2019年4月29日月曜日

ロシアゲートには三つの目的がある

2016年の米大統領選ではヒラリー・クリントンを下して、ドナルド・トランプが勝利を収めた。しかしながら、民主党が推すヒラリー・クリントンの陣営は自分たちの大失敗を認めるには余りにも自尊心が高く、潔しとはしなかった。この傲慢な心情こそがトランプ大統領がロシアと結託してクリントンを排除したとか、米国の民主主義を破壊したという作り話に繋がって行った。この大騒ぎは米国の政治を2年間以上にわたって機能不全に陥れた。言うまでもなく、「ロシアゲート」以外にも真剣に検討しなければならない喫緊の政治課題は山積していた。

ミュラー特別検察官はトランプ大統領がロシアと結託したのかどうかについて2年も掛けて調査を行い、その調査結果が3月末に公表された。それによると、民主党や軍産複合体ならびに大手メディアの期待を裏切って、トランプ大統領がロシアと結託して2016年の大統領選に介入したという証拠は見い出すことができなかったと報告した。

この一連の動きにはいったい何の目的があったのだろうか?

ここに、「ロシアゲートには三つの目的がある」と題された最近の記事がある(注1)。著者は定評のあるポール・クレイグ・ロバーツだ。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。ややもすれば見落としかねないロシアゲートの隠された目的について少しでも多く学んでおこう。


<引用開始>

ロシアゲートには三つの目的がある。

そのひとつはトランプ大統領がロシアとの関係を正常化することによって巨額な軍事費の予算に影響を与えることがないようにすること、ならびに、軍・安全保障複合体の権力が低下しないようにすることにある。

ふたつ目は、ジェームズ・ハワード・カンストラーの言葉を借りて言えば、公的ならびに政治的関心を全面的にこの作り話に振り向けることによって、「2016年の選挙戦で米政府高官がヒラリー・クリントンと共謀して繰り広げた犯罪行為を隠蔽する」ことにある。

三つ目はトランプの選挙運動を妨害し、たとえ彼が勝利を収めたとしても選挙公約を果たせないようにすることにある。 

トランプあるいはトランプ陣営がロシアと結託して米国の大統領選をまんまと盗み取ったとする主張を支えるような証拠についてはミュラー特別検察官は何も見出すことができなかったにもかかわらず、さらには、トランプが司法を妨害したという証拠も見いだせなかったにもかかわらず、ロシアゲートは上記の三つの目的を果たしてしまった。

トランプはロシアとの敵対的な関係に陥って、今や身動きさえもままならない有様だ。ネオコンの連中はトランプを弄び、白日の下でベネズエラ政府を崩壊させるという見え透いた犯罪行為に踏み切らせることによって、敵対的な対ロ関係をさらに悪化させることに成功した。 

さまざまな種類の重犯罪(訳注:重犯罪とはアメリカでは通例、死刑または1年を超える懲役や禁錮刑を受ける重大犯罪を指す)をもたらしたヒラリーの犯罪行為、ならびに、CIAFBIおよびオバマ政権の司法部門の犯罪行為はロシアゲートという作り話によって見事に覆い隠されてしまった。これらの重犯罪には党利党略のためにでっち上げられた名目に基づいて外国情報活動監視裁判所から入手したスパイ行為の実施に関する認可も含まれている。

トランプを訴追する証拠は見い出すことができなかったにもかかわらず、ミュラー報告書は司法に対する妨害行為があったとする疑惑からトランプを解放することはせずに、その責任のすべてを司法長官に委ねてしまった。換言すると、ミュラーは何の証拠もない中で、バー司法長官に隠蔽の責任を取らせるよう設定することによってこの論争を継続させたのである。

彼自身が調査権を与えられた犯罪については証拠を見いだせなかったと報告書の中で報告しているにもかかわらず、トランプが司法を妨害することが可能であったのかどうかに関してはミュラーは何の説明も加えてはいない。これはとりもなおさずミュラー自身の政治的腐敗を証拠立てるものだ。実際には無かった犯罪に関する調査をいったい誰が妨害することができるというのであろうか?

カンストラーが述べているように、「特別検察官の最大の失敗は、もちろん、司法の妨害があったという主張について結論を下そうとはしなかったことにある。メディアが受け入れ、それを明らかにしようとはしないということは特別検察官が結論を導けなかったことは立件することができないということとまったく同義であり、これはミュラー特別検察官による職責の不履行である。彼は不正直にも報告書の中でその不履行を何か別物であるかのように説明している。ミュラー自身について言えば、多分、これは検察官としては不正な犯罪行為である。」 

ミュラー報告書に見られる不正直さはこれだけというわけではない。ミュラー報告書は軍・安全保障複合体や民主党員ならびにプレスティチュートらによって広められてきたロシアゲートという陰謀論を明確に排除したが、ミュラー報告書はトランプやトランプ政権の高官との共謀ではないものの、ロシアは米国の選挙に干渉したという主張を当り前のことのように見なしている。何の証拠も挙げずに、ミュラーはこの干渉は事実であったかのように報告している。事実、ロシアによる干渉があったのかどうかに関してはこの報告書では何の記述もされてはいないし、本報告書以外でも何処にも見当たらないのである。 

ロシアによる干渉については数多くのプレスティチュートらが際限もなく繰り返して報道したことから、あたかも本当に起こったことであるかのように錯覚させた。こうして、ミュラーは単純にそのように思い込んだ節がある。たとえば、ミュラー報告書はロシア人が民主党全国委員会(DNC)の電子メールに不正侵入をしたと述べている。しかしながら、この主張を支える証拠は何も提示されてはいない。さらには、これは既に知られている証拠とは矛盾する主張だ。ウィリアム・ビニーと彼の専門家グループはDNCの電子メールは、個々のメールが示すタイム・スタンプから判断すると、インターネット経由でダウンロードする場合よりも遥かに高速でダウンロードされていることを示した。しかし、この事実はミュラーや民主党員ならびにプレスティチュートらによって巧妙に無視されたままである。(注:ウィリアム・ビニーによる専門的な指摘に関しては、この「芳ちゃんのブログ」で2017729日に掲載した「元諜報専門家のグループがロシア人によるハッキングに関して疑問を表明」をご一覧ください。)

異論の余地がないこの事実を無視し続けるひとつの理由は彼らは誰もがジュリアン・アサンジを捕まえたいからだ。アサンジに関してはでっち上げが作文され、広く報道されている主張によれば、アサンジは不正侵入によって取得した電子メールを彼に与えたとされるロシア人と共謀したと言う。ロシアが電子メール・サーバーに不正侵入をした証拠はなく、アサンジはロシアは情報源ではなかったと言っていることから、ミュラーの証拠はいったい何であろうか?ミュラーの証拠は、明らかに、DNCのコンピュータに不正侵入したと彼自身が主張するロシア人を相手にミュラーは政治的な理由から彼らを起訴したことだ。あの起訴は何の証拠もないままに進められた。この間違いだらけの起訴はミュラーによって計画され、トランプとプーチンとの間でヘルシンキで行われる首脳会談の前夜に報じられた。明らかに、首脳会談の成功を邪魔するためであった。 

起訴には証拠を提示する必要はない。ミュラーは何の証拠も握ってはいなかった。さらには、ミュラーは、恐らく、コンピュータに不正侵入したとされているロシア諜報当局のエージェントらの個人情報については何も知らなかったに違いない。そもそも、これはミュラーにとっては関心事ではなかったのだ。彼には証拠を揃える必要がないことを彼自身が知っていた。何故ならば、裁判が実際に行われることはないからだ。これらの起訴は単なる政治的なプロパガンダであって、実質は伴わない。

ロシアによる干渉という神話は実に巧妙に構築されており、ロシアゲートの作り話についてはさもなければ非常に注意深くて正確であることが常のグレン・グリーンワルドさえもがロシアによる干渉を事実と見なしている程だ。トランプの支持者の全員とは言わないまでも、彼らの多くは自分たちの代表であるトランプを罠に陥れようとしてロシアを非難するのだが、これは必ずしも成功しない。 

ロシアゲートに関する嘘やでっち上げの政治的目的は完全に明白であるにもかかわらず、トランプの支持者たちさえもがロシアの干渉という嘘に対しては帽子をちょっと持ち上げて敬意を表す始末である。これは自分たちがトランプを過度に支持することに罪悪感を覚えないようにするための行動だ。言葉を換えて言えば、ロシアゲートはトランプの支持者が彼を防護するために何処まで積極的に支持するのか、特に、ロシアとの緊張を和らげる意図がトランプに残っているとすれば、何処まで彼を防護するのかに関して支持者が一線を画すように導き、これにまんまと成功したのだと言える。 

ロシアゲートはロシア人との接触が米国人の心に犯罪という意識を覚えさせることに成功した。こうして、軍・安全保障複合体は自分たちの予算と権力が核大国間の和平の動きによって脅威に曝されることがないようにしたのである。

民主党やプレスティチュートは事実によって悩まされることなんてない。彼らは事実とは関係なしにトランプをやり込めることに取り組んでいるからだ。そして、ミュラーもそうだし、ブレナンもコミーもその通りだ。また、他の数多くの腐敗し切った政治家たちも同様である。

ジャーナリストの不正行為の格好の事例はグレン・グリーンワルドのインターセプトで「ウィリアム・バーはミュラー報告書について皆を誤導した。今や、民主党は彼の辞職を求めている」と書いたジェームズ・ライゼンに見られる。「トランプを吊るし上げろ」と叫ぶ民主党のギャング共を引用して、間違いであることが分かっている彼らの嘘を疑おうともせずに、ライゼンは民主党にミュラー報告書はトランプの罪を証明するものであるとする陳述を展開させようとしている。そして、ライゼン自身は同報告書は民主党を支援するものだと事実を曲げて述べている始末だ。彼はバーのメモと報告書との間には大きな違いがあると言う。バーはこれから公開する報告書について嘘をついていると言わんばかりだ。 

メモと報告書の違いは長さだけの違いである。しかしながら、このことがライゼンが次のようなことを書くことを引き止めるには至らなかった。「結局のところ、司法を邪魔した廉でミュラーがトランプを訴追することには踏み切らなかった中心的な理由は現職の大統領は起訴することができないとする司法省の長年の意向に基づいているとミュラーは報告書で明確に述べている。」 これはトランプを起訴するだけの証拠は見つからなかったと述べた後でミュラーが挿入した文章である。これは起訴しないことのもうひとつの理由であって、必ずしも根本的な理由ではない。そして、ライゼンは、米法務省の政策を除けば、ミュラーはトランプを起訴することができたと主張する民主党のレナート・マリオッティの言葉を用いて自分自身の間違った報告を支えようとしている。ここでもまた、ミュラー自身が犯罪は存在しなかったと結論付けたトランプに関してミュラーがどうやって起訴するのかについてはライゼンからも、マリオッティからも、さらには、他の誰からも何の説明もない。 

ミュラーがロシア諜報機関のエージェントたちを証拠も無しに起訴したように、彼は証拠も無しにトランプを起訴することはできただろうが、証拠も無しに大統領を起訴するなんて明らかに国家に対する反乱を扇動するような行為であることから、検察官はそのような案件を取り上げたいとは決して思わないであろう。

存在しなかった犯罪に関して司法の邪魔をした廉でトランプを起訴したいとする民主党員やプレスティチュートらの主張はトランプに対する嫌悪感がもたらした狂気の程を示すものだ。民主党や米メディア界を動かしている原動力は狂気と嫌悪である。それ以外の何物でもない。

また、ライゼンは実証されてはいないロシア人ハッカーはバーの報告書メモでは見過ごされていると主張している。これは正確ではないばかりではなく、ライゼンはこの調査の目的はトランプが関わったとされるロシアとの共謀で何らかの違法行為があったかどうかを調べることにあり、同調査はそのような行為は無かったと断定した事実をすっかり忘れてしまっている。他のプレスティチュートだけではなくグリーンワルド自身も含めて、彼らと同様に、ライゼンは事実としては認められていないロシア人による不正侵入を真に受けている。ここでも、嘘は長い間繰り返せば、その嘘は真実味を帯びて来るという状況を目にすることができる。グリーンワルドさえもが自分が騙されていることを見抜くことができないでいるのだ。 

ジェームズ・ライゼンは一時は正直なリポーターであった。彼はピュリッツー賞を受賞している。彼はCIAの非合法的な行動について報じた際に司法省から刑務所へぶち込むぞと脅しをかけられたが、自分の情報源を明かすようなことはしなかった。しかし、ライゼンは最近のジャーナリズム界では真理を報告することは罰され、嘘をつくことによって報酬にありつけることを発見した。ライゼンは、他の連中のすべてがそうであるように、自分の収入は真理よりももっと重要であると断定したのだ。

支配者層のために嘘をつくジャーナリストには米憲法修正第1条の必要性はない。恐らく、これがワシントン政府がジュリアン・アサンジを攻撃することに関して彼らは何の関心さえをも示さない理由であって、これは遅かれ早かれ米憲法修正第1条を台無しにしてしまうであろう。彼らはワシントン政府がアサンジを破滅させることに加担している。そうすることによって、真のジャーナリズムを実践する人物がそこに居るという事実が自分たちの自尊心を脅かすことはなくなるのである。

さらには下記を読んで貰いたい: 


プレスティチュートたちは自分たちの嘘がミュラー報告書によって正当化されたと主張している。詳細はこちら:https://on.rt.com/9snj

<引用終了>


これで全文の仮訳が終了した。

著者はこう指摘した。

彼自身が調査権を与えられた犯罪については証拠を見いだせなかったと報告書の中で報告しているにもかかわらず、トランプが司法を妨害することが可能であったのかどうかに関してはミュラーは何の説明も加えてはいない。これはとりもなおさずミュラー自身の政治的腐敗を証拠立てるものだ。実際には無かった犯罪に関する調査をいったい誰が妨害することができるというのであろうか?

特に、実際には無かった犯罪に関する調査をいったい誰が妨害することができるというのであろうか?という指摘は実に秀逸である。ミュラー報告書の不完全さ、あるいは、矛盾をものの見事に突いている。

この記事を読むと、米国の国内政治やメディア界が曝されている混乱振りや節操の無さが手に取るように分かる。

最大の不幸を被るのは米国の一般庶民だ。民主主義国家を代表すると自他共に認めて来た米国がこのような政治的混乱を展開しており、終息する気配も見せない。まったく異常である。米国の良識はいったい何処へ行ってしまったのだろうか?

政治に対する不満は今世界中に広がっているようだ。日本でも同様だ。米国やヨーロッパで起こっている政治の不毛振りを第三者の立場から学び取り、われわれはその教訓を日本の政治に生かさなければならない。

結局、このような状況を解決するにはわれわれ一般庶民全員が選挙権を行使し、満足できない政党には投票をしないことしか選択肢は残されてはいない。もちろん、多くの投票者は投票したい政党があるのかという根本的な課題に直面する。その時は自分の不満の理由を分析し、政治との具体的な関りを考えるしかない。今回投票したい政党がないとしても、次回の選挙では投票したい政党を見つけ出しておきたい。たとえ今の政治が暗黒の暗闇であるとしても、それが永遠に続くことはない。永遠に続けさせてはならない。朝は必ずやって来る。願わくば、政治について十分に覚醒した朝にしたいものである。



参照:

1The Three Purposes of Russiagate: By Paul Craig Roberts, Apr/22/2019






2019年4月21日日曜日

もしもウィキリークスを失うならば、われわれはすべての自由を失う - ピルジャー

ロンドンのエクアドル大使館にて7年間も籠城して来たジュリアン・アサンジがついにロンドン警視庁によって逮捕された。この出来事を受けて、海外特派員、調査報道ジャーナリスト、あるいは、記録映画製作者として素晴らしい活躍をして来たジョン・ピルジャーがこの逮捕劇について強烈な批判を行っている。彼は「もしもウィキリークスを失うならば、われわれはすべての自由を失う」と言った(注1)。もちろん、ピルジャー以外にも数多くの識者が批判を寄せている。

ウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジは何年間もロンドンにあるエクアドル大使館で亡命生活を余儀なくされてきた。アサンジは自分が置かれている状況は「恣意的な拘禁」であるとして国連に訴えていた。国連の人権に関する高等弁務官事務所の「恣意的拘禁に関する作業部会」はアサンジの主張を認める判断を下した。これは2015年の12月のことであった。そして、同作業部会は2016122日に英国とスウェーデンにその意見書を送付した。この作業部会はスウェーデンと英国に対してアサンジ氏の安全と健康を確実にするために彼が置かれている現状を吟味し、彼が自由に行動する権利を行使できるようにし、国際法によって保証されている拘禁時の人権を彼が十分に享受できるようにすることを求めた。また、同作業部会はアサンジの拘禁は終息させるべきであり、彼には補償の権利を与えるべきだとの意見を表明した。

あの時点からもう3年余りが経過した。

国連の国際法に詳しい専門家パネルが上記のような意見を表明していたにもかかわらず、米国に追従する英国とスウェーデンは意に介さなかった。西側の大国は「民主主義」と並んで「法の秩序」が重要な規範であると他国に対して説くのが常であるのだが、自国の行動については都合よく忘れてしまう。今日の国際政治が持つ偽善性が、またもや、恥も外聞もなく一般大衆の眼前で繰り広げられている。

本日はこの記事(注1)を仮訳し、読者の皆さんと共有したいと思う。


<引用開始>


Photo-1: 2019412日、ベルリンの英国大使館の近くでジュリアン・アサンジの逮捕に抗議をするアサンジの支持者たち。©REUTERS / Fabrizio Bensch

·        米国によって押し進められているウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジの訴追は一般大衆の自由に対する悪意に満ちた攻撃であり、これは米国の優位性を何とか維持しようとする老いた大国によって行われているものだ、と英国に本拠を置いて活動するジョン・ピルジャーがRTに語った。 

誰もがアサンジに起ころうとしていることを勘違いしてはならない。彼はワシントン政府が中東で行って来た残虐行為を一般大衆に暴露したことによって米政府に恥をかかせたのだ、と華々しい受賞歴を持ち、英国を拠点にして活躍するジャーナリスト、ジョン・ピルジャーがRTの「Going Underground」の番組で述べている。

「米国はわれわれに深い憤りをもたらした。われわれが今真っ只中に置かれている状況は、こともあろうに、その優位性を維持するために四苦八苦している、世界でももっとも強力な筈の大国によってもたらされたからだ。情報における優位性、最新技術における優位性、文化における優位性、等。これに対してウィキリークスは極めて手厳しいハードルを提示した」と、彼は主張する。

もしもアサンジを失うならば・・・ ところで、アサンジのような人物は多くはいない。多分、片手で数えられる程度であって、誰も彼には匹敵しない。もしもウィキリークスを失うならば、われわれは自由のすべてを失うことになるだろう。そうなったら、われわれは(政府の行動について)疑問を挟むことは止めざるを得ない。

エクアドル政府がアサンジの政治亡命を取り消し、英国警察がアサンジをロンドンのエクアドル大使館から引っ張り出すことを許容したことから、アサンジは木曜日(411日)に英官憲によって逮捕された。ウィキリークスの情報源となったチェルシー・マニングがイラクやアフガニスタンにおける米軍に関する機密情報をリークした際に彼女と共謀したとして米国はアサンジを非難している。

マニングのリークに基づいて成されたウィキリークスによる出版、特に、「巻き添え殺人」と称される動画は「米国の植民地戦争が有する虐殺的な性格」を隠蔽しようとする試みにとっては大打撃となった、とピルジャーは言う。(訳注:「巻き添え殺人」と称される動画はYouTubeにて「Collateral Murder - Wikileaks - Iraq」という表題で掲載されている。https://youtu.be/5rXPrfnU3G0 引き金を引きたがっている米兵の言葉が実に衝撃的だ。人を殺すことに躍起となっているかのようだ。しかも、相手は民間人である。ピルジャーは、下記に示すように、「米国の戦争がどのようなものであるかについてはすべてがあの動画で示されている」と言っているが、この動画を見るとその意味がよく分かる。興味のある方はご一覧ください。)

「米国の戦争がどのようなものであるかについてはすべてがあの動画で示されていたので、あの動画を見た人は誰でもがウィキリークスの暴露以外にはもう何も読む必要はないだろう。ところが、(米国には)われわれはこんなことはしない、われわれは永遠に無害な存在だというある種の合意のようなものが存在する。率直に言って、私は「洗脳」という言葉に代わるもっと優しい言葉を見つけようとしているのだが・・・」と、彼は説明した。

「われわれ」の側では、単純に言って、こんなことは起こらない・・・ 専制主義国家やならず者国家で起こるだけだ。中でも、米国が最大のならず者国家であることは明らかだ。

ウィキリークスに対する攻撃は西側の、あるいは、ジャーナリズムの現状を象徴するものだとピルジャーは言う。西側のジャーナリズムは公衆に代わって政府を監視するという役目を持っているが、それを放棄してしまったのだ。

われわれは全世界が基本的な民主主義を放棄することを手助けしてしまった。意見の相違を主張し、挑戦をすることによって、暴露することによって、説明責任を果たす権力を保持することによって、あるいは権力層に羞恥を感じさせることによってだ。些細な羞恥や奇妙なセレブの羞恥ではなく、これはまさに本物の羞恥だ。ウィキリークスはジャーナリズムが果たさなければならない公衆に対するサービスを提供したのだと彼は述べた


ピルジャーは次のように言った。アサンジは「政治の気まぐれ」によって逮捕され、彼は米国で起訴され、刑務所へぶち込まれる可能性がある。第二次世界大戦から生まれ、世界人権宣言の基礎となった根本原理そのものを衰退させる新たな章が始まっているのかも知れない。これはこれらの根本原理が如何に脆弱であるかを示すものだ。」  

<引用終了>


これで全文の仮訳が終了した。

「ウィキリークスはジャーナリズムが果たさなければならない公衆に対するサービスを提供したのだ」とピルジャーは指摘している。ジャーナリストとしてやるべきことをやって、アサンジは罪に問われているのである。これ以上の皮肉があるだろうか?

民主国家であると自他ともに認められている国の市民が「政治の気まぐれ」によって何年間も拘禁状態に置かれ、その挙句に逮捕されるとしたら、その国の市民にとってはこれ程大きな不幸はない。一国の政治において軍部が発言力を増すと、文民政治家を圧迫し始める。かっての日本はこのような事態を経験した。今の米国では、軍産複合体とそれを後押しする大手メデイアが国内政策や対外政策をブルドーザの如く押しまくっている。国際法なんて存在しないかのような振る舞いだ。法の支配はいったい何処へ行ってしまったのであろうか?言葉の定義からすれば、もはやそのような国は民主国家とは言えない。

テキサス州選出の共和党のロン・ポール元下院議員は、私の個人的な考えでは、米国の政治家の中ではもっともまともな政治家のひとりである。つまり、われわれ一般庶民の常識や倫理観、あるいは、伝統的な価値観にもっとも近い。彼はジュリアン・アサンジの逮捕について次のように述べている(注2)。

ウィキリークスの出版者であるジュリアン・アサンジが先週英国の官憲によって逮捕された。この英国の行動は米国からの強制送還の要請に基づくものだ。この一連の動きはわれわれすべてに対する攻撃であるとも言える。これは米国憲法に対する攻撃である。これは出版の自由に対する攻撃である。これは言論の自由に対する攻撃である。これはわれわれの政府がわれわれの名前を借りてわれわれが収めた税金を何のために使っているのかをわれわれが知ろうとする権利に対する攻撃でもある。ジュリアン・アサンジはハンガリーのミンドセンティ枢機卿または南アのネルソン・マンデラがそうであったようにあらゆる点で政治犯であると言える。

二人の著名な言論人や政治家の言を総合すると、アサンジはまさに「政治の気まぐれ」に翻弄されているということだ。われわれはこの点を明確に認識しておかなければならない。




参照:

1If we lose WikiLeaks, we lose a whole stratum of freedom – Pilger: By RT, Apr/13/2019, https://on.rt.com/9s60

2Julian Assange: Political Prisoner: By Ron Paul, Information Clearing House, Apr/16/2019








2019年4月15日月曜日

危険なプラスチックがわれわれの世代だけではなく次世代にも脅威を与える

プラスチックによる大洋の汚染が急速に進んでいる。そして、大洋だけではなく、河川や湖もまた同様である。

昨年10月の報道によると、ミクロン単位の微小なプラスチックの破片はすでに人の体内に到達していることが確認されている(注1)。その報告は次のような内容だ。

【ウィーン発、20181023日】 ポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)、その他のプラスチックがマイクロプラスチックの形で人の食物の中に観察されている。これらのプラスチックは人の便の中に確認されたとウィーンで開催された「第26回欧州消化器病週間」(26th UEG Week)で研究結果が発表された。

ウィーン医科大学およびオーストリア環境局からの研究者らは世界各国からの参加者から成るグループについて調査を行った。これらの人たちはフィンランド、イタリア、日本、オランダ、ポーランド、英国およびオーストリアからの参加だ。その結果、便のサンプルは何れもがマイクロプラスチックを含んでおり、もっとも多く含むサンプルは9種類ものプラスチックを含んでいた。

大きなプラスチック材料から風化作用や品質の劣化、摩耗、破れ、等によって非意図的に小片が生成される。これらの破片も含めて、マイクロプラスチックとは大きさが5ミリ以下のプラスチックの小片を指す。本来、これらのプラスチックはさまざまな具体的な用途に用いられて来た。マイクロプラスチックは消化管を介して人の健康に影響を与える。つまり、消化管内で生物濃縮され、有毒な化学物質や病原性物質が移入されるので、消化管の許容性や免疫反応に影響を与えかねない。

この予備研究の実施に当たっては世界中から8人の参加者を募った。各参加者は、便のサンプルの採取に先立つ一週間、摂取した食物について毎日記録した。これらの日誌が示すところによれば、参加者は全員がプラスチックで包装された食品を食べ、プラスチック容器に入った飲み物を飲むことによってプラスチックに暴露されたことが明白であった。参加者たちは全員が菜食主義者ではなく、彼らの内で6人は海洋産の魚を消費した。

便のサンプルはオーストリア環境局が新たに開発された分析手法を用いて10種類のプラスチックに関して試験を行った。その結果、9種類のプラスチックが確認され、プラスチック片の大きさは50ミクロンから500ミクロンであった。もっとも頻繁に観察されたのはPPPETである。平均的に言うと、10グラムの便に20個ものマイクロプラスチック片が確認された。

これらの研究者たちを指導するフィリップ・シュワブル博士は第26回欧州消化器病週間で発表し、次のようにコメントした。「これはこの種の研究分野では初めての試みであって、長い間そうではないかと疑って来たことを確認することが可能となった。特に懸念されることはわれわれにとってこれがいったい何を意味するのかという点である。特に、消化器病の患者にとってはいったい何を意味するのかだ。動物の研究によるとプラスチックの濃度がもっとも高いのは消化管であり、もっとも微小なマイクロプラスチックは血流やリンパ液系に入り込み、肝臓に達する可能性がある。マイクロプラスチックが人の体内で発見されたという最初の証拠を手にした今、人の健康にとってこれがいったい何を意味するのかについて詳細に研究する必要がある。」

世界中で行われているプラスチックの製造は1950年代から急増し、今も毎年増え続けている。プラスチックにはさまざまな実用的な特性が与えられ、プラスチックは日常生活の中に広がり、人々はさまざまな形でプラスチックに暴露されている。推算によると、製造されたプラスチックの25パーセントは汚染源となって、最終的に海に到達する。大洋に達したプラスチックは海洋の動物によって消費され、食物連鎖に組み込まれる。そして、最終的に人によって消費される。たとえば、マグロやイセエビ、エビでは著しい量のマイクロプラスチックが検知されている。さらに先へ行くと、食品を加工するさまざまな過程で包装が施される結果、これらの食品はさらにプラスチックで汚染される。

上記の報道によって、プラスチックによる汚染はこれほどまでに深刻なのかと今さらながら思い知らされる。海岸に押し寄せる汚染物の写真は大きなプラスチックごみの実態を具体的に伝えてくれるが、マイクロプラスチックについては容易に見落としてしまう。要注意である。

ここに、「危険なプラスチックがわれわれの世代だけではなく次世代にも脅威を与える」と題された最新の記事がある(注2)。

本日はこの記事(注2)を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。

<引用開始>

Photo-1


誰もが毎日何を食べるのかを決める。ある時は緑黄色野菜や果物を選択し、また、ある時にはベーコンの香りが無性に欲しくなる。結局は、誰もが自分の健康を管理しようとする。いったい何が注目に値するのかと言うと、それは今日食べた何かが将来生まれてくる子孫、つまり、子供や孫、ひ孫に至るまで影響を与えるかも知れないという懸念だ。新たな研究によると、ある種の特定の化学物質は世代を超えてわれわれに影響を及ぼす。われわれが今回心配する対象はベイコンではなく、プラスチックについてであり、プラスチックに含まれる毒物についてである。 

20年前、ワシントン州立大学の研究者らが今やすっかり悪者と化したビスフェノールABPA)がプラスチック製の籠から溶出し、その中で飼育されているマイスに害を与えていることを偶然にも発見した。この汚染はマイスの卵に異常を引き起こし、繁殖に影響を与えることが判明した。その後、数多くの研究が実施され、BPAへの暴露は、サルや魚類ならびに人間を含めて、横断的に数多くの生物種の繁殖や健康に影響を与えることが分かった。ラットでは精子の減少をもたらし、女性には乳癌を引き起こすことが明らかとなり、2012年に乳児用のボトルや蓋付きカップにおけるBPAの使用はFDAによって禁止された。しかしながら、BPAは数多くの製品で依然として用いられている。たとえば、缶詰の内表面のコーティングに用いられるエポキシ樹脂。2,517人を対象にして2004年に実施された研究によると、93パーセントもの人たちの尿が検出可能な量のBPA代謝物質を含んでいた。

BPAの毒性が判明してから、それに代わって使用する何種類かの代替ビスフェノールが化学会社によって市場に供給され、それらが今広く用いられている。BPAの毒性が発見された時点から20年後、上述のワシントン州立大学の研究室が、またもや、マウスに何か不思議なことが起こっていることに気付いた。マウスは籠の中で飼育されるが、今回はその籠は代替ビスフェノールで製造されたものであって、BPAに関してはより安全であると広く受け止められていた。その後、研究者らは、BPAも含めて、代替用として広く使用されている代替ビスフェノールについて数種類を選び出して、比較研究を行った。

その結果、新しいビスフェノールはBPAと同様な挙動を示し、健康問題を引き起こすことが判明した。雄についても、雌についても有害な影響をもたらすのである。これらの研究結果は2018年の9月に「Cell Biology誌で発表された。科学者のセイラ―・ハントは次のように説明している。「本稿はわれわれの研究室で起こった、不思議ではあるが既に見たことがある出来事についての報告だ。」 かってBPAについて発見されたことがそのままこれらの代替物質でも起こることが確認されたのである。恐らく、もっとも心配を呼ぶ側面は毒性物質が長期間にわたって影響を及ぼすという点であろう。たとえ全種類のビスフェノールを今日奇跡的に排除することができたとしても、依然として、すでに暴露された人の生殖細胞系を介して将来の3世代にわたってこの毒性は継続する。これは今日体内に取り込まれたビスフェノールはひ孫の世代の生殖能力にさえも影響を与えるということを意味する。

このビスフェノールのケースはFDAによる禁止は必ずしも根本的な問題解決にはならないことを示している。化学会社は禁止された化学品と同様な代替化学品を市場に送り出すことが多い。何故かと言うと、この手法は市場へ少しでも早く製品を送り出すにはもっとも容易な近道であるからだ。しかし、化学品を市場に送り出す前にもっと多くの試験を実施する必要がある。数世代にまたがって引き起こされる不妊症や癌のリスクといった長期間に及ぶ影響は、多くの場合、臨床試験ではそう簡単に見極めることはできず、上市の前に環境影響を徹底的に検証することはほとんど不可能である。

また、ワシントン州立大学の研究では、損傷を受けた籠からはより多くの毒性物質が放出されたことから、損傷を受けた、あるいは、加熱されたプラスチックはより以上に有害であることが分かった。この情報は家族のためにプラスチック製の容器に食品を入れてマイクロウェーブで加熱する人たちに対する警告として提供するべきであろう。さらには、捨てられたプラスチック製ボトルは大洋や河川で劣化し、元へ戻すことはできない不妊症を引き起こすことを念頭に置かなければならない。

大洋に廃棄されたプラスチックの量を推算すると、約1億5千万トンとなる。スタンフォード大学の「Center for Ocean Solutions」にて共同ディレクターを務めるジム・リープによると、2050年までにその量は「魚類の全重量」を上回るであろうと言う。最近の研究はマイクロプラスチックが英国の川や湖のすべてにおいて観察されることを突き止めた。ワシントンDCの環境保護庁からニューヨークのトランプ・グリルに至るまでマイクロプラスチックは何処ででも飲料水中で検出される。五大陸から集めた159個の飲料水サンプルについて実施された調査によると、全サンプルの83パーセントが汚染されていた。プラスチックは至る場所で検出されるのである。地球上でもっとも高い山の頂上から深海や極地に至るまで・・・ 長さが50ナノメートル(訳注:1ナノメートルは1ミクロンの千分の一の長さ)未満のナノプラスチックがプランクトンの体内で発見されている。プランクトンは魚に捕食され、人は魚を食べる。


プラスチックは海洋性哺乳類の生殖機能を損なうことが確認されている。PCBやビスフェノールABPA)を含めて、プラスチックの多くは内分泌をかく乱する。つまり、哺乳類のホルモン系に影響を与えるのだ。「ルル」と名付けられている大人のシャチは、研究者らが最近発見したことによると、あたかも未成年のままであって、子供を産めない。分析の結果、彼女の脂質組織には高レベルのPCBが蓄積されていることが分かった。スコットランド沿岸に生息するシャチの小グループは25年間一頭の子供さえも産んだことがない。

PCB30年前に使用が禁止となったにもかかわらず、毒性物質はシャチの母親のミルクに含有され、母親から子供へと引き継がれる。サイエンス誌に発表された最近の研究によると、シャチの全世界における頭数はPCBの毒性によって数十年内に半減すると予測されている。ヨーロッパではPCBの使用が禁止されたにもかかわらず、PCBの汚染レベルは低下してはいないと研究者らが報告している。これは廃棄物の埋設場所からの漏出によるものであるかも知れないとの指摘がある。ホルモンかく乱物質は雄の蛙の生殖能力を損なうことが分かっており、オタマジャクシは睾丸よりもむしろ卵巣をより頻繁に発達させる。同様の問題が魚においても観察されている。内分泌かく乱作用を有する化学品がもたらす生殖能力のリスクは生物種の種類を超えて広範囲で見られる。ビスフェノールAは精子数を減少せしめ、多くの生物種に癌を引き起こすことが知られている。研究者らが最近発見した事実によると、代替プラスチック(いくつかの例を挙げると、BPS, BPF, BPAF, BPZ, BPP, BHPF、等)がより安全であるというわけではない。これらの汚染物質がすでに人に影響を与えているのかどうかについてはまだ推測の域を出ないが、プラスチックが大量に使用され始めた1960年代以降の統計数値を調べ、時間の経過と共に何らかの趨勢が顕著に現れているかどうかを確認することが賢明であろう。

事実、何かがあったと判断される。特に、2017年の研究によると、1973年から2011年の間にミリリッター当たりの精子数が50パーセント以上も減少し、総精子数は約60パーセントも低下している。他のふたつの研究によると、米国やヨーロッパにおいてはこの2030年間に精子数と運動性が明らかに低下している。

国連環境総会(UNEA)はプラスチック汚染に注意を向けるために法的な拘束について 最近提案した。提案された条約の目的は2025年までに単独目的で使用されるプラスチックの使用を2025年までに段階的に禁止するとしている。ノルウェーも海洋のプラスチック汚染に対処する世界的合意を提案した。悲しいことには、米国はこの提案された条約や廃棄物処理に関する国際計画にもっとも頑固に反論している。

当面、法的な拘束力を伴わない合意が成され、米国は「実質的な低減」という文言を緩め、2030年までとして、今から11年も先に延ばした。トランプ政権の代表はあらゆる目標や実施期限を排除しようとしていると国連への代表のひとりが述べている

ところで、米国は何年にもわたって大量のプラスチックを輸出しており、歴史的には中国向けがほとんどである。前年には70パーセントが中国と香港向けに輸出されたものであるが、2018年に中国はプラスチック廃棄物の輸入を禁じた。この禁輸以降、米国は海外でプラスチックを廃棄するために貧困国家を物色し始めている。 グリーンピースの調査グループによると、2018年の上半期には米国のプラスチック廃棄物の半分がタイとかマレーシア、ベトナムといった発展途上国に向けて送り出された。タイ向けの米国のプラスチック廃棄物の輸出は今年約2,000パーセントも増加した。

発展途上国のほとんどはプラスチック廃棄物を適切にリサイクルするのに十分なインフラ設備を所有しているわけではない。2018年の地球の日に、海洋への不適切なプラスチック投棄が廃棄物のトン数でランク付けされた。トップの中国を先頭にして、インドネシア、フィリピン、ベトナム、スリランカ、タイと続く。フィリピンの一地域がそうであるように、ある場合にはリサイクリングは人手で行われる。大量の廃棄物の中からボトルを拾い上げるのである。この作業は困難であって、時間がかかることから、大量のボトルは海洋や河川へと向かう。驚くには値しないかも知れないが、悲しいことには、フィリピンのパシグ川は約72,000トンものプラスチックを下流に向けて流し、この川は1990年以降「生物学的には死の川」と称されている。これらの国々に対してリサイクリング用インフラの整備について支援を行うのではなく、われわれはより多くの有害な廃棄物を送り届けているのである。

プラスチック廃棄物を海外に輸出することによって難題の解決を先送りすることができると考えるのかも知れないが、プラスチック廃棄物はハワイやカリフォルニアの海岸に打ち上げられる。海岸を散策する人たちは海岸に打ち上げられたプラスチックのゴミの山を目撃することができる。あるいは、死んだクジラの胃からもそれらを発見することだろう。でも、汚染の全貌については誰も気付かないかも知れない。次回食べるツナサンドイッチに含まれているマイクロプラスチックにはまったく気付かないであろう。東海岸では、ある者はニューヨークのトランプ・グリルのコップ一杯の水の中に存在するマイクロプラスチックに遭遇する。結局のところ、世界にはひとつの「流し」しかないのだ。流しの反対側に投棄された有害物質はしばらくの間その用を果たすかも知れないが、時間の経過と共に、やがては自分たちの海岸に打ち上げられる。そして、われわれの中の誰かが癌を発症した時、われわれはその原因を本当に理解することが果たしてできるのであろうか?

われわれと同じ哺乳類であるが、もはや卵を生成することができなくなった「ルル」という名のシャチのことを覚えておくことは極めて教訓的である。もしも精子数が今の割合で減少し続けると、これらのシャチは子供を持つことが非常に難しいレベルに到達する。その時点までには世界中の水の供給源は不可逆的に汚染されてしまい、拘束力のある条約の実践は余りにも遅すぎたという事態を招くことであろう。

法的に拘束力を持った条約を先送りすることはわれわれ人間もその半数の絶滅が避けられないような状況に直面している世界中のシャチが歩んで来た道をそのまま辿ることを意味する。さらには、「ターレクアー」という名前のシャチの悲劇を忘れることはできない。彼女は、昨年の夏、死んだシャチの子供17日間も連れ添っていた。記録的な日数である。実に、1000マイルもの移動距離を喪に服していたのだ。

11年も待つなんて、遅きに失するかも知れない。

著者のプロフィール: ミーナ・ミリアム・ヤストはイリノイ州シカゴに本拠を置く弁護士。ヴァッサル・カレッジおよびケース・ウェスターン・リザーブ大学法学部にて教育を受け、彼女はMigratory Insect Treaty」の草案ならびにコメントをケース・ウェスターン・リザーブの国際法ジャーナル上で発表した。

この記事の原典は「Common Dreams」。
Copyright © Meena Miriam Yust, Common Dreams, 2019

<引用終了>

これで全文の仮訳が終了した。

衝撃的な記事である。

願わくば、読者の皆さんの一人一人が周囲の人たちに向けて本情報を積極的に拡散して欲しいと思う。われわれは無知のまま長い時間を無為に過ごしてしまったようだ。ルルやターレクアーのことを思うと、万全を期す価値は十二分にあると言えるだろう。この間違いを挽回することができるのかどうかは必ずしも分からないが、挽回することが可能だと考えたい。

参照: 

1Microplastics discovered in human stools across the globe in 'first study of its kind': By EUREKA ALART – AAAS (American Association for the Advancement of Science), Oct/22/2018

2Dangerous Plastics Are a Threat to Us and Future Generations - Why a legally binding treaty cannot be postponed: By Meena Miriam Yust, Global Research, Apr/05/2019; Common Dreams, Apr/04/2019



2019年4月9日火曜日

米覇権の衰退と日本の選択

日本を取り巻く国際環境は大きく変わろうとしている。米国の覇権に追従しようとする現状維持だけでは米国の衰退がすでに始まっている国際秩序の変化に日本は対応しきれないだろうと私は思う。

米国社会の衰亡を予言したソルジェニーツィン:

40年前、世界は東西冷戦の真っただ中にあった。米国へ亡命中のソルジェニーツィンはハーバード大学で講演をし、西側における余りにも過剰な個人主義思想は社会の衰亡と退廃を招くだろうと述べた。

最近、マイケル・キンは「ソルジェニーツィンは40年も前に米国の退廃的な崩壊を予言していた」と題して次のような興味深い論考を発表した(注1)。

《米国社会はソルジェニーツィンが言った「終焉の兆候」を今われわれに見せているのだろうか?

彼は「分別を失うほどの優越性」や「勇気の喪失」は「終焉の兆候」であると言い、倫理的規範が必要であり、法的規制だけでは社会にとって十分に有効ではないと言った。


彼曰く、「私は全生涯を共産主義の下で過ごしてきた。客観的な法的規範を持たない社会は実に恐ろしいものであるとお伝えしておこう。しかし、法的規範を有するだけで他の規範を持たない社会は人間のためになるのかと言えば必ずしもそうではない。」

「われわれは人間生活や人間社会に関する基本的な定義を改訂せざるを得ないだろう。しかし、人間ははたして他のすべてを超越する存在なのだろうか?人間が超すことが出来ないような超越的な精神世界があるのではないだろうか?人間生活や社会活動を物的な追及の観点だけから決定してもいいのだろうか?われわれの魂の全体性を犠牲にしてまで物的な追及を行うことは許されるのだろうか?」

彼が発した疑問は当時の米国の知識層の心を揺さぶった。これらの言葉は非常に本質的であって、米国社会の矛盾を軽薄な美辞麗句で覆い隠すことはできなかった。米国では物的追及が国家全体の目標と化し、米国の対外政策は軍事的優位性を直接あるいは間接的に行使し、他国に脅しをかけ、海外の資源、特に、原油や天然ガスをただ同然で入手することを目標としている。米国に都合が良くない国家については、ふんだんな資金を有するNGOを使ってその国でカラー革命を起こし、政権交代を促す。国境の近くで軍事演習を行う。空母艦隊を派遣する。このような手法が衰えることもなく、繰り返されてきた。》

米政府内のふたつの報告書 - 軍事的環境:

「ふたつの報告書によると米国の衰退はさらに進行し、戦争のリスクが高まる」と題された記事がここにある(注2)。その要約を次に示そう。

《ふたつの報告書のひとつは201811月に米議会の諮問委員会によって発行された(注3)。

この報告書は「国内や海外における変化によって米国の軍事的優位性が低下している」ことを認め、この「優位性」の低下は「米国の極めて重要な国益」に脅威をもたらすと指摘している。

地域的な勢力関係に地政学的な変化が加わり、これが「敵国の抑止力あるいは米国の同盟国の自信を弱体化させ、その結果、軍事的紛争が起こる可能性を大きくしている。」 もしも軍事的紛争が起こると、米国は「受け入れ難い程の甚大な人的被害を受け、主要なインフラに大損害を被るであろう。」

さらに、本報告書はこう述べている。「米国は対空防衛や対ミサイル防衛、サイバー空間や宇宙における作戦、対艦や対潜水艦の戦闘能力、地上型長距離砲、電子戦、等の主要な分野で軍事的優位性を失いつつある。」 

「米国の強みは米国の軍事的優位性を支えてきた数多くの主要な先端技術にあったが、それらの優位性は今や低下しつつある。物によってはすでに消滅してしまった。」 

しかし、上記に引用した内容は西側の大手メディアではほとんど報道されなかった。先端技術や戦略的優位性の欠如を認めることは米国に対する脅威の排除を可能とする米国の「全能のイメージ」とはどうしても相容れない。同盟国は米国の「傘」という心地良い思い込みにどっぷりと浸っていたいのである。

米国の軍事費の規模は、今日、米国に続くトップ8ヵ国の合計に匹敵する。この軍事費をさらに増加させるということは、同報告書によると、年金や医療、社会保障、等の予算を削ることを意味する。崩れ落ちそうな橋梁の保全や学校の整備は据え置きとなるだろう。軍事費の増加は米国社会の凋落をさらに加速することになる。

二番目の報告書は米会計検査院によって201812月に発行されたものだ(注4)。この文書は一番目の文書に比べて一般大衆にはほとんど伝えられなかった。

大手メディアが報道したくなかった理由はこの米会計検査院の報告書は、米国にとっては最大の敵国であるロシアや中国に比べて、米国の軍事力がどの分野で見劣りするのかを具体的に報告しているからであろう。

相対的に軍事的弱点が存在することは今に始まったことではない。アンドレイ・マルティアノフは「軍事的優位性の喪失(原題: Losing Military Supremacy)と題した新刊書(2018)でロシア軍の軍事技術がいくつかの重要な分野で米国を上回っていると詳細に報告した。さらに、マルティアノフがロシアに関して述べたことは中国の軍事技術についてもあてはまる。 

マルティアノフが言わんとしたことは201831日にプーチン大統領がロシア議会で行った演説においても劇的に論じられている。米国側の当初の反応はプーチンの主張を無視することであった。しかし、数日後、軍産複合体はプーチンの演説で言及されたロシア軍の兵器の優位性に対抗するための予算処置を要求した。》

(注:プーチン大統領が言及したロシアの新兵器に関しては、2018316日に「芳ちゃんのブログ」に掲載した「ロシアの新兵器が意味すること」と題した拙文をご覧願いたい。いくつかの論点の中でもっとも驚異的なことはこれらのロシアの新兵器は米国の空母軍団を時代遅れで、まったく役に立たない代物に化してしまうだろうという指摘だ。それを示唆する事例をご紹介しておこう。2015年の1014日の記事(メキシコの日刊紙Le Jornada)に注目してみよう。この日刊紙のハリフェ・ラーメ記者はモスクワ在住の政治分析の専門家であるロスティスラフ・イシチェンコの見解を引用して、次のように報じた。「先週、カスピ小艦隊(排水量が949トンのコルベット艦4隻)から発射されたカリブル巡航ミサイルは1,500キロも離れたシリア国内のイスラム過激派の拠点を正確に攻撃した。これはワシントンの度肝を抜いたようだ。今回のロシア艦隊の行動は米国が今まで誇示してきた米海軍の優位性に終わりが来たことを告げた。ロシアが巡航ミサイルを発射した2日後、米空母セオドア・ルーズベルト(満載排水量は104,581トン)は突然ペルシャ湾を後にした。同空母はこの4月からペルシャ湾に配備されていた。多分、これは単なる偶然ではないと思う。」) 

《この米会計検査院の報告書はプーチンの演説が「はったり」ではないことを示した。

米国政府やディープステーツには一般的にある種の思いこみがあって、端的に言って正気の沙汰とは思えないが、ロシアまたは中国との核戦争では米国は「勝ち抜く」ことができるという考え方が支配的である。しかしながら、この米会計検査院の報告は連中のとっぴな思い込みや野心に水をさした。

これらふたつの米国内の報告書は先端技術や軍事面において米国がかって持っていたダントツの優位性が今や失われてしまったことを示している。米国は台頭するふたつの強国、ロシアと中国に取って代わられることを何としてでも防止したいという決意を示しているが、米国の決意が全世界を核兵器の応酬に巻き込むことになるのかどうかは2019年の最も中核的な議論のひとつとなるだろう。》

進行する「脱米ドル」化:

ここに「米ドル離れを選択したトップファイブの国々およびその決断の背景」と題された記事がある(注5)。RTは米ドルに依存することをやめると決断した国々を調べ、そのような決定の背後にある動機を探った。その要約を次に示す。
《中国:米中間で起こっている貿易摩擦は、米国が中国に課した経済制裁と相俟って、世界で二番目に大きな経済を有する中国を米ドルへの依存から脱却する方向へと追いやっている。
北京のお家芸であるソフトパワー・スタイルを保ちながら、中国政府は本件について声を荒げるようなことはしなかった。しかし、中国人民銀行は同国が保有する米財務省証券を定期的に減少させている。その保有量は20175月以降で最低水準に達した。

中国は自国通貨の「ユアン」を国際化させようともしている。ユアンはIMFの通貨バスケットに組み込まれて、米ドル、日本円、ユーロ、英ポンドと並んだ。北京政府はユアンを強化するために最近いくつかの策を講じた。たとえば、金の備蓄を増加、ユアン建ての原油先物市場の開始、国際取引では現地通貨を使用、等。
インド:世界で6番目に大きな経済を持つインドは最大級の商品輸入国のひとつである。同国は地球規模の地政学的紛争から直接の影響を受けやすい。もしも貿易相手国が経済制裁を課されたならば、インドは甚大な影響を被る。

モスクワ政府に対して米国が経済制裁を課したことから、今年の始め、デリー政府はロシア製のS-400対空ミサイルシステムの決済には「ルーブル」を使うことにした。また、米国がイランに再度経済制裁を課したことから、インドはイラン産原油の輸入に当たっては「ルピー」を使用する。昨年12月、インドとアラブ首長国連邦は通貨のスワップ取引に合意し、第三国の通貨を使用せずに貿易や投資を促進することにした。
トルコ:今年の始め、トルコのエルドアン大統領は同国の貿易相手国との間で米ドル以外の通貨を使用するという新政策を採用し、米ドルの独占を終焉させるとの計画を発表した。その後、アンカラ政府は中国やロシアおよびウクライナとの貿易ではそれぞれの自国通貨を使用するよう準備をしている。また、トルコはイランとの決済については米ドルの代わりにそれぞれの自国通貨を使用することを検討している。

これらの動きは政治的な理由からだ。2016年に起こったエルドアン大統領の失脚を狙ったクーデター未遂事件以降、アンカラとワシントンの関係は悪化した。エルドアンはこの反乱に米国が関与したと疑っており、米国に亡命中であるギュレン師をかくまっているとしてワシントン政府を非難。アンカラ政府は彼がこのクーデターを陰で操っていたとして非難した。
イラン:国際通商の場に戻って来たイランは盛大に迎えられたが、お祭り気分は長くは続かなかった。トランプ米大統領は2015年に締結されたイラン合意を破棄。この合意はテヘラン政府と英、米、仏、独、露、中およびEUから成るグループとの間で締結されていたものだ。

イランはワシントンが再開した厳しい経済制裁の攻撃目標となっている。米国は禁輸措置を破った国に対しては如何なる国であっても罰金を課すとして脅しをかけている。厳罰主義によるこの制裁措置はイランとのビジネス関係を禁じ、特に、同国の原油産業とのビジネスについては厳重に取り締まるという。

テヘラン政府は原油輸出の決済には米ドルに代わる代替通貨を模索することとなった。インドへの原油輸出では「ルピー」を使い、イラクとの間では物々交換取引を検討中である。
ロシア:プーチン大統領は「米国は米ドルに対する信頼感を揺るがし、重大な戦略的過ちを引き起こしている」と述べた。彼は米ドルによる決済を制限せよとか、米ドルの使用を禁止せよと指示したことはない。しかし、ロシアのアントン・シルアノフ財務相は、今年の始め、同国は米財務省証券の保有を減らし、ルーブルやユーロ、貴金属といったより安全な資産に移行すると述べた。

2014年以降に導入された米経済制裁によってロシアの負担は大きくなるばかりであり、同国はロシア経済の米ドル離れのためにいくつかの策を採用している。米国がロシアの金融システムを狙い撃ちにする厳しい制裁を新たに発動したことから、ロシアはSWIFTやビザ、マスターカードを代替する支払いシステムを開発した。

当面、ロシアは輸出業務ではその一部で米ドルからの脱却に成功し、中国、インドおよびイランを含む数多くの国々との間で通過スワップ協定を締結している。最近、ロシアはEUとの貿易では米ドルに代わってユーロの使用を提案した。》

私が思うには・・・:

このような環境下で日本が選択し得る選択肢は何か?

最大の問題点は日本は今まで通りの外交政策を継続することが出来るのかという点であろう。米国の優位性が弱まる中、日本は米国の覇権の傘の下で何時までも心地よい思い込みに浸っていてもいいのか?

201810月、安倍首相は7年ぶりに中国を公式訪問し、対中政策について競争から協調へと大きく舵を切った。

今回の日中首脳会談では日中新三原則が謳われた。「競争から協調へ」、「パートナーとなって、脅威にならない」ならびに「自由で公正な貿易体制を発展させていく」という方針が安倍首相から提示され、習近平国家主席がそれを承諾するという形になった。尖閣諸島・東シナ海問題を事実上棚上げし、東シナ海ガス田の共同開発について日中交渉を再開することで両首脳は合意した。(注6)》

長期政権を自慢する安倍政権はこれはと言えるような成果を挙げては来なかったが、安倍首相が選択したこの中国との和解は正解だ。日本にはそれ以外の選択肢はあり得ないのではないか。現時点の日本の一般大衆の間では「日本は米国追従を続け、米国の対中新冷戦に歩調を合わせる」という現状維持の考えが多数派かも知れない。しかし、その方向性は日本にとっては政治的にも、経済的にも、軍事的にも自殺行為に等しいと言わざるを得ない。さまざまな困難が待ち受けているとは思うが、日中間の和解は進めなければならない。

米国が破棄するといったINF条約はヨーロッパを舞台とした条約であるが、米国がINF条約を破棄する真の目的はロシアだけが条約の相手ではなく、中国をも含めた新条約を締結することにあると言われている。

もしも新条約の締結に至らなかった場合はどうなるのか?:

愚かにも米国が敵国とみなす中国との間で戦争を始めた場合、中国軍にとっては日本の各地に存在する米軍基地は第一級の軍事的攻撃目標となる。沖縄ばかりではなく、本州から北海道までだ。東京近辺には横田、厚木、座間、横須賀、等に主要な米軍基地がある。専門家に言わせると、日本は壊滅する。中国の技術革新は目覚ましく、重要な分野で米軍の軍事的優位性が揺らいでいることはすでに述べた通りである。

世界が戦争と平和の岐路に立たされている今、あなたはどちらを選択するのだろうか?日本は東アジアを舞台にした米ロ中三ヵ国間の新INF条約の締結に貢献すべきだ。(2019214日脱稿)



参照:

1 Solzhenitsyn Correctly Predicted the Decadent Collapse of America 40 Years Ago - Russian TV News: By Michael Quinn, RUSSIA INSIDER, Jan/06/2019

2Two New Reports Point to Further US Decline and Higher Risk of War: By James O’Neill, Dec/22/2018

3Providing for the Common Defence - The Assessment and Recommendations of the National Defense Strategy Commission: By the Commission on the National Defense Strategy for the United States, Nov/13/2018

4National Security: Long Range Emerging Threats Facing the United States as Identified by Federal Agencies: By US GAO, Dec/13/2018

5Top 5 countries opting to ditch US dollar and the reasons behind their moveBy RT, Jan/02/2019

6: 7年ぶりの日中首脳会談で得したのは誰?日本と中国、双方に成果はあったのか:日経ビジネス、福島香織、20181031



初出:季刊「日本主義」No.452019年春号(2019325日発行)