2021年6月26日土曜日

米国立衛生研究所によると2019年の12月には5州において新型コロナがすでに発生していた

 

新型コロナの起源に関する米国内の見方が最近大きく変わった。今まで1年以上にもわたって研究所漏洩説は「そんな事はあり得ない」、「とんでもない出鱈目だ」として大手メデイアは排斥した来た。自然発生説が1年以上にもわたって主流であった。しかしながら、最近、研究所漏洩説が大っぴらに報じられ、議論されるようになってきた。

ところが、研究所漏洩説へと潮流が変わって、関連情報がたくさん報じられるようになったかと言うと、そいうわけではないとする主張がある。つまり、どっちに転んでも情報統制は間違いなく続いているということのようだ。

たとえば、67日の投稿では私は次のように記した。「情報公開請求の下でノースカロライナ大学がプロパブリカ [注:プロパブリカは非営利団体であって、権力の乱用に関するニュースを報じることを目標としている] に公開した文書によると、201511日から202061日までの間にノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究所では遺伝子操作生物が関与する事故が28回起こり、同大学はこのことをアメリカ国立衛生研究所(NIH)の安全担当者に報告していた。NIHは遺伝子操作生物に関わる研究を監督する。」つまり、武漢研究所における新型コロナウィルスの漏洩について米政府は中国に対して最大級の圧力をかけてはいるが、米政府のお膝元では201511日から202061日までの間にノースカロライナ大学のチャペルヒル校で28回も事故が起こっているが、その詳細は必ずしも公開されてはいない。

[注:ノースカロライナ大学における遺伝子組み換え生物が絡んだ事故について簡単に触れておこう。記録によると、新型コロナウィルスの大流行が起こる前の5年間に同大学では4回の事故で少なくとも6人の研究者が(NIHが今になって確認しているが)研究所で作り出されたSARSコロナウィルスに曝された可能性があって、彼らは医学的監視の下に置かれた。事故例は、たとえば、研究者はコロナウィルスに感染したマウスに(二重に手袋をしてはいるが)指をかまれたというもの。さらには、他の二人の研究者もMERSコロナウィルスに曝された可能性があることから医学的監視下に置かれた。この監視下では体温や如何なる症状に関しても毎日二回大学の医療専門家に報告するよう要請された。]

ここに「米国立衛生研究所によると2019年の12月には5州において新型コロナがすでに発生していた」と題された記事がある(注1)。

何と言ってもこの記事は米国立衛生研究所(NIH)からの報告に関するものである。したがって、この記事が伝える内容は計り知れないほど重い。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有したいと思う。

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イタリアで血液サンプル中の抗体について検査が実施され、それによると新型コロナウィルスの感染は20199月にはすでに起こっていた。これはイタリアで最初の患者が報告された時点よりも6か月も前のことであった。しかしながら、米政府は新型コロナウィルスは2019年末に中国の研究所から漏洩したという説を堅持していた。

この新たな研究結果によると、米国では新型コロナウィルスは最初の感染例が記録された時点よりも数週間も前にすでに広まっていたのだ。つまり、一般的にこの大流行が起こったとされている中国で最初の患者が発見された時点よりも以前のことであったことになる。中国以外の国々でウィルスがそれよりも前にすでに広がっていたことから、この知見は新型コロナウィルスは中国を起源とするという説の信ぴょう性を脅かすことになる。

本研究は米国立衛生研究所の「All of Us」と称せられるプログラムに従事している研究者たちによって行われ、Clinical Infectious Diseasesの誌上で報告された。

本報告書の概略によると、研究者らは202012日から318日までの期間に50州から24,000個以上の血液サンプルを取り寄せ、新型コロナウィルスに対する抗体の有無について調査を行った。ヒトの体は感染と闘うために抗体を産出する。つまり、誰かが自分の血液中に抗体を持っているということはその人は最近どこかの時点ですでにコロナウィルスに感染していたということを意味する。

本研究は米国の5つの州、つまり、イリノイ、マサチュウセッツ、ミシシッピー、ペンシルバニア、ウィスコンシンの諸州で血液サンプル提供者の中で7人が新型コロナウィルスに対する抗体を持っていることを見い出した。3つのサンプルはイリノイ州からのもので、これらは17日に採取された。この時点は124日に最初の患者が確認された時点よりも17日も前のことであった。他の州ではそれぞれ1件あって、ほとんどが各州で最初の患者が報告された時点よりも前のことであったとNIHは報告している。

米国における新型コロナ感染者の最初の事例は2020119日に陽性と診断されたワシントン州の住人であった。それ以降、米国の新型コロナ感染者は3360万人に上り、60万人以上が死亡した。

「本研究は米国における大流行の初期段階に関してより多くの情報を掘り起こしており、新型コロナのような感染症の発生が見せる動力学的な挙動を理解するに当たって縦断調査の実際的な価値を十分に強調してくれている」とAll of UsプログラムのCEOであるジョシュ・デニーがNIHのプレスリリースで述べている。「われわれの研究における参加者は米国中のさまざまな地域社会から参画しており、惜しみなく自分の血液を提供し、幅広い生物医学的な発見をもたらすのに役立ってくれた。これは公衆衛生に関する戦略やそのための準備には不可欠だ。」

Photo-1WHOチームが武漢ウィルス研究所を訪問。資料ファイルから
© REUTERS / THOMAS PETER

しかしながら、研究者らは警告を発している。「われわれのデータは完全なものであるとは言えず、多くの州からのデータは小さく、患者がどのように感染したのかについての情報は欠如しているといった具合で、多くの点で限界を示している。」

この新型コロナウィルスは最初に2019年の末頃中国の武漢で観察され、病院ではいくつかの不可思議な、重度の肺炎を伴う症例が急増していた。2020112日にはこのウィルスは単離され、遺伝子配列が究明された。これは重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすSARS-CoV-1ではないけれども、それと非常に近縁であることが判明した。この新しいウィルスはSARS-CoV-2と名付けられた。

中国の追跡調査は2019年の11月中旬に湖北省で一件の発生を突き止めたが、イタリアでは血液検査の結果2019年の9月にはウィルスがすでに出回っていたことを示唆した。イタリアは急速にヨーロッパにおける流行の震源地となって行ったが、同国で最初の患者が特定されたのは2020221日であった。

WHOは新型コロナの起源を見い出す目的で新型コロナウィルスの抗体を発見したイタリアの科学者にそのサンプルをロッテルダムへ送って、ダブルチェックを行うよう要請した。あり得そうな起源を特定するべく中国の科学者とデータを共有するために、WHOの科学者は2021年の初頭に中国を訪問したが、起源を特定することも、可能性を排除することもできないまま、彼らは答えるよりも多くの質問を抱えて中国を離れた。

WHOの科学者は人がウィルスに感染したのは人畜共通感染であって、これがより確かな経路であると考えていた。つまり、動物から人へとウィルスが飛び移ったという考えだ。だが、最近、あり得そうもないと彼らが考えていた別の経路が米国が北京政府をイデオロギー的にやり込める手段として採用されたのである。すなわち、このウィルスは中国のバイオ研究所の中では最大手の施設である武漢ウィルス研究所から漏洩したという説である。

スプートニクが報道しているように、研究所漏洩説は大流行の初期に右翼の反中国派の評論家によってぶち上げられ、何十万人もの米国人が新型コロナで死亡し、ウィルスの封じ込めに失敗した責任を米政府から他所へ転じるために当時のトランプ大統領によってこの説が取り上げられた。彼らの議論は新型コロナウィルスは人工的な生物兵器であるとする説から中国政府が隠ぺいしようとした自然起源のウィルス・サンプルが漏洩したのだとする説へ移行したが、どちらにしても最終的には中国はこの説を反証するのに必要な資料や情報への適切なアクセスの提供を怠ったという非難に結びついて行くのである。

WHOの科学者はこの議論に対して反論し、武漢では彼らがデータへアクセスすることは禁じられなかったと言い、中国側に要請された情報の開陳はもしも米国自身が同様のレベルの情報の開陳を求められたならば米国はそのような要請を決して受け入れないであろうと述べている。

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これで全文の仮訳が終了した。

新型コロナウィルスの起源はいったい何処か、その起源は中国の武漢ではないかという議論は米中戦争の中でもっとも重要な最前線となって来た。中国との経済戦争では米国が劣勢を強いられていることは誰の目にも明らかである。もしも対中経済戦争では米国は勝てないとするならば、せめてこの情報戦争では米国は優位に立ちたいことであろう。相手を非難する舌戦は激しくなる一方である。

ここで国連の元職員であったアルフレッド・デ・ゼイヤスの意見をご紹介して、この投稿を締めくくることにしよう。デ・ゼイヤスは2012年に国連人権理事会によって国連特別報告者(Independent Expert)に任命されたが、今は退職している。

「米国が要求している独立調査に関して懐疑的にならざるを得ない理由は中国にはいくらでもある。何故かと言うと、米国が望んでいるのは中国を責めるための結論が先にあって、米国はそれに向かって目的論的な調査を行い、その結論に合った証拠を見つけようとする、あるいは、でっち上げようとするからだ。私は国連で40年間にわたってさまざまな調査を行う資格を与えられ、仕事をして来たが、独立調査の要求は、多くの場合、純粋に人類愛に基づいたもの、あるいは、将来の大流行を予防するためのものであるという保証はない。私が見てきたのは標的の国を責めるためのもうひとつの道具でしかないのだ。たとえば、新疆ウイグル自治区におけるウイグル人の人権の場合と同じであって、喧伝されている大量虐殺説には証拠がないのだ。」(原典:US’ Empty Threat to ‚Isolate’ China Over COVID Probe is Attempt to Win Info War, ex-UN Expert Says: By Ekaterina Blinova, Sputnik, June/22/2021, https://sptnkne.ws/G9Kn)

混迷は深まるばかりであるが、今後の展開を注視したい。


参照:

1NIH Study Finds Evidence COVID19 Was Circulating in Five US States in December 2019: By Morgan Artyukhina, Sputnik, June/16/2021, https://sptnkne.ws/G6FJ

 




 

2021年6月20日日曜日

武漢研究所ウィルス漏洩説はイラク戦争の時と同じ顔ぶれのジャーナリストによって推進されている ― 中国が指摘

 

新型コロナの大流行については「自然発生説」から始まって、「作られた流行である」とか、「中国は全世界に対して賠償すべきである」とか、「今回の都市閉鎖よりももっと過酷な新世界秩序が画策されている」といったさまざな意見や憶測が飛び交っている。このような混沌とした現状は、恐らくは、その大部分は演出されたことによってもたらされたものではないかと素人の私は思ってしまう。毎日のわれわれの生活を取り巻いている情報は矛盾が驚くほどに多く、事実とは程遠い曖昧な情報に満ち溢れているのが現実であると言えよう。

イラク戦争の当時を振り返ってみよう。米国はイラクが大量破壊兵器、つまり、核兵器を抱えていると一方的に主張して、米国とその有志連合国は、2003年、イラクへ武力侵攻した。そして、現地で明白に分かったことはイラクには大量破壊兵器はないということであった。イラクに対する戦争を主導した政治家やそれに同調した指導者らにはとてつもない動揺が走ったことであろうと推察する。しかしながら、彼らは何時も言い訳を用意する。歴史を見ると「戦争ではまず真実が犠牲になる」と言われているが、われわれの時間的意識が及ぶ範囲で振り返ってみればその典型はこのイラク侵攻に見られる。

ここに、「武漢研究所ウィルス漏洩説はイラク戦争の時と同じ顔ぶれのジャーナリストによって推進されている ― 中国が指摘」と題された記事がある(注1)。

昨年から今年にかけて全世界を席巻した新型コロナの大流行にもイラク戦争と相似する状況が見て取れる。1年半が経過して、鎮静の兆しが見えてきた今、少しは冷静になって振り返ってみたい。新型コロナの大流行について扇情的な報道を流して来たメディアは、イラク侵攻の際と同様に、またもや、金儲けのために狂乱して来たし、今もそうしているとしか言いようがない。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有したいと思う。

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「・・・ローギンは、ゴードンのように、何年にもわたって中東においてさまざまな流血沙汰をでっち上げて、イスラエルのための戦争を推進して来た。また、彼は武漢研究所漏洩説というバージョンの情報源でもある。彼はワシントンポストのコラムで2020414日にこのでっち上げ記事を書き、これが現在出回っている・・・」 

中国外務省報道官室(ツイッター、202164日)

中国政府職

#武漢研究所からの漏洩という仮説てる人物19年前 #イラクが核兵器の取得を試みたという偽情報をでっち上げた連中と同一人物である。

(中国語による動画、英語字幕付き

中国は危険極まりない反ユダヤ主義に迫りつつある。

RT:

中国外務省は、武漢研究所の職員が感染症に見舞われたという報告の背後にあるのはイラク戦争の際に嘘の報道を推進した連中と同一であると指摘して、新型コロナウィルスが研究所から漏洩したという説に対する関心が故意に高められていることを激しく非難した。

中国外務省の報道官を務める汪 文斌(おう ぶんひん)は、ウオールストリートジャーナル(WSJ)の国家安全保障担当の記者で新型コロナウィルスが研究所から漏洩したとする推測をさらに煽り立てることになった記事の共同執筆者でもあるマイケル・R・ゴードンに狙いを定めた。

「しばらく前、米国人ジャーナリストのマイケル・R・ゴードンは、いわゆる機密であった米諜報界の未公開報告書を引用して、感染症に見舞われた武漢研究所の3人の職員と新型コロナの大流行との間に手が届きそうにもない関係性を仄めかした」と汪報道官は、金曜日(64日)、記者会見で述べた。

2003年の米軍の武力侵攻を引用して、彼(汪報道官)は「19年前、何の証拠もない情報に基づいて、イラクは核兵器を取得しようとしているとでっち上げたのはまさにこの人物であった」と指摘した。

523日に出版されたWSJの記事は「未公開の米諜報界の極秘報告書」を引用し、武漢ウィルス研究所の3人の研究者が201911月に重体となり、新型コロナや季節性インフルエンザと類似した症状を示したと報じている。 

同報告書は他の主要メディアによっても取り上げられ、今までは人工的なウィルスであるとの主張は徹底して叩かれる立場にあったが、最近は、研究所からの漏洩の可能性もあるという立場へと急速に移行し始めた。

ゴードンは多分ユダヤ人ではないだろうが、彼はニューヨークタイムズ紙上でユダヤ人のジュディス・ミラーと共同執筆した。

さらに、私は個人的には「武漢研究所漏洩仮説」の出所としてゴードンを槍玉に挙げる積りはなく、むしろ、ユダヤ人のネオコンであるジョシュ・ローギンを指摘したいと思う。

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ローギンは、ゴードンと同様に、何年にもわたって中東においてさまざまな流血沙汰をでっち上げてイスラエルのための戦争を推進して来た。また、彼は武漢研究所漏洩説というバージョンの情報源でもある。彼はワシントンポストのコラムで2020414日にこのでっち上げ記事を書き、これが現在出回っている。

もちろん、主要点は何処を見回してもネオコンがおり、彼らの多くはユダヤ人であって、彼らはこの武漢研究所の感染症に罹った職員の話を推し進めていることにある。彼らがこの主張の震源地である。つまり、彼らと 法輪功の一員である香港CIAのフェミニストであるリー・メン・ヤン(閆麗夢)だ。

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彼女はこの用語の定義を満たしてはいないが、自分は「内部告発者」であると主張している。この用語は組織内の知識を有する者を指す。通常、これは告発の対象となる組織の従業員または元従業員のことを指すのである。

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彼女を後押ししているメディア各社の何れもがこのことは断言しないままでいるが、彼女は武漢ウィルス研究所で働いていたことをそれとなく示唆した。しかしながら、彼女は同研究所で働いたことはない。例のコロナウィルスは中国製の生物兵器であるという一文を書くために彼女がスティーブ・バノンからの資金を受け取った際、彼女は香港の大学で働いていた。

最近、バノンは不正行為やさまざまな犯罪のせいで中国から亡命して来た億万長者のとの関係を維持している。昨年の6月、バノンはボートに乗っている様子をライブ配信したが、そこでは郭は今や中国の支配者であると宣言した。

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彼らは自由の女神の前でボートに乗り、これから「中国政府を転覆させる」と言い、彼らの新政府を公言する横断幕を持って飛行機で飛び回っている。

いったい何が起こっているのかは誰も理解できなかった。フォックスニュースさえもが例の横断幕やボートに関するライブ配信における「混乱振り」を報道した程である。このライブ配信はそれ以降削除され、「新中国連邦」からは何のニュースも流されてはいない。しかし、この途方もなく不可思議な出来事に関してウィキペディアは記述を残している。

また、郭はフェークニュースのウェブサイト(私はこの言葉をもっとも純粋な意味合いでここに用いている)を運用しており、そのサイトで彼はハンター・バイデンの卑猥な動画を公開した。

大事な点はこうだ。これは非常に不可解な動きであり、タッカー・カールソンがそうしたようにこういった連中を真面目に受け止めることは馬鹿々々しい限りだ。

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(私はこの件でタッカーを責めているわけではなく、彼は全体的に言えば素晴らしいジャーナリストであるのだが、時には、不幸にも判断が甘い。しかし、でっち上げの科学論文を書くためにスティーブ・バノンや彼の「新中国連邦」を標榜するグループから実質的に資金を受け取った香港の女性の肩を持つなんて恥ずべきことである。)

彼女が内部告発者であると装うためには、前もって決められた結論を導くような研究に資金を提供することさえをも真面目な科学であるとして取り繕うことは実に非科学的な振る舞いである。

私が武漢研究所漏洩説を初めて聞いた時、それはネオコン過激派のトム・コットンによって推進されていた。その後は、ネオコン過激派のマイク・ポンぺオに引き継がれ、彼はそれから対中戦争を準備するプロセスに入った。

今、これはCNNのユダヤ人たちによって推進されている。

中国との戦争をすることに何らかの既得権を持っている者を除けば、新型コロナウィルスが中国の研究所からやって来たと主張する者は誰もいない。これはスティーブ・バノンだけではなくこれらのユダヤ人全員のためのものであって、彼らが実際に「中国政府を倒す」(彼の言葉)ことが彼の目標なのである。

対中戦争を標榜する者たちがこのでっち上げ記事を活用していることは実に容易く観察することが可能で、中国がこの件をイラクの大量破壊兵器のでっち上げと関係付けたことは素晴らしいことだ。まったく同類の話だ。

米国はさまざまな問題を抱えている国家である。これらの問題のどれを取り上げてみても、どれひとつとして中国のせいではない。中国は子供たちにゲイ・セックスを推進してはいないし、われわれに向けて何百万人もの黄色人種を送り込んだりしてもいない。われわれの選挙を盗んではいないし、われわれの自由をすべて奪って経済を破壊したというわけでもない。

われわれの敵は米国内にあり、それはユダヤ人だ。恐怖感を煽り、中国を攻撃しようとする試みはどれもが国内で起こっている問題から市民の関心を逸らせるために意図されており、これは戦争を掻き立てようとするものだ。

さらには、この「研究所漏洩」という愚かな言動は新型コロナの大流行というでっち上げを何時までも信じ込ませておくために意図されたものでもある。

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アンドリュー・アングリン著

初出はThe Daily Stormer

The 21st Centuryによって再出版された。

注:この記事で表明されている見解は全面的に著者のものであって、必ずしも21cirの意見を反映するものではありません。

前の記事ファウチの電子メールには興味をそそるような内容は何もない

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これで全文の仮訳が終了した。

他国と戦争を始めるために国民の賛意を得ようとすると、その主張が是か非かは別にして、通常、そこにはメディアによる全面的な協力や支援が必要となる。最近の典型的な例は米国のイラクに対する武力侵攻に見られた。2001911日にニューヨーク他で起こった「同時多発テロ」を受けて、米国は対テロ戦争を宣言した。今思うと、同時多発テロは戦争を引き起こすための道具に過ぎなかった。つまり、自作自演だった。ニューヨーク貿易センタービルで運悪くこの事件に巻き込まれた何千人もの米国人犠牲者たちは結果的に命をささげると言う究極的な愛国心の発露を演じることになった。極めて不幸な出来事であった。

ベトナム戦争においてはメディアは戦争の悲惨さを取材し、米国民の間に厭戦気分を醸成した。そこには米政府に対する批判の姿勢が明確に見られた。しかしながら、湾岸戦争やイラク戦争ではCNNが巡航ミサイルのカメラから送られてくる映像を茶の間のテレビに伝え、ピンポイント爆撃を放映した。こうして、テレビ報道における関心の的は血なまぐさい戦闘からハイテック兵器による精密爆撃へと移行していった。こうして、米国の戦争のスタイルは明確な前線が存在しない戦争へと変化し、今やハイテック兵器依存の戦争にますますのめり込んでいるようである。宣戦布告さえもがない。20201月の始め、米国はイラン軍の重鎮のひとりであるソレイマニ将軍に対してバグダッド空港の郊外でドローンからのミサイル攻撃を行い、彼を暗殺した。多くの戦争行為がゲームの一場面のように捉えられ、ドローンによる無人化が進められ、多くの作戦が遠隔操作によってゲーム感覚で行われるようになった。

これではメディアの特派員の出る幕はない。そんな中で最大の皮肉は、メディアはまたもや戦争を引き起こすことに没頭しているかのように見えることにある。


参照:

1China Notes That the Same Journalist Pushing Wuhan Lab Hoax Pushed Iraq WMD Hoax: By Andrew Anglin,  The 21st Century, Jun/06/2021

 

 



2021年6月15日火曜日

ウクライナよ、ごめん!米国はあんた方を救いには行かない。バイデンがウクライナへ警鐘を鳴らし、数年に及ぶ幻想に終止符

 

バイデン大統領の最近の発言はウクライナの政治家にとってはまさに青天のへきれきであったに違いない。

「ウクライナよ、ごめん!米国はあんた方を救いには行かない。バイデンがウクライナへ警鐘を鳴らし、数年に及ぶ幻想に終止符」と題された記事がつい最近現れたのだ(注1)。

ウクライナでは、2014年、選挙で民主的に選出されていた前大統領が暴力的に政権の座から追い出され、それに代わって米国の傀儡政権が誕生した。このクーデターは「マイダン革命」と称された。あの時から、米国がウクライナを支援する姿勢は誰が見ても明らかであった。米ロ間の新冷戦の中、ロシアの玄関先に位置するウクライナではあからさまなウクライナ支援が展開され、ロシアを敵視する米国の反ロ姿勢は否応もなく西側世界を追従させた。

新冷戦を背景にしたさまざまな出来事が起こり、今も続いている。例を挙げると、上述のマイダン革命(20142月)、それに続くクリミアのロシアへの復帰(20143月)ならびにそれに対する米国やEUによる対ロ経済制裁、マレーシア航空MH-17便のウクライナ上空での撃墜事件(20147月)、前トランプ大統領を貶める「ロシアゲート」と英国MI6元職員がでっち上げた「スティール文書」(20162020年)、英国ソールズベリーにおけるスクリッパル父娘殺害未遂事件とその事件で使用されたとするロシア製の軍用神経麻痺剤「ノビチョク」(20183月)、等々。

ところが、最近、この大きな潮流に劇的な変化が見え始めた。これは歓迎すべきなのか、それとも、危惧するべきなのかについては今の私には分からない。恐らくは、半年もしたならば妥当な評価が下せるのではないか。今、もっとも大きな激震に襲われている国はウクライナであると言えよう。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。

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2014年以降、米国はキエフの指導者を勇気づけて、たとえ何が起ころうとも彼らを支えるものが居ると信じ込ませて来た。今、ノルドストリーム2パイプラインを施設するプロジェクトが完成に近づき、ウクライナ大統領は自分が誤導されて来たことに気付いて、裏切り行為だと悲鳴をあげている。

しばらく前、いくつかのサークルでは「プーチン・リブ」に関するお喋りをすることが人気を集めていた。つまり、それは「ロシアのプーチン大統領は明らかにドンバスの反政府勢力を犠牲にする運命にあり、多くの住民をウクライナ政府の慈悲のもとに委ねることになるのではないか」という憶測であった。しかし、皮肉なことには、このプーチン・リブはついに起こらず、今週キエフ政府が見せた憤怒は、それに代わって劇的な展開を見せ、まったく予期もしてはいなかった「バイデン・リブ」によってキエフ政府が翻弄されていることを如実に示したのである。ジョー・バイデン米大統領はキエフ政府を売り飛ばしてしまった。

バイデンの前任者であるドナルド・トランプはこの国とはさまざまな問題を抱えていた。彼は2016年の大統領選で同国が彼の選挙運動を台無しにしようとしたとして非難した。また、共和党員はトランプの民主党側の大統領候補は腐っていると描写するべく、バイデンの息子であるハンターがウクライナで行ったビジネス行為をやり玉に挙げていた。結果としては、ウクライナ人は一般的にバイデンが新大統領に就任したことを歓迎し、彼は同盟者としてはより信頼できる相手であると見ている。

今週まではそんな具合であった。だが、今は、状況が違う。

RT.COMからの関連記事: Washington says Ukrainian claims Biden offered NATO membership action plan are incorrect, as Kiev backtracks on account of call

過去の23か月、ウクライナのウロディミル・ゼレンスキー大統領はバイデンに会見を迫っていた。彼の言い分はバイデンがプーチンと会談を持つ前に自分との会談を済ませるべきだという点にあった。さもなければ、ロシアと米国の指導者はウクライナの運命のほころびを繕い、その後でキエフに対しては既成事実を見せつけることになるだろうというのが論点であった。米国がウクライナを裏切ってロシアと仲良くなることを未然に防ぐにはゼレンスキーがバイデンの所へ赴くのがいいと彼らは言う。

しかしながら、これはそうはならなかった。月曜日(67日)にゼレンスキーと電話で話して、バイデンは「616日にプーチンとの会談を済ませた後、この夏の終わり頃にはワシントンで彼をもてなす」という提案をした。明らかに、ホワイトハウスはウクライナを喜ばせることよりもロシアとの会談を優先させたのである。これはモスクワ政府は1500発もの核弾頭を所有しており、ウクライナは一発も持ってはいないという現実を見れば、妥当ではないとは決して言えないであろう。何が一番優先順位が高いのかに関しては、世界の安全こそに焦点を合わせることが多いのだ。

ゼレンスキーに対するもうひとつの打撃としては、バイデン政権はノルドストリーム2プロジェクトに対する妨害工作をついに止めることにしたことだ。同プロジェクトはロシアの天然ガスを(ウクライナを経由せずに)直接ドイツへ輸送することを目的としていた。現在、ドイツを除くヨーロッパ諸国へのロシアの天然ガス輸出は多くがウクライナを通過する旧ソ連時代の輸送ラインを経由して行われ、キエフ政府にはウクライナ通過料として年間30億ドルが支払われている。キエフ政府の心配は新海底パイプラインが完成し、天然ガス輸送が開始になると、ロシアはウクライナを経由する天然ガス輸送を中断することが可能となる。そうなると、ウクライナがもっとも必要とする現金収入の道が閉ざされてしまう。

これを理由に、セレンスキーと彼の同盟者たちはアメリカ人にロビー活動を行い、このパイプラインの完成を妨害した。その目的に応じて、トランプ政権は同プロジェクトに関与している企業に対して数多くの制裁を課した。今、バイデン政権は中心的な役割を担っているドイツ企業に対する制裁を解除し、同プロジェクトの完成に向けて実質的なゴーサインを出したのである。

RT.COMからの関連記事: Zelensky accuses America of paying for NS2 pipeline with Ukrainian lives & blasts Biden for not meeting him before Putin summit

これは現実の認識に基づいた措置であると言うわけではない。つまり、ノルドストリーム2は、たとえ米国が如何なる妨害をしたとしても、いずれは完成に漕ぎ着けるであろう。米国にとってはベルリンとの関係を現在以上に悪化させることは何の意味もないのである。一方では裕福で実力があるドイツの善意を見せつけられ、他方では困窮しているウクライナというふたつの選択肢を目の前にして、ワシントン政府が結局どちらを選択することになるかは極めて明らかであった。ひとつだけ驚きを隠せない点があるが、それは非常に長い時間を要したことだ。

追い打ちをかけるようにして、先週、プーチンが「パイプラインの最初の部分が完成した」ことを発表した。このニュースはゼレンスキーに怒りをもたらした。アクシオスのニュース・ウェブサイトとの話で彼はこのプロジェクトに対する制裁を解除するという米国の決断には「非常に困惑」し、「非常に失望」したと言い、苦情を述べたてた。米国が望みさえすれば米国はこのプロジェクトを中断させることができたことについて彼は「肯定的」であったと言った。また、ゼレンスキーは米国が自分たちの決断について彼には何も告げなかったことやホワイトハウスの記者会見からこのニュースでそれを知ったことでたいそう腹を立てたのである。「米国とドイツの二国間関係のためにいったいどれ程多くのウクライナ人の命が犠牲となるのか?」と彼は問いかけた。 

ウクライナ大統領のコメントは彼の途方もなく馬鹿正直な側面を露呈させた。つまり、彼は米国は万能の力を有しており、米国はキエフ政府との関係をモスクワやベルリンとの関係よりも優先させるだろうと本当に信じていた様である。今、彼は国際政治においては、ツキジデスが言ったように「強者はしたいと思うことをし、弱者は苦難を強いられる」という文言を今過酷な形で学びつつあるということだ。

もしもこのエピソードがゼレンスキー政府に警鐘として作用するならば、それはいいことだ。余りにも長い期間にわたって、ウクライナの指導者たちは幻想の中で生きて来たことを示していた。つまり、西側が強力な経済や軍事ならびに外交上の圧力を加えることによって何れはロシアにドンバス地域の反政府勢力に対する支援を諦めさせることになるであろうと。このような将来像こそがキエフ政府に20152月に合意されたミンスクII合意書の下でドンバス地域に和平をもたらすために必要な譲歩をすることには嫌気を感じさせたのである。特に、ドネツクとルガンスクの両州に「特別な地位」を与えるという件に関してだ。その結果、当該事項はウクライナ東部で紛争を引き起こし続ける上では主要な役割を演ずることになった。

RT.COMからの関連記事: Kremlin says Putin & Biden summit 'very, very important', but warns little prospect of a 're-set' & a high chance of disagreement

ゼレンスキーに対して公平を保つとすれば、米国はロシアを降参させるという幻想を勇気づけるのに必要なあらゆる試みを実施してきたこともまた事実である。彼がアクシオスとのインタビューで述べているように、バイデンは彼に米国はノルドストリーム2パイプラインを阻止する準備ができているという「直接のシグナル」を送っていた。これはワシントン政府が、ミンスク合意を無視することも含めて、たとえ何事が起ころうとも、キエフ政府には米国の後ろ盾が居ることをキエフの指導者らに信じ込ませようとして来た米国特有の行動パターンとよく一致する。

その結果、ゼレンスキーが、多分、裏切られたと感じたとしても、それは驚くには値しない。米国政府はウクライナの指導者らを誤導し、米国はウクライナのためには徹底してやると思わせた。外部の観察者にとっては、これは決して称賛できるものではなかった。しかしながら、ウクライナ政治における絶体絶命の世界観においてはこれはまったく別様に見えたことであろう。キエフのバブルは遥か昔に弾けてしまうべきであった。ノルドストリーム2での完敗が引き起こす影響については、逆説的ではあるが、この一週間は、たとえゼレンスキーや彼の支持者が何を考えようとも、ウクライナにとってはむしろいい一週間であったのではないか。

あなたの友人たちも興味を感じているだろうか?この記事を彼らと共有してみたらどうだろうか!

注:この記事に表明されている主張や見解あるいは意見は全面的に著者のものであって、必ずしもRTの見解や意見を代表するものではありません。

著者のプロフィール:ポール・ロビンソンはオタワ大学の教授。彼はロシアやソ連の歴史、軍事史、軍の倫理、等について執筆し、「Irrusianality」と称されるブログ・サイトの著者でもある。

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これで全文の仮訳が終了した。

さて、ウクライナの指導者らにとってはこのような衝撃的なモーニング・コールですっかり目を覚まされた後にこれから彼らを待ち受けているのはジュネーブで16日に開催されるプーチン・バイデン会談がどのような結論をもたらすかである。目が離せない状況が続く。

何でもウクライナにおける世論調査の結果によれば、ウクライナ住民の少なくとも50%はウクライナはNATOへ加盟するべきではないと思っているそうだ。NATOとロシアが本格的な戦争に陥った場合、西側のプロパガンダとは裏腹に、NATOには勝ち目はないと言われている。そうなれば、ロシアとNATOとの戦争では地上戦の最前線のひとつになると思われるウクライナでは途方もなく大きな人的被害を受けることになる。西側メディアの美辞麗句には惑わされず、ウクライナの一般大衆は現実をよく理解しているということなのではないだろうか。


参照:

1Sorry Ukraine, Uncle Sam won’t be riding to your rescue: Biden delivers essential wake-up call to Kiev, ending years of delusion: By Paul Robinson, RT, Jun/09/2021, https://on.rt.com/b9x2