2024年1月31日水曜日

バイデンの側近曰く、「支援がなければ、ウクライナは数週間または数カ月で敗北」

 

素人の私にはウクライナの戦場での帰趨はもう決まっているように見える。だが、ロシア・ウクライナ戦争はなかなか幕引きがされない。ウクライナは最後の一兵になるまで戦うと言っていたが、ウクライナは数多くの若者を失い、今や、兵士の平均年齢は43歳になったという。弾薬も尽きて、ウクライナはすっかり消耗している。そういった現実からは目を離して、西側にはロシア・ウクライナ戦争を決着させたくはないという勢力が多いということかも知れない。今秋の米大統領選を睨んで、バイデン政権としてはウクライナが負けたとは言わずに、ロシア・ウクライナ戦争の現状を選挙戦のために少しでも有利な方向へと持って行きたいのであろう。ウクライナが負けたことを米政府が認めたならば、11月の大統領選での民主党のダメージは極めて大きくなる。何時までたっても選挙戦の道具としてしか扱われないウクライナは実に可哀そうだ。だが、この状況こそが代理戦争の現実であると言えよう。

ここに、「バイデンの側近曰く、支援がなければ、ウクライナは数週間または数カ月で敗北」と題された記事がある(注1)。バイデンの側近の間にも率直に現実を見据え、自分の考えを公に述べる人もいるようである。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1: © Sputnik / Stringer

米国は既に1130億ドル以上を費やして、ウクライナへの軍事支援や財政支援を提供してきた。ロシアは、このような支援は紛争を長引かせるだけであり、ウクライナに入る貨物は合法的な軍事目標と見なされると繰り返し警告している。

国家安全保障担当のジェイク・サリバン補佐官とアヴリル・ヘインズ国家情報長官は非公開の会合で、米下院議会がキエフ政権への追加援助を承認しなければ、数週間または数ヶ月でロシアがウクライナでの紛争に勝利する可能性があると議員たちに語ったと米メディアが金曜日(112日)に報じた。

この会合について詳しいふたりの関係者が米メディアを通じて明らかにしたところによると、ふたりの側近はウクライナはまもなく防空ミサイルを使い果たし、砲兵力も無くなるであろうと述べた。あるホワイトハウス高官はこの説明を「信じられないほどに厳しい状況だ」と表現している。

昨年12月、米国はウクライナへの分割支援の最後の分を議会が承認したと発表した。

「われわれは、今、ウクライナに対して、クリスマス直後で新年直前の支援、つまり、安全保障支援の最後のパッケージを提供したところだ。そして、支援を続けられるように議会の支持を得なければならない」と、当時、サリバンは記者団に語った。

ウクライナは単なる資金上の危機だけではなく、最前線の人員不足にも直面している。昨年秋、西側メディアはウクライナ兵の平均年齢が43歳に上昇したと報じた。また、女性兵士に対する制限を撤廃して、機関銃手や戦車長などの前線での役割に就かせている。

ウクライナ側の防空システムが機能しているにもかかわらず、ロシアは同国中の標的をどこでも攻撃する能力を示している。

ウクライナへの軍事援助の流入はさらに紛争を長引かせ、より多くの死者を出す可能性がある。ジョー・バイデン米大統領は数カ月にわたり、ロシアの特別軍事作戦開始以来、ウクライナに送られた単独支援としては最大規模となる600億ドルの追加支援を議会に可決するよう要求してきた。

米上院はバイデン氏の要求を含む妥協的な資金調達法案を可決する準備ができているように見えたが、下院の共和党は断固としてそれを阻止し、ほとんどの民主党員にとっては有権者層には売り込むことが難しいであろう国境警備に関する重要な改革を要求している。

マイク・ジョンソン下院議長(共和党、ルイジアナ州選出)は国境法案に国境障壁の強化とすでに米国に住んでいる亡命希望者や不法移民の逮捕と強制送還を容易にする改革とを盛り込むよう主張している。

「われわれは法案に関して特定の名称にこだわっているわけではないが、その要素には意味があるべきだと主張したい」と、ホワイトハウスと上院民主党が下院で可決された国境法案を否決する予定だと述べた後にジョンソン下院議長は記者団に語った。

「ウクライナの安全や治安、主権について懸念があることは理解しているが、米国民は国内で主権や安全、安全保障について同じ懸念を抱いていることをわれわれは理解している」と彼は付け加えた。

また、ウクライナとその最大の支援国との間には舞台裏で亀裂が入る兆しも見える。12月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は米国上院で予定されていた演説を欠席した。彼は米議員たちにさらなる支援を承認すべき理由を訴える予定であった。1222日、彼がようやく議員たちに演説をした際、下院の共和党議員213人のうち86人しか演説に出席してはおらず、援助に反対していた議員たちは彼の演説には納得していないようだったと報じられている。

バイデンは米国はウクライナが支援を必要とする限り支援する積りだと約束していた。しかし、最終的には、その選択は彼の手からは離れていった。下院は、少なくとも、国境法案で大きな譲歩をすることがない限りは、支援には反対している。NATO同盟諸国はさらなる支援には公然と反対している。また、ウクライナ軍が前線に送るために男たちを無理やりにバンに乗せている動画が何百本も出回っていることから、ゼレンスキー政権のために戦う意欲のあるウクライナ人がはたしてどれだけいるのかは明らかではない。

「人々は路上で拘束され、バスから放り出されている」と、元ウクライナ外交官のアンドリー・テリジェンコは、水曜日(117日)、スプートニクの「断層線」という番組で語った。「ウクライナ人は戦いたくはない。そして、ウクライナの法律に反して、彼らは軍事キャンプに放り込まれ、戦術的な経験をまったく持たないままですぐに前線に放り込まれているのである。

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これで全文の仮訳が終了した。

バイデン政権内部の高官らがウクライナの敗北を認めたことを受けて、ロシアのラブロフ外相は「西側諸国はウクライナ・プロジェクトが失敗に終わっていることを理解し始めているが、戦争による経済的利益と米国の威信を失うことを恐れて、キエフへの支援を止めることができないでいる」と述べている。(出典:West Starts to Understand That Ukraine Project ‘Failing’ - Russian Foreign Minister: By Sputnik, Jan/30/2024

海外における戦争によって米国の軍需産業が莫大な利益を得、米国が覇権国としての威信を継続することができたら、米国政府にとっては御の字であろう。だが、ウクライナでの現状を完全に覆すような事態(たとえば、核の使用)が起こらない限り、ウクライナでの対ロ代理戦争ではそのようなバラ色の結末は期待できそうにはないようだ。

米大統領選を控えている今年は何が起こるかを予測することは極めて難しい。今後の成り行きを見守るしかないし、核戦争にならないことを祈るばかりである。

参照:

注1:Top Biden Aides: Ukraine Will Lose in Weeks or Months Without Aid: By Ian DeMartino, Sputnik, Jan/21/2024

 

 


2024年1月28日日曜日

ゼレンスキーは核戦争を始めようとしているのか?ウクライナは秘密裏にニジェールで兵器グレードのウランを調達しているとの驚くべき報告

 

ここに物騒な内容の記事がある。「ゼレンスキーは核戦争を始めようとしているのか?ウクライナは秘密裏にニジェールで兵器グレードのウランを調達しているとの驚くべき報告」と題されている(注1)。

2024年からの23年間は歴史上もっとも過酷な時期になるであろうとする指摘が一部に存在する。ウクライナおよびそれを支援する西側(NATO/EU諸国)の意図が核大国であるロシアを相手に核戦争をすることにあるとするならば、それは、最悪の場合、核戦争によって人類が滅亡する日が来たと考えざるを得ない。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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大惨事の危機に瀕し、極めて不安定なバランスを保っているこの世界におけるウクライナの多難な長旅の最新のどんでん返しが実行に移されるならば、それはわれわれ人類を深い裂け目へ放り込むでろう。ウクライナがニジェールから兵器級のウランを秘密裏に調達しているとの指摘は単なる自暴自棄を超越している。これは欧米の無謀な策略を暴露する、極めて扇動的な内容だ。キエフは単なる駒としてではなく、米国とその属国であるEUNATOが画策した、壮大で虚無的なゲームにおける神風特攻隊的な代理役としてここに立っているのだ。この状況の黒幕は盲目的な傲慢さでウクライナをロシアに対して武器化しているだけではなく、ウクライナ(ならびに、欧米)が未曽有の規模の屈辱に直面している今、彼らの賭けのリスクを回避している。この物語はウランの調達に留まらず、それを超越するものである。それは覇権における自己保存の祭壇でウクライナを最後のウクライナ人になるまで犠牲にする用意があるという欧米の覚悟を痛烈に暴露している。その祭壇では道徳的誠実さはサハラ砂漠の蜃気楼のようにはかなく消えてしまう。

それが人的資源であれ、金融であれ、軍事産業であれ、実存的敗北や資源の破綻に直面したウクライナは、死の苦しみの中で黙示録的なエスカレーションの不吉な亡霊が彷徨う中で核に救済を求め、ニジェールに手を伸ばそうとしているのではないか?この憂慮すべき、新たな方向転換は紛争の力学における単なる変化以上のものを示している。これは超大国間の核兵器庫での発火の可能性を告げるものだ。傲慢さにまみれた西側諸国はロシアの不屈の精神や戦略的洞察力をグロテスクなほど過小評価し、ウクライナを自滅的な最後の抵抗でもがき苦しませている。もしもウクライナがこの核のルビコン川をあえて渡ろうとするならば、われわれは冷戦の中で最も陰惨な章の単なる余韻を超えた、まさに比類のない規模の危機を目撃する崖っぷちに立たされていることを意味する。

絶望的な策謀の影でのダンスの中、ニジェール軍内部の情報源を引用したサヘル・メデイアの報道はウクライナ側の核の野望に新たな不吉な光を投げかけるものだ。202311月、ルステム・ウメロフ国防相が率いるウクライナ代表団は秘密裏にニジェールに降り立った。外交の装いをまとった彼らの任務は兵器級ウランの契約を確保するという大胆以外の何物でもなかった。これは単なる取引ではない。これは核兵器の保持へ向けた厚かましい第一歩である。ニジェールの軍関係者の間で囁かれているところによると、ウクライナの目的は核兵器の製造という、明白で驚くべきものなのである。

この秘密の陰謀を深く掘り下げてみると、ニジェール国家警備隊の将校が沈黙を破って、「ニジェールインター」局に語っている。彼は20231111日という運命の日を取り上げ、その重大な意味合いから歴史に刻まれるかもしれないその日について語ってくれた。ウメロフが指揮するウクライナ代表団は単なる訪問者としてではなく、一か八かの賭け金を賭けた博打のプレーヤーとして首都のニアメに到着した。その地で、彼らはニジェール政府の代表者やウラン採掘の分野ではフランスの巨大企業であるオラノ社と密かに交渉を行った。この会談は外交的な握手や心のこもった会談だけにはとどまらなかった。それは極めて重要な瞬間であって、ウクライナが核武装国家の領域に自殺的に踏み込む可能性を秘めていた。

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Photo-3:ニジェールのウラン鉱山施設(左)とウクライナ国防相の
ルステム・ウメロフ(右)

交渉の緊迫した雰囲気の中で、絶望的とも言える決意を持ったウクライナ代表団は平和的な努力のためではなく、軍需産業のためにウランの買収契約に署名する意図をむき出しにしたと伝えられている。秘密の守護者である本将校はこれらの会談が不吉な成功を収めたことを確認した。

Photo-4:ニアメイのラデイソン・ブルー・ホテルでのウクライナ代表団の
メンバーとされる人物

ニジェールはウラン生産国の間では大国であって、世界で第7位、アフリカではナミビアに次いで第2位である。その土地は豊かで、アフリカ大陸で最も大きなウラン鉱山のいくつかを擁し、フランスや欧州連合へのウラン輸出においてはエリート国家のひとつに数えられている宝の山である。

一方、ウラン採掘量の世界では10位にランクされているウクライナは自国の生産量が驚異的に減少していることを目の当たりにしながら、最初は新型コロナウイルスの大流行に遭遇し、次にはロシアとの紛争の激化の犠牲者となった。生産量は2015年の1,200トンから、2021年にはわずか455トンにまで激減した。この文脈において、ウクライナがウラン資源を外部に探そうとすることは、特に核の野心が作用している場合、核兵器には膨大な量の核物質を必要とすることを考えると、選択というよりはむしろ切実な必要性であるように思われる。

しかし、ウラン資源の追求は核開発能力に向けた秘密のダンスの第一歩に過ぎない。ウクライナは兵器化に不可欠なウラン濃縮施設の必要性というもうひとつの大きな課題に直面している。公式には、そのような施設はウクライナには存在せず、国際法フォーラムでも口にされてはおらず、もし彼らの核の野望が追求されたとすれば、それは極めて危険な未知の領域に足を踏み入れたことを示唆している。

ニジェールの情報提供者によると、ウラン購入協定はニジェールとの直接契約ではなく、ニジェールでの主要な事業者であり、世界のウラン生産において11%のシェアを占める世界的な巨大企業であるフランスの鉱山企業の大手であるオラーノ社と締結された。この微妙な権力のダンスの中で、ニジェール政府は制裁するか、取引を破棄するかの権限を行使するという重要な役割を演じたが、決定的な合意が結ばれた相手はオラーノだった。

この出来事は独自の恐るべき核兵器と専門知識を持つ国であるフランスがウクライナの核開発の野望を熟知しているのだろうか、もしかしたら、実現者なのだろうか、という疑問を提起させる。もしそうであれば、ウクライナが核戦争に突入する可能性を支援するフランスの役割は極めて重大な懸念事項となる。

ウクライナとオラーノのこの連携はより暗いシナリオを示唆しているのかも知れない。つまり、ウクライナ国内には秘密の核施設が存在し、国際法と監視の枠を超えて活動しているのかも。

ゼレンスキー政権が核戦力を獲得するかも知れないという見通しは世界の安定の背筋を震わせるのに十分だ。ゼレンスキー大統領は戦争の軌跡や自分自身の没落の不可避という厳しい現実に直面し、絶望的な規模の対策を検討している可能性があることがますます明らかになってきた。追い詰められ、包囲され、核兵器を振り回すウクライナがもたらす世界的な影響は黙示録的としか言いようがない。

核戦争の亡霊はロシアとウクライナの睨み合いに長く、そして、不吉な影を落としている。ロシアに対する核攻撃はいかなるものも実存的脅威として認識され、核の応酬が正当化されるだろう。ロシアが核兵器保有国としての地位や世界第2位の恐るべき軍事力はこのシナリオの重大さを浮き彫りにしている。

核の衝突という悲惨な戦場においては、NATOの介入がない限り、ウクライナがロシアに対抗する可能性は事実上存在しない。このようなシナリオはNATOとロシアの間の核戦争が世界を燃え殻に変えてしまう可能性があるため、世界規模の悪夢の典型的な例となろう。

さらに別の、より狡猾な可能性も見えてくる。つまり、ロシアを核侵略に巻き込むための偽旗作戦として、ウクライナが核兵器を配備するという状況だ。これはロシアとNATOの間の破滅的な対立に火をつける火種になるかも知れないが、それは熟考するには余りにも危険なチェスゲームの動きだ。

歴史の回廊にこだましているものがある。それは、2002年、ニジェールのウランを核兵器に使おうとしたサダム・フセインに対する米国務省による同類の非難だ。あの問題は果たして米国が、この地政学的な難問に複雑な層を加えて、ゼレンスキー政権に対して同様の非難を行うかどうかである。

ゼレンスキーが世界の安定を軽視しているのは明らかだ。敗北の可能性に直面して、彼は全世界を引きずり下ろすことを厭わないようで、核武装の危険な道を辿るために外交という別の選択を避けている。権力への必死の執着に駆り立てられた彼の行動は計り知れない破壊をもたらす可能性がある。

地政学的な陰謀の影に覆われたこの領域では、国家はまさに大惨事の剃刀の刃の上で踊っているが、今展開しつつあるウクライナの物語は受動的な観察以上のものを要求している。断固たる行動が求められている。これは単なる地域紛争ではなく、不作為の影響が取り返しのつかないものになりかねない、グローバルなパワー・ポリティクスの物語における重要な分岐点である。影響力や介入の力で武装した国際機関はこの困難な課題に立ち向かわなければならない。国際機関はウクライナの核開発の野望に見られる曖昧な深淵を解剖し、精査し、底知れぬ深淵への転落を防ぐ責任を負っている。というのは、国家の壮大なチェスゲームにおいては次の一手が災厄を回避するか、私たちの集団的な運命を封印するかのどちらかになる可能性があるからだ。世界がこの不安定極まりない崖っぷちに立たされている今、解決の緊急性はかつてないほど高まっている。それは絶望や戦略的近視眼から生まれた核の亡霊の影によって歴史の年代記が消し去られるのを防ぐための時間との戦いである。

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これで全文の仮訳が終了した。

最先端技術が手元にある、あるいは、ちょっと背伸びをすれば手に入ると思えると、戦争で切羽詰まった一国の指導者はその技術を開発しようとして、あらゆる手を尽くすであろう。指導者の心理としては容易に想像がつく。だが、それが核兵器の場合、そう簡単ではない。その破壊力は桁違いに強大であり、核兵器による報復を受けた場合に自国が受けるであろう破壊の規模は想像できない程だ。だからこそ、核兵器は抑止力として機能してきたのだ。

このような簡単な論理が分かってはいないような発言がウクライナやイスラエルの閣僚、あるいは、指導者の間に見かけられる。このような事実はいったいどうしてなのか?

この引用記事によると、フランスの大手企業がウクライナがニジェールで兵器グレードのウランを入手するという取引の一角を演じて、ウラン調達契約に署名したという。フランスは核大国のひとつとして何十年も過ごして来た。そのフランスが核戦争の抑止力としての核兵器の存在理由を忘れたのだろうか。核兵器はすでに単なる金儲けのための商品となってしまったのだろうか?オラーノはもうひとつの金儲けとなる、ウクライナにおけるウラン濃縮設備の設置も視野に入れているのだろうか?何らかの理由でウクライナが核兵器を開発できなければ、NATOは自分たちが所有する核兵器をウクライナへ提供するのだろうか?

ロシアは核攻撃を受けた場合、核戦争に突入しないために核兵器を報復攻撃に使うことを控えるのだろうか。そうは行かない。ロシアの核ドクトリンを見ると、ロシアは間違いなく隔兵器による報復攻撃を実行することができる。北極海には核兵器を搭載したロシアの原潜が常時パトロールをしている。ヨーロッパの大都市は軍事目標となって、正確に狙われる。

ゼレンスキーやNATOの火遊びは余りにも危険だ!

参照:

注1:Is Zelenskyy going to start a nuclear war? Sensational allegations Ukraine secretly buys weapons-grade uranium in Niger: By: Gerry Nolan, The Islander, Jan/24/2024

 

 

 


2024年1月25日木曜日

「うわべだけのNATOの団結」はウクライナ紛争で崩壊した ― 米国の元国防総省職員

 

ロシア・ウクライナ戦争は1カ月後の224日には満2年となり、いよいよ3年目に入る。ウクライナ側はすでに人的資源や武器弾薬を使い果たし、これまでふんだんに支援を行い、ウクライナの生命線であった欧米各国は、今や、「ウクライナ疲れ」に陥り、支援の継続が危ぶまれている。西側の政治家やメデイアはそれぞれ異なる理由からそのことを認めたくはないようであるが、実質的にはウクライナの敗北だと言えるのではないか。現実を直視しない、この宙ぶらりんの状態は11月に予定されている米大統領選挙までは続くのかも知れない。

代理戦争の戦場となることを選んだウクライナでは、数多くの若者を戦死者として失い、停戦、あるいは、和平を模索しなければ、さらなる消耗を強いられ、国家は崩壊する。国家の基盤である国民の生命を守ろうとはしない時、国家は内部から崩壊する。夫や息子を失い、家屋は破壊され、何百万人もが、主として妻や子供たちが難民として国外へ逃れた。ウクライナの人口は急激に減少した。政治家が何らかの和平策を探らなければ、この趨勢は悪化の一途を辿ることだろう。歴史の中で今まで見てきた状況と同様な事態がまたもや繰り返され、最大級の苦難が一般庶民に課される。

ロシアとウクライナのどちらが勝者になろうとも、数多くの死者を出し、それでも戦争を継続しようとするのはもはや狂気そのものだ!

戦争を主導した政治家やその支持者たちはこの紛争から富を成して、停戦となった暁には国外へ逃避し、優雅な生活を送るのであろう。噂によれば、ゼレンスキーや彼の家族の米国への移住のための書類はすでに準備が完了しているという。

ダグラス・マックレガーの最新のコメントによると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ紛争が終わったら、「キプロスやイタリアの邸宅のひとつに、あるいは、フロリダに辿り着くだろう」と言い、「この紛争はすべてが詐欺であり、ウクライナ人は米国に搾取されている」と付け加えている。(原典:Ex-Pentagon Adviser Macgregor Says at Least 400 Americans Died in Ukraine: By Sputnik, Jan/25/2024

ところで、ここに「うわべだけのNATOの団結はウクライナ紛争で崩壊した ― 米国の元国防総省高官」と題された約1か月前の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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米国とその同盟国は、過去22ヶ月間、ウクライナにおける対ロ代理戦争に約2000億ドルにも相当する武器や現金を注ぎ込んできたが、多極化した世界秩序の台頭を加速させた以外にはその成果を示すものはほとんど何もない。

NATO加盟国間の結束のイメージと西側の兵器システムの優位性に関するあらゆる見せかけがウクライナの戦場で打ち砕かれたと元国務省高官のチャス・フリーマンが述べている。

「ブリンケン氏が何を言っているのか私には何も見えて来ない。何の成果も見当たらないからだ」とフリーマンはインタビューで述べ、キエフとNATO支援者の本年(2023年)における多くの「成功」に関して米国務長官が最近発言した内容に言及したのである。

「以前には存在していたNATOの結束といううわべにひびが入ったことを私は知っている。NATO加盟国はこの戦争を継続するという将来展望に、今や、公然と異議を唱えている。そして、もちろん、国際的な世界の多数派は、この戦いではもはや西側にあるのではなく、この戦いを傍観することを選択し、この戦いを欧米による戦争挑発と脅迫のもうひとつの事例として見ている」と元国防総省ならびに国務省で経験を有するベテラン高官が語っている。

「何を達成したのか?NATOの軍事力の信用を失墜させたのはロシアがNATOが持っている最高の兵器に対抗することを学んだからかも知れない。ロシアを弱体化させ、孤立化させるという西側の目標は全然は成功していない。ロシアは弱体化してはおらず、ロシア経済は成長し、ロシア産エネルギーへのアクセスの喪失によって引き起こされたエネルギー危機のために縮小したドイツ経済よりも大きくなった。ロシアは孤立してはいない。ロシアは東へ、南へ、中東へ、アフリカへと方向転換をした」とフリーマンは述べている。

「表明されていた目標は達成されてはおらず、ウクライナは壊滅的な打撃を受けている」と彼は強調し、この危機は1992年の人口約5100万人から2022年までに約3200万人に、そして、今日ではわずか2000万人にまでウクライナの人口崩壊を加速させるだけだったと指摘。

「ウクライナには仕事が見つからなかったので、人々は早くから移住した。そして、戦争が始まると、徴兵を逃れるため、あるいは、安全上の理由から移住し、彼らが戻ってくる気配はない」とフリーマンは述べ、紛争を関係者全員にとっては「大惨事」であると表現した。

ロ代理戦争ではキエフとその同盟国は敗北したとフリーマンは考えるが、欧米は「埋没コスト理論」、「何かに多額のお金を費やしたのだから、それをやめるわけにはいかない」といった考えのためにこの紛争に資源を注ぎ込み続けている。

「しかし、もしもあなたがやっていることが愚かで、逆効果だったら、それをもっと継続すれば、もっと多くの問題が蓄積されるだけである。何の解決にもならない」と彼は言う。

ウクライナ政府がさらに多くの兵士を動員する計画についても同じことが言える、とこの観察者は考えている。

「ウクライナ側の死傷者はおそらく40万人で、ロシア側の死傷者はもっと少ないだろう。ウクライナは首尾よく分割された。この状況は連邦制の下でドンバス地域をウクライナの一部として承認する筈であったミンスク合意とは異なる。ウクライナは同地域を取り戻してはいない。ゼレンスキーはさらに50万人の兵士を徴兵する必要があると述べている。ウクライナでは徴兵できる人は50万人もいない。現在、徴兵されている年齢は17歳から70歳までだ・・・。このような人たちには訓練は与えられない。だから、彼らは単に前線に押しやられ、殺されるだけだ。攻勢を始めたロシア軍は両軍間の前線で多くのウクライナ人を殺害し続ける。それだけではなく、実際にはさらに前進する見通しだ。むしろ、不気味なことには、プーチン氏の条件と目標は軟化するどころか、さらに硬化しているようにさえ見える」とフリーマンは警告した。

「彼はオデッサをロシアの都市として語っているが、これは彼がウクライナから黒海沿岸地域を奪う計画を示唆している。内陸国に閉じ込められ、切り捨てられたウクライナは、中立化しようがしまいが、ロシアがウクライナを封じ込めた。これは脅威だ」と同観察者は述べている。「歴史的には、もちろん、プーチン氏が正しい。オデッサはロシア人によって建設された都市であって、主にロシア語圏であった。そして、ウクライナ内戦の引き金となった虐殺のひとつはオデッサで起こり、ロシア語を話す人々がウクライナの民族主義的狂信者によって殺害された。だから、この発言はオデッサを占領するという脅しとして、あるいは、歴史的現実の認識として理解できる。どっちなのかは分からないが。」

結局のところ、「ウクライナは基本的にこの戦争に負けたという認識が米国では高まっている」とフリーマンは考えている。

「ウクライナの士気を高め、東欧におけるこの不幸に対する米国の支援を強化することを意図した勇敢な会談は、今や、厳しい現実に直面している。そして現実には、ウクライナは人員不足に陥っている。現在、ウクライナ軍の兵士の平均年齢は43歳。70歳で徴兵される人もいる。彼らには戦場で活躍するための体力やスタミナはない。ロシア側は妊娠中のウクライナ人女性兵士を捕らえたと話している。妊婦を軍隊に留めておくことになってしまったら、それはもう本当に終わりに近づいているのだ。だから、この戦争ではNATOや米国は勝ってはいないという現実が浸透し始めていると私には思える。ロシアが決定的に勝利したというわけではないが、ウクライナは負けたのだ」と米国防総省のベテラン高官であり元外交官が総括した。

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これで全文の仮訳が終了した。

いったい何が当事者を停戦、あるいは、和平へと向かわせるのだろうか。今の状況を見ていると、まったく予測ができない。ある出来事が起こった後で、その出来事の意味を理解し、政策に反映させるまでに6ヵ月はかかるとある識者が言っていたが、このロシア・ウクライナ戦争もその範疇に入るのだろうか?起こり得る事柄の中で、おそらく、最悪の事態は核兵器の使用であろう。ウクライナが自暴自棄になって核兵器の使用を考えたとしたら、現在、武器の供与を行っているNATO加盟国はどう対応するのだろうか?理性が狂気を駆逐してくれるのだろうか?不確定要素が極めて多いと思う。

すべては今秋の米大統領選まで待たなければならないのか?それまでに不測の事態が起こらないことを祈るばかりである。

参照:

1'Facade of NATO Unity' Has Crumbled Over Ukraine – Ex-US Assistant Secretary of Defense: By Ilya Tsukanov, Sputnik, Dec/25/2023

 

 


2024年1月23日火曜日

われわれはもうひとつの研究所からのウィルスの漏洩に条件付けられているのか?


最近よく耳にするようになった「疾病X」(Disease X)とはいったい何か?

ウィキペディアによると、次のように説明されている:

「疾病X」とは、20182月に世界保健機関(WHO)が将来の感染症の流行を引き起こす可能性のある架空の未知の病原体を表す詳細計画の中で優先疾患の最終候補リストに採用した仮の名称である。 未知の病原体(より広範なワクチンや製造施設、等)に適応するのに十分な柔軟性を持つ計画を確保するために、WHOは仮の名称を採用した。米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、疾病XのコンセプトはWHOのプロジェクトが個々のウイルス株(たとえば、ジカウイルス、等)だけでなく、ウイルスのクラス全体(フラビウイルス、等)に研究努力を集中させることを奨励し、その結果、予期せぬウィルス株に対応するWHOの能力を向上させると述べた。2020年、WHOの専門顧問を含む専門家たちは新型コロナウイルスによって引き起こされる新型コロナ感染症が最初の疾患Xとなる要件を満たしていると推測した。

ところで、世界経済フォーラム(WEF)の会議がダボスで開催された(115日~19日)。そこでは次回の「疾病X」が議論された。つまり、新型コロナに続く2番目の感染症のことである。この感染症は前回の新型コロナよりも致死性が20倍も高いという。WHOは世界中で各国政府を相手に「パンデミック条約」を結び、「国際保健規則」(IHR)を改訂(改悪)して、各国の主権を取り上げ、WHOが君臨し、一元的に対策を決めようとしている。(注:詳細については、原口一博議員のユーチューブ動画「【緊急報告】パンデミック条約、IH R改正案の提出期限とされる2024127日が迫る中、岸田政権提案書未だ届かず。2024/01/22」(https://www.youtube.com/live/bi82yRN4Jpo?si=zDXWEB3DUdXKdEBL)をご覧いただきたい。)パンデミック条約の締結と国際保健規則の改訂はWHOが各国の主権を奪い、WHO参加国のすべてをその支配下に置くことが中核的な目的であるようだ。今、そんな背景の中で疾病Xが改めて議論され、世界は新世界秩序に向かって進もうとしているようだ。実に不気味である。

ここに「われわれはもうひとつの研究所からのウィルスの漏洩に条件付けられているのか?」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。なお、お気付きにように、この記事は117日に出版されたもので、WEF会議が始まる直前に執筆されたものだ。

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副題:「疾病Xへの備え」は2019年の新型コロナの大流行に対する備えと実によく似ている

著者からの注:下記に示す投稿は現在起こっている重要な公共利益の問題に関連する。この投稿をわれわれのネットワークと共有していただきたい。

2024117日、WEFは「疾病Xへの備え」と題した討論会を開催する。その議論はWEFのウェブサイトで次のように説明されている:

世界保健機関(WHO)は未知の「疾病X」が新型コロナウィルスの大流行の20倍の死者をもたらす可能性があるという新たな警告を発しているが、今後のいくつもの課題について医療システムを準備するにはいったいどのような新しい取り組みが必要となるのであろうか?

この会議での講演者の中には、現在、パンデミック条約案への支持を求めてロビー活動を行っている世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエソス事務局長がいる。WHOはその194の加盟国が法的拘束力のある協定を採択する目標日程を20245月と発表した。

疾病Xに関する最近のお喋りには2019年の秋の状況を彷彿とさせるものがある。当時、「仮定上の」コロナウイルスの大流行の準備が始まった。

2020131日、WHOの国際保健規制緊急委員会は2019年の新型コロナウイルスの流行を国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)であると宣言したが、その時点までの出来事について考えてみよう。

2019910日:ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは「世界準備監視委員会」(Global Preparedness Monitoring Board)のために感染症の発生リスクの高まりに関する研究を準備していた。この委員会は世界銀行グループとWHOによって2018年に設立され、理事会メンバーにはアントニー・ファウチ氏、ジェレミー・ファーラー氏(ウェルカム・トラスト代表)、ジョージ・ガオ氏(20178月から20227月まで中国疾病管理予防センター所長)が名を連ねている。

2019912日:武漢ウイルス研究所のサンプルとウイルス配列に関するオンライン公開データベースは現地時間の午前2:00から午前3:00に至る深夜にオフラインとなった。本データベースにはコウモリやマウスから収集したサンプルや病原体のデータからなる22,000以上の記入項目が含まれていた。本データベースにはサンプル採取が行われた動物の種類、採取場所、ウイルスの分離に成功したかどうか、採取したウイルスの種類、他の既知のウイルスとの類似性、等、各サンプルに関する重要な情報が含まれていた。

2019918日:世界準備監視委員会が「危機に瀕する世界」と題する報告書を公表。

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報告書の表紙にはコロナウイルスの画像が描かれており、その文章は呼吸器系ウイルスの大流行への備えのために遥かに多くの投資をするよう世界に向けて緊急に呼びかけるものである。報告書の8ページには次のように書かれている:

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この報告書で最も注目すべき点は、生物研究所の安全性を強化するための投資の必要性については何も言及してはいないことだ。致死的な呼吸器病原体が「偶発的または意図的に放出される」脅威については明確に警告しているものの、その行動への呼びかけ全体はそのような病原体がそもそも放出されるのを未然に防ぐことについてではなく、むしろそのような病原体への対応に大金を投資することについてなのである。

20191019日:ジョンズ・ホプキンス大学公衆安全センターは「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」およびWEFと共同で大流行についてのシミュレーション演習を実施した。ジョンズ・ホプキンス大学はこの出来事について次のように説明している:

同センターの最新の大流行シミュレーション「イベント201」は南米から野火のように広がり、世界中に大混乱をもたらした制御不能なコロナウイルスの発生の真っ只中に参加者たちを放り込んだ。「GNN」の架空のニュースキャスターが語ったように、免疫耐性ウイルス(愛称CAPS)は貿易や旅行に打撃を与え、世界経済を自由落下に追いやった。ソーシャルメディアには噂や誤報が蔓延し、政府は崩壊し、市民は反乱を起こした。

なお、このシミュレーションでは「制御不能なコロナウイルスの勃発」は中国ではなく南米となっているのだが、後者は次のコロナウイルスの勃発の可能性が高い場所として、長い間、見なされていた。これは極めて粗雑な誤りのように私には思える。

新型コロナウィルスが公式に検出され、発表されるわずか数か月前、20199月と10月に起こった上記の出来事が単なる偶然であった可能性は極めて低いと思われる。確かに、参加者のほとんどはこれらの研究やセミナーを実施した時点では新型コロナウイルスがすでに武漢で蔓延していることはまったく知らなかったのではないか。完璧な知識を持っている人たちは、おそらく、中国と米国における少数の諜報機関や公衆衛生の当局者に限られていた。

20191029日:アンソニー・ファウチ博士と生物医学先端研究開発局(BARDA)の所長リック・ブライト博士がミルケン研究所での会議に出席し、万能インフルエンザワクチンの必要性について議論した。司会者であり、ニューヨーカー誌の執筆者でもあるマイケル・スペクター氏は従来のワクチン技術から新しいワクチン技術への「破壊的」な飛躍に必要となる資源に投資するには十分な動機がないと繰り返し嘆いていた。ブライト博士は、インフルエンザやその他のウイルスのパンデミックと戦うための最も有望な新技術は「核酸ベースやメッセンジャーRNAベースの配列であり、世界中で迅速に共有できる」と述べている。

20191212日: NIAID/モデルナ(「プロバイダー」)からラルフ・バリック(「研究受領者」)への材料移転に関する契約書(105-107ページ目を参照)はノースカロライナ大学チャペルヒル校のラルフ・バリック教授によって署名された。この協定は、「NIAIDとモデルナが共同で開発・所有するmRNAコロナウイルス用ワクチン候補」について「mRNAワクチンのチャレンジ研究を実施するために」バリック博士に譲渡することを明記している。

Photo-3:この協定は、武漢市衛生委員会がWHO中国事務所に「20191231日に中国湖北省武漢市で検出された病因不明の肺炎の症例」を通知した日の19日前、ならびに、新型コロナウィルスのゲノムが発表された202015日の24日前に相当する20191212日にラルフ・バリックによって署名された。

ここで重要な点はラルフ・バリック博士の驚くべき経歴である。2013年からバリックは武漢ウイルス研究所(WIV)の科学者と協力してコウモリ由来のSL-CoV-WIV1およびSHCO15コロナウイルスの機能獲得研究を行っていた。葛星葉Ge Xing-Ye)氏と石正麗Shi Zhengli)氏との共同研究はピーター・ダザック氏とともに中国南部でキクガシラコウモリからこれらのふたつのウイルスを発見した直後に始まった。星葉、正麗およびダザックの各氏は2013年にネイチャー誌に「ACE2受容体を使用するコウモリのSARS様コロナウイルスの分離と特性評価」(原題:Isolation and characterization of a bat SARS-like coronavirus that uses the ACE2 receptor)と題する論文を発表した。歴史上初めて、多くの種類の細胞の表面にあるタンパク質(酵素)であるヒトACE2受容体と結合する野生のコウモリ由来コロナウイルスを発見したため、彼らは非常に興奮していた。

この重要な発見によりバリックは中国の同僚とともにこれらふたつのウイルスをヒトの気道に感染するふたつの新しいキメラウイルスを作り出す研究を始めた。その結果は2015年と2016年に発表された論文で報告されている。

1). A SARS-like cluster of circulating bat coronaviruses shows potential for human emergence (published in Nature Medicine)

2). SARS-like WIV1-CoV poised for human emergence (published in Proceedings of the National Academy of Sciences, or PNAS).

なお、その4年後、バリック博士は「NIAID/モデルナのmRNAワクチンでチャレンジ研究を行う」ための材料移転契約書に署名した。

モデルナと言えば、201624日、同社はマサチューセッツ州ケンブリッジのBancel S.らが取得した特許について独自の遺伝子配列(SEQ ID11652nt 2751-2733)に関する特許を申請した。

Frontiers in Virology 」誌の2022221日号で報告されている論文(MSH3 Homology and Potential Recombination Link to SARS-CoV-2 Furin Cleavage Site):

新型コロナウィルスのスパイクタンパクおよび MSH3

新型コロナウィルスのSタンパク質のPRRAフューリン切断部位をコードするヌクレオチド配列の特異な特徴はそれらふたつの連続したCGGコドンである。このアルギニンコドンはコロナウイルスでは稀であり、センザンコウCoVにおけるCGGの相対同義コドン使用度(RSCU)は0、コウモリCoVでは0.08SARS-CoVでは0.19MERS-CoVでは0.25SARS-CoV-2では0.299である(8)

12ヌクレオチド挿入のBLAST検索により、201624日に出願された米国特許9,587,003(マサチューセッツ州ケンブリッジのBancel S.らによる)に見られる独自の配列(SEQ ID11652nt 2751-2733)で100%逆一致した。

この完全一致が単なる偶然の一致である可能性があるのかどうかという問題については著者らは次のように述べている:

従来の生物統計学的解析ではこの配列が30,000個のヌクレオチドのウイルスゲノムにランダムに存在する確率は3.21×10^-11(約3兆分の1)であることが示されている。

また、2011年にモデルナのCEOに就任する前は、ステファン・バンセルは2004年から2014年にかけて武漢ウイルス研究所に新しいBSL-4研究所を設計・建設したフランスの診断技術関連の会社「bioMérieux」のCEOを務めていた。

理性的な大人たちは上記のすべてが単なる偶然の一致であると結論付けるようなことは決してないであろう。時系列と証拠を見ると、それらは新型コロナウィルスが2019年のある時期に武漢ウイルス研究所の研究室から漏れた、あるいは、意図的に放出されたことを明確に示している。

さらに、2019年の秋には武漢で感染力の強いSARSコロナウイルスの感染拡大が検出されたことを一部の主要関係者は知っていたことも書類上で明らかになっている。われわれはWEFWHO、そして世界中のBSL-3およびBSL-4生物研究所に通告する。

世界中の何百万人もの賢明な市民たちは、中国のコウモリ由来コロナウイルスを人間に強く感染させるため、新型コロナウィルスは武漢の研究所でフランスとアメリカのバイオテクノロジーを駆使して開発されたことを理解している。

ウイルスを人間に感染させるために、中国やウクライナ、英国、米国の生物研究所は危険な機能獲得と連続継代の手順を実行し続けていることが分かっている。

この危険極まりない仕事の根拠は「対抗措置」を作り上げることにあるとわれわれは理解している。つまり、このプログラムに捕獲された政府に対して何千億ドルにもなるワクチンを売りつけることだ。

WEFの感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)は新型コロナワクチンによる金儲けの主役であったが、この「仮想の未知の病原体」が既知の病原体となり、蔓延し始めた暁には疾病Xワクチンによって金儲けの主役としての地位を確立しようとしていることがわれわれには分かっている。

この金儲けについては何千万人もの人々が気が付いている。二度と騙されることはない。

10年以上にわたって、慎重で倫理的なバイオセキュリティの専門家たちはこれらの危険極まりない研究所を閉鎖するよう求めてきた。例えば、2014714日のロイターの報告書「How to fix U.S. biosecurity leaks?」をご覧いただきたい。いくつかの研究所を閉鎖して欲しい。

2018年、著名なウイルス学者であるエドワード・C・ホームズ、アンドリュー・ランボー、クリスチャン・G・アンダーセンらはネイチャー誌に「Pandemics: spend on surveillance, not prediction」と題する論文を発表した。この論文においてこれらの科学者は自然界のどのような病原体が進化し、人間に感染するかを予測することは不可能であると主張している。ホームズ、ランボー、そして、特に、アンダーセンが新型コロナウィルスの真の実験室起源を隠蔽する上で重要な役割を果たしたことは科学史上の大きな皮肉のひとつである。

予測の試み全体が偽りの口実に基づいているが、それには何億ドルもの助成金が投じられ、巨大な感染症予測産業の成長を妨げることにはならなかった。

こうした予測は動物宿主から人間へと飛躍し、進化を遂げる可能性が最も高いと考えられる動物由来ウイルスについて危険な機能獲得研究を行うための口実なのである。

 

ピーター・マッカロー博士と私は世界中のすべての賢明な大人の皆さんに危険な生物研究所の閉鎖を要求するべく団結することを強く求めたい。現在、疾病Xと呼ばれている「架空の未知の病原体」がこれらの研究所のひとつから漏洩する、あるいは、意図的に解放されるのを待っているなんてできない。このようなことが再び起こった場合、責任を有する当事者には重大な結果をもたらすであろう。

***

これで全文の仮訳が終了した。

世界経済フォーラム(WEF)では次回流行するとされる「疾病X」が議論されている。この疾病Xは前回の新型コロナよりも致死性が20倍も高いという。「疾病X」とは「未知の疾病」という意味である。それなのに、この疾病Xの致死性は新型コロナのそれよりも20倍も高いという。なぜ、このように具体的な数値が分かっているのか?素人のわれわれにとっては懐疑心が高まるばかりだ!

ところで、新型コロナ感染症の大流行を阻止するために使用されたmRNAワクチンは米国で60万人、世界中では1700万人の過剰死亡をもたらしたと推定されると報じられている。米国での過剰死亡数の推定値が報告され、記録されている死亡件数に30倍の数値を掛けてこれらの数値が得られた。この30倍という数値はCDCのワクチン有害事象報告制度(VAERS)において報告された件数と報告されなかった実際の件数との差がどれだけ開いているのかを示す数値として割り出されたものである。(出典:Casualties Mount to ~600K American, ~17M Globally: By PETER MCCULLOUGH, MD, Courageous Discourse, Jan/19/2024

疾病Xの致死性が新型コロナのそれに比べて20倍高いとすれば、全世界が疾病Xに見舞われると、単純計算で米国では1200万人、世界中では34千万人もの過剰死亡がもたらされることになるかも知れない。WEFの内部告発者は疾病X60億人を間引くための最終的な解決策になると認めている」と題された記事によると、これは世界の人口を減らすためだという。(原典:WEF Insider Admits ‘Disease X’ Will Be Final Solution To Depopulate 6 Billion Souls: By Baxter Dmitry News, Jan/17/2024

世界のエリートたちはいったい何を考えているのだろうか?

すでに起こった新型コロナの大流行とこれから起こるとされる疾病Xには極めて明白な類似性があることが指摘されている。それは何故か。そのひとつは、ふたつの事象に同じプレーヤーが関わっているからである。彼らには教科書がある。新型コロナで経験したデータがふんだんにあって、それに対応する手法が確立されている。彼らはシュミレーションを行う。ワクチンパスポートがなければ買い物もできず、外出さえもままならず、われわれ一般庶民は提示された規制策に対して何の反論もできずに、それに従わなければならず、違反すれば罰金を課されるといった専制的な社会環境に放り込まれるのではないか。

 

参照:

注1:Are We Being Conditioned for Another Lab Leak?: By John Leake, Jan/17/2024

 



2024年1月18日木曜日

戦争という金になり、しかも、楽な商売がガザに暗い影を落としている ― 米国とイスラエルの共謀の背後にある醜悪な真実が表面化

 

ガザで続いているハマス・イスラエル紛争の背景には資源の争奪戦が存在するという冷厳な事実を「戦争と天然ガス:ガザ沖の天然ガス田」と題して128日にご紹介した。そして、最近、それとほぼ同列に属する趣旨を報じる記事が現れた。これらは昔から語り尽くされてきたテーマであって、たとえ民主主義や人権、あるいは、自由の擁護を如何に雄弁に訴えていようとも、戦争が持つ隠れた動機があからさまになることが多い。

ここに「戦争という金になり、しかも、楽な商売がガザに暗い影を落としている ― 米国とイスラエルの共謀の背後にある醜悪な真実が表面化」と題された記事がある。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

副題:ブリンケンの裏切り:血に染まった外交と平和を訴える空虚な美辞麗句

Photo-1:「あんたの手は血で染まっている」という言葉でアントニー・ブリンケンの支援に関する言い訳は反対者たちによってかき消された

23,000人以上のパレスチナ人、主として女性や子供たちがすでに殺害されているガザにおける破壊の影で米国のアントニー・ブリンケン国務長官の言葉は空虚に響いた(19日)。廃墟の真ん中に立って、彼は民間人の犠牲者が「あまりにも多過ぎる」と非難の言葉を口にした。だが、彼の行動はそれとは別の物語を語っている。ブリンケン国務長官が実権を握っている米国はイスラエルの戦争マシーンに燃料を供給し続け、この大量殺戮をまさに可能にする武器を供給し続けている。空虚な美辞麗句と致命的な行動に見られる身も凍るような二律背反の状況は残酷な現実を露呈している。つまり、米国は外交を装って、政策変更の一撃で阻止できるであろう大量虐殺に加担し続けているのである ― その一撃は人命の尊厳を支持する「急進的な」変化となってくれる筈であったのだが。

ブリンケン国務長官が中東を舵取りする中、和平とガザ地区の恒久的な避難民の拒否というふたつの決まり文句は、今起こっている米国の福祉ならびに戦争への支払いとイスラエルへの武器供与とを背景にして、全く対照的である。これらの武器は防衛のための道具ではなく、包囲された住民に対して用いられる恐ろしい攻撃のための道具である。停戦を求める国連安保理(UNSC)の有意義な決議に対する米国による拒否権の行使は単なる政治的策略ではない。それは大虐殺を支持するものであり、その忠誠心はいったいどこにあるのかを明確に示すものだ。これは安全保障の問題ではない。これは何万人ものパレスチナ人の命を犠牲にして、一握りの連中に利益をもたらすために戦争を永続させようとするものだ。

ブリンケン国務長官が国際司法裁判所で大量虐殺の告発を拒絶したことから、偽善は明白である。これらの非難を無益なものとして退けることによって、米国は戦争犯罪を弁明する者としての役割をさらに強固にした。その姿勢はパレスチナ人の生命に対する裏切りであるだけではなく、米国が擁護すると称する人権と正義の原則そのものに対する裏切りでもある。一部の人々にとって戦争は儲かるビジネスであり、レイセオンやジェネラル・ダイナミクスのような企業は終わりのない暴力の連鎖から利益を得ているということをわれわれは身の毛もよだつような形で思い知らされる。米国にとっては、それがウクライナであれイスラエルであれ、金儲けは栄光ある前線作戦基地に提供した戦争マシーンによって残酷に殺害された無数の女性や子供たちの苦しみだけから得られるかのようだ。パレスチナ人や無実のスラブ人は、見たところ、米国の「ルールに基づく」宝くじにおいては「選ばれた人々」とは見なされないようだ。この宝くじにおいては救うに値すると見なされる命は恣意的に選ばれるのである。

Photo-2:アル・ジャジーラ紙からの惨たらしい統計数値

二枚舌の顕著な示威行為として、これらの兵器が明らかに戦争犯罪に使用された出来事の後でさえも、米国はイスラエルに武器を供給し続けている。例えば、20215月のガザにおける戦闘では、イスラエル軍は国際報道機関が入居している高層ビルを爆撃したが、これは明らかに国際人道法の違反であった。ところが、これを受けて、米国はイスラエルへの精密誘導兵器の武器売却に73500万ドルを追加承認した。同様に、イエメン戦争でのサウジアラビアとUAEの行動を理由に、サウジアラビアとUAEへの特定の武器の売却を停止すると米国が宣言していたにもかかわらず、イエメンの民間人に対する甚大な危害を含めて、有志連合による戦争法違反の数々を無視し、サウジアラビアに対して5億ドルの軍事支援協定を承認した。

この偽善をさらに悪化させているのはウオール街がガザ戦争のような紛争から大きな利益を得ているからである。金融アナリストたちは「ハマス・イスラエル戦争」を口実にして、ガザでの大量虐殺がもたらす経済的利益について航空宇宙・兵器産業の部門が受ける恩恵に焦点を当て、公然と議論してきた。人間の苦しみから得られる利益に関する荒唐無稽で、かつ、冷淡な計算は、「世界人権宣言」や国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持するとされる大企業の「人権に関する声明」とはまったく対照的である。人権への影響を無視しながら、戦争によってあからさまに暴利を貪ることはこれらの紛争を支える財政的および政治的支援システムにおける道徳的葛藤の根深さを浮き彫りにする。

地域的な緊張がくすぶり、より広範な紛争の亡霊が迫りくるこの荒涼とした風景の中で、ブリンケン国務長官の言葉は爆弾の轟音や戦死者たちの静かな叫び声に比べると、単なる囁きに過ぎない。米国の武器や外交の隠れ蓑によって支えられているこの戦争は世界が脆弱な人々を守れてはいないことを示す明白な証拠だ。それはかつては世界の覇権者であった米国の指導部を覆い隠していた道徳的権威が衰退しているをはっきりと示している。差し迫った疑問がある。つまり、例外主義と企業の貪欲さの祭壇でいったいあと何人の命が犠牲にならなければならないのか?どうやら、ガザで流されている血は邪悪な同盟の代償である。

Photo-3:ガザ南部のハーン・ユニスに対するイスラエル軍による爆撃の後、負傷して埃と血まみれのパレスチナ人女性が病院で負傷した少女を抱きしめている[Belal Khaled/AFP]

この筋書きは単なる政治的同盟にはとどまらない。それは世界的な紛争を引き起こす根本的な戦争による金儲けを明らかにする。軍・産・メディア複合体は飽くなき利益欲を持って、ガザの荒廃した風景の中に肥沃な土地を見いだしている。米国がイスラエルに供給している武器は単なる戦争のための兵器ではない。それらは人間が苦しむことによって繁栄し、儲かるビジネスモデルの生命線なのである。ガザの惨状は不幸な副産物というわけではなく、この利益主導の機構にとっては必要条件なのである。

この方程式における米国の役割は極めて重要だ。米国の支援がなければ、イスラエルはこれほどの規模の軍事作戦を維持するには甚大な苦労を強いられ、実際には平和的に共存し、平和を紡ぐことを余儀なくされていたであろう。米国の支援は受動的な態度ではない。それは米外交政策のより広範な目的や栄光ある前線作戦基地の目標に沿ったものであって、積極的、かつ、戦略的な選択なのである。イスラエルは、ロシアとの戦争におけるウクライナのように、槍の穂先として利用され、人命が消耗品の駒として扱われる地政学的チェスというより大きなゲームの代理として利用されている。

戦略的同盟と身勝手極まりない地政学的な駆け引きの影で、米国・イスラエル関係は複雑性や共依存関係、矛盾、等の模範として存在する。20世紀の歴史に深く根ざしたこの関係は軍事力や経済力、そして冷ややかな計算によって織りなされた複雑な相互作用の証である。スティーブン・ズーンズ博士はイスラエルに対する米国の対外援助を鮮やかに描き上げ、その規模と性質の両面における独自性を論じている。

2023会計年度までに与えられた総額1,240億ドルという驚異的な援助の規模は(イスラエルがいかに小さいかを考えると)二国間の歴史上ではもっとも実質的な対外援助プログラムであったことを示している。重要な点としては、この援助は1967年の戦争後に顕著に拡大し始め、借款から無償資金供与(一種の戦争福祉)に移行し、伝統的な支援者と受益者の間の力学を超越するまでにその関与が深化したことを反映している。この戦争金融・福祉金融はイスラエルの国庫に直接注ぎ込まれ、相互の(悪性)依存と戦略的連携関係を強調しており、他の国々に与えられる通常のひも付き支援とは大きくかけ離れている。

さらには、イスラエルに対する米国の取り組み方は注目に値する例外性によって特徴付けられている。米国の「寛大さ」を享受する他の受益国とは違って、イスラエルは一括払いで援助を受ける特権を享受しており、この金を米国の財務省短期証券に投資できることから、米国自身に対するイスラエルの財政的影響力を効果的に提供するお膳立てとなっている。この関係はさらに私的な領域にまで及び、米国の税控除可能な拠出と債券購入がイスラエルへの資金の流れを膨らませている。この金融力学は単なる取引上のやり取りではなく、イスラエルの地政学的・経済的立場を強力に支持し、かつての地域情勢ならびに世界情勢における極めて重要な役割を演じる地位を確固たるものにしている。

この政策の根源は単なる財政援助にとどまらない。それらの根源は米国の戦略的利益と絡み合っている。つまり、イスラエルは(自ら作り出した)不安定な地域において米国にとって重要な前線作戦基地として浮上したのである。認識されている米国の脅威に対する防波堤としての役割を果たす上でイスラエルの役割は極めて重要であった。本同盟は大規模な軍事的側面も持っている。イスラエルが米国製武器の実験場を提供し、そうでなければ公然と支援することが困難な政権や武装集団に対して米国製武器のパイプ役としての機能も果たしているのである。

クリントン政権はイスラエルを単なる受益者/従属国として見るだけではなく、米国の外交政策のより広範な目的に不可欠となる戦略的パートナーと見なし、この関係をさらに強化した。だが、この取り組みは矛盾をもたらした。つまり、著しい経済的・軍事的能力を持ちながらも、イスラエルは実際のニーズには不釣り合いと見れる程のレベルで援助を受け続けている。それは援助の相互作用、軍事的依存、そしてそのような危険で身勝手な政策のために瀬戸際にある世界における米国の外交政策のより広範な目的について重大な疑問を呈することになる。

この同盟は近視眼的には地政学的な利益に資するものではあるが、より広範な意味合いと危険性を孕んでいる。それは中東における地域的緊張を形成し、和平プロセスに影響を与え(妨害し)、両国の社会経済構造に影響を与える。ズーンズ博士が明らかにしているように、イスラエルの軍事的優位という幻想と揺るぎない財政支援を維持するという米国の関与は相互利益と真の安全と同じくらいに権力と政治についての関係をさらけ出している。皮肉なことには、われわれが目にするように、両国にとって大きな不安感を招いているのである。

Photo-4:イエメンのフーシ派はイスラエルや紅海を経由する西側の航路への攻撃を強めている。

しかしながら、このような関係には論争やこの種の状況によってもたらされる帰結が何もないわけではない。ズーンズ博士が指摘しているように、イスラエルに対するこの高水準の援助はその影響と持続可能性について両国内で議論を呼んでいる。ひとつの矛盾はこの援助がイスラエルの軍事力を確保する一方で、米国への経済的依存を深めているという事実にある。この依存はイスラエルの長期的な戦略的自律性、経済的回復力、そして究極的には主権国家としての存続について重大な疑問を投げかける。

米国においては、この大規模な援助プログラムは精査や批判なしに済まされることはない。特に、軍事援助の形で行われるこの財政支援は、特に、他の国際紛争や人権、国際法に対する米国の立場、等の文脈で考えると、米国の利益や米国に対する世界の認識に壊滅的な結果をもたらすであろうと批評家らが論じている。この議論はこの援助が如何にして米国の影響力をひねり出すのかにまで及び、イスラエル・パレスチナ紛争の力学やこの地域における公正な和平のためのより広範な探求にまで及んでいる。

この関係の意味合いは深く、多面的である。一方では、中東の地政学的状況を形作り、恐怖を与えてきたことは間違いなく、悪意ある戦略的パートナーシップを象徴している。その一方で、このような援助の本質、戦略的同盟、そして身勝手な国益とグローバルな責任との間に介在する複雑な均衡について重大な疑問を引き起こしている。

今後、本関係のニュアンスを理解することは依然として重要となる。それは単なる財政援助の問題ではなく、冷ややかな利害関係、歴史的な繋がり、共依存関係、等によって織り成される極めて複雑なタペストリーである。米国とイスラエルの同盟関係は、現状では、地政学と財政援助が戦略的目標と交差し合い、人間の苦しみと国家の運命を永続させる政策を形作る道しるべとなる。新興勢力や超大国にとっては、これは人間性が戦争に煽られた貪欲さによって取って代わられる時、如何にしてビジネスに関与しないでいるかという教訓として役立つであろう。

もっとも悲劇的な現実は平和には何の利益もないという点だ。ガザで敵対行為を停止することは戦争から利益を得ている連中にとっては利益には繋がらない。爆弾が投下され、命が失われるたびに、これは一握りの連中の金銭的利益に繋がり、永遠の紛争で繁栄し、戦争によって具現化される金儲けなのである。米国は供給者であるだけではなく、支援者としての役割においてこの致命的なゲームの鍵を握っている。非難が広範に広がっており、明らかな人道危機が存在するにもかかわらず、イスラエルへの継続的な支援は米国の外交政策を推進する優先事項の証なのである。

Photo-5:これは、1900年以降、20人の米国大統領が起こした58個の戦争についてテヘラン・タイムズが報じた特別レポートである。第2次世界大戦以降、米国は世界中で推定で2300万人を殺害した。バイデンは間違いなくこのリストに載るであろう。

これは不安な質問に通じる。いったい誰が得をするのか?進行中の悲劇からはいったい誰が利益を得るのか?その答えは武器製造業者、彼らを支持する政治家、そして、終わりのない紛争を提唱するタカ派の連中である。この利益の代償は何万人ものパレスチナ人の命であり、彼らの家が破壊され、彼らの未来は抹消されることとなる。

このことの道徳的な意味合いは実に深い。人権と民主主義の世界的リーダーとして自らを位置付ける国家である米国はこれらの価値観を露骨に嘲笑し、戦時の金儲けに根深く関わっている。米国が公言する理想とガザにおける行動との間に見られる矛盾は米国の外交政策における忌まわしい偽善をはっきりと浮き彫りにしている。現在進行しているガザ紛争における米国のイスラエルに対する支援は単なる政治的同盟ではない。まさにこれは道徳的な大失敗であり、抑圧された人々に対する組織的な残虐行為の是認でもある。

ガザ地区で繰り広げられている恐怖を目の当たりにし、国際社会は重大な岐路に立たされている。われわれは米国とイスラエルの同盟によってもたらされた残虐行為に目をつぶり続けるのか?それとも、われわれはこのあからさまな人命軽視に立ち向かうのか?人権を擁護すると主張し、あえてグローバル・マジョリティに講義しようとしてきた欧米の沈黙は単なる受動的な共謀ではない。それはこれらの犯罪の永続化に積極的に参加することに繋がる。この不正義に対して世界的で、かつ、目に見える形での行動が欠如している事実は人命に対する身勝手な利益に関して西側諸国は歪んだ優先順位を与えていることを雄弁に物語っている。

Photo-6:イスラエルはガザで広範な戦争犯罪を犯しているが、これは全てが米国によって可能になった。

ガザにおけるこの状況は世界は歴史から何も学んではいないことをはっきりと思い起こさせるものだ。ナチスによるユダヤ人の強制移住と大量虐殺を見ると、過去の残虐行為との類似性は紛れもない。極めて皮肉なことではあるのだが、世界はこれらの過ちを繰り返す運命にあるようだ。「二度と繰り返さない」という物語は、このような恐怖を未然に防ぐと誓ったまさにその国々によって促進され、さらにもうひとつの大量虐殺が展開されているのを目の当たりにすると、実に空虚に聞こえてくる。ガザ地区の悲劇は単なる地域紛争ではない。それはわれわれの集団としての人間社会の基盤そのものに挑戦する世界的な道徳危機なのである。生命の尊厳が忌まわしい宝くじによって決定されてしまう覇権主義的一極世界を二度と容認しないという、新しい「二度と繰り返さない」のモットーをわれわれは擁護すべきだ。

ガザでの悲惨な紛争はイスラエルに対する米国の支援によって悪化し、可能となり、支持されてはいるが、単なる政治的紛争ではない。これは人道的大惨事であり、道徳的な暴挙である。国際社会はこれらの行為を非難するだけではなく、法廷や保護措置を通じてこの暴力の連鎖を断ち切るために具体的な措置を講じなければならない。ガザの人々は空虚に響く同情の言葉以上のものに値する。彼らには正義と平和、そして、抑圧と戦争の影から解放された未来を希求する権利がある。今こそ行動を起こす時だ。世界は二度とガザを失敗させてはならない。

***

これで全文の仮訳が終了した。

この記事は一人の人間としての慟哭である。戦争が持つ金儲けという側面に対する嫌悪の表明であり、人間が何時までたっても学ぼうとはしないことに対する無念さの表明でもある。それは一人の人間としての存在が人類という集団社会に適切に、かつ、タイミング良く反映されない現実に対する苛立ちであり、やりきれなさでもある。

参照:

1The War Racket’s Shadow Over Gaza: Unveiling the Ugly Truth Behind US-Israel Complicity: By Gerry Nolan, The Islander, Jan/10/2024

 




2024年1月14日日曜日

素晴らしい復元力 ― 経済制裁にもかかわらずロシア経済は成長し、世界のトップ・ファイブに躍進

 

2014年のマイダン革命の直後、ウクライナ東部のドネツクおよびルガンスク両州のロシア系住民は住民投票を実施し、ウクライナ政府からの独立を宣言した。それぞれの州は「ドネツク人民共和国」および「ルガンスク人民共和国」と称した。国際社会からは未承認の両国の住民はキエフ政府軍による執拗な暴力に見舞われ続けた。ウクライナ政府はロシア語を公用語から排除し、年金の支給を停止した。そればかりではなく、非戦闘員に対する無差別な武力攻撃を繰り返した。両共和国政府の要請を受けて、住民の安全を確保するために、ロシアは、2022224日、ウクライナへの軍事侵攻を開始した。これを受けて、西側は今までに課していた経済制裁に加えて新たな制裁をさらに付け加えた。これらの経済制裁の中核的な目標はロシア経済を弱体化し、プーチンの国内人気を低下させ、最終的にはプーチン政権を退陣に追い込むことにあると喧伝された。

しかしながら、西側がロシアに課した経済制裁は奏功しなかった。ロシア側は西側が輸出を中断した諸々の製品に代わって、ロシア国内で代替となる製品の生産を開始したからである。また、西側諸国への輸出が中断されたロシア産天然ガスや原油の多くは新たな仕向け先として中国やインド、トルコへと向かった。2023年、中国は仲裁役を務め、イランとサウジアラビアとの国交の回復を実現した。これによって、サウジアラビアとロシアが主導するOPECプラスに加盟する産油諸国はほとんどが非米派となり、産油国は原油の売買において米ドルの使用を止め、当事国の自国通貨建ての輸出入を開始した。世界はエネルギー資源が乏しい西側とエネルギー資源が豊富なグローバル・サウスに二分されることになった。この動きは2023年に世界規模で経験した極めて大きな地政学的出来事であった。

ここに「素晴らしい復元力 ― 経済制裁にもかかわらずロシア経済は成長し、世界のトップ・ファイブに躍進」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。著者がいったい何を言いたいのかを詳しく理解しておきたい。

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Photo-1: Sputnik / Alexey Suhorukov

この展開は継続的な経済制裁や国際的な圧力の中で起こったことであり、それらの経済的制約の有効性に関する従来の見解に正面から挑戦するものとなった。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は最近の声明で2023年末のロシア経済の成長率は予測の3.5%を超える可能性があると明らかにした。この展開は単なる数値上の勝利ではなく、世界経済の舞台におけるロシアの大きな躍進を象徴している。

プーチン大統領はロシアが、今や、ドイツを追い越し、経済規模では欧州で第1位、世界で第5位に躍進したと強調している。

プーチン大統領は「購買力平価では欧州全体を追い抜いたが、人口一人当たりではさらに努力をしなければならない」と述べ、特にロシアが厳しい経済制裁と国際的な圧力に直面している現状を背景にして、この成果の驚くべき特質を強調した。「これは驚くべき成果である」とプーチン大統領は付け加えている。

ビジョン&グローバル・トレンド(Vision & Global Trends )のプラットホームを提供するグローバル分析国際研究所(International Institute for Global Analyses)の会長であるティベリオ・グラツィアーニは経済制裁と世界的な圧力の中でのロシア経済の台頭はそのような措置の有効性に疑問を投じているとして、この「ロシアの現象」に光を当てている。

ウクライナ・ロシア危機によって10年前に始まった経済制裁にもかかわらず、ロシア経済は驚くべき復元力を示していると説明している。「この10年間、ロシアの生産的な経済構造は経済制裁の衝撃波になんとか耐えてきた」とグラツィアーニは断言。

グラツィアーニは欧州の経済苦境をロシアと比較し、欧州連合(EU)は2007年から2008年にかけて起こった経済危機の余波に今でも苦しんでおり、モスクワからのエネルギー資源の喪失はエネルギー集約型の各国の産業部門に大きな影響を与えていると指摘している。

EUは遠い過去のものとなったあの危機を今でさえも乗り越えてはいない。約17年前の大危機を乗り越える上でEUが遭遇した困難さに加えて、EUのふたつの主要な製造国であるドイツとイタリアの経済的生産構造は劣化した」とグラツィアーニは述べている。

これは「ロシア現象」と呼べるのかと問われ、グラツィアーニはロシアが達成した回復力と成果は詳細な分析に値すると述べた。ロシア社会の結束、エリートたちと社会の関係、ロシアの広大な地理、等の要因が重要な役割を果たしている。さらには、BRICSやグローバル・サウスにおけるロシアの経済戦略はこの現象に寄与する極めて重要な要素でもある。

ロシアが(西側の)予想や経済予測を裏切り続ける中、国際社会はロシアを注視している。これらの一連の出来事は国際経済の展望を変えるだけではなく、経済制裁の有効性や経済の強靭性と戦略的計画が未開拓であることの可能性を示唆しており、格好のケース・スタディとしても役立ちそうである。

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これで全文の仮訳が終了した。

そもそもロシア・ウクライナ戦争はどのようにして始まったのか。私が理解している限りでは、ランド研究所の米国政府への提言によって始まったと言えるのではないだろうか。

2022312の「グローバル・リサーチ」の記事は「ウクライナ、それはランド研究所の戦争計画にすべてが記載されていた」と題されている(原題:Ukraine, It Was All Written in the Rand Corp Plan: By Manlio Dinucci, Global Research, Mar/12/2022)。2022312日はロシア・ウクライナ戦争が始まった同年224日から約半月後のことだ。同記事の主要な点を下記に記す:

米国の対ロ戦略計画は3年前にランド研究所によって策定された(「ロシアを倒す方法」:2019521日発行)。ワシントンD.C.に本社を置くランド研究所は「政策課題の解決策を開発するグローバルな研究組織」であり、50カ国から採用された1,800人の研究者やその他の専門家を擁し、75の言語を話し、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ペルシャ湾地域、他にオフィスが広がっている。ランド研究所の米国人従業員は25カ国以上に住み、働いている。

自らを「非営利、無党派組織」と称するランド研究所はペンタゴン、米陸軍、空軍、国家安全保障機関(CIA、等)、他国の機関、強力な非政府組織から公式に資金提供を受けている。

まず第一に、この戦争計画書はこう述べている。ロシア経済はガスと石油の輸出に強く依存しており、ロシア経済の最も脆弱な側面に攻撃を加えなければならない。この目的のために、商業的、金融的制裁を用いなければならず、それと同時に、ヨーロッパはロシア産天然ガスの輸入を減らし、米国産の液化天然ガスに置き換えなければならない。

ウクライナの軍国化は2014年のマイダン革命以降から西側の手で大っぴらに進められてきた。EUNATOはウクライナが将来EUNATOへ加盟するという錦の御旗の下でさまざまな形でウクライナに関与してきた。そして、ランド研究所が提言したように、ロシアを倒すために、米国はロシア・ウクライナ戦争を誘発させた。西側のメデイアは「ロシアが突然ウクライナへ軍事侵攻をしてきた、ロシアはけしからん」としてプロパガンダを開始した。米国とEU諸国はロシアに対して経済制裁を発動し、西側諸国がロシアからの原油や天然ガスを輸入することに制限をかけた。これらは多くの読者の皆さんにとってもまだ記憶に新しいことだと思う。

ただし、これらの対ロ経済制裁が所期の目標通りに首尾よくロシアを倒すことができたかどうかはまったく別の話である。本日の引用記事が述べているように、プーチン大統領は最近の声明で2023年末のロシア経済の成長率は予測の3.5%を超える可能性があると明らかにした。つまり、西側の思惑は大失敗したとプーチン大統領は述べているのである。

その一方で、ウクライナの現状は悲惨そのものである。米国の代理戦争に応じたウクライナはロシア・ウクライナ戦争を通じて領土を失い、インフラが破壊され、何十万人もの兵士を失った。何百万人もの女性や子供たちが国外へ避難することを余儀なくされ、ウクライナの人口は激減した。それでも、ウクライナ政府はまだ停戦交渉に就く気配を見せてはいない。

米国はウクライナに対する財政支援や軍事支援を本気で中断するのだろうか。今広く言われているのは「ウクライナ疲れ」だ。西側の政治家も一般大衆もウクライナに対する支援については非常に懐疑的になっている。そして、今年の11月には米大統領選がある。ウクライナでの代理戦争を推進してきたバイデン政権は続投するのか、それとも、下野となるのか。選挙がある年には何が起こるか分からない。

今もっとも注目しておきたいことがひとつある。2022714日のLenta.ruに掲載された「The historian named five factors indicating Russias victory in Ukraine」と題された記事である。その記事には興味深い洞察があった。1年半前のものではあるが、下記のように述べていた:

コラムニストのジャレッド・ピーターソンは、米国版の「アメリカン・シンカー」の記事で、西側諸国はウクライナでの紛争に勝利するであろうロシアの意志を過小評価していると述べた。また、彼はウクライナは米国よりもロシアにとって重要であるため、モスクワは間違いなくこの紛争に勝つであろうという意見を表明した。

つまり、ウクライナは米国からは何千キロも離れた地域であって、端的に言って米国にとってはウクライナはどっちに転んだとしても最終的にはどうでもいいことなのだ。米国がウクライナへの財政支援や軍事支援を続けるかどうかは国内の優先課題によって決定的な影響を受けることになろう。その一方で、ロシアにとってはウクライナがNATOへ加盟せずに、中立を保つことは国家の存亡に関わる最大級の関心事である。これらふたつの立場には目が眩むような大きな違いがある。それを考えると、どちらが勝つのかという予測は実に簡単な作業であったのだと言える。

参照:

1Remarkable Resilience: Russian Economy Grows Despite Sanctions, Becomes World’s Top 5: By Sputnik, Jan/12/2024