2023年7月29日土曜日

日本は台湾のために戦う積りはなく、他の米同盟国もまったく同じだ

 

台湾有事についての懸念や議論が最近の12年特に高まっている。それは、ロシア・ウクライナ戦争にて観察されるウクライナにおけるNATOや米国による対ロ代理戦争があまりにも台湾における米国の対中代理戦争との相似性を連想させるからである。

台湾の直ぐ傍には米軍基地をいくつも抱えた沖縄がある。そして、本土内にも数多くの米軍基地がある。一旦台湾有事が勃発すると、日本がこれに巻き込まれることは火を見るよりも明らかだ。日本にある米軍基地の戦力は台湾国内の台湾防衛軍に代わって、中心的役割を担うであろう。在日米軍基地からの米軍の出撃は中国による反撃を招く。日米安保条約には事前協議のルールがある。しかしながら、それは米国にとっては何の制約にもならず、日本国内の基地を思いのままに使用することになるのではないか。こうして、台湾と日本は米国の対中代理戦争の戦場となる。

最悪の場合、中国の核によって日本は壊滅的な被害を被る。広島や長崎に落とされた原爆の何十倍も強力な原爆が使用される。そういった原爆がいくつも日本に叩き込まれたら、日本は完全に破壊される。

たとえ米中間に核戦争を行わないという密約があったとしても、ロシア・ウクライナ戦争に見られる通常兵器のみによる長期戦に入ったとしたら、それは大量の犠牲者が出ることを意味する。台湾に駐在している日本企業の従業員の救出は困難を極めることであろうし、日本国内の住民も情け容赦のない戦禍に曝される。こんな状況をいったい誰が望むのであろうか?

そもそも、日本には台湾を守る義務はない。どう見ても、日本としては台湾有事を回避する政治的努力が必須となる。たとえば、自衛隊が中国の奥深くにある敵基地を叩く攻撃能力を持たなければならないとする議論は米国の軍産複合体の利益を実現するための議論でしかない。彼らにとっては危機感を煽って、兵器や兵器システムを当事国へ売り込むことが最優先である。いつも見られる手口であって、それはボロい儲けを約束してくれるのである。

ロシア・ウクライナ戦争では、ロシアの戦争遂行能力を壊滅して、ロシア国内では反政府勢力が急増し、彼らがプーチン政権を倒す・・・といった論理が米国の戦争計画者らによって展開された。同論理に基づいて西側の対ロ経済制裁は何度も発動された。しかしながら、昨年の224日のロシア軍による特別軍事作戦が開始されてから1年半が経った今、ロシア経済は西側の経済制裁によって疲弊するどころか、成長を見せている。プーチンの支持率は下がってはいない。それに代わって、西側ではエネルギ-・コストが高騰し、消費者物価が高まり、自ら課した経済制裁のブーメラン現象が国民生活を圧迫している。

ロシア・ウクライナ戦争を観て来たわれわれ日本人にとっては、日本が戦場になることを避けるには台湾有事を避ける外交努力を推し進めるしかない。他に解決策はない!

ここに「日本は台湾のために戦う積りはなく、他の米同盟国もまったく同じだ」と題された最新の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1© AFP 2023 / Frederic J. Brown

日本は新たな防衛力強化計画の下で軍事力を強化しているが、台湾をめぐって中国と直接対決する意欲はまったくないようだと西側メディアやシンクタンクは言う。

西側の報道機関によると、日本の沖縄にある米軍施設は台湾の危機において中心的な役割を果たす可能性がある。さらには、米国の軍事分析者たちは台湾をめぐる中国との潜在的な紛争においては日本が「軍隊を提供する可能性が最も高い米国の同盟国である」とほぼ全員が見ている。

202110月、米国のオンラインメディアである「War on the Rocks」は、回答者の74%が台湾海峡での日本政府の中国に対する軍事的関与を支持することを示しているように見える日本の世論調査を引用した。その報告は、さらに、紛争に参加する日本の能力を制限する日本の憲法を回避する可能性についても推測している。

一部の日本当局者による大胆な発言は東京の決意を裏付けているようだ。そのうちの1人である中山泰秀元防衛大臣は、20216月、台湾は「レッドライン」であり、「民主主義国として台湾を守らなければならない」と主張した。日本と台湾は地理的に近く、台湾をめぐる軍事行動の可能性は日本の沖縄県に影響を与える可能性があると中山氏は当時主張した。

Photo-2:関連記事: United States' 'Provocative Behavior' in Taiwan Issue Creates More Tensions in Sino-US Relations台湾における米国の挑発的な振る舞いは米中関係にさらなる緊張をもたらす):Jun/28/2023

中国は台湾を武力で奪うつもりか?

台湾を不可分であると見なしている中華人民共和国は、国民党のメンバーによって形成された旧台湾政府との長年にわたる実りある協力に言及して、台湾と平和的に再会するつもりであると繰り返し述べている。

国民党は20241月に予定されている台湾総選挙で見事な復帰を遂げることが可能だ。同党の勝利は台湾の分離主義や潜在的な紛争をめぐる騒ぎを未然に摘み取る可能性がある。米国の議員でさえもが、国民党の勝利はアジア太平洋地域におけるワシントンの計画に対して潜在的な「脅威」をもたらすと考え、それを認めている。

Photo-3:関連記事:US Speed-Up of Arms Supplies to Taiwan Prior to Island's 2024 Elections Sends Ominous Signal (台湾の2024年の総選挙に先立って台湾への武器の販売を急ごうとする姿勢は不吉なシグナルを発している): Apr/12/2023

バイデンは台湾の武装を急いで実施:

彼らの側では、バイデン政権と米議員らは台湾に関して挑発的な声明を繰り返して発表しており、米大統領はワシントンが台湾を「軍事的に保護」する準備ができていると何度も主張している。また、米国は台湾への武器の販売を強化した。

6月下旬、バイデンは、弾薬やその他の軍事装備を含む、合計44000万ドル相当のふたつの潜在的な武器販売を承認した。これに先立ち、3月、米国務省は、新しい米国製F-16ジェット戦闘機を武装させるために、台湾に数百発のミサイルを61900万ドルで売却することを承認した。さらに、バイデン政権は台湾の武装のペースを加速するために早期一括交渉権を使用し始めた。同メカニズムはウクライナの軍事化を加速するためにもバイデンによって活用されてきた。

Photo-4:関連記事:NATO's Liaison Office in Japan Part of Plan to Destabilize China and Russia (日本にNATO連絡事務所を開設するのは中国やロシアを不安定化させるためだ)May/11/2023

日本の指導部は米国の好戦的な姿勢に不満:

最近展開している状況は、明らかに、日本の指導者を震え上がらせた。ウォールストリートジャーナルは、月曜日(721日)、台湾をめぐる紛争の場合、日本政府は米国に日本の基地を使用することを許可する準備ができていると報じたが、東京自身の参加はありそうもない。

その報告によると、ワシントンは東京に自衛隊、特に海上自衛隊を台湾周辺の中国潜水艦の追跡やその他の軍事任務に使用することを検討するよう要請した。

同紙は、「日本の指導者たちは台湾戦争における役割については公の議論を避けている。これは世論が一般的に紛争に巻き込まれることに反対しているためだ」と報じている。

外交問題評議会によると、現在、日本には約54,000人の米軍が駐留している。また、米海軍の第7艦隊と第31海兵遠征部隊の本部もある。(訳注:米第7艦隊の旗艦・司令部は神奈川県横須賀にある揚陸指揮艦ブルー・リッジ」にあり、31海兵遠征部隊の指令部は沖縄のキャンプ・ハンセンに置かれている。

東京の懸念には一定の根拠がある。この5月、日本の学者須川清はクインシー研究所(ワシントンDCに本拠を置くシンクタンク)のオンライン・マガジンである「Responsible Statecraft」に、台湾をめぐる中国との仮想的な紛争で日本が米国と一緒に戦った場合、日本の民間人と経済は大きな打撃を受けるだろうと書いた。さらには、中国と米国の2つの核保有国間の紛争では日本自体が核の標的になる可能性があると須川氏は警告した。

ワシントンDCのシンクタンクは日本の回答者のわずか11%が米国と一緒に中国と戦うことが可能であると考え、27%が米軍とまったく協力すべきではないと答えた最近の世論調査に言及した。紛争が発生した場合、過半数(56%)は米国に後方支援を提供するだけで十分だと回答している。

Photo-5:関連記事:Why AUKUS Nuclear Sub Deal Will Stir up Pacific Into 'Ocean of Storms' (AUKUSの原潜はどのようにして太平洋を「嵐の海」にしてしまうか): Jun/07/2023

誰も米国のために死にたくはない:

さらに言えば、台湾をめぐって中国と戦うことを望まない米国の同盟国は日本だけには限らない。オーストラリア政府は、最近、潜在的な紛争への軍事参加についてワシントンに約束をしなかったことを示唆した。フィリピンも紛争に引きずり込まれたくはない。

韓国は台湾海峡での戦闘作戦に米国に加わる熱意に欠けている。西側のオブザーバーは韓国のユン・ソクヨル大統領が物議を醸した台湾へのツアーの後、ソウルで当時の米国下院議長ナンシー・ペロシとの会談を避けたという事実に注意を向けている。「The Diplomat」誌は、ソウルには台湾をめぐる戦争の可能性を回避したい少なくともみっつの理由があると示唆した。まず、中国市場は韓国の総貿易額の30%を占める。第二に、ソウルは台湾紛争が「北朝鮮の脅威」を増大させることを恐れる。第三に、ソウルにとっては北京との友好関係の維持は平壌との紛争を避ける保証となる。

さらに、別の米国の地域条約同盟国としてタイがある。しかしながら、ワシントンDCを拠点とするシンクタンクによると、台湾のためにバンコクに中国との戦いを強制することは完全に不可能だ。

台湾海峡の海を濁らせている一方で、米国は中国との睨み合いを続けるにはリスクがある。米国が行った戦争ゲームのシミュレーション結果から判断すると、軍事的交戦で敗北する可能性があるからだ。

Photo-6:関連記事:What are Japan's New 'Defensive' Anti-Ship Cruise Missile Targets?(日本の「自衛型」最新対艦クルーズミサイルは何を狙うのか?): Jun/12/2023

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これで全文の仮訳が終了した。

日本の海上自衛隊の戦力、特に、潜水艦の威力はさまざまな形でその優秀さが喧伝されている。しかしながら、これは、米国側の意図に則った洗脳作戦の一部であると私は言いたい。日本の海上自衛隊高官らの自尊心をくすぐり、日本を米国の対中代理戦争に巻き込むための巧妙な心理作戦の一環なのではないかと私には思えるのだ。われわれ一般庶民にとってのごく基本的な疑念は、台湾を守る義務がないにもかかわらず、どうして海自の潜水艦が出動しなければならないのか?結果として、中国の反撃を呼び込むだけではないか?中国側が原爆投下に踏み切った場合、米第7艦隊司令部が所在する横須賀に原爆を投下することになろう。二発目、三発目の標的は米軍基地がある嘉手納を始め、佐世保、岩国、横田、厚木、三沢といった都市だ。さらには、自衛隊の軍事拠点がこれに続く。

もしも日本が中立を守らず、米国の対中戦争に参画した場合、中国は当然日本に反撃する。在日米軍基地を始め、自衛隊の拠点や民間のインフラが攻撃目標となる。中国にとっては米国本土を攻撃することはそれほど容易くはないが、日本は至近距離にあるので報復攻撃は存分に行うことが可能だ。

中国が日本の参戦に対する報復として民生への攻撃を決断した場合は、まずは、超高空で原爆を爆発させることによる電磁波攻撃をお見舞いすることになるのかも知れない。電磁波攻撃によって、電子部品は非常に広域にわたってことごとく破壊されてしまう。その結果、大停電となる。交通機関や電話は機能せず、上下水道が止まり、インターネットも機能しない。突然、何百万人、何千万人が石器時代の生活を強いられることになる。都市生活は完全に麻痺する。全国規模で復旧作業をしなければならない。気が遠くなるような時間が必要となることであろう。

そんな戦争は是が非でも回避しなければならない!

参照:

1Japan Doesn’t Want to Fight for Taiwan and Neither Do Other US Allies: By Ekaterina Blinova, Sputnik, Jul/22/2023

 

 


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