2023年7月29日土曜日

日本は台湾のために戦う積りはなく、他の米同盟国もまったく同じだ

 

台湾有事についての懸念や議論が最近の12年特に高まっている。それは、ロシア・ウクライナ戦争にて観察されるウクライナにおけるNATOや米国による対ロ代理戦争があまりにも台湾における米国の対中代理戦争との相似性を連想させるからである。

台湾の直ぐ傍には米軍基地をいくつも抱えた沖縄がある。そして、本土内にも数多くの米軍基地がある。一旦台湾有事が勃発すると、日本がこれに巻き込まれることは火を見るよりも明らかだ。日本にある米軍基地の戦力は台湾国内の台湾防衛軍に代わって、中心的役割を担うであろう。在日米軍基地からの米軍の出撃は中国による反撃を招く。日米安保条約には事前協議のルールがある。しかしながら、それは米国にとっては何の制約にもならず、日本国内の基地を思いのままに使用することになるのではないか。こうして、台湾と日本は米国の対中代理戦争の戦場となる。

最悪の場合、中国の核によって日本は壊滅的な被害を被る。広島や長崎に落とされた原爆の何十倍も強力な原爆が使用される。そういった原爆がいくつも日本に叩き込まれたら、日本は完全に破壊される。

たとえ米中間に核戦争を行わないという密約があったとしても、ロシア・ウクライナ戦争に見られる通常兵器のみによる長期戦に入ったとしたら、それは大量の犠牲者が出ることを意味する。台湾に駐在している日本企業の従業員の救出は困難を極めることであろうし、日本国内の住民も情け容赦のない戦禍に曝される。こんな状況をいったい誰が望むのであろうか?

そもそも、日本には台湾を守る義務はない。どう見ても、日本としては台湾有事を回避する政治的努力が必須となる。たとえば、自衛隊が中国の奥深くにある敵基地を叩く攻撃能力を持たなければならないとする議論は米国の軍産複合体の利益を実現するための議論でしかない。彼らにとっては危機感を煽って、兵器や兵器システムを当事国へ売り込むことが最優先である。いつも見られる手口であって、それはボロい儲けを約束してくれるのである。

ロシア・ウクライナ戦争では、ロシアの戦争遂行能力を壊滅して、ロシア国内では反政府勢力が急増し、彼らがプーチン政権を倒す・・・といった論理が米国の戦争計画者らによって展開された。同論理に基づいて西側の対ロ経済制裁は何度も発動された。しかしながら、昨年の224日のロシア軍による特別軍事作戦が開始されてから1年半が経った今、ロシア経済は西側の経済制裁によって疲弊するどころか、成長を見せている。プーチンの支持率は下がってはいない。それに代わって、西側ではエネルギ-・コストが高騰し、消費者物価が高まり、自ら課した経済制裁のブーメラン現象が国民生活を圧迫している。

ロシア・ウクライナ戦争を観て来たわれわれ日本人にとっては、日本が戦場になることを避けるには台湾有事を避ける外交努力を推し進めるしかない。他に解決策はない!

ここに「日本は台湾のために戦う積りはなく、他の米同盟国もまったく同じだ」と題された最新の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1© AFP 2023 / Frederic J. Brown

日本は新たな防衛力強化計画の下で軍事力を強化しているが、台湾をめぐって中国と直接対決する意欲はまったくないようだと西側メディアやシンクタンクは言う。

西側の報道機関によると、日本の沖縄にある米軍施設は台湾の危機において中心的な役割を果たす可能性がある。さらには、米国の軍事分析者たちは台湾をめぐる中国との潜在的な紛争においては日本が「軍隊を提供する可能性が最も高い米国の同盟国である」とほぼ全員が見ている。

202110月、米国のオンラインメディアである「War on the Rocks」は、回答者の74%が台湾海峡での日本政府の中国に対する軍事的関与を支持することを示しているように見える日本の世論調査を引用した。その報告は、さらに、紛争に参加する日本の能力を制限する日本の憲法を回避する可能性についても推測している。

一部の日本当局者による大胆な発言は東京の決意を裏付けているようだ。そのうちの1人である中山泰秀元防衛大臣は、20216月、台湾は「レッドライン」であり、「民主主義国として台湾を守らなければならない」と主張した。日本と台湾は地理的に近く、台湾をめぐる軍事行動の可能性は日本の沖縄県に影響を与える可能性があると中山氏は当時主張した。

Photo-2:関連記事: United States' 'Provocative Behavior' in Taiwan Issue Creates More Tensions in Sino-US Relations台湾における米国の挑発的な振る舞いは米中関係にさらなる緊張をもたらす):Jun/28/2023

中国は台湾を武力で奪うつもりか?

台湾を不可分であると見なしている中華人民共和国は、国民党のメンバーによって形成された旧台湾政府との長年にわたる実りある協力に言及して、台湾と平和的に再会するつもりであると繰り返し述べている。

国民党は20241月に予定されている台湾総選挙で見事な復帰を遂げることが可能だ。同党の勝利は台湾の分離主義や潜在的な紛争をめぐる騒ぎを未然に摘み取る可能性がある。米国の議員でさえもが、国民党の勝利はアジア太平洋地域におけるワシントンの計画に対して潜在的な「脅威」をもたらすと考え、それを認めている。

Photo-3:関連記事:US Speed-Up of Arms Supplies to Taiwan Prior to Island's 2024 Elections Sends Ominous Signal (台湾の2024年の総選挙に先立って台湾への武器の販売を急ごうとする姿勢は不吉なシグナルを発している): Apr/12/2023

バイデンは台湾の武装を急いで実施:

彼らの側では、バイデン政権と米議員らは台湾に関して挑発的な声明を繰り返して発表しており、米大統領はワシントンが台湾を「軍事的に保護」する準備ができていると何度も主張している。また、米国は台湾への武器の販売を強化した。

6月下旬、バイデンは、弾薬やその他の軍事装備を含む、合計44000万ドル相当のふたつの潜在的な武器販売を承認した。これに先立ち、3月、米国務省は、新しい米国製F-16ジェット戦闘機を武装させるために、台湾に数百発のミサイルを61900万ドルで売却することを承認した。さらに、バイデン政権は台湾の武装のペースを加速するために早期一括交渉権を使用し始めた。同メカニズムはウクライナの軍事化を加速するためにもバイデンによって活用されてきた。

Photo-4:関連記事:NATO's Liaison Office in Japan Part of Plan to Destabilize China and Russia (日本にNATO連絡事務所を開設するのは中国やロシアを不安定化させるためだ)May/11/2023

日本の指導部は米国の好戦的な姿勢に不満:

最近展開している状況は、明らかに、日本の指導者を震え上がらせた。ウォールストリートジャーナルは、月曜日(721日)、台湾をめぐる紛争の場合、日本政府は米国に日本の基地を使用することを許可する準備ができていると報じたが、東京自身の参加はありそうもない。

その報告によると、ワシントンは東京に自衛隊、特に海上自衛隊を台湾周辺の中国潜水艦の追跡やその他の軍事任務に使用することを検討するよう要請した。

同紙は、「日本の指導者たちは台湾戦争における役割については公の議論を避けている。これは世論が一般的に紛争に巻き込まれることに反対しているためだ」と報じている。

外交問題評議会によると、現在、日本には約54,000人の米軍が駐留している。また、米海軍の第7艦隊と第31海兵遠征部隊の本部もある。(訳注:米第7艦隊の旗艦・司令部は神奈川県横須賀にある揚陸指揮艦ブルー・リッジ」にあり、31海兵遠征部隊の指令部は沖縄のキャンプ・ハンセンに置かれている。

東京の懸念には一定の根拠がある。この5月、日本の学者須川清はクインシー研究所(ワシントンDCに本拠を置くシンクタンク)のオンライン・マガジンである「Responsible Statecraft」に、台湾をめぐる中国との仮想的な紛争で日本が米国と一緒に戦った場合、日本の民間人と経済は大きな打撃を受けるだろうと書いた。さらには、中国と米国の2つの核保有国間の紛争では日本自体が核の標的になる可能性があると須川氏は警告した。

ワシントンDCのシンクタンクは日本の回答者のわずか11%が米国と一緒に中国と戦うことが可能であると考え、27%が米軍とまったく協力すべきではないと答えた最近の世論調査に言及した。紛争が発生した場合、過半数(56%)は米国に後方支援を提供するだけで十分だと回答している。

Photo-5:関連記事:Why AUKUS Nuclear Sub Deal Will Stir up Pacific Into 'Ocean of Storms' (AUKUSの原潜はどのようにして太平洋を「嵐の海」にしてしまうか): Jun/07/2023

誰も米国のために死にたくはない:

さらに言えば、台湾をめぐって中国と戦うことを望まない米国の同盟国は日本だけには限らない。オーストラリア政府は、最近、潜在的な紛争への軍事参加についてワシントンに約束をしなかったことを示唆した。フィリピンも紛争に引きずり込まれたくはない。

韓国は台湾海峡での戦闘作戦に米国に加わる熱意に欠けている。西側のオブザーバーは韓国のユン・ソクヨル大統領が物議を醸した台湾へのツアーの後、ソウルで当時の米国下院議長ナンシー・ペロシとの会談を避けたという事実に注意を向けている。「The Diplomat」誌は、ソウルには台湾をめぐる戦争の可能性を回避したい少なくともみっつの理由があると示唆した。まず、中国市場は韓国の総貿易額の30%を占める。第二に、ソウルは台湾紛争が「北朝鮮の脅威」を増大させることを恐れる。第三に、ソウルにとっては北京との友好関係の維持は平壌との紛争を避ける保証となる。

さらに、別の米国の地域条約同盟国としてタイがある。しかしながら、ワシントンDCを拠点とするシンクタンクによると、台湾のためにバンコクに中国との戦いを強制することは完全に不可能だ。

台湾海峡の海を濁らせている一方で、米国は中国との睨み合いを続けるにはリスクがある。米国が行った戦争ゲームのシミュレーション結果から判断すると、軍事的交戦で敗北する可能性があるからだ。

Photo-6:関連記事:What are Japan's New 'Defensive' Anti-Ship Cruise Missile Targets?(日本の「自衛型」最新対艦クルーズミサイルは何を狙うのか?): Jun/12/2023

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これで全文の仮訳が終了した。

日本の海上自衛隊の戦力、特に、潜水艦の威力はさまざまな形でその優秀さが喧伝されている。しかしながら、これは、米国側の意図に則った洗脳作戦の一部であると私は言いたい。日本の海上自衛隊高官らの自尊心をくすぐり、日本を米国の対中代理戦争に巻き込むための巧妙な心理作戦の一環なのではないかと私には思えるのだ。われわれ一般庶民にとってのごく基本的な疑念は、台湾を守る義務がないにもかかわらず、どうして海自の潜水艦が出動しなければならないのか?結果として、中国の反撃を呼び込むだけではないか?中国側が原爆投下に踏み切った場合、米第7艦隊司令部が所在する横須賀に原爆を投下することになろう。二発目、三発目の標的は米軍基地がある嘉手納を始め、佐世保、岩国、横田、厚木、三沢といった都市だ。さらには、自衛隊の軍事拠点がこれに続く。

もしも日本が中立を守らず、米国の対中戦争に参画した場合、中国は当然日本に反撃する。在日米軍基地を始め、自衛隊の拠点や民間のインフラが攻撃目標となる。中国にとっては米国本土を攻撃することはそれほど容易くはないが、日本は至近距離にあるので報復攻撃は存分に行うことが可能だ。

中国が日本の参戦に対する報復として民生への攻撃を決断した場合は、まずは、超高空で原爆を爆発させることによる電磁波攻撃をお見舞いすることになるのかも知れない。電磁波攻撃によって、電子部品は非常に広域にわたってことごとく破壊されてしまう。その結果、大停電となる。交通機関や電話は機能せず、上下水道が止まり、インターネットも機能しない。突然、何百万人、何千万人が石器時代の生活を強いられることになる。都市生活は完全に麻痺する。全国規模で復旧作業をしなければならない。気が遠くなるような時間が必要となることであろう。

そんな戦争は是が非でも回避しなければならない!

参照:

1Japan Doesn’t Want to Fight for Taiwan and Neither Do Other US Allies: By Ekaterina Blinova, Sputnik, Jul/22/2023

 

 


2023年7月25日火曜日

西側では数多くの人たちが死亡している。だが、誰もその理由を知ろうとはしない

 

幸いなことに、大多数の読者の皆さんは、私自身も含めて、新型コロナワクチンの副作用には見舞われずに済み、この夏の猛暑の中でさえもつつがなく毎日を過ごしている。

しかしながら、本ブログでもさまざまな投稿でご紹介してきたように、世界を見回してみると、何百万人もの人たちが新型コロナによって死亡した。 通常の年度と比べて明らかに多くの超過死亡が確認されている。 この超過死亡者の約3分の2はワクチン接種によって死亡した。 もっと具体的に言えば、76日の「新型コロナワクチンがもたらした予期せぬ結末 ワクチンの義務化やパスポート、諸々の規制はどうして健康被害を引き起こし、何の利点さえももたらさなかったのか」と題した投稿でご紹介したように、ワクチンそのものによる死亡率は超過死亡の73.9%を占める:

ハルシャー他は新型コロナワクチン接種後の死亡事例の解剖結果について最大規模の情報を収集し、それを発表した。 合計325件の症例に関して独立した精査を行った結果、新型コロナワクチンが73.9%の死因を占めていることが判明した。 大部分は心臓血管系が唯一の致命的な臓器障害であった

このような極めて重要な医学的な報告があっても、政府当局者や学会の重鎮たち、さらには、大手メデイアはこういった情報を一般大衆に報じようとはしない。 そこには世間に出回る情報をコントロールしようとする意図的なものが明確に感じ取られる。 言うまでもなく、この種の情報は大手製薬企業を始めとするワクチン接種推進者にとっては極めて都合が悪いのだ。

ここに、「西側では数多くの人たちが死亡している。 だが、誰もその理由を知ろうとはしない」と題された最新の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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超過死亡について沈黙を続けることについてのもっともらしい説明はただひとつだ。 政府やメディア、規制当局はこういった研究が明らかにするかもしれない内容を恐れているのである:

新型コロナウィルスの大流行の間、われわれ一人一人にとっての課題は社会的距離を維持することであった。 これは、新型コロナはデマであると主張する人たちの「部族主義」と「科学に従う」という掛け声の下で製薬大手によって示された企業と規制当局の癒着に基づいて提出された議題への完璧な黙認を要求する人々の「反部族主義」の両者に拍車をかけることになった。 (訳注:「部族主義」とは、 簡単に言えば、自身が所属する集団、つまり、部族の道徳的信念が最も正しいと信じ、信念の衝突によって他部族との深刻な対立が生まれる様子を指す)

ビッグ・ブラザーの下で暮らすことや流行病で死ぬことへの恐れは多くの人々をこれらふたつの相対する集団のどちらかに追いやっただけではなく、理性や思いやりは極端な皮肉や極端な従属のいずれかに置き換えられ、大流行時に特有な狂気を煽った。 われわれは、今、その結果もたらされた状況の中で生活をしている。

過去2年間、西側諸国全体で「超過死亡」が相次いでおり、通常予想される死者数をはるかに上回っているが、この状況の持続的な傾向は政府や大手メディア、医療機関によって普遍的に無視されている。 だが、誰も抗議をしてはいない。 「従属する」という狂信的な集団はまだまだ優勢なのである。

この点についてさらに話を続けよう。

しかしながら、大流行の最盛期に支配的であった不寛容性や意志的に無知といった気風は、まず、簡単に再検討しておく価値があると思う。 私は一連の記事でリアルタイムに文書化してきたが、それらは以前に私が書いた記事よりも遥かに多くの読者を動揺させる結果となった。

ワクチン接種の義務化を迫ることはそれが身体の自律性という非常に重要な原理原則に違反しているという理由だけでも極めて不当なものであった。 しかし、一旦ワクチンが承認されると、需要が完全に妨げられることはもはやなかった。 大手製薬企業、WHO、および、国の規制当局によって公に許可されるよりもはるかに早い時期であったがため、ワクチン接種がウイルス感染を止めるのにほとんど何の役にも立たないことが明らかとなった後でさえも・・・。

同様に、ウイルスが圧倒的多数の子供たちに脅威を与えないことが明らかな時に、子供たちにワクチン接種やブースター接種を定期的に投与すべきであると主張することは常に非倫理的であった。 そして、mRNAワクチンが緊急時使用許可を目指して開発が急いで行われた新技術に基づいていることを考えると、それはなおさらのことである。

定義的に言えば、長期的な研究が行われなかったことから、ヒトに対するmRNAワクチンの長期的な影響については誰も知る由がなかった。 科学はかすかな望みの上に構築されており、それが英国政府の予防接種に関する公式諮問機関である「予防接種と予防接種に関する合同委員会」が大きな政治的圧力にもかかわらず子供への予防接種を推奨することについて長い間決定を躊躇していた理由のひとつでもあった。

そして、ウイルスに影響を与える可能性がある他の治療法を検討したり、研究したりすることを拒否することは常に非常に無責任なことであった。 医療当局は潜在的な予防薬や免疫力を高める治療法や行動を無視したり、警告したりした。 たとえそれらの介入がワクチンの代替として役立つのではなく、ワクチンの役割を補完することができたとしても・・・

一般大衆がワクチン接種に独占的に依存することを薄めるようなことは許されなかった。

素晴らしい一例を挙げると、ビタミンDである。 それは人体のすべての細胞が受容体を持っていて、日光を享受することができるユニークなホルモンである。 西洋のほとんどの人たちはビタミンDが不足しており、多くはひどく不足しており、医師たちはその欠乏の結果が骨粗鬆症だけではなく、どこまで影響を与えるのかについてまだほとんど理解してはいない。

新型コロナの大流行の前でさえも、ビタミンDがコロナウイルスからの回復を防ぎ、患者を助けることを含め、われわれの免疫システムの健康を改善するために重要であることを示唆する多くの研究があった。 その証拠はその後ますます強くなって行った。

しかし、本格的に管理された臨床研究は莫大な資金を必要とし、そのような研究に資金を提供することができる十分に深いポケットを有しているのは大手製薬企業だけであることから、(企業に捕捉されている政府は深く掘り下げることは拒否していることを考えると)決定的な証拠はまったく不足している。 だが、大手製薬企業はビタミンDのような(特許料を得たり、利益を得たりすることは望めない)安価なホルモンについては新型コロナとの関連性だけではなく、幅広い慢性的な健康状態に公衆衛生上の利益をもたらす可能性があることを実証することについてもまったく関心を見せない。

ほとんどの医療規制当局やメディアの解説者はそのような利点の証拠が増えていることを確認する、または、反論するための研究に資金を提供することを要求するよりも、ビタミンDの潜在的な利点についての議論を閉鎖することを好むという事実はスキャンダルそのものである。 しかしながら、予想通り、スキャンダルにはならない。

徹底した沈黙:

新型コロナの大流行とその余波に関連する他の多くのスキャンダルと同様に、私は主流メディアや政治家、そして、もちろんわれわれの医療関係当局からの徹底した沈黙を引き出し続けている超過死亡を最新のスキャンダルの序文として位置付けた。

西側世界のほとんどで毎月一貫して著しく上昇している死亡率は新型コロナ感染症によるものではなく、大流行以前の5年間の季節的平均をはるかに上回っている。

このような死亡は2020年後半または2021年半ば以降大幅に増加している。 新型コロナの初期の波がすでに病気で脆弱な人々を殺した後には、超過死亡は増加するのではなく、減少するであろうと予想されていたことからも、この状況はさらに驚くべきことであった。 こういった異常な展開は科学的に説明する必要がある。

批判的な質問をすることによって必然的に引き起こされる反動が予想されるにもかかわらず、私はこの展開を調べたいのである。 それはわれわれのおそらく民主的な政府のやり方について重要なことを浮き彫りにしてくれ、彼らを抑制することを意図した規制当局や敵対する機関はすっかり空洞化してしまった。 われわれは科学的理性や思いやりが医療危機への対応を導く社会に住んでいるものと想像する。 だが、現実は違う。 われわれの社会ではひとつのことだけが支配している。 それはお金だ。

超過死亡の問題は大流行の余波で浮上した数多くの問題点のひとつに過ぎないが、おそらく最も深刻な問題である。 あなたがあなた自身の研究をするために並外れた努力をし、インターネット検閲やそのアルゴリズムを回避することに成功しない限り、あなたはおそらくこれらの展開について何も知り得ないであろう。 政治家も主流メディアもそれらを公表してはいないからだ。

代わりに、厄介なデータは曖昧で査読された科学雑誌に埋もれているか、情報の自由の要求を介して政府当局から搾り出さなければならない。 だが、そうやって入手された情報はしばしば大幅に編集されている。

そのようなデータはほとんど気付かれずに残るであろうが、大胆にそれに注意を向けようとする少数の勇敢な魂の努力は、たとえ彼らの公式の資格が何であろうとも、変人とか気違いじみた輩としてレッテルを貼られるだけである。

ジョン・キャンベル博士のユーチューブ・チャンネルは、大流行の最中、(少なくとも、小麦をもみ殻から篩い分けようとしている人たちにとっては)非常に貴重なインターネット上の情報源となった。 それ以来、彼はこれらの問題の多くに光を当てる優れた仕事を行ってきた。

いくつかの特筆すべき彼の動画を下記に示してみよう:

·         ファイザーのワクチン研究における誤った取り扱いと彼らに対する監督の欠如

·         ファイザーはワクチンが感染を停止するどうかを実際に検証したことがないということを認めた事実は驚くべきことだ

·         自然感染がワクチンよりも優れた免疫を与えることを示す証拠を曖昧にする努力が継続された

·         mRNAがワクチン接種後少なくとも1か月間は血中に留まる可能性があるという発見はその間に免疫系に対して何をすのかを理解していないという厄介な実情が現出した

·         mRNAワクチンの製造バッチ次第によって引き起こされる副作用は変動幅が大きく、その一部は計器の測定限界を越してしまう

·         米国の研究者とファイザーがフランケンシュタインのようなモンスター型の新型コロナウイルスの設計に関与しており、そもそも新型コロナの大流行に繋がっているようだ

·         マスクの使用によってウイルス感染が減少するという証拠が無いことを実証する新しい研究

·         政策立案者たちは都市閉鎖がもたらしかねない深刻な財政的、社会的、ならびに、医療コストについては比較検討を行わなかった

·         ワクチン接種と多発性硬化症のような自己免疫疾患の発症との因果関係はすでにWHOによって確認されている

これは間違いなくもっと悪いことではあるのだが、少なくとも資格のある情報源から何かを学ぶことはできない。 なぜならば、公に議論しようとする努力はほぼ確実にソーシャルメディアを運営する企業、つまり、現代の町の広場によって禁止されてしまうため、新情報を学ぶ機会はない。

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西側における新型コロナの大流行の対応で最も暗い部分に光を当てようとする彼の努力に関して、キャンベル博士は大手製薬会社を応援する部族によってさらし者にされた。 傲慢にも、幅広く読まれ、権威のある医学教科書を彼が書いているにもかかわらず、連中は彼を栄光の「看護師」として退けたのである。

さらに言えば、これらの中傷は、多くの場合、キャンベル博士が自分のために話しているのではなく、査読された研究論文の結果をわかりやすい言葉で伝えたり、その分野で尊敬されている専門家にインタビューして彼らの仕事に注意を向けたりしているという事実から気を逸らすように設計されていた。

完璧なミステリー:

それにもかかわらず、原因不明の超過死亡の問題は他の諸々の問題よりも桁違いに深刻であり、このことこそがキャンベル博士が彼の動画の多くをその件について議論するために捧げた理由なのである。

西側世界(関連データが確実に収集されている)では、若者を含めて何千人もの人々が、毎月、前年と比較して必要以上に死亡している。 そして、彼らは完全に不可思議な理由で死んでいる。

それにもかかわらず:

この非常に厄介な現象は政治家やメディア、あるいは、医療当局にとっては言及するにはほとんど値しないのである。

政府はこれらの超過死亡の原因を特定するための研究に資金を提供してはいない。 だが、その率は2年以上にわたって上昇している。

この無謀で、しかも、自らが標榜した無知の風潮は、専門の医療機関が、将来、大流行に直面すると警告しているにもかかわらず、そのまま今もなお維持されているのである。

まるで欧米の政府は、真実を知ることよりも、不必要に、そして、潜在的には医療サービスに甚大な犠牲を払うことになってさえも、多数の人々を死なせることを好んでいるかのようである。 別の大流行がやって来ると信じているのであれば、これらの政府は超過死亡を引き起こした可能性のある新型コロナの大流行の間に犯した諸々の過ちを繰り返して冒すことに非常に満足しているようだ。

私たちは「科学に従う」ことになっているこの世界において、どうしてそんなことが当てはまるのだろうか?いったい、どうなっているのだろう?

持続的で、説明のつかない死者数の増加を示す衝撃的なデータに目をつぶっている理由を理解しようとすると、ひとつの、そして、唯一の結論に到達するしかない。

政府や主要メディア、医療規制当局は怯えている。 彼らは、研究が実施された場合、新たに何かが暴かれることを恐れているのである。

そして、それはさらに何かを示唆している。 これらの連中は彼ら独自の、個別の、あるいは、競合する利益や議題を持った集団ではないということを示している。

メディアは、それが何を主張しようとも、政府や医療機関の監視役ではない。 メディアは大衆に対して彼らと共謀する。 実際、三者が共謀する企業利益は見事に一致している。

なぜだろうか?それは政府が大企業によって捕捉されているからだ。 医療当局のお偉いさんたちは大手製薬会社から資金提供を受けているため、自分のキャリアを左右する可能性がある。 そして、メディアは億万長者に所有されており、富の集中のための広報部門に過ぎず、ファイザーのような製薬企業が企む犯罪的な利益を正当化する新自由主義のチアリーダー役として機能しているのである。

作り上げられた無知:

悲しいことには、これらのことは私たちのますます部族的で二極化する社会において強調する必要があることからも、先に進む前に、この超過死亡の波を引き起こしているものはいったい何かについては私には分からないことを明確にしておきたい。

この論考のポイントはこの問題について早まった判断をしたり、部族の立場を採用したりすることではない。

むしろ、私はあなたや私自身の考えを非部族化して、われわれの政府や医療機関はなぜ研究が実施されないことを好むのか、そして、われわれの主流メディアがなぜこの明白な失敗を暴露しないよう選択したのかをよく理解できるようにしたい。

デンマークの医療チームの一員であるヴィベキャ・マニック博士は査読済みの研究論文でmRNAワクチンの一部の製造バッチが測定計器の針が振り切れる程大きな副作用を引き起こすことを示しており、一連の要因が存在する可能性が高いと考えている。 私にはこの考えは正しいと思う。

彼女のチームは、現在、次のプロジェクトで死者の不思議な増加について調査を開始している。 これはデンマーク政府による資金提供や組織作り、または、支援された研究ではなく、むしろ彼女らの個人的な発案である。 実際には、マニック博士によると、デンマーク当局は彼女らの邪魔をしているのである。

だが、これらの当局はどうしてそれほどに恐れているのだろうか?

答えは簡単だ。 彼らは、どんな研究であっても、研究結果は彼らを超過死亡問題に巻き込むであろうと思っているからだ。 彼らは、正しいにせよ間違っているにせよ、大流行に絡んで自分たちが構築して来た物語や自分たちに蓄積された権力が暴露されることを心配しているのである。

なぜこれほど多くの余分な人々が死んでいるのかを迅速に見出だそうとしないのかの理由については、重要な要因が彼らが課した都市封鎖政策、あるいは、彼らが擁護して来たワクチンの副作用、もしくは、その両方にあることを恐れているからである。

繰り返しになるが、私はこれが私が思っていることだと言っているわけではない。 私には、西側世界の多くの国で進行中の社会化された医療制度が侵食されていること、さらには多くの利益者たる企業への移転(政府は間違いなく責任を負っている)、等、考えられるすべての原因を評価するだけの専門知識はない。

しかし、政府や医療規制当局はマニック博士と同様に、関連データやグラフにアクセスすることは可能で、大規模なワクチンの展開直後にデンマークやノルウェー、フィンランドでは2021年の春から超過死亡が容赦なく増加し、ほぼ同様のパターンで増加していることを示している。 同様のグラフは他の西側の国々についても入手することが可能だ。

ワクチンと超過死亡との間に関連性があるという推論は間違っているかも知れない。 しかしながら、その可能性は彼らが検証したいと思う仮説ではない。 その結果は彼らにとってはあまりにも深刻なものとなろう。 彼らは、彼ら自身の権威や特権を維持し、富をさらに彼らに集中させるために彼らがコントロールする重要な手段を損なうリスクを冒すよりも、むしろ、一般的庶民に無知を強制するか、公衆に対して欺瞞を犯すことを望んでいるのである。

ここにわれわれ全員にとって不快な教訓がいくつかある。

真実は西側の政府はすべてが大流行から抜け出す唯一の方法として都市封鎖と実験的なワクチンの使用を主張した証拠の根拠についてはあえて検証はしないということだ。 彼らは真実が彼らには役立たず、おそらく、彼らを傷つけることを恐れて、一般大衆の目の前で完全な精査を敢えてしたくはない。 こうして、彼らは一般大衆の無知を育むのである。

真実、医療規制当局のお偉いさんたちはずっと前から大手製薬企業とそれが提供する回転ドアに捕捉されており、業界での一流の仕事や有利な給与につながっているのだ。 したがって、彼らは一般大衆の無知を支持するのである。 (訳注:民間企業と政府高官の間には「回転ドア」があって、民間企業の金儲けのために貢献した規制当局の高官らは、退職後、この回転ドアを介して、民間企業の重役会に迎えられることが多い。 いわゆる天下りである。)

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真実は、メディアが何であれ、彼らは本当に体系的な説明責任を強制する仕事をしてはいないので、メディアが政府や医療機関に圧力をかけて従わせることはないということだ。 億万長者が所有するメディア企業は製薬大手と同じ企業利益モデルに組み込まれているのである。 確かに、メディア自身の企業利益はファイザーのような製薬会社(仲間の企業)からの広告や後援金に依存している。 したがって、彼らは一般大衆の無知からも利益を得るのである。

幻想の世界:

われわれは、周りから言われたり、自分自身が言うように、民主的な説明責任や透明性には欠けた世界に住んでいる。 形式的で表面的な外観を超えて、政治的、経済的、社会的統制のシステムは、最小限の抑制と均衡、制度的保護手段、ならびに、監視を除いて、すべてに欠くように設計されている。

われわれは幻想の世界に住んでいる。 それは彼ら自身に気を配り、われわれを操り、欺くためにこれまで以上に洗練された技術ツールを開発する。 そして、これまで以上に多くの富や権力を彼ら自身に蓄積するためにこのシステムを次第に不正操作してきた。 エリートの世界である。

われわれはわれわれが想像する程情報に通じた市民ではない。 システムはわれわれが知らされる必要のある情報をわれわれに提供することができる余裕などは持ってはいない。 われわれが騙されてきたこと、金持ちが貧しい人から盗んで着服すること、われわれの支配者は、船が沈むにつれて彼らのポケットにはより多くの金が入って来ることは別として、われわれが直面している最大の問題を解決する方法の手がかりを持ってはいないこと、等を明らかにするかもしれない情報に通じているわけではない。

昨年、奇しくも示してくれたように、われわれのエリートは気候変動危機やウクライナ戦争(核戦争のリスクを冒すことなく)、あるいは、人工知能の急速な進歩に対して現在行っているよりも有効に新型コロナの大流行に対処する方法は何も知らなかった。 最大規模の課題に直面して、彼らはまるで子供のようであった。 「科学に従う」または「グリーン・ニュー・ディール」と叫び、ポケットに押し込める限り多くのお菓子を掴む時にはわれわれの気を逸らす。

これらのエリートたちにとって新型コロナは、文字通り、英国政府の場合は、大企業が利益を得るだけではなく、中小企業を地面に追いやる党であった。 超過死亡は二日酔いでしかなく、責任があり、説明責任を有する民主的な政府の虚構を維持するには慎重に無視し続けなければならない。

われわれの世界はカーテンの後ろを覗いたり、詐欺師が働いているのを見たりすることはできないように注意深く構築されている。 科学、理性、思いやりが西洋を駆り立てる力であるというこの中心的な幻想を捨てない限り、山師は自殺的な「経済成長」やキメラ的な「進歩」を追求するためにわれわれを崖の端に連れて行くことであろう。

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これで全文の仮訳が終了した。

ジョン・キャンベル博士のユーチューブ動画は私自身にとっても常に有益な情報源だった。 こうして、この著者の論考を読むと、キャンベル博士の姿勢には頭が下がる思いだ。

著者の指摘、「われわれは科学的理性や思いやりが医療危機への対応を導く社会に住んでいるものと想像する。 だが、現実は違う。 われわれの社会ではひとつのことだけが支配している。 それはお金だ」は率直で、秀逸である。 お金への執着がわれわれの世界を際限なく歪めているのである。 不幸なことには、人類はこの事態から抜け出すことはできないみたいだ。

メデイアに関する指摘も素晴らしい。 「メディアは億万長者に所有されており、富の集中のための広報部門に過ぎず、ファイザーのような製薬企業が企む犯罪的な利益を正当化する新自由主義のチアリーダー役として機能しているのである」と述べて、一刀両断である。

そして、著者の思考は「作り上げられた無知」を経て、「幻想の世界」へと向かう。

13年目となった本ブログではシリア内戦を始めとして、さまざまな国際政治の場面で、日本の大手メデイアが取り扱うことはなさそうな英文記事を仮訳し、読者の皆さんと共有してきた。

それらの個々の国際政治の動きの背景には常に一般庶民の無知がデンと座っており、そのことが舞台上で演じる役者たちを一層引き立てる役割をしていたと言える。 911同時多発テロ、イラク戦争、シリア内戦、マイダン革命、マレーシア航空MH-17便撃墜事件、スクリッパル父娘殺害未遂事件、トランプ前大統領に対するロシア疑惑、新型コロナの大流行、ロシア・ウクライナ戦争、等、どれを見ても、共通要素が浮かび上がってくる。 それは「作り上げられた無知」である。 われわれはいったいどれほど真実の情報に接することが出来ていたのであろうか?

結果として、2023年に生きるわれわれ一般庶民は、今、「幻想の世界」に住んでいるのである。 間違いなくその通りだ!

参照:

1Across the West, People Are Dying in Greater Numbers. Nobody Wants to Learn Why: By JONATHAN COOK, The Unz Review, Jul/18/2023

 



2023年7月19日水曜日

対ロ代理戦争の失敗は米国が自国と同程度の国家と戦争することはできないことを示している

 

ウクライナにおけるNATOによる対ロ代理戦争はいつまで続くのだろうか?素人の私には見当もつかない。しかしながら、その方面の専門家や識者たちはさまざまな見解や見通しを示している。

ウクライナの国家財政と戦争継続のための資源は大分前から枯渇状態であり、NATO諸国からの財政・軍事支援を抜きにして、対ロ戦争を継続することなんて出来ないことは明白だ。昨年2月のロシアの軍事侵攻以降現時点までにEUがウクライナに支援した額は550億ドルにも達する。そして、欧州理事会は550億ドルの新たな支援を提案しようとしている。(原典:EU Reportedly Ready to Propose 55 Bln Dollars in New Aid Package for Ukraine: By Sputnik, Jun/20/2923

NATO諸国にとっての最大の問題は、対ロ経済制裁の発動によって、安価なロシア産の天然ガスや原油へのアクセスが絶たれ、エネルギーコストが急増し、インフレが進行し、その結果自国経済が低迷しており、今後どれ程長くウクライナに対する支援を継続することができるのかは不透明である。誰にとっても明らかなのは「支援を永遠に継続することはできない」という点だ。EU経済の牽引役であるドイツの政府高官は「これ以上の支援はできない」と、最近、公言したばかり。この状況を見ると、NATO全体の結束を最優先する欧州理事会とはまったく異なって、ロシア・ウクライナ戦争を直ぐにでも収束させたいのが各国の本音なのではないか。

思うに、たとえウクライナがクリミア半島を失い、ドネツクやルガンスクの両州、ザポロージエ地区やアゾフ海沿岸にそって続くクリミア半島への回廊地域をロシアに割譲されたとしても、NATO諸国にとっては安全保障上の重要な問題とはならないのではないか。なぜかと言うと、過去の歴史を見ると、ロシアが外部に向かって武力侵攻してくる公算は皆無であるからだ。その一方で、ウクライナ国内のロシア語を喋る住民が多い東部地域がロシアを憎み、ロシア語系の地域住民を民族洗浄しようとするネオナチによって率いられた対ロ強硬派・好戦派によって支配されることになると、ロシアにとってそれはNATO軍がロシア国境に直接到達することを意味するのである。ロシア国境からモスクワまでの距離は従来よりも大幅に短縮する。ミサイルを発射されたら、10分足らずでモスクワ上空に到達してしまうような距離だ。このような状況は、西側のロシア恐怖症や嫌ロシア症候群が続く限り、ロシアにとっては極めて高次な戦略的課題となり続ける。

ここに「対ロ代理戦争の失敗は米国が自国と同程度の国家と戦争することはできないことを示している」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

Photo-1© Sputnik / Evgeny Biyatov

ワシントン政府は、今月、ロシアとの代理戦争で再びエスカレーションの段階を上り、米国が155mm榴弾砲の砲弾が不足していることを認めた後、クラスター爆弾をウクライナに送り込んだ。ジャーナリストのケイレブ・モーピンはこれは米軍産複合体(MIC)に関するいくつかの重要なことを暴露していると述べた。

日曜日(716日)にウクライナにクラスター爆弾を配備するという米国の決定について議論して、プーチン大統領は、ますます絶望的になっているワシントンは「弾薬が不足している」ことを示しており、米国自身が以前その使用は「犯罪的」であると性格付けていた武器をウクライナへ供与する積りだと述べた。

先週、クラスター爆弾の配備を正当化する一連の声明で、ホワイトハウスや国防総省、国務省の当局者は米国の防衛産業が155mm砲弾の「枯渇した」在庫を増やすことを可能にする一時的な措置としてこの決断を特徴づけた。アントニー・ブリンケン国務長官はワシントンが緊急に武器を送らなければ、ウクライナは「無防備」になるとさえ示唆した。

「世界中で、そして、ウクライナで単一爆弾の備蓄が不足し、枯渇しようとしていた。だが、クラスター爆弾は例外であった。それで、彼らにクラスター爆弾を与えるという難しいが、次のような状況から必要な選択肢として選ばれた。われわれがこれを提供しなければ、われわれは目標には到達しない。そして、ウクライナは弾薬を使い果たす。彼らが弾薬を使い果たしたならば、彼らは無防備になってしまう」とブリンケンが言った。

MICは裸の王様:

『クラスター爆弾がいかに「防御的」兵器であるのかは私には理解できない』と、米国に拠点を置いて活動する古参のジャーナリストで政治分析の専門家でもあるケイレブ・モーピンはスプートニクに語った。『これは飛行機から投下したり、展開したりして、広範囲にまたがって爆発を引き起こすか、その時爆発しなかった場合は、誰かが通りかかった際に爆発し、それに巻き込まれて死傷する。したがって、クラスター爆弾が何であるかを見ると、クラスター爆弾がなければウクライナ軍が「無防備」になるという考え方は成り立たない。』

モーピンは、また、ロシアを軍事的に何倍も上回り、モスクワが一年で防衛のために費やす量よりも遥かに多くの武器をウクライナに送った米国とそのNATO同盟国が、弾薬を「使い果たす」可能性があることには疑問を呈した。

米国は戦闘用機器にどれだけ費やしているのか?米国はウクライナにどれだけ送り込んだのか?何十億ドルも?この国へ何十億ドルも注ぎ込んでいる国は他にいくつあるのか?彼らは弾薬を使い果たそうとしているのか?何だって?!ロシアを見ていただきたい。ウクライナの反対側にある国、ベラルーシも見ていただきたい。彼らはこのような問題は抱えてはいないようだ。彼らは弾薬を使い果たしてはいない。彼らは軍の戦闘用機器や武器を使い果たしてなんていない」とモーピンは述べている。

Photo-3:関連記事 ― How Much Money Has NATO Pledged to Ukraine to Date?: Jul/08/2023

「米国はこれにはるかに多くのお金を費やし、何十億ドルものお金がウクライナに注ぎ込まれてきた。ここで何が起こっているのか?ここではいったい何が起こっているのか?軍産複合体というものによって兵器が経済を安定させるためのメカニズムの場に成ったとするならば、われわれは軍事費にたくさんのお金を投じて無駄にしているのではないかとほとんど疑問にさえ思えて来る ― あなたはこれらの兵器の多くが決して使用されないかもしれないという考えで生産されているのではないかと思うのではないか。彼らはペンタゴンの特定の請負業者にとっては単に金儲けのためのドル箱なのである。それこそがこの状況であることから、われわれがなぜこれほど迅速にこれらの状況を素通りしているのか、そして、ここでは実際に何が起こっているのかについて疑問に思わなければならない」と彼は付け加えた。

同ジャーナリストは、何よりも、ウクライナでの17か月にわたるNATO・ロシア代理戦争は、1980年代から2000年代半ばまでの軍事介入では校庭での悪ガキによるいじめスタイルの記録を持つ米国がついに米国に立ち向かうことができる敵に遭遇するはめに陥ったことを示していると指摘した。

『いじめっ子に対しては「自分のサイズに合った相手を選べ」と言う諺があることを誰もが知っている。つまり、最近の米国の戦争を見ると、米国はリビアやイラク、セルビア、グレナダ、パナマと戦った。米国は非常に小さな国と戦争をする傾向がある。今、われわれは米国がロシアに対して代理戦争を繰り広げている状況にあり、ロシアは別のリーグ、つまり、完全に異なるリーグからだ。イラクで使われた「衝撃と畏怖」作戦や爆撃、他の場所では使われたかもしれないような迅速な勝利をもたらす戦法はここではそれほど効果的ではないようだ』とモーピンは言う。

その上、ロシアの核兵器は米国がロシアの軍隊との紛争には関与することはできないことを意味すると彼は指摘。ロシアとの紛争に参画した時点で第三次世界大戦となるからだ。そして、その時点で核兵器が爆発し、それはわれわれが知っている人類の文明の終焉となる。」

それに代わって、米国とその同盟国は代理国家に支払いをしなければならない。代理国家は本質的には制御不能で、より信頼性が低く、シリアに対する米国の汚い戦争でのように独自の狙いを持っている。あの戦争ではCIAが武装した聖戦戦士たちは最終的にダーイシュ(ISIS*へと変身した。

モーピンによれば、ウクライナ危機は、端的に言って、西側とNATOにとっては「勝てない」戦争だ。「だから問題は、彼らがいつまでお金と武器を注ぎ続け、勝てない紛争で人々を死なせ続けるのかということだ。または、ゼレンスキーが取引を行う許可を得て、いくつかの新しい国境線が引かれ、いくつかの新たな領域が現出し、この紛争のすべてが終わるまでいったいどのくらいかかるのか?・・・さて、バイデン陣営は、地政学的な理由から、可能な限りこれを引き延ばしたいと思っているようだ。しかし、弾薬の不足、世界経済への影響、同盟国が期待どおりに参加していないこと、等、これらすべてのことはバイデンと彼を取り巻く連中がこれをいったいいつまで続けたいのか極めて疑問に思えてくる」と彼は述べた。

その一方、モーピンは、大手独占企業は、たとえ世界経済の残りの部分が「悲鳴を上げ」たとしても、彼らが自分たちの力を強化し、競争相手を弱体化させることを可能にしてくれるので、紛争が無期限に続くことを高く評価するかもしれないと認めている。

Photo-4:関連記事 ― Big US Banks Make Out Like Bandits Amid Interest Rate Crunch: Jul/16/2023

ケイレブ・モーピンの鋭い分析の詳細については、ラジオ・スプートニクのクリテイカル・アワーとの彼のインタビューを確認いただきたい。

*ロシアや他の多くの国で非合法化されたテロリストグループ。

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これで全文の仮訳が終了した。

著者は『最近の米国の戦争を見ると、米国はリビアやイラク、セルビア、グレナダ、パナマと戦った。米国は非常に小さな国と戦争をする傾向がある。今、われわれは米国がロシアに対して代理戦争を繰り広げている状況にあり、ロシアは別のリーグ、つまり、完全に異なるリーグからだ。イラクで使われた「衝撃と畏怖」作戦や爆撃、他の場所では使われたかもしれないような迅速な勝利をもたらす戦法はここではそれほど効果的ではないようだ』と述べた。現実を見据えた見事な総括であると私は思う。だが、著者には言い足りない点もある。米国はリビアやイラク、セルビア、グレナダ、パナマと戦ったが、米国は非常に小さな国と戦争をする傾向がある。もっと辛辣な批評家に言わせると、米国の数多くの軍事行動の中で米軍が圧倒的に勝ったと言えるのはグレナダへの侵攻だけであったと指摘する。さらに言えば、これらの作戦は米国の軍事的優位性を世界中に誇示するための作戦でしかないのだ!

ここまで来ると、さらなる時間の経過はウクライナにとって味方になりそうにはない。素人判断であってさえも、そんな気がする。ロシア本土から陸路を通じてクリミア半島へと続く回廊を取り戻そうとしたウクライナ軍による最近の大反攻作戦には勝利の兆候が見えない。この大失敗はNATOの大失敗であり、西側の大失敗でもある。これが決着すると、ロシア・ウクライナ戦争は自ずから決着する。

昨年の夏、「欧州平和ファシリティ」と称されるウクライナに対する支援プログラムがEUで発足し、EU各国の首脳たちは大はしゃぎでこれを歓迎した。だが、今や、軍事上の失敗だけではなく、政治的にも極めて大きな失敗が目の前に現出しつつある。間もなく、政治リーダーの総入れ替えが始まるのではないか。

この夏はまさにウクライナ版「大阪夏の陣」である。その波紋はウクライナだけに留まらず、欧州各国、米国、さらにはG7各国にもさまざまな形態で波及し、長期にわたる影響をもたらすのではないだろうか。

参照:

1Failed Proxy War With Russia Shows US Can’t ‘Pick on Someone Its Own Size’: By Ilya Tsukanov, Sputnik, Jul/16/2023

 

 


2023年7月16日日曜日

ヴィリニュスで開催されたNATO首脳会議でウクライナは隷属する地位を強要され、悲惨な戦争は続く

 

ヴィリニュスで開催されたNATO首脳会議は二日間の日程(711日~12日)を終了した。周囲の関心はこの首脳会議ではたしてウクライナのNATOへの加盟が具体的な日程の下で招待に漕ぎ着けるかどうかという点であった。彼らの結論は、「ノー」であった。NATO加盟国側の論理は「ウクライナがロシアとの戦争を続けている限り、NATOへの加盟はあり得ない」とする以前からの論理の繰り返しとなった。それはNATO憲章にも明記されている基本的条件のひとつである。

2014年のマイダン革命によって選挙で選出されていたヤヌコビッチ大統領を暴力的に政権の座から追い出し、米国はウクライナに傀儡政権を樹立した。それ以降、EUへの加盟やNATOへの加盟といった飴を面前にぶら下げられて、ウクライナ政府と国民は歴史をすっかり書き変えて、甘い夢に浸り続けることになった。ウクライナ政府の高官たちは西側からの支援によって政府の財源を確保し、対ロ戦争のための装備を調達し、私的な利益もたっぷりと蓄えた。そして、ウクライナの国民は民主主義を守る尖兵というロマンチックな役割を国際政治の舞台で西側の盟主のために演じることになった。ウクライナの東部ではロシア語を喋る住民に対してロシア語の使用を禁じ、ウクライナ政府の地域住民に対する政策はネオナチの思想に牛耳られて、武力抗争へと発展して行った。民族浄化が行われ、非戦闘員に対する戦争犯罪が続けられた。西側の覇権国にとっては、「NATO1インチたりとも東側へ拡大することはない」と言って、当時の旧ソ連邦の指導者を懐柔し、東西ドイツの統一を実現したジェームズ・ベーカー米国務長官による1991年の約束は、その後、クリントン大統領によってあっさりと反故にされた。もちろん、米国にも対ロ政策についてははるかに穏健な政治家や識者もいたが、ロシアに対する好戦的な思考は軍産複合体によって冷戦時代の負の遺産として色濃く残され、軍事予算は膨張を続けた。故アイゼンハワー大統領が懸念した通りであった。旧ソ連邦が崩壊した直後の1990年代は平和な時期であった。しかしながら、米国の軍産複合体にとって平和な時代は最大の敵なのである。地球上のどこかに戦争が存在しなければ、米国の軍需産業は生きてはいけない。従業員を解雇しなければならないのである。戦争がないならば、彼らは偽旗作戦を行い、戦争を引き起こす。NATO加盟国が新たに増えるということは当事国はNATOの標準装備を米国から調達してくれることを意味する。こうして、NATOは拡大して行った。ついに、ロシアの表玄関に接するウクライナのNATO加盟があちらこちらで囁かれる時がやってきた。

これこそが、ロシアが昨年ウクライナにおいて特別軍事作戦を開始せざるを得なかった根本的な背景であると多くの識者が説明している。覇権国の論理は非論理的であり、極めて冷酷でもある。

しかしながら、最近の経験から判断すると、こうした虚偽に支えられた政治的状況は遅かれ早かれ内側から崩壊することが多い。ロシア・ウクライナ戦争を巡る情報戦は新型コロナ騒動とよく似ている。新型コロナワクチンを強制するため、すなわち、製薬大手の金儲けのシナリオを前進させるために流布された新型コロナウィルスの脅威に関する虚偽情報の流布と同様に、ロシア悪人説も時間の経過と共に色褪せ、われわれ一般庶民の多くが気が付いているように真実がその姿を現し始めた。

ここに、「ヴィリニュスで開催されたNATO首脳会議でウクライナは隷属する立場を強要され、悲惨な戦争は続く」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1: © AFP 2023 / DIMITAR DILKOFF

【ワシントン(スプートニク)発】ウォロディミル・ゼレンスキーはヴィリニュスでの首脳会議で西側が支援を継続することが約束されたが、またもや、彼はウクライナを終わりのないロシア・NATO代理消耗戦争に巻き込まれたままであり、西側軍事同盟に対する彼の国の「卑劣な地位」を思い起こすこととなった、と米国の分析専門家はスプートニクに語っている。

711日から12日までリトアニアの首都で開催された31加盟国から成るNATO首脳会議はキエフがこの大西洋同盟に参加するために必要な招待と固定された日程に向かって前進するすることを拒否したことから、ゼレンスキーを怒らせた。ジョー・バイデン米大統領は、ロシアとの紛争が続く限り、ウクライナは加盟できないという方針を明らかにした。

ゼレンスキーの屈辱:

ゼレンスキーは米国や軍事同盟の政策立案者の計算における自国の従属的な地位を屈辱的ながらも思い起こすはめとなった、と米国の憲法史家であり、政治評論家であるダン・ラザールは述べている。

「私は今回のNATO首脳会議をウクライナにとっては失敗であったとは見ていない。しかし、これは確かに彼にウクライナの隷属的な地位を思い出させるに十分であった」と彼は言う。

ラザールは、ゼレンスキーは2019年に平和支持の選挙公約で大統領に立候補したが、最終的には米国と自国の右翼勢力に屈して、ロシアとの対決に向かったと述べている。

「結果は残忍な戦争であり、明らかに逃げ道はない。国は破壊されており、ウクライナの何千人もの兵士が戦死しているにもかかわらず、米国は米兵が虐殺に引きずり込まれることになることからウクライナのNATO加盟を支持することは拒否している」とラザールは述べた。

ウクライナはバイデン政権の二重基準による犠牲者だとラザールは考えている。

「ウクライナ人が死んでもそれは大丈夫だが、米兵についてはそうではないのだ」と彼は言った。

ヴィリニュスではゼレンスキーには選択肢がなく、「米国と英国が不要になった兵器を彼のやり方で送り続けることを彼は期待し、口をつぐみ、平身低頭する以外にはない」と述べた。

二級の地位:

ペンタゴンの元分析専門家であるチャック・スピニーは、ヴィリニュス首脳会談はウクライナを米国やNATO諸国に対して二流で、従属的な、下級の地位に甘んじさせて、予見可能な将来にこれに勝るような地位を勝ち取る望みはないとする見方に同意している。

「ヨーロッパで最も腐敗した国家であるウクライナは、(NATOの傲慢さの別の産物であるコソボを除いては)予見可能な将来にNATOへの加盟を許されることはないだろう」と彼は言った。

しかしながら、加盟国行動計画(MAP)を可決するためのNATO要件は免除され、冷戦を通じて40年間キエフが果たしたと主張する形態と役割とは非常に異なる軍事同盟に参加する手続きを、今や、効果的に加速しているとスピニーは指摘している。

ロシアとの戦争におけるウクライナへの大規模な軍事支援により、NATOは今や「大西洋にはそれほど限定しない同盟へと変身している」と彼は述べた。

NATO首脳会議はNATOの常設機関として潜在的には結果論的な「NATO・ウクライナ評議会」を設立し、そこで31カ国のNATO同盟国はウクライナの指導者と会い、緊急事態に対処するためのNATOの政策を計画することになったとスピニーは認めている。

「これらには、おそらくNATOの終わりのない対ロ代理戦争の遂行を扱う政策が含まれることだろう」と彼は言う。

キエフへの武器の継続的な流れを確保するために、G7経済グループはウクライナと協力し続け、NATOの軍産複合体にこれまで以上に多くの資金を供給するであろうとスピニーは指摘した。

しかしながら、「G7は経済グループであり、NATOの一部ではない。NATOはひとつの加盟国への攻撃はすべての加盟国への攻撃と見なし、引き金を引くことに幸福感を覚える軍事同盟である」と彼は述べている。

ヴィリニュスでのNATOの非決定と戦争回避の行動パターンはこの軍事同盟の意思決定が魅力的であり、印象的であるとする絵を描いて見せることだったとスピニーは観察している。

「ヴィリニュスでのNATO首脳会議は、たとえ雌豚の耳から絹の財布を作るための馬鹿げた試みであったとしても、予測可能な努力であったとして記憶されることだろう。同首脳会議の短期的な目標はウクライナに対するNATO5条の実践から身をよじって何とか逃げ切ることだったようだ」と彼は述べている。

それにもかかわらず、ヴィリニュスでのNATO指導者たちはロシアを疲弊させ、崩壊させるためのツールとしてウクライナ紛争を活用することに依然として焦点を合わせているようであるとスピニーは警告している。

この首脳会議の「長期的な目標はロシアとウクライナをますます深く、終わりのないロシア・NATO間の消耗戦争に巻き込むことによって、ロシアを弱体化させ、おそらく崩壊させるというNATOを牛耳る米国のネオコンの幻想を合理化することにあったようだ。つまり、ウクライナの最後の一兵までの戦い」であると彼は言った。

「ウクライナの存在」:

ピッツバーグ大学のマイケル・ブレナー国際関係教授は紛争の継続はロシアではなく独立国家としてのウクライナに完全な崩壊をもたらすであろうと考えている。

「われわれが知っているウクライナはもはや存在しない。だから、NATOに加盟することは決してない。ロシアは、ウクライナがNATOのパートナーとして再武装する自由を残すような事実上の、あるいは、法律上の分割は決して受け入れないだろう」と彼は言う。

ゼレンスキー政権がロシアとの軍事的対立の危険を冒して以来戦争に従事している間、米国とNATOはキエフに対してあらゆる種類のコミットメントであってもそれを与えることができると想定することは論理的には常に馬鹿げていたとブレナーは説明する。

ヴィリニュス首脳会議では「いわゆるウクライナによる大反撃が非常に上手く行った場合、つまり、西側がプーチンに最後通告を与えることができ、プ-チンが降伏した場合にはバイデンや他のNATO指導者たちはある種のNATOとの関係について具体的な見通しを差し出すという意味合いでゼレンスキーとの対応が進められて来た」と彼は言う。

しかしながら、米国やNATO、ウクライナの指導者たちは実現不可能な夢を今でも追い続けているとブレナーは警告している。

米国や他のNATO指導者たちは「ウクライナ自体を直視することはなかった。彼らは1991年以降ロシアを永久的かつ深刻に弱体化させるためにウクライナを利用してきたのだ。ゼレンスキー側について言えば、彼はウクライナ国民について気にしたことなんて一度もない」と彼は述べている。

ゼレンスキーは、紛争が始まってからわずか2か月後の20234月(訳注:これは2023年ではなく、2022年の間違い)に紛争を終わらせるためにモスクワと合意した暫定合意を実行すると主張することができた筈だし、そう主張すべきだった。しかし、そう主張する代わりに、彼はロシアと戦うというワシントンからの最後通告に屈したのだとブレナーは言う。

「彼(ゼレンスキー)にしても、何の理由もなく20万人もの兵士を戦死させなくても良かったであろう」と彼は述べた。

一方、ワシントンでは、ホワイトハウスの優先事項は2024年の大統領選挙が終わって、現大統領が勝利するまでは紛争を続けることであろうとブレナーは考える。しかし、「戦場の状況を考えると、ある種の大規模なエスカレーションが必要になるかも」と彼は警告した。

バイデンは、木曜日(713日)、米国のNATOへのコミットメントの一環として、戦闘で信頼できる軍隊をヨーロッパにローテーション展開する大西洋解決作戦を強化するために3,000人の米軍予備兵を許可する大統領命令を承認した。この動きはヨーロッパにおける現在の米軍の態勢を変えるものではない、と米国欧州軍は声明で述べている。

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これで全文の仮訳が終了した。

この引用記事によるとウクライナを巡る米ロ間の駆け引きは少なくとも来年の11月までは続くということだ。だが、この見方はあくまでも米国側の都合に沿ったものであって、ウクライナ側のものではない。

地上の現実を見ると、ウクライナでは戦場へ送り込む兵員が不足し、今や、対ロ戦争を継続するためにはグローバルサウスから雇い兵を補給するしかないといった状況にまで追い込められているという(原典:Global South Recruits for the Dying Ranks of Mercs Ukraine Warned of 'Survival Time of Just Days': ByANIKET DIXIT, Jul/15/2023)。

以前の投稿でもご紹介したが、ウクライナではすでに少年兵や女性兵士さえも戦場に投入されている。「ゼレンスキー側について言えば、彼はウクライナ国民について気にしたことなんて一度もない」という指摘がされているが、これが実際には何を意味しているのかが頷ける。ここまで来てしまったウクライナの多くの一般庶民にとってはこれ程大きな不幸はないのではないか。

参照:

1Vilnius Summit Locks Ukraine in Servile Status, Brutal War With No Way Out: By Sputnik, Jul/14/2023