2023年2月23日木曜日

ロシア・ウクライナ戦争とは?

 

一言でロシア・ウクライナ戦争を説明すると、こんな風になるらしい。

これは222日にOktay Özçevikという方のフェースブックに掲載されていたものだ(注1)。私が入手した文章は英文であったが、何カ所かに意訳しなければならない部分があった。英文への翻訳で「he」と「she」の区別が曖昧であることから、原典はトルコ語なのかも知れない。限定的なものではあるが、私はトルコ語から英文への機械翻訳でこの種のトラブルをこれまで何回か経験していたから、そんな気がしたのである。あるいは、原典はトルコ語ではなく、別の言語かも知れない。

本日はこれを仮訳し、読者の皆さんと共有してみようと思う。

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ロシア・ウクライナ戦争をこれ以上うまく説明することはおそらく出来ないのではないか。

とある中学生が先生に質問した。

「ロシアはどうしてウクライナと戦争をしているんですか?」

全体を説明しようとするとひどく複雑になってしまうことが分かっていたので、先生は興味が湧くような事例を引き合いに出して、話し始めた。

20年前、若くて、美しい、傲慢な女性が仲良くやっていけそうにはない金持ちの夫と離婚することにした。妻を愛していた男性は彼女に気前よく財産を分けてやった。そして、彼女のすべての借金を払ってあげただけではなく、3人の子供を彼女の元に残した。

有り余るお金に甘やかされていた女性は夫の商売敵の男と浮気をし、楽しみ始めた。

だが、これに満足してはいなかった女性は間もなく町の悪党どもとも関わり始め、彼らは彼女の元夫からお金を引き出すために彼女の家の近くに出没することによって彼女に嫌がらせをし始めた。

元妻と彼女の友人たちに腹を立てた男性は復讐するために子供の一人を連れ去った。

この状況に怒った女性は「あの子を私に返してくれないならば、私は別の男性の所へ行って、彼と結婚し、あんたや子供たちを虐待するわよ」と言った。

彼女と結婚をしたくはない彼の商売敵を引き続き楽しませてやることによって彼の富を差し押さえようと彼は計画した。

この状況を見た女性は元夫と自分の間に生まれた子供たちを虐待し始め、町の悪党どもに元夫を攻撃させようとした。

このような状況に気付いた元夫は警告を与えていたにもかかわらず子供たちを虐待し続ける女性の家を襲撃し、二人の子供を連れ去った。

女性と元夫の間の喧嘩について知ったその男は「俺のことは心配するな。町の男たちはみんなお前の側に居るから、怖がるなよ」と言って、女性をけしかけた。

これらの挑発によって勇気付けられたこの女性は子供たちを取り戻し、元夫に復讐しようとしたために元夫の兄弟からも嫌がらせを受けるようになった。

事態が険悪になるにつれて、元夫は元妻の家に侵入し、彼女が醜いゲームに耽溺することを防ぐために彼女が持っていたものはすべてを奪い、彼女を町から追い出した。

元夫の行動が極めて深刻であることに気付いて、女性のボーイフレンドや町の悪党たちは女性を放り出して、姿を消した。だが、たまには女性にニュースを伝えたりして、「心配しないでくれ。俺たちはあんたの後ろにいるからな」と言った。

自分の周りからすべてを奪われた女性は、今や、暗闇や陰鬱な状況について考えている:

「元夫のところへ戻ろうかしら・・・?」とさえ言った!

生徒に向かって、先生は:

「これで分かったかい?」

生徒は「はい」と言って、こう付け加えた:

偉大なるロシア。

元妻とはウクライナのこと。

元妻がもてなした相手は米国、町の悪党どもはNATO諸国。

三人の子供とはクリミア、ドネツク、ルガンスク。

先生:じゃ、元夫の兄弟とは?

生徒:ベラルーシ。

これで説明は終った・・・

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これで全文の仮訳が終了した。

非常に短い説明ではあるが、ロシア・ウクライナ戦争の構造をうまく説明しているのではないかと思う。

歴史的に見ると、20年前とは2004年にウクライナで起こったオレンジ革命を指しているのではないかと思う。あの反政府抗議行動によって、ウクライナがエネルギーを依存するロシアと友好関係を保つのか、それとも、EUとの関係を深めるのかという二者択一を迫る動きが表面化した。これはその10年後の2014年のマイダン革命の露払いの枠割を果たした。

もちろん、この説明ですべてが済むというわけではない。幅広い知識を培い、より深い理解を達成して、目覚めようとするわれわれ一般庶民としては、この説明だけでは満足し得ないことは明白だ。それが故に、毎日のように出現して来る新情報や事実の掘り起こしには目を光らせていたいと思う。今日も頑張ろう!

参照:

1THE RUSSIA AND UKRAINE WAR: Oktay Özçevik’s Facebook page, Feb/22/2023  · 

 

 


2023年2月21日火曜日

ドイツの主要日刊紙がファイザー・ビオンテックの詐欺行為を報告

 

新型コロナウィルスの大流行についてこのブログが初めて取り扱ったのは20202月であった。

あれから満で3年が過ぎた。今や、米国や日本の政府は新型コロナに関する規制を止めると宣言した。この大流行の収束はわれわれ一般庶民にとっては嬉しいことである。だが、一部の人たちにとっては新型コロナは想像もできないような悪夢であった。新型コロナワクチンの副作用によって不幸にも死亡した夥しい数の犠牲者の家族にとっては政府当局の政策が妥当なものであったのかという疑念が高まるばかりである。今まで心の奥深くで「本当に効くのだろうか」と思っていたにしても、そのことを公に口にすることは憚られるような状況が形成されていた。

だが、最近は潮目が変わった。政府機関や主流メディア、あるいは、専門家たちによって喧伝されてきた筋書きはさまざまな研究成果によって反論され、新しい証拠を突きつけられている。こうして、最近の議論を通じて、政府当局を代弁していた専門家たちが意図的に情報操作をしてきた事実を示唆するさまざまな要素が明るみに出始めている。医療行政が「規制の虜」現象によって企業側の利益追求にまんまとハイジャックされてしまったという事実がほぼ明らかとなったのだ。不幸なことには、新型コロナワクチンが初めての悪例という訳ではなく、またもや起こったというのが現状である。

ここに、「ドイツの主要日刊紙がファイザー・ビオンテックの詐欺行為を報告」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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副題:ドイツが「コロナファシズム」の現実に目覚めつつあることを示す最初の兆候

「ディ・ヴェルト」は世界でも最大級の出版社であり、メディア企業のひとつであって、アクセル・シュプリンガーによってベルリンで発行されているドイツの大手日刊新である。ドイツ人の大多数は音楽家のステファン・ミッキッシュが「コロナファシズム」と称したものを受け入れるように洗脳されていたことを考えると、ディ・ヴェルト紙がファイザー・ビオンテックのmRNA遺伝子導入ワクチンの不正な虚偽表示に関して詳細にわたる長い報告書を(2023217日に)公開した事実を知ることは極めて心強いことである。

これはコロナファシズムがドイツの主流マスコミに対するグリップを失っている兆候であろうか?この記事を読んで、私はステファン・ミキッシュに対するキャンセル行為と彼の自殺について昨年の秋私が書いたことを思い起こさせてくれた。ドイツのクラシック音楽界のエリートたちがミキッシュに対して恐ろしい扱いをしたことを悔い改めることを今でも望んでいるので、ファイザーの詐欺行為に関する報告がディ・ヴェルト紙に掲載されたこの機会を捉えて、私はその記事をここに再発行しようと思う。

 

コロナファッシズム

ドイツで最も偉大なひとりの音楽家に対する社会的キャンセルと彼の自殺

20221014

Photo-1:ステファン・ミキッシュ

ジョン・リーク著


何十年にもわたって悪党であって、権威主義的な、あるいは、誰にも嫌われている政治家をアドルフ・ヒトラーや彼のナチ党と比較することは極めて一般的な慣行であった。ヒトラーは独特の性格を持ち、非常に混乱していた激動の時期に権力を握ったため、これらの比較のいくつかは極めて適切なものである。だが、ドイツ国民の支配権を獲得するために彼が採用した基本的な手法は、歴史を見ると他の独裁政権によっても確かに使用されてきた。この手法には基本的に次に示すような みっつの要素がある:

ピーター・マッカロー博士とジョン・リークによって運営されている「Courageous Discourse」は読者の支援によって支えられている出版物である。新しい投稿を受け取り、私の仕事を支援するには無料または有料の登録読者になることをご検討いただきたい。

1) 危険について絶え間なく話すことによって恐怖心を増幅させる。この危険は国内または国外の脅威で構成される可能性がある。

2) 緊急時の権限を発動するには、災害(現実のもの、誇張、または、捏造)を悪用する。ヒトラーの場合、彼は国会議事堂での放火事件を巧みに利用し、全権委任法の可決へと繋げた。

3) 政権の非常事態令に対して疑問を呈する人物を検閲し、彼らを禁止し、非難する。そのような人たちを社会にとっては危険であるとしてラベル付けをした。

確かに、緊急権限のいくつかは真の意味での緊急事態によって正当化されるかも知れない。だが、それは慎重に定義しておかなければならない。危険は明かに存在しているのか?その危険によって社会の誰もが脅かされているのか、それとも、特定のグループだけが脅かされているのか?公共の安全に対する脅威は、本当に、憲法で保証された権利を停止させる危険性をも上回るものなのか?これらの質問に明確に答えるために当局が非常に勤勉な努力を示さない限り、彼らはおそらく何らかの悪意を持って行動しているに違いない。

恐怖とプロパガンダによって、全体主義システムは如何なる社会に対しても課される可能性がある。ロシアの反体制派作家アレクサンドル・ソルジェニーツィンが「収容所群島」の英語版の序文で指摘しているように、そのような恐怖は自国では起こり得ないと誤って思い込んでいるために人々は他国の過ちからは何も学ぼうとはしない。このことは人間社会の極めて悲劇的な特徴である。この素朴な考え方は米国人の間では長い間一般的であったが、新型コロナの大流行の間にそれはドイツ(他のすべての場所)においても表面化した。戦後のドイツ人は全体主義の精神をナチス時代の特定のイデオロギーやスタイル、犯罪の中に極めて明瞭に認識していたが、今回は自国においてそれらを再出現させるまったく同じ精神(まったく異なる服を着て、異なるマナーを見せ、異なるスピーチをした)を認識することができなかったようだ。

ステファン・ミキッシュは、ドイツで最も偉大なピアニストであり、音楽学者のひとりであった。何年もの間、私はリヒャルト・ワーグナーに関する彼の講義を聞くのを楽しんだものだ。彼は情熱と理解をもって話し、すべての音楽的考えをピアノでものの見事に説明してくれたので、感動的でさえもあった。 こちらで彼はワーグナーの有名なトリスタン・コードについてイギリスの俳優兼放送局の所有者であるスティーブン・フライと話をしている。

数週間前、ミキッシュが最近何をしているのかを疑問に思い、昨年58歳で亡くなったという報告を読んで、私は大きな衝撃を受けた。問題は彼がドイツ政府のパンデミック対応を「コロナファシズム」と特徴付けて、フェースブック上で長い投稿を書いたときに始まった。これにより、お馴染みの「キャンセル」手順が発動された。つまり、彼に汚名を着せ、追放し、破壊するようになったのである。

まず最初にドイツとオーストリアのマスコミで攻撃の波が起こった。パンデミックへの対応を第三帝国と比較し、彼自身の抗議をナチスドイツに対する「白いバラ」抵抗運動の共同創設者であったハンス・ショールの仕事になぞらえたことから、彼を非難し、嘲笑した。まるでひとつの合図であるかのように、コンサート会場の責任者やイベント主催者たちはこのピアニストから距離を置くと宣言し、それによって彼の職業上の将来に疑問を投げかけた。20201220日、「ヴァーンフリート邸」(バイロイトにあるワーグナーの家、現在はワーグナー博物館)から彼が追放された時、彼に対する暗殺行為は最高潮に達した。2021217日、彼の人生と仕事にとって最も重要な機関から破門されてから2か月も経たないうちに、ステファン・ミッキッシュが死亡しているのが発見された。明らかに自殺であった。

ステファン・ミキッシュに対するキャンセル行為は、彼がフェースブックへの投稿で述べた点の多くが真実であったことを考えると、腑に落ちないものであった。彼の口調はイライラしており、彼の書き物は慎重な構成というよりはむしろ暴言ではあったのだが、彼が述べたことの多くは事実であったからだ。確かに、ドイツ連邦政府はその権力を大幅に拡大し、市民の基本的権利や自由を損なうことによってパンデミックに対応しようとしていたのである。国家は確かにすべての人に対して監視を強化し、反対意見を抑制していた。特に、マスクや実験的なワクチン接種はどちらも感染を予防しないことを考えると、マスクの着用義務やワクチンの接種計画は明らかに非自由主義的であり、非人間的であった。「他人を守るために」ワクチンを接種するという神聖に聞こえる文言はすべてが最悪、かつ、卑劣な種類のナンセンスであった。このプロパガンダキャンペーンは国家とファイザー、ビオンテック、モデルナなどの企業との共同運営によって実行された。

とりあえず、ミキッシュ氏がフェースブックでの投稿で有効な指摘をしなかった場合を想定してみよう。つまり、パンデミック政策をナチス政権となぞらえることはまったく根拠のないものであったとしよう。だからと言って、いったい何なのか?言論の自由とはわれわれ全員がひとつのことに同意することを保護するためのものではない。その最大の要点は大多数が保持してはいないような別の意見を述べる権利を保護することにある。もしもその通りだと言うのであれば、ドイツで最も教養があり、著名な芸術家のひとりに対して行われた、不気味な村八分の行為をいったいどのように特徴付けるべきなのであろうか?そう考えるのは私だけであろうか?それとも、この種の残忍な扱いは他の人たちにもファシスト独裁政権を彷彿とさせたのであろうか?

検閲は、極端に知的な適合性とともに、社会が全体主義に陥っていることを示す極めて信頼できる兆候である。全体主義政府は自分たちがそのような存在であることは発表せず、全体主義運動に参加する人たちはほとんどがより大きな利益のために行動しているのだと自慢する。全体主義の指令に共感する連中は(自分の身の安全への渇望から)政権のプロパガンダを信じたいがために、手遅れになるまではいったい何が起こっているのかさえも分かってはいない。

ミキッシュ氏は全体主義精神の発現を認識して、それについて抗議した。彼が理解したように、全体主義の精神はそれが遭遇する抵抗の欠如に比例して成長していく。彼はそれを初期段階で認識し、それに反対した。彼が結果として受けた厳しい罰則は彼が正しかったことの証拠である。

安らかに眠れ、ステファン・ミキッシュ!浅はかで独善的なあなたの批判者たちには恥をかかせてやれ!

注:ドイツ語を話す人はこの動画解説を通じて 彼に対して行われたキャンセル行為や彼の死についてもっと多くを知ることができる。

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これで全文の仮訳が終了した。

この引用記事を読むまでは、私はステファン・ミキッシュに対するキャンセル行為や彼の自殺については何も知らなかった。日本の主要メディアは扱ってはいないのではないかと思う。実に悲惨な出来事である。

著者はアレクサンドル・ソルジェニーツィンの言葉を引用して、「・・・そのような恐怖は自国では起こり得ないと誤って思い込んでいるために人々は他国の過ちからは何も学ぼうとはしない。このことは人間社会の極めて悲劇的な特徴である」と強調している。人間社会は国家や民族、文化、宗教、時代の違いを乗り越えて、極めて共通した思考や振る舞いをすることが多い。われわれはこのような現実を率直に認め、歴史的な教訓から積極的に学ばなければならない。

今思うと、一時期に頻繁に喧伝されていたワクチン接種証明書の発行はワクチン反対者に対して極めてあからさまに課した差別主義政策であった。つまり、村八分であった。これは当局の権力を最大化するための措置だ。国際機関や政府、専門家によってあれこれと説明が行われ、後押しされてきた新型コロナワクチンの有効性や安全性は、今や、地に堕ちた感がある。PCR検査で陽性と判定されたとしても、陽性者の95%は擬陽性であったと推算されており、ワクチンの安全性や有効性を疑う客観的なデータが最近あちこちで提出されているのである。新型コロナ感染症を封じ込めるとして採用された施策の中核部分が今あっさりと崩れようとしている。

都市閉鎖やワクチン接種は新型コロナの感染を抑制してくれると思い込まされた。われわれ一般大衆の誰もが抱くことになった、この間違った思い込みは作為的な誤情報による洗脳作戦が功を奏した結果であろう。洗脳作戦はある特定の集団が自分たちの利益を求めて行う情報操作である。その特定集団に属さない一般大衆は犠牲者となる。

ドイツの主要日刊紙がこの極めて今日的なテーマを扱って、詳しく報じたという事実に勇気付けられる思いがした。

ドイツが「コロナファシズム」の現実に目覚めつつあることを示す最初の兆候であると述べた著者の認識は重要である。この認識がドイツから他のヨーロッパ諸国へ広がり、米国や日本へも波及して欲しいと思う。間違いは間違いとして率直に認め、新たな是正措置を講じるだけの知的な、かつ、倫理的な勇気を持ちたいものだ。過去3年間の日々笑い飛ばしてやれるような科学的知見に基づいた客観的な認識がわれわれ一般大衆にも広く行き渡って欲しいものである。

参照:

1Major German Newspaper Reports Pfizer-BioNTech Fraud: By John Leake, PETER A. MCCULLOUGH, MD, MPH™, Feb/18/2023

 

 

 


2023年2月18日土曜日

外交は冷戦の危機を打開した。今、外交はふたたび世界を救うことができる

 

125日、バイデン米大統領はウクライナに対して31台のエイブラムス戦車を供与すると宣言した。この米国の宣言は内外から圧力が加えられていたドイツのショルツ首相に最終決断を迫ることになり、同日、ショルツ首相は14台のレオパルト2戦車を供与すると宣言。

西側においてはいわゆる「戦車同盟」から離脱する国が現われた。214日、オランダとデンマークはかねてから表明していたレオパルト2戦車の供与から反転し、供与はしないと宣言した。だが、この決断を償う形で、両国はレオパルト1戦車の修理作業を行うことを提言。こうして、西側からのレオパルト2戦車の供与台数はドイツが14台、ポーランドが14台、カナダが4台、ポルトガルが3台、ノルウェーが8台で、レオパルト2戦車の供与合計は43台となる。

上記のレオパルト2戦車とは別に、フランスは、113日、AMX 10 RC AMX 10 RC軽戦車を2か月以内に供与すると宣言(台数は不明)。スナク英首相は、115日、14台のチャレンジャー2戦車を供与すると宣言している。

こうして、ウクライナに対する戦車の供与はその規模が明らかになった。214日現在で11カ国が戦車の供与を行うと米国が発表したが、詳細の国名は明らかではない。

そして、戦車の供与とは別に、ミサイルや対空防衛システム、戦闘機といった厄介な議論がさらに続く気配となっている。

事実、217日の報道によると、ホワイトハウスは同盟国がウクライナに戦闘機を供与することは歓迎すると述べている。カーヴィー報道官は米国は他の国がどんな武器をポーランドへ供与するのかについては口を挟まないと言った。ポーランドのマラヴィエツキ―首相は他のNATO諸国と共にミグ29戦闘機を供与する用意があるとかねてから述べている。(原典:The White House said that the United States will welcome the transfer of aircraft to the Armed Forces of other countries: By Teller Report, Feb/17/2023

背後ではどんな話し合いが行われたのかは私には分からない。だが、米国としては米国製の戦闘機が供与されることには反対のようで、米国は戦闘機の供与は約束してはいないと念を押している。米国が所有する軍事的情報がロシア側に漏洩するリスクがあるからであろうか。そういう意味では、ミグ29戦闘機の供与ならば米国にとってはそのような心配はなく、しかもウクライナ軍を強化することができるから好都合なのだ。代理戦争は大歓迎なのであろう!

ロシア・ウクライナ戦争における上記のようなエスカレーションとは別に、この戦争は長期化させるべきではないとする画期的な主張が米国に最近現れた。そして、その主張の主は超ド級である。

米国の安全保障政策の分野では第一人者のシンクタンクであると目されているランド研究所から最近(130日)報告書が発行された。この報告書はロシア・ウクライナ戦争の終結への第一歩となるかも知れないとしてマイク・ホイットニーが論評を加えていることはこのブログでもすでにご紹介した(注:詳細は28日に掲載した「ウクライナ号は沈没しつつある。西側のエリートたちは脱出しようとしているか」を参照いただきたい)。

ランド研究所の新報告書と同様にロシア・ウクライナ戦争の収束をテーマにして、ここに「外交は冷戦の危機を打開した。今、外交はふたたび世界を救うことができる」と題された最近の記事がある(注1)。著者はコネチカット大学で歴史学教授を務めるフランク・コスティリオラ氏。この記事を掲載したのは米国政治の中心地であるワシントンDCの地域ではもっとも広く購読されている日刊紙のワシントン・ポスト紙だ。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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副題:ジョージ・ケナンが提唱したように、静かに、そして、個人的に培われた、事実の情報に基づいた外交努力は中国やロシアとの緊張を和らげることができる。

Photo-1:バイデン大統領と習近平中国主席。昨年インドネシアで開催されたG20首脳会議にて (Alex Brandon/AP)

米国によるウクライナへの関与の深化や中国との紛争の拡大は両方とも核戦争に発展する危険性性がある。このような極めて高い利害問題があることからも、冷戦中に同様の災害を未然に防ぐことに成功した戦略を理解し、それらを復活させることによって大惨事の可能性を低減することが可能となる。米外交官のジョージ・F・ケナンは封じ込め政策、つまり、1940年代後半にソ連邦の影響を抑制し、共産主義の拡大を阻止することを目的とした政策の立案者として、今日、もっともよく知られている。しかしながら、ケナンがもっとも情熱的に擁護したかったのは、実際には、確固とした、目の肥えた、特定の種類の外交姿勢についてであった。つまり、それは冷戦中のもっとも緊張した瞬間のいくつかを和らげるのに役立つことが実証された戦略であって、今日、ふたたびそのような緊張を孕んだ政治的状況を緩和することにも有用であることが証明されている。

1951年、米国は朝鮮半島でソ連邦との代理戦争に巻き込まれた。ソ連邦が自分たちの国境の近くに外国軍が存在することに怒りを顕わにし、米国は膠着状態となった紛争に不満を抱いていたため、超大国間の直接対立が迫っていた。この紛争に踏み込んだケナンはロシアで集中的に研究をし、いくつかの外交ポストを経た後には米国政府内の誰よりもソ連邦のことをよく理解していた。

韓国をめぐる緊張を和らげるために、ケナンは国連に駐在するソ連大使に連絡を取った。密室での目立たない会談を通じて、彼はロシア側の会談相手に対してワシントン政府はモスクワ側の議論に異議を唱えてはいるが、米国はロシア人が彼らがした事をどのように考えてそうしたのかの理由を理解することができると保証した。ケナンは、たとえ彼の交渉相手がどんなに冷ややかであり、専門的に見えたとしても、感情にさらされ、文化の影響を受けているひとりの人間であることを十分に弁えていた。交渉相手に敬意を払うことによって相手側からの抵抗は和らげることができるが、ぶっきらぼうな話をし、相手に屈辱を与えると、常にそれとは反対の状況をもたらすことが多い。

この公式はケナンと彼のソ連側の相手にとっては極めてうまく機能し、それぞれが政府の承認を得て行動し、朝鮮半島での紛争を制約することについて理解を得ることができた。代理戦争の当事者による軍事的な注力には蓋をしたことから、さらなる交渉をもたらし、1953年には最終的な休戦につながって行った。これにより、冷戦が不注意にも熱い戦争へと変わることを防ぐことができた ― 熱い戦争ははどちら側も望んではいなかった。

両国の政策の間には亀裂が存在し、双方を隔てており、信頼は崩壊していたにもかかわらず、ケナンのもっとも重要な洞察はどちら側も世界大戦を求めてはいないという点にあった。彼は亀裂を埋める上では裏口からの非公式で、個人的な外交を行うことには大きな価値があることを認識していた。そのような話し合いは他の重要な問題についても共通点を見い出す機会をもたらす可能性があった。

196210月、別の致命的な危機が迫っていた ― 潜在的な核危機であった。危惧されていた米国によるキューバへの武力侵攻を未然に防ぎ、ロシアに対して至近距離に位置するトルコに配備されている米国のミサイルに対抗するために、ソ連はキューバにミサイルを密かに配備したのである。この島国が米国に非常に近いことを考えると、キューバにおけるミサイルの存在は米国の政策立案者を激怒させた。さらには、この騒動は11月の中間選挙で民主党候補者たちを落選させる恐れがあったのである。

ジョン・F・ケネディ大統領の顧問らのほとんどはキューバへの爆撃または侵略という好戦的な行動を推奨した。だが、ケナンの友人であり、米国の国連大使を務めていたアドレー・スティーブンソンは大統領にまったく別の方針、つまり、外交努力と海上封鎖を採用するよう助言した。ケネディは個人的にはスティーブンソンを嫌っていたのだが、彼はこの議論に良識を認識したのである。

ケネディ大統領はソ連のニキータ・S・フルシチョフ第一書記と個人的な手紙を交換した。ケネディは彼とフルシチョフが重要な問題に関して意見の不一致を完全に逃れることはできそうにはないが、これらの紛争をどのように処理するのかについては対処することが可能であろうと強調した。ケナンはこの危機の間にケネディに対して助言はしなかったが、大統領が受け入れた個人的な外交は、特に、この緊張の場面でケナンが非常に重要であると見なしていた相手側に対してある種の手堅い共感が体現されたのだ。個人的な手紙が地政学的危機を人間の言葉に翻訳してくれた。

外交は秘密のやり取りに繋がった。つまり、ソ連がキューバからミサイルを撤去することと引き換えに、ケネディはトルコから時代遅れとなっている米国のミサイルを取り除くことを約束した。また、同大統領はキューバには侵攻しないことも約束した。武力ではなく外交交渉を通じて和解に達することにより、モスクワは屈辱を感じることもなく、キューバから撤退することができたのである。また、トルコからのミサイルの撤去を秘密にしておくことで、ケネディは即時に政治的代償を支払うこともなく譲歩することができた。

外交は1962年に世界を救ったと言っても過言ではない。ケネディと彼の顧問は、ロシア側がキューバに戦術核ミサイルをすでに配備したことには気付いてはいなかった。米国の侵略に対抗するには、キューバにおけるソ連司令官はそれらの武器を使用するようにと命令されていた。その結果生じたであろう虐殺はソ連邦との全面核戦争を引き起こした可能性が高い。

外交努力によって、両首脳はどちらも望んではいなかった大惨事から退却することができた。危機に直面し、差し迫った破滅に追いかけられながらも、ケネディとフルシチョフは相互信頼の策を実現することに成功した。彼らは限定的な核実験禁止条約を交渉し、誤って解釈された信号や誤動作が核戦争に火をつけることがないようにするためにホットラインを設置した。

だが、成功裏に終わったこの外交はひとつの長期的なコストをもたらした。つまり、1964年、クレムリンの強硬派はミサイル危機でロシア側は後退したという認識からフルシチョフを権力の座から引きずり下ろした。その結果、この合意が国内で政治的な問題を引き起こすことがないようにするために、野党には面目を保たせることの重要性が強まった。

これらのエピソードは今日の政策立案者たちには「交渉することは戦争するよりも優れている」とのウィンストン・S・チャーチルの言葉を極めて強力なものにする。しかしながら、彼らが得た教訓はわれわれにはさらに多くのことを告げているのである。ケナンは特定の種類の外交姿勢、つまり、相手の言語や歴史、文化に精通している経験豊かな外交官が忍耐強く話し合いを行うことを擁護した。交渉の担当者は相手側からの微妙な信号やジェスチャーを拾い上げ、不完全に表現された恐怖や欲求を正しく把握することができなければならない。外交官は敵の長期にわたる怨念や最終的な願望を認識して、会議室に入って行かなければならなかった。譲歩を口当たりの良いものにし、政治的に達成可能なものに持って行くには秘密も時には必要である。

そういった哲学は中国やロシアに対処するための助言の仕方について多くを提供してくれる。ソ連邦の崩壊後、NATOを東に拡大し続けるとロシアとウクライナの間で現在起こっているような紛争を引き起こす可能性があることをケナンは警告していた。いくつもの侵略に苦しんで来たロシアは国境またはその付近における外国軍の存在や軍事同盟を恐れ続けて来た。ロシア人というのは彼らが持っている疑惑やイデオロギー、あるいは、愚痴にもかかわらず、誇りと屈辱の感情に左右され易い人間であり続けてきたとケナンは主張している。彼らは永続的に劣等感に苦しみ、退廃が想定されている米国を軽蔑しながらも米国の成功には憤慨していた。

ロシア人の世界観や恐れに関するケナンの洞察は今日の米国の外交官を導くのに役立つ可能性がある。ウクライナに対する米国とNATOの軍事支援の着実な拡大はロシアとの戦争のリスクを高めたが、それは、また、ワシントンとその同盟国のキエフ政府に対する影響力を強化した。ロシアまたはウクライナによる絶対的な勝利はあり得そうにはないため、両国が壊滅的な結果を回避するには面目を保つ必要がある。

米国とその同盟国はこれらの主張を支持することなく、安全保障上の懸念が無視されているというロシア側の苦情を認めてやり、それらを軽減することができる。たとえば、ロシア軍の撤退とウクライナ東部のロシア語圏地域での真の自治権の確立とが相俟ってすべてがうまく行くかも知れない。クリミアでは国際的に監督された住民投票が可能となるかも知れない。どちらの解決策も、ケナンが数十年前に指摘したロシア側の恐れに対処することに主眼を置いており、その必要性は今日も続いている。

同様に、米国は台湾を強化しながら、ライバル国家への米国の経済的および技術的依存を減らすための緊急発進をするために中国に対してはタカ派的な姿勢をとっている。米空軍の最高司令官は、最近、彼の指揮下にある軍へ宛てたメモの中で両国は2年以内に戦争状態になる可能性があると予測した。1950年代の初頭、避けられない戦争またはソ連邦に対する先制攻撃に関してこれと同様の声明が米国人によって発せられ、当時それは危険の認識を高めてくれた。

しかしながら、ケナンの業績が示した教訓によると、中国側の恐れや野心を十分に解釈し、中国の交渉担当者に対しては人間レベルでの対処をし、中国の業績に対しては敬意を示し、静かではあっても確固とした、事実情報に基づいた外交に徹することに比較すると、好戦的な言い回しは効果が遥かに薄いということである。米国は、米国上空で発見されたスパイ気球のせいでアントニー・ブリンケン国務長官の中国訪問を中止した。しかし、この会議の予定を再設定することは台湾をめぐる紛争や経済的および技術的競争がより危険なものに発展することを避ける上で多いに役に立つ。また、気候変動や核拡散、その他の共通の懸念に関して協力する余地もあって、双方に利益をもたらし、もっとも危険な分野においてもさらに前進するために必要となる勢いや信頼を生み出す可能性さえもあるのだ。

外交は杖を振って、アブラカダブラと唱えるような場面は提供してはくれないが、終末戦争からの回避をもたらすことが可能である。確かに、米国の優位性に逆らう中国の願望によって形成される地殻変動的な緊張を考慮すると、外交は前進するための唯一の安全な手法なのである。ケナンが指摘することを好んだように、一見和解できそうにもないポジションは単なる提示価格に過ぎない。忍耐強い交渉は最初は必ずしも明らかではなかった妥協点を洗い出してくれることが多く、誰も望んではいない悲惨な戦争から世界を救うことができる。

著者のプロフィール:フランク・コスティリオラはコネチカット大学の理事会に属する歴史学特別教授。最新の著書は「Kennan: A Life between Worlds(プリンストン、2023)

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これで全文の仮訳が終了した。

国際的な紛争を歴史的な視点から見ると、われわれ素人には想像もできないような教訓が存在することに気が付かされる。この引用記事はそのような発見の場を提供してくれている。

ロシア・ウクライナ戦争の当事者間には交渉する意欲があるのだろうか。さまざまな報道によれば、現状は極めて悲観的である。ウクライナ側はクリミア半島やドンバス地域、ならびに、ザポロジエやヘルソンといった領土の保全を交渉の前提条件としている。それに対して、ロシア側は前提条件なしで交渉を始める用意があると宣言している。つまり、両国政府の姿勢を額面通りに受け取ると、両国の言い分は大きく乖離しており、公式的な話し合いを行っても妥協点は見つかりそうにはない。このような現状を考えると、ケナンが提唱した経験豊かな外交官による個人的なレベルでの交渉こそが世界の破局を回避する上で最後の切り札となるのかも知れない。

あるいは、エネルギー危機やインフレに見舞われた西側諸国がウクライナに対して行っている軍事的ならびに財政的支援から全面的に撤退することによって、ウクライナが戦意を失うよう仕向けることしか残らない。米国やその同盟国はウクライナへ武器を供与するに当たって自国の武器の在庫量を犠牲にしてまでもウクライナを支援することには当然ながら限界がある。たとえば、戦車の供与ではオランダやデンマークは、最初は他のNATO諸国と歩調を合わせてレオパルト2戦車の供与については前向きであったが、後に供与を否定した。その代わり、レオパルト1戦車の修理作業でウクライナを支援すると宣言した。この背景には主要な武器の在庫の減少は自国の安全保障を損なうといった危機感があり、在庫不足の解消は急速には解決できないのが実情らしい。だが、ウクライナに対する支援から全面的に撤退するという考えは現時点では政治的には極めて困難な選択肢であろうと思う。今までの政策に関与して来た政治エリートたちは面子を失うことになるからだ。

他にもさまざまなシナリオがあるのだろうが、これらの選択肢がことごとく棄却され、トップの政治家にとって採用することができる策は尽きたと判断した暁には、イチかバチかの核戦争に頼ろうとする可能性がある。まさに悪魔の囁きである!米国やロシアの指導者、ならびに、NATO加盟国の指導者たちは誰もが正気であるとするならば、核戦争はどこの国も望んではいないであろう。

かって、ジョージ・ケナンの考え方はケネディとフルシチョフとの間で交換された個人的な手紙を通じて地政学的危機を人間の言葉に翻訳してくれ、冷戦時における最大級の危機から世界を救った。今日、ジョージ・ケナンのような外交官は居るのだろうか?2014年のウクライナにおけるマイダン革命以降、西側はウクライナの軍備を増強し、将兵の訓練を行い、8年間にもわたって対ロ戦争の準備を行って来た。米国やNATO諸国の政治エリートには外交交渉に本質的な価値を見い出すような冷徹な頭脳の持主がはたして居るのだろうか?

参照:

1Diplomacy defused Cold War crises. It can help again today: By Frank Costigliola, The Washington Post, Feb/10/2023

 




2023年2月12日日曜日

ウクライナについてのニューヨークタイムズ ― 現実的な報道、均衡のためのプロパガンダ、不吉な警告、等

 

ロシア・ウクライナ戦争は末期的な段階に近づいているようだ。両国はこの戦争を永遠に続けることはできない。何時の日にか終わらせるしかない。

ウクライナに対する西側からのさらなる軍事支援は、今、新たな局面を迎えている。27日、デンマークやドイツ、オランダはウクライナが今後数か月以内に少なくとも100両の戦車を入手することを約束した。28日、ゼレンスキー大統領はロシア・ウクライナ戦争が約1年前に始まってから初めて英仏を訪れ、さらなる軍事支援を要請した。特に、戦闘機や長距離ミサイルの速やかな供与が今回の要請の目玉であったようだ。スナク英国首相は戦闘機の供与を考慮するとは答えたが、具体的な関与を表明することは控えた。米国や他のNATO諸国は難色を示している。(出典:Zelensky repeats demand for fighter jets on France, UK visits: France 24, Feb/09/2023)

ロシア側の反応はどうであろうか?国連に常駐するロシア代表のネヴェンツィアはこう言った。西側諸国から供給される戦車はウクライナで大きな影響力を発揮することはないだろう。特別軍事作戦の開始以来、キエフにとって利用可能な、あるいは、キエフに供給された7,500輌の戦車はすでに破壊されている。その結果、「彼らが言うように100200300輌の戦車が新たに供与されたとしても、何の効果ももたらさない。」同外交官によると、キエフ政権が戦場で完全に破産するまでは西側諸国からの軍事支援の流れは枯渇しないであろう。(出典:Nebenzia: Western tanks "will not make the weather" in Ukraine: Feb/09/2023

ロシア・ウクライナ戦争はまさに消耗戦の様相を呈している。

かねてから戦闘機の支援を提案していたバルト諸国がNATO内でどのような根回しを行ってきたのかについてはその詳細を知る由もないが、これから西側ではジェット戦闘機の供与についてあれこれと公に議論することとなりそうである。

ところで、ロシア・ウクライナ戦争はどのような状況になっているのか?ポーランドの退役した将軍のひとりはウクライナはすでに戦闘能力を失っており、ロシア軍に対して反撃をすることはできないだろうと述べている。この発言の真意がどこにあるのかは私には分からないが、これはポーランドがウクライナの西部地域を割譲する機会が近づいてきたことを暗に示した国内向けの発言なのではないか?それとも、西側からのさらなる支援を引き出すために敢えて悲観的な見方をご披露したのであろうか?

その一方で、米国はこの紛争の現状をどう見ているのかが気になるところだ。

ここに、「ウクライナについてのニューヨークタイムズ ― 現実的な報道、均衡のためのプロパガンダ、不吉な警告、等」と題された記事がある(注1)。これは国際関係については定評のあるブログ、「Moon of Alabama」に掲載されたものだ。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

ウクライナでの戦争に関してニューヨークタイムズ(NYT)は最近の報道でひねりを加えている。

少なくとも「西側」メディアにおいては、ウクライナは、先月、戦争に勝利していた。しかしながら、今週、NYTの現場の記者はまったく反対のことを報告している:

多勢に無勢で、消耗し切って、ウクライナ軍は東部でロシア軍からの攻撃に備える

ロシア側が新たに動員した約20万人の兵力の大部分を投入する前であってさえも疲弊していたウクライナ軍はすでに数の上で圧倒されており、打ち負かされていると不満を漏らしている。そして、野戦病院の医師たちは酷い怪我をした戦闘員の世話をするのに苦労しており、損耗が激しくなったと語っている。
・・・

ロシア軍の攻撃の最初の段階はすでに始まっている。ロシア軍が夏から占領しようとしていたウクライナ東部の都市バフムートはまもなく陥落する可能性が高いとウクライナ側が述べている。他の拠点においては、ロシア軍は小グループで前進し、ウクライナ側の弱点を探し出そうとして最前線を模索している。

これらの取り組みはすでにウクライナ軍に大きな負担を強いており、ウクライナ軍は12カ月近くの激しい戦闘によってすっかり疲弊している。
・・・

ウクライナ軍の消耗は深刻だ。ネフスケの近くに配置された「カルパティア・シック」と呼称されているボランティア派遣団の部隊は約30人もの戦闘員がここ数週間で戦死し、兵士たちはほぼ全員が脳震盪を起こしたような状態だと冗談めかして言った。

「冬の真最中であるから部隊が展開している位置は見通しが良くて、隠れる場所もない」と「ルシン」というコールサインを持った兵士は言う。

ドンバスの最前線に位置するある病院の遺体安置所は白いビニール袋に入ったウクライナ兵の遺体で溢れている。別の病院では、金箔のサーマルブランケットで覆われた負傷した兵士を乗せた担架が廊下を混雑させており、救急車は正面の入口にほぼ一日中絶え間なく到着する。

「われわれとしてはあの敗北主義者を一人のままに放っておくことはできない」と編集者は言い、何らかの「均衡」を得るために英軍諜報機関の間抜けな連中に目を向ける:

英諜報員はモスクワの勢力は一週間に数百メートル前進しただけだと言う

ウクライナ東部をより多く占領するための新たな推進力を背景に、ロシアが血腥い勝利をゆっくりと挙げるにつれて、ロシアはこれまで以上に多くの兵力と軍事物資を戦闘に注ぎ込んでいる。だが、モスクワが長期にわたる攻撃を維持するのに十分な軍隊を動員できるかどうかは明らかではないとウクライナ当局者は言う。
・・・

しかし、英国防省の諜報機関は、火曜日(27日)、ロシアはバフムートを含むドネツク地域の残りを占領することを目的として先月初めから「大規模な攻撃作戦」を開始しようとしていると述べた。だが、軍需品と機動部隊が不足しているため、「週に数百メートルの領土しか獲得できなかった」と当局が戦争に関して毎日行っている最新の状況評価で述べている。

「ロシアが今後数週間以内に戦争の結果に大きな影響を与えるために必要となる軍隊を増強できる可能性は低い」と当局は結論した。

連中が夢見ている「戦争の結果」とはいったい何であろうか。

現地からの報告によれば、誰が勝っているのかについては何ら疑いの余地はない。NYTの論説ページさえも今ではそのことを次のように認めている:

問題はウクライナが戦争に負けていることだ。われわれが知る限りでは、ウクライナの兵士の戦い方が貧弱であるからとか、ウクライナの国民が失望しているからとかが問題なのではなく、この戦争が第一次世界大戦のスタイルであった消耗戦に入り、注意深く張り巡らされた塹壕と比較的安定した前線に落ち着いてしまったことだ。

実際に第一次世界大戦がそうであったように、このような戦争は最も長く持ちこたえられる人口統計学的および産業的な資源をより多く有する側が勝つ傾向にある。ロシアはウクライナの3倍以上の人口を抱え、無傷の経済や優れた軍事技術を有している。と同時に、ロシア側にも特有の問題がある。兵士の不足とミサイル攻撃に対する武器庫の脆弱性によって、西方への侵攻は最近遅くなっていた。双方には交渉のテーブルに着くインセンティブがある。

上記の最後の文章は間違いだ。ロシアには今交渉に就くインセンティブはない。兵士の不足は解消し、武器弾薬庫は方々に分散され、ウクライナのHIMARS攻撃から兵士を保護するためにカモフラージュが施されている。ロシア軍はウクライナ軍を粉砕し続けており、さらなる攻撃の準備ができている。

とは言え、この記事は正論を吐いている。米国はいかなる交渉も許可しないだろうと:バイデン政権は別の計画を持っているのである。戦車を提供することによって、ウクライナが戦争に勝つ可能性を高めることができることに賭けている。ある意味で、これは第一次世界大戦の陣地の戦いから第二次世界大戦の移動の戦いにまで歴史を早送りするという考えであろう。それはもっともらしい戦略である。80年前、ヒトラーとスターリンの戦車軍団は今日攻防が繰り広げられている戦場からそれほど遠くはない場所で戦争に革命をもたらした。

しかし、バイデンの戦略には悪名が付されている。それはエスカレーションだ。
・・・

ロシアはいったい誰と戦争をしているのか ― ウクライナ、それとも、米国?ロシアはウクライナとの間で戦争を始めた。だが、ロシアと米国の間の戦争を始めたのはいったい誰か?
・・・

米国人の多くはプーチンを「野蛮人」と表現し、ウクライナ侵攻を「侵略戦争」と表現することに逆らうことはできない。ロシア人は、この戦争はロシアが国家の存続をかけたものであり、米国が自分たちの力によって獲得したわけではない特権を享受している不公平な世界秩序に対して米国と戦っている戦争であると言う。

双方がこの戦争にどのような価値観をもたらすにせよ、この戦争は本質的には価値観の衝突ではないことは忘れないでいただきたい。それは領土と覇権をめぐる古典的な国家間の戦争であり、帝国間の境界で発生している。この対立においては、プーチン氏と彼のロシアにとっては米国の政策立案者が有していると思われる後へ引き下がる選択肢はより少なく、エスカレーションの梯子をずっと上り、米国に反応するというインセンティブが増えている。

それは確かにその通りだ。ロシアはエスカレートすることを決して望んではいない。しかしながら、米国がエスカレートすれば、ロシアもエスカレートせざるを得ないであろう。

投稿:202327日、 世界時で1731

***

これで全文の仮訳が終了した。

ロシア・ウクライナ戦争は米国が望んでいたように長期戦となっている。こうなると、どちら側がより強力な体力を持っているか、どちらがより強い意志力を持っているかという要素が勝敗の分かれ目になって来る。

ロシアの体力について言えば、最近の報道によるとプーチンは2022年度GDPの推定値を上方修正した。210日、ロシア銀行は2022年末までの国内のマイナスのGDP推定値を2.5%へと上方修正した。また、規制当局はGDPの将来予測値についても上方修正している。2023年のGDPはマイナス1%からプラス1%になると。」(原典:Putin pointed to more positive results in Russia’s GDP in 2022 contrary to forecasts: By Izvestia, Feb/10/2023

プーチン大統領は、ロシアは西側が招来させようとしたロシア経済に最も困難な段階を克服したと述べたのである。彼は、2023年の経済成長は小さいと予測されるが、成長は持続するとも指摘した。

その一方で、ウクライナは西側からの財政支援や武器の供与がなければ、戦争を継続することはできない。最大の問題は兵士をどれだけ補給することができるのかである。この難問を解決するために兵役年齢は16歳まで下げ、街中では若い男性は兵役登録を指導する係員に追いかけ回されて、登録事務所まで連行される。また、女性兵士さえもが戦闘に参加しているとも言われている。ウクライナ経済はいつ破綻してもおかしくない。ウクライナ政府は公務員の給料や兵士に対する支払いは西側からの財政支援で何とか補っている。誰にも予想できないような自転車操業を続けているのである。

ウクライナはブラックホールだと言って、ヨーロッパ諸国は不満タラタラであるのだが、どこまで付き合う積りなのだろうか?

参照:

注1:NYT On Ukraine - Real Reporting, Propaganda For Balance, Ominous Warning: By Moon of Alabama, Feb/07/2023

 

 



2023年2月8日水曜日

ウクライナ号は沈没しつつある。西側のエリートたちは脱出しようとしているか

 

最近、ウクライナ情勢に関して、米政府の安全保障政策では米国内シンクタンクの間ではもっとも影響力があると目されているランド研究所が新たな報告書を発表した。米国政府は今までロシアに対しては長期戦を強いると主張して来た。そうすることによってロシアを政治的にも、経済的にも、そして、軍事的にも疲弊させるという戦略である。だが、今回の報告書は今までの戦略とは真っ向から対立するまったく新たな方向を提案している。この新報告書は米政府がウクライナ紛争を速やかに収束するよう進言しているのである。西側がロシアに対してどのような経済制裁を加えようとも、ロシアは遅かれ早かれそれらを克服してしまい、結局のところ、ウクライナ戦争の長期化によってもたらされる結末は米国や西側同盟諸国自身が政治的に、経済的に、そして軍事的により大きな痛手を被ることになると予測されている。

米国政府の政策決定に今まで深く関与して来た同シンクタンクが提言した新たな見解は米国政府の今後の政策にどのように影響するのであろうか?

ここに、「ウクライナ号は沈没しつつある。西側のエリートたちは脱出しようとしているか」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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ウクライナに関するランド研究所の最新の報告書を非常に重要なものにしている理由は分析の質にあるというわけではなく、国内で最も権威のある国家安全保障のシンクタンクがウクライナ戦争に関してワシントンの政治階級やグローバリストの同盟国とは正反対の立場をとっているという点にある。これは大問題だ。戦争は国民が反対したからといって終わるわけではないということを覚えておいていただきたい。まさに神話である。エリートたちの間に重大な分裂が現れ、それが最終的に政策の変更につながる時に戦争は終るのである。「長期戦の回避:米国の政策とロシア・ウクライナ紛争の軌跡」と題されたランド研究所の新しい報告書はまさにそのような分裂を露呈している。これは、強力なエリートたちが現在の政策が米国を傷つけていると考えているため、今までの多数派の意見を破ったことを示唆している。このような視点の変化は交渉に関してより積極的な要求を引き出すまで勢いを増して行くであろうと思われる。言い換えると、ランド研究所の報告書は戦争終結への第一歩となろう。

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まずは、本報告書の前文から抜粋した下記の文章について考えてみよう:

「ウクライナにおける長期戦のコストとリスクは甚大であり、そのような長期戦の軌跡から米国が得るであろう利益を上回ってしまう。」

この引用は報告書の全体を手際よく要約している。次の点を考えていただきたい。過去の11ヵ月間、米国は「どれだけ時間がかかっても、必要な限り」ウクライナを支援すると繰り返して宣言してきた。だが、上記の引用はそんなことは起こらないことをわれわれに保証している。ロシアをウクライナから追い出すという達成不可能な夢を追求するために、自国の利益を損なう積りなんて米国には毛頭ない (タカ派であってさえも、もはや、ロシアを追い出すことが可能であるとは信じてはいない)。外交政策の確立について合理的な考えを抱くメンバーはウクライナ戦争の成功の見通しを評価し、紛争が予期せずに制御不能に陥る可能性が高まっている事態と比較検討する予定でいる。もちろん、そのような事態は誰の利益にもなり得ず、ロシアと米国の間の直接衝突に火をつける可能性が高い。また、米国の政策立案者たちは膨らむ一方の巻き添え被害が費用に見合う価値があるのかどうかについても決断する。言い換えれば、供給ラインの崩壊やインフレの上昇、エネルギーや食糧の不足の増大、ならびに、兵器備蓄の減少は「ロシアを弱体化」させるためには避けては通れない交換条件となる。だが、多くの人たちは「ノー」と言うであろう。

いくつかの点において、ランド研究所の報告書は次々と倒れて行くドミノの長い列の最初の一コマに過ぎない。ウクライナの戦場での敗北が増え、ロシアがドニエプル川の東側のすべての領土を支配することがより明白になるにつれて、ワシントンの戦略の欠陥はより明白になり、より厳しく批判されることであろう。人々は、ロシアを助けるだけであって、われわれの最も近しい同盟国を傷つけている経済制裁の知恵には疑問を呈するであろう。彼らは米ドルや米国の債務から離反しようとする根強い動きを引き起こしている政策に米国はなぜ執着しているのかと尋ねるであろう。さらには、彼らはウクライナの勝利の可能性がほぼゼロであった3月に米国はなぜ故意に和平協定を妨害したのか疑問に思うであろう。ランド研究所の報告書はこれらすべての質問とそれらが生み出すであろう「気分の変化」を予測しているようである。これが、著者たちが交渉を推進し、紛争を迅速に終結させようとしている理由だ。下記にRTの記事からの抜粋を示す:ペンタゴンが直接資金提供をし、非常に影響力のあるエリート的な国家安全保障に関するシンクタンクであるランド研究所は代理戦争の延長は米国とその同盟国に直接的に危害を及ぼしていると述べ、ウクライナでの「長引く紛争」は避けるべきだとして、ワシントン政府に警告する画期的な報告書を発表した・・・。

この戦闘はワシントンにとっては「この数十年間で最も重要な国家間紛争であり、その進展は大きな結末を招来させるであろう」と述べることから(同報告書)始まっている。この結末には米国の「国益」が直接的に損なわれることも含まれる。報告書は、ウクライナ人が戦闘を行っており、彼らの都市が「平坦化」され、「経済が破壊される」一方で、これらの「国益」はキエフのそれとは「同義ではない」ことを非常に明確に示している(「ランド研究所は戦争の早期終結を要求」、RT)。

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報告書は「米国の国益が損なわれている」と明確に述べているわけではないが、間違いなくそう言いたいのだと推測することができる。驚くことではないけれども、報告書はワシントンによる対ロ戦争によって引き起こされる巻き添え被害については一切言及してはいない。だが、著者の心の中では、確かに、それは何よりも重要であったに違いない。結局のところ、米国に甚大な犠牲を強いているのは1, 000億ドルもの財政支援や殺傷兵器の供与ではなく、国際的な同盟関係や代替となる機関の出現が加速され、米帝国を崩壊の近道へと追いやっている点だ。 ランド研究所の分析専門家は他のすべての知覚のある存在が観察しているのと同じことを観察しており、ワシントンによって進められているモスクワとの誤った火遊びは「遠すぎる橋」であり、その影響は計り知れず、耐え難いものになるであろうと想定している。こうして、戦争を迅速に終わらせる緊急性が求められるのである。本文の中で太字で記載されている部分の抜粋を以下に示す:

「エスカレーションのリスクを最小限に抑えた暁には長期戦を回避することが最優先事項であることから、米国は中期的に紛争を終わらせる可能性を高めるための措置を講じる必要がある。」

興味深いことには、報告書は主なエスカレーションリスクを詳述しているが(主なリスクにはNATOとのより広範な戦争、他のEU諸国への紛争の波及、核戦争、等が含まれる)、なぜ「長期戦」が米国にとってそれほど損害を与えるのかについては説明をしていない。われわれが思うには、この省略は意図的なものであり、対ロ経済制裁が裏目に出て、諸外国の反米連合が形成され、世界の覇権に対するグリップを維持しようとする米国の計画を明らかに損なっていることは認めたくはないからであろう。エリート間ではそのような話をすることは禁じられている。クリス・ヘッジズがコンソーシアム・ニュースの記事でそのことを下記のように要約している:

ロシアを貶めることによってヨーロッパと世界における勢力均衡を再編成する計画は中東を再編成するという計画が見事に失敗してしまったことと良く似ている。それは世界的な食糧危機を煽り、ほぼ2桁のインフレでヨーロッパを壊滅させている。そして、米国の無力さ、ならびに、その支配層のオリガルヒたちの破産を再度暴露してもいる。 米国の対抗馬としての中国やロシア、インド、ブラジル、イランなどの国々は世界の準備通貨である米ドルの寡占状態から自国を切り離しつつあり、この動きは米国において経済的および社会的大惨事を引き起こすであろう。ワシントン政府はウクライナを救うために、しかし、もっと重要なことには自らを救うために、ウクライナに対してこれまで以上に洗練された兵器システムや何十億ドルもの援助を与えている。(「ウクライナ ― 大失敗となった戦争」、コンソーシアム・ニュース、クリス・ヘッジス)

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ヘッジスはこの問題を完璧に要約している。皮肉にも、ワシントンによる愚かな介入は米国史上最大級の戦略的大惨事への道を切り開いてきた。そして、今でさえも、大企業や銀行のエリートたちの大多数は明らかな失敗の兆候に肩をすくめながら、既存の政策を断固として支持している。その好例は世界経済フォーラムに見られ、彼らはそのウェブサイトにウクライナへの支持について包括的な声明を掲載している。下記をご覧いただきたい:

われわれの組織の本質は尊敬や対話、そして協力的であることにあり、協力的な努力を遂行する信念にある。したがって、われわれはロシアによるウクライナに対する侵略や攻撃および残虐行為を深く非難する。

われわれの全面的な連帯はウクライナの人々と共にあり、まったく容認できないこの戦争で苦しんでいるすべての無実の人々と共にある。われわれは人道的および外交的努力を支援し、積極的に支援するために可能な限りのことを行う。

長期的には理性が優勢になり、橋渡しと和解の余地が再び現れることを願っている。」(クラウス・シュワブおよびボルゲ・ブレンデ世界経済フォーラム)

誰もこれに驚くべきではない。当然のことながら、グローバリストたちは伝統的な価値観、国境、国家主権については世界最強の支持者であるというわけではなく、拡張主義者である破壊部隊(NATO)の側に立つであろう。これは言うまでもないことだ。そうとは言え、ランド報告書は戦争への支持がエリートの間でもはや満場一致ではないことを示唆しているのだ。そして、最終的にはエリートたちが政策を設定することから、政策が変わる可能性が今や高まっている。この「エリート間のコンセンサスの分裂」は過去11か月間で最も前向きな進展であるとさえ考えられる。米国がウクライナにおける政策を変更する唯一の方法はますます多くのエリートが正気になり、われわれを瀬戸際から引き戻すことだ。われわれはそうなることを期待しているが、実際にそうなるかどうかは分からない。

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報告書全体の中で最も説得力に欠けるのは「ウクライナの安全保障に対する米国と同盟国のコミットメント」という見出しの部分である。

問題点は実に分かり易い。ロシアとの交渉を奨励するために、著者たちはウクライナに安全保障を提供する計画を決定したいと考えている。不幸なことには、ウクライナが欧米が主導する安全保障同盟の一部に参加することについてはロシア側はそれを許す積りなんてない。実際、その点こそが、米国と結びついた敵対的な軍事同盟(NATO)へのウクライナの加盟を先取りするために、そもそもロシアが侵略を開始した理由なのである。これは厄介な問題であって、将来の交渉においては間違いなく障害となるであろう。しかし、それはまったく「余地」のない問題なのである。ウクライナは、あるいは、ウクライナに残されたものはそれが何であっても恒久的に中立であることが必要であり、すべての極右過激派は政府や軍隊、治安機関から排除されなければならない。 モスクワはウクライナの指導者を選ぶことはないが、それらの指導者がナチスではなく、極右のナショナリスト組織とも関係がないことを確認するであろう。

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米国政府はいくつかの戦闘キャンプに分割されるのか?

先に述べたように、ランド研究所の報告書はエリートたちがウクライナ問題で現在分裂していることを露呈していると思う。これは交渉や戦争の終結につながって行く可能性を秘めた前向きな進展であると思える。しかしながら、最も公平な分析であってさえも、資金を提供してくれる集団の方向に有利に傾く可能性があるという現実を無視してはならない。そして、ここでもその点が当てはまる。ランド研究所は超党派のシンクタンクであるが、退役した米空軍中佐のカレン・クビアトコウスキーによれば、次のことを記憶しておいて欲しい:

「(ランド研究所は)防衛分野のために働いており、同分野で資金が枯渇したならば、このシンクタンクは現在の形で存続することはできなかったであろう。同研究所は米国政府の利益のために全面的に役立ち、そのことに依存している。」(ルー・ロックウェル)

これがいったい何を示唆しているのかと言うと、ランド研究所の報告書は米国がロシアとの直接の火遊びに向かって真っ向から競争していると信じているペンタゴンや米軍支配層の見解を表しているかも知れないということである。言い換えれば、本報告書は国務省とホワイト・ハウスを運営するネオコンに対する最初のイデオロギー的批判であるのかも知れない。国防総省と「政府」の間のこの分裂は、今後、日を追うにつれてより鮮明になるとわれわれは思っている。国防総省内のより分別のある派閥が勝利することを期待するのみである。

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これで全文の仮訳が終了した。

「エリート間のコンセンサスの分裂は過去11か月間で最も前向きな進展であるとさえ考えられる」という著者の指摘は実に秀逸である。

思うに、米国のエリートたちは戦争は金儲けのためであると考える傾向が強い。米国はロシアが持っているエネルギー資源をただ同然に入手し、食糧生産のためにロシアに果てしなく広がる農地を確保したいとの夢を抱いていた。今もそうであろう。この夢は旧ソ連邦の崩壊後のエリツイン政権の頃には実現する一歩手前まで進行して行った。だが、ロシアにプーチン大統領が新たに登場すると、彼らの夢は本物の夢に終わることになった。自国を戦場にして米国の代理として対ロ戦争を遂行するウクライナにおいても、多くの政治家やオルガニヒたちは自分のポケットを膨らませることに余念がない。西側から供給される軍需物資は、大型兵器も含めて、その多くが国際的な闇市場に消えて行くと報じられている。

これまでは現実を見据えた分析からは程遠く、「こうしたい」とか「こうあって欲しい」といった筋書きの下で作戦や政策が構築され、実行されたきたが、それらは多くが、対ロ経済制裁を含めて、当初の目標を実現してはおらず、大失敗に終わっている。奇しくも、ランド研究所は、今までの主流の筋書きとは180度の方向転換を行って、「ウクライナにおける長期戦のコストとリスクは甚大であり、米国にとってはそのような長期戦の軌道から得られるであろう利益を上回ってしまう」と言い切った。莫大な利益を夢見てきた好戦派にとっては自分たちの夢が完全に破られたとの思いをしていることであろう。

願わくば、この衝撃的な報告書が米国のエリートたちを新たな理解に導き、核大国間の全面的な戦争に発展させないという叡智を対ロ政策に反映して欲しいものである。もっとも信頼されているシンクタンクによって利益よりも損害の方が大きいと指摘されたからには、彼らはウクライナ紛争の速やかな収束を現実の課題として捉えるしかない。

また、クリス・ヘッジスの言葉も素晴らしい。彼はこう述べている。「ワシントン政府はウクライナを救うために、しかし、もっと重要なことには自らを救うために、ウクライナに対してこれまで以上に洗練された兵器システムや何十億ドルもの援助を与えている。」つまり、彼に言わせると、ウクライナに対する支援は「米国自身を救うためだ」と。この見解は実に秀逸である!ウクライナ紛争においてウクライナが負けると、それは米国を救うことにはならない。最悪の場合、米国の覇権に崩壊をもたらす。

ここで、短期的なロシア経済に対するウクライナ戦争の影響についても見ておきたい。もっとも手っ取り早いのは昨年のロシアのGDPだ。モスクワタイムズ紙の13日の記事、「What Really Happened With Russia’s Economy in 2022?」を下記に抜粋してみよう:

ロシアの中央銀行総裁は12月に、ロシアのGDP2022年にわずか3%縮小すると述べたが、ウラジミール・プーチン大統領は2.5%の減少を予測した。ドイツ国際安全保障問題研究所(SWP)のエコノミスト、ジャニス・クルーゲはモスクワタイムズに「ロシア経済は2022年を生き延びた」と語った。これに比較すると、2009年の世界経済危機の際にはロシアのGDP7.8%も縮小した。報道機関である「メデユーサ」がインタビューしたエコノミストによると、ロシア経済についての終末予測はその多くがロシアは銀行危機に直面するという想定に基づいていた。しかしながら、銀行危機は起こらなかった。また、侵略の結果として石油やガスを含む商品の価格が急騰したため、ロシア経済は記録的なエネルギー輸出の収入増によって支えられている。ウォールストリートジャーナル紙が引用した商品データ会社「Kpler」の数値によると、ロシアからの海上石油輸出は禁輸措置の導入後の12月には22%減少した。「ロシアは、この大きなクッションもなくなり、ガス輸出のヨーロッパ市場もなく、石油価格と石油輸出量がはるかに少ない状態で2023年に向かっている」とクルーゲは言った。ガスと石油の輸出の減少はロシアの通貨を弱めると予想されており、ルーブルは、最近、原油価格の上限が課されて以来米ドルに対して13%下落している。「ルーブルは弱まり、ロシアではさらにインフレにつながるだろう。これは政治的な問題になる」とSWPのエコノミストが述べた。昨年のロシアの年間インフレ率は12%に達すると予想されている。1,000社以上の外国企業の流出やロシアへの輸出に対する西側の制裁などによって、戦争による他の結果もあって、より緩やかな影響を与える可能性がある。「多くの企業は、欧米の技術、ソフトウェア、機械へのアクセスを失うだろう」とエコノミストのクルーゲ氏は言う。「これは、生産性に非常にゆっくりとした侵食を引き起こす。」業績がもっとも悪いのは自動車製造で、ロシアの自動車販売は2022年に前年比60%減の66万台で終了する模様だ。一方、2022年は農業にとっては成功した年であり、少なくとも4%の全体的成長を記録すると予測されている。このようなゆっくりとした着実な減少は今後数年間続き、ロシア経済全体においてさまざまな度合いで繰り返されるとおもわれる。エコノミストのイツホキ氏は、ロシア経済は2023年に最大5%は縮小すると述べ、他のエコノミストはさらに大きくなると考えている。「経済が2023年の主要ニュースとなる可能性は低い」とイツホキ氏は今月初めに述べた。「戦争がさらに10か月続く中で、大変動を引き起こさないとは想像しがたい。」

ロシア・ウクライナ戦争を総括するのは間違いなく時期尚早であろう。だが、さまざまな歴史的事実を考察すると、「どうしてこんなことになったのだ?」という素朴な疑問が浮かんでくる。アングロサクソンが長年にわたってロシアに対して抱いてきたライバル意識、西側が採用した間違った戦略、米国内の党利党略、米帝国の覇権を維持せんがための武力に頼ったさまざまな動き、過去の嘘に辻褄を合わせるための新しい嘘、政治家の個人的な功名心、等の諸々の要因が複雑に絡んでいる。現在の混沌とした状況はそういった背景を持っているようだ。これは一朝一夕に変わるようなものではないであろう。

とは言え、もっとも根源的な期待や願いは、「ますます多くのエリートが正気になり、われわれ一般庶民を瀬戸際から、つまり、世界規模の核戦争から引き戻してくれ!」という点に収斂する。

参照:

1Ukraine Is Sinking. Are Western Elites Bailing Out?: By Mike Whitney, The Unz Review, Feb/01/2023

 




2023年2月4日土曜日

米国防総省は国家安全保障プログラムの下で最初から新型コロナワクチンをコントロールしていた ― ワクチンは安全でも有効でもなかった

 

新型コロナワクチンの有効性や安全性は今や伝説と化している。少なくとも、詳しい情報にアクセスすることが出来る専門家の間では真の情報が取り上げられ、それらは公開されつつある。こうして、それまでは正統派の見解であると言われてきた説明内容は、今や、そのまったく反対の意味合いこそが真実なのであるということを多くの人たちが認め始めたようだ。この新たな現象は約半年程まえには感知され始めていた。もっと正確に言えば、素人である私自身もがそう感じ始めていた。ワクチン賛成派とワクチン反対派との間では、もちろん、さまざまな場所で、そして、さまざまな形で熾烈な攻防戦が今も続いている。まさに、情報戦争だ。

この新たな現実認識は現時点ではまだ少数派ではあるが、今後、一般庶民の間で勢いを付け、広がって行くことであろう。

「クリーブランド・クリニックで行われた大規模な研究によると、ワクチンを接種し続けると新型コロナに感染し易くなる」と題された記事を130日の投稿でご紹介した。2021年の米国におけるワクチンによる死亡者数は、最新の解析によると、278,000人に達するという報告をお伝えしたばかりだ。2022年のデータを加えたら総死者数はいったい何人になるのであろうか。あの記事も新型コロナワクチンの安全性に関する現実の姿をわれわれ一般庶民に伝えようとしている。つまり、現実世界はエリートたちが一般庶民を前にして今まで説明してきた内容とは正反対であって、mRNAワクチンは安全でもなく、有効でもなかったというまったく新しい姿を曝け出している。新型コロナワクチンに対する信頼は極めて基礎的な部分から、今、崩壊しようとしているのである。

ここに「米国防総省は国家安全保障プログラムの下で最初から新型コロナワクチンをコントロールしていた ― ワクチンは安全でも有効でもなかった」と題された記事がある(注1)。これは今まで新型コロナ対策について秘密にされて来たさまざな事柄の中でも極めて重要な要素のひとつではないか。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

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CD メディア」はワクチンに関してサーシャ・ラティアポワに何度もインタビューしてきた。今、彼女は新型コロナ「ワクチン」と国防総省との関係について重要なニュースを報じている。

速報

202315

国防総省が新型コロナプログラムを最初から管理してきたことを新たな文書が暴露

FDAによるワクチン承認のプロセスは「やらせ」

PREP法」(準備法)や「緊急使用許可」、ならびに、「その他の取引権限」を組み合わせることによって、規制されてはいないワクチンを提供した大手製薬会社や代理店、ならびに、医療従事者をあらゆる責任から免責にした。

 

【ワシントンDC発】議会で可決された法令、有効な法律の研究、および情報公開法を通じて入手した追加的な詳細情報によると、国防総省は新型コロナワクチンの接種プログラムをあたかも外国からの攻撃に対する「対抗策」として捉え、その策を実施し、監督している。一般庶民が恐怖を喧伝する組織化されたキャンペーンに襲われている間、米国政府は新型コロナ対策を国家安全保障上の脅威として管理していたのである。

この調査と関連した文書が医薬品開発業務受託機関(CRO)の元幹部であったサーシャ・ラティポワと活発に活動している法律研究者のキャサリン・ワットの手に入った。

3脚の椅子:

この覆面作戦は3つの重要な法的基盤によって操作され、構成された。

1. 緊急使用許可(EUA)、

2. 準備法、

3. その他の取引権限(OTA

トランプ大統領は、2020313日、スタッフォード法に基づいて公衆衛生緊急事態(PHE)を宣言し、国家安全保障会議に新型コロナ感染症政策を担当させた。新型コロナワクチンは「医療対策」であり、ワクチンや医薬品としては規制されていない製品であって、灰色の領域にある。

「彼らはこれを国家安全保障会議に責任を負わせ、戦争行為として扱った」とラティポワは述べている。

ワープスピード作戦/ ASPR(軍調達規則)報告によると、国防総省は、同省において以前から地位を確立している軍事請負業者やコンソーシアムのネットワークを主として活用し、新型コロナ対策の開発、製造、および、配布を注文し、彼らを監督し、厳密な管理を行った。

国防総省、BARDA (Biomedical Advanced Research and Development Authority)、および保健福祉省は、大規模な製造による試作品のデモンストレーションとしての「ワクチン」を含むすべての新型コロナ対策を命じ、「他の取引権限(OTA)」の下での規制や透明性を回避せしめた。こうして、緊急事態の中でEUAの下で使用される試作品としての「ワクチン」を含めて、新型コロナ対策は製造品質や安全性、表示に関する米国の法律に準拠する必要はないのである。

「これが意味するところは、米国政府が非準拠の生物学的物質である「試作品」の法的地位を明確にすることもなく、米国市民に向けて非準拠の生物学的物質を展開することを承認し、資金を提供し、同物質を通常の規制監督の対象には含めず、その一方で、公衆に対しては詐欺的な疑似「規制」を誇示し続けているということだ」とラティポワは述べている。

「信じられないような事実の中でも最悪の点は、米国議会によって制定された現在の法律が隠蔽行為を合法にしているかのように見えることだ!」

PHEの下での医療対策は医薬品としては規制されず、保護もされてはいない(21 USC 360bbb-3(k))。

FDACDC、ならびに、アンソニー・ファウチといった代表が新型コロナワクチンの接種プログラムを監督して来たと信じ込んでくれるように、米国市民は巧妙に唱導されてきた。彼らの関与はまさに組織的な情報操作であった。新型コロナワクチンの研究、製剤の入手、配布、および情報共有に関するすべての決定は国防総省によって厳しく管理されていた。

何百もの新型コロナ対策契約が存在することが明らかになった。開示された情報の多くは編集された形式であって、塗りつぶしがある。しかし、ラティポワとワットは塗りつぶされた詳細部分を埋めることが可能なさまざまな情報を発掘した。これらの契約を改めて覗いてみると、米国政府(国防総省/ BARDA)によって高度な管理が行われていたことを示している。契約書は納入する製品の範囲を「デモンストレーション」や「試作品」としてのみ指定し、臨床試験と製造品質管理は契約によって支払われる作業の範囲からは除外されている。製薬会社が金銭的リスクなしに偽の臨床試験を自由に実施できるようにするために、契約は2005年の準備法および関連のある連邦法に基づいて、製造業者およびサプライチェーンおよび流通チェーンに沿った請負業者に対するすべての責任は免責されている。

だが、どうして規制当局や裁判所による行動はなかったのであろうか?ラティポワとワットによると、最近可決された法律と大統領命令の組み合わせによって、嘘をつくことは合法となるのである!公衆衛生国家緊急事態が3か月ごとに議会によって延長され続ける限り、保健福祉省の長官は誰に対しても責任を負わない。

新型コロナの大流行が米国を襲うや否や、重要な情報操作が開始された。米国政府や諜報機関、メディア、ビッグテックは共謀して、反論を唱える医師や批評家、実行可能な代替治療、等を批判し、緊急使用許可法に基づいたワクチンを合法的に指定するために設計された激しい圧力キャンペーンを策定し、それらを実行した。この指定により、標準的な安全性および公衆衛生プロトコールを欠いた、迅速な製造が可能となったのである。

ワクチンがEUAの下で指定を受けるには、他の既知の治療法や治癒はあり得ない。したがって、イベルメクチンやヒドロキシクロロキンなどの多くの実証済みの治療法はメディアにおいてブラックリストに載せられ、これらの安価ですぐにでも入手できる薬剤の有効性が歓迎された際には「馬の駆虫剤」として蔑視され、却下されることになった。

ピーター・M・マッカローやピエール・コリーといった著名な新型コロナ治療医たちは、今、彼らの医療提供資格について前例のない悪質な攻撃に直面している。

***

これで全文の仮訳が終了した。

世界を席巻した新型コロナ感染症に対抗するために開発されたmRNAワクチンがメディアでもてはやされていた頃、大手製薬メーカーのCEOは「われわれは長期的な安全性について臨床試験を行うことは契約上要求されてはいない」と言った。その時、私は「オヤッ」と思った。異常な印象に襲われたことを今でも記憶している。しかしながら、この発言が具体的に何を意味するのかを正確に捉えることができないまま、素人の私はこの発言をやり過ごしていた。

しかしながら、今回の引用記事がすべての疑問に明確に答えてくれている。

公衆衛生上の緊急事態という名目でmRNAワクチンを開発した製薬企業は新型ワクチンの集団接種によってどのような副作用が起ころうとも、どれだけの死者が出ようとも、どれだけ多くの人たちが慢性的な後遺症によって毎日の生活で苦労を強いられようとも、そのことについての法的責任からは免責にされていたのである。何て言うことだ!これ程に保護されているビジネスって他にもあるのだろうか?

われわれ一般庶民は誰もがこの作戦の重要な一部であった。これは情報作戦であった。つまり、洗脳作戦であったと理解すれば、新型コロナ感染症の恐怖感を連日喧伝していたメディアの行動は新型コロナ禍で金儲けビジネスを遂行するジグソーパズルの中へ見事に納まって来るのである。

40年以上も前のことであるが、ハリウッド映画に「未知との遭遇」と題されたUFOとの接触を描く映画があった。私もテレビに噛り付いて、ワクワクしながらあの映画を観ていた。その一場面に、エイリアンとの接触を試みる科学者らの活動の場所を一般庶民から隔絶させるために軍を動員して、有毒ガスの漏洩があったと嘯いて、地域住民を遠ざけようとする場面があった。あの映画では軍の活動は映画のストーリーの中の小道具のひとつでしかなかったのだが、新型コロナ対策においては米国防総省の諜報部門の役割は多いに格上げされ、全世界を相手に作戦のすべてを指揮する旗振り役となったのである。

「これが意味するところは、米国政府が非準拠の生物学的物質である試作品の法的地位を明確にすることもなく、米国市民に向けて非準拠の生物学的物質を展開することを承認し、資金を提供し、同物質を通常の規制監督の対象には含めず、その一方で、公衆に対しては詐欺的な疑似規制を誇示し続けているということだ」とラティポワの指摘は厳しい。

これらの詳細を報じたサーシャ・ラティポワとキャサリン・ワットに謝意をお送りしたい。

諜報を専門とする大組織がいくつも存在する米国政府においては、市民の個人情報を収集すること、大衆を洗脳すること、国民に向けて嘘をつくこと、等を生業としている人たちが何十万人もいる。奇しくも、そういった当局が製薬大手と手を取り合って新薬プロジェクトを遂行しようとした場合、何十万人もの死者を出したmRNAワクチンに見られるような悲惨な事態が起こり得ることを今回の新型コロナ禍が具体的に教えてくれた。しかも、もうひとつの大きな不幸はこの悲惨な事態がすでに終わったわけではなく、今後何年続くのかについては誰にも予想できないという点にある。

米国市民の多くはまだ真相を理解してはいないかも知れない。世界中の人たちも同様であろう。だが、さまざまなデータや新事実に関する情報を所有しているワクチン反対派によって今までは隠蔽されてきた事実が掘り起こされるようになり、新たに報じられる情報は天地をひっくり返すようなものも少なくない。それ程に、新型コロナワクチンを巡って展開されていた洗脳作戦は酷かったのだ。

最近、米メディアにおいては既存の商業メディアは掲載しようとはしなかった記事が大手メディアによっても報じられるようになって来たように感じられる。これは大きな変化であると言えよう。

参照:

1BREAKING: DOD CONTROLLED COVID ‘VACCINES’ FROM THE START UNDER NATIONAL SECURITY PROGRAM – LIED THE ENTIRE TIME – Were NEVER ‘Safe and Effective’: By Staff Writer, CDM, ARMED FORCE PRESS, Jan/05/2023