和平の条件はプーチンがクリミアを放棄することだとする米当局者らは狂人であると述べた。」

このジャーナリストは、さらに、ワシントンは「ロシアの弱い指導部」を望んでいると言い、「それが米国にとってどうして良いのか」と疑問を呈した。「世界最大の核備蓄を持つ国において、弱い中央政府なんて正気の沙汰ではない」と言った。

「核の備蓄を自由にして、最善のことが起こることを願うつもりなのか?あなたがそれを切望するならば、あなたは頭がおかしな変人だ。そして、われわれは頭がおかしい連中によって運営されている。米大統領(ジョー・バイデン)とあの不快きわまるおバカさんのビクトリア・ヌーランド(国務副長官代行兼米政務次官)は「われわれはプーチンを葬り去る積りだ」と言った。だが、その後はいったいどうなるのか?リビアでは、われわれがリビアの指導者カダフィを退陣させ、彼の殺害を許した時、いったい何が起こったのか?(元イラク大統領の)サダム・フセインを裁判にかけた時、イラクではいったい何が起こったのか?これらの国々は崩壊し、二度と再建されることはなかった。アフガニスタンでは中央政府を抹殺したが、彼らは戻ってきて、(国連のテロ制裁下で)タリバンがいまだに運営している」とカールソンは言い、ロシアに対して「それが良い考えだと思うなら、そんなことを考えるあなたは麻薬をやっているに違いない」と付け加えた。

木曜日(28日)の夜に本ジャーナリストが投稿したインタビュー動画はすでにX6000万回以上再生され、18万回以上の再投稿と50万以上の「いいね」を獲得し、YouTubeでは約300万人が視聴している。

***

これで全文の仮訳が終了した。

インタビューの本文についてはユーチューブにいくつもの和訳が投稿されているので、どれかを閲覧いただきたい。冒頭でプーチンはロシアの歴史について長々と喋っているが、タッカー・カールセン自身もイライラしたらしい。だが、結局、このロシアの歴史は全体の重要な部分であることに気が付いたと彼は述懐している。ロシア人以外の人たちにとっては馴染みのないロシア史なので、大なり小なり煙ったく思うであろう。

プーチンの目が輝いた瞬間を見つけ出していただきたいと思う。

◆ ◆ ◆

ここで、ウクライナ・ロシア戦争に関して軍事評論家として活躍しているスコット・リッターのユーチューブ動画を覗いておこうと思う。「スコット・リッター:タッカー・カールセンとプーチンとのインタビューは歴史的な快挙であり、これは西側の自殺行為を引き留める」と題された彼の動画(注2)をご紹介しておきたい。

動画内容の仮訳を下記に示す。

***

さて、世界中で聞かれることになるインタビューは終わった。タッカー・カールソンはロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談し、2時間以上にわたって待望のインタビューを行ったが、おそらくは、誰もが思い描いていたようには進まなかった。まず第一に、認めるべき点は認めておこう。このインタビューはタッカー・カールソン自身、彼のブランド、彼の粘り強さ、そして率直に言って彼のプロフェッショナリズムがなかったならば実現しなかったであろう。彼の評判が彼をクレムリンに招じ入れ、ロシア大統領と一緒に座って、話しをするという立場にさせた。また、ロシア大統領が腰を据えて、この対話に積極的に参加してくれたことも評価すべきである。それがすべてだったのだろうか?いや、そうではない。つまり、タッカー・カールソンはインタビュアーである。彼はロシアの専門家ではない。彼はロシアの歴史家でもない。彼はロシアの複雑な生活に精通しているわけでもない。ウラジーミル・プーチンはロシアの大統領だ。彼はロシアの歴史を熟知している。彼はロシアの魂を知っており、このインタビューを視聴すれば、これはロシアの大統領が米国の聴衆に向かってロシアの歴史のニュアンスをロシアの魂の複雑さに至るまで紹介する、まさに力作であることが分かるであろう。基本的には地図なしで旅をしていることになり、タッカー・カールソンは地図を持っていないので、このインタビューの価値はまさにその点にあると思う。しかし、タッカー・カールソンは勇気を持って旅に出た。ロシアの大統領と会話を持ったが、それは対話というよりは、むしろ、独白のようなものだったかも知れない。ロシアの大統領は、タッカー・カールソンにだけではなく、すべての米国人視聴者に向かって、ロシアを動かしているものの複雑さを案内することができる地図を作成する上で大きな支援をした。今日、ロシアと西側諸国が直面している問題を理解したいならばの話である。はっきりさせておきたいのは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が画期的な情報は何も提供してはいないことだ。彼が喋ったことのほとんどすべてはすでに何らかの形で以前に言われていたことだ。しかし、彼がしてくれたことは米国の聴衆が親しみやすい文脈でこれらの情報を提供したことであり、これこそがこのインタビューの価値である。これは必ずしもこのインタビューの内容についてではないが、いくつかの興味深い情報が出てきた。これはタッカー・カールソンが現代ロシアへの扉を開き、ウラジーミル・プーチンの人となりへの扉を開き、ロシアの歴史への扉を開き、ロシアの魂への扉を開いたプロセスなのである。ウラジーミル・プーチンが質問に対して答えを提供してくれたことから、あるいは、時にはウラジーミル・プーチンが独白を行ったことから、これらは 時間と労力を費やしてロシアについて学び、学ぶことを厭わない米国市民にとって必要な構成要素となる。ロシアがどのようにしてこの状況に陥ったのかについて知ることは、ロシアが西側諸国とどのように相互作用をするかということだ。ロシアが構成要素について考えることはそこにあって、それを望む人たちはわれわれが前進し始めるための強固な基盤を築くことができるであろう。そして、これこそがこのインタビューを非常に価値のあるものにしているのである。それはいったい何を解決してくれるのか? 何も解決はしない。だが、それはプロセスの始まりとなる。ご存知のように、タッカー・カールソンの天才振りは彼のインタビュー能力にあるわけではない。それは彼がインタビューの後にいったい何をしようとしているのかにある。彼は、今や、米国の聴衆にこのインタビューについて振り返ることができるプロセスを作り上げた。これこそが彼の天才振りであり、米国人と接する彼の能力であって、彼は、今、弾薬を入手し、ロシアの大統領の言葉が、ご存じの通り、爽快な環境の中で、歴史的な設定の下で彼に語りかけてくれたのである。何百万人もの人たちがこのインタビューを見るのか、はたして最終的には何百万人になるのかは分からない。われわれに分かっているのは、このインタビューが欧米とロシアが戦争に突入するのを阻止し、欧米が自殺するのを引き留める威力を持っていることだ。これは現代における最も重要なインタビューのひとつだと言える。現在、西側でロシアが直面しているあらゆる問題に対する答えは全てがロシアの大統領によって提示された。隠された計略はない。知っておかなければならない秘密のコードもない。ロシアを知ればいいだけだ。何がロシアを動かしているのかを理解しなければならない。ロシアの大統領の決断の背後にある考え方やロシアの背後にある動機を理解することが必要だ。ロシアを理解しなければならない。タッカー・カールソンがこのインタビューに臨むに当たってロシアを理解していたとは思えないし、彼がこのインタビューから出て来た時ロシアをどれだけ理解したのかも分からない。しかし、私はタッカー・カールソンがジャーナリストとしてとんでもない人物であることは知っている。そして、タッカー・カールソンは工具が十分に揃った道具箱を与えられたので、これから外に出て、仕事を終わらせなければならないことを知っている。今日のところは単に始まったに過ぎない。やるべきことはたくさんある。しかし、最も困難な旅でさえも最初の一歩から始まるのである。タッカー・カールソンが今日のウラジーミル・プーチン大統領とのインタビューを米国の国民、西側、世界に向けて行ったことは人類を救うことができる壮大な旅の最も重要な第一歩であるのだ。

***

私はスコット・リッターの話し方に好印象を抱いた。さすがである。この仮訳からそのことが伝わってくるかどうかは私自身の挑戦振り次第だ!

スコット・リッターは「プーチンはロシアの歴史を熟知している。彼はロシアの魂を知っており、このインタビューを視聴すれば、これはロシア大統領が米国の聴衆に向かってロシアの歴史のニュアンスをロシアの魂の複雑さに至るまで紹介する」と述べた。魂を論じる記事に遭遇したのは実に久しぶりな気がする。ドストエフスキーやソルジェニーツィンの世界観である。

著者はロシア・ウクライナ戦争を解決したいならば、「ロシアを知ればいいだけだ」と述べている。この一言にすべてが集約されている。つまり、米国政府やその方面の専門家たち、ならびに、一般大衆がいかに無知であるか、そして、いかに怠惰であるかを指摘しているような気がする。

そして、そういった傾向は米国だけに限られるものではない。好むと好まざるとにかかわらず、日本についても、ヨーロッパについてもまったく同じことが言えよう。

参照:

1Tucker Carlson Shares His Impressions of Interview With Putin: By Sputnik, Feb/09/2024

注2:Tucker Carlson - Putin Interview is historic, Stops the west from committing suicide: YouTube, https://youtu.be/1unqoANc9cE?si=D_9A-PPqqetoTVXC, Feb/09/2024

 

 



2024年2月8日木曜日

筋書きを喪失 ― タッカー・カールセンに怯えている様子は西側のプロパガンダ戦の崩壊を意味する

 

米国のジャーナリストの第一人者であるタッカー・カールセンが最近モスクワの街角で観察された。それ以来、西側メデイアの興奮振りは上昇するばかりとなった。「彼はいったい何のためにモスクワに現れたのか」という疑問や憶測は今の国際政治の舞台においては格好のテーマである。観測筋の多くはプーチン大統領とのインタビューであろうと言った。タッカー・カールセン自身がモスクワから流した動画情報によると、彼のモスクワ行きの目的はまさにプーチン大統領とのインタビューであった。ロシア政府の報道官を務めるペシュコフによると、インタビュウ―はすでに完了した。そして、タッカー・カールセンはすでにモスクワを離れたと報じられている。

ここに、「筋書きを喪失 ― タッカー・カールセンに怯えている様子は西側のプロパガンダ戦の崩壊を意味する」と題された記事がある(注1)。

本日は大急ぎでこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

Photo-1: © Sputnik / Ilya Pitalev

欧米のプロパガンダ集団は、ウクライナにおける米国の反ロ代理戦争が失敗に終わるにつれ、その効力を失いつつある。

欧米の主流メデイアはもはやかつて見せていた姿を現してはいない。20年ほど前、米政権のプロパガンダを専門とする連中は米国をイラク戦争に引きずり込むために、いとも簡単に嘘をついたものだ。サダム・フセインは「ヒットラー」だとわれわれに言った。彼は世界を征服しようとしている。彼は核兵器を作っている。疑うこともなく、米国人はこれらの話を鵜呑みにした。

しかし、最近の代理戦争ではそうは行かない。米国は激しく分断されている。議会は必要な資金を可決することができない。そして、米国の代理政権は戦場で失敗しつつある。ワシントンとラングレーのプロパガンダの専門家たちは、もはや、任務を果たせなくなってきているようだ。

ジャーナリストのタッカー・カールソンはロシアのプーチン大統領とのインタビューを共有し、欧米の聴衆にフィルターがかかってはいない米国の敵からのメッセージを直接聴く機会を提供するという。これには西側はすっかり動転した。この集団的な動転のさなか、アナリストのスティーブ・ポイコネンは、水曜日(27日)、スプートニクの番組「クリティカル・アワー」に出演し、この悲しい状況について議論した。

「われわれは、このインタビューを皆に聞かせないようにするために、マスコミにおけるジャーナリズムの概念を根本的に破壊する積りだ」とポイコネンは言って、欧米の支配者たちの考え方を代弁した。「われわれが今目撃している状況は数多くの世界中の政府が気に入らないふたりが話し合う内容を国民は聞く権利がないと言っていることだ。」

ウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジ、ならびに、ジャーナリズム全般に対して行われてきた弾圧全体の一環として、国家がジャーナリストや彼らの行動を妨害するために、国家の権威や権力を乱用しているあらゆる事例を適切に見分けなければならないと思う」とポイコネンは付け加えた。

ウェブサイト「ウィキリークス」の創始者であるジュリアン・アサンジは英国のベルマーシュ厳重警備刑務所にほぼ5年間拘禁されている。同ジャーナリストは、ロンドンのエクアドル大使館に7年間避難した後に、エクアドルの大統領であって、CIAの工作員でもあると疑われているレーニン・モレノが亡命契約を取り消したことから、逮捕された。アサンジは、米国が彼に終身刑を宣告するか、死刑にさえもしようとしていると思っている。

また、司会のウィルマー・レオンは、アメリカの同盟国イスラエルもガザ攻撃ではジャーナリストを意図的に殺害しているが、米国自身は歴史上でどこの秘密警察よりも洗練された「大規模な生物テロ監視組織」を運営していると指摘している。

「米国政府/西側諸国は自分たちの筋書きを失い、世論も失いつつあることに気づいている」とレオンは述べた。「世論調査を見ると、米国人はウクライナからわれわれを追い出したいと思っているし、米国人は自分たちのお金がウクライナに流れてほしくはないし、米国人はイスラエルのシオニスト政府の大量虐殺行為に反対している。彼らは筋書きを失い、世論の法廷で敗北している。」

「そして、タッカー・カールソンがやっているのは今や現行の情報戦争にさらなる情報を加えることだけであって、米国はこの戦争を失いつつある。」

Photo-3:関連記事:Tucker Carlson’s Popularity on the Increase in Russia: Here’s Why: By Sputnik, Feb/05/2024

***

これで全文の仮訳が終了した。

この引用記事の表題を改めて眺めていただきたい。すべてを物語っている。

ウクライナで米国の代理戦争を行い、地上の状況を無視したプロパガンダを流し続けてきた西側の主流メデイアはタッカー・カールセンのプーチン大統とのインタビューに戦々恐々としている。今まで彼らが主張して来た嘘がすべて覆されることになるからだ。

タッカー・カールセンのインタビューは明日(9日)公開されるそうだ。さて、どんな内容がわれわれを待っているのであろうか。フィルターなしのインタビュー動画が楽しみである!

参照:

注1:‘Losing the Narrative’: Freakout Over Tucker Carlson Signals Collapse of Western War Propaganda: By John Miles, Sputnik, Feb/08/2024

 

 


2024年2月6日火曜日

イリューシン76型機を撃墜するために使われたパトリオット・ミサイルについて「ノー」と言う連中をロシアはいかにして丸腰にすることができるか

 

124日、ウクライナ東部に隣接するロシア領内のベルゴロド市郊外でロシアの軍用輸送機がミサイルで撃墜された。

キエフでは、ベルゴロド地域でイリューシン76型機が墜落した後に配布されたリストに関して、政府関係者らは同機に搭乗していたウクライナ軍兵士たちのリストの信憑性を確認した。127日、捕虜処遇調整本部はリストに載っている兵士たちについては実際に本国での捕虜の受け入れに向けて準備をしていたと述べた。ソーシャルネットワークのページ上での同本部のメッセージによると、リストに載っている軍人は捕虜交換の一環としてウクライナに帰還することになっていたが、同時に、ウクライナ側は墜落した飛行機に誰が乗っているのかについては信頼できる情報を持ってはいないと言われている。また、同本部はリストに載っている軍人の親族たちがロシアから提供された事件に関する動画を知ってはいたが、「彼らの親族を示す特別な兆候は何も見つからなかった」と述べた。同機には65人のウクライナ兵の捕虜と3人の随行者、6人の乗組員が搭乗していたが、合計74人全員が死亡した。(出典:Kyiv recognized the authenticity of the list of captured soldiers of the Armed Forces of Ukraine on board the downed Il-76: By IA Regnum, Jan/27/2024

ところで、西側のメデイアがロシアについての悪口の大合唱を始めたら、半年程待ってからその後に判明した事柄を反芻してみると、そういった大合唱はでっち上げであったことが判明する。そういった展開は決して少なくはない。西側のメデイアが採用する印象操作に有効なもうひとつの手口は完全な沈黙だ。外部からいかに批判されようとも、政府やその背後にいるディープステーツに忖度して、彼らは無視し続ける。

ここに「イリューシン76型機を撃墜するために使われたパトリオット・ミサイルについて「ノー」と言う連中をロシアはいかにして丸腰にすることができるか」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

Photo-1: © JACK GUEZ

プーチン大統領は、水曜日(131日)、ウクライナが124日に米国製のパトリオット・ミサイル・システムを使用して、9人のロシア人乗組員と軍人、ならびに、65人のウクライナ人捕虜を乗せたイリューシン76輸送機を撃墜したと発表した。ペンタゴンの元分析官はスプートニクにモスクワが耳を傾けるために取らなければならない次のステップについて語った。

ロシアが西側諸国の政府やメディアが仕掛けた事件をめぐる情報封鎖を突破するためには、ロシアはイリューシン76型機撃墜に関する主張を国連に提起しなければならないだろうと、米国防総省の元上級安全保障政策アナリストであったマイケル・マルーフは考えている。

「西側マスコミは、この事件にほとんど触れてはいない」とマルーフはスプートニクに語った。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアの捜査官がイリューシン76型機はパトリオット・ミサイル・システムを使って撃墜されたと結論付けたことを明らかにし、その日の早い時間に発言したことについてコメントした。「さて、それがパトリオット・ミサイルだったという暴露報道は、少なくとも、ここワシントンでは全く報道されてはいない。これは非常に異常なことであり、彼らはそれを葬り去りたいと思っていることだろうと私は思う」とこの観察者は述べた。

「ロシアが今成すべきことは、この事件で使用されたパトリオット・ミサイル・システムの証拠を示し、その証拠を目立つ場所で国民に提示し、国連安全保障理事会の否定論者の前に展示する証拠を国連に提出することだ」とマルーフは強調した。

撃墜から1週間が経過したが、マルーフはこの事件はウクライナ側の「どこか」の段階での「誤解」、または、「素人的で、狂気の沙汰である」とし、ロシアを非難しようとする意図的な犯罪行為であると見る。

「米国は全く知らなかったと思う」と、この危機におけるペンタゴンの役割の可能性について尋ねられたとき、マルーフは言った。

「彼らは戦争の遂行をウクライナ人に任せている。そして、彼らは明らかに武器を誤用している。彼らは実際に機器を吸い上げている。先日、ラブロフ外相が指摘したように、この装備はスカンジナビア諸国のあらゆる場所で使われている。そして、今、装備の一部がメキシコの麻薬カルテルに密輸され、我が国の国境警備隊に対して使用されているという証拠が存在する。私は、これらすべてを阻止すべきだと思う。だが、バイデン政権はさらに数十億ドルもの支援をウクライナに送りたいと思っているが、我が国の国境のためには何もしてはいない」と同観察者は強調し、この紛争を「失われた大義」と特徴づけた。

マルーフは、おそらく、レーダーの痕跡を使って、Il-76を撃墜したのはいったい誰なのかをペンタゴンは「特定することができた」と思っている。「レーダー情報を入手し、そのデータを読み取ることができればの話だが、明らかに撃墜が行われた。そして、それがウクライナ人による意図的なものであったのかどうかは私には分からないが、ペンタゴンはこの事件に対応しなければならないと思う。質問は記者会見で成されるべきだ。毎日行われている記者会見でペンタゴンはいったい何を知っていたのか、いつ知ったのか、何を知っていたのか、等について確実に問われなければならない。

さもなければ、西側のメディアと政府は、2022年以前にまで遡るウクライナ危機の起源についての詳細を隠し持っているのとまったく同じように、彼らの代理人(つまり、ウクライナ)の「恥ずかしい」犯罪行為を隠蔽しようとし続けるであろうと彼は警告した。

8年間、欧米のマスコミはドネツクで何が起きていたのか、キエフがウクライナ東部のロシア語を話す人々に対して毎日砲撃していたことについてはほとんど何も報じなかった。言及はまったくなかった。そして、人々は「これは一体どういうことだ?」と疑問に思う。もちろん、彼らは何も告げられていないので不思議に思うであろう。そして、引き出された情報が多くなればなるほど、それは光を当て、暴露し、浄化する、等の透明性を確保することとなり、この仕事は成し遂げなければならない。特に、各国がそれをめぐって戦争をする積りならば、なおさらのことだ」とマルーフは総括した。

Photo-3:関連記事:'War is Scary': Donbass Children Send Their Message to American Children: 26 December 2023, 12:04 GMT

***

これで全文の仮訳は終了した。

ここに引用した記事は131日のものであるが、その後も重要な情報が報じられている。たとえば、

レオンコフは「ウクライナ軍は、イリューシン76型機を撃墜するためにリンク16を介してパトリオット・ミサイル用のデータを受け取った」と述べた。

ウクライナの捕虜を輸送していたロシアのイリューシン76軍用輸送機を破壊するために、ウクライナ軍は西側の「リンク16」システムを介してパトリオット防空ミサイル・システム(SAM)のデータを受け取った、と軍事アナリストで防空システムの専門家であるアレクセイ・レオンコフは「RIAノーボスチ」に語った。リンク16は米国およびNATO諸国の軍隊で使用されている軍事データ交換システムである。こうして、ロシアのイリューシン76型機に2発のミサイルを発射したパトリオット防空システムはそれ自身のレーダー探知局を使わずに機能した。標的に関する情報はリンク16データ伝送システムを介して、複合施設のコントロールポイントで受信された。したがって、この対空システム自体は探索信号を発しなかったことから、打ち上げ前に検出されることはなかった」と専門家は述べている。彼は、「ロシアの航空機は受動的な電子偵察システムによってリアルタイムで追跡され、そこからリンク16がデータを受信していた可能性が高い」と指摘した。レオンコフによれば、「このことから、捕虜を乗せた飛行機を破壊する作戦は西側が計画したということになる。」(出典:The analyst told how the Armed Forces of Ukraine received data to defeat the Il-76: By RIA Novosti, Feb/04/2024

今後、ロシアの主張がどこまで通用するのかはまったく予断を許さない。何を言われても、西側は沈黙を守るであろう。ロシア側が真実に迫れば迫るほど、西側は防御を固めるであろうから、ノルドストリーム・パイピラインの破壊工作の時のように、暖簾に腕押しのような状況が起こるであろう。

ウクライナにおける米ロ代理戦争はもう決着がついたかのようにも見えていたが、捕虜交換のためのウクライナ兵を輸送していたイリューシン76型機を撃墜し、搭乗していた74人全員が死亡したという惨たらしい出来事によって、米ロ間の攻防は新たな局面に入って来た感じがする。ますます目を離せなくなってきた。

ところで、20147月に起こったマレーシア航空MH-17便の撃墜事件についてはウクライナ側が国際司法裁判所に提訴していたが、最近、国際司法裁判所はウクライナの申し立てを却下した。つまり、下記のような裁定を下した:

国際司法裁判所は、ロシアは侵略国ではなく、テロ支援国ではなく、DPRLPRはテロ組織ではなく、モスクワ政府は20147月のMH-17便墜落事故には責任がないと裁定した。この裁判はウクライナの訴えによって2017年に始まった。

ロシア外務省は、「ウクライナの当てこすりの根拠の無さに関するロシア側の主張がハーグで聴取された。7年間にわたる裁判所での抗争の中でキエフ側が行った20個以上の主張のうち、裁判所はそのほとんどすべてを却下し、いかなる補償もなくウクライナは裁判所を去った」と述べている。特に、キエフ当局は、彼ら自身が何年もの間、ドンバスの平和な都市を砲撃していたにもかかわらず、DPRLPRの軍隊によるウクライナ軍施設への攻撃をテロ攻撃であると主張した。そして、キエフ当局はドネツクとルガンスクへの人道支援はテロ資金供与であるとさえ宣言した。(出典:"They didnt expect this." Russia has deployed the UN against the United States: By Mikhail Katkov, RIA Novosti, Feb/03/2024

10年前にウクライナ上空で乗員と乗客合わせれ298人の尊い命を奪ったマレーシア航空MH-17便撃墜事件については、オランダ政府が主導した国際事故調査団の結論はロシアが撃墜の犯人であるとして結論付けていたが、あれは、誰が見ても、明らかに歪曲された結論であった。今回、国際司法裁判所はSNSにおいて真実を示すものとして出回っている数多くの情報に寄り添う裁定となっている。ロシアを犯人とするウクライナ側の申し立ては却下された。このことは称賛に価すると言えるのではないか。

今回のイリューシン76型 機の撃墜事件には、今回の国際司法裁判所の裁定を受けて、今や、ウクライナが行ったと言えるようになったMH-17便撃墜事件を髣髴とさせるものがある。これらふたつの事件で共通しているもっとも主要な点はいずれも軍事的標的以外に対する攻撃であって、数多くの命を奪ったという悲惨な事実にある。これは国際法で定義されているテロ行為そのものだ。

 

参照:

1How Russia Can Disarm ‘Naysayers’ on Patriot Missiles Used to Shoot Down Doomed Il-76: By Ilya Tsukanov, Sputnik, Jan/31/2024

 




2024年2月3日土曜日

内戦の亡霊 ― 「バイデンの国境政策は強大な爆発を引き起こすかも」とペンタゴンの元分析専門家は言う

 

米国は、今、深刻な内政問題に直面している。国内がふたつに分断され、これらふたつの政治勢力はいつ内戦に突入してもおかしくはない状態にあるという。米国民は銃の保持を伝統的な国民の権利であると考え、そう考える人たちが圧倒的に多い。国内には総人口(333百万人)よりも多くの拳銃が保持されており、学校での乱射事件などに使われる自動小銃の総数は何千万丁にもなると言う。つまり、内戦の下地は十分に形成されているということだ。

ここに「内戦の亡霊 ― バイデンの国境政策は強大な爆発を引き起こすかもとペンタゴンの元分析専門家は言う」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

テキサス州の国境政策をめぐる連邦政府との対立は南北戦争の亡霊を呼び起こしたと、米国防長官室の元上級安全保障政策アナリスト、マイケル・マルーフがスプートニク通信社に語った。

ジョー・バイデン大統領が就任してから、移民危機は米国を悩ませる一方であり、前任者のドナルド・トランプ大統領が実施した国境制限は撤回された。

しかし、一部の共和党系の州はバイデン大統領の国境開放政策に反発している。中でもテキサス州は20213月に「ローンスター作戦」を開始し、テキサス州公安局と州兵とを結集させた。

最近、テキサス州兵が米国とメキシコの国境の一部を「押え」、連邦国境警備隊員が立ち入るのを阻止し、法的な紛争を引き起こした。米最高裁判所は不法移民の州内への入国を阻止するためにテキサス州当局が設置した鉄条網を連邦捜査官が切断することができると裁定した。それにもかかわらず、全米で25人の共和党系知事らは移民の「侵略」をめぐって連邦政府との国境管理の闘いでテキサス州を支持する旨の書簡に署名した。

「この移民問題は全体が完全に混乱してしまった」と米国防長官室の元上級安全保障政策アナリストのマイケル・マルーフはスプートニクに語っている。「はたしてどうなるのかを観察しよう。しかし、テキサス州のグレッグ・アボット知事と他の25州の知事たちはバイデン政権がやっていることには断固として反対しているようだ。そして、それは砂上の楼閣を示唆していることも付け加えておこう。関係する州を見ると、ほとんどが米国の真ん中にあり、東に向かって近づいている。今日、この国では、青い(民主党系)州と赤い(共和党系)州とがはっきりと分断されており、両勢力の間には政治的な線が引かれている。そして、これはすべてが2024年の大統領選に向かって展開されている。もしも今の調子のままで進行すれば、そして、バイデンが再選されれば、この国では大きな爆発が起きる可能性がある」と述べた。

これは昔の南北戦争のようだ:

マルーフによると、状況は、今や、テキサス州と共和党の25州と連邦政府との間の潜在的な衝突にまで煮詰まっている。

一方、民主党は引き下がる気はないようで、バイデン大統領にはテキサス州兵を「連邦化」し、同州のローンスター作戦をひっくり返すよう求めている。

「衝突することになるだろう」と元ペンタゴン分析官は警告している。「衝突に疑問の余地はないだろう。州兵をテキサス州に送り込んでいる州がいくつかあり、モンタナ州はすでにそうしたし、アリゾナ州もそうした。連邦政府は、それらの州兵をすべて連邦化しなければならないだろう。そのための資金はあるのか?予備役にお金を払わなければならないのは連邦政府の現役への呼び戻しとなるからだ。今のところ、そういった資金は予算には入っていない。」

スプートニクの対談者によると、テキサス州には連邦政府の支援がなくても自衛する力があることも念頭に置かなければならない。

「テキサス州知事の支配下にはテキサス州警察もあり、連邦政府の呼び戻しの対象とならない他の種類の地方警察部隊も全国に散らばっている。まだ言及されてはいないが、これらの州の多くには民兵が存在する。これらの民兵は、おそらく、テキサス州に役務を提供し、テキサス州の代理を務める可能性のある、静かな組織である。民兵らは連邦政府による呼び戻しの対象にはならない。しかし、問題は訓練、規律の問題である。もしも現状が非常に深刻な対立に至った場合は、おそらく対処しなければならない追加的な要因となるであろう。」

国境の鉄条網に関する米最高裁の最近の判決にもかかわらず、連邦政府機関である国境警備隊はこれまでのところ鉄条網の取り壊しには動いていないという事実にマルーフは注目している。問題の核心は国境警備隊は「州当局者との対立を望んではいないという点にある。彼らの多くは、おそらく、半分は隣同士に住んでおり、もう半分は緊密に協力し合っている」と専門家は説明した。

「昔の内戦のようだ。19世紀にさかのぼると、兄弟同士さえもが敵対した。基本的にはそういう感じであった。そして、われわれは再びそのような事態が起こることは何としても避けたい。可能性はあり、うまくいけば冷静な頭脳を使って、何とかなるだろう」と専門家は述べ、この状況が裁判制度の中で解決されることを望んでいると付け加えた。

トランプは米国の各州はテキサスを支援するよう呼びかけ:

2024年の大統領選では共和党の最有力候補であるドナルド・トランプ前大統領は自身の「トゥルース・ソーシャル」のアカウントで「不法滞在者の入国を阻止し、国境を越えて排除するために、テキサス州に警備員を配備する意思のあるすべての州」に呼びかけた。

もし再選されれば、彼はアボット州知事や他の国境地帯の州と「手を携えて侵略を阻止し、国境を封鎖し、史上最大の国内強制送還作戦を早急に開始する」と約束した。

「バイデンが受け入れた人々は帰国することになるので、入国できたからと言って、安心するべきではない」とトランプは警告した。

無所属の大統領候補ロバート・F・ケネディ・ジュニアもテキサス州を支持し、「国境のない国は国ではない」とツイートした。RFKはローンスター(テキサス州)が国境を守るのは「正しい」と強調した。

一方、バージニア州知事のグレン・ヤングキンはアボット州知事の国境措置を支持する書簡に署名した25人のうちの1人であって、バイデン・チームが「国境を守る」ことを拒否したと非難し、テキサス州の「憲法上の自衛権」を称賛した。

Photo-5:関連記事:DC Think Tank: House Could Kill Ukraine Aid Bill: Jan/23/2024

バイデン政権は超党派の妥協的な移民政策と引き換えにウクライナとイスラエルのために数十億ドルの支援パッケージを確保しようとしているため、国境問題は現在議題の中でも上位を占めている。しかしながら、超党派の合意の一部がマスコミにリークされた後、何人かの共和党議員は「下院に到着時に草案は死んだ」と結論付け、これはバイデン・チームがウクライナへの支援パッケージを速やかに受け取ることはないことを意味する。

「これは、今や、特に米国がウクライナやイスラエルに資金を提供し続けるかどうかという点でわが国の外交政策において大きな障害となっている」とマルーフは述べている。「そして、米議会ではこの問題が前面に押し出されている。上院で審議されている取り決めは基本的には資金援助を認め、一定量を認め、一定数の不法滞在者を受け入れるとしている。それが所定のレベルを超えると、流入は許可されない。マイク・ジョンソン下院議長は下院に到着した時点で法案は死亡したと宣言した。法案は受理されない。要するに、彼らは不法移民の流入を阻止したいのだ。」

共和党が移民改革の問題を提起したのは、バイデン大統領が不法移民を禁止する既存の法律に基づいて行動をしてはいないからだと専門家は強調した。彼は、合法的に米国に入国したい多くの移民たちは国境の混乱に幻滅しているという事実を嘆いている。

「率直に言って、追加の法律を制定する理由はどこにもない」と彼は言った。「現行法では不法入国者が入ってきたり、『侵略』があったりした場合に国境を封鎖することがすでに認められている。このような状況は、現在、毎日のように起きている。バイデン政権が既存の法律に基づいて行動することを拒否しているだけだ。」

「彼らは移民の入国を認めるよう運動をした。彼らはどのような手順でそうするのかについては何も言わなかったが、今はドアを開放して中に入れるだけだということが分かった。法的手続きを経て入国する人には手続きがある。今起こっていることに彼らは非常に困惑している。なぜならば、承認を得るのには何年もかかるだろうし、合法的に物事を進めるための策は何もなく、あるいは、合法的に手続きをすることへの報いもないからだ。」

***

これで全文の仮訳が終了した。

「バイデンが再選されれば、この国では大きな爆発が起きる可能性がある」とマイケル・マル―フが述べているが、分断の深刻さを考えると、バイデンが再選されても、トランプが再選されても、どちらにしても内戦が起こる可能性は高いのではないかと私には思える。今年は何が起こってもおかしくはないと巷では言われている。米国では両党間の駆け引き、政府内の分断、連邦政府と州政府との相克、等が幾重にも折り重なって同時進行しており、国際政治の舞台ではロシア・ウクライナ紛争、ハマス・イスラエル紛争、イエメンのフーシ派による紅海でのシーレーンに対する脅威、等が進行している。米国には台湾問題に口を挟む余裕なんてもうないのではないか・・・

米国の混乱は今秋の大統領選に向けてエスカレートするばかりであるが、日本の政界の混乱振りにも唖然とさせられる。こういった混迷を深める日米ふたつの国家が支えようとしている安保条約も極めてハイレベルの混乱や矛盾を内包していると言いたい。

これらの混迷の根源は、恐らく、米国の覇権国として立場が最近弱体化していることが公然と暴露され、認識され始めたことにあると思う。

世界の多極化に目を移すと、こうした内外の混乱や動きの中、グローバル・マジョリテーは、今や、人口的にも、経済規模においても、すでに西側のG7諸国からマジョリティー・サウスに移行したと言われている。いわゆる、多極化である。しかも、この多極化のスピードは意外と速く、当事者らは現状の認識について行けないかのようだ。心理的には、欧米のエリートたちはこのような現実を決して認めたくはないのではないか。それを認めることは自分たちが今までやって来たことのすべてを否定することに繋がり、彼らが今まで享受して来た膨大なな利益や権威を手放さなければならないことを意味する。だが、彼らは自分たちの権益を死守しようとする。あれこれと稚拙な策を講じる。結果は必ずしも好ましいものではなく、個々の課題について必ずしも勝ち目があるわけではない。こうして、現行の国際政治を操ってきた西側のエリートに対する信頼は失墜し、風化していく。これが今の大局の姿だ。

 

参照:

1Specter of Civil War: Biden’s Border Policy Could Lead to 'Huge Explosion' – Ex-Pentagon Analyst: By Ekaterina Blinova, Sputnik, Jan/28/2024