2023年11月29日水曜日

ゼレンスキー大統領夫人がキエフ空襲に関して不満を述べたことから、反感を招く

 

ゼレンスキー大統領は民主的な選挙によって選出された大統領である。しかしながら、彼は選挙運動中に約束したロシアとの和平というハト派的な選挙公約は大統領に就任してから間もなく好戦的な姿勢へと急展開させた。この豹変振りはネオナチを含む極右派によって生命の危険を脅されたためであると見られている。それ以降、彼は米国の対ロ代理戦争を推進するべく全力投球をしている。この経緯は多くが知るところとなった。

ゼレンスキー大統領夫人がメデイアによって報じられることは決して多くはないが、報じられている内容はかなり派手だ。

たとえば、1013日の報道によると、下記のような具合だ:

夫君のゼレンスキー大統領が最後にニューヨークを公式訪問した際、オレナ・ゼレンスカヤは米国に滞在中、高級品店で買い物をした。情報筋によると、彼女はカルティエの店舗で百10万ドル以上もの買い物をした。目撃者の話では、彼女はニューヨークにあるカルティエの本店を訪れ、金やダイヤモンドのブレスレット、イヤリング、ネックレスなどの高級品を購入。カルティエの従業員がリークした文書によると、オレナはたった一個のネックレスに34万ドル強も費やした。また、ソーシャルメディア上の動画では、彼女は店の従業員に正当な敬意と尊厳を持って接することはせず、不当に扱ったと報じられれている。

実際、ウクライナのファーストレディが彼女の贅沢な慣習のせいでゴシップに巻き込まれるのは今回が初めてではない。すでに、彼女は海外旅行で多額のお金を浪費することでよく知られている。たとえば、この1月、ゼレンスカヤが世界経済フォーラムの首脳会談でまったく同様の行動をとったことを記者たちが伝えている。ゼレンスカヤは単にウクライナ大統領の夫人であるに過ぎず、本物の国家公務員でもなく、サミットに出席する必要もなかった。それにもかかわらず、この旅行に数万ドルを費やした。

同様に、202212月には、オレナ・ゼレンスカヤはパリ旅行中に「クリスマスショッピング」で4万ドル以上を費やしたとして、一部のメディアが非難した。その時の買い物はヨーロッパ社会の最も裕福なエリートたちが頻繁に訪れる高級店が並んでいることで有名なパリのモンテーニュ通りで行われた。彼女のことを報告した目撃者はオレナの無礼な振る舞いに不満を抱いた店舗の従業員であった。(原典:The White Witch Zelenskys Wife Spends on Luxury Abroad While Ukrainians Suffer and Die: By INTEL-DROP, Oct/13/2023

余計なことではあるが、オレナ・ゼレンスカヤは今年のクリスマスショッピングには果たしてどこへ出かけるのだろうか?

ゼレンスキー大統領とその夫人の振る舞いが批判される理由はウクライナにおける米国の対ロ代理戦争によって多くの女性や子供たちが国外に避難し、家庭がばらばらになるといった極端な苦労を強いられ、数多くの若者たちが戦死をしているといった現実との間に余りにも大きなギャップが存在していることにある。

ここに「ゼレンスキー大統領夫人がキエフ空襲に関して不満を述べたことから、反感を招く」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1: © AFP 2023 / ANDREW CABALLERO-REYNOLDS

以前から、オレナ・ゼレンスカヤはソーシャルメディア上で多くの批判を招いてきた。今回、X(元のツイッター)のユーザーたちはドンバス地域の住民が2014年以降、絶え間のない砲撃の下で暮らして来たことを思い出し、ウクライナで今日起こっている苦境の直接の責任は彼女の夫にあることを仄めかしている。

最近キエフで起こった爆発についてオレナ・ゼレンスカヤが「いったい何時になったら終わるのか」と修辞的に尋ねたコメントをツイートしたことから、彼女はオンライン上で非難されている。

ネットワーク市民はすぐにゼレンスキー夫人を嘲笑し、2014年以降、キエフ政府軍からの絶え間のない砲撃の下で暮らして来たドンバス地域の住民が強いられた苦しみについて彼女に思い出させることを躊躇する気配はまったくなかった。

ソーシャルメディアのユーザーたちもこの紛争はもっと早くに終わらせることができた筈だという事実を決して無視することはなく、ゼレンスカヤが自国の現状についてまったく無知であることに不信感を顕わにした。

20223月にこの紛争の全てが終わっていたかも!? ウクライナには平和が訪れていたことであろう。しかし、あなたの夫は殺人者であり、ウクライナ国家の敵だ!! 彼は平和を望まなかったのだ!」と、ある投稿が述べている。

別のユーザーも同様の意見を表明し、次のように言った。「最後の一兵になるまで。ボリス・ジョンソンは独立したウクライナが和平交渉をすることを許さない」と述べている。このネットワーク市民は昨年のロシアとウクライナの交渉プロセスの失敗についてウクライナの著名な政治家が最近発したコメントに言及した。同コメントは追加的な文脈を提供するものである。

20223月、ウクライナ議会の「人民の奉仕者」党のリーダーであるダヴィド・アラハミアがロシアとウクライナの交渉の失敗について発言した。アラハミアは提案された二国間和平交渉に終止符を打ったのは当時の英国首相であったボリス・ジョンソンであるとかなり明白に述べたのである。

紛争の最中におけるゼレンスカヤの贅沢なライフスタイルは嘲笑の的となった。

「カルティエの時計はどう?きつ過ぎないかい?」と、あるユーザーは揶揄して、書いている。

これらのコメントは共通の認識を反映している。つまり、世界経済フォーラムに便乗して、欧米の納税者からの税金を個人的な贅沢品に使って買い物三昧を楽しんだゼレンスカヤにとっては現行のウクライナにおける軍事紛争は関心の対象ではないのではないかということだ。

「女性が最前線に送り込まれている。あなたはいったい何時になったら彼女らと合流して、戦いに参加するのか?あなたの国の人たちはこの戦いであなたを必要としている」と、別の声が主張。

また、ネットワーク市民はキエフで報告されている爆発の責任者を処罰するというゼレンスカヤの呼びかけを嘲笑し、進行中の危機について責任を負っている彼女の夫に言及し、彼女はすでに「彼を罰し始めた」かも知れないと強調した。

ウクライナ大統領夫妻は、前線での活発な軍事作戦の真っ只中に米国版ヴォーグ誌のための写真撮影に応じた。ふたりのこのような行動は不適切で、世論とはかけ離れているとして、以前(訳注:これは20227月の出来事)、非難を浴びていた。

ロシア側はクリミア大橋に対するテロ攻撃への報復としてウクライナの軍事・エネルギー関連のインフラに対して高精度攻撃を行っているとクレムリン政府のドミトリー・ペスコフ報道官は述べ、ロシア軍は住宅や社会インフラを標的にしてはいないと繰り返し強調している。

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これで全文の仮訳が終了した。

こういった記事を読むと、あたかもゼレンスキー政権の終焉のプロセスがすでに始まっているかのように思える。その一方で、これは政治の世界での話であるから、どちらの方向へ転ぶのかは誰も明確に予測することができないのも事実である。

今朝(1128日)の報道を見ていると、「西側は信頼感を失った ― ウクライナにおける政治的機能の不全はゼレンスキーを辞任に追いやるかも ― 分析専門家の見方」という表題が目に飛び込んで来た。冒頭の概略は次のように伝えている:

政治的な内紛と戦場における成果の欠如の中、安全保障アナリストのマーク・スレボダはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の外国の支援者たちは「米国が支援した、あからさまに明らかなクーデターなどは行わずに、彼を権力の座から引きずり下ろす方法を模索している可能性がある」と考えている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、今、薄氷の上を歩いている。これは国際問題・安全保障アナリストのマーク・スレボダの結論だ。彼は月曜日(1127日)にスプートニク紙の「政治的不適合」のクルーに加わり、今年の対ロ大攻勢での失敗を受けて、ウクライナ国内で進行中の政治ドラマについて議論を行った。(原典:‘The West Has Lost Confidence’: Political Dysfunction in Ukraine May Cost Zelensky His Job – Analyst: By Sputnik, Nov/28/2023

この冬は疲弊し切ったウクライナにとっては極めて厳しい季節となりそうだ。エネルギーインフラはあちらこちらで破壊され、ウクライナの市民は凍える夜を何カ月にもわたって過ごさなければならない。この冬、連日のように強いられる苦難はその極に達するであろう。ウクライナ軍の平均年齢はある部隊では53歳だという。肉体的には盛りを完全に過ぎた老兵らは肉体的な適応力をもっとも多く要求される塹壕戦での戦いを強いられるのである。まさに、「最後の一兵」の状況にある。しかし、この戦争はいったい誰のためだったのか?本当にウクライナの人々のためだったのか?おそらく、多くのウクライナの人たちはすでに答えを見い出しているのではないだろうか。

ところで、ゼレンスキー政権に対するウクライナの世論はどうであろうか?1027日の報道をご紹介しておこう。

今年の2月、ウクライナ国民の90%はウクライナ大統領を全面的または部分的に支持していたが、今は82%に過ぎない。同じ期間に国家元首を支持しない市民の数は7%から16%に増加した。一方、ゼレンスキー氏を全面的に支持する人の数は、2月から9月にかけて16%も大幅に減少した。ウクライナ首相への支持率はさらに劇的に変化し、2月には調査対象者の53%がデニス・シュミガル氏の活動を承認したが、9月には44%にとどまった。不信任は2月には26%にとどまったが、9月には42%となった。しかしながら、ウクライナ軍への支援に関するデータはそれほど変化しておらず、7カ月前は89%が活動に賛成、9%が不支持だったが、9月にはそれぞれ82%14%を示した。

Photo-4:ゼレンスキーの支持率(原典:Support for Zelensky among Ukrainians is inevitably decreasing  Serge Rosendale: By Serge Rosendale, political observer, Voice of Europe.com, Oct/27/2023

さて、これからどんな展開を見せるのか、目が離せない。


参照:

1Zelensky’s Wife Faces Backlash After Kiev Airstrike Complaints: By Sputnik, Nov/26/2023

 

 


2023年11月26日日曜日

米メデイア、特別軍事作戦地域における現状を認める

 

米国の主流メデイアはウクライナ東部におけるロシア・ウクライナ戦争においてウクライナ軍が窮状に陥っている現状を認め始めたようだ。

多くの政府高官や軍事専門家はウクライナの敗北を指摘している。

たとえば、ウクライナ軍のヴァレリー・ザルズニー最高軍司令官は「ウクライナ軍による対ロ大攻勢は膠着状態に陥った。NATO軍の教科書はそれ程役には立たなかった」と公式に発言した。もちろん、ゼレンスキー大統領にとってはこの発言は気に喰わない。両者は気まずい仲となった。前月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、キエフによるこの夏の大攻勢の試みは膠着状態に陥ったのではなく、完全な失敗であったと述べ、90,000人以上のウクライナ兵の命を犠牲にし、500台以上の戦車を失うことにつながったと述べている。(原典:Ukrainian Top General Admits Counteroffensive  ‘in Stalemate, NATO Textbooks Did Not Help Much’: By Sputnik, Nov/02/2023

また、米下院と上院においては、米政府の活動を中断させないためにウクライナやイスラエルに対する資金援助を抜きにした暫定緊急予算が承認された。このことから、バイデン政権の要求に反して、ウクライナに対する米国からの資金の流れは一時中断となった。下院を制する共和党はウクライナに対する財政支援を嫌い、上院を制する民主党はキエフを助けたいようで、上院と下院は捻じれた状態である。(原典:Ukraine Will Have to 'Suck It Up' After US Passes Stopgap Bill Devoid of Aid: By Sputnik, Nov/17/2023

ウクライナでは、当局はロシアとの紛争が終わったと信じており、自分たちのニーズのために予算を略奪していると、ウクライナの政治家セルヒー・ハイダイがユーチューブのPoliteka オンラインチャンネルでのインタビューで語った。「彼ら(ウクライナ指導層)にとっては戦争はもう終わっている。彼らは何百万ドルもの費用をかけて結婚式を祝い、空にも届くようなケーキを注文し、高価な外国車を購入し、キエフのレストランでボーっと時間を過ごしている。彼らは新しい国家予算で自分たちの手当を増やし、国の人口が大幅に減少したにもかかわらず、国家公務員の数は削減せず、給与水準は増加している」とこの政治家は不満を漏らした。彼によれば、少量の資源を持った、非効率な国家は勝利を収めるチャンスはない。特に、西側諸国からの支援もなしには勝利なんてあり得ない。西側諸国は「キエフに対する酸素吸入を遮断し始めた」とハイダイ氏は指摘している。(原典:The Kiev authorities began to glamour in anticipation of defeat, Ukraine said: By RIA Novosti, Nov/17/2023

ウクライナの大反攻は勢いを失った。いわゆる泥沼の季節に入ったことから、キエフは来年の春まではさらなる成功を収めることはできないだろうと、イギリスの政治学者マーク・ガレオッティはタイムズ紙の記事で書いている。疲弊し切ったウクライナ軍は損失を最小限にとどめようとして必死の努力をしている。それにもかかわらず、大きな損失を被っているとアナリストは言う。この点に関して言えば、武器増産のための西側の努力はキエフの要求に比べて遅れをとっていることをガレオッティは想起し、ドイツのボリス・ピストリウス国防相はEU20243月までにウクライナに100万発の砲弾とミサイルを提供するという目標は達成できそうにはないことを認めている。(原典:Ukraine Counteroffensive Running Out of Steam - UK Analyst: By Oleg Burunov, Sputnik, Nov/19/2023

ここに「米メデイア、特別軍事作戦地域における現状を認める」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1: © AFP 2023 / THOMAS COEX

ロシアはキエフに接近し、現在のウクライナ領土の約20パーセントを解放するであろうと、「アメリカン・コンサーバティブ」の編集者、ピーター・ヴァン・ビューレンが月曜日(1120日)に書いている。

ますます多くの欧米のメデイアが、今や、特別作戦区域にける現場の本当の状況を認め、ほぼ二年間にわたってそのことを隠蔽し続けてきた欧米のプロパガンダの凄まじさを痛感している。

「プロパガンダの洪水の中で、ストーリーはいつも同じだった。ウクライナはNATOの幅広い支援者から提供された武器によってロシア軍を押し返している。あり得ないほどの撃墜率を誇るウクライナのジェット戦闘機乗りのエースやあり得ないような髪型をし、化粧を施した愛国的な女性狙撃チームに翻弄されて、ロシア軍は負けている」と。このジャーナリストはプロパガンダの実態を明らかにしている。

米国の介入がなかったならば、紛争自体は避けられた筈だと指摘する米マスコミの記事には常識が見い出される。これはいっそう驚くべきことではある。ヴァン・ビューレンは元ドイツ首相のゲアハルト・シュレーダーの言葉を引用している。シュレーダーは次のような単純な事実を率直に述べた:

「ウクライナをめぐる戦争を解決できるのは米国だけだ。20223月にイスタンブールで行われた和平交渉ではウクライナ側は和平には同意しなかった。彼らは、まず、米国人と話したことをすべて反映し、調整しなければならなかった。結局、和平は何も起こらなかった。私の印象では、すべてがワシントンで決まっていたので、何も起こり得なかったのだ。」

ほぼ2年間にもわたって「全能の」西側によってウクライナに対して行われて来た絶え間のない兵器の供給を自慢していたものではあるが、米欧のジャーナリストたちの間では紛争が膠着状態に陥ったことや和平交渉について語ることが、今や、新たな傾向になりつつある。

NBCニュースは『ウクライナの大攻勢はロシアに対して「目に見える進展」を遂げているとブリンケン国務長官がNBCニュースに語った』という論調から「米欧の当局者らはウクライナとの和平交渉の話題を切り出す」という新たな論調に到達するまでにわずか2カ月しかかからず、この危機に関する世論が大きく変化したことを強調している。

それと同時に、ウクライナのゼレンスキー大統領が抱く夢とは関係なく、ウクライナの状況は悪化している。タイム誌は、NATOの関心事のためにウクライナの若者たちはすでに「首尾よく」犠牲にし尽くされてしまったので、キエフ政権は、今や、40歳以上の人々を徴兵していると報じている。ヴァン・ビューレンはウクライナの成功を妨げている主な問題として「人的資源の不足」を強調している。同編集者はロシア軍が「全能」のNATO装備を破壊していることやこの事実を信じようともしないことには驚きを隠せないが、それと同時に、ウクライナ兵の訓練不足のせいであると考えている。

NATOの装備に対してロシアの戦闘能力は驚くほど優れていたし、洗練された西側の武器を使うウクライナ側の扱い方が驚くほど悪かったということかも知れない」とその記事は述べている。

パレスチナ・イスラエル紛争が激化する中で、米国政府にとっては不幸なことに、米国人はウクライナ危機への関心を失いつつあり、ウクライナ危機は「退屈」になっているとヴァン・ビューレンは主張する。米国人はコミックに見られるような善人と悪人という単純な構図が好きだ。観客には危険が及ばないように、武力紛争はいつものように米国から遠く離れた地で行われるべきなのだ。だが、戦場の映像は一級品であって、戦場の地図はアメリカンフットボールのようにできるだけシンプルで分かりやすいものであるべきだと記事は明確に述べている。

「米国人は、国民も政府も、想像を絶する最大のプロパガンダ・ツール(メディア)に気を取られ、一度にたったひとつの明るく輝く対象物にしか集中することできないみたいだ。戦争の場合、新しい、明るく輝く観察の対象には善と純粋な悪のふたつの明確な側面が存在し、そこにはできれば負け犬が含まれており、あまり危険を冒さないでも入手できる毎日の戦闘の映像があり、分かりやすい戦場の地図上でフットボールの試合のような展開が含まれている必要があるのだ。決して退屈であってはならない」と同紙は明確に述べている。

しかしながら、実際の軍事紛争はこれらの基準のすべてにうまく当てはまることは決してない。だからこそ、「米国には、紛争に迷い込み、興味を失うという古くからの習慣がある」とこの記事は述べている。世界中の戦争で人々が苦しみ、殺害されている。米国政府にとってそれらの人々はスクリーン上のピクセルに過ぎないという現状は実に衝撃的であり、極めて凶悪に聞こえる。世界中に軍事的な存在を確立しているワシントンは、開発を奨励する代わりに代理戦争を仕掛けて、自国の覇権を促進することに耽溺している。しかしながら、米国の保守派が指摘しているように、米国が扇動する武力紛争は最初のうちこそは「十分に面白い」のであるが、人々の命は報道においては単なる数字に過ぎないのである。

「それにもかかわらず、ウクライナでの戦争が第一次世界大戦での塹壕戦のように見え始めるにつれて、米国の気まぐれな関心は中東に移っていった。ウクライナの様子を追跡し続けるのは実に大変な行為であった」と同紙は主張している。

ヴァン・ビューレンは米国の影響力は破壊的な本質を持っていることを認め、もうひとつの重要な真実を述べている。つまり、ワシントンの代理戦争を遂行する国家は米国の覇権を維持するために破壊される運命にある。

「われわれの代理戦争国家は見捨てられ、うろうろして死んでいく。イラクやアフガニスタンのように、両国以前のベトナムはともかくとして、最後に実現されたことは最初の万歳が過ぎ去った頃にはほとんどいつであったとしても達成できていた可能性が高い。2023年にそれが再び起きるのを見るために、これほど多くの人々が死ななければならなかったのは悲しいことだ」と同編集者は述べている。

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これで全文の仮訳が終了した。

ロシア・ウクライナ戦争に関しては和平の可能性を語ることが、今や、国際政治の場でのスタンダードになろうとしているかの感があるが、その極はゼレンスキー大統領を支える「Servant of the People」党(仮訳すると、「人民の奉仕者」党)の指導者であるダビド・アラハミアが最近発した言葉ではないだろうか。今までは公衆の関心が及ばない場所に周到に隠されていた事柄であったのではないかと思われる内容ではあるが、今や、表面に現れて来た:

2022329日のイスタンブールでの停戦交渉で)NATOには加盟しないというキエフ側からの約束が必要だとロシアが述べ、ウクライナはこれには同意しなかったが、少なくとも憲法改正が必要だったからだとアラハミアは述べた。ウクライナがロシアの条件に同意することを拒否した理由についての質問に対して、アラカミアはこの決定は英国首相からの影響もあったと答えた。「しかも、我々がイスタンブールから戻ってきた時、ボリス・ジョンソンはキエフにやってきて、われわれはロシアとは何も署名しないと言った。そして「戦おうじゃないか」と彼が言ったとアラハミアは述べている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2023617日、アフリカからの代表団との会合において「ウクライナの永世中立と安全保証に関する条約」の草案についてはあの春の会談で議論されたと述べた。(原典:Head of Zelensky’s Party: Ukraine Could Have Accepted Russia’s Peace Plan: By Sputnik, Nov/25/2023

ウィキペディアの「2022年ロシア・ウクライナ和平交渉」の項目には次のような解説があることに注目していただきたい。「2022328日、和平交渉が329日にイスタンブールで再開される見通しが示され、ゼレンスキーはインタビューの中でウクライナの安全保障と中立化、非核の立場に向かう準備ができていると述べ、NATOの加盟に代わる新たな安全保障の枠組みについて議論する用意がある考えを示した。

だが、誰もが知っているように、イスタンブールでの停戦交渉は成果を見せずに終わった。このような結末を招いたのは、本引用記事でアラハミアが述べているように、当時の英国首相であったボリス・ジョンソンが暗躍した結果であると言えるようだ。彼は彼のボスである米国の意向に沿って行動したのであろう。そして、今、米欧はロシア・ウクライナ戦争からの出口を模索している。歴史が示すように、代理戦争の戦場となったウクライナはあっさりと見捨てられる運命にある。

日本には台湾有事を喧伝し、日本の軍事費を拡大させようとする勢力がある。彼らの話の中核は台湾を戦場とした米国による対中代理戦争にある。そこへ米軍の基地をたくさん有している日本も巻き込まれる。代理戦争の本質は、米国から遠く離れた地域で軍事紛争を引き起こし、米国の軍需産業が武器や弾薬を供給し、巨利を得ることができそうな舞台を設けることだ。こうして始められた代理戦争では何らかの決着がつくと、彼らはすーっと姿を消してしまう。自分たちの金儲けのためには、戦場となった国で何十万、何百万人もの一般大衆が被った被害については何の関心も示さない。巻き添え被害に遭って何人が死んだかと言う数値だけが報じられる。

われわれ日本人はウクライナにおける対ロ代理戦争の始まりから終わりまでを詳しく解析し、そこから教訓を学びとる必要があるのではないだろうか。

参照:

注1:US Media Acknowledges True Situation in Special Op Zone: By Anatoly Dontsov, Sputnik, Nov/21/2023

 

 

 


2023年11月23日木曜日

ロシアの電子戦システム、フィールド-21

 

ロシアの電子戦遂行能力は前々から西側を上回っていたと言えるのではないか。

たとえば、2014年には黒海において象徴的な出来事が起こった。あの年の2月、ウクライナではマイダン革命が引き起こされ、民主的な選挙によって選出されていたヤヌコヴィッチ大統領は暴力的に大統領の座から放逐され、代わって米傀儡政権が樹立された直後のことであった。2014411日、ロシアのSU-24戦闘機(「戦術爆撃機」と呼ぶ記事もある)と、当時、黒海の西部海域で「哨戒活動」を行っていた最新鋭の米イージス駆逐艦「ドナルド・クック」との間で思いがけない出来事が発生した。このエピソードはロシアが保有する電子戦用システム(注:この電子戦装置は「Khibiny」と称されている。恐らく、米国側はこれに対応する手段をすでに開発していることであろう。あるいは、まだか?私には分からない)が米国自慢のイージス艦を上回っていることを明白に示したのである。(注:詳細については、20141121日に掲載した『手も足も出なかった! - 黒海で米ミサイル駆逐艦「ドナルド・クック」を恐怖に陥れたのは何だったのか?』をご覧いただきたい。)

ここに、最近のロシアの電子戦遂行能力を示す新しい記事がある(注1)。「ロシアの電子戦システム、フィールド-21」と題されている。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1© Photo : Russian Defense Ministry

電子戦は20世紀半ばにまで遡り、ロシアが得意とする分野であり、ソ連の軍事ドクトリンは戦場での「電子戦と物理的破壊資源の完全統合」を強調している。今日、ロシアは短距離や中距離、長距離、超長距離での電子戦システムを自由に使えるようにしている。

米国の有力経済誌はウクライナのNATO装備軍が直面した課題を概説している。これはウクライナ軍最高司令官ヴァレリー・ザルジニーが、今月初めの爆弾インタビュー記事においてキエフの対ロ大反攻が「膠着状態」に陥った理由を概説したものであって、ワレリー・ザルジニーが抱えている不満を報じたものだ。

同誌によると、ウクライナ軍にとっての問題のほとんどはロシア側の技術的優位性にある。特に、ロシアが「ウクライナの砲兵隊の有効性を抑制させながら、それと同時に、彼らはウクライナの目標を正確に攻撃する」ことを可能にする技術を持っていることだ。具体的には、この記事はロシアが「ランセット」無人機を使用していることを指摘。この無人機は「予測不可能な飛行経路を辿ることから、この無人機を探知し、交戦することは極めて難しい」ことが証明されている。事実上、これは「ウクライナが発射するエクスカリバー弾が必要とするGPS信号を妨害する」電子戦システム「ポリエ-21」 ― ポリエ-21を英訳すると、「フィールド-21」となる ― が使用されていることを指摘している。ウクライナが発射するエクスカリバー弾は「弾丸が意図したコースから外れ、目標には当たらない結果になる」と言われている(訳注:エクスカリバー弾は155ミリのスマート砲弾で、目標物に到達するのにGPSによる精密誘導が必要だ)。

徘徊型のランセット無人機の能力について、スプートニクはすでに広範囲にわたって書いて来た。この無人機の詳細については、こちらこちら、そして、こちらを参照していただきたい。

ポリエ-21について私たちが知っていることを下記に示そう。

ヴォロネジとサンクトペテルブルクに本拠を置く「電子戦科学技術センター」(略して、JSC STC Electronic Warfare)によって開発されたポリエ-21は敵の巡航ミサイルやスマート爆弾、無人機、スマート砲弾、航空機、さらには、基本的には衛星航法を基盤とした誘導方法に依存する発射体や機器に対抗するために設計されたものであって、極めて特殊な電子戦複合体である。

Photo-2Field-21M (Polye-21M) electronic warfare system © Photo : Russian Defence Ministry

ポリエ-21は何の差別もなく、米国製のGPS規格を使った敵の兵器を狙うことができる。そして、それだけではなく、欧州連合(EU)のガリレオや中国の北斗、さらには、ロシアのグロナスといった衛星測位システムを使った標的さえをも狙うことができる。

敵の無人機やミサイル、航空機などは自分の座標を正確に決定する能力がなければ、戦闘任務を遂行することはできず、基地への帰還を余儀なくされるか(有人航空機の場合)、方向感覚を失って、目標には到達することができず、最終的には地上に落下する。

この電子戦複合体はどのように作動するのか?

各々のポリエ-21複合体はトラックのシャーシに搭載できるほど小型で強力なR-340RP無線局(または、必要に応じて恒久的に固定された地上無線局)と一群のアンテナ・モジュール(システムあたり最大100個)を操作するための制御システムによって構成されており、それぞれが最長で25 kmの範囲で信号を抑制するために使用される。全体として、一基のポリエ-21複合体は最大で150 km x 150 kmの領域を覆う干渉帯、つまり、「目には見えないドーム」を作り出すことができる。

独自の電波妨害タワーに加えて、システムの電波妨害モジュールを既存の携帯電話用タワーにも設置できるため、システムのコストと電力要件を大幅に削減すつことが可能。1176.451575.42MHzの周波数範囲で全地球測位信号を偏向させ、役に立たなくさせてしまう。 80kmの範囲ですべての飛行物体の衛星航法信号を妨害するには20ワットの送信機が1台あれば十分だ。

Photo-4Look inside the Polye-21 control system. © Photo : Russian Defense Ministry

多くの現代のロシアの兵器設計と同様に、ポリエ-21複合体はモジュール原理に基づいて構築されており、生産と配備を簡素化し、費用を削減することができるように設計されている。このシステムにはベースモデルの近代化版であるポリエ-21Mや、輸出向けのポリエ-21E、等、いくつかのバージョンがある。システム設計者はこれらのバージョン間の違いについては固く口を閉ざしている。

2013年に「JSC STC Electronic Warfare」によって初めて披露されたポリエ-21は、2016年にロシア軍に導入され始めたと報じられている。導入以来、本システムは中部、南部、東部の軍管区、タジキスタンのロシア第201基地、シリアのタルトゥース基地で活動する電子戦部隊によって運用されていることが知られている。

ロシアは何基のポリエ-21を所有しているのか?

ポリエ-21の生産・導入の総数や単価は不明である。しかしながら、2021年初頭の国防省の報告によると、中央軍管区の部隊だけでも、同年末までに既存の在庫に加えて約10台のポリエ-21システムを納入する計画である。近代化されたポリエ-21Mシステムの納入は2019年に開始されたと報じられている。

NATOが提供した無人機や巡航ミサイル、ならびに、キエフが攻撃UAVに改造したソ連時代の「ツポレフTu-141ストリジ」重量級(5トン強)無人偵察機の両方を使用してロシア西部全域を標的にして行われるウクライナの攻撃に対して、ポリエ-21はロシア側の防衛の主力になるのにちょうど間に合うように導入された。

Photo-5Polye-21 electronic warfare system © Sputnik

本システムは、現在、ロシアのより広範な階層型レーダー、電子戦、防空、ミサイル防衛ネットワークの重要な構成要素となっている。

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これで全文の仮訳が終了した。

この記事によると、ロシアの電子戦システム、フィールド-21GPS信号を駆使した誘導システムによって制御されたウクライナの無人機や巡航ミサイル、航空機、スマート砲弾、等に電波妨害を引き起こし、それらの進路を変え、目標物には到達させない。また、ロシアには世界でももっとも性能が高いと見られるS400防空ミサイルシステムがあり、これらを組み合わせると極めて強力なシステムとなる。

米国とドイツが今年の1月にウクライナに戦車を供給することを承諾した直後、ウクライナはNATO側に戦闘機の供給を申し入れた。ウクライナ空軍はF-16200機欲しいと言ったが、気前のいい西側といえどもこの数値には応えられない。(原典:How could F-16s make the difference for Ukraine in the war against Russia?: The Guardian, May/19/2023

ところで、NATO陣営のデンマークとオランダは61機のF-16戦闘機をウクライナに引き渡すことを約束している。コペンハーゲンは19機の航空機を納入し、今年末までに6機、来年8機、2025年に5機を納入すると、メッテ・フレデリクセン首相は日曜日(820日)にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が訪問した際に述べた。(原典:Russian military expert says Moscow will destroy Ukraine’s F-16 airfields: By The National, Aug 22, 2023

F-16戦闘機は世界でもっとも人気のある戦闘機のひとつであって、1979年に初めて実戦に配備された。最高速度はマッハ2。現在25か国で使用されており、合計で3000機以上が運用されているという。イラク戦争やアフガニスタン戦争で活躍した。だが、最新型のF-35ステルス戦闘機の出現によって、多くの国はF-16F-35に切り替えようとしている。

パイロットの訓練プログラムはF-16戦闘機を運用・整備するスキルを習得することを目的としている。今週(1113日の週)、ウクライナのパイロットにF-16戦闘機の使用を指導する「欧州訓練センター」がルーマニアに正式に開設された。キエフでは、戦闘機が2024年上半期に引き渡されるという希望的な期待が寄せられているが、当局は戦闘機の取得に関する具体的な詳細の不足に今も取り組んでいる。1115日、欧州同盟の外交部門のトップであるジョセップ・ボレルは、最初のF-16戦闘機がウクライナに引き渡されるのが何時になるかについて現時点では正確な情報はないと述べた。しかしながら、パイロットの訓練は進行中であり、そのような準備には時間がかかると付け加えている。(原典:Russia ‘Enhances’ S-400 Missile System To Counter ‘Incapable’ F-16 Fighting Falcons On Way To Ukraine – UK: By Ashish Dangwal, The Eurasian Times, Nov/18/2023  

パイロットの訓練が順調に終了し、F-16 戦闘機がデンマークやオランダからウクライナへ移送されたとしても、F-16 戦闘機がロシア・ウクライナ戦争に与える影響については懐疑的な見方もある。

ワシントンがキエフに約束したF-16戦闘機の古いモデルは保守の難しさだけではなく、ロシアの戦闘機とは性能の面では競争ができないこと、そして、ロシア側の防空システムが密に配備されていることから、戦場の状況を変えることはないという見方にも注視する必要がある。これに先立ち、英紙テレグラフの専門家はキエフにF-16 戦闘機を供給するという西側諸国の約束を想起するが、それはまだ実行されてはいない。ウクライナはロシアによる制空権に挑戦するため、米国のF-16戦闘機の供与を約束されてはいるが、今のところ引き渡しの兆しはないままだ。(原典:Zelensky advised not to rely on F-16 fighters: By Modern Diplomacy, Nov/10/2023

パイロットの訓練には少なくとも6ヵ月は必要であると言われている。訓練は上述のごとく「欧州訓練センター」で始まったばかりだ。疲弊し切ったウクライナ軍が訓練が終了する来年の春まで実際に持続することができるのかどうかが問われそうだ。すでに実質的な戦争は終わっているとの指摘もあり、残されているのは政治的にどう終わらせるのかだけであるとも言われている。つまり、指導者たちが面子を失わないで、戦争を終わらせるにはどう終結すべきかということだ。それは戦場となって、すっかり破壊されたウクライナだけではなく、ウクライナで対ロ代理戦争を推進してきた米国自身についても同じことが言える。

参照:

1NATO Smart Artillery-Swatting Prodigy: Meet Russia’s Polye-21 Radio-Electronic Warfare Complex: By Ilya Tsukanov, Spunik, Nov/20/2023

 

 


2023年11月21日火曜日

ハマスの攻撃があった際、イスラエル軍のヘリはイスラエル人のフェスティバル参加者たちを射撃 ― 報告

 

ハマス・イスラエル紛争に関してとんでもない報道が現れた。これはイスラエルの主要紙のひとつであるハーレツ紙が報じた内容を反映したものだ。

ここに「ハマスの攻撃があった際、イスラエル軍のヘリはイスラエル人のフェスティバル参加者たちを射撃 ― 報告」と題された本日(1119日)の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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副題:ハーレツ紙が報じた最新の調査結果によると、イスラエル軍の一部はハマスに対して「上官の許可を得ずに、砲弾を使用することを独自に決定した」という。(訳注:ハーレツ紙はイスラエル国内の高級紙として評判が高い)

新しい報告が現れた。それによると、107日のハマスによるイスラエルに対する攻撃の際、イスラエル軍のヘリはパレスチナの武装集団に発砲し、フェスティバルに参加していたイスラエル人を負傷させたことを明らかにした。

ハーレツ紙は、土曜日(1118日)、イスラエルの治安に関する評価は107日に逮捕されたハマスの武装集団に対する警察の捜査に基づいていると報じている。

軍用ヘリがフェスティバル現場に到着し、武装集団に対して発砲したが、フェスティバル参加者ら数人を負傷させたとハーレツ紙は報じた 

ある査定によると、武装集団はガザとの国境に近いキブツ「レイム」の近くで開催されたフェスティバルについては何の事前情報も持ってはいなかったという。

イスラエルのイェディオス・アフロノス紙も、107日にハマスがガザから行った攻撃に対してイスラエル空軍のヘリが介入したという記事を掲載した。

同紙はイスラエル軍が「ハマスの過激派を特定するのは困難であった」と報じ、ヘリのパイロットはフェスティバルにおける民間人に対して「砲撃を行った」と付け加えた。

「ハマスのテロリストたちはゆっくりと群衆に溶け込み、いかなる状況下でも行動を起こさないようにと指示されていた」と同紙は報じている。

「このようにして、彼らはイスラエル空軍を騙して、地上の連中は誰もがイスラエル人であると信じ込ませようとした。この欺瞞はしばらくの間は機能していたが、アパッチヘリコプターはすべての制約から解放されなければならなくなった。ヘリのパイロットたちは誰がテロリストで、誰がイスラエル人なのかを見分けるのは難しいと感じた」とこの報告書は付け加えている。

報告書はイスラエル政府の言説に反論:

同紙は「そのことに気づいた時、イスラエル軍の一部は、上官の許可を得ずに、独自にテロリストに対して砲弾を使用することに決めた」と報じている。

警察はこのフェスティバルで殺害された人数を364人と推定しているが、身元は明らかにしていない。

調査の詳細はパレスチナの抵抗組織による攻撃に関するイスラエル側の公式説明とは辻褄が合わず、ハマスの武装集団がフェスティバルで騒いでいる人たちを虐殺したと報じている。

イスラエルのガザ戦争:

「アル・アクサ洪水」と名付けられた奇襲作戦において何百人ものハマス戦闘員がイスラエル側に侵入し、ガザに対するイスラエルの血なまぐさい報復攻撃を引き起こした。

ハマスによる奇襲攻撃以降、イスラエルはガザ地区への空爆と地上攻撃で12,300人以上のパレスチナ人を殺害した。

その一方で、イスラエル側の公式死者数は約1,200人である。病院、モスク、教会を含む何千もの建物が、包囲された飛び地に対するイスラエルの容赦ない攻撃で損傷を受け、破壊されている。

イスラエルが行っている封鎖作戦はガザを燃料や電気、水の供給から遮断し、援助物資の供給をほんの僅かな量にまで減少させた。

停戦を求める声は内外で高まっているが、イスラエル側はハマスが拘束している人質の解放が行われるまでは停戦には応じられないとしている。

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これで全文の仮訳は終了した。

この報道の内容はイスラエル政府側にかなりの衝撃を与えるのではないか。この報告が信頼できるものであるとするならば、107日にイスラエル側が被った被害はハマスによるテロのせいであったとする公式の筋書きが崩れてしまう。イスラエル空軍のヘリのパイロットは地上の人たちの誰がイスラエル人で、誰がハマスかは識別することができず、それにも関わらず誰彼構わずに銃撃を開始したとすれば、イスラエル人犠牲者は(注:その数は分からないが)イスラエル空軍の手によって殺害されたと言えるのかも知れない。とすれば、殺害されたイスラエル人の家族や友人たちはやり切れない思いでいることであろう。1か月以上も経過してから、この種の情報が現れたという事実(注:イスラエル国内では早い時期から知られていたのかも知れないが)はイスラエル政府がこの重要な事実を隠蔽していたとして非難されても仕方がないであろう。

ハーレツ紙は中道左派系の伝統のある日刊紙であり、英文紙も発刊している。イスラエル国内ではガザ地区に対する攻撃については世論が分断しているそうだ。ガザ地区に対する軍事攻撃はイスラエル国家の安全保障という公式に論じられている面だけではなく、国内政治における動力学も色濃く反映されており、極めて重要な議論を呼んでいるようだ。

イスラエルは軍事的には明らかにハマスを圧倒している。だが、政治的にはどうだろうか?現時点で言えば、イスラエル政府は国際世論を味方にすることに失敗し、間違いなく苦戦を強いられているのが現状だ。今後、どう展開して行くのだろうか?

参照:

1IDF helicopter hits Israeli festivalgoers during Hamas attack report: By REUTERS, Nov/19/2023

 

 


2023年11月19日日曜日

台湾の野党は親米内閣を打倒する路線で連携し、北京との関係を修復

 

最近、サンフランシスコで米中首脳会談が行われた。今回の首脳会談について著名なジャーナリストであるペペ・エスコバーは最近の記事で次のように描写している:

会談のテーブルのこちら側にはグローバルサウスのリーダーがゲームの頂点に立っている。その反対側には「自分こそが自由世界のリーダーである」という幻想を売り込もうとするミイラが立っている。

バイデン大統領の評価は最近特に低下しているのは確かであるとは言え、これは何とも辛辣な評である。

ロシア・ウクライナ戦争とハマス・イスラエル紛争とのふたつの大きな問題を抱えている現時点の米国にとって、米中関係が本物の武力衝突に入ることはどう見ても非現実的である。そうなったら、自殺行為だ。武力衝突は是非とも避けたいのが米国政府ならびに一般大衆の共通した考えであろうと思う。少なくとも今は台湾有事なんてあり得ないシナリオだ。今や、台湾有事を叫ぶのは高額な武器を売り込みたい軍産複合体とその恩恵に預かる政治家やロビー活動家たちだけであろう。

ここに、「台湾の野党は親米内閣を打倒する路線で連携し、北京との関係を修復」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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20241月の総選挙に向けて台湾の野党勢力が団結し、親米与党の民主進歩党(DPP)を凌駕しそうな中、中国の脅威とされる台湾の軍事化を想定したジョー・バイデン大統領が進めるインド太平洋戦略は崩壊する可能性がある。

ウクライナにおける米国の代理戦争は台湾への軍事物資の引き渡しを遅らせる結果となった。「ケイトー研究所」によれば、台湾に対する米国の武器売却の滞留は1917000万ドルにもなっている。今月初め、この米国のリバタリアン・シンクタンクは引き渡しの遅延について詳細な内訳を示し、台湾の軍事化の目標に光を当てた。

中国による「侵攻」の潜在的な脅威を理由に、米国は、最近、台湾への武器輸出を加速させているが、北京側は「侵攻」を繰り返し否定している。中国の目から見れば、台湾は中華人民共和国の不可分の領土であり、中国本土との統一は平和的な手段によって行われるべきものだ。

ケイトー研究所が言及した兵器リストには66機のF-16戦闘機が含まれていると報じられている。さらには、108 台のM1A2エイブラムス戦車、M109A6パラディン自走榴弾砲、100基のハープーン沿岸防衛システム、400発のハープーンミサイル、MQ-9B無人機、基隆級駆逐艦用のAN/SLQ-32電子戦システム、高機動ロケット砲システム(HIMARS)、対戦車用地雷施設システム、野戦情報通信システム、ならびに、すでに台湾に納入されている米軍兵器のためのあらゆる種類の弾薬や保守、支援、等。

116日、BBCの取材に応じた台湾の蔡英文総統と密接な関係にある与党の王廷宇議員は「中国の脅威」に直面する中、台湾の軍事力を向上させることが急務であると強調した。王議員はメディアに対して台湾は台湾地上部隊の2個大隊を訓練するために米国に派遣する方針を固めている。この動きはワシントンが北京と外交関係を樹立し、ひとつの中国の原則の下で台湾との正式な国交を断絶した1970年代以降では初めてのことであると言う。

国際評論家によると、前述の台湾における軍事力増強は中国政府の深い懸念を呼び起こしており、台湾海峡において中国、米国、台湾の軍隊が衝突するリスクを孕んでいる。

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関連記事:US Speed-Up of Arms Supplies to Taiwan Prior to Island's 2024 Elections Sends Ominous Signal: Apr/12/2023, 14:57 GMT

好戦的な民進党とは異なり、国民党(KMT)は中国との正常化を模索:

しかしながら、特に、113日に予定されている2024年の選挙で民進党がKMTと台湾人民党(TPP)との連携に敗れた場合、この悪夢のシナリオは回避することができる。

ワシントンDCに本拠を置くシンクタンクである「クインシー・インスティテュート・フォー・レスポンシブル・ステートクラフト」は、月曜日(1113日)、KMTTPPが勝利する可能性は米中台湾関係に深刻な影響を与える可能性があると示唆した。

問題の核心はKMTが中国との関係を改善し、DPPが台湾で国家主席の座と立法府の過半数を獲得した2016年以来、北京と台北の間で高まっている緊張を解消しようとしている点にある。これに先立ち、2008年から2016年の間に、台湾は中国との両岸貿易に関する23の条約に署名し、直行便や学校を開設し、当時のKMTの馬英九党首の下でビジネス交流を促進してきた。

KMTに投票すれば、台湾海峡を挟んだ戦場はなくなる」と、今年1月、馬英九は支持者の群衆に語った。台湾の蔡英文(DPP)総統が3月から4月にかけて米国高官と会談した一方で(これは北京の不興を買った)、馬英九は中国において魅力攻勢に乗り出し、台湾海峡の両岸に住む住人たちは同じ「中国人」であることを強調した。

インド太平洋地域の国際関係を専門とする政治学者のビクター・テオ博士は、4月上旬、スプートニクに対し、「馬党首の訪問はKMTがひとつの中国政策を支持し、KMTが中国との対話と平和をもたらす最良の政党であることをさりげなく思い起こさせるものでもある」と語った。「ある意味で、今回の馬党首の訪問は、皮肉なことには、蔡総統の訪問によって引き起こされた緊張を和らげることにも役立っている。」

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関連記事:Arming Taiwan Diverts From Biden's Flaws and Benefits US Military Industry: Aug/31/2023, 17:03 GMT

KMTTPPの連携はどうして勝利の組み合わせとなるのか:

KMTは、台湾を平定するという目標を達成するために、結党されてから4年を経過したTPPと同盟関係を結ぶことによって選挙の勝率を高めようとしているようである。TPPは中道政党であり、KMTDPPに置き換わりそうな政党である。同党は201986日に高文済氏によって設立され、それ以来、国民の大きな支持を得ている。

1030日、KMTTPPは連立政権の樹立に合意した。両党は台湾議会での議席を最大化するという目標を設定した。そして、DPP8年間の「一党独占」を無に帰するために、最強の候補者を選ぶことを決めた。

さらには、両党は台湾海峡の安定と平和の回復に関するコンセンサスを発表した。KMTTPPの指導者は、現職総統である蔡英文の下で中断されていた将来の両岸の対話と関係を台湾の主要法規と1992年の台湾地区人民と大陸地域の関係を規律する法律に基づいて回復させるべきだと述べた。

それでは、KMTTPPの選挙における勝算はどれ程であろうか?「都市開発コミュニケーション協会」によると、先週の世論調査ではTPPの高文済党首とKMTの侯玉怡党首の二人の票はDPPの有望な黎慶徳氏と彼が選んだ候補を上回っている。

この調査によると、四つ巴の選挙戦では黎氏の得票が30.1%で、高氏が24.5%、侯氏が17.3%、台湾総統候補で「フォックスコン創業者」のテリー・ゴウ氏が11.3%と続いた。三つ巴のレース(テリー・ゴウ氏抜き)では黎氏が32.2%を獲得し、高氏は30.4%を獲得、侯氏は22.6%を獲得したが、14.8%の回答者は未定であった。

一方、高・侯氏の組み合わせは49.8%の得票率だったが、黎氏の肖碧姫下院議員との組み合わせは38%にとどまった。

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関連記事:Biden to Reaffirm US 'Not Supporting' Taiwan Independence at Xi Meeting on Nov. 15: Nov/10.2023

台湾問題に関してはバイデン・チームは取り組み方を変更すべきなのか?

最近の記事で、クインシー研究所の学者デイビッド・チョンはワシントンは来たる選挙でKMTTPP連合が勝利する可能性を考慮に入れるべきだと主張している。チョン氏によると、この台湾における平和主義の動力学はウクライナ問題に巻き込まれているワシントンに「歓迎すべき休息」を提供するであろうと言う。

台湾におけるKMTTPPの連携が出現することは米国と中国が少なくとも向こう4年間は緊張を緩和し、紛争を回避するのに役立つ可能性があるとこの学者は述べている。しかしながら、DPPの黎慶徳氏が勝利すれば、北京に対する対決姿勢をさらに推し進めることが予想される、とチョン氏は考えている。

「現在進行中の選挙運動に関して言えば、ワシントン政府は慎重な自制の姿勢を取り続け、バランスの取れた姿勢を維持すべきだ」と、この学者は強調し、DPP政権の継続、あるいは、KMTTPPの勝利というふたつの結果はそれぞれがこの地域におけるワシントンの利益に長所と短所をもたらすであろうと付け加えた。

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関連記事:Is Biden Preparing to Dump Ukraine For Taiwan?: Aug/03/2023

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これで全文の仮訳が終了した。

米国の対中政策は公式には「ひとつの中国」であると言う。そう言いながらも、台湾には軍事援助を行い、米国は台湾と中国を分断する政策をとり、北京政府の神経を逆なでして来た。極めてあからさまな二枚舌政策である。どうしてそこまでやるのかと言うと、短期的には軍産複合体の儲けに直接関係するからであろう。

ところで、肝腎の台湾市民が来年1月の選挙で中国と敵対し続ける与党のDPPを捨てて、中国との関係を改善しようとする野党のKMTTPP連合を選択したらどうなるであろうか?そうなったら、北東アジアにおける軍事的緊張は一気に和らぎ、米国の軍産複合体と彼らの盟友である好戦的なネオコン政治家の思惑は見事に捨て去られることになる。米国は、今、二正面での軍事的紛争を抱え込んでおり、すでに過剰な程に手一杯であると言われている。米国の世論を見ると、過半数はこれ以上の戦争努力は避けたいようだ。米国内には解決しなければならない問題が山積しており、膨大な資金を必要とする。米国の好戦的な対外姿勢の是非については来年の大統領選挙においてとことん議論され、ひとつの答えが示されるであろう。

台湾海峡における軍事的緊張が一時的にでも和らぐとすれば、2024年は極めて明るいものとなろう。台湾だけではなく、日本にとっても同じことが言える。そして、都市閉鎖やmRNAワクチンによる死亡者の急増や重篤な健康被害をもたらした新型コロナワクチンに続いて、ロシア・ウクライナ戦争によって暗黒の時代が合わせて4年間も続いていたのだが、これもついに終わりとなってくれたら最高だ!

それですべてが上手く行くのかと言うと、残念ながら決してそうではない。グローバリストたちは2024年を手放しの明るい年にはさせてはくれない。

彼らはWHOの権限を強化し、国際的な保健政策を一元化する条約を制定することによって各国の主権を奪い、全世界に君臨する世界政府を樹立しようとしている。大手製薬企業に金儲けをさせたいのだ。さらには、WHOの大手の寄付者にイデオロギー的に君臨させたいのだ。主たるイデオロギーは、たとえば、食糧問題や人口抑制問題である。一般大衆の洗脳や情報検閲の仕方に関しては、かれらは新型コロナ禍を通じて実世界での予行演習をすでに済ませたばかりである。WHOの権限強化の是非に関しては欧州議会ではかなり前から議論が続いているが、日本ではようやく議論が始まったばかりだ。WHOの権限の強化なんて聞いたこともないという人たちも決して少なくはないようだ。

多くの人達に感心を寄せていただきたいものである。これは実に深刻な問題であるからだ!この件は改めて掲載したいと思う。

 

参照:

1Taiwanese Parties Joining Ranks to Unseat pro-US Cabinet, Mend Ties With Beijing: By Ekaterina Blinova, Sputnik, Nov/14/2023

 

 


2023年11月16日木曜日

リークされた外交官からの電報によると、米国がイスラエル支持を表明したことを受けて、アラブ世界においては反米感情が急増することを警告

 

109日のアル・ジャジーラ紙の報道によると、107日、ハマスの武装勢力はユダヤ人の祝日にイスラエル南部の町を襲い、軍事施設や空港を目標に5,000発ものロケットを撃ち込み、兵士や野外音楽祭に出席していた一般人を人質にもした。 109日のイスラエル側の発表によると、700何人かが死亡し、2,382人が負傷した。 これを受けて、イスラエル軍はガザ地区に対する報復空爆を開始した。 世界中でもっとも人口密度が高いガザ地区ではイスラエルがハマスの拠点を爆撃する度に一般庶民の間には膨大な数の巻き添え被害者が生まれる。 この一カ月間のガザ地区における死者数は11,000人を超えたとガザ保健省は報告している。 その約40パーセントは18歳未満の子供たちだ。

最新の報道によると、現在、下記にような状況である(原典:Israel-Hamas war live: Gaza’s two largest hospitals shut amid nonstop raids: By Ted Regencia and Lyndal Rowlands, AlJazeera, Nov/13/2023):

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長はガザの病院が「悲惨で危険な」状況にあると警告し、未熟児を含めて、多くの患者が「悲劇的に」亡くなっていると述べた。

ガザの二大病院であるアル・シファ病院とアル・クッズ病院はどちらも閉鎖された。 イスラエル軍の狙撃兵はアル・シファ病院の周辺にいる人に対して発砲をし続け、何千人もの人々が病院の中に閉じ込められたままである。

国際赤十字委員会はガザ地区で民間人が避難している状況は「不安定で、決して安全ではない」と述べている。

EUのジョセップ・ボレル外交政策委員長は緊急の医療を必要とする入院患者の避難を可能にするために「一時停止」が必要だと述べた。

107日以降、11,100人以上のパレスチナ人がイスラエルのガザ攻撃によって殺害されたが、金曜日に主要病院との連絡が途絶えて以来、その数は更新されてはいない。 イスラエルでは、ハマスの攻撃による死者数は1,200人を超え、下方修正されている。

不幸なことには、国際世論が停戦を呼び掛けているものの、交渉のテーブルにつくために求めている両当事者の条件は噛み合わない。

ここに、「リークされた外交官からの電報によると、米国がイスラエル支持を表明したことを受けて、アラブ世界においては反米感情が急増することを警告」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1: © AP Photo / Manuel Balce Ceneta

米国の外交官らはジョー・バイデン大統領に米国のイスラエル支援は「一世代にもわたって、アラブ系米国民を失うことになる」と警告した。

最近、ふたつの外交公電が米メデイアにリークされた。 それらはガザにおけるイスラエルの血腥い軍事作戦に対する米国の支援は米国のイメージを阻害し、イメージが修復されることは決してないかも知れないと警告している。

「メッセージングの戦場ではわれわれはひどく負けている」と、水曜日(118日)にオマーンの米国大使館から発せられた電報が述べている。 同電報はイスラエルに対する米国の強力な支援が「戦争犯罪の可能性があると考えられる事柄について物質的・道徳的責任がある」と見なされると警告している。

この電報はホワイトハウス国家安全保障会議、CIAFBIの複数の高官に宛てられたものであった。

エジプトの米国大使館から流出したもうひとつの電報は「バイデン大統領のパレスチナ人に対する残酷さと軽視は歴代の米国大統領を凌駕している」という地元紙の社説を引用している。 この電報はイスラエルが、最近、世界中から強い批判の的となって、イスラエルの軍事行動に対する世界的な反対の高まりを反映したものである。

しかし、流出した外交文書は、ジョー・バイデン米大統領が中東の同盟国(つまり、イスラエル)への揺るぎない支持を表明したために、アラブ世界での批判が米国にも及んでいることを強調している。 米国大統領は、最近、木曜日(109日)の記者会見でこの件について質問された際、ガザでのイスラエルの停戦は「あり得ない」と主張した。

ガザの保健省によると、ガザ地区の死者数は、最近、11,000人以上 となり、そのうち少なくとも 4,500人が18歳未満で、国連事務総長は包囲された地域を「子供たちの墓場」と呼ぶようになった。 国連は、ガザ当局が発表する死者数は過去において正確であったことが証明されていると指摘している。

最近の報道で、イスラエルがこの飛び地を包囲する中でごく限られた量の人道支援しか許してはいないことから、230万人のガザ住民は大量飢餓の瀬戸際となる可能性があると警告している。

これらのリークされた電報は、米国在住のイスラム教徒の間ではバイデン大統領への支持率が劇的に低下していることを示す報道の真っ只中に公開された。

「われわれは彼(バイデン氏)に、即時停戦を直接呼びかけないならば、2024年にわれわれの票を得ることはできないであろうとわれわれの個人的な立場を伝えた」と、米イスラム関係評議会(CAIR)のニハド・アワド事務局長が述べた。 広報担当者はバイデンがパレスチナ人を「裏切り」、ガザで「大量虐殺」を行うことを許したとして非難した。

「彼について観察される姿はイスラエル国家に対する完全に一方的な支持だ」とアワドは述べている。

アラブ・アメリカン・インスティテュート(

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これで全文の仮訳が終了した。

パレスチナとイスラエルの間には長い抗争の歴史があり、何十年にもわたって血腥い応酬、そして、応酬に対する新たな応酬が繰り返されてきた。 それらの一連の過去の事実を考えると、パレスチナ人とイスラエル人との間には互いに深い憎悪の念が存在していることについて第三者は容易に理解することができる。 とは言え、この

欧州では週末には多くの都市で反戦デモが繰り返されている。 土曜日(

一方、

著名な調査報道ジャーナリストであるグレン・グリーンワルドは最近の反戦デモを次のように描写している。 私は彼の主張をどこかで読んだ。 それが掲載されていたウェブサイトを探したが、見つけ出せなかった。 彼の言葉を直接転載できないのは残念であるが、その要旨はこうだ:

多くのデモ参加者は「イスラエルが悪い」とか、「パレスチナが悪い」と主張しているわけではない。 彼らはガザ地区における余りにも悲惨な人道危機に憤っているのだ。

グレン・グリーンワルドは良く言ってくれた。 まったくその通りだと思う。 読者の皆さんはどうお思いであろうか?

ロシア・ウクライナ紛争にしても、ハマス・イスラエル紛争にしても、インターネット上で毎日飛び交っている情報は余りにも多い。 たとえこれらのテーマについて個人的に関心を持っているとしても、毎日配信される記事をくまなく覗いてみることは物理的に不可能に近い。 私自身は毎日が日曜の身分であるから、かなり暇がある方だ。 だが、仕事を持っている読者の皆さんは自由に使える時間は限られていることであろう。 そういう意味では、グレン・グリーンワルドの言葉は今起こっている出来事の特性を実に上手く要約していると思う次第だ。

 

参照:

注1:Leaked Cables Warn of Growing Anti-American Rage in Arab World Amid US’ Israeli Support: By Sputnik, Nov/10/2023