2023年8月29日火曜日

「トランス・アジェンダ」に関する革命的分析 ― 若者の集団的不妊化、生殖に関する悪意

 

ウク(Wokeという言葉がある。これは「社会的問題に気付いている」、「社会的問題に認識がある」といった意味だ。その対象はさまざまで、社会の少数派の人たちであったり、女性であったり、社会的弱者であったりする。 

大雑把な歴史を見ると、2008年にR&B歌手のエリカ―・バドが「マスター・ティーチャー」という曲でI stay wokeと歌っており、2014年以降、「ブラック・ライブズ・マター運動によってウクという言葉は広く使われるようになった。今は左派(リベラル)政治との関連性が強く、ウクと言えば、人種差別問題や社会的正義、LGBT、フェミニズム、等が頭に浮かぶ。ウク文化」、「ウク政治ウク左派は左派の文化や政治を指すようになっている。だが、近年、ウクは「キャンセル文化や「ヴァーチュウ・シグナリング」(訳注:自分が政治的に意識が高く善良な人間であるとアピールするこを指すと同じく、過剰な政治的公正(ポリコレ)として批判されるようになっている。米国では、特に、民主党を基盤とする州知事が治めている州において「ブラック・ライブズ・マター運動が余りにも過激になり、小規模なビジネスが破壊活動に巻き込まれ、大きな経済的損失をもたらし、社会的支持を失いつつあることは周知の通りである。

私が個人的に奇妙に感じ、居心地が悪く感じ始めたのは、ウウクから始まってインクルーシブ(包括的である)に至る一連の概念が次々と話題になり始めた頃だ。つまり、これらの過激なイデオロギーが数千年に及んで人類文明が築き上げてきた伝統に挑戦し始めた頃のことであった。

たとえば、オーストラリアのメルボルンの学校は「お母さん」や「お父さん」といった言葉の使用を止め、より「ジェンダー・インクルーシブ」な言葉を支持するよう求めた。学校で「LGBTQI+」の子供たちを支援することを目的としたノースウエスタン・メルボルン・初等教育健康ネットワークによるキャンペーンの一環として、この擁護団体はメルボルンの学校がレインボーフラッグ(訳注:LGBTへの支援を示す国際的象徴)を掲げ、男女別のトイレを廃止し、性別のないスポーツチームを導入することを提案した。ノースウエスタン・メルボルン初等教育健康ネットワークのCEOであるクリス・カーターは、このキャンペーンはLGBTQI+の子供たちへの支援を増やすことを目的としていると述べた。ロンドンのブライトバート・ニュースサイトが(2021年)3月に報告したように、学校からジェンダー言語を排除する動きはオーストラリアだけに封じ込められているわけではない。英国で2番目に大きい大学が職員らに対して同様の要求をした。マンチェスター大学は「包括的な言語」に関する幅広い指針において「父親」や「母親」などの用語の使用を止め、それらに代わって「親」または「保護者」を使用するように職員に指示をした。性差別問題に目覚めた同大学は「二元的な性別用語(男性・女性、少年・少女)は伝統的な性別との関連を持っているが、今では、子供に割り当てられた性別とは反対の性別で自身を意識する子供もいれば、男性でも女性でもないと意識する子供もいる」と主張した。伝統的な家族内の言葉に対して性同一性障害を持った人たちによって触発された攻撃は米国にも広がって、ニューヨーク市の私立学校も同様の指針を発行し、「ママ」や「パパ」などの言葉を「大人」、「人々」、または「家族」に置き換えるよう要求している。(出典:Melbourne Schools Encouraged to Stop Saying ‘Mum’ and ‘Dad’ in Favour of More Inclusive Language: By KURT ZINDULKA, BREITBART, Apr/13/2021

フランスでは、こんな具合だ。LGBTの人々をより包括的に受け入れるために、フランスのマルセイユ市は民事文書から「母親」と「父親」という言葉を排除し、これらの用語を「親1」と「親2」に置き換えるように動いている。(この提案を受けて、ある批判者は親1には男親がなるのか、それとも女親がなるのかという論争が次に出てくるのではないかと、皮肉を込めて意見している。)マルセイユ市は行政文書や結婚証明書などの市民の社会的地位を示す書式を更新して、「法律と一致させて、より包括的にするよう」求めている。これまでのところ、書式は市内の一部の行政区だけで更新されているが、マルセイユ市はこの動きの一環として、市全体に新しい変更を実行することを望んでいると、ラ・マルセイエーズ紙が報じた。ソフィー・ロケス副市長によると、書式の変更に加えて、約300人の市民登録担当官を対象にLGBT問題についての訓練を進めており、登録官たちは性的ライフスタイルや性同一性障害、等の問題に関して訓練を受けるよう指示している。(原典:French City To Replace Mother and Father with ‘Parent 1’ ‘Parent 2’ On Civil Documents: By CHRIS TOMLINSON, BREITBART, May/18/2022

父親、母親といった生物学的背景に基づいた伝統的な言葉を捨てなくても、少数派の子供たちをより幸福にさせ、社会の一員であると自覚させることは可能であると私には思えるのだが・・・。

ここに、「トランス・アジェンダに関する革命的分析 ― 若者の集団的不妊化、生殖に関する悪意」と題された最新の記事がある(注1)。これは医師の立場から見たLGBT問題に関するひとつの考え方である。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

副題:次世代への対立遺伝子の生存に関して相対的な貢献を高めるために個人が行うことはすべてが相対的な適応度を強化する。大量殺戮、大量不妊。

序文:一部のレスビアンやゲイ、両性愛の個人はLGBの個人と「トランス」や「クィア」、または、「プラス」として自分自身を認識する人たちとの間に分離を求めている。「プラス」がいったい何であるかは私には分かってはいないということを私は認めざるを得ないが、提案された分離の問題に関するグーグル検索は次のとおりである。

まず、この記事が書かれた理由を理解していただきたい。それは社会的ダイナミクスと人々が他者の生殖の遺産を制御し、影響を与える方法との間の相互作用を含む新しい現実についての認識を高めるためだ。私は誰かがこの問題を取り上げるのを見たことがない。何故か?進化の原理と社会力学についての議論はタブーとなっているからである。過去において邪悪な連中が大量の強制的不妊化につながる方法でダーウィンの進化論の理解を自分たちの利益のために捻じ曲げたためである。私はこの記事をトランス・アジェンダに組み込まれた米国内の特定の州において実施されている事実上の国家後援不妊手術プログラムが持つ隠れた危険性の警告として発行しようとしている。(訳注:「国家後援不妊手術プログラム」という極めて過激な文言が出て来た。医療関係者ばかりではなく、新型コロナワクチンにまつわる大騒動を経験したわれわれ一般庶民さえもが表向きのスローガンだけではなく、背後に隠されている目標にも注意を向けざるを得ないようになっている。好むと好まざるとを問わず、われわれは、最近の3年間、貴重な訓練を受けた。2023年の新しい現実である!)

本記事が難しすぎると言うのであれば、それに代わって、こちらにいくつものかわいらしい子猫の写真がある。

集団遺伝学の数学的モデルは次世代への対立遺伝子の相対的な寄与に関して個人のあらゆる特徴がどれだけ影響するのかを測定するために使用することが可能だ。ほとんどの場合、われわれは進化論的適応度を遺伝的変異に起因する個人の生存と生殖の共同効果の観点から考える。自然は生殖に関わる悪意や不妊手術、または、無関係な個人による一部の個体の生殖に対する制限、等の事例で満たされている。

生殖に関わる悪意とは個人の生殖行動が他の個人の生存または生殖出力に悪影響を与える現象を指す。生殖に関わる悪意は害を及ぼす個人の適応度の向上に潜在的につながる。野生においては、たとえば、雄のチンパンジーやライオンが一団を引き継いだ後、競争相手の雄ライオンの血を引く子供を殺すことがある。この行為は彼らの競争相手の子孫を排除し、彼らが自分自身の遺伝的子孫の父親となり、彼ら自身の生殖行動の成功を高めることを可能にしてくれる。

一部の雌のクモは自分の子供を食する可能性がある。これは「子供に対する共食い」として知られており、子共の魚を繁殖させる多くの種類の魚においても見られ、生殖に関する悪意の一形態である。この行動は、資源の不足によって駆動されている、あるいは、雌のための追加の栄養素を得るための戦略として駆動されているとも考えられ、そうすることによってその雌が生き残り、再び繁殖する可能性を高め、こうして、母親の生涯の生殖行動の成功を最大化する。しかしながら、食べられてしまった若者については必ずしもそうではない(Fitzgerald著「Trends in Ecology & Evolution」)。

一部の昆虫の場合、雄は雌の生殖管に物質を沈着させ、以前の仲間の精子を傷つけたり、殺したりする。精子の競争におけるこのアプローチは自身の精子が卵子を受精させる可能性を高くし、生殖行動の成功を高めることを保証するのに役立つのである。精子が生き延びるわけではないが、この種の悪意による競争の特徴は人間の陰茎の形状を説明することができるとも考えられている(進化と人の行動)。

Photo-1

植物の世界にも同様の例が存在する。特定の植物は有毒化学物質を土壌に放出して、隣接する植物からの種子が発芽することを阻害する。これは「他感作用」として知られている。他感作用を持った植物は日光や水、栄養素、等の資源をめぐる競争を減らすことにより、自己の繁殖の成功を高めることができる。

別の例はつる植物の繁茂である:クズのようないくつかのつる性植物は急速に成長し、他の植生を覆い、日光や栄養素を奪う。この積極的な成長戦略により、つる性植物は他の植物を凌駕し、自身の繁殖出力を高めることができる。

これらの例は他人に害を及ぼす可能性のある繁殖行動を示しているが、必ずしも人間の行動に見られるような悪意ある意図によって推進されているわけではない。これらの行動は競争の激しい環境において個体自身の最適性を最大化するための戦略として進化してきた。

未成年者に対する性転換手術が「肯定的医療」として提唱されている現在のトランス・アジェンダには性転換手術はしばしばその副作用として当事者個人の不妊化につながるという極めて暗い関連性が存在する。

関係のない個人の広範な不妊化を支持する人たちは他人の直接的な適応度を低下させることによって自分自身の総生殖の増加を享受することになるという点は数学的な事実である。これは、このプログラムを支援する個人が自分の子孫を持っていない場合であっても当てはまる。これは包括的な適応度、つまり、一親等、二親等、さらには三親等の親戚全員の生存と繁殖の成功による次世代の対立遺伝子の総合計を尺度とすることによって説明が可能だ。

ジョン・メイナード・スミスによれば、進化生物学者のJBSハルデンはかつて同僚に「彼は8人のいとこか2人の兄弟のために命を捨てる準備ができている」と冗談に言った。これは、2人の兄弟または8人のいとこが、ハルデンが自分自身を犠牲にしなかった場合と同じ速度で繁殖すると仮定し、彼が運ぶのと本質的には同じ数の対立遺伝子を将来に運ぶことを理解したからである。

この考え方は英国の進化生物学者ウィリアム・ドナルド・ハミルトンによって「包括的な適応性」としてより適切に形式化された。ハミルトンの主な関心分野は利他主義の起源についてであり、彼は利他主義に関連する遺伝的形質の直接的(生殖的)および間接的(親戚またはコロニーのメンバーによって支援された)遺伝を説明するために包括的な適応度を使用した。

基本的な考え方は同じである。自分自身に関係する人々が生き残り、繁殖するのを助けるために人間がすることは何であっても彼らの間接的な適応度を高める。したがって、彼らの総適応度を高めるのである:

総合適応度 = 直接適応度 + 間接適応度

ここでは、直接適応度は子孫における自分の対立遺伝子の生存であり、間接適応度は親戚関係による他者の子孫における自分の対立遺伝子の生存である。

人間の間に新たに生まれた行動を説明するために進化論を呼び出すことはタブー視され、学術的考察にはあまりにも物議を呼ぶと考えられている。これは人種的優位性や大量虐殺といった邪悪な考えを広めたくはないからだ。しかしながら、不妊化プログラムは人間社会にとってまったく新しいものであるというわけではない。

近代以前には、歴史上、意図的な大量不妊化または制限された繁殖に関する記録事例は限られていた。しかし、生殖制御の前兆または例として見ることができるいくつかの慣行や出来事があった。

いくつかの事例を見てみよう:

奴隷の去勢。特定の社会や歴史的時代においては去勢は奴隷に対して行われれ、特に男性の奴隷の生殖能力を制御するために使用された。この慣行は奴隷にされた集団が子孫を産むのを防ぎ、こうして、出産によって抵抗や反乱の可能性を減らすことを目的としていた。

宮廷の宦官。ビザンティウム、中国、オスマン帝国などの古代文明では、宦官(去勢された男性)が宮廷で雇われることがよくあった。彼らの生殖能力を取り除くことによって、宦官は支配者の血統に脅威を与えない信頼できる個人のグループと見なされたのである。彼らはしばしば管理業務やハーレムの警備を担当した。

女性の貞操帯。貞操帯の歴史的な正確さについては数々の異論があるが、それらの使用法についてはいくつかの説明が可能だ。これらの装置は忠実度を確保し、生殖を制御するために性的活動を制限し、女性が婚外または婚前関係に従事するのを防ぐように設計されていると考えられている。

結婚制限とお見合い結婚。歴史を通して、生殖を制御し、規制するために社会はさまざまな手段を採用してきた。これには、社会階級や民族性、宗教、等の要因に基づく結婚制限の実施が含まれる。親や当局が個人の配偶者を選ぶお見合い結婚は一般的で、生殖の選択に影響を与え、制限する方法として機能してきた。

これらの例は、必ずしも大量不妊や大規模な繁殖制限を意図的に遂行する努力を表すものではないが、今日私たちが理解しているように、それらは確かに他の人の生殖出力に影響を与え、そうすることによって制限を課す側の人々の相対的な適応度を(数学的に)高めた。カストラッティ」としてイタリアの教会で名声を博した少年たちは自分たちの才能を祝ってくれる子孫を持たない。彼らは誰もが子孫を持てなかった:彼らは誰も自分たちの対立遺伝子を遺伝子プールに完全に貢献させることはできなかった。

意図的で広範に及ぶ生殖管理の概念は、優生学やその他のイデオロギー運動の発展とともに、20世紀になってより顕著に出現してきた。

カリフォルニア大学バークレー校によると:

1910年代と1920年代のカリフォルニア州の不妊化法は圧倒的に黒人やメキシコ人だけに偏っており、精神疾患と見なされた20,000人の不妊手術につながった。ヒトラーとナチスは1930年代に大量虐殺、優生学の政策を策定する際に、カリフォルニア州の法律に触発されたと伝えられている。」(忘れられた強制不妊手術の米国史)。

関連の見解:医学的人種差別:新しい人種差別政策(子供たちのための健康防衛)

一部の州政府(ならびに、米国連邦政府内で強力な立場にある一部の州政府)では未成年者が両親からの反対を受けてさえも、性別適合手術を選択できるようにしたいというニュースが流れ、これに対して親たちが強い否定的な反応を示したことは合理的、かつ、科学的な観点から理解できる。

連邦判事らは未成年者の両親の反対に対して州が子供の「性別を確認する医療」(思春期遮断ホルモンの投与、さらには手術を意味する)の要求を強制することを許可することに傾いている(グーグル検索を参照)。それがアロパシー医学にとっては金銭的な恩恵であるという事実は多くの親にとっては問題の本質を歪めてしまう。2015年のCNN報道によると、フィラデルフィア・トランスジェンダー外科センター(ウェイバック・マシーン)は、男性から女性への転換には140,450ドルを、女性から男性への転換には124,400ドルを請求していた。

Photo-2

多くの人にとって完全な性転換と不妊との関係性は印象に残らない。メッセージが広がるにつれて、個性を支援するという社会的風潮は、多くの場合、家族の血統が絶えることは個人以上のものに影響を与えるという事実を埋没させてしまう。そして、個人が技術支援による繁殖を求める場合、それはコストに追加される。体外受精は医療手順として最大30,000ドルかかる可能性がある。これには、最大で60,000ドルの費用がかかる代理母を雇う費用は含まれていない。

未成年者が自分自身の生殖能力にバイバイすることを喜んで許可しようとする州は性転換するこれらの未成年者の受胎から出産のために子供1人あたり100,000万ドルもの費用を喜んで負担すると言うのだろうか?たとえ未成年者が母親または父親になりたいという考えを変えたとしても、その過程において彼らを効果的に不妊化する。これらの後悔の念のコストは1213歳の同年齢の子供たちの間では洗剤の「タイドポッド」を食べたり、娯楽の一形態としてお互いを「窒息させる」といったトレンドを経験しようとする未成年者たちによって完全に理解されることはないであろう。

事実、未成年者たちはこのような人生を一変し兼ねない医療行為について完璧なインフォームドコンセントを提供することはできない。実験的な医療行為の乱用から未成年者を保護する法律があり、たとえば、45 CFR 46およびその関連法は医師が親から情報に基づいた許可を得ることを要求している。これらは社会的な風潮によって強引に押し通すべきではない。

最後のポイントとして、性転換療法を求める人々の間には不釣り合いな程多くの人たちが自閉症の診断も受けているという事実がある。これは難しい質問につながるけれども、見逃してはならない。たとえば、自閉症の10代の若者たちは社会的趨勢や公明正大とか包括性といった完璧な宣伝の影響を受けやすく、秘密の大量不妊化プログラムに陥る一方で、より大きな社会的受容を見つけることを期待する別のアイデンティティを受け入れる可能性が高くなるのではないか?

私はそうではないことを望むが、私にはその答えがない。そして、私は関係性が意図的であるという証拠を持っていると言っているわけではない。だが、私はこう言いたい。タブーを潰そうではないか。子供たちやわれわれの集合的な未来のために、われわれは質問を発し、科学を使って答えを見い出す義務を負っている。

他の子供の潜在的な利益のために社会的圧力が子供たちに危害を与えるべく親に強制する、または、強制しようとする事例が他の領域においても見られる。進化論の原理に深く根差す社会心理学者はワクチン接種の義務化の領域で生殖の痕跡が他の人々の子供への耐性を促進すること、あるいは、他の人々の子供に危害を与えるリスクの増加させる可能性がある役割について詳しく調べる必要がある。

われわれはすべての子供たちやわれわれ自身、そして、われわれの集合的な未来に対して義務を負っている。虹のような未来が持つ潜在的に暗黒な側面を完璧に理解するために・・・(訳注:「虹のような未来」とは、ここでは、文字通りに「輝かしい未来」とも受け取れるし、「レインボウフラグで飾られた未来」とも受け取れるが、後者を指している)。

***

これで全文の仮訳が終了した。

国際政治に関する語彙には今まで広く触れてきたが、今回の引用記事は進化論とか遺伝学、生物学の領域のであって、新しい語彙が多い。読みにくいところがあるかも知れないが、ご容赦願いたい。

著者が指摘した内容は他では見られず、極めて貴重な意見であると思う。特に、隠された意図として集団的不妊化プログラムの匂いが強く感じ取れるという指摘は秀逸である。新型コロナワクチンそのものが、その種の陰謀と絡んでいるとする指摘は以前から幾つか存在することを抱き合わせて考えると、この著者の指摘は的を射ていると言えそうだ。

ところで、性転換手術が最近どうしてこれほど多く論じられ、実施されるようになったのであろうか?

その答えは最新の記事(注2)にある。その記事によると、こうだ:

性転換の空想を可能にするための学術医学の大きな推進力は、手ごろな価格での療法がそのような事業を米国のメディケア、メディケイド、および商業保険でカバーすることを義務付ける法律が現れた2016年以降、爆発的に拡大した。

と彼の同僚は、米国の情報源から、2016年以降、あらゆる形態のトランスジェンダー手術が急増していると報告している。全体としては、52.3%を占める25,099人の患者が1930歳、10,476人(21.8%)が3140歳、3678人(7.7%)が1218歳である。

要約すると、第三者の保険の適用範囲によって可能になった性転換手術が爆発的に増加している。性転換医療は精神科医療の負担を悪化させ、死亡リスクを高めることから、これらの医療処置の適用範囲は直ちに取り下げられるべきである。有害な結果がよりよく理解されるまで、性転換医学に完全なモラトリアムを置くべきである。

察するに、性転換医療を受けやすくするために、金銭的な恩恵を受ける一部の医師たちは議員らに働きかけ、医療保険の適用を受けるよう新法を推進したのであろう。ここからすべてが始まったと言えそうだ。たとえ、豊胸手術を受け、外見上可愛らしい女の子に変身することができたとしても、それ以降は継続的なホルモン療法を受け、精神科医のお世話になり、さまざまな身体的な不調と付き合わなければならないと言われている。最悪の場合、暴力沙汰に巻き込まれ、命を失うリスクが高まる。また、自殺率も高まると言われている。まともな判断を下すことができない1213歳の子供たちが、親の同意を得ずに一生の健康を阻害しかねない、現時点では未熟な段階にある性転換手術を許容するという米国の一部州政府における判事の裁定は正気を欠いていると言わざるを得ない。

参照:

1Evolutionary Analysis of the "Trans Agenda" as Mass Sterilization of Youth as Reproductive Spite: By JAMES LYONS-WEILER, Jul/12/2023

2Transgender Surgeries More than Double 2016 to 2020: By Peter A. McCullough, MD, MPH, Aug/27/2023

 




2023年8月24日木曜日

ドイツ経済の栄光の日々は過ぎ去ったと感じられる

 

ロシア・ウクライナ戦争は長期的な米ロ間の武力抗争の観を呈している。米ロ両国は相手側が経済的に疲弊するのを待っている。米国とその同盟国にとってはこの紛争は西側が単独覇権を維持することができるかどうかを占うものであり、ロシアと非米諸国にとっては多極化世界の到来を実現するという悲願がかかっている。

この米ロ間の覇権争いには極めて重要な側面が含まれている。それはどちらが資源に恵まれているのかという極めて基本的なものであって、一国の、あるいは、特定のグループの潜在的な対応力を評価する上で見落とすことができない要素である。親米諸国は天然資源には恵まれておらず、原油や天然ガスといったエネルギー資源ならびに鉱物資源は中ロを中心とした非米諸国側に偏在している。たとえば、非米側のロシア、サウジアラビア、イラン、ベネズエラといった国々はトップレベルの産油国だ。つまり、米ロ間の武力抗争が長期化した場合、経済的な打撃を真っ先に感じるのはエネルギー資源に貧する親米諸国になるであろうという推測は容易に頷ける。

ロシア・ウクライナ戦争の最中、ロシア産天然ガスをドイツへ輸送するパイプラインが破壊工作を受けた。この破壊工作によって、安価で安定した供給が約束されていたロシア産天然ガスはヨーロッパ市場から排除された。そればかりではなく、天然ガスに続いてロシア産原油の輸入についても制裁が課された。それ以降、ドイツおよび欧州諸国はエネルギー価格の急騰やインフレによって経済的打撃を受けている。

ドイツ経済ははたして過去の栄光を取り戻すことができるのであろうか?

この疑問に答えるかのように、「日米韓豪の中国敵視は茶番から自滅に」と題された田中宇の国際ニュース解説(無料版)(https://tanakanews.com/)の822日号がある。著者の田中宇はその中で次のように指摘している。西側においては言いにくいことをさらりと述べているのだ。
「ロシアとの経済関係を断絶させられ、石油ガスが不足して経済破綻が続いているドイツなど欧州は、米国との同盟関係を続けていると経済を自滅させられる先例を示した。今後は、日韓豪などアジア側の同盟諸国が、中国を相手に同じような目にあわされていく。中国もロシアも、米同盟諸国にとって脅威といえるほどの存在でないのだが、脅威の分析からして米同盟諸国の専門家たちは米国から洗脳歪曲させられ、まっとうな判断ができなくなっている。脅威でないものを脅威だと言って敵視する大間違いの連続をやらされ、細かく管理されて自滅させられていく。米国の隠れ多極主義が巧妙に機能している。」

ここに「ドイツ経済の栄光の日々は過ぎ去ったと感じられる」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

Photo-1: © AFP 2023 / THOMAS KIENZLE

ヨーロッパにおける産業の巨人ドイツはウクライナで軍事作戦を展開したロシアを「罰する」という西側の試みによって最も大きな打撃を受けた国のひとつである。工業生産は低迷し、安価で信頼できるロシア産炭化水素の供給へのアクセスを失った後、今年初めにドイツは不況に陥った。

ドイツのビジネスや行政、政府の指導者たちは、政府のエネルギーや経済政策に対して広範な不満を表明し、この中央ヨーロッパの産業大国の経済は「頂点を過ぎた」のではないかという懸念を表明している。

ドイツのメディアのために「アレンスバッハ世論調査研究所」が484人の企業の取締役や最高経営責任者、政府閣僚、その他の上級意思決定者を対象に行った調査によると、同国の管理職クラスのわずか24%だけがロベルト・ハベック経済気候大臣の職務遂行能力に満足しており、たった1年前の91%から大きく減少している。

調査対象者の4分の1未満が今後6か月で状況は改善すると予想し、3分の2は同国が失った国際競争力を回復する「可能性はほとんどない」と述べ、76%はハベック経済相がドイツ企業の利益を十分に念頭に置いているとは思えないと答えた。

ドイツの競争力を低下させている様々な要素の中でトップファイブの課題として、同 国の管理職クラスの人たちは高いエネルギーコスト(77%)、熟練労働力の不足(70%)、過度の政府規制(68%)、やり残しのままのデジタル化プログラム(65%)、老朽化したインフラ(61%)を挙げている。

調査対象者の58%はドイツは経済的に「頂点を過ぎた」ようだと述べ、経済が再び回復するであろうと予想したのはわずか22%であった。

回答者の約4分の3はオラフ・ショルツ首相が率いる「交通標識のような」連立政権(ショルツの社会民主党、ハベックとアナレナ・ベアボック外相が代表する緑の党、および、自由民主党による連立)に対して批判を表明した。連立政権に対する満足度は2022年の62%から現在は21%に低下しており、調査対象者の65%は連立政権の政策が「国を弱体化させている」と指摘している。

アレンスバッハ研究所は613日から77日にかけて調査を実施し、大企業の取締役89人、大臣18人、企業の長28人を含む484人のビジネスマンや役人を対象にして調査を行った。

ドイツ経済は2023年の最初の3か月で経済成長が0.3%縮小した後、5月には正式に景気後退に突入した。

ドンバス危機が20222月にウクライナでの本格的なロシア・NATO代理戦争へと展開した後、ドイツは高インフレやエネルギー価格の高騰、等、に見舞われて、ロシアから経済的に切り離すという決定に関連して他の西側諸国が抱えている問題のすべてに直面している。しかしながら、ヨーロッパの主要な産業経済であるドイツの危機は、製品がエネルギー集約的な性質を帯びていることから、米国や中国などの他の世界的な巨人との競争力が失われるかも知れないという懸念を表明している地元企業にとってはさらに大きな苦痛であった。

ワシントン政府は、昨年、特定の「グリーン」産業への連邦補助金を発表した後、痛手を受けたドイツにさらに侮辱を加えるかのように、ヨーロッパの産業に対して減税とより安価なエネルギーを入手するには米国へ移転するようにと効果的な誘惑をしようとした。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、20225月、欧州経済をロシアのエネルギー資源から切り離すことは広範な産業空洞化と競争力の喪失によって地域全体を脅かすであろうと警告した

先月、ドイツのクリスティアン・リンドナー財務相は予算の削減によりベルリン政府は欧州連合の予算への追加拠出を停止せざるを得なくなったと発表した 

「ドイツは他のヨーロッパ諸国にとっては重要な供給国であり、重要な調達国でもある。ドイツ経済の持続的な景気後退はフランスやイタリア、スペイン、ベルギー、オランダに重大な影響を与えることは間違いない」とパリを拠点とするエコノミスト、ジャック・サピルは今月初めにスプートニクに語った。

「この不況が来春まで続くと、言及された国々の経済も不況に陥り、それがドイツ経済にさらに悪影響を与えるだろう」とサピルは予測し、ベルリンとヨーロッパの反ロシア制裁政策を「自殺のひとつの形態」として特徴づけた。

***

これで全文の仮訳は終了した。

この引用記事を読むと、ドイツ経済を指導し、意思決定をする方々の悲観的な見方がひしひしと伝わってくる。

ロシア・ウクライナ戦争は米国がロシアに対して長年にわたって仕組んできた作戦であると言われている。その核心はロシアを弱体化し、ロシアが持っている膨大な天然資源をただ同然で入手することにある。そのためにはロシア経済を疲弊させ、国民がプーチン政権に反対し、打倒させることだ。日本ではロシアが昨年2月にウクライナへ武力侵攻したことに関して、日本のメデイアは、西側メデイアのプロパガンダをそのまま受けて、2014年のマイダン革命以降ウクライナ国内に起こった諸々の政治的出来事、つまり、東部のロシア語を喋る住民に対する弾圧、武力行使、等を完全に無視し、「ロシアが悪い」、「プーチンは悪党だ」と喧伝した。私はこのブログでこの事実を指摘し、ロシアを偏見を持って非難することに疑問を呈して来た。長年にわたってドイツ首相を務めてきたメルケル首相は「ミンスク合意」はウクライナ軍にロシアと戦うための軍備を強化させる時間をかせがせることが隠れた目的であったとの爆弾発言を行った。奇しくも、メルケル前首相のこの言葉は西側が喧伝して来たシナリオに水を差すものとなった。

そして、ロシア・ウクライナ戦争の第二章はヨーロッパの経済的巨人であるドイツを弱体化させることであるとも言われている。ノルドストリーム・パイプラインの破壊が具体的な例証であると言えよう。西側の覇権国としての米国の指導者にとっては同盟国であるドイツさえをも衰退させ、ヨーロッパ全体を沈ませることによって衰退しつつある自国の優位性を維持することが最重要であると考えるならば、米指導者らは精神的に病んでいると言えるのではないか。もはや、末期的症状だ!

「今後は、日韓豪などアジア側の同盟諸国が、中国を相手に同じような目にあわされていく」と述べた田中宇氏の見解はわれわれに日本を取り巻く地政学的な将来の展開を予感させるのに十分である。

われわれの次世代のために美しい日本を残すには、まず、われわれ自身が目を覚まさなければならない!

参照:

注1:German Business Fears Best Days Behind It as Economy Crushed by Loss of Russian Energy: By Ilya Tsukanov, Sputnik, Jul/24/2023

 


2023年8月16日水曜日

オミクロン変異株は意図的に改変され、放出されたのか?

 

3年以上に及んだ今回の新型コロナ禍では科学は全世界の一般大衆の目の前でハイジャックされてしまった。金儲け主義が犯人であった。金儲けを確実にするためにワクチン推進派は恐怖感を煽り、誇張を繰り返したが、それらは、遅かれ早かれ、さまざまな形で嘘でったことが露呈することになった。

過去の記事を読み返してみると、当時、すでにいくつもの真実が表面に出てきていた。しかしながら、今でもそれらの真実に気が付かない、あるいは自分の知識を更新しようとはしない一般大衆が少なくはないようだ。今になっては喜劇的だとさえ言えるような事例もある。

英国では2021年7月にマスク義務を解除し、マスクをしない人が増えた。だが、その後の4か月間、感染(擬陽性)の比率は上がってはいない。このため、オックスフォード大学の教授(Jim Naismith)は、マスクをしなくてもコロナに感染しやすくなる
わけでないと結論づけている。マスク不要論が正しかったことになる。オミクロン変異株の襲来を受けて、英政府は1130日からマスク義務を再開したが、それは無意味だとわかる。英国では、飲食店の店頭でお持ち帰り品を受け取る時にはマスク義務が課されるが、飲食店内に入って食事する時にはマスク義務は課されないという極めて滑稽な状況が現れた。

◆オミクロン株が現れた時、感染力が強いが、致死性は低いと言われていた。それでも、多くの国々は外国からの旅行者の入国を停止にした。つまり、この措置は医学的な措置ではなく、むしろ国内政治力学の観点から必要視されたものだ。科学が政治にハイジャックされた結果であった。

大小の事実が明るみに出るに連れて、ワクチン開発企業や医療関係者の団体、学会、専門誌、医薬品の安全性を監督する政府機関、メデイア、等の信頼性を大きく揺るがすことになった。彼らに対する信頼は地に堕ちてしまったことから、たとえ彼らがその気になったとしても、信頼性を回復することは容易な仕事ではないと思う。

ここに、「オミクロン変異株は意図的に改変され、放出されたのか?」と題された記事がある(注1)。医薬品業界の地に堕ちた信頼性は、今や、どうしようもないであろうが、その状況にさらに追い打ちをかけるような深刻さを示す表題である。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有したいと思う。

***

副題:変異株の「不自然さ」が大流行をさらに長引かせた

大阪医科薬科大学と京都大学生命医科学研究所で研究している田中と宮澤が発表した最近の論文は欧州委員会の「Zenodo」プレプリント・サーバーにおいて私の注意を引いた。

これらの研究者は新型コロナウィルスのオミクロン変異株に関して初期の突然変異を集中的に分析を行い、大流行を長引かせるために人間の手によって意図的に改変された可能性があるという結論に達した。これは、ファイザー社の研究開発部門の長であるジョードン・トリシュトン・ウォーカー博士がプロジェクト・ベリタスのおとり捜査で明らかにした内容を追認するものである。

Photo-1

Photo-2

Photo-2のテキスト部分を仮訳し、下記に示す:

ジョードン・トリシュトン・ウォーカー:ファイザー社は定方向突然変異を駆使して、新型コロナウィルスを改変することを考えている!

プロジェクト・ヴェリタスは、最近、おとり捜査の動画を公開した。その動画にはファイザー社の研究開発部門の長であって、mRNAワクチンの企画に責任を持っているジョードン・トリシュトン・ウオーカーが捉えられている。

素早く広がったその動画において、ジョードン(JTW)はプロジェクト・ヴェリタス(PV)のジャーナリストであり、隠密行動をしている危険人物であるデートの相手に好印象を与えようとするかの如く、ファイザー社は定方向突然変異を駆使して、新型コロナウィルスを改変することを考えていると言った。

隠密行動をしているプロジェクト・ヴェリタスのジャーナリストであり、危険人物でもある彼のデートの相手はそれは機能獲得ではないかと言った。すると、ジョードンは定方向突然変異は機能獲得とは違うと答えた。

本動画からの文字越しの一部を下記に示す。文字越しの全文については前回の記事を参照していただきたい。

PV:ファイザーは最終的には新型コロナウィルスの変異を考えているのではないか?

JTW:まあ、そんなことは一般社会に向けて言ってはいない。そういうことではないよ。

JTW:ところで、これは誰にも言うな。君は誰にも言わないと約束しなければならない。

JTW:われわれはこんな研究をしているのだが、君はウィルスがどんなふうに変異し続けるかを知っているかい?

JTW:われわれが研究をしていることのひとつはこんな具合だ。たとえば、新型ワクチンを前もって準備しておくためにわれわれ自身がウィルスを変異させてはどうか。分かるかい?つまり、そうしなければならないのだ。だが、もしもわれわれがそうする場合は、君も想像することができるように、リスクが伴う。誰も製薬企業にウィルスを改変させたいなんて思いもしないからだ。

PV:それ(ウィルスの改変)って、機能獲得みたいに聞こえるが。

JTW:それは分からない。機能獲得とはちょっと違う。違うと思うよ。こんな具合だよ。間違いなく機能獲得ではない。

PV:機能獲得みたいに聞こえるよ。て言うか、まあ、OKだ。

JTW:そうじゃない。定方向突然変異はまったく違うんだ。

JTW:このウィルスを使って機能獲得の研究は行わないことになっている。

JTW:われわれがそんなことはしないよう誰もが願っているのだろうが、ウィルスをもっと強化することが出来るかどうかを試すべく、特定の構造的変異をわれわれは行っている。

(訳注:プロジェクト・ヴェリタスのジャーナリストによって秘密裏に録画された内容は2023125日に公開された。)

***

これで全文の仮訳が終了した。

私としては日本の研究者が重要な見解を発表してくれたことを嬉しく思う。プロジェクト・ヴェリタスのジャーナリストがファイザー社の研究部門の管理者から引き出した内容が日本の研究者によって科学的に追認されたということの意味は非常に大きい。

この秘密に録画された内容によって、ファイザー社が戦略を企画し、それに沿って研究開発を行い、ワクチンを少しでも早く準備するためには変異株を自ら作り出し、自然な展開よりも早めに研究を進めるためにウィルスに機能獲得をさせるといった研究戦略が意図され、実行されていた諸々の事実が判明した。これは、消防署が自分たちが有能であることを見せつけるために消防署自身が放火を計画し、実際に放火を行うような事態である。

私には定方向突然変異が機能獲得と同義であると言えるのか、あるいは、まったく別のものであるのかについてははっきりと断言することはできない。だが、素人の私から見ると、両者は共に遺伝子組み換え技術の広い領域の中に位置しているように見える。とすると、ここに述べられているファイザー社の事態は想像を超えた、極めて破廉恥な状況であると言えよう。この引用記事で医学界のその分野におけるリーダーのひとりであるピーター・マッカロー博士をして疑わせしめたように、そのような疑念を抱かせるには十分ではないか!

こうして、日本の研究者の見解が発表されたことによって、最後に残されていた不確実性のひとつが、今や、排除された感じがする。

念のために、ここで、田中と宮澤が発表した最近の論文の内容を確認しておきたいと思う。論文要旨の仮訳を下記に示す:

表題:SARS-CoV-2変異株の進化過程における不自然性と意図的な自然淘汰の可能性Unnaturalness in the evolution process of the SARS-CoV-2 variants and the possibility of deliberate natural selection

By Tanaka, Atsushi; Miyazawa, Takayuki

202385

過去3年間、重症急性呼吸器症候群のコロナウイルス2SARS-CoV-2)はパンデミックを繰り返し経験し、アルファからオミクロンまでのさまざまな変異株を生み出してきた。本研究はSARS-CoV-2株のうちでスパイクタンパク質に多くのアミノ酸変異を持つオミクロン株に着目し、SARS-CoV-2オミクロン株の形成に至る進化過程を明らかにすることを目的としている。SARS-CoV-2オミクロン株の形成につながる変異の順序を決定するために、129個のオミクロンBA.1関連株、141個のBA.1.1関連株、および122個のBA.2関連株の配列を比較し、SARS-CoV-2オミクロン変異体の形成につながる突然変異の順序や相同組換えの発生など、SARS-CoV-2オミクロン変異体の進化過程を解明することを試みた。その結果、オミクロン株BA.1BA.1.1BA.2の一部の形成は突然変異の蓄積や相同組換えなどの自然界で一般的に見られるようなゲノム進化の産物ではないと結論付けられた。さらに、オミクロン変異体BA.1およびBA.235の組換え分離株の研究により、オミクロン変異体は2020年にはすでに存在していたことが確認された。

何と言うことだ!「オミクロン株BA.1BA.1.1BA.2の一部の形成は突然変異の蓄積や相同組換え、等、の自然界で一般的に見られるようなゲノム進化の産物ではないと結論付けられた。オミクロン変異体は2020年にはすでに存在していた」と報告している。こうして、著者らは「変異株の進化過程における不自然性と意図的な自然淘汰の可能性」という見解に到達したのである。

オミクロン株による最初の症例が報告されたのは20211124日であった。南ア政府からWHOへ報告された。オミクロン株は従来から伝播していたデルタ株に置き換わって、2021年末から2022年にかけて世界の主流株となった。この新型コロナ禍の流れの中でワクチン開発企業は大儲けをした。だが、今や、その過程で人為的に変異株を作り出し、それを解放したのではないかという極めて非倫理的な行為が指摘され始めている。

しかしながら、もしもこの新型コロナウィルスの変異株の一部が人為的に形成されたものであったとしても、現代医学や各国の医師会、医学専門誌、WHOの専門家はまったく驚くことはないのではないか。そもそも、これらの変異株の祖先は武漢ウィルス研究所やノースカロライナ大学で機能獲得に関する研究が行われていたのであり、米政府によるモラトリアムが発効した後でさえも彼らは例外的に活動をしていたのであるから・・・、何をかいわんやである。研究者たちにとってはワクチン開発においても次々と自然発生する変異株の先手を打とうと考えることには何の躊躇いや罪悪感もなかったのかも知れない。だが、透明性を保って社会全体や患者に対して説明責任を果たすという社会的使命にはまったく答えようとはしなかった。それにも増して、自分たちに都合の悪い科学的な反論や意見は完全にシャットアウトしてしまった。あれは実に卑怯なやり方だ。

ファイザーはいったいどのような弁明をするのだろうか?

彼らに対する信頼感は一気に地に堕ちた!その一方で、ほくそ笑んでいたのはいったい誰か?それは金儲けをした連中だ。それは危機感を煽り、情報統制を行い、虚偽情報を喧伝し、世界中の人たちをコントロール下に置くことにまんまと成功した連中だ。彼らは自分たちの教科書を作成することに成功した。今回の成功に味をしめて、彼らは、将来、またも同じことを繰り返すのではないだろうか?

ところで、この大シナリオを書いたのはいったい誰だろうか?ファウチ博士やファイザー社を背後から操っていたのはいったい誰だろうか?

参照:

1Could Omicron Have Been Intentionally Engineered and Released?: By Peter A. McCullough, MD, MPH, Aug/10/2023

 





2023年8月14日月曜日

日本を降伏させたのは原爆ではない。スターリンだ

 

8は毎年やってくる。好むと好まざるとにかかわらず、8月はわれわれ日本人にとっては日本の現代史を反芻する絶好の機会となる。

広島と長崎に原爆を投下し、20万人もの非戦闘員を殺したことについて、米国政府は米国の将兵が殺されることを防ぐことに貢献したとして正当化してきた。そうすることによって、米国は戦争犯罪の汚名から身をかわしてきたのである。しかしながら、多くの歴史的事実が公開され、そういった情報を繋ぎ合わせてみると、われわれ一般庶民が周知の事実として理解してきた事柄は実際にはそんなに単純ではないことが少なくはない。それは米国についても言えるし、日本についても言える。

米軍が日本へ上陸し、日本軍や民間人と地上戦を行わなければならなかったとしたら、多くの米兵が犠牲になったであろうという推測は妥当だ。しかしながら、日本の降伏を促すために原爆の投下が必要であったとする主張は、米軍の高官の大多数の見方であったと肯定することは難しいように思う。数多くの米軍高官は、当時、日本はすでに降伏する寸前に追いやられていたと分析し、原爆投下の必要性を否定していた。

原爆投下は軍事的な観点からは必要性がなかったとするならば、当時の米国政府はどうして広島・長崎への原爆投下に踏み切ったのだろうか?その問い掛けに答えなければならない。われわれの多くはすでに答えを知っているが、原爆の投下から78年が経過したこの夏、もう一度おさらいをしておこうではないか。

ここに、「日本を降伏させたのは原爆ではない。スターリンだ」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有したいと思う。なお、この記事は10年前に出版されたものだ。

***

副題:70年間にもおよび核政策は虚偽に根ざして来たのか?

Photo-1:広島への原爆投下後、広島県産業奨励館の破壊された様子。19459月に撮影。この建物は広島平和記念館として保存されている。AFP/GETTY IMAGES

第二次世界大戦中に日本に対して米国が使用した核兵器は長い間感情的な議論の対象となってきた。当初、広島と長崎に2発の原爆を投下するというトルーマン大統領の決定に疑問を呈する人はほとんどいなかった。しかし、1965年、歴史家のガー・アルペロヴィッツはこの原爆投下は戦争の即時終結を強制したが、日本の指導者たちはすでに降伏したかったことから、111日に計画されていた米軍の侵攻以前に日本は降伏していた可能性が高いと論じた。したがって、原爆の使用は不要であった。もしも戦争に勝つために原爆が必要ではなかったならば、明らかに、広島と長崎への原爆投下は間違っていた。あれから48年、アルペロヴィッツに同調して、原爆の投下を非難する人たちがいる。その一方、原爆が道徳的で、必要で、命を救うものであったと熱く語るたち人もいる。

しかしながら、どちらの思考グループもより強力な新しい武器による広島・長崎への爆撃が89日に日本に降伏することを強いたと想定している。そもそも、彼らは爆撃の有用性に疑問を呈してはいないのである。本質的に言って、原爆投下は機能したのかを尋ねなければならない。正統派の見解は「はい。もちろん、うまく機能した」という。米国は86日に広島、89日に長崎に原爆を投下し、ついに日本はさらなる核攻撃の脅威に屈して、降伏したのだという。このストーリーへの支持は根深い。しかしながら、そこにはみっつの大きな問題があり、まとめて言えば、それらは日本の降伏に関する伝統的な解釈を著しく損なっている。

タイミング:

伝統的な解釈における最初の問題はタイミングだ。そして、これは深刻な問題である。伝統的な解釈は単純なタイムラインで構成されている。つまり、米軍は86日に核兵器で広島を爆撃し、3日後に別の核兵器で長崎を爆撃し、翌日、日本は降伏の意図を示した。*「太平洋に平和:われわれの爆弾がやってのけた!」といった見出しを掲載した米国の新聞を非難することなんてとてもできない。

米国の歴史の中で広島の物語が語られる時、ほとんどの場合、原爆投下の日である86日が物語のクライマックスとして機能する。物語のすべての要素は原爆を製造するという決定やロスアラモス研究所での秘密の研究、最初の印象的な実験、そして、広島での最後の集大成、等、すべてがその瞬間を指している。言い換えれば、それは原爆についての物語として語られている。しかし、原爆の話の文脈からは日本が降伏するとの決定を下したことを客観的に分析することはできない。日本の決定を「原爆の物語」として位置付けることは原爆の役割が中心であることをすでに前提としているのである。

日本人から見ると、8月の第2週で最も重要な日は86日ではなく、89日であった。その日は最高評議会が無条件降伏について話し合うためにこの戦争で初めて会合を持った日であった。最高評議会は、1945年に日本を事実上統治していた政府の6人のトップメンバー(一種の内閣)のグループであった。その日以前には、日本の指導者たちは降伏することを真剣に考えてはいなかった。無条件降伏(連合国が要求していたもの)は飲み込むのには極めて苦い薬だった。米国と英国はすでにヨーロッパで戦争犯罪裁判を招集していた。彼らが神であると信じられていた天皇を裁判にかけることに決めたとしたら、どんなことになるのだろうか?彼らが天皇を追い出し、政府の形態を完全に変えたらどうなるのだろうか?1945年の夏、状況は悪かったが、日本の指導者たちは彼らの伝統や信念、または、彼らの生き方を放棄することを検討することは厭わなかった。89日までは。彼らが突然、そして、決定的に彼らの考えを変えさせる原因としていったい何が起こったのだろうか?14年間も戦争を継続した後に、初めて降伏について真剣に話し合うために彼らが一堂に会したのはいったい何だったのだろうか?

それは長崎のせいでもなかった。長崎への原爆投下は、最高評議会がすでに降伏を議論するための会議をすでに開始した後であって、89日の午前遅くに起こった。日本の指導者たちに原爆投下の知らせが届いたのは最高評議会の会議が行き詰まって、一時中断され、内閣が完全な議論を行うために再召集された後、つまり、午後の早い段階であった。タイミングだけで長崎への原爆投下が彼らの決定の動機付けとなったとは言えそうにはない。

広島も最適な候補ではない。それは74時間前にやってきた。つまり、3日以上も早くだった。展開するのに3日もかかるというのはいったどのような危機であろうか?危機の際の特徴というのは災害が差し迫っっているという感覚や今すぐにでも行動を起こしたいという圧倒的な願望だ。日本の指導者たちは広島が危機を触発したにもかかわらず、3日間その問題について話すために会合を持たなかったことをどのように感じていたのだろうか?

ジョン・F・ケネディ大統領は、19621016日の午前845分頃、国家安全保障顧問のマクジョージ・バンディがソビエト連邦がキューバに核ミサイルを密かに設置していることを知らせるためにやって来た時、朝刊を読みながらベッドに座っていた。2時間45分以内に特別委員会が設立され、そのメンバーが選ばれ、連絡が取られ、メンバーたちはホワイトハウスに出頭し、閣僚のテーブルを囲んで座り、何をすべきかを議論した。

北朝鮮が38度線を越えて韓国に侵攻した時、つまり、1950625日、ハリー・トルーマン大統領はミズーリ州インディペンデンスで休暇を過ごしていた。アチソン国務長官はその土曜日の朝トルーマンに電話して、ニュースを伝えた。24時間以内に、トルーマンは米国のほぼ半分を飛行し、ブレアハウス(ホワイトハウスは改修中であった)に座り、彼の軍事や政治の最高顧問たちと何をすべきかについて話し合っていた。

南北戦争中の1863年にポトマック軍の北軍司令官であり、リンカーン大統領が悲しいことには「彼は遅い」と評したジョージ・ブリントン・マクレラン将軍でさえも、ロバート・E・リー将軍が出したメリーランド侵攻命令のコピーを与えられた時に無駄にした時間はわずか12時間だけであった。

これらの指導者たちは誰もが、まさにどの国の指導者たちもそうであるように、危機がもたらした緊急の呼びかけに応えたのである。彼らはそれぞれ短時間のうちに決定的な一歩を踏み出した。このような行動をわれわれはどのようにして日本の指導者の行動と両立させることができるのか?広島が本当の危機に触れ、14年間も戦ってきた後、最終的に日本人を降伏させたとするならば、なぜ彼らは降伏について話し合うために一堂に会するのに3日間も要したのであろうか?

遅延は完全に論理的であると主張する人がいるかも知れない。おそらく、彼らは原爆投下の重要性にゆっくりと気付いたのだ。おそらく、彼らはそれが核兵器であることを知らなかっただろうし、彼らがそれに気付き、そのような兵器が持つ恐ろしい可能性の影響を理解した時、彼らは降伏しなければならないと自然に結論付けることになった。残念ながら、このような説明は証拠とは一致しない。

第一に、広島が爆撃されたまさにその日に、広島の知事は人口の約3分の1が攻撃で殺され、都市の3分の2が破壊されたと東京に報告した。この情報は次の数日間変更されることはなかった。したがって、結果は、つまり、原爆の最終的な結果は最初から明らかであった。日本の指導者たちは最初の日の攻撃について大まかな結果を知ってはいたが、それでも行動をしなかった。

第二に、広島原爆を調査した陸軍チームが作成した初期報告書はそこで何が起こったのかについての詳細を述べたものであり、810日まで届けられなかった。言い換えれば、降伏の決定がすでに下された後になるまで、それは東京には到達しなかったのである。彼らの口頭での報告は88日に(軍に)届けられたが、原爆の詳細は2日後まで入手できなかった。したがって、降伏の決定は広島で起こった恐怖についての徹底した評価に基づいたものではなかった。

第三に、少なくとも大まかに言えば、日本軍は核兵器とは何かを理解していた。日本には核兵器計画があった。何人かの軍人は広島を破壊したのは核兵器であったという事実を日記に記している。阿南是近陸軍大臣は、87日の夜、日本の核兵器計画の責任者との相談に行った。日本の指導者たちが核兵器について何も知らなかったという考えは成り立たない。

最後に、タイミングに関するもうひとつの事実は極めて顕著な難問を引き起こす。88日、東郷重徳外務大臣は鈴木貫太郎首相のところへ行き、広島への原爆投下を議論するために最高評議会を招集するよう求めたが、メンバーたちは辞退した。そのため、この危機は89日に一気に満開になるまでは膨らむことはなかった。広島への原爆投下の「衝撃」に依拠したとして日本の指導者たちの行動を説明するには88日に原爆投下について話し合うための会合を検討したが、それはあまりにも重要ではないと判断し、そして、突然、その翌日、降伏について話し合うために会合を持つことに決めたという一連の事実をうまく説明しなければならない。彼らはある種の集団的な統合失調症に陥ったか、あるいは、降伏について話し合った本当の動機はまったく別の出来事にあったかのどちらかである。

破壊の尺度:

歴史的には、原爆の使用はこの戦争での最も重要な個別の出来事であったように思えるかも知れない。しかしながら、現代の日本の観点からは、原爆を他の出来事と区別することはそれほど簡単ではなかったのかも知れない。結局のところ、ハリケーンの真っ只中において一滴の雨を識別することは極めて困難な話だ。

1945年の夏、米陸軍航空部隊は世界の歴史の中で最も激しい都市破壊キャンペーンのひとつを実施していた。日本の68の都市が攻撃され、それらはすべて部分的または完全に破壊された。推定で170万人がホームレスになり、30万人が死亡し、75万人が負傷した。これらの襲撃のうち66回は従来の爆弾で行われ、2回は原爆で行われた。従来の攻撃によって引き起こされた破壊は甚大であった。毎晩のように、夏の間ずっと、都市は煙に包まれていた。この破壊の連鎖の真っ只中で、たとえひとつの爆撃が驚くべき新しいタイプの武器で実行されたとしても、あるいは、その個々の爆撃があまり印象に残らなかったとしても驚くことではない。

マリアナ諸島から飛来するB-29爆撃機は、ターゲットの位置と攻撃の高度によって変わるが、16,00020,000ポンド(7,2009,000キロ)の爆弾を運ぶことが可能であった。典型的な攻撃は500機の爆撃機で構成されていた。これは、典型的な従来の攻撃は各都市に45キロトンの爆弾を投下していたことを意味する。 (キロトンは1,000キロを示し、核兵器の爆発力の標準的な測定尺度である。広島原爆は16.5キロトンで、長崎原爆は20キロトン) 多くの爆弾は破壊を均等に(したがって、より効果的に)拡散する一方で、単一のより強力な爆弾は爆発の中心でその破壊力の多くを浪費し、瓦礫を跳ね飛ばすことを考えると、従来の攻撃のいくつかはふたつの原爆の破壊力に近づいたと主張することが可能だ。

通常の攻撃の最初のもの、つまり、19453910日の東京への夜間攻撃は戦争の歴史の中で都市に対して行われた単一の攻撃の中で最も破壊的な攻撃であった。16平方マイル(41平方キロ)に及ぶ市街が燃え尽きた。推定で12万人の日本人が命を落とした。これは都市への爆撃攻撃の中で唯一最大の死者数である。

ストーリーの語り口から、広島への原爆投下ははるかにひどかったと私たちはしばしば想像しがちだ。殺された人の数はチャートからは大きく外れていたと想像しがちである。しかし、1945年の夏に爆撃された68都市すべてで殺された人々の数をグラフ化すると、広島は民間人の死者数で2番目であることが分かる。破壊された平方マイルの数をグラフ化すると、広島は4番目であることが分かる。また、破壊された都市の割合をグラフ化すると、広島は17位だ。明らかに広島はあの夏に実行された通常攻撃のパラメータの範囲内であった。

われわれの視点から見ると、広島は特異で並外れたものに思える。しかし、広島への攻撃に至るまでの3週間における日本の指導者たちの立場に立つと、状況は極めて異なったものとなる。もしもあなたが7月下旬から8月上旬における日本政府の主要メンバーの一人であったとしたならば、あなたの都市爆撃の経験は次のようなものであったであろう。つまり、717日の朝、あなたは夜の間に4つの都市が攻撃されたという報告を受けたであろう。大分、平塚、沼津、および、桑名だ。これらの都市では、大分と平塚は50%以上が破壊された。桑名は75%以上が破壊され、沼津はさらに酷く攻撃され、市の90%が焼け落ちた。

3日後、あなたが目を覚ますと、さらにみっつの都市が攻撃されていたことに気付くことになる。福井では80%以上が破壊された。一週間後、さらに3つの都市が夜の間に攻撃された。2日後、75%が破壊された一宮を含めて、一晩でさらに6つの都市が攻撃された。82日、あなたがオフィスに到着すると、さらによっつの都市が攻撃されたという報告が待っていた。そして、その報告には富山(1945年のテネシー州チャタヌーガとほぼ同じ大きさ)は99.5%が破壊されたという情報が含まれていたであろう。事実上、街全体が平坦化されてしまった。4日後、さらによっつの都市が攻撃された。86日、広島の都市だけが攻撃されたが、被害は大きく、新型爆弾が使用されたと報告されている。何週間も続いていた都市の破壊を背景にして、この新種の攻撃はどれほど際立っていたであろうか?

広島への原爆投下の前の3週間で26の都市が米陸軍航空部隊によって攻撃された。これらのうち、やっつの都市、つまりほぼ3分の1は広島と同程度か、それ以上に完璧に破壊された(破壊された都市の割合の観点から)。1945年の夏に日本が68の都市を破壊されたという事実は広島への原爆投下を日本の降伏の原因にしたい人々にとってはまさに深刻な問題を提起するのである。問題は、ひとつの都市が破壊されたがために彼らは降伏したと言うならば、他の66の都市が破壊されたときに彼らはなぜ降伏しなかったのはなぜかという点だ。

もしも日本の指導者たちが広島と長崎のために降伏しようとしていたとしたら、彼らは都市爆撃全般を気にかけており、都市攻撃は彼らに降伏するよう圧力をかけていたことに気付くであろう。しかし、これはそういうわけではないようだ。東京への爆撃から2日後、引退した幣原喜重郎外相は当時の日本の高官たちの間で明らかに広く抱かれていた感情を表明した。幣原は「人々は毎日の爆撃に徐々に慣れることだろう。やがて、彼らの団結と決意はより強くなるだろう。」友人への手紙の中で、彼は「何十万人もの非戦闘員が殺されたり、負傷したり、飢えたとしても、何百万もの建物が破壊または焼失したとしても」外交には追加の時間が必要であるため、市民が苦しみに耐えることが重要であると述べていた。幣原は穏健派であったことを覚えておいていただきたい。

政府の最高レベル、つまり、最高評議会においても態度は明らかに同じであった。最高評議会はソビエト連邦が中立を維持することの重要性について話し合ったが、彼らは都市爆撃の影響については完全な議論を行わなかった。保存されている記録によると、都市爆撃は、19455月の末頃と89日の夜の幅広い議論の2回を除いては、最高評議会の議論中にさえも言及されてはいないのである。証拠に基づいて言えば、戦争の実行に関連する他の差し迫った問題と比較して日本の指導者たちが都市爆撃は極めて重要であると考えていたと主張することは困難である。

阿南大将は、813日、原爆投下は日本が何ヶ月にもわたって耐えてきた焼夷弾による攻撃ほど脅威的ではないと述べた。もし広島と長崎が焼夷弾爆撃よりも脅威ではなく、日本の指導者たちがそれらを深く議論するほど重要だとは考えていなかったとしたら、広島と長崎への原爆投下はいったいどうやって彼らに降伏を強制することができたのであろうか?

戦略的重要性:

日本人が都市爆撃全般について、特に、広島への原爆投下について関心がなかったとしたら、彼らはいったい何に関心があったのだろうか?答えは単純だ。それはソビエト連邦だ。

日本は比較的困難な戦略的状況にあった。彼らは負け戦の終わりの段階に近づいていた。状況は極めて悪かった。しかし、陸軍は依然として強力で供給が豊富であった。400万人近くの男たちが武装しており、そのうち120万人が日本の故郷の島々を守っていた。

日本政府の最も強硬な指導者でさえも戦争を続けることはできないことを知っていた。問題は継続するかどうかではなく、可能な限り最良の条件で戦争を終わらせる方法であった。連合国(米国、英国、その他。当時、ソビエト連邦はまだ中立であったことを思い出していただきたい)は「無条件降伏」を要求していた。日本の指導者たちは戦争犯罪裁判を回避し、政府の形態を維持し、征服した領土の一部(韓国、ベトナム、ビルマ、マレーシアとインドネシアの一部、中国東部の大部分、太平洋の多数の島々)を維持する方法を見つけ出すことができるかもしれないと期待していた。

彼らはより良い降伏条件を得るためにふたつの計画を持っていた。言い換えると、彼らにはふたつの戦略的選択肢があったのだ。まずは外交的な選択肢。日本は19414月にソビエト連邦と5年間の中立条約に署名し、1946年に失効することになっていた。主に文民指導者で構成され、東郷重徳外相が率いるグループはスターリンが米国とその同盟国、および、日本との間の和解を調停することを確信するかも知れないことに期待を抱いていた。この計画は大きな賭けであったが、健全な戦略的思考を反映していた。結局のところ、和解の条件が米国にとってあまり有利ではないということはソビエト連邦にとっては利益になるのである。アジアにおける米国の影響力と力の増加はロシアの力と影響力の減少を意味するからだ。

2番目の計画は軍事的であり、阿南是近陸軍大臣が率いるその支持者のほとんどは軍人であった。彼らは帝国陸軍の地上部隊を使用して、米軍が侵攻してくる際に多くの死傷者を出すことを望んでいた。彼らが成功すれば、彼らは米国により良い条件を提供させることができるかも知れないと感じていた。この戦略も大きな賭けであった。米国は無条件降伏に深く傾倒しているようであった。実際には、侵攻による死傷者が法外なものになるという懸念が米軍側にあったので、日本の最高司令部の戦略は完全に的外れというわけではなかった。

日本の降伏を引き起こしたのは広島への原爆投下なのか、それとも、ソビエト連邦による侵略と宣戦布告であったのかを判断するひとつの方法は、これらふたつの出来事が戦略的状況にどのように影響したのについてを比較することである。86日に広島に原爆が投下された後、両方の選択肢はまだ生きていた。スターリンに調停を依頼することはまだ可能だったであろう(88日の高木の日記によると、少なくとも日本の指導者の何人かは依然としてスターリンを巻き込む努力について考えていたことを示している)。また、最後の決定的な戦いを行い、大きな犠牲を出させることも可能であったであろう。広島の破壊は日本の故郷の島々の海岸に掘られた塹壕に潜む軍隊の準備状況を減退させるような理由にはならなかった。彼らの背後では、今や、都市がひとつ減ってはいたが、彼らは未だに深く掘り下げており、弾薬はまだ持っていた。彼らの軍事力は重要な意味を持つ減退をしてはいなかったのだ。広島への原爆投下は日本のふたつの戦略的選択肢のどちらをも差し控えさせることにはならなかった。

しかしながら、ソビエトの宣戦布告と満州やサハリン島への侵攻の影響はまったく異なっていた。ソビエト連邦が宣戦布告すると、スターリンはもはや調停者として行動することができず、今では交戦者である。したがって、外交的選択肢はソビエトの動きによって一掃されてしまった。軍事状況への影響も同様に劇的であった。日本の精鋭部隊のほとんどは故郷の島々の南部に配置されていたのである。日本軍は米軍の侵攻の最初の標的になる可能性が高いのは九州の最南端であると正しく推測していた。たとえば、満州におけるかつての誇り高き広東軍は日本自体を守るために彼らの精鋭部隊が移動されていたことから、以前の自己の抜け殻でしかなかった。ロシア軍が満州に侵攻した時、彼らはかつては精鋭部隊であった軍団を切り裂き、多くのロシア軍部隊は燃料が切れた時にだけ進軍を停止した。ソビエト第16軍(10万人)はサハリン島の南半分への侵攻を開始した。彼らの命令はそこで日本の抵抗を一掃し、その後は1014日以内に日本の故郷の島々の最北端にある北海道に侵攻する準備をすることであった。北海道を防衛する任務を負っていた日本軍の第5方面軍はふたつの師団とふたつの旅団であり、島の東側の要塞陣地に配置されていた。ソビエト軍の攻撃計画は西からの北海道への侵攻を要求していた。

ある方向から侵攻してくるひとつの大国に対して決定的な戦いを繰り広げることは可能かもしれない。だが、ふたつの異なる方向から侵攻してくるふたつの大国と同時に戦うことは不可能であることを軍事的天才たちが正しく理解するのに時間はかからなかった。ソビエトの侵攻は外交戦略を無効にし、軍の決定的な戦闘戦略を無効にしてしまったのである。日本の選択肢は一気に消えてしまった。ソビエト軍の侵攻は戦略的には決定的であって、日本のふたつの選択肢を差し控えることになった。だが、広島への原爆投下はそうはならなかった(どちらをも差し控えることにはならなかった)。

ソビエトの宣戦布告は、また、機動にどれだけの時間が残されているのかの計算を狂わせてしまった。日本の諜報機関は米軍は何ヶ月も侵攻してはこないと予測していた。一方、ソビエト軍はたった10日間で本土に間違いなく到着する可能性があった。このソビエト軍の侵攻はこの戦争を終わらせることに関しては時間に極めて敏感な形で意思決定をさせることになった。

そして、日本の指導者たちは数ヶ月前にこの結論にすでに達していた。19456月の最高評議会の会議で、彼らはソビエトの戦争への参入は「帝国の運命を決定するであろう」と述べた。川辺陸軍副参謀総長は同会議で「ソビエト連邦との関係における平和の絶対的な維持がこの戦争の継続には不可欠だ」と述べていた。

日本の指導者たちは彼らの都市を破壊していた都市爆撃には一貫して無関心を示していた。そして、19453月に爆撃が始まった時、これは間違っていたかもしれないが、広島が攻撃されるまで、戦略的影響の観点から都市爆撃をそれ程重要ではない余興と見なすことは確かに正しかった。トルーマンが日本が降伏しなければ日本の都市に「破滅の雨」が訪れさせると脅したことは有名であるが、破壊するものはほとんど残ってはいないことに気付いている米国人はほとんどいなかった。トルーマンの脅迫が行われた87日までに、まだ爆撃されていない10万人都市は10都市しか残っていいなかった。89日に長崎が攻撃されると、残ったのは9都市だけだった。そのうちのよっつの都市は米国の飛行機が拠点を置いていたテニアン島から離れているため爆撃が困難であった最北端の島、北海道にあった。日本の古都である京都は、その宗教的および象徴的な重要性のために、陸軍長官ヘンリー・スティムソンによって目標リストから削除された。したがって、トルーマンの恐ろしい脅しにもかかわらず、長崎が爆撃された後に核兵器で容易に攻撃される可能性が残されていた主要都市はよっつだけであった。

米陸軍航空部隊による都市爆撃作戦の徹底振りと範囲は彼らが日本の多くの都市を駆け抜けたため、人口が30,000人以下の「都市」を爆撃さえしたという事実によって推し量ることができる。現代世界では人口が30,000人の都市は大きな町に過ぎない。

もちろん、すでに焼夷弾で爆撃されていた都市を再爆撃することは常に可能であった。しかしながら、これらの都市は、平均して、すでに50%が破壊されていた。あるいは、米国は核兵器で小都市を爆撃することもできたであろう。しかし、まだ爆撃されてはいない小都市(人口30,000100,000人)はむっつしか残っていなかった。日本はすでに68の都市が大きな爆撃被害を被っていたが、ほとんどの場合それには開き直っていたことを考えると、日本の指導者たちがさらなる爆撃の脅威にそれ程の感銘を受けなかったであろうということは、おそらく、驚くべきことではない。戦略的に説得力があったというわけではない。

都合の良いストーリー:

これらのみっつの強力な異論が存在するにもかかわらず、特に米国における伝統的な解釈は依然として多くの人々の考えを強く捉えている。事実を見ることには本物の抵抗が付きまとう。しかし、おそらく、これは驚くべきことではない。広島に関する伝統的な説明は日本と米国の両方にとってどれほど感情的に便利であったかを思い起こす価値があろう。考えが真実であれば、その考えは持続性を保つことができる。だが、残念ながら、感情的に満足し得るものであれば、その考えを持続することも可能だ。つまり、それらは重要な精神的ニーズを満たしてくれるのである。たとえば、戦争の終わりに当たって広島に関する伝統的な解釈は日本の指導者たちが国内および国際的な多くの重要な政治的目的を達成するのに役立ったのである。

天皇の立場になってみていただきたい。あなたは悲惨な戦争を行って、あなたの国を導いて来たばかりだ。経済はすっかり崩壊している。あなたの都市の80パーセントが爆撃され、焼け落ちた。陸軍は一連の敗北に打ちのめされて来た。海軍は間引きされ、港に閉じ込められた。飢餓が迫っている。要するに、戦争は大惨事であり、何よりも悪いことには、あなたは状況が実際にどれだけ悪いのかに関してあなたの国民に嘘をついて来た。国民は降伏のニュースに衝撃を受けるであろう。あなたはいったいどちらを実行したいのだろうか?あなたは自分が酷く失敗したことを認めるのか?あなたは見事な程に誤算し、繰り返して間違いを犯し、国家に対して甚大な損害を与えたという声明を出すのか?それとも、誰もが予測できなかった驚くべき科学的進歩が欠如していたことを非難するのか?戦争の敗北を原爆のせいにすることは、戦争におけるすべての間違いや誤解を敷物の下へと一掃してくれた。原爆は戦争に負けたことの完璧な言い訳となった。責任を分担する必要はまったくない。調査裁判所を開く必要もなかった。日本の指導者たちは最善を尽くしたと主張することができた。こうして、最も一般的なレベルでは原爆の投下は日本の指導者に対する非難を逸らすのに役立ったのである。

日本の敗北を原爆に帰することは他のみっつの特定の政治的目標にも役立った。第一に、それは天皇の正当性を維持するのに役立った。戦争が過ちではなく、敵の予期せぬ奇跡のような武器のせいで負けた場合、天皇制度は日本国内で支持を見つけ続けるかも知れない。

第二に、それは国際的な共感に訴えかけた。日本は積極的に、そして、征服された人々に対しては特に残忍な戦争を繰り広げた。その行動は他の国々によって非難される可能性があった。残酷で恐ろしい戦争の道具によって不当に爆撃された犠牲国として日本を演出することができれば、日本軍が行った道徳的には嫌悪感を覚えるいくつかの事柄を相殺するのに役立つであろう。原爆投下に注目を集めることは日本をより同情的な光で描き上げ、厳しい処罰への支持を逸らすのに役立つであろう。

最後に、原爆の投下が勝利を導いたと言うことは、米国を勝利者とする日本人を喜ばせるであろう。米軍による占領は1952年まで正式には終了しなかった。そして、その間、米国は彼らが適切と考えるように日本社会を変えたり、作り直したりする力を持っていた。占領の初期には、多くの日本当局者らは米国人が天皇制度を廃止するつもりであることを心配していた。そして、彼らには別の心配もあった。日本の政府高官の多くは戦争犯罪裁判に直面する可能性があることを知っていた(日本の降伏時には、ドイツの指導者に対する戦争犯罪裁判がすでにヨーロッパにおいて進行中であった)。日本の歴史学者の浅田貞夫は「日本の役人は・・・明らかに彼らの米国からの質問者を喜ばせることを切望していた」と戦後のインタビューの多くで述べた。米国人が原爆が勝利に導いたと信じたいのであるならば、いったいどうして彼らを失望させなければならないのか?

戦争の終結を原爆に帰することはさまざまな点で日本の利益に役立ったのである。しかし、それは米国の利益にも役立った。もしも原爆が勝利に導いてくれたならば、米国の軍事力に対する認識が高まって、アジアと世界における米国の外交的影響力が高まり、米国の安全保障が強化されるであろう。原爆を製造するために費やされた20億ドルは決して無駄ではなかった。もしもソビエトの参戦が日本を降伏させたのであれば、米国が4年間でできなかったことをソビエトはたったの4日間でできたと主張することが可能であり、ソビエトの軍事力とソビエトの外交的影響力の認識は著しく強化される。そして、冷戦が始まった際にソビエトの参戦が決定的な要因であったと主張することは敵に援助と慰めを与えることに等しかったであろう。

ここに提起された疑問点を考えると、広島と長崎に関する証拠は核兵器について考えるすべてのことの中心にあるとするの極めて厄介だ。この出来事は核兵器の重要性を主張する際の基盤である。それはこれらふたつの都市のユニークな地位にとっては非常に重要で、これは通常の規則は核兵器には適用されないという概念だ。それは核の脅威を巡る重要な尺度である。日本に「破滅の雨」を訪問させるというトルーマンの脅しは明白に最初の核による脅迫行為であった。それは、武器を取り仕切り、国際関係において自分たちを非常に重要にする超大国のオーラの鍵でもあった。

しかし、広島の伝統的な物語が疑われる場合、これらすべての結論はどうすべきか?広島が中心にあって、他のすべての主張が放射されて来る中心なのである。しかし、私たちが自分自身に語ってきた物語は事実からは非常にかけ離れているようだ。この巨大な最初の成果、つまり、日本が突然降伏したという奇跡は神話に過ぎないことが判明した場合、あなたは核兵器についてどう思うだろうか?

訂正 ― 2016531日:広島市には194586日に原爆が投下された。この記事の古いバージョンでは、ある例では、同市は88日に爆撃されたと誤って述べていた。また、この記事はもともとは米陸軍航空部隊ではなく、米空軍を言及していた。

著者のプロフィール:ウォード・ウィルソンはロンドンにあるシンクタンク「British American Security Information Council」の上級研究員であり、「核兵器に関するいつつの神話」(Five Myths About Nuclear Weapons)の著者である。この記事はそこから抽出され、執筆された。

タグ:EAST ASIA, ECONOMICS, FOREIGN & PUBLIC DIPLOMACY, HISTORY, JAPAN, MILITARY, NATIONAL SECURITY AGENCY, NUCLEAR WEAPONS, SCIENCE AND TECHNOLOGY, U.S. FOREIGN POLICY

***

これで全文の仮訳が終了した。

広島・長崎への原爆投下は米軍が日本本土へ上陸する作戦で大量の犠牲者を出すのを避けるのに大いに役だったとする米政府のストーリーは歴史に残されている記録を辿ることによって見事に覆された。

こうして、過去80年間近く続いてきた伝統的な説明は単なる神話へと変わった。日本の大きな都市が米軍機による爆撃によって、何時、どの程度の被害を被ったのかを掘り起こし、ひとつのテーマの下でそれらを時系列的に再構築し、著者は独自の結論を導くことに成功した。実に見事だ!

また、広島・長崎への原爆投下に関する伝統的な説明は米国に都合が良かっただけではなく、日本にとっても都合が良かったとする著者の見解には目から鱗が落ちるような印象を覚えた。

多くの日本人がこ記事を読み、日本の現代史を的確に把握することに役立てて欲しいと思う。

この記事は10年前に公開されたものであるが、その賞味期限はいわば半永久的だと言えよう。そのことを考えると、複雑な心境にならざるを得ない。

特定の情報が教科書や書籍で発刊され、大手メデイアや定期刊行物がその情報について言及している場合、われわれ一般庶民は極めて迅速にその記事の存在に気が付く。少なくとも、その見出しに気が付く。しかしながら、インターネット上に掲載されている場合はそう簡単ではない。あなたは個人的に情報検索をしなければならない。直接その情報を検索する場合は、真っ直ぐにそこへ辿り着くことができる。だが、偶然にその情報を見つけたような場合は、そこへ辿り着くまでに相当の時間を費やすことがある。

ここに、インターネット時代における情報の弱点が隠されているような気がする。誰もが複雑なことは敬遠し、単純さを求める傾向を持っているからだ。

幸いなことに、今年の8月は極めて重要な歴史的事実を学ぶことができた。大きな収穫である。この引用記事の著者には敬意を表したいと思う。

 

最期に、原爆投下についてはもうひとつのおどろおどろしい事実があるので、それを付け加えておこう。これは米国側の政治的意図に関するものだ。つまり、どうして大都市への原爆投下を選んだのかという点だ。「ソ連に対して新型爆弾の威力を実証して見せたかったならば、無人島へ投下しても実証はできただろうに・・・」という議論に対する答えである。

 

『【海外の反応】「アメリカ史上最大の汚点だ!」米国シンクタンクが公表した広島長崎の原爆投下の真実に世界中が驚愕...!』(チョモ&チャンキーAug/09/2023https://youtu.be/1pcEqPbX3gYという表題のユーチューブ動画からの抜粋:

・・・最近の研究では米国が原爆を投下した理由はソ連に対する恫喝であることが明らかになっています。あえて大都市を狙ったトルーマン。当時の米国政府内部では原爆の使用について次の選択肢を考えていました。

1.    無人島、2.軍事基地、3. 大都市

A.   警告あり、B. 警告なし

合計6パターンです。

原爆製造に従事した科学者たちは1を、アメリカ陸軍上層部は2Aの組み合わせを主張しました。陸軍の中でも、ジョージ・マーシャル参謀総長はすでに破壊された軍事基地へ、警告ありで投下することを提案しています。しかし、原爆と核エネルギーを管理する暫定委員会は3B、つまり、「大都市」、「警告なし」を選択しました。意図的に最も多くの人命が失われる方法を選んだのです。その理由はソ連に原爆の脅威を見せつけるためでした・・・

 

参照:

1The Bomb Didn’t Beat Japan. Stalin Did: By Ward Wilson, Foreignpolicy.com, May/30/2013