2021年11月26日金曜日

コロナ禍を活用し、前代未聞な程にまで人々の権利を剥奪した政治家がまたもや強権を発動

 

PCR検査による擬陽性者を感染者と称し、増加する一方の感染者数を毎日報道することによって一般大衆に危機感を煽り、都市閉鎖を宣言し、安全性が十分に確認されてはいないmRNAワクチンの接種の必要性を喧伝した。こうして、多くの人たちは職を失った。都市閉鎖の中では職場にも行けず、長期間にわたって自宅に留まることを余儀なくされ、運動不足や欲求不満、等、精神的な面で大きな荷を背負い込んでいる人が多いようだ。今、ヨーロッパではワクチンパスポートの施行が一部で開始されている。その結果、国内政治は分断され、状況はますます危機的なものへと変わりつつある。強圧的なコロナ禍対策が長く継続され、誰もが辟易としている。

政府や大手メディア、SNSを運営するハイテック企業、ワクチンの製造に関与する製薬企業はどこもがひとつの巨大なプロパガンダマシーンと化したかのようである。新型コロナ用ワクチンの供給は医学・薬学分野の皆さんの日頃の努力の賜であるとも言えるが、長期的な安全性を十分に確認せずに「緊急使用」という隠れ蓑の下で世界規模での使用に踏み切った事実は素人目にさえもグローバル化した利益の追求が巧妙に隠されていることを感じさせる。

ハムレットは「このデンマークという国では何かが腐っている」と言った。そして、21世紀の今、現代人は「多くの政治家や巨大企業はすっかり腐っている」と日頃の専制主義的なコロナ禍対策についての印象を口にしたとしても決して不思議ではない。

ここに「コロナ禍を活用し、前代未聞な程にまで人々の権利を剥奪した政治家がまたもや強権を発動」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

医療に関する課題や対応策が政治家によって政治化され、先鋭な議論が進められ、国内は分断される。そういった動きが政治家の間で急速に広がり、一国に留まらず、他国へも広がって行く。一部の政治家は他の誰よりも先鋭化した施策を持ち出し、それを実践することがリベラリストとしての政治家の使命であるかのように振る舞っている。そんな先鋭化する一方の政治家の事例をチェックしておきたい。

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Photo-1:  オーストラリアのメルボルンで20211116日に州議会の正面階段にまで迫った反政府デモの参加者たち。© Getty Images / Daniel Pockett; (inset) Daniel Andrews. © AFP / MARK PETERSON

オーストラリアのビクトリア州ではダン・アンドリュース州首相が新型コロナ対策として専制的な規制を新たに導入しようとしたが、その試みはまさに能力不足を露呈し、人々の自由を無視した策として見なされ、コロナウィルスに対して発動された間違いだらけの策としてはもっとも最近の事例となった。

新型コロナウィルスの大流行は、過去の2年間、西側の多くの自由主義国家において政治危機を次々と引き起こして来た。そういった危機に対処することに失敗した指導者は選挙民から過酷な罰を課されることになった。

異論があるかも知れないが、それはドナルド・トランプが再選されなかった主要な理由でもあり、オーストラリアではワクチン接種を展開する際の不手際からスコット・モリソン首相は次回の選挙では敗退に直面するかも知れない。

新型コロナの大流行に首尾よく対処した政治家であってさえも都市閉鎖やその他の規制に辟易としている選挙民からの厳しい反発に立ち向かわざるを得なくなった。ほとんどの国で都市閉鎖が解除され、規制が取り払われた今でさえも、ワクチンは強制すべきものなのかどうかに関しては政治的分断が続き、論争が起こっている。

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コロナ禍による大衆行動は多くの場合暴力化し易いが、西側諸国においてはそういった状況が依然として普通に観察されている。

政治家たちにとっては、たとえどんな説得を試みようとしても、市民を防護する行為を進めながら、それと同時にこれが必然的にもたらす基本的権利の侵害を抑制することと上手くバランスさせることは並外れて困難な仕事である。

オーストラリアにおいては、新型コロナを巡る苦い政治論争はビクトリア州でもっとも劇的に、かつ、暴力的に進行した。同州は労働党出身の現職の首相を務めるダン・アンドリュース「議長」がかっては「オーストラリアではもっとも進歩的な州」として誇っていた程の州である。

これらの論争は「ダン議長」によって最近ビクトリア州議会に導入された新たな「パンデミック法」は猛烈な反対を受け、通りでは劇的なデモに発展し、今週、その頂点に達した。多分、驚くほどのものではないのかも知れないが、社会的不公正や偏見、人種差別といった事柄については極めて「ウォークな」姿勢を貫いているアンドリュース首相が市民らの人権がまたもやないがしろにされると主張する人たちの言動によって立ち往生し、身動きさえもできなくなったことは皮肉そのものである。

ビクトリア州政府の新型コロナの大流行に対する取り組みは最初から酷い不能振りを露呈し、市民の権利を無残なまでに無視しているとして酷評されて来た。同州では昨年の後半における新型コロナの第二波で800人もの死者と数千人の感染者をもたらしたのはアンドリュース州政府による犯罪的で、欠陥だらけの隔離政策のせいであった。

「ダン議長」は、この惨事については誰も責任はないとの結論を下すに至った従順な調査団を組織し、調査を開始させることによって、手際よく対応すれば回避することが出来たかも知れない大失敗に対処しようとしたのである。

専制的な都市閉鎖や規制がビクトリア州では何か月も続き、州都メルボルンは世界でもっとも徹底した都市閉鎖を行った都市として知られ、ビクトリア州警察の高圧的な振る舞いは世界中から非難を浴びた。

「ダン議長」はビクトリア州議会を実質的に閉鎖し、過去12か月間にわたって断続的に機能させただけであった。この期間、暴力的な反政府デモは定常的に起こった。先月、ビクトリア州では二回接種の率が80%に達し、「ダン議長」は都市閉鎖を解除し、規制を緩和し始めた。これに同調して、クリスマス前にオーストラリアの国境を開放し、海外からの旅行客が同国へ自由に入国できるよう計らった。

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責任を重んじる政治家は誰もが、このような状況においては、新型コロナの大流行に関して最後に抱く考えは弾圧的な法制化を広範に適用することだと誰もが考えることであろう。

だが、それは「ダン議長」が専制的なやり方でビクトリア州の市民をコントロール下に収めようとした彼自身の制御不能な衝動を無視することに繋がってしまうかも知れない。先月、アンドリュース首相はビクトリア州議会へ「公衆衛生と福祉に関する2021年の修正(パンデミック・マネジメント)」というオーウェル的な表題を冠した法案を導入した。この法案は下院の多数を占める労働党によって速やかに承認された。

本法案は12月に期限切れとなる既存の緊急事態法にとって代わるものであって、パンデミックや健康に関して幅広い事項を布告する権限を(今までは州のチーフ保健担当官の管轄であったが)州首相と保健相に付与しようとするものである。

この法案のオリジナル版は市民を無期限に拘束するすることを許容し、裁判所へ上訴する権利はなしというものであった。健康に関する指令に従わない者は最高で90,500豪ドル(訳注:1豪ドルを83円とすると、約750万円相当)の罰金を科せられる可能性があるが、本法案には議会や司法による適切な監督が備えられてはいない。

本法案は民主主義や法の支配に対する攻撃であるとして弁護士協会や人権擁護団体、ビクトリア州の反対政党からの非難に曝されている。

さらに重要な点としては、これはビクトリア州議会周辺で激しい抗議行動を引き起こしたこと、ならびに、首相や他の政治家に対して殺しの脅迫が出回ったことである。抗議行動に参加する人々の間には死刑台や首吊り用のロープまでもが駆り出され、「アンドリュースに死を」、「アンドリュースを首吊りに」といった掛け声が沸き起こった。

「ダン議長」は彼流の典型的なやり方を用いてこれに応えた。「私は阻まれはしない」と言い、抗議デモの参加者たちは狂犬と化した極右の「小さな、汚らしい奴らだ」との性格付けをした。

この法案は今週ビクトリア州議会の上院で審議される予定である。本法案を新法として通過させるにはアンドリュースの政府は無党派として独立している議員の支持を必要とする。かっては上院労働党のメンバーであったが汚職を行ったことで党から追放され、独立した議員となっている人物は水曜日(1124日)にはこの法案に反対するであろうと予測される。 

現状を見ると、この法案は通過しそうにはなく、審議は中断。本法案は当面棚ざらしのままだ。  

ビクトリア州はいったいどうしてこのような悲惨で、かつ、困難な状況に至ったのであろうか?同州はまさに修復のしようもないような分断と混乱に陥っていることをこの状況は示している。そして、このような状況は米国の政治を性格付けるものでもある。恐らく、その答えはいわゆる「進歩派」と言われているアンドリュース政権の性格に見出すことができるであろう。

関連情報: Unvaccinated will have ‘miserable, very lonely life,’ top Australian doc warns

同政権は伝統的な意味における労働党による政府ではなく、従来の基盤であった労働者の関心を長く無視してきた。伝統的な意味においては同党は純粋な意味で「進歩的」であるというわけではない。西側の民主主義国家のほとんどを支配するグローバルなエリート層の関心を排他的に推進する政権であって、それらのエリートたちが固執する「ウォークな」イデオロギーを実践することに熱狂的に身を捧げているのである。

この点に関しては、同政権は米国の民主党と非常に良く似ており、その振る舞いはまったく同様だ。米国のグローバルなエリート層や民主党員は同国の分断をもたらし、アンドリュース首相もまたビクトリア州で同じ轍を踏んだのである。

米国の場合とは違って、ビクトリア州においてはこの分断の過程は最初から存在していたものであって、それを予見する兆候はすでに見えていた。ビクトリア州の分断は深い。経済的にも、政治的にも、そして、イデオロギー的にも。たとえば、いわゆる「カルチャー戦争」はビクトリア州ではとりわけ憎しみを持って戦いが行われて来たのである。 

保守派の反政府政党はまったく機能してはいない。これらの政党は最近アンドリュース政権から圧倒的な政治的影響力に曝されて、他の州に比べるとより包括的に彼らの政策の実現を許してしまった。「ダン議長」に反対するビクトリア州民の多くは抗議行動という具体策(さまざまな策の中である種の策は特に暴力的で、過激であり、筋が通らなないものであった)を取らざるを得なかった。なぜならば、彼らの見解を受け入れる、あるいは、彼らの見解に譲歩するにはアンドリュース政権を余りにも徹底して拒み過ぎていたからである。

アンドリュースに反対する人たちに対して政治的な声を挙げるトランプ的な政治家はまだ誰も現れてはいない。そのような人物が出現するにはまさにトランプが共和党を手中に収めた時と同じような抜本的な政治の再編成が必要となろう。そして、そのような将来像はビクトリア州においては現時点での政治という風景の中にはまだ何も見えては来ない。

この法案が新法になろうがなるまいが、現状においては専制的なパンデミック法案を通過させようとする「ダン議長」によって生み出された現時点での政治危機は厳しくなる一方である。不幸なことには、ビクトリア州民は、当面、反政府抗議行動や政治の機能喪失にもっと頻繁に見舞われるに違いない。

注:この記事に述べられている発言や見解、意見はあくまでも著者のものであって、必ずしもRTの見解や意見ではありません。

著者のプロフィール:グラハム・フライスはオーストラリアのジャーナリストであって、以前はメディア界の弁護士であった。彼の記事はThe AustralianThe Sydney Morning HeraldThe AgeThe Sunday MailThe SpectatorおよびQuadrantから出版されている。

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これで全文の仮訳が終了した。

選挙によって選出された国家や州の首長は何処まで信任を与えられたのかを時には見誤ることがあるようだ。そこには暴走の姿が見られる。特に政治危機に陥った時には極めて顕著なものとなる。何処かで方向性を見誤って信任を失うと、次回の選挙では落選が待ち構えていることから、大きな賭けに出て、信任を回復しようとする。その結果、状況がさらに悪化することが少なくはない。

首長が自分が勝ち取った権力の座を死守するために新型コロナウィルスの大流行に乗っかり、その状況を活用しようとする。多くの場合、負のスパイラルに落ち込む。妥当な方向性を見失い、新たに芽生えた邪心が大失敗をもたらすことがある。ビクトリア州のアンドリュース首相はその好例なのかも知れない。

ヨーロッパに目を向けると、特にオーストリアが目につく。オーストリアでは非常に急進的なコロナ対策が打ち出されている。

ロイター通信の報道によると、現在オーストリアではワクチン接種を受けてはいない人たちに対して都市閉鎖を行っているが、1118日に感染者数が最高レベル(全国で1日に15,145人が感染。このレベルは1年前に記録した9,586 人を大きく上回る。あの当時、オーストリアは全国規模の都市閉鎖に踏み切った)に達したことから、ワクチン接種者も含めて全面的な都市閉鎖を実施することにしたという。北部諸州やザルツブルグでの感染拡大が著しい。ヨーロッパでは冬の到来を控えて新型コロナの感染が増加している。オランダでは部分的な都市閉鎖が導入され、ワクチン接種の有無には関係なく全市民がその対象となっている。(出典:Austria’s focus shifts to full lockdown as COVID-19 cases keep rising: By Francois Murphy, Reuters, Nov/18/2021

その後の報道によると、オーストリアのシャレンベルク首相(訳注:1か月程前に首相の座に就いたばかり)は1122日から10日~20日間の全国規模の都市閉鎖に入ると1119日に発表した。これは第4回目の都市閉鎖となる。それと同時に同首相はオーストリアは来年の21日からワクチン接種を義務化すると宣言した。(出典:Austria is showing that vaccine mandates are no longer unthinkable: By Liam Hoare, The Guardians, Nov/22/2021

こうして、オーストリアはヨーロッパ圏でワクチン接種を義務化する最初の国家となった。義務化にともなって、違反者は罰金を課せられることになる。罰金を払わない場合は刑務所行きとなる。

コロナ対策は専制主義的なものへと急速に変貌しており、特にワクチン接種をしたくはない市民に対しては基本的人権が大きく侵害されようとしている。こうして、オーストラリアでもヨーロッパでも国家が分断され、まさに米国の国内政治をそのまま輸入し、それをコピーをしているかのような観がある。実に不幸なことだと思う。

 

参照:

1The politician who’s used Covid to restrict people’s rights to an unprecedented level strikes again: By RT, Nov/20/2021, https://on.rt.com/bl8v

 

 

 

 

2021年11月18日木曜日

独裁主義の大流行こそが本当の脅威だ

 

新型コロナウィルスの大流行に見舞われた国々、つまり、ほぼ世界中の国々ではワクチン接種が強要されている。ところが、いくつもの極端なニュースがわれわれ一般大衆にも届いている。要するに、ワクチンを強要する側の論理は、たとえ副作用としての血栓症や心筋炎、流産、あるいは、アレルギー症状によって深刻な状況に陥ったり、最悪の場合は死に至ったとしても、そのような事例は稀で、ワクチン接種による恩典の方が遥かに高いと言う。統計的には確かにそうなのかも知れない。

問題はヒトの健康状態は千差万別であり、中にはアレルギーを引き起こしたり、たとえ病歴がなくても、ワクチンを接種しないとスポーツ競技には出場させないとの通告を受けて、半ば強制的にワクチン接種をさせられ、サッカーの競技中に心筋炎を起こして死亡した若い運動家が何人もいる。こういった事例はプロのスポーツ選手というそれまでに勝ち取った地位を維持するためにも選択せざるを得なく、ワクチン接種が引き起こした悲劇である。しかも、メディアに報告されている件数は実際よりは少なめだ。

米国にはワクチン接種によって起こった副作用を報告する制度がある。これはVAERS(ワクチン有害事象報告制度)と称され、CDCFDAとが共同運営をしている。本人あるいは家族からの自主的な報告が基礎となっているようだ。それでも、このVAERSによって網羅される件数は氷山の一角に過ぎないと専門家は指摘している。

査読が行われて発表された文献(The Safety of COVID-19 Vaccinations — Should We Rethink the Policy?” By Harald Walach et al., Science, Public Health Policy, and the Law, Aug/2021)によれば、著者らはデンマークのデータに基づいて「リスク対効果」の比率を算出した。その結果は下記の通りである。

結果:ファイザーが市場へ供給したmRNA ワクチンによって新型コロナの感染者を一人低減させるには200回から700回のワクチン接種が必要となる。一人の死者を予防するのに必要な接種回数のNNTVNumber Needed To Vaccinate:「ワクチン接種の必要回数」とでも訳そうか)は95%信頼区間で9,000回から100,000回となり、推定値は16,000回となる。EUにおいては10万回のワクチン接種当たりの有害事象報告件数には国によって大きな差が認められる。Larebデータ(デンマークの有害事象報告制度)から導かれた100,000回の接種当たりの有害事象報告件数は約700件である。それらの内で深刻な有害事象は16件で、死に繋がった有害事象は100,000回当たりで4.11件となった。こうして、ワクチン接種によって救命されるのは6人(95%信頼区間は2人から11人)で、その一方ワクチン接種後の死亡件数は約4件であった。つまり、リスク対効果の潜在的な比率は23となる。

このデンマークのデータがEU全体を代表するかどうかは私には分からない。少なくとも、著者は国によって大きく変動すると述べている。デンマークにおける数値を見て、ワクチン接種が有効であると果たして言えるのであろうかという疑問が湧いてくる。二回の接種が必要とされていることから、100,000回の接種は5万人がその対象となる。デンマークでは5万人の中で3人を救い、2人を死亡させていることになる。

日本の人口は約12500万人である。現在、約75.5%が二回の接種を済ませているそうだ。つまり、9590万人が接種を済ませた。上記のデンマークの比率をそのままこの9590万人に当てはめると、日本では9590万人の内で5754人を救い、3836人を死なせることになる。ところで現時点では100万人の人口当たりのデンマークの新型コロナによる死者数は478人で、日本は145人である。つまり、デンマークの100万人当たりの死者数は日本の約3.3倍を示している。この状況を反映させると、日本では9590万人の内で1743人を救い、1162人を死なせるという状況が推定される。

もちろん、この外挿が意味を成すのかどうかについては専門的な検討が必要であり、私には何とも言えない。だが、すくなくともEUの一国で起こったことであるから、たとえ外れても遠からずであろうと言えるのではないか。あるいは、世間で言われているように納豆を頻繁に食べる日本人の食文化を考えると、納豆が新型コロナによる被害を劇的に低下させているのかも知れない。また、どのワクチンを接種したのかによっても、この比率は変動する。

そして、最終的にはいったい「誰が得をするのか」と考えると、それは、明らかに、ワクチンを供給する大手製薬企業に他ならない。最大手であるファイザー社の最近の決算報告によると、2021年第3期のワクチン関連の売り上げは145.83億ドルで、前年同期の17.17億ドルの約8.5倍となった。2021年の9か月間のワクチン関連総売り上げは287億ドルを記録した。2021年通期ではワクチン関連の売り上げは360億ドルを予測しているそうだ。

前置きが長くなってしまったが、ここに、「独裁主義の大流行こそが本当の脅威だ」と題された記事がある(注1)。新型コロナの大流行の背後には何らかの政治的な世界規模の目標が見え隠れすることからも、この記事は一読しておきたい。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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米国はイリノイ州、クック県のジェームズ・シャピロ判事は新型コロナ禍における独裁制において近代史上もっとも低劣なレベルに達した。つまり、彼はレベッカ・ファーリットがワクチン接種を受けるまでは彼女が11歳の息子と面会することは許さないと言い渡したのである。個人がワクチン接種を受けるようにと司法権限を振り回しているのはこのシャピロ判事だけではない。米国では至る場面で判事が被告にワクチン接種を受けるように促している。時には、刑務所へぶち込まれないためのひとつの条件としてさえ持ち出して来る。このように司法による権力行使に残酷さが出現してきたことは独裁主義の大流行こそが米国にとっては真の意味での脅威であることを示している。

企業は、従業員が接種証明書を提示し、新型コロナワクチンを接種しなかった場合は健康保険料をより多く支払わせ、定期的に(場合によっては毎週)新型コロナの感染テストを行うこと、等を含めて、諸々の要件を課している。ますます多くの州政府や地方都市政府が彼らの職員に対してばかりではなく、私企業の従業員に対してさえも新型コロナワクチンの接種を求め、一般の人々に対してもワクチンパスポート発行の要件を示そうとしている。

バイデン大統領はワクチン接種命令を実行するようにと雇用者に強く促し、政府はハイテク企業と共にワクチンパスポートのモデル版について作業をしていると述べた。政府は政府高官も関与させた上でワクチン接種要件のモデルを承認し、企業側がこれらのワクチン接種要件を採用し、彼らの顧客も含めて、それらの要件を従業員に課すことによって政治家や政府高官らの意向に従うことを示すようにというメッセージを送り出したのである。

米国政府がワクチン接種命令とワクチンパスポートの励行を「促す」のにもっとも効果的な手法は従業員や顧客、その他の人たちがワクチン接種を行ったという事実を証明することを拒んだ企業や州、地方自治体やその他の機関に対しては政府からの助成金を打ち切ることだ。この手法はワクチン接種命令の履行をもたらし、政府はワクチン接種を誰に対しても強制してはいないと主張することさえも可能にする。

バイデン大統領は従業員がワクチン接種が済んでいることを示す証拠の提示を従業員に要請しない介護施設に対しては高齢者向けや低所得者向けの医療保険制度に対する政府助成金を打ち切ることをすでに検討している。これは介護施設に人手不足をもたらすかも知れない。人手不足になった介護施設はそこに住む入居者にとっては健康ではあってもワクチン接種を受けてはいない要員らによって運営されている介護施設に比べると遥かに大きなリスクを背負うことになる。テキサス州は病院がワクチン接種をしていない看護師を解雇したことから、介護施設の不足を今経験している。

医療関係の労働者にはワクチン接種命令に抵抗するだけのそれ相当の理由がある。多くの労働者がワクチンの接種後に死亡したり、流産を含む他の深刻な副作用に苦労を強いられているからだ。

ある者は他の人たちに感染させるリスクを持つことによって、ワクチン未接種者は他の人たちに危害を与えることになると主張して、ワクチン接種命令やワクチンパスポートを正当化しようと試みる。しかしながら、アメリカ疾病管理予防センターは、最近、新型コロナワクチンは感染の拡大を防がないことを認めた。それに加えて、「ワクチン未接種者による大流行」が起こるという主張は今年の始めに収集されたデータに基づいたものであって、米国人の多くが接種を受ける以前のものであった。

重要な反論のポイントはもしも政府が他人に対して危害をもたらすことを防ぐためにも潜在的な危険を孕んでいるワクチンを強制することが可能であるとすれば、それと全く同じ論理が他にも数多くの自由を剥奪する策さえも課すことができるということになる。これらには、たとえば、「警告法」やその他の銃規制法、「過激」思想へ近づくことに対する規制、あるいは、将来の暴力行為を防止するための一般大衆に対する監視システム、等が含まれる。政府は想定される暴力行為を防ぐためには警察(あるいは軍隊)を用いることが可能だとする議論は政府権力に対する規制を無意味にしてしまう。

ワクチン接種命令やワクチンパスポートに対する抵抗が増えることを支持することは必要不可欠である。また、われわれは新型コロナにまつわる専制主義的な規制に対する反対行動を政府によるあらゆる種類の自由の侵害に対する反対行動へと拡大して行かなければならない。

(ここに著者またはその代表者からの許可の下にロン・ポール研究所の記事を転載した。)

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これで全文の仮訳が終了した。

「アメリカ疾病管理予防センターは、最近、新型コロナワクチンは感染の拡大を防がないことを認めた」という情報は貴重だと思う。当初喧伝されていたワクチンの効能の一角が崩れたからだ。

総合的な論点としてはこうだ。一市民の人権や言論の自由を法的に擁護する立場にある司法システムが専制主義的になる一方の米国の現状を著者は浮き彫りにし、そのことを非常に憂慮している。そして、このような風潮をさらに拡大させないようにと市民に呼び掛けている。

新型コロナの背後にある政治的動きをわれわれ一般庶民が把握することは決して容易ではない。率直に言って、大手メディアはそのことに触れたくはなく、われわれは最初から情報不足の状態に置かれたままである。

ところで、現行の新型コロナの大流行の背景にある政治的な動きとはいったい何かと疑問に思われる方には「芳ちゃんのブログ」にて下記の投稿を一読するようお勧めしたい:

2021823日:カザフスタンにある米軍の生物研究所ではどのようなウィルスが研究されているのか?

202172日:国連の元職員が言うには、新型コロナウィルスの起源を調査すると言う中国に対する脅しは米国が対中情報戦に勝つためだ

2021626日:米国立衛生研究所によると2019年の12月には5州において新型コロナがすでに発生していた

2021620日:武漢研究所ウィルス漏洩説はイラク戦争の時と同じ顔ぶれのジャーナリストによって推進されている  中国が指摘

202167日:生物兵器としての新型コロナ  閉ざされた扉の背後からの厳しい質問

202151日:米国は生物兵器による戦争を準備しているのだろうか?

2021319日:ワクチン接種 - 新型コロナとの戦いにおける勝利はまさにいばらの道

2021111日:私は医師として新型コロナを巡るデータを研究してみた。ひとつだけ本当のことが分かった。それは都市閉鎖はまったく機能してはいないという事実だ

20201210日:新型コロナワクチンの開発レースで勝ったと英国政府が自慢するも、世界で最初という主張に一般大衆がうんざりするならば大流行に対する戦略は台無しとなりかねない

2020123日:PCR検査はその目的を達成してはいないと裁定。主要メディアはこれにどう対応するのか。彼らはこの裁定を無視

20201120日:ゲイツ財団は、安全性と有効性についての懸念が残る中、第三世界で新型コロナワクチンを推進するためにさらに7千万ドルを投下

20201023日:新型コロナの脅威が過ぎ去ったことを科学が示してくれる迄には永久に待たざるを得ないかも知れない。だから、常識を駆使して、通常の生活へ戻ろうじゃないか

20201016日:ボリス・ジョンソン英首相が英国の「グレート・リセット」を発表しているように、結局、新型コロナの陰謀論はまさにそのものずばりだったのでは?

2020107日:ビル・ゲイツのワクチンがアフリカでポリオを広げている

2020921日:ロシア産ワクチンに対する西側からの攻撃は企業による人類に対する冷戦ではないか

2020831日:新型コロナをめぐる五つの謎がバレてしまった!世界中を捉えて離さない恐怖の扇動やプロパガンダ、真っ赤な嘘が見え見え

2020722日:「国家的な新型コロナテストに関する行動計画」 ー 全市民を軍事的コントロール下に置くための米国の計画

2020616日:新型コロナウィルス対策:スウェーデンとノルウェーの違い

202067日:新型コロナに関する3大リーク - 新型コロナの公式の筋書を葬り去る

202061日:新型コロナウィルスの大流行 - 本当に危険なのは「アジェンダID2020

2020522日:武漢のコロナウィルスに対するワクチン開発で遭遇するであろう主な問題点 - ロシアの専門家の意見

2020517日:新型コロナウィルスには祖父母がいて、曾祖父もいる。彼らはどこにいるのか?

2020512日:他の国々が失敗したにもかかわらず、スウェーデンはどうして成功したのか?

202055日:新型コロナウィルス奮闘記 - 三つの国の物語

2020428日:新型コロナウィルスの大流行ではいったい誰が得をするのか?

2020421日:人工的に作られたコロナウィルスが論争を呼んでいる

2020415日:新型コロナウィルスの大流行において指導的な役割を演じることができなかった米国は世界の最強国としての地位を失う - 今回は復帰することはできそうにない

202049日:もっと大きな物事が新型コロナウィルスの背後に潜んでいる

2020325日:新型コロナウィルスがヨーロッパの自由主義を解体

2020318日:米国は生物兵器の研究や生産とその使用では世界的なリーダー

2020311日:中国の新型コロナウィルス - 衝撃的な最新情報。ウィルスは米国からやって来た。日本、中国、台湾は米国が起源だと報告

2020224日:まさにポストアポカリプス的である - コロナウィルスは毎日の生活をどのように変貌させたか

2020219日:新型コロナウィルス感染の最悪のシナリオ

2020213日:新型コロナウィルスを巡るヒステリックな大騒ぎには人種偏見が潜んでいる - スラヴォイ・ジジェク

202028日:東洋人は他の人種よりもコロナウィルスに感染し易く、SARSの場合のように死ぬ確率が高い

こうして新型コロナに関する過去の投稿を眺めてみると、今になっては的外れの内容も見受けられる。その一方で、主張の内容が今でも依然として有効であると言える投稿もある。これらの拙文が読者の皆さんに少しでも役立ってくれれば幸いである。

参照:

1Authoritarianism Pandemic Is the Real Threat: RON PAUL, The Unz Review, Sep/06/2021

 



 

2021年11月11日木曜日

中ロ外相が共同声明 ― 生物兵器について

 

全世界が新型コロナウィルスの大流行に見舞われて間もなく満2年になろうとしている。当初からこの新型コロナウィルスは人為的に作られたもの、つまり、生物兵器ではないかと方々から疑問視されてきた。

1029日、アメリカ合衆国国家情報長官のオフィスは新型コロナウィルスの起源に関して17 頁から成る報告書をバイデン大統領に提出した。それによると、自然発生説と生物兵器説のふたつがあって、諜報当局の内部には依然として意見の相違が存在することを認めている。米諜報界の総合的な見解としては新型コロナが何時、何処で発生し、どのようにして人類初の大流行となるに至ったのかについては(中国からの)新たな情報が得られない限りは結論付けることはできないと報告した。

しかしながら、この報告書はその概要で個々の要素に関してさまざまな見解を述べてもいる。たとえば、新型コロナウィルスは生物兵器として開発されたものではないと断定している。自信の程度が低いとは言え、多くの諜報部門は新型コロナウィルスは遺伝子操作されたものではないと言う。さらには、ふたつの諜報部門はこれらふたつの説のどちらが実際に起こったのかについては十分な証拠が揃ってはいないとして、断定することを保留したとのこと。最終的に、米諜報機関は新型コロナが発生した当初中国政府はこのウィルスに関して何の予備知識も持ってはいなかったと思われるとも評している。(出典:Updated Assessment on Covid-19 Origins: By Office of The Director of National Intelligence / National Intelligence Council

ということで、現時点では米諜報機関は新型コロナウィルスが自然発生であったのか、それとも、人工的に作られた生物兵器であったのかについては断定することは出来ないとしてバイデン大統領に報告した。問題は果たして全世界が本報告書が報告した通りに受け取るかどうかである。確かに、米諜報界が言っているように、現段階では十分な情報が出そろったとは言えなそうだ。最終的な結論が成されるまでにはまだまだ待たなければならない。

ところで、米国の諜報界の見解については多くの場合疑ってかかるのが本筋だと私は思っている。過去のさまざまな経験から言えば、字面とは真逆の状況も常に念頭に置く必要があると言えるだろう。米国家情報長官のオフィスが今回提出した報告書はどう見ても、米中間の綱引きというバイデン政権にとっては最大級の政治課題に大きく影響されているように思える。米国はあくまでも新型コロナウィルスの起源については中国との綱引きを有利に展開することが可能な筋書きを押し通したいのだと読める。そうすることが分断された国内政治を有利に展開する最後の選択肢なのだ。

2021年の国際社会は今大きく変わろうしていることが肌で感じられる。その一つは一極支配の世界から多極化の世界への移行であり、もうひとつは全世界に大きな影響を与えている新型コロナウィルスの大流行によってもたらされた社会の変化である。前者はかなり長期的なプロセスであると思われ、今すぐに国際秩序が大きく変わるという状況ではないように思える。後者は単なる感染症に対する医学的な対処、つまり、ワクチンや治療薬の開発に関する話ではなく、今米中間で起こっている情報戦争に見られるように旧覇権国と台頭する新勢力との間の地政学的な綱引きにおいて爆発的な影響力を発揮する武器として使われている。その真実の姿は遅かれ早かれ見えてくるのではないだろうか。

ここに、「中ロ外相が共同声明  生物兵器について」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有したいと思う。


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細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産および貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条をさらに強化することについて中ロ外相が共同声明を発した:

ロシアと中国の両国は「細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産および貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条」(BWC)は世界の平和と安全保障を支える柱として非常に重要であること、ならびに、本条約の権威と実効性とを援護する両国は揺るぎない決意を持っていることを再確認する。1975年当時と同様に、今日、本条約の目的は今日的な意味を帯びている。つまり、それは生物学的作用物質を兵器として用いる可能性を完全に排除しなければならないという観点においてである。

ロシアと中国の両国はBWCを完全に順守する必要性を繰り返して主張し、同条約の制度化や実効性のある検証メカニズムを有する法的強制力を持った議定書を採用することも含め、本条約の実施に関係する諸問題を解決するに当たって必要となる定期的な協議や協力を通して本条約をさらに強化するべきであると主張する。

ロシアと中国の両国はBWCの機能は、国連安保理が懸念する事項も含めて、他のメカニズムによって重複されるべきではないことを強調する。生物兵器の使用が取りざたされている事案を解明するためのBWCメカニズムの開発に着目し、両国はBWC締約国に対して同メカニズムの作業基準、ならびに、技術的指針や実施要領を開発することを呼びかける。

ロシアと中国の両国はBWCの締約国は、米国が2001年に意見の一致がほとんど得られていたにもかかわらずこのプロセスから一方的に脱退した際に中断されたままとなった本条約の議定書に関して、圧倒的多数の締約国からの要請があったにもかかわらず多国間交渉を再開することについては合意に至らなかったことに懸念を表明する。その結果、ならびに、軍民両用の科学技術分野が急速な発展する中で生物学的作用物質を兵器として用いるリスクは急速に高まっている。

この文脈において、米国とその同盟国の海外における軍事用生物兵器に関する活動(200か所を越す米国の生物研究所が米国の国外において展開されており、その機能は曖昧で透明性に欠けている)はBWCへの順守に関して国際社会に深刻な懸念を生ぜしめていることを両国は強調する。両国はこうした活動はロシアや中国に対して深刻な脅威を引き起こし、それぞれの地域の安全保障に有害であるという立場を共有する。

さらに、ロシアと中国は米国とその同盟国の国内における軍事用生物兵器活動もまた同条約の順守に関して深刻な懸念を引き起こしていることに留意する。

米国とその同盟国がそれらの軍事用生物兵器活動に関して意味のある情報、つまり、国際社会の懸念を軽減してくれる情報は何ら提供してはいないという事実を踏まえて、ロシアと中国の両国は米国とその同盟国は国内や海外において行われている生物兵器活動に関する情報を適切に報告すること、そして、実効性のある検証メカニズムを法的強制力を持ったBWCの議定書の形で交渉を再開することによってBWCの順守を確実にするためにも米国とその同盟国は偏見のない、透明性のある、責任を持った行動をとるよう強く求める。

この文脈においてロシアと中国は、BWC締約国が、とりわけ、海外における軍事用生物兵器活動に関しては報告書の形式を用いた情報の提供を含めて、本条約の下で自信を高めるための手段を改善していくことが重要であることに留意する。両国はこういった宣言は結果として余白を埋め、締約国間の信頼を育むことに繋がるであろうと考える。

また、ロシアと中国はBWC締約国がしっかりした、法的強制力を持った基礎に関して本条約をさらに強化することに向けた合同の取り組みを継続するよう呼びかける。それと同時に、両国は現行の本条約の実行をさらに改善するための補助的な策を支持する。

BWCの制度的な枠組みは、生物兵器が使用された場合、提案されている「移動バイオメディカルチーム」が必要となる支援を提供し、そのような事案を調査し、さまざまな起源を持った大流行との闘いを支援することによってさらに強化されるであろう。この提案は国際的なレベルでの本条約の実行に改善をもたらす新たな試みを代表するものであり、これは平和目的のための集団的安全保障と協力の諸原則を結び付けてくれる。

ロシアと中国はBWCと関連する領域における科学技術の急速な進歩に対してBWC締約国はより強い関心を寄せるよう呼びかける。軍民両用の研究と関連するリスクに関して認識を高める必要があり、それと同時に、平和目的のためのバイオテクノロジー分野における最近の進歩を十分に活用する必要がある。この文脈において、ロシアと中国は本条約と関連する科学技術の進歩を調査し、それに基づいて本条約の締約国に助言を与える「BWC科学諮問委員会」を設置する考えを支持する。

BWCの第9回検討会議においてロシアと中国は本条約を強化し、本条約の実行を無差別的に改善することに役立つような提案を行う用意がある。BWCの枠組みを強化することを確実にするためにも両国は全BWC締約国に対して建設的な取り組みを採択する決意を持つよう呼びかける。

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これで全文の仮訳が終了した。

これは第76回国連総会(2021921日~27日)の第1委員会で中国の代表が述べた内容である。米国とその同盟国は国外に全世界で200か所を越す生物兵器の研究所を持っていることを指摘し、このような生物兵器に関わる活動については透明性のある報告を行い、BWCの枠組みを強化するよう求めた。

新型コロナウィルスの大流行とそれに伴って各国政府が採用した都市閉鎖等の厳しい行動制限を背景として規制をする側の政府と規制を受ける側の一般庶民との関係は悪化し、国によっては反政府抗議行動にまで発展している。また、国際関係に目を転じると、米中関係は新型コロナウィルスの起源を巡って議論の応酬となって、悪化するばかりとなり、すでに情報戦争の観を呈している。このような状況がここに引用した中ロ外相による共同声明に直接・間接的な影響を与え、国連総会の場で全BWC締約国に対して注意を喚起し、協力を求めたものと推測される。

そして、常に秘密裏に置かれる生物兵器はわれわれ一般大衆にとっても不安を助長し、軍産複合体や好戦的な政治家、ジャーナリズム精神をすっかり忘れ、彼らの筋書きを喧伝する大手メディア、等に対する信頼感は低空飛行を続けており、まさに地表に接触しそうである。

因みに、この引用記事と関連する生物兵器についての本ブログでの投稿は下記の通り:

202167日:生物兵器としての新型コロナ  閉ざされた扉の背後からの厳しい質問

202151日:米国は生物兵器による戦争を準備しているのだろうか?

2020318日:米国は生物兵器の研究や生産とその使用では世界的なリーダー


参照:

1Joint Statement: Foreign Ministers of Russia and China: Biological Weapons: By The Saker, Oct/07/2021