2021年8月25日水曜日

Ken Yamamotoという整体師さんの国際的な活躍に感動

 

このブログでの投稿総数が501件となったところで、勝手ながら、本日は国際政治の舞台からはまったく違った領域へ移動し、気分転換をしてみたいと思う。

最近、私はKen Yamamotoという日本の整体師さんが発信している動画にすっかり嵌ってしまった。それらの動画によると、彼の活動の舞台は腰痛の治療であって、日本だけではなくタイ、オーストラリア、スペイン、米国のハワイでも腰痛に悩まされている患者さんたちをたくさん治療している。実際には腰痛だけではなく、肩や首、手足、さまざまな痛みに挑戦している姿が頼もしい。もっとも興味深い点は、10年も20年も苦しんできた腰痛を15分か20分間の治療で痛みのない体にしてしまうことだ。何年間痛みを抱えて来たのかは彼の治療には関係がないと言う。さまざまな治療を受けたにもかかわらず完治せぜ、10年も20年もの間腰痛と付き合って来た患者さん本人の側からすると、彼はまさに「神の手」を持った治療家であると見えるようだ。

私はカリフォルニアで仕事をしていた頃、坐骨神経痛に悩まされたことがある。腰から右脚を経て、親指の先端まで痛みが走った。痛みのせいで歩くことが非常に難儀であった。地元のカイロプラクティック治療や中国人の鍼師の治療を受けたがその場では痛みが消えても、数時間後、あるいは、翌日には痛みが戻って来るという具合で、好転せず、何週間も悩まされた。通勤のために往復で2時間ほど車を運転していたが、運転姿勢をガラッと改めたみた。何のことはない。これによって、徐々に改善し始めたのだ。幸いなことには、それ程長期化せずに回復した。

この整体師さんの動画を見ると、世間には腰痛だ、50肩だと言って、痛みを抱えている人が驚くほど多くいることが分かる。年配者に限らず、比較的若い人もたくさんいる。多くの場合、西洋医学、例えば、整形外科はこういった痛みに対して有効な治療を施すことが何時でもできるというわけでなないようだ。リュウマチだと言われたりする。あるいは、「リハビリをしましょう」と言われて、長い間の治療を強いられることもある。さまざまな治療を行っても改善せずに、あちらこちらを転々として、10年、20年が経ってしまう。その一方、この整体師さんは15分か20分で痛みを完全に除去してくれる。痛みは完全にとれると断言する。リュウマチだ言われて、長期化していた痛みが治ってしまう。

東洋医学は痛いところを直接治療するのではなく、全身に張り巡らされている「経絡」から治療を施す。つまり、鍼灸で多用される「つぼ」だ。極端な場合、首の痛みを足から治療することもある。西洋医学と東洋医学の間にはかくも大きな違いがある。

ご興味がおありでしたら、ひとつの事例として、「身体中手術をしたスペイン女性。手術したのにずっと痛い23年間を治せ」と題されたKen YamamotoYouTubeの動画サイト(https://youtu.be/_U_DxJYALMs)を見ていただきたいと思う。この動画に出てくる女性の患者さんは23年間毎日痛みに見舞われていたが、それが消失したという。

もしも読者の皆さんの中に腰痛や肩、首、手足の痛みに悩まされている方がおられるならば、この整体師さんの動画から何らかの有用なヒントを得ることができるだろうと思う。

もうひとつの参考になると思われる動画は「【筋膜リリースのウソ】腰痛の意外な原因」と題されたもの(https://youtu.be/GvuupbdENHk)。

私はこれらの動画を見てからというもの、左右の手足の動きに不均衡な違いがないかどうかを毎日確かめるようになった。また、脛骨が上下左右に正常に動くことが大切であるということを学んだことから、脛骨の正常可動範囲を毎朝確かめている。下半身の運動ではふくらはぎが腿に密着するまでしゃがむ動作を毎日繰り返している。こんな風に、この整体師さんの動画を見る前にはまったく考えてもみなかったことを今は毎日意識して確認を行い、柔軟体操をするようになった。結果として、以前と比べてよりメリハリのある健康法が身に付いて来たかなと思っている。




 

2021年8月23日月曜日

カザフスタンにある米軍の生物研究所ではどのようなウィルスが研究されているのか?

 

新型コロナウィルスの感染が世界的に拡大したことによって、好むと好まざるとにかかわらず、生物兵器に対する関心が高まっている。

▪ 生物兵器の歴史を辿ると、日本も太平洋戦争当時生物兵器の開発に関与していた事実が明らかにされている。731部隊が実験を行っていたのは、中国東北部の旧満洲にある秘密研究所。ペストやチフス、凍傷に関する人体実験のための材料とされ亡くなった人は3,000人に上るとも言われている。(原典:731部隊の真実 ~エリート医学者と人体実験~:NHKスペシャル、20171219日)

その一方、森村誠一『続・悪魔の飽食』などに「731部隊によって生体解剖される中国人の犠牲者」として紹介された写真は、『山東省動乱記念写真帖』(青島新報、1928年)に掲載された済南事件被害者の検死中の写真であり、731部隊とは無関係であったとも言われている。(ウキペディアから)

 朝鮮戦争では米軍が生物兵器を使用した。腸チフス、再起熱、パラチフス、発疹チフス、コレラ、天然痘、流行性出血熱、等の伝染病が発生。特筆すべきは太平洋戦争当時731部隊の長であった石井四郎軍医が朝鮮戦争中に南朝鮮に現れたと報じられている。

▪ ベトナム戦争(1955年―1975年)における米軍による枯葉剤の大量使用については現在誰もが何らかの知識を持っている。米軍は枯葉剤はマラリア対策であるとしたが、実際の使用理由はベトコンが潜むジャングルを破壊し、ベトコンを支える農耕地帯を破壊することであった。ベトナム政府によると、最大で300万人が枯葉剤に暴露され、21世紀の今でも先天性欠損(先天性口蓋裂等の奇形出産)を抱える子供15万人を含む100万人が深刻な健康影響を受けているという。

▪ オーム真理教が引き起こした地下鉄サリン事件(1995年)では13人の死者と6000人の負傷者を出して、大惨事となった。オーム真理教の教祖である麻原彰晃は死刑を宣告され、教団の幹部らと共に2018年に死刑が執行された。そして、今も未解決のままに残されているのは50人もの教団関係者が依然として行方不明のままであるという点だ。1995年に起こったこの事件を境にして、日本社会に関する安全性神話は完全に崩れたと指摘する向きが多い。この指摘は個人的にも共感できる。国内におけるそうした負のイメージとは逆説的な社会現象が最近現れたことも事実として触れておこう。海外からの観光客の数が増加して、コロナ惨禍前の2019年には3188万人と最多記録に達した。彼らの多くは日本の都市にはゴミ箱が無いにもかかわらず、ゴミがひとつも落ちてはいず、すごく綺麗だと言って、称賛を惜しまない。これは地下鉄サリン事件を契機にして、再びテロを引き起こさないために通りに設置されていたゴミ箱が撤去されたからであった。ゴミ箱の撤去は地下鉄サリン事件から派生した二次的な現象であることは多くの海外観光客にとっては知る術もない事柄なのである。

▪ 同時多発テロ事件の7日後に発生した米国における炭そ菌テロ事件(2001年)では、大手テレビ局や出版社、上院議員に対して炭そ菌が封入された封筒が送り付けられ、米国社会を震撼させた。この事件では郵便局の職員を含む5人が死亡し、17人が負傷した。炭そ菌についての専門知識を持っている者が犯人であると考えられ、専門の研究設備がなければ生産できないことが分かっていた。容疑者とみなされた学者は自殺した(2008年)。彼は米陸軍感染症医学研究所(USAMRIID)に長年にわたって勤務していた。汚染された建物やオフィスの洗浄のために総額10億ドルが費やされたという。2010年米司法省は上記の科学者の単独犯行でっあっとの最終結論を発表し、この調査の終了を宣言したが、米国科学アカデミーの報告書(2011年)は米法務省の最終結論に疑義を呈している。結局、この炭そ菌事件はニューヨークの世界貿易センタービルに旅客機を突入させるという異様なテロ事件と並んで、イラクやアフガニスタンに対する武力侵攻を正当化する上で大きく役立ったようだ。

上記の事例は生物兵器の歴史を示すほんの一部でしかない。

余談になるが、生物兵器と並んで常に議論されるのが核兵器と化学兵器である。核兵器を筆頭に、これらの三種類の兵器は大量破壊兵器と呼ばれる。それが故に、政治絡めで議論されると話がこじれて来る。逆説的に言えば、国際政治の舞台では、たとえ舌戦ではあっても、これらの大量破壊兵器は相手側に相当の衝撃を与える。生物兵器について言えば、今進行中の新型コロナウィルスの起源は自然発生か、それとも、人工的に作られたもの(つまり、生物兵器)かという議論が今も続いている。直ぐには答えはでないであろう。化学兵器については、シリア政府軍が化学兵器を使ったとしてシリア政府を非難した反政府武装勢力の活動が余りにも有名である。しかも、西側が支援するシリアの反政府派が行った自作自演作戦を擁護するために、化学兵器禁止機関(OPCW)までが現地調査を行った調査官の報告書を改ざんし、最終的には偽りの報告書を公開するという破廉恥な行動をとった事実が明るみに出た。まだ記憶に新しい。

ここに「カザフスタンにある米軍の生物研究所ではどのようなウィルスが研究されているのか?」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。米軍による生物兵器開発の実態を再認識しておこう。

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米国が生物兵器の開発を行っている中で、最近米国の活動に関して苦情が増加している。こういった苦情が表面化する理由は増えるばかりだ。主な苦情のひとつは25か国において400か所以上もの軍事用生物研究所を運営している米国の活動についてである。それらの国々には旧ソ連圏に属していたアルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、カザフスタン、モルドヴァ、ウクライナおよびウズベキスタンが含まれる。

米国の政治家はこれらの研究所は単なる「研究センター」であって、米国の専門家は各国の研究者が危険な疾病との闘いを行う手法について手助けをしているだけであると言うのであるが、ワシントン政府はこれらの軍事的な研究施設ではいったい何が行われているのかについての情報は如何なるものであっても極めて注意深く抑制する。上記の国々の議員らにとってはこれらの施設内では閉じられた扉の向こう側でいったい何が起こっているのかを知る術はないのである。これらの国々に配置された米国の生物研究センターと米国のフォート・デリック軍事基地に所在する研究施設においては国防総省の白衣を着た研究者らが何十年にもわたって生物兵器を研究して来た。これらは同一組織なのである。

このような研究施設が存在する国々では極めて不可思議な疾病が出現し、これらの出来事には米国主導の生物研究所が関与しているのではないかという疑念が高まっている。

730日、カザフスタンのテレビ局「チャンネル・ワン・ユーラシア」はカザフスタン国内の二つの地域で予期しない形で原因不明の疾病によって大量の家畜が死亡したことを報道した。特に、家畜の死亡は北カザフスタン地域で起こった。獣医らはこの病気は黒脚症(emphysematous carbuncle)ではないかと疑っているが、この疾病はこの地域では長い間一度も報告されてはいなかったのである。この感染症は主にワクチンの接種をすることができないような非常に若い家畜を襲う。大量死はお隣のアクモラ地域でも起こっており、アザトとカラブラクの二つの集村では500頭以上もの家畜が病気に罹った。

知られてはいない疾病あるいは大分前に流行ったが今や根絶されたと思われている疾病が、近年、カザフスタンのさまざまな地域で定期的に起こっていることに専門家らは気付いている。その結果、家畜が大量に死んだ。一般大衆はこれはアルマータに所在する米国の軍事用生物研究所が関係していると見ており、同研究所の活動はカザフスタンによる公的な監督だけではなく国際的な科学者サークルによる監督についても埒外に置かれているという事実にも関連付けられている。

新型コロナウィルスの大流行との関連でロシアと中国はこれらの研究所と同様の研究施設については全世界でチェックをする必要があることを強調した。このことを思い起こして欲しい。しかしながら、米国はその提案を無視した。7月中旬、カザフスタンの社会主義運動党やジョージアの統一共産党、ラトビアの社会党、パキスタンの共産党が生物兵器の生産と配備に反対し、米国の軍事用生物研究所の閉鎖を求める請願書に署名を開始するよう合同提案を行った。

この提案の背景には同じような研究施設が旧ソ連圏の国々で10か所以上も稼働しており、このことが大きな動機となった。米国の資金で「セントラル・リファレンス・ラボラトリー」が数年前にアルマータに設立され、この施設はペンタゴンが使っている。しばらく前に、カザフスタンのメディアがこの件に関心を寄せようとした。昨年、コロナウィルスがカザフスタンで猛威を振るい、死亡率が高まり、厳格な隔離政策がとられた際に、地元の大衆紙がアルマータにある米国のセントラル・リファレンス・ラボラトリーの目的のひとつは、ワシントン政府の公的な声明によれば、危険な感染症と闘うことであるとして、読者に注意を喚起した。これに関して、カザフスタンの人々は極めて正当な疑念を抱いた。「闘い?いったい何処で行われているのか?」と。

国際条約が存在するにもかかわらず、米国が生物兵器の生産を中断しなかったことは決して秘密ではない。そして、次のことが確認されている。ペンタゴンには国防高等研究計画局(DARPA)があり、この組織は軍事領域におけるもっとも先進的な技術を開発し、それらを実現することに携わっている。バイオテクノロジー分野もそのひとつである。米国防総省は自分たちが携わっている技術は軍事と民生の両方で使用可能であることを認めている。しかしながら、米国の国内法ではある種の実験は地域住民に脅威をもたらすことから米国国内では禁止されている。これはそういった実験は旧ソ連圏を含めて外国で実施されることを意味する。

201810月、アメリカン・ジャーナル・オブ・サイエンス誌は「農業関連の研究なのか、それとも生物兵器か?」と題された記事を掲載した。この記事の中で、ドイツとフランスの微生物学者は中ロの国境地帯でそういった研究所の数が増えていることに懸念を示し、米国は米国自身の国境からは何千キロメートルも離れた場所で細菌戦争の準備をしているとの見解を表明した。この記事は昆虫同盟と称されるペンタゴンのプログラムに関して記述している。これは大規模な生物学的実験に関するもので、得られた結果は軍事目的に使用される。

カザフスタンで外国が主導する研究所に関して最初に反対した一人はアミルベク・トグソフであった。彼はカザフスタンの元外務副大臣であったが、2020年の夏、米軍が行った致死的ウィルスの実験に関する資料をロシアに手渡した。

「ここではわれわれは実験用のサル同然であって、ペンタゴンはこれらの新型ウィルスのためにわれわれの領土を自然界における実験場として使っている。研究所はわが国の管理下からは除外され、秘密裏の活動を行っている」と、アミルベク・トグソフ将軍は当時述べた。その後間もなく、トグソフ将軍は突然予期せぬ形で死亡した。

だが、この話はカザフスタンの一般大衆を代表する何人もの議員らによっても取り上げられ、同国における新型コロナウィルスの出所はアルマータにある米国の生物研究所であると主張した。カザフスタン当局は自分たちの名声を維持することに全力を尽くし、そういったコメントを発した者たちを100人以上も刑事訴追をしたが、これらの主張は一般大衆から広い支持を受けることとなった。

「生物研究所問題」に関するアフガニスタン当局の立ち位置は過去一年間ずっと変化し続けてきた。研究所で働いている「外国からの研究者」はまったく居ないとさえ言った。しかしながら、「Center for Highly Hazardous Infections」研究所には米国の軍人が雇用されている事実が当該研究所の管理部門によって公に認識されている。20214月、同管理部門は、「Jacobs Engineering」社の一部であり、米国防総省の代理人役を務める企業「CH2M Hill Constructors, Inc.」と一緒に業務を継続することを表明した。CH2M社は「国防脅威削減局」(DTRA)との契約の下でペンタゴンの「Cooperative Biological Engagement Program」(CBEP)プログラムによって設立された研究施設を管理・支援するためにアフガニスタンで業務を進めていた。DTRA4億ドルの資金を投下して、カザフスタンに生物研究所を設立した。CH2M 社の業務に対するペンタゴンの介入振りは米国陸軍工兵隊のエンジニアであるエリック・グラハムが同研究所のある部門の長の地位を占めているという実態からも明らかである。彼は、以前、ジョージア州で軍事用生物研究所の建設に参画していた。

一般公開されている米国の情報源によると、DTRAは少なくとも2005年以降カザフスタンにおいて研究活動を行って来た。同国の6か所に研究所があって、これらはCBEPプロジェクトの一部としてペンタゴンの資金によって創設され、CH2MJacobsの両社が運営の責任を負っている。同国で起こったいくつかの感染症の大流行はこれらの秘密に運営されている研究所で働く研究者らによって引き起こされたのではないかと多くのカザフスタン人たちは疑っている。しかしながら、これらの疑惑について確証を与えた者はまだ現れず、ワシントン政府は諸々の活動を秘密裏に維持することに全力を振るっている。

20205月、ロシア外務省のセルゲイ・ラブロフ外相は米国は生物兵器研究所について透明性を保つことを拒否していると指摘し、非難した。彼は「細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産および貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約」における査察メカニズムを構築することに対する米国の拒絶はワシントン政府の実際の目標はいったい何なのかと疑わせるものだと厳しく指摘した。

著者のプロフィール:ウラジミール・プラトフは中東問題の専門家であって、オンライン誌の「New Eastern Outlook」に特別寄稿をしている。

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これで全文の仮訳が終了した。

生物兵器に関する歴史的事実がどこまで真実であるかを議論する際には証拠や証言を支える記録文書の存在が欠かせない。そういう観点から言えば、個々の出来事について真実を追求し、合理的な結論を導くことができるかどうかを確信することはそう容易いことではなさそうだ。

そして、そういった状況は21世紀の現在も大なり小なり観察される。

新型コロナウィルスが大流行し、その収束がまだ定かには見えてはいない中、米軍主導のカザフスタンにおける軍事用生物研究所はカザフスタンの人々の間に深刻な疑念を引き起こしている。この深刻な状況をさらに深刻にしているもうひとつの要素はカザフスタン以外にも同じ状況に曝されている国がいくつも存在しているという現実だ。

新冷戦が続いている現時点の地政学的環境の中では政治理念や人道的な倫理観だけではこれらの課題を解決することは不可能である。政治・経済的な覇権を維持するためには覇権国は新たに登場してきた相手国には常に、貿易戦争、通貨戦争、情報戦争やサイバー戦争を含めて、総合的な軍事的脅威を与え続けることとなる。こうして、真実や人道的倫理観は常に最初の犠牲者となるのである。実に不幸なことである。

参照:

1What Viruses are Being Studied by US Military Bio-Laboratories in Kazakhstan?: By Vladimir Platov, NEO, Aug/06/2021

 




2021年8月15日日曜日

さあ、レンガを買いたまえ!米国はウクライナを売りに出しているぞ~

 

20142月のウクライナイにおけるマイダン革命からすでに7年余りとなった。革命当時の混乱の時期に比べて、今や驚くほど多くの事実が掘り起こされており、当時のメディアが後押ししていたオフィシャルな筋書きとはまったく異なる背景や解釈が表面化している。しかしながら、マイダン革命に関するオフィシャルな性格付けと事実との間のギャップが妥当なレベルにまで縮小したのかと言うと、現実は必ずしもそうではない。

ここに、「さあ、レンガを買いたまえ!米国はウクライナを売りに出しているぞ~」と題された記事がある(注1)。「米国がウクライナを売りに出している」という表現は極めて衝撃的な言い方ではあるが、この表題はオフィシャルな説明が現実からさらに乖離することを約束しているかのようにも読み取れる。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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誰もが知っているように、無用の長物を誰かに売りつけるには、まず、その無用の長物を入手しなければならない。つまり、ワシントン政府はどこかの時点でウクライナを買ったのだ ― しかも、かなりの高額で。この購入のプロセスには膨大な時間を要した。ウクライナの購入は段階的に行われたからである。

2014年にウクライナ全土がついに米国の資産となった時、ホワイトハウスは米政権が何代にもわたってこの無用の長物のために莫大な資金を注ぎ込んできた事実を速やかに悟った。

米国人は自分たちの感情を隠す必要があるとは思わなかった。だから、2015年に「マイダン革命の英雄」の誰かが米国に居る彼らの所有者によってプーチンがクリミアを入手し、残りのウクライナを米国に背負い込ませるためにこの革命が組織化されたという推論を提示された際、それを理解することはまったく不可能であった。コントロール下に置かれた地域の住民はこの陰謀論に大はしゃぎをしたものだが、米国人はウクライナを何処かへ売り飛ばそうと考えていた。

まず、彼らはロシアは間違いなくウクライナに関心を示すであろうと考えた。その理由は明らかで、下記の通りだ:

個人的ならびに家族的な関係がある。

産業界の協力が重要であり、ロシア経済にとってはウクライナ経由の天然ガスの輸出は極めて重要である。

クリミア問題を解決する(ウクライナが消滅してしまえば、クリミア半島の所有権を主張する当事者が居なくなってしまうかも知れない)。

ロシアがシリアと中東で勝手気ままな介入をすることの代償として米国はロシアにウクライナを買い取らせようとした。「クリミアの占領」に対して導入された制裁が、今度は「ウクライナの占領」に対する制裁に置き換えられることになるであろうと彼らは思った。手短かに言えば、ワシントン政府はロシアに対して圧力を加えることを維持しながらも、無用の長物を有益な物と交換しようとしたわけだ。もしも潜在的な損失に直面した際に米国人がそこから何とか金を絞り出そうとはしなかったとすれば、その米国人はもはや米国人であるとは言えない。

しかしながら、今回、米国は失望に見舞われる運命にあった。モスクワ政府はあの無用の長物には何の関心も示さなかったのである。たとえそうすることのために支払いを受けたとしてもモスクワ政府が果たしてウクライナに食らいつくかどうかは明らかではなかった ― まったく問題外であったのだ。特定の状況を作り出すためにウクライナを併合した際にクレムリン政府に対して課すべき次の一連の制裁は現状を維持するよりも害は少ないであろうし、問題を解決するものでもなかった。ロシアは制裁によって短期的な害に見舞われたとは言え、長期的なゲームにおける戦略的な勝利を如何にして勝ち取るかをそこから学んだのである。

ウクライナは2016年にロシアに関して米国の主導権のために重要な役割を演じることは止めることにした。ウクライナは依然として売りに出されてはいたが、誰か新しい買い手を見つける必要があった。さらに、その頃までにはアフリカのピグミーでさえもがウクライナが実際には何の価値もないことを理解していたにちがいないことから、このオファーを断ることができそうもない買い手を見つけ出すことは決定的に重要であった。米帝国の植民地であるキエフを売りに出すことは「レンガを買いたまえ」(*)というモードに変わった。当該モードではごく通常の強盗行為であってさえも自発的な購入のように見せかけてくれるのである。

オバマ政権は「買い手」を見つけることには失敗した。トランプはウクライナ問題にはそれほどの関心はなく、中国に対して陰謀を企て、米国の天然ガス産業界の利益のためにノルドストリーム2に反対する方を好んだ。しかしながら、結局のところ、バイデン政権がレンガのオファーを拒むことができないような買い手を見つけることに助けとなったのはトランプが採用した政策そのものであったと言える。

ノルドストリーム2に反対し、世界に対する米国の覇権を維持するためのコストを最小化しようとして、トランプはドイツとの関係を酷く損なってしまった。米国が同盟関係から経済上の競争相手へと変貌し、軍事的ならびに政治的な保護を保証することを止めにした時、ドイツ人は自分たちがまったく予期しなかった状況に置かれていることを悟った。ところが、彼らは急激なギアチェンジを行ってロシアの傘下に入ろうとはしなかったのである。それだけではなく、もしもドイツがそうしていたならば、EUには取り返しのつかない亀裂が生じていたことであろう。ベルリン政府は米国との良好な関係を模索し始めた。

その結果、バイデン政権は方向転換を行うことができた。米国の石油・天然ガス業界からの縛りには拘束されず(バイデンは伝統的なエネルギー源ではなくグリーンエネルギーを好む)、ドイツ人がノルドストリーム2は如何なるコストを支払ってでも完成させる決意を持っていることを十分に理解し、ワシントン政府はウクライナの運命については酷く気を揉んでいるという振りをした。このテーマに関してドイツと話し合うことは関係改善のための基本的な前提条件であるとの提言が成された。それと同時に、米国は異例の動きをした。つまり、ノルドストリーム2プロジェクトに関与するドイツ人政治家やドイツ企業に対して制裁を課すことは止めたのである。

交渉の段階で相手に譲歩を迫っても、通常、ワシントン政府が最初に何らかの成果を挙げることはない。しかしながら、今回ばかりは、米国人は目を見張るほど前向きな行動をした。そのような態度をとる本当の理由はやがて判明した。すなわち、米国人はドイツにウクライナの関心事にかかわる取引に署名させることにまんまと成功したのである。

だが、キエフにおけるお祝い気分は決して長くは続かなかった。この取引の詳細が判明すると、誰もがウクライナに対して何も保証してはおらず、何かを補償するようなものでもなかった。ウクライナの関心事のために戦い、ガスプロムにウクライナ通過契約の延長に関するウクライナとの交渉を推進することに関しては、ドイツの約束は曖昧であった。ところで、これはウクライナ側が競争力のある通過条件を提示する限りにおいてはロシア政府側はそうすることを決して拒まなかった。しかしながら、キエフ政府は自分たちが持っている通過条件の「独占権」から引き続き利益をあげることを夢見ていたことから、まさにこれはキエフ政府がもっともしたくはないことであった。これこそがノルドストリーム2に対してウクライナが激しく反対する理由なのであった。しかしながら、モスクワ政府を不利益な取引に応じさせることは誰も約束をしてはいなかった。最終的に、このことはウクライナでも理解され始め、裏切りに関する哀れっぽいすすり泣きがやがて聞こえてきた。

ウクライナは誤解した。つまり、ウクライナは裏切られたのではなく、ウクライナは売りに出されたのである。さらには、バイデンの反対派からの指摘があるにもかかわらず、バイデンはウクライナをプーチンには売らなかった。プーチンはウクライナの現状をロシアの国益のために活用しているが、彼は一文も払わず、政治的な譲歩は何も認めようとはしなかった。逆に、ガスプロムとロシアは今までに強要されてきた不利益な状況を埋めて、これらのすべての状況から利益を引き出そうとさえしている程だ。バイデンは結局ウクライナという「レンガ」をドイツへ売り飛ばした。

政治の舞台から格好良く姿を消し、自分の党が権力の座にとどまるチャンスを維持するためには、連邦首相にとっては米国との相互理解を回復することが必要であった。しかしながら、ノルドストリーム2は非常に重要なプロジェクトであって、メルケルはこの件ではなんらの譲歩さえもする積りはなかった。だが、米国人は厳しい交渉をする。彼らは彼女が拒むことができないような提案をした。

彼らはノルドストリーム2を交渉の方程式から外した。既存の制裁は何の害をも及ぼさないことから、そのまま残されたが、特にドイツ人に対しては新たな制裁は課されなかった。ウクライナに対するドイツの義務は出来る限り曖昧な表現で記された。これらの義務が実際にどのようなものとなるのかについては、ベルリン政府の一存となった。

唯一の具体的な約束は米国が西側で10億ドルを集めることである。天然ガスの供給に関する潜在的な問題を相殺するためにウクライナは「グリーン」エネルギーの開発を進めなければならない。この資金はそのためにウクライナへ供与するものである。ドイツはウクライナにおけるグリーンエネルギーの開発ではマネジャー役を任され、その10億ドルの一部としてウクライナに15千万ドル~2億ドル(ドイツにとっては些細な額)を寄贈することとした。

バイデンは一つの石を投げて2羽の鳥を仕留めた。第一に、米国内の支持者たちに向けてウクライナのような遠隔の地で、つまり、神に見捨てられたような国でグリーンエネルギーを生態学的な環境のために効果的に導入しようとしている姿を見せた。

二番目には、国内でもう何年にもわたって原子力発電や石炭火力と闘ってきたドイツ人は自分たちの経験をウクライナに適用し、それと同時に何十億ドルもの金を活用することができるのだ。もちろん、彼らは現地の人たちともいくらかの資金を共有しなければならないではあろうが、それ程多くは共有しないだろう。加えて、ドイツ人は潜在的にはチェルノブイリ発電所の二の舞を演じる可能性をもっているウクライナの原発問題を解決する地位にとどまるであろう。これらの原発は悪ふざけをすることが好きなウクライナ人の手中にある(訳注:現在15基が稼働している)。

三番目に、この「支援」と「改革」の後にはウクライナは不可避的に電力不足に直面することであろう。EUはウクライナへ天然ガスを逆輸出するだけではなく、電力を売ることさえも可能となるだろう。

四番目に、ウクライナをドイツにうまく売り飛ばして、ついに米国は成功裏にウクライナの「ハンドルが付いてはいないスーツケース」から身を引くことができた。今や、たとえ追加的な資金による補填が必要となろうとも、メルケルの後継者にとってはどうやってウクライナをロシアへ転売するかについて色々と考えを巡らす時が来る。

メルケル自身には不平を唱える理由はない。もちろん、「レンガ」を買ったのは彼女自身ではあるが、そのレンガは金箔を使って見事に包装されている。この購入品の包装が解かれる中、総選挙が終了し、現連邦首相は首相の座を降りる。たとえCDU/CSU連合が権力の座を失なったとしても、それは彼女の責任ではない。メルケルは借金や問題もなしに、堅固で手入れの行き届いた国家を後継者に引き渡す。故意に騒動や問題を引き起こすキエフの連中がしがみついている例の約束はドイツにおける総選挙の結果が判明し、連合政府が決まった時点に表面化して来るであろう。

われわれは名誉が与えられて然るべき場所に名誉を与えなければならない。米国人は決して何かを廃棄しようとはせず、無用の長物であって、まったく何の魅力もない製品のためであっても何とか儲けようとする。

ウクライナに関しては、もはや誰もウクライナについて心配しようとはしない。ウクライナの市民は将来のある時点で、何回も転売された後に、たとえ主人の家具に噛み付き、壁紙に傷を付け、いたる所でうんちをするような極めて反抗的な個性を持っているとはしても、重病人であるウクライナはいずれは善良な主人に迎えられるであろうという希望だけが残されている。

しかし、これはあり得そうもない話だ。

() 「さあ、レンガを買いたまえ」:これはロシアでよく知られている冗談である。1個のレンガを持った大男が通行人に向かって、「おい、君、このレンガを買いな」と言う。呼びかけられた通行人は「そんな物は要らないよ!」と言う。大男は相手の頭の上で威嚇するようにレンガを振り回してこう言う。「このレンガを買った方がいいぜ。あんたが自分の運命を決める必要なんてないのだからな。」

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これで全文の仮訳が終了した。

世界を揺さぶる政治の動きは大手メディアによって報じられる。時には、あるいは、あまりにも頻繁であるとの苦情も聞こえてくるが、フェークニュースも一緒に報じられる。昨今のこのような趨勢の中、この引用記事には非常に興味深い国際政治の舞台裏、心理描写、駆け引き、長期戦略といったさまざまな要素が散りばめられており、語り口が実にいい。興味深い記事である。そして、貴重な見解であるとも思う。

この記事の著者はウクライナ人であるのだが、本記事から伺える著者の客観性を重んじる姿勢は驚くほど徹底しており、注目に値する。


参照:

1Buy a brick! The USA is selling Ukraine: by Rostislav Ishchenko, translated by Eugenia, The Saker, Jul/28/2021, Source: https://ukraina.ru/opinion/20210723/1031902943.html

 

 


2021年8月9日月曜日

対中日米同盟には世界大戦を引き起こすリスクがある

 

米中戦争は起こるのか?

この問いに対しては二つの異なった答えが返って来る。ある人は戦争が起こると言うが、別の人は戦争は起こらないと言う。実際の答えはひとつしかない。

古代ローマの歴史家であるツキジデスに言わせると、たそがれ時が迫った覇権国家のおよそ三分の二は新たに台頭して来る国家とは戦争を引き起こす。

現状を見ると、伝統的な熱い戦争には至っていないものの、米中間ではすでに貿易戦争や関税戦争、情報戦争、サイバー戦争が始まっている。米中の政府高官が相手に対して放つ文言はすでに極めて敵対的な水準に至っている。たとえば、トランプ政権のペンス副大統領は2018104日のワシントンでの講演で貿易など経済分野に限らず安全保障分野でも、中国には「断固として立ち向かう」と言った。これを受けて、ジャーナリストの長谷川幸洋はこれは米国の中国に対する宣戦布告であると評した。新冷戦の開始であると。これはチャーチルが行った鉄のカーテン演説に匹敵するほどの文言であると解説した。

ここに、「対中日米同盟には世界大戦を引き起こすリスクがある」と題された記事がある(注1)。

これは極めて物騒な話である。米中戦争は必然的に日米と中国との間の戦争となる。尖閣諸島の国有化を発端に始まった日中間の領土問題は、それまでの両国による穏健な棚上げ政策を一挙に投げ捨てて、さまざまな局面を経て、今や日本の世論を対中強硬路線一色に染め上げるまでになっている。中国敵視は間違いだと主張する識者はいないのであろうか。もちろん、当然いる筈ではあるが、その声は聞こえて来ない。非常に不気味であると言いたい。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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2003年、私自身を含めて何人かの弁護士が北朝鮮を訪問した。かの地では社会主義に関して多くを学ぶ機会に恵まれた。われわれは1950年に共産軍によって押収された米陸軍の文書を見せて貰った。あの年、彼らはソウルを席巻し、米軍の本部を一掃したのである。その際の押収文書によると、北側に侵攻したのはその地域の共産党勢力を一掃し、中国を攻撃するために侵攻してきた米軍とその操り人形である南側の連中であった。その逆ではないのである。米軍の計画は挫折し、米軍は敗走した。だが、私を驚かせたのは米軍は1945年に日米間の戦争が終結した頃韓国に展開していた日本陸軍の元将官らからの支援を受けていたことを示す証拠がその文書の中に見られたことであった。台頭するふたつの帝国は太平洋で開戦したが、結局、米国に敗れ、占領された日本は間もなく世界を覇権下に収めようとしている米帝国側に加わった。朝鮮戦争は米国に対する日本の忠誠心を試す最初の機会となった。この忠誠は彼らが敗戦の憂き目を見たからであるばかりではなく、米国の資本と日本の資本とが同一の関心を抱いていたからでもあった。それは中国を服従させることであり、中国を搾取することであった。

76日、日本の副首相が自民党の集まりで「もしも台湾は中国の一部であるとして中国が台湾を取りに来れば、日本は台湾を防衛する。何故ならば、中国によるそのような暴挙は日本の死活問題となるからだ」と述べた。

「もしも何か大きなことが起これば、それは日本が生き残れるかどうかを左右することになると言っても過言ではない。そうした場合、日米は一緒に台湾を防衛しなければならない。」 

どうしてそれが日本にとって死活問題であるのかに関しては彼は説明をしなかった。

日本の指導者たちに向けて彼が喋ったことは明白である。台湾における中国の行動は干渉であり、そのような干渉は中国に対する攻撃理由となる。しかし、それは自衛隊が攻撃的な軍事行動を起こすことを禁止する日本国憲法ならびに国連憲章の違反となることもまた明白である。

中国が台湾の管理権を取り戻そうとした際に日米が干渉しようとするならば、中国は日米両国を打ち負かすだけの準備ができていると中国はその反論の中で繰り返して述べている。米国人や台湾人によるそのような干渉は如何なるものであっても中国を挑発することとなる。米国はこの地域で単独で干渉する力を十分には持っていないことから、米国は日米の計画を支援するべく南シナ海へ海軍を差し向けるよう英国やフランスおよびドイツ、ならびに、とても熱心なオーストラリアを誘ったのである。第二次世界大戦では日本帝国の宿敵であったこれらの四つの国々を今見ることはまさに皮肉以上の感がある。今や日本と共謀して中国を攻撃しようとし、第二次世界大戦では日本の同盟国であったドイツは世界中でその力をもう一度振りかざそうとしている。朝鮮半島の人々が日本の統治時代について苦い記憶を抱いているのと同様に、中国人も1930年代から1940年代における日本の侵攻と占領に関しては長期にわたって苦い記憶を持っている。

しかし、今やわれわれは1945年のドイツや日本におけるファシストや軍部が直面した敗北は彼らの最後の敗北ではなかったということを認めざるを得ない。これらの二つの国々と戦争をした政府にはファシスト分子も居り、ドイツがソ連国内の共産主義者を潰し、日本が中国国内の共産主義者を潰してくれることを望んでいたことも認めよう。それに代わって、自分たちの利益を拡大させるためにはファシズムを許容し、帝国主義に頼ろうとした世界を股にかける資本家勢力は速やかに状況を理解し、ワシントン内の極右勢力に導かれて、ソ連、つまり、今のロシアと中国、ならびに、その他の独立国に対する攻撃を継続するためにNATO組織を発足させた。彼らは今やまったく違った衣服を身にまとってはいるが、中国とロシアに対するもうひとつの戦争を準備するに当たってはナチスや日本の軍部が用いたのとまったく同じような嘘をつき、プロパガンダの術を駆使するのである。

730日、中国政府は英国政府ならびに新たに建造された空母「エリザベス女王」に率いられた海軍特別部隊に対して中国の領海には近寄らないようにと警告を発した。さもなければ、それ相応の結末に直面するであろうとも言った。それと同時に、フランスはタヒチで自国軍の強化訓練を行い、米国とフランスの両国はハワイで数十機もの米国のF22戦闘機とフランスのラファール戦闘機による合同演習を行った。その一方で、中国がグアム島の基地を速やかに破壊することが可能であることから、米国はグアム島の基地に配備されているF35戦闘機を含む爆撃機や戦闘機の部隊を小さな島の基地へと分散配備した。これは中国軍がこれらの航空機を一挙に破壊してしまうことをより困難にするためのものであることに他ならない。この種の分散配備は戦争が迫っている際や戦時中には常に見られる行動である。

と同時に、ドイツ人は米国と日本を支援するために南シナ海へフリゲート艦を送り込むと発表した。米国は、今週、さらなる艦艇を台湾海峡に送り込んだ。これらの行動はすべてが武力の誇示であると誰かが言うかも知れない。しかし、武力の誇示にしては余りにも大規模なのである。連中は武力の誇示以上のことを行っている。

ハンス・ルディグル・ミノーが奇しくも「ドイツ外交政策」で述べているように、西側の作戦行動の激化や戦闘作戦に対する関心の高まりは現行の状況下では極めて現実的なものであり、米軍高官が予知した内容に呼応する。彼の予測によると、米中間の戦争が近い将来起こる可能性があるのだ。たとえば、NATOの元ヨーロッパ連合軍司令官(SACEUR)であるジェームズ・Gスタヴリディスはわれわれのテクノロジーやこの地域における同盟国ならびに軍事基地のネットワークは中国のそれを依然として上回っていると述べた。当面はそうかもね。しかしながら、2020年代の終わり頃には人民共和国は少なくとも南シナ海においては米国に挑戦する地位に上り詰めているであろう。最近、スタヴリディスは小説を発刊した。その小説で彼は2034年に勃発する米中間の空想上の戦争を描写している。「われわれは2034年まではこの戦いに備える必要はないだろうが、もっと早くやって来る可能性もある。」軍事畑における彼の仕事仲間は「2034年ではなく」、この大戦争がやって来るのは恐らくは「2024年か2026年だ」と言う。

しかしながら、戦争を求めているのは中国ではない。この狂気の沙汰を推し進めているのはいったい誰なんだ? それは西側のプロパガンダ・マシーン、軍産複合体のすべてを含めた一大勢力である。だが、彼らの中でもっとも性質が悪いのはハドソン研究所だ。これは1961年にランド研究所のハーマン・カーンによって設立された。彼は核戦争のシミュレーションや戦争における核兵器の使用の理論化では極めて有名である。同研究所の現在の指導者やメンバーにはファシストであるマイク・ポンぺオやセス・クロプシーが居り、他にも米政府の各部門や軍部の高官らが含まれている。

セス・クロプシーの履歴書は次のような内容を示している。「クロプシーの米政府における経歴は国防総省で始まった。彼はキャスパー・ワインバーガー国防長官の補佐役を務めた。その後、ロナルド・リーガンおよびジョージHW・ブッシュの政権下で海軍次官代理を務め、国防総省の再編では彼は海軍の地位、海事戦略の開発、海軍学術研究所、海軍特殊作戦、NATO加盟国との責任の分担、等に関して責任を負った。」ブッシュ政権では、クロプシーは国防長官室(OSD)へ移り、次官補代行となり、特殊作戦や低レベルの抗争に関して中心的な役割を務める次官補代行となった。クロプシーは1985年から2004年まで海軍将校であった。

1982年から1984年まで、クロプシーはボイスオブアメリカ(VOA)の論説に関する政策、つまり、ポーランドにおける連帯の動きや反政府派に対するソ連政府の扱い、その他の課題に関して方向付けを行った。2002年に米国政府の国際放送局の局長として開かれた外交へ戻り、ムスリム世界に対するラジオやテレビ放送を拡大することに成功を収め、彼は同局を監督した。」

換言すると、彼は長い期間にわたって反社会主義的なプロパガンダに従事した戦争犯罪者である。

クロプシーは最近ワシントンにおける諸々の出来事を扱う右翼系のThe Hills誌に記事を投稿した。その表題は「米国が中国に対抗する中、日本は好機を伺う」。この記事で彼は「台湾をコントロール下に収めるために中国が何らかの動きをした場合、日本は台湾を支援する」と述べた麻生太郎を称賛し、中国は世界制覇を追求し、近い将来米国との戦争が起こるとの予測をしている。

さらに彼は日本は外交および軍事上の政策において「決定的な転換」をしたと述べ、日本は攻撃的な行動を起こさないとする憲法の制約を退け、中国に「対抗する」ために軍隊を増強し、支援することを求めた。

彼はこう書いた:

「台湾の防衛は困難な仕事である。人民解放軍は第一列島線内においては最強であり、特に、北京政府の海軍、空軍、ミサイル軍の集中振りを見ると台湾の周囲においてはなおさらのことである。台湾を防衛するには、米国とその同盟国は中国のミサイルが到達する域内で作戦行動を取らなければならない。米国の戦闘部隊は頼りとする高価な資産を台無しにすることになるであろう。

しかしながら、日米両国は十分な潜水艦部隊を擁している ― 日本の小型ではあるが静粛なバッテリー駆動の潜水艦は米国の核動力の大型攻撃潜水艦と並んで、極めて威力の高い相棒である。これらの潜水艦は台湾の制空権と制海権を確保するのに人民解放軍が頼りにしなければならないミサイル部隊からは何の脅威も受けない。高速艇による機雷の施設を行い、陸上移動型の対艦・対空ミサイルによる援護を受けるとすれば、日米潜水艦部隊の増派は人民解放軍の台湾への侵攻を食い止めることを可能とするであろう。あるいは、少なくとも中国が期待する既成事実を防ぐことができるであろう。」

こういった戦略的現実を与えられ:

彼は日米、フランス、英国および他の同盟国は「戦争に備える」ためにさらなる軍事演習を実施するよう呼び掛けている。そして、「戦争を抑止するためには戦争に備えることが必須である」との嘘っぱちを付け加えている。彼が実際に言うべきことは「米国は戦争を行うために戦争の準備をしている」という点だ。

中国に対する戦争はロシアや他の国々を引っ張り込み、世界大戦をもたらし、核戦争に発展させ、人類の滅亡となる危険性を孕んでいることから、世界における平和と理性を代表する勢力はこれらの戦争準備を断固として非難しなければならない。これらの犯罪者を糾弾し、国際刑事裁判所(ICC)の検察官には米国人に対して警告を発し、同裁判所が管轄権を有する米国の同盟国の指導者やセス・クロプシーのような宣伝屋、ならびに、攻撃をすることに積極的な他の共謀者らを訴追するよう求めなければならない。これらの行為は最高レベルの戦争犯罪であり、狂気の沙汰である。なぜならば、対中戦争が上記のように展開すると、まさにそれは人類のドラマの最終章になると思われるからである。われわれは気候変動が突然われわれに終焉をもたらす日を待つ必要はなくなるであろう。

しかし、ICCはこれらに関しては何も言わず、国連安保理はまったく無能と化している。とすると、いったい誰が異論を唱え、「もうたくさんだ」と言い放つのであろうか?われわれ一般庶民を除けば、戦争犯罪者や彼らの戦争などくそ食らえだ。だが、一般大衆はいったい何をすることができるのか?抗議行動や請願を行い、書き、叫び、泣きわめき、私が加わっている「カナダ平和会議」のような平和運動グループに参加し、ボブ・マーレーが呼びかけているようにわれわれは起き上がり、立ち上がって、ジョン・レノンが訴えているように平和にチャンスを与えようではないか。

著者のプロフィール:クリストファー・ブラックはトロントに本拠を置いた国際刑事事件を専門とする弁護士。知名度の高い戦争犯罪をいくつも扱ったことで知られており、最近、「Beneath the Clouds」と題された小説を出版した。国際法や政治、国際的な出来事に関して論文を書き、オンラインマガジンの「New Eastern Outlook」に寄稿している。

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これで全文の仮訳が終了した。

麻生太郎副首相が台湾の防衛のためには自衛隊を派遣すると述べたことについては、恥ずかしながら私は何も知らなかった。確かにこれは「決定的な転換」である。米国ではトランプ政権下でペンス副大統領が、2018104日、ワシントンでの講演で中国に対する宣戦布告と受け止められるような発言をした。そして、日本では麻生太郎副首相が台湾有事の際には自衛隊が台湾の防衛に当たると言った。こうして、日米軍事同盟の足並みが揃ったのだ。

この「決定的な転換」を白紙に戻すことができるのは米国の大統領と日本の首相のふたりだけである。逆説的に言えば、日米両国には後にもう一度決定的な転換を行う余地が残されているということでもある。しかしながら、これらのふたりは世界規模の核戦争を回避する、つまり、人類のドラマの最終章を永久に先送りする見識と英知を備えているのであろうか。はなはだ疑問である。

われわれ一般庶民は戦争を回避するために具体的な行動を起こさなければならない。


参照:

注1:The US-Japanese Alliance Against China Risks World War: By Christopher Black, NEO, Aug/03/2021