2019年9月13日金曜日

金儲け主義が生き残り、人間性の尊重は敗退

私は、20131119日、「文明は資本主義の時代を生きながらえることができるか」と題されたノーム・チョムスキーの論評をこのブログに掲載した。「世界最高の論客」はその論評で環境問題が悪化する中で米国の民主主義と資本主義との組み合わせに深い危機感を述べ、将来を展望した。悲観的な展望である。彼は次のように述べている:

民主主義は近年ズタズタになってしまった。今や、政府に対するコントロール権は収入の尺度で言えばその頂点に集まっているほんの一握りのエリートたちだけに集中しており、「それよりも下にいる大多数の人々は実質的には公民権を剥奪されている。もしわれわれが意味する政治的体制(つまり、民主主義体制)においては政策というものは公衆の意思によって著しく影響されるべきものだと位置づけるならば、現行の政治・経済システムは本来の民主主義からはすっかり逸脱したものとなってしまった。しかも、すっかり寡占化されたものになってしまっている。」

改めて考えて見ると、「文明は資本主義の時代を生きながらえることができるか」というチョムスキーの問いかけの言葉は実に重い。現行の資本主義制度が抱えている問題点の本質を突いた言葉であるからだ。

ここに、「金儲け主義が生き残り、人間性は敗退」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。資本主義が抱えている課題を学んでおこう。

<引用開始>

富の分配を示す最新の数値を見ると、金儲け主義が生きながらえ、人間性の尊重は敗退の途上にある。

 
Photo-1: © REUTERS/Carlos Barria

世界中の主要な宗教と哲学のほとんどの学派が意見の一致を見ることができるのは人間が持つ強欲の危険性と悪魔性についてである。

不幸なことには、何人かの人たちは強欲に関して合意されている基本的な側面を理解することができない。たとえば、ウォルマート帝国の背後にいる家族、ウォルトン家を取り上げてみよう。金融と通貨に関するウェブサイトであるブルームバーグによると、1時間毎に4百万ドルも金持ちになっている。1時間毎だ!毎週とか毎月ではない。その一方で、彼らの労働者には11ドルの微々たる時間給を払っているだけである。 

1時間ごとに4百万ドルもの利益を挙げ、労働者には1時間当たりたったの11ドルを支払うという状況はいったい誰が正当化することができるのであろうか?この地球上にはこれを正当化できる人は誰もいない。心理学的機能の不全者、あるいは、倫理観が完全に欠如した者だけがそのようなシナリオや富のギャップを進歩として捉えることが可能だ。

Read more: Soros & US billionaires call for new wealth tax; public reacts with instinctive skepticism

そう、そう、われわれは前々から人間らしい活動とか、活力、勤勉な仕事振り、起業家精神とかについて耳にしてきた。しかし、これらは単に金儲けや強欲さを正当化する言葉に過ぎない。公衆の面前には大量の言葉が塵芥のように放出され、世界の現実やその中に存在する真理の居場所を覆い隠してしまう。それは人々が働き蜂として骨身を削って働き、些細な給与のために一生を過ごす場所であるのだが、自分たちは自由であるということを本当に信じ込むようにプログラム化されているのだ。

彼らが自由であるとすれば、それは彼らが貧困に陥ることは自由であり、ホームレスになることも、空き腹を抱えることも、それらの苦労に翻弄されることも自由なのである。それ以上のものでもない。

ルトン家の富は今や1,910億ドルに達し、この世界の頂点に立っているが、このような強欲の病に陥った堕落者は彼らだけかというと決してそうではない。菓子業界の巨人、マース家を見たまえ。彼らの富は1,270億ドルだ。膨大な量のマースのチョコレートバー。ワシントンで数多くの政治家に融資を行っている悪名高いコック兄弟はどうか?彼らは現在 1,250億ドルもの財産の山の上に座っている。

ほんの一握りの金持ちが節度を欠くほどに膨大な量の富をかき集めてしまうことを許す社会は腹立たしい程の貧困を夥しい数の市民に強いる社会でもあるという事実を理解するのに経済学の学位なんてまったく必要がない。ましてや、マルクス経済学の理論にどっかりと座り込む必要もない。誰にとっても他人の存在なくしては存在することができない。

今日の米国では貧困の犠牲者は夥しい数に昇る。正確に言うと、約4千万人である。彼らは間違いなく犠牲者である。貧困に関するこのような馬鹿げた話は彼らが自ら招いたものだなんて言わないことにしよう。このような言い草はメディアや政治の領域で影響力のある地位にある超富裕者や彼らのおべっか使いによって絶えることもなく量産されて来たプロパガンダなのだ。

ところで、わたしは超富裕者を刑務所へ送り込めと言っている訳ではない(少なくとも、過剰な程に長い刑期ではない。彼らが自分の考えを真っ直ぐにし、自分自身の人間らしさを介して過酷な労働や再教育にもう一度接することができるだけの時間で十分だ)。私の提案は、むしろ、彼らに課税することだ。つまり、文明とうまく釣り合うような手法による課税であって、公益の観点から彼らの富を再配分することにある。


カール・マルクスはたまたまこれに賛成している(彼のことをご記憶だろうか?)。顎鬚を蓄えた、あの偉大な人物はこう言った。「歴史は公益のために尽力し自己の気品を高めた人物を偉人と称する。もっとも多くの一般市民を幸福にしたとして彼らは称えられるのだ。」 イエス・キリストもこのことを理解していた。彼が両替商を寺院から追い出したのはこれが理由であったのだ。そして、キリストは、マルクスのように、革命家でもあった。読者の皆さんはこの見方には反対だろうか?もしも反対ならば、次のような彼の言葉を考えて欲しい: 

あなたがたいま飢えている人たちは、さいわいだ。満腹するようになるからである

あなたがたいま泣いている人たちは、さいわいだ。笑うようになるからである

しかしあなたがた富んでいる人たちは、わざわいだ。慰めを受けてしまっているからである

あなたがた今満腹している人たちは、わざわいだ。飢えるようになるからである

あなたがた今笑っている人たちは、わざわいだ。悲しみ泣くようになるからである

 
Read more: India’s fugitive billionaire Nirav Modi found in London living lavishly in plain sight

キリストの言葉に耳を傾け、斬新な気分をひととき味わっている中で、この議論に付け加えておきたいことがひとつある。それは初期のキリスト教は当時の共産主義であり、共産主義はわれわれの初期キリスト教であると言う議論だ。キリスト教が現れた当初、あたかも共産主義のようなキリスト教が革命の教義であった。それはローマ帝国という名目の下で数多くの人たちが苦しんでいた深刻な抑圧や貧困と闘うべく現れたものだ。ローマ帝国は人類の進歩というよりも、むしろ、人類の進歩に対する障害と化していたのである。

今日、米国の帝国主義は人類の進歩に対する障害となっている。つまり、米国は強欲や権力、覇権を貪り求める病にすっかり冒されているのだ。

超富裕者のすべてが米国人であるという訳ではない。もちろん、そうではない。ブルームバーグの記事が教えているように、彼らはそれぞれが異なる国籍を持っており、彼らが住む場所は世界中に広がっている。しかしながら、世界を席巻する文化的価値は米国の文化的価値であって、特に、米国の文化的価値こそが超富裕者らの間の価値観となっている。このことに異議を唱える者は果たして居るだろうか?

ところで、共産主義という言葉を言及しただけでも顔を青ざめる人たちに対しては私はお詫びをしたいが、それは消えてしまうこともなく、幽霊として今も残っている。共産主義の考えは、退廃や強欲および人々の金儲け主義と並んで苦難や貧困および人のニーズが存在し続ける限り、消え去ることはないであろう。

哲学者のエリック・フロムは常に物事の本質にまで掘り下げることができる信頼すべき人物である。彼は「金儲け主義は底なしであって、自分のニーズを満たすために無限の努力をさせる。しかしながら、満足感に到達することは決してない」と述べている。次回にウールマートへ行く機会があったら、ウルトン家のことを考えてみて貰いたい。1時間当たりに4百万ドルという金額はかっての価値を持ってはいない。 

著者のプロフィール: ジョン・ワイトは、インデペンデントやモーニングスター、ハフィントンポスト、カウンターパンチ、ロンドンプログレッシブジャーナル、および、フォーリンポリシージャーナルを含めて、多数の新聞やウェブサイトに寄稿している。

注: この記事で述べられている見解や意見はあくまでも著者のものであって、必ずしもRTの見解や意見を代表するものではありません。

<引用終了>

 

これで全文の仮訳が終了した。

ノーム・チョムスキーと引用記事の著者であるジョン・ワイトの両者は同じことを述べている。飽くことなく追及される金銭欲はわれわれの孫の代には環境をすこぶる悪化させてしまうであろうとノーム・チョムスキーは予測し、金儲け主義が優先されるあまりに人間性の尊重は置き去りにされてしまうであろうとジョン・ワイトは言う。

21世紀の西側世界は資本主義の限界に到達したかのようである。そうかと言って、資本主義に変わる新しい経済システムはあるのだろうか。当面は資本主義と民主主義との組み合わせが続くことになろう。

超富裕者の富に課税し、彼らの富の一部を社会に還元するという考えが今米国で提唱されている。しかも提案したのは18人の超富豪たちである。その中にはジョージ・ソロスの名前も見られる。彼らは2020年の大統領選候補者宛にこの提案を公開書簡として送付した(An Open Letter to the 2020 Presidential Candidates: It’s Time to Tax Us More: Jun/24/2019)。

「アメリカには裕福な者に対してさらに課税するための道徳的で倫理的、ならびに、経済的な責任がある」と主張している。さらに、「富裕税は、気候変動への対処や経済の回復、医療制度の改善、公平な機会の創出、そして、民主主義的自由の強化を助けられるかもしれない。富裕税の導入は、我々の社会の利益のためだ」と述べている。

この提案が果たして超富裕者の総意となり得るのかどうかは私にはまったく見当がつかない。

米国の超富裕者の実態を学ぶために、米国税庁が公表した2016年度の連邦税に関する個人納税者のデータを覗いてみよう。その概要は次のような具合だ:

― 納税者総数:140,900,000

― 納税総額:1.4兆ドル(前年比で0.8%減)

― トップ1%の納税総額の全体に占める割合:37.3

― トップ1%の納税総額:1.4兆ドル x 0.373 = 5,222億ドル

― トップ1%の総納税額の割合(37.3%)は下位90%の総納税額(30.5%)よりも多い

― トップ1%の税率は26.9%で、下位50%の税率は3.7

18人の超富裕者が提案した富裕税はトップ1%の1%を対象としている。人数的には14,090人となる。大雑把に言って、富裕税の導入が実現するかどうかはこれら富裕者の半分以上が賛成してくれるかどうかである。導入に反対する富裕者が多ければ、議員を何らかの形で買収し、立法化を阻止するロビー活動のための財源はいくらでも捻出することが可能であろう。

しかしながら、一般大衆の多くは懐疑的であって、この提案を胡散臭い提案として受け止めているようだ。

来年の大統領選でこの提案を新政策として受け入れる候補者が現れるのかどうかが見ものである。

 
 
参照:

1Latest wealth figures: Greed is winning and humanity is losing: By John Wight, Aug/12/2019

 

 

 

2019年9月5日木曜日

ドイツはもはや貴国の典型的な従属国ではないよ


ドイツと米国との間の溝は深くなるばかりである。これはEUと米国との関係についても言えることだ。幸か不幸か、このことは世界中で認識されつつある。
メルケル首相の携帯電話を米国の諜報機関が盗聴したという。しかも、長期にわたって。それだけではなく、数多くの側近らも盗聴された。これは米国防省傘下の国家安全保障局(NSA)がCIAと共に行った行為であった。NSAは遠隔操作で携帯電話に盗聴用のバグをインストールする能力があることで知られている。
米上院の委員会は水曜日(731日)にロシアからドイツへ施設される「ノルドストリーム2」の建設に携わっている企業に経済制裁を課すという法案を通過させた。このパイプラインはヨーロッパに対するモスクワ政府の経済的影響力を強化することになるとトランプ政権は見ている。米上院外交委員会は「ヨーロッパのエネルギー安全保障を防護する法律」を202で可決した。同法はヨーロッパにおけるロシアの影響力に関して何人かの議員が抱く懸念を反映したものであって、法律として成立するには上院と下院を通過し、さらには、トランプ大統領の署名を得る必要がある。(原典:Senate panel backs Nord Stream 2 pipeline sanctions bill: REUTERS, Jul/31/2019
この米国の動きに対して、ドイツは真っ向から対立。ノルドストリーム2の建設は完全に経済的な選択であって、ドイツの内政に米国が首を突っ込む理由はないとして、ドイツは強く反発している。米国が提案するように、米国産の天然ガスを輸入するとすれば、ヨーロッパの需要家は大きなコスト的負担を強いられる。それはヨーロッパにとっては経済上の自殺行為に等しい。
このパイプラインの建設工事は今年中には完了すると言われている。今後数ヵ月で米議会と米大統領がこのドイツに対する経済戦争をどのように進めるのか、それに対してドイツ政府やパイプライン建設事業に参画しているヨーロッパの巨大企業(ロシアのガズプロム、ドイツのウニパ―およびBASF傘下のウィンターシャル、英・オランダのシェル、オーストリアのOMV、フランスのエンジ―)がどう対応するのかが見ものとなる。
日本人の眼から見ると、米国の政治的圧力に抗して闘っているドイツ政府や民間企業の姿勢は実に見事であると言いたい。少なくとも私にはそういった印象が強い。
ここに「ドイツはもはや貴国の典型的な従属国ではないよ」と題された新しい記事がある(注1)。 
本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。

<引用開始>

Photo-1

ベルリンとワシントンとの間の相互関係が低下し始めてすでにかなりの期間が過ぎようとしている事実は否定しようとしても、それ自体は何の意味も無い。その理由を説明することができる理由は数多くあるが、中でもドイツ全域で厚かましい程に広範にわたってワシントン政府が情報収集を行って来た行為には誰もが注視することであろう。米国がドイツの一般市民や著名な政治家について機密情報を収集した事実を伝えた数多くのメディアの英雄的な取り組みの結果、これらの事実は一般大衆にも十分に知られることになった。
2013年、ウィキリークスは米諜報機関がドイツのアンゲラ・メルケル首相や彼女の数多くの支援者らの携帯電話を盗聴した事実をすっぱぬいた。
その1年後、ドイツの安全保障当局は機密書類をCIAに引き渡し、ドイツに被害を与えたとしてドイツ連邦諜報サービス(BND)のオフィサーを逮捕した。
これはベルリン政府がロシアに対して厳しい姿勢を採ろうとするバラク・オバマ政権との間でもめていた頃のことである。両者間の違いは埋めることができず、両政府の関係は「大西洋貿易と投資に関するパートナーシップ」の提案を巡ってさらに悪化した。これは後にドナルド・トランプによって葬り去られた。その頃、中東における米軍の作戦を支援することは止めるとドイツが決断をしたとしても何ら驚くには値しないのではないか、とディ・ヴェルト紙は伝えた。
2017年当時、アンゲラ・メルケルは米国との親密な関係を止める可能性があることを仄めかしていた。 
今年の5月、連邦議会の経済委員会の委員長を務めるクラウス・エルンストは嫌われ者の駐ベルリン米国大使に向けて「ドイツは米国の植民地ではないので、わが国は自国のエネルギー政策に関して人を見下したような態度で述べられたコメントに対しては寛容ではない」ことを告げた。次に、野党の自由民主党(FDP)の副議長であるウルフガング・クビキはリチャード・グレネルが繰り返して試みた干渉はドイツの主権を犯すものであるとして、ヘイコ・マース外務大臣にグレネルをペルソナ・ノン・グラータ(訳注: 好ましくない人物を指す外交用語。国外退去を求められる)であると宣言するよう求めた。
トランプが政権に就いて2年半経った今、米国とドイツとの間には友好関係の形跡さえもないと南ドイツ新聞は言う。同紙の主張によると、ワシントン政府は二度とドイツの国益を保護しようとはしないだろうから、ベルリンにとってはトランプ政権後の行動計画を練ることが喫緊の課題である。
ドイツと米国との二国間関係の将来について疑念を抱く者は、最近になって、ドイツ製品があたかも中国で生産されたかの如くトランプがドイツからの製品にも課税することにえらく熱心であることに気付いた。これらの悪い状況をさらに悪化させたのはトランプは一国が他国と協定を結ぶ際にはその責任を取らなければならないということを十分には理解してはいないことだ。実例としてはトランプ政権が気候変動に関するパリ協定やJCPOAから一方的に離脱したことが挙げられる。 
アンゲラ・メルケルはドイツの軍事費を2024年には国内総生産の1.5パーセントまで増加させ、NATOの目標である2パーセントに近づけるという約束をするに違いないと指摘されていた。しかしながら、これらの約束はワシントン政府がロシア産天然ガスのドイツへの輸入を増加させるパイプラインの建設、つまり、ノルドストリーム2プロジェクについて反対を唱えたり、ドイツの次世代携帯電話のための5Gネットワークから中国のフアウェイ社を排除しようとする動きの前のことであった。ウールストリートジャーナルはもしもドイツが軍事費を減少させるならば、ドイツは米国製航空機を調達したり、同国内に設置されている米核兵器を保守点検することは困難になるであろうと言う。この動きは間断なく悪化し続けてきた大西洋を挟んだ両国の関係にさらなる歪を付け加えることになるであろう。 
トランプの最初の任期が終わりに近づくにつれて、米独間の関係が悪いと評するドイツ人の数は73パーセントにまで増加したとピュー・リサーチ・センターおよびカーバー・ファウンデーションは伝えている。これとほぼ同割合のドイツ人がドイツは米国からは独立した対外政策を追求するべきであると考えている。
この2月、毎年開催されるミュンヘン安全保障会議の前日、ピュー・リサーチ・センターとフリードリッヒ・エベルト・ファウンデーションは何事にも増してドイツ人が恐れているのは米国の影響力が増加する可能性であって、この状況はドイツの安全保障を脅かすものであると彼らは言う。これは最初は奇妙に聞こえるかも知れないが、ドイツの新聞は、ヨーロッパの大部分のメディアのように、トランプは平衡感覚を欠いており、一貫性がなく、新たな戦争を引き起こしたとしてもそのことには気付かないような人物として描いていることをわれわれは記憶に留めておきたい。 
アングロ・サクソンによって何十年間にもわたって洗脳を受け、すっかり平和主義者となったドイツが今後EUの安全保障に関する責任をどのようにして自ら背負い込むのかについて論じることは極めて難しい。これはドイツ国家全体が自分たち自身の理想として身に着けて来た理想とは矛盾するからだ。ドイツをそっとさせておき、巨大な怪物と化した過去の遺産であるNATOを廃絶することに代わって、ワシントン政府はノルドストリーム2のプロジェクトを葬り去ろうとし、NATOのためにドイツがもっと多くの軍事費を計上することを求めている。ドイツが数多くの難題に直面している今、ベルリン政府には著しく大きな欲求不満をもたらしている。ベルリン政府が地政学的にはまだ子供のような状態にあるこの時期に地政学的ゲームのすべての側面が一気に表面化した格好だ。過去の大西洋主義的な精神に憑りつかれたエリートたちも含めて、ドイツは英国のEU離脱がもたらす苦難やトランプのEUに対する弱体化からEUを防護し、ドイツ独自の国益を追求するべきであるという理解が存在する。 
かっては「西側」と呼ばれていた地域には深い亀裂が現れ、ベルリン政府は自国の運命だけではなくEU全体の運命さえをも自からの手に収める勇気を見い出さなければならない。何時の日にかNATOは過去の遺物となるだろうと何度となく言われてきたが、米国の政治家の多くはNATOを温存することに関心を持ち、ドイツが自国の目標を追求することを妨げている。このような状況にあって、メルケルがロシアとの和解を模索していることは決して驚きではない。それは一貫性のない米国大統領と比べれば、より簡単に推察が可能であると思える。 

著者のプロフィール: グレーテ・マウトナーはドイツ出身の独立した研究者であり、かつ、ジャーナリストである。オンラインマガジンの「New Eastern Outlookて独占的に執筆している。  

<引用終了>

これで全文の仮訳が終了した。
日本国内では東京新聞が「米国との決別辞さず」と題した記事を掲載した(94日)。その記事を下記に転載して、この投稿を閉じることにしたい。日本のメディアにもドイツの動きを冷静に理解し、報じようとするジャーナリストがいるのだ。嬉しい発見である。

www.tokyo-np.co.jp/.../CK2019090402000167.html - 
Sep/04/2019
 先進七カ国首脳会議(G7サミット)の際、ドイツのメルケル首相と会談したトランプ米大統領は「すばらしい女性」と持ち上げ、これまで寄りつかなかったドイツを「近いうちに訪問したい」とまで述べた。
 今回の上機嫌ぶりにもかかわらず、ドイツのトランプ氏への不信は消えない。
 ガブリエル前外相は「中国やロシアより米国のほうが問題が多い」と述べた。同趣旨の見方を外交官から直接、聞いたこともある。
 ドイツにとって米国は、民主主義の手本であるとともに、恩人だった。
 西ドイツ時代、マーシャル・プランで戦後復興のための援助を受けた。ソ連が西ベルリンと西独との交通路を遮断したベルリン封鎖では、「大空輸」で生活物資を供給してもらった。西ベルリンを訪れたケネディ米大統領は「私はベルリン市民だ」とドイツ語で連帯を表明し、レーガン米大統領は「壁」の撤去を訴えた。
 それだけに、トランプ氏への失望は大きい。最近のメルケル氏の暗い表情は、選挙での相次ぐ敗北だけが原因ではなさそうだ。
 ドイツはトランプ氏に擦り寄らず、価値観を守る道を選んでいる。人権をないがしろにする差別的な政権をつけ上がらせた結果、どんな災厄がもたらされたか、自国の歴史で身に染みて知っているからだ。米国離れを模索するのは決して愚策ではない。(熊倉逸男)

東京新聞が指摘した重要な側面として「ドイツはトランプ氏に擦り寄らず、価値観を守る道を選んでいる」という記述がある。これは日本の首相が頻繁に口にして来た「米国との価値観の共有」とは異なり、ドイツは「独自の価値観を守る」ことに全精力を注入していることを示す。対米政治姿勢に関して日独間にはこれだけの決定的な違いがある。


参照:
1Germany - Not Your Typical Vassal State Anymore: By Grete Mautner, NEO, Aug/31/2019





2019年8月29日木曜日

米国の資本主義は略奪で成り立っている


私は1983年から2000年までカリフォルニアの片田舎にある子会社で勤務をしていた。この時初めて米国の事をあれこれと具体的に理解するようになった。個人的な見方ではあるが、最初に感銘を受けたことは社会がオープンであるという点であった。実例を挙げると、たまたまカリフォルニア大学サンディエゴ校の図書館へ文献を漁りに行った。カリフォルニア大学の学生でもなく、カリフォルニアあるいはサンディエゴの住民でもない私(当時はまだグリーンカードを持ってはいなかった)でさえも簡単に図書館へ入ることが可能で、書籍を物色することができた。あれこれと文献を探し、コピーをとって帰ってきた。当時、日本では大学の図書館は閉架式が少なくはなかったから、この時の体験は今でも鮮明に記憶に残っている。

数々の発見があって、まさに「ワーオ!」の連続であった。

あの当時以降かなりの年数を経てから、米国社会の本当の姿が見え始めた。それは数多くの代替メディアがインターネットに現れ、大手メディアが報じる内容とは違った見解、つまり、より真実に近い情報を流してくれるようになったことが大きい。その種の情報を得ようとするとそれ以前は書籍が中心であったから、情報を漁ること自体が結構大きな負担となり、素人にとってはハードルが極めて高い作業であった。

それまではまったくの「ノンポリ」であった私が政治に目覚めるきっかけとなったのは「イルミナツィ」の歴史を詳述した本であった。英語の本であったので結構な時間をかけて読んだ。戦争に絡んで、当事国の政府へ財政支援を行うロスチャイルド家を始めとした政商たちの暗躍が歴史を動かし、形成していった。彼らのビジネスは戦争によって膨張した。

そして、最近10年間の私の興味の対象に関して言えば、RTのシュワルナゼ記者がシリアのアサド大統領にインタビューし、その一部始終を報じた記事に遭遇したことが大きなき切っ掛けであった。その記事は「Assad is completely demonized by the press」と題されていた。私はその記事の全文を仮訳し、1年以上前から開始していた「芳ちゃんのブログ」へ「徹底的に悪者扱いされているアサド大統領 — RTによるインタビュー」と題して掲載した(20121112日)。

このインタビュー記事を契機に、私はシリア紛争を継続的に注視し始めた。今やシリア紛争の主役は米国であったと誰でもが気付いているであろうが、当初は、米国は表には現れず、実際の戦闘部隊は「イスラム国」あるいは「ヌスラ・フロント」と称される反政府派の武装勢力であった。特に、大手メディアはこれは「内戦」であると報じていたことから、本当の姿は見えにくかった。つまり、米国の地政学的な意図は巧妙に隠蔽されていたのである。

シリア紛争以前から戦禍が続いていたアフガニスタンやイラクに加えて、シリア紛争は2011年に始まり、2014年にはウクライナでクーデターが起こり、選挙で選出されたウクライナ政府が転覆し、クリミアでは住民投票を通じて圧倒的多数の賛成でウクライナからの分離ならびにロシアへの復帰が決定され、その年の7月にはマレーシア航空MH17便撃墜事件、ウクライナ東部における内戦は膠着状態になり、2016年の米大統領選以降2年余り続いた「ロシアゲート」により米政界は大混乱、2018年には英国ソルズベリーでスクリッパル父娘殺害未遂事件起こり、米国がイラン核合意から脱退し、さらには、中距離ミサイル全廃(INF)条約を破棄、等々。国際政治の舞台ではいくつもの難問が目白押しである。目下、状況の改善は見られず、この新冷戦は悪化の一途を辿っている。

世界の覇権国家であると自他共に認める米国はいったい何を考えているのだろうか?

ここに「米国の資本主義は略奪で成り立っている」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
好むと好まざるとにかかわらず、国際政治は覇権国である米国によって政治的に、経済的に、そして、軍事的に牛耳られている。その現実を少しでも多く学んでおきたいと思う。


<引用開始>

その略奪は悪化するばかりである。

米国の資本主義は略奪で成り立っている。北米大陸の略奪が完了すると、米国の資本主義者は、イルツィン政権下で実際に行ったように、ロシアの富を略奪するためにはロシアの自由主義者や進歩派からの支持を得ることを目的に「大西洋統合主義」を標榜するロシア人を略奪品の中へ注意深く収めて、ロシアを略奪することによって自国を繁栄させようとした。ハーヴァード大学によるロシア中央銀行や経済学会の洗脳によってもたらされた新自由主義経済学を通じてその意図は今でも続いているけれども、プーチンは事実上米国・イスラエルによるロシアに対する強姦を押し止めた。ワシントン政府がロシアのような強力な国家を相手に経済制裁を用いて罰することができる主な理由は洗脳されたロシア人の経済専門家が存在することにある。 

ベネズエラ市民によって支えられている政府をワシントン政府が倒そうとする理由は米国の資本主義が略奪に依存しているからである。シャベス前大統領はベネズエラに改革を標榜する政府を確立し、その路線は後継者のマドーロに引き継がれている。改革派政府はベネズエラの原油資源を国有化した。米国の石油会社に利益をごっそり持ち去られる代わりに、その利益はベネズエラ国内に留保され、識字率を向上させ、貧困率を低減させた。米国の資本主義は収益を自分たちの手に取り戻したいのである。こうして、ワシントン政府は今ベネズエラ政府を攻撃している。

イランについても同様だ。米帝国主義の軛を投げ捨てたのはイラン人であって、しかもそれは徹底していた。彼らは1979年に米国の傀儡であるシャー政権を倒し、米国の軍・安全保障複合体から武器を購入する代わりに原油からの収益はイランの開発のために使った。イランに関するプロパガンダのすべてはイラン原油のコントロールを再度手中に収め、イスラエルによる南レバノンの占領を阻止して来た民警のヒズボラーを支援するイランを崩壊させるための取り組みに他ならない。

ロシアと中国も目標にされている。両国の政府は騙されやすく、米国の手中に陥りやすい。両政府は米国が支援するNGOが自国内で活動することを許し、これらのNGOは公然と両国政府を阻害する売国奴的な活動を行っている。香港における街頭での反政府デモはワシントン政府が支援した動きであって、その目標は中国政府の名声や安定性を阻害することにある。中国政府はどうしてワシントン政府の攻撃目標でいることに甘んじているのだろうかと誰もが不思議に思うに違いない。 

プーチン政権は米国が財政支援を行っている国賊に対しては不思議な程に寛大で、これが最近の暴動や抗議行動をもたらした。ロシアの警察はこれらに対処するしかなかった。ロシア政府は抗議行動の参加者や彼らに資金を提供した米国人を捜査するのではなく、何と公衆の秩序を守るためのロシア警察を捜査した!ロシア政府に対して組織だった攻撃を仕掛ける米国を何とか鎮めたいロシア政府の眼にはロシア警察は「余りにも容赦がない」と映ったのだ。これ程までに混乱した政府の生存率は低いだろう。ロシア国内の事情は、多分、米国のメディアによって報じられているものとは違うのかも知れないが、米国で描写されているその姿はそのまま世界中で受け取られている。これはロシアにとっては決して利点とはならない。

ワシントン政府がプーチンや中国の指導者を弄ぶことができると見ていることには何の驚きもない。

恐らく、ロシアと中国は外国人が暴動を指揮することを許容することによって両国が如何に民主的であるかを何としてでも西側に認めて貰いたいのであろう。米国の国旗を振っている香港の若者たちは米国はほんの一握りの、中国よりもさらに性質の悪い億万長者によって牛耳られていることなんてまったく気が付いてはいないに違いない。

米国政府に何らかの影響を与えることに専念するNGOに対する資金提供については、イスラエルを除けば、米国はいかなる国にも許してはいない。私は米国内で活動を許されているロシア、中国、イラン、あるいは、ベネズエラのNGOなんて見たことがない。パレスチナのNGOがイスラエル国内で活動し、街頭デモや暴動を演出することをイスラエル政府が許容する・・・ こんなことはいったい誰が想像し得るであろうか。米国では、大統領がロシアとの関係を改善しようとしたが、彼は米国をロシアに売り渡す陰謀に関与した「プーチンの回し者」だとして、厳しく批判された。

ロシアには経済を良く理解している経済学者がいる。彼の名前はセルゲイ・グラジエフ。グラジエフはロシアではもっとも有能な経済学者であって、ロシアの経済開発は外国からの借金や資本に依存しなくてもいいことをよく理解している。単純に言って、西側からの借金は、ギリシャで起こったように、ロシアを外国の債権者の手中に陥れるだけであろう。最近の報告によると、グラジエフはプーチンの顧問役から排除された。親米派である大西洋統合主義者がロシアを低迷させ、結局、ロシアはワシントン政府による救済を求めなければならなくなるのではないかとさえ思える。(訳注: モスクワ政府は必ずしも全閣僚が親プーチンで固められている訳ではないと言われている。閣僚の中には親米派の大西洋統合主義者が混じっていると言われ、彼らは親プーチン派ではない。ハーヴァード大学によるロシア中央銀行や経済学会の洗脳によってもたらされた新自由主義経済学が今も続いていると言われる所以である。) 

ロシア、イラン、ベネズエラ、中国を搾取するを機会を待って、当面は、米資本主義は公的な土地に残されている富を略奪しようとしている。それは米国内の国有林であり、国立公園であり、国定記念物であり、野生生物保護地でもある。詳細については下記の資料を読んでいただきたい。

トランプ政権は民間の森林伐採業者の略奪のために国立公園を開放

(原典: Trump Regime Opens US National Forests to Plunder by Private Timber Companies


連邦政府所有地に関する使用規則の変更が提案され、この提案が認められると、アディソン県に入る9万エーカーのグリーン・マウンテン国有林には今まで以上に多くの商業伐採や道路建設、公益事業用地が姿を現すであろう。しかも、環境影響に関する評価や一般大衆からの意見の公募も行われないまま・・・。 

「基本的に、意見の公募は公有地の管理規則からは排除されるだろう」と、バーモント天然資源評議会(VNRC)の森林・野生生物プログラムのディレクターを務めるジェイミー・フィデルは言う。 

問題となっているのは米国森林局(USFS)からの提案で、その提案は国家環境政策法(NEPA)の改正を求めている。この法律は米国の環境政策の基礎となるものだ。USFSが提言する行動については、本法律はUSFSにそれらを最終決断する前に環境影響を評価するよう求めている。

「全面的除外」として分類されるプロジェクトの数やタイプを拡大させることによって、USFSの提案は同法の要件を大きく変えることになる。この分類に入るプロジェクトは環境影響の評価を行うこともなしに承認されるのだ。 

USFSが「全面的除外」として分類するプロジェクトには下記の項目が含まれる:
一回の伐採で最大4,200エーカーの面積における商業伐採。皆伐を含む。

一回の建設で最長5マイルの新たな森林道路の建設。
一回当たり10マイルまでの古い森林道路の補修。
森林中にパイプラインおよびその他の公益施設のために最長で4マイルをブルドーザーで整地する。
レクリエーションを目的とした道路や未舗装道路を閉鎖する。

非合法的に作られた道路や未舗装道路を公式にUSFSの道路システムに加える。

この新規則はほとんどすべてのプロジェクトの決定に際してUSFSが意見の公募を省くことを許すであろう。森林や環境に関連する数多くの団体から入手した推測によると、USFSのプロジェクトの90パーセント以上が意見の公募や環境影響評価を省いてしまうであろう。

USFSはこうすることが必要だと言う。なぜならば、他の事柄も含めて、USFSは未処理の「特別使用許可または更新」の案件をたくさん抱えているからだ。「環境影響の評価や最終決定を待っている案件が数多くあって、それらは7,000の企業と12万人の雇用に影響を及ぼす。」 [注: もしも政府が言うように失業率が3.5パーセントで、完全就業状態であるならば、雇用は必要ではない。] (訳注: 著者は前々から米政府発表の失業率はいかさまであって、真の失業率は20パーセントを超し、そんな低率ではないと主張している。このことを考慮すると、著者の注釈は皮肉を込めた発言である。)

加えるに、最近増加している森林火災への対応はUSFSの財政資源や人的資源をますます浪費する。 [注: 換言すると、地球の温暖化が森林火災に取り組むためのUSFSの予算を使い切ってしまう。]

しかしながら、USFSは何ら言及しようとはしない点がある。議会調査部によると、トランプ政権は2020年の会計年度では、森林火災対応費用での65440満ドルの削減を含めて、USFSの予算を約10億ドル削減することを提示した。

「このNEPAの変更提案はUSFSがそれ自身の予算を削減する中で提言されており、自分たちが行っていることを評価する資源さえにも事欠いている」と、ニューヨークタイムズでサム・エヴァンスが書いている。

エヴァンスは南アパラチアの国有林で仕事をしており、彼はUSFSの提案は「公有地という概念そのものに対する攻撃だ」と主張している。

「もしもUSFSがこれらの変更内容を行使するとすれば、伐採トラックが山道の始点に姿を現し、風光明媚な地点で天然ガスパイプラインのための用地の開発が始まるまでは、国有林へやって来る人たちはいったい何が起こっているのかを知る術はない。」

USFSはこれらの変更は「NEPAの精神と意図によく合致する」と言うが、批判者は最近の提案をもっと大きな流れの中で捉えようとする。

昨年の12月、ジョージ・ワシントンおよびモノンガヒーラ国有林の一部、ならびに、アパラチアン・トレイルを通過して建設される予定であったアトランチック・コースト・パイプラインの認可を無効にした後、第四米国控訴裁判所は国有林管理法とNEPAの両法律を侵害するような許可を与えたUSFSを厳しく非難した。

3人の裁判官で構成されるパネルはUSFSが「国有林の資源を保全する責任を放棄してしまった」との結論を下した。特筆すべき点は「USFSの環境に関わる懸念は、突如、そして、摩訶不思議なことに、民間のパイプライン会社の許可期限に合わせて規則が緩和されたことだ。」 

グリーン・マウンテンにて

ヴァーモント州ではグリーン・マウンテン国有林(GMNF)におけるUSFSのプロジェクトがVNRCを含む数多くの環境防護団体に懸念を与えている。

「かっては、USNFGMNFで大きなプロジェクトに取り掛かる際には(NEPAの規定にしたがって)意見の公募や一般大衆の関与を促すのに十分な余裕や機会があった」と、VNRCの当事者が33日のブログで書いている。「VNRCはこれらの機会に参画し、われわれはGMNFとの協力関係を多いに謳歌して来た。」

しかしながら、2018年の後半から、USFSはプロジェクトに関する意見の公募に制限を加え始めた。その一例は同国有林の南側半分にある15,000エーカーでの同齢林伐採プロジェクトで、もうひとつは9,630エーカーの伐採を行うには新たに何十マイルもの道路の施設が必要となるプロジェクトである。
全てを一緒にすると、VNRCによれば、「USFS84マイルの道路(今後15年間に57マイルの新規ならびに仮設の道路を建設し、26.7マイルの道路を補修する)を建設するが、これらのプロジェクトが与える環境影響に関する意見の公募は行われない。」 

グリーン・マウンテン・ナショナル・フォレストはニューイングランド地域にあるふたつの国有林のひとつである。同国有林は過剰な伐採や森林火災、洪水を防止するために1932年に設立された。GMNF2011年現在821,040エーカーを占め、その半分近くは連邦政府の所有である。
アデイソン県の18パーセント以上がこの国有林圏内にある。

インデペンデント紙(訳注: これは英国のインデペンデント紙ではなく、バーモント州アディソン県にある週に2回発行する地方紙のアディソン・インデペンデントである。念のため)はこの記事に間に合うようにGMNFからのコメントを得ることはできなかった。


意見の公募や環境影響の評価を支援する側はこのNEPAの変更はトランプ政権がUSFSの最近の行動を法文化しようとするものだとして見ている。

そして、彼らの多くは反論している。

ナショナル・オーデュボーン・ソサイエティ―から始まってシエラ・クラブ、ナショナル・パークス・コンサベーション・アソシエーションに至るまで様々な団体が関心を抱く市民に対してこの規則変更の提案についてパブリックコメントを提出するよう求めている。
コメントの提出期限は826日。


「コメントはご自分の懸念を具体的に示すものとし、あなたのコメントをグリーン・マウンテン・ナショナル・フォレストといった特定の国有林に関連付けてください」と725日にVNRCの当事者が書いている。「USFSは同類のコメントをひとまとめにして、ひとつのコメントとして扱うので、ご自分のコメントは出来るだけ特徴のあるものにしてください。」 

USFSのウェブサイトによると、コメントは下記へ提出する: 
オンラインでは 
https://www.regulations.gov/comment?D=FS-2019-0010-0001 (注: この情報はこの記事のプリント・バージョンに基づいて更新した。)
郵便の場合の宛先: c/o Amy Barker, USDA Forest Service, 125 South State St., Ste. 1705, Salt Lake City, UT 84138.
電子メールの宛先: nepa-procedures-revision@fs.fed.us. (注: この情報はこの記事のプリント・バージョンに基づいて更新した。)
Christopher Ross
宛ての電子メールは: christopherr@addisonindependent.com.

<引用終了>


これで全文の仮訳が終了した。

著者のポール・クレイグ・ロバーツは次のように述べている:

恐らく、ロシアと中国は外国人が暴動を指揮することを許容することによって両国が如何に民主的であるかを何としてでも西側に認めて貰いたいのであろう。米国の国旗を振っている香港の若者たちは米国はほんの一握りの、中国よりもさらに性質の悪い億万長者によって牛耳られていることなんてまったく気が付いてはいないに違いない。

米国政府に何らかの影響を与えることに専念するNGOに対する資金提供については、イスラエルを除けば、米国はいかなる国にも許してはいない。私は米国内で活動を許されているロシア、中国、イラン、あるいは、ベネズエラのNGOなんて見たことがない。パレスチナのNGOがイスラエル国内で活動し、街頭デモや暴動を演出することをイスラエル政府が許容する・・・ こんなことはいったい誰が想像し得るであろうか。米国では、大統領がロシアとの関係を改善しようとしたが、彼は米国をロシアに売り渡す陰謀に関与した「プーチンの回し者」だとして、厳しく批判された。

非常に深い洞察であると私は思う。この辺りがこの著者の素晴らしさのひとつではないかと考える次第だ。

もちろん、彼の指摘はこの種の議論では始めてだということではない。歴史を紐解けば、同種の指摘や解説は幾つも見つかることであろう。

ロシアにおけるNGOの現状を調べてみた。ロシアでは、NGO2015年に制定された法律によって制約を受ける。「不適切」と判断されたNGOについては、検察当局はそのNGOの活動に制約をかけることができるし、停止させることもできる。NGOの規則を破って、有罪であると判断された場合、被告は罰金を喰らうか、最高で6年の刑務所暮らしが待っている。

たとえば、モスクワ・タイムズの201971日付けの「Russia Slaps U.S. Think Tank With‘Undesirable’Label After Post-Putin Report」と題された記事によると、米国を基盤とする或るNGOが、最近、ロシア当局によって「不適切」であるとの評価が下された。その理由はプーチン大統領のロシアにおける生活を報じたことであった。このNGO団体はワシントンに本拠を置く「フリー・ロシア・ファウンデーション」と称する組織である。

もちろん、ここに報じられている理由が唯一の理由であったのかどうかについてはこの記事からは判断できない。また、これだけの情報で「不適切」だと判断してしまうのかと息をまくのも余りにもナイーブである。日本でもよく起こることではあるが、当局側には別件逮捕という手法があることを考えると、本人やその団体が関与した今までの歴史を十分に吟味する必要がある。むしろ、表向きの理由よりも本質的に重要な理由が見つかるかも知れない。

フリー・ロシア・ファウンデーションのフェースブックを見ると、彼らの基本目標は政治的、経済的な理由で最近ロシアを離れた人たちに注目し、「プーチン後のロシア」、「プーチン主義のないロシア」のために戦略を開発することにあると述べている。このシンクタンクはプーチンが引退した後のロシアをどう料理するべきかをあれこれと研究しているのである。図らずもロシアゲートでわれわれ素人が学ぶことになった米諜報界や大手メディアならびに民主党左派の連中が喧伝して来た「反ロ思想」や「ロシア嫌い」そのものと非常に近く、同根であることは明らかだ。フリー・ロシア・ファウンデーションはCIAの活動家として相手国へ潜入し、カラー革命を起こすためにさまざまな活動をする工作員を要請し、相手国へ送り込む。上述したように、彼らの理念はこういった工作員が口にしそうな言葉ばかりである。

最近の20年間を見ると、米CIA主導のカラー革命はユーゴスラビア、ジョージア、キルギス、ウクライナと続き、カラー革命の手法を用いた反政府行動は広がるばかりである。もっとも最近の例はベネズエラだ。そして、決まったように、それらの資金源は米国である。外国からのNGOに対するロシアや中国の寛容さは何時の日にか両国に大問題を引き起こすのかも知れないとして著者のポール・クレイグ・ロバーツは懸念を示している。

もしもあなたがロシア国内の治安に責任のあるポストにあって、このような目標を掲げたNGOがロシア国内で活動をしていることを発見したら、当然、そのNGOはロシアにとっては「不適切」であると断定するに違いない。香港で反政府デモを行う若者たちも米国から活動資金を受け、さまざまな訓練を受け、扇動されていることは複数の報道によって報じられている。

NGO活動についてはこのブログでも取り上げたことがある。その詳細については、2014310日に掲載した「ウクライナでのNGO活動 - 芳ちゃんのブログ」と題した投稿をご一覧ください。

言論の自由や表現の自由と国家の安全や治安の維持との間には、洋の東西を問わず、綱引きが起こり、さまざまな形で力比べが行われる。ロシアや中国では何処でバランスを保つのかが今まで以上に難しくなりそうだ。



参照:

1American Capitalism Is Based On PlunderBy Paul Craig Roberts, Aug/19/2019




2019年8月22日木曜日

タルシ・ギャバードの主張は正しい


米国の2020年大統領選挙を目指して、民主党や共和党の大統領候補としての指名を受けるために熾烈な競争がすでに始まっている。たとえば、民主党では、73031日、自動車産業の中心地であるデトロイトで20人の候補者が集まって、第2回目の討論会が開催された。二日間をかけて討論された論点には医療保険制度、刑事司法制度、トランプ政権の追加関税、TPPへの再加盟、等が含まれている。

20人の内で6人は女性である。これらの女性候補者は夫や父親の七光りではなく、自分の専門領域で頭角を現して来た者ばかりであって、その点が特筆に値する。2016年の大統領選では民主党指名のヒラリー・クリントン候補は、良いにつけ悪いにつけ、大統領を務めた夫の存在が見え隠れしていた。しかしながら、2020年の大統領選のために民主党から出馬したこれら6人の女性候補者は皆が、従来とは違って、自分自身の力で現在の地位を確立している。

6人の女性候補者の中にはハワイ州選出の下院議員、タルシ・ギャバードがいる。彼女は独自の政治的見解を持っていることから、今、さまざまな方面から注目を浴びている。

ここに「タルシ・ギャバードの主張は正しい」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。タルシ・ギャバードは上述の民主党候補者による第2回討論会では勝ち組の筆頭であると評されている。そこで、彼女の政治的見解を少しでも学んでおきたいと思う次第だ。


<引用開始>

731日に行われた大統領選の民主党予備選での候補者による討論会の後、ハワイ選出のタルシ・ギャバード下院議員は全候補者の中でもっとも多くのグーグル検索を受け、 彼女の討論会における目立った活躍(カリフォルニア選出のカマラ・ハリス上院議員を犯罪歴に関する討論で勝利したことを含む)が数多くの視聴者の関心を集めたことを示した。と同時に、この急激な関心の高まりは否定的な反応ももたらした。たとえば、ハリスは「アサドの擁護者」(シリアのアサド大統領を指している)と言って、ギャバード一言で片付けた 大手メディアからは、典型的にはCNNのクリス・クオモによって、ギャバードはハワイ出身の国家警備隊の少佐であって、中東で二回の従軍経験を有するが、シリア市民に対して化学兵器を用いたとして責任を問われているアサド大統領については米諜報関係者や国連調査官の見解よりもむしろアサド側についているとして報じられた。

「あなたの引用は私が表明したことについて懐疑的な見方をしており、皮肉そのものである。われわれに対して嘘をつき、米国市民に対して嘘をつき、下院や上院の議員がそれを信じて戦争に賛成票を投じることになった偽りの証拠を示した連中がもたらした戦争に私は従軍した。その戦争の結果、私の兄弟姉妹とも言うべき将兵がこの戦争で4,000人もが命を落とすことになった」と述べて、ギャバードはクオモに反論した。「我が国の軍隊は次の点が確実ではない限り、派兵をするべきではない。つまり、a)米国市民のために最善の策であり、b)その派兵行為が実際に好影響をもたらす。これらの事柄を確実にすることこそがわれわれ議員や指導者の責任である。私が投げかけた疑問点は自分自身が体験したことに基づいている。」 

2003年に遂行されたイラクへの侵攻と占領の前にイラクの大量破壊兵器に関する米政府の捉え方に関して挑戦した当事者として、アサド政権は2017年のカーン・シェイク―ンや2018年のドウマの町を攻撃するために化学兵器を用いたとする主張に関してギャバードが抱いた懐疑心は十分に信頼できるものであると私は考える。

自分のキャンペーン用ウェブサイトでシリアにおける化学兵器の使用に関する主張について、ギャバードは自分が抱く懸念を詳しく述べている。彼女の立ち位置、ならびに、マサチューセッツ工科大学の教授で、カーン・シェイク―ンやドウマでのふたつの出来事に関して批判的評価を出版したセオドーア・ポストルの論文への彼女の依存は、べリングキャットのウェブサイトを創設したエリオット・ヒギンス(彼はポストルの論文とそれに依存するギャバ―トについて反論を掲載)を含めて、大手メディアやその他の分野において多くの者に深い憤りを招いた。

本論考における私の目的はポストルの研究の正確さを精査することやヒギンスの主張に対して反論することではなく、ギャバードのウェブサイトについて事実関係を調べることでもない。むしろ、元海兵隊の諜報関係の将校で兵器調査官を務めた私がここでやりたいことはギャバ―ドが懐疑心を抱くことになった背景に注目することである。

2018年4月7日のドウマにおける化学兵器攻撃に関する主張のほとんどが誤りであったことはすでに暴かれている。つまり、当初は神経ガスのサリンが使用されたという主張が成されたが、これは誤りであったことが示され、シリア軍のヘリコプターから投下されたという2個の塩素ボンベは、実際には、反政府派武装組織によって人手で個々の現場へ持ち込まれたものであるという証拠が現れた。米政府がドウマに関する主張に応えてシリアに対する軍事攻撃を正当化するために行った当初の状況評価は基本的に間違っていたことには疑いの余地がない。また、民主党大統領候補の間ではたった一人ではあるが、ギャバードがその主張の正しさについて懐疑心を表明したことは全うであるという点についても疑いの余地はない。

201744日に起こったカーン・シェイク―ンの出来事はもっと複雑である。この出来事では、化学兵器禁止機関(OPCW)から派遣された調査専門家はカーン・シェイク―ンの市民がサリンに暴露されたことを示す証拠を発見したと報告している。カーン・シェイク―ンの出来事でもっとも中心的な疑問点はサリンが使用されたかどうかということではなく、いったい誰がサリンを用いたのかという点である。米政府およびOPCWは化学兵器攻撃を行ったのはシリア政府であると結論付けた。一方、ポストルやギャバ―ドならびに私はこの結論には懸念を抱いている。

シリア政府の責任を主張するOPCWの調査専門家を含めて、独立した調査専門家でカーン・シェイク―ンの現場を実際に訪れた者は誰一人いない。これは収集されたデータがどのように評価されるのかに対して根源的な影響を与える非常に重要な要素である。攻撃が行われた当時、カーン・シェイク―ンはアルカエダの一派であるヌスラ・フロントに忠誠を誓った反政府派武装勢力のコントロール下にあった。民間の自衛・救護組織であるホワイトヘルメットシリアン・アメリカン・メディカル・ソサイエティ―、つまり、SAMS(シリアの反政府派地域で医療サービスを行うボランティア組織)を含めて、いくつかの非政府系組織が活動していた。ホワイトヘルメットとSAMSの両者はカーン・シェイク―ン地域で仕事をする際にはヌスラ・フロントの庇護の下で活動した。OPCWはその調査活動を行うに当たってはホワイトヘルメットとSAMSの両者に全面的に依存した。化学兵器攻撃に関する情報から始まって、攻撃の被害者に対するインタビューや医学的な試験検査、攻撃現場から採取されたとする物理的なサンプル、等々。

OPCW発行の報告書の信憑性にとってこのような現実はまさに致命的である。私は旧ソ連邦およびイラクで兵器調査官として10年余りを過ごしたが、調査中に収集したサンプルに必要となる「分析過程の管理」を含めて、現場での調査に関する本の出版に協力したことがある。反論を受ける心配もなく、私は次の事柄を断言することができる。つまり、サンプルの収集から最後の分析に至る間に完璧な「分析過程の管理」に欠けている証拠から推論された特性や結論には何らの公正さや法的な拘束力はない。このことはイラクにおける国連大量破壊兵器破棄特別委員会(UNSCOM)、ならびに、シリアで使用されたとする化学兵器を調査した国連派遣団にも当てはまる。あの派遣団は2013819日から930日までシリアで活動した。「受け取った情報について独立して実証することは不可能だ」とか、「サンプルの取得に関して分析過程の管理を検証することができない」として数多くの証拠を拒絶したことが記録に残されている。 

しかしながら、OPCW自分たちの手順を変更し、ホワイトヘルメットとSAMSを証拠となる「分析過程の管理」に招じ入れることを許した。OPCWの調査官は証言者の選定や篩分けといった個々の過程を開始するプロセスには関与してはいないにもかかわらず、彼らを情報を検証する手段として活用したのである。基本的に要求される手法に執着することを怠ったOPCWの行動は彼らの報告内容の信憑性に疑問を抱かせるのに十分である。それ以外の理由がない限り、アルカエダと近しい組織(つまり、ヌスラ・フロント)に実質的に調査そのものを委ねたことになる。その結果、OPCWの結論は挑戦を招くことになったのである。

ポストルとヒギンスはサリンを巡る科学について非常に多くの時間を費やしている。私は、むしろ、カーン・シェイク―ンでの出来事についてはもっと基本的な捉え方を採用したいと思う。つまり、サリンはどのようにして現場へもたらされたのか?OPCW次のように結論付けた。 「中程度の高度あるいは高高度から、つまり、4,00010,000メートルの高度から」投下された「比較的大型の爆弾」がカーン・シェイク―ンで用いられた搬送手段であると考えられる。しかし、この判断は高度な技術的問題を提起する。特に、シリア空軍のSu-22はこの爆弾をOPCWが描写したようには投下することができなかった。もしもシリア政府側がカーン・シェイク―ンで化学兵器爆弾を投下することができなかったとするならば、ヌスラ・フロントやホワイトヘルメットおよびSAMSによって提供された証拠に基づいてOPCWが結論付けた筋書きのすべては作り話であると見なさざるを得ない。

PCWは米国とフランスによって提供されたレーダー地図を引用した。その地図はSu-22機が201744日の朝カーン・シェイク―ンの上空にいたとしている。「Su-22はカフル・ザイタおよび北東にあるカーン・シェイク―ンの近傍にてループ状に旋回飛行をしていた」とOPCW報告書は指摘した。「その地図は戦闘機がカーン・シェイク―ンにもっとも近づいた飛行経路は約5キロメートル程の距離であったことを示している。」  

この情報はシリア政府がOPCWに提出したシリア空軍の日誌の内容にも一致し、44日の朝Su-22機を操縦していたパイロットの証言とも符合する。つまり、通常爆弾を用いてカーン・シェイク―ンの南西約8キロに位置するカフル・ザイタの集落を攻撃していたが、カーン・シェイク―ンにもっとも近づいた距離は79キロであったとパイロットは主張している。

OPCWは氏名が不詳の「兵器専門家」に相談し、「カーン・シェイク―ンを空爆することが可能な二つの条件、つまり、距離と高度」を特定するよう依頼したと言った。その「専門家」は「高度や飛行速度、飛行経路といった変数にもよるが、上述の高度から(カーン・シェイク―ンの)町を空爆することは可能だ」と結論付けた。OPCWはその「専門家」がこの結論を導くのに用いた変数は提示しなかったし、それらの変数が彼らが主張するような結果をもたらし得る事例に関しても何ら言及しなかった。 

OPCWがどうしてそうしなかったのかについては単純な理由がひとつある。その「専門家」は間違っていたのだ。

ロシア空軍のオフィサーが提供した状況説明Su-22機が問題の日の朝カーン・シェイク―ンを空爆したとするOPCWの主張とは真っ向から対立する。Su-22がこの種の攻撃を実行するには攻撃目標を目視で捉え、飛行高度は4,000メートル以下、時速8001,000キロで直接攻撃目標に向かって飛行する必要があると彼は言った。これらの条件に基づいて、爆弾の投下は目標から1,0005,800メートルほど離れた距離で行うことになる。それでもなお、Su-22は爆弾を投下した後に引き返すのにはさらに39キロの距離を必要とする。OPCWが用いたレーダー記録はSu-22機はカーン・シェイク―ンの西側を飛行しており、カーン・シェイク―ンの町とは並行して飛行しいる。その飛行経路はカーン・シェイク―ンへの爆撃を行うのに必要な条件とは相反する。

西側の「専門家」はロシア側が提示した内容は茶番だと述べて、破棄した。私はロシア側の提示内容は信用に値すると考える。Su-22と同様な性能特性を持つ米海兵隊のOA-4スカイホーク軽攻撃機の元搭乗員の一人として言わせてもらうと、私はカーン・シェイク―ンに対する攻撃に匹敵するような空対地攻撃には何回も出撃した。米レーダーが追跡した飛行経路は必要とあらば100回でも飛行することは可能であるが、カーン・シェイク―ンに出来た問題のクレーターの近傍へ爆弾を投下することは不可能である。この論点は、クレーターの基本的な特徴を分析すると、その攻撃の方位角が町の西側を通過するSu22の飛行経路とはほとんど直角を成しており、この事実によっても裏付けされる。爆弾が投下されたとすれば、攻撃機はその飛行経路からは大きく外れた経路を飛行し、引き返してその経路に戻る前に目標地点を飛び越さなければならなかったであろう。しかし、レーダー記録はそのような飛行を示してはいない。(カーン・シェイク―ンの北に位置する攻撃機が飛行した「ループ」は問題のクレーターの位置に爆弾を投下するのに必要な攻撃方位角を可能にはしない。)これはOPCWが直面する問題点の核心である。なぜならばOPCWはカーン・シェイク―ンを攻撃するのにサリンが充填された爆弾が投下されたと主張しているからだ。しかしながら、この爆弾を運ぶ唯一の手段(つまり、シリア空軍のSu-22機)の存在に関してOPCWが提供した証拠は、皮肉にも、彼らの主張に反証している形となっている。

シリア空軍のSu-22機の動向はカーン・シェイク―ンでのサリンの使用にシリア政府が連座するという主張においてはもっとも根幹を成す部分だ。誰にとってもサリンの持続性や別の輸送手段、あるいは、他のほとんど関係のない事柄についてあれこれと議論することは可能だ。しかし、ヌスラ・フロントやホワイトヘルメットおよびSAMSの筋書きが生きながらえるにはカーン・シェイク―ンの中心部へ爆弾を投下するシリア空軍のSu-22がどうしても必要なのである。しかしながら、彼らによって提示された証拠はそのような状況は実際には起こり得なかったことを決定的に示している。この現実に基づいて言えば、この後に続く諸々の行為はすべてが「偽旗作戦」であったと見なさなければならない。ギャバードのウェブサイトが指摘しているように、「これらの攻撃は米国と西側をこの戦争にもっと深く引きずり込むために反政府派武装勢力が仕掛けたものであることを証拠が示している。」

「これらの攻撃はアルカエダあるいはシリア政府の仕業であると結論付ける以前にわれわれは皆が注意深く証拠を精査するべきであると私は考える」とギャバードは自分のウェブサイトで述べている。 彼女が批判的な態度で対処して来たことは立派な行動であるばかりではなく、米軍の最高軍司令官の地位を標榜する戦士には是が非でも期待したい特性でもある。

シリアや化学兵器攻撃についてギャバードが見せた立ち位置に関して大手メディアが彼女を攻撃し続けていることは今日の米国のジャーナリズムが持つハードルが非常に低いことを示している。トランプ大統領ならびに民主党の大統領候補の全員がドウマやカーン・シェイク―ンでいったい何が起こったのかに関して知的好奇心を少しも見せなかったという事実は戦争と平和に若干でも取り組もうとする如何なる米国人に対しても警鐘を鳴らすことであろう。

著者のプロフィール: スコット・リッターは諜報分野で10数年を過ごした。1985年から米海兵隊の地上諜報オフィサーとして働いた。

この記事は最初は「Truthdig」によって出版された。


<引用終了>


これで全文の仮訳が終了した。

この記事の著者はためらうこともなく次のように述べた:
これらの攻撃はアルカエダあるいはシリア政府の仕業であると結論付ける以前にわれわれは皆が注意深く証拠を精査するべきであると私は考える」とギャバードは自分のウェブサイトで述べている。 彼女が批判的な態度で対処して来たことは立派な行動であるばかりではなく、米軍の最高軍司令官の地位を標榜する戦士には是が非でも期待したい特性でもある。

民主党の大統領候補者20人が集まって討論会が開催され、その一部始終を見た市民の多数がギャバードに新たに関心を寄せた。彼女に関するインターネットでの検索が急増した理由が良く分かる。

一方では、民主党の大統領候補としての指名を目指す20人もの政治家エリートが集う政治討論会の結果、知的好奇心を発揮してシリアにおける化学兵器攻撃の実態を理解しようとしたのはたった一人、タルシ・ギャバードだけだったという現実には寒気を覚える。逆説的に言えば、彼らは政治にどっぷりと浸かっている政治家集団であることから、政治的プロパガンダの中枢にいる彼ららしい側面を垣間見せたのだとも言える。

しかしながら、今回、われわれ一般庶民は米国における情報の歪曲、欠如、偽情報といった大手メディアによる洗脳プロセスの成果の一端を改めて具体的に見せつけられたことにもなる。これは米国にとって、さらには、全世界にとって大きな不幸である。

タルシ・ギャバードの見識は他の候補者を圧倒していることが明白だ。彼女の行動や言動には基本的な行動原理がはっきりと見て取れることから、安心感を覚える。来年の大統領選に向けて今後彼女はどう展開して行くのかが見物である。第三回目の討論会は91213日にヒューストンで開催される予定だ。

この「芳ちゃんのブログ」では機会がある毎に核兵器のない世界を作り出すことが次世代に対する究極の贈り物であると私は主張してきた。軍刀をガチャガチャ言わせて相手を威嚇し、言う事を聞かないと政府を転覆させるぞと脅迫し、相手国の資源を略奪する武力に依存した対外政策を米国はもう止めなければならない。言うまでもなく、今日の武力の最たるものは核兵器であり、核兵器の使用・不使用は政治的意思によって決定される。




参照:

1Tulsi Gabbard Gets Some Vindication: By Scott Ritter, Information Clearing House, Aug/16/2019