2021年10月27日水曜日

NATOの脳死状態がさらに進行

 

ソ連邦が崩壊し、共産圏側の軍事同盟であったワルシャワ条約機構軍が解体されたのは1991年であった。これで、世界を二分する当時の冷戦構造の一翼を担っていた東側の軍事同盟組織には終止符が打たれた。すでに30年も前の出来事だ。

共産圏の崩壊というまさに前代未聞の出来事によって西側の対ロ軍事同盟である太平洋条約機構(NATO)の存在理由も同時に消え失せてしまったかのようであった。しかしながら、この巨大な軍事同盟組織は自己保存をするために、外部の一般庶民には極めて不可解なものも含めてさまざまな理由を動員し、自作自演作戦を繰り返し、政治家や軍人ならびに御用学者による美辞麗句を並べることによって長い間存続し続けて来た。20年間も駐留しながらも当初の目的を達成せずに最近アフガニスタンから米軍とNATO軍を撤退することになった対テロ戦争もNATOの存在理由のひとつであった。そして、もうひとつの大きな存在理由は仮想敵国としてのロシアであったが、最近その主役は中国に代わってしまったようだ。

ここに「NATOの脳死状態がさらに進行」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有したいと思う。

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2年前、フランスのマクロン大統領がNATOは「脳死した」と宣言した:

「最近われわれが経験した状況のひとつにNATOの脳死がある」と、マクロン大統領がロンドンに本拠を置く新聞社に向けて語った。

彼はヨーロッパの同盟諸国に向けて警告を放ったのだ。冷戦が始まった際に西欧諸国と北米の安全保障を強化するために構築されたこの同盟関係を維持するために米国にさらに依存し続けることはもはや出来ない・・・と。

マクロンの発言以降、NATOの状況はさらに悪化している。

NATOの指揮圏内で二番目に大きな軍事規模を誇るトルコは反トルコ政府の姿勢を取っているPKK(クルディスタン労働者党)系のテロリスト集団を支援する米国との間で、今、諍いを引き起こしている。2016年のエルドアン大統領に対するクーデター計画が未遂に終わってからというもの(訳注:ロシアからの情報提供によってエルドアンは命拾いしたという経緯がある。トルコ政府は米国在住のクーデター首謀者のトルコへの送還を要請したが、米政府はこれには応じなかった)、トルコはロシア側へ傾き始めた。トルコはNATOからの攻撃に対して自国を防衛することが可能な最新式のロシア製対空防衛システムを調達した。それからというもの、米国・NATOとトルコとの関係は劣化するばかりである。

マクロンの診断は米国がシリアから米軍の一部を撤退させた際の発言であった。何とNATOの同盟国はこの米国の動きを知らされなかったのだ。そして、今年米軍がアフガニスタンから撤退した際も同様のことが起こった。NATO軍はアフガニスタンにおいて公式に軍事行動を行っていたにもかかわらず、同盟国に対する事前の連絡は何もなかった。米国に無視され続けることは軍事同盟を長続きさせるのに必要な信頼感を醸成することにはならない。

最近になって、AUKUS同盟が新たに出現した。これは米国の対中政策に焦点を当てたものではあるのだが、オーストラリアへの潜水艦輸出で巨額の契約を取り交わしていたフランスに大打撃を与えることになった。

バイデン米大統領がマクロンに電話をしてこの侮辱を詫びた際に、マクロンは独立したヨーロッパ軍の創設について米国の賛意を取り付けた。その声明は次のように述べている:

もっと強力で、かつ、適応力のある欧州独自の防衛軍を持つことは重要であり、そのことは米国も認識する。同防衛軍は大西洋をまたぐ安全保障、さらには、世界の安全保障に対して具体的に貢献し、NATOを補強することにもなる。

ブリュッセルのNATO本部の高官らは深い恐怖感を覚えながらこの声明を読んだことであろう。フランスが長い間提唱してきた米国から独立した欧州軍の創設はNATOの役割を削ぐことになるからだ。

NATOの元来の使命は欧州を米国の影響圏に置き、ロシアを欧州から締め出し、ドイツが台頭しないよう目を光らせていることであった。しかしながら、これらの使命は衰えてしまった。米国は今中国に対して関心を集中させているが、これらの方針は近い将来に変わることはないであろう。ところが、ロシアはもはや欧州には関心がない。ドイツは軍事的にはどうでもいい存在でしかなく、老化する人口を抱え、領土の拡大にはまったく無関心である。

ロシアが欧州に関心を示さないことを受けて、NATOはお気に入りの仮想敵国を失ってしまった。バルト3国やポーランドおよび英国は依然としてロシアを敵国として扇動し続けているが(それらのほとんどは国内に向けた政治的ポーズ)、イタリアやフランスおよびドイツではロシアがEU圏のどこかの国に侵攻する計画を持っているなんて誰も思ってはいない。

NATOの官僚はこのことをすべて承知している。しかしながら、自分たちのビジネスを維持するためにも彼らはロシアに対して暴言を吐き続けている。最近、NATOは何の正当な理由もなくNATO本部にて勤務するロシア外交官を追い払って、帰国させた。ロシア側はこの動きにはいい印象を持たなかった。ロシアは今後NATOを無視することに決意した程である:

モスクワと西側との間の破綻した関係を指し示す最近の兆候を受けて、ロシアは北大西洋条約機構との外交関係を中断する計画であるとロシア外相が月曜日(1018日)に述べた。
...

セルゲイ・ラブロフ外相は「来月の始めまでにロシアはブリュッセルのNATO本部におけるロシア代表部の活動を中断し、そのお返しとしてモスクワに滞在する同機構から派遣されているスパイに対しては外交官の地位を剥奪する」と言った。

...
今月の始め、NATO8人のロシア外交官に対して111日までにベルギーから出国することを求めた。その理由として彼らは諜報関係者であることを挙げた。また、同機構はロシア代表部の規模を縮小するよう求めてもいる。 
...
同機構との関係はすでに長いこと常軌を逸脱したものとなっていたと彼は言う。2015年と2018年にNATOはロシア代表部のサイズを縮小させたとのことだ。「軍事的なレベルで連絡を取り合う関係はついにゼロとなった」と彼は述べている。

彼が言うには、NATOはブリュッセルにおけるロシア代表部の外交官らはNATO本部の建物に入れなくするという「禁止措置」を採用したのである。われわれの外交官はこの建物に入らずに同機構の官僚らとの接触を維持することは不可能だと彼は言う。

ラブロフ外相は数日前にニューヨークでNATO事務総長のイエンス・ストルテンベルグと面会し、緊張緩和について議論したばかりであったことから、彼にとってはこのロシア人外交官の追放は実に不快な驚きであったという。

「ロシアとの関係を改善することについては北大西洋条約機構は率直な関心を抱いていると彼自身が言及していたばかりであることから、彼はあらゆる意味でそれを台無しにしてしまった」とラブロフ外相は述べている。

ロシアの外交官に対して彼がとった不意の動きの後、NATO事務総長は米国を訪問し、そこで彼は新たな出撃命令を受け取った。彼はファイナンシャルタイムズとの(有料購読者向けの)インタビューでこれらの出撃命令を公に喋った。アレックス・ランティアーが次のように分析している

昨日ロンドンのファイナンシャルタイムズと行ったインタビューでNATO事務総長のイエンス・ストルテンベルグNATOが中国に対する軍事的脅威を高めるよう求めた。彼の注釈はNATO同盟による極めて攻撃的な政策、ならびに、NATO内の帝国主義的強国間に表面化している分断といったふたつの焦点に新たな光を当てることになった。
...
ストルテンベルグはワシントンでバイデン大統領と会見したが、その帰路、同地のジョージタウン大学でも講演を行った。ロシアと国境を接する国々をNATO同盟に参加させるためにも、彼はNATOを「さらに強化し、もっと多くのことを行う」よう求めたのである。ホワイトハウスが始まりつつある対中戦争に足並みを揃えよとの呼びかけをEU各国に向けて発信している中、彼のファイナンシャルタイムズとのインタビューには何らの偽装も施されず、裸のままのメッセージであった。

ストルテンベルグは次のことも主張した。NATOはロシアだけではなく中国に対しても関心を向けるべきであると。彼は「ロシアと中国をアジア太平洋地域だ、あるいは、ヨーロッパだと言ってそれぞれを区別する考え方」を批判し、「これはひとつの巨大な安全保障環境であって、われわれは一緒になってこの課題に向き合わなければならない。潜在的な如何なる脅威に対しても毅然として対抗するにはわれわれの軍事同盟を強化することに尽きる」と付け加えた。

彼は公然と中国を非難し、中国はヨーロッパにおいても大きな安全保障上の脅威であると主張した。

ヨーロッパの納税者にその考えを売り込むことに幸運あれと私は言いたい。どう見ても、中国がヨーロッパにとって安全保障上の脅威であるとは見えないのだ。北大西洋条約機構の地理的境界に拘束されるヨーロッパの国々にとってはこの対中紛争に加わらなければならない理由はどこにもなく、どの国もそうする能力は持っていないことが明白だ。中国はヨーロッパのほとんどの国と良好な関係を維持しており、どの国とも交易を行い、ドイツは中国の最大級の顧客でもある。

NATOはかっては旧ソ連邦と対峙することに共通の関心を抱いていた国々によって設立されたものだ。

中国に関しては米国とヨーロッパの間では関心の度合いが大きく異なる。世界を舞台にして並外れた役割を演じる米国の目には中国は競争者として見えるのであろうが、ヨーロッパにおいては中国は攻撃性のないパートナーとして捉えられ、新たにさまざまな通商の機会をもたらしてくれる相手である。

マドリッドで開催される次回のNATOサミット(訳注:来年の6月に開催の予定)では米国は中国を次の数年間NATOの最重要課題に位置付けしようとする。しかしながら、ヨーロッパのNATO加盟国が奥歯に物が挟まったような言い方に賛同してくれるとは私には思えない。中国に対して実際に使用されるNATO軍の能力を新たに高めるために各国が予算を計上するようなことはないであろう。

NATOは死んだ。同機構はその目的や用途が目指した以上に存在し続け、その賞味期限はとうに過ぎている。

ヨーロッパに平和を維持するためにEU組織と並行して新たな軍事協力を枠組みすることの方が遥かに立派な意味を持っている。それはアフリカにおける利害を追求したいフランスが望むような攻撃的で帝国主義的な戦力であってはならない。ヨーロッパに平和を維持するには、EU軍の運用は参加国のヨーロッパ圏の領土内に限定することがもっとも妥当であろう。ドイツに誕生する新政権はこのような枠組み作りにイニシアチブを取ることであろう。

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これで全文の仮訳が終了した。

米国の単独覇権が破綻し、新たに中国が台頭し、多極的な世界が出現するとの将来展望が提出され、すでに久しい。われわれはその過渡期を今目にしているかのようである。帝国主義的な米軍の他国への干渉が次々と失敗し、撤兵を余儀なくされている。米国の国内経済は疲弊し、国内の不満が大統領選挙に向けられたり、外部の仮想敵国に向けられたりした。米国内の団結は難しくなる一方である。国家的な富の配分は偏り、貧富の差が拡大し、失業者が多く、人種差別的な暴力は衰える気配を見せない。そして、米国では「キャンセルカルチャー」が起こっている。この運動には肯定的な側面が当初広く受け入れられていたが、最近は余りにも過度な展開となっており、米国の伝統を破壊しようとするものであるとして否定的に捉えられることが少なくはない。米国では経済的、政治的、文化的、ならびに、社会構造的な分断が進行している。

米国内のこれらの様相を見ると、「NATOは死んだ」という著者の言葉がNATOの宗主である米国という国家の現状を率直に物語っているようにも思える。NATOの運営は米国の国内政治を濃厚に反映するものであって、NATOの運営だけを切り離して、まったく別様に解釈することなんて現実には不可能であろう。総じて、非常に不気味である。

ここで日本のことを考えてみよう。米中戦争が実際に始まるかもしれないといった切羽詰まった国際情勢が現出する中、日本の世論が日米安保条約にすべてを賭けてしまうことに私は大きな不安を覚える。もっと別の議論があってもいいのではないか。そう感じるのは私だけではないと思う。

参照:

1More Brain Death At NATO: By Moon of Alabama, Oct/19/2021

 

 


2021年10月20日水曜日

なぜ米国は台湾を守るために戦争をしなければならないのか ― ヤフーニュースが大バカ者の百姓を相手に解説

 

「ツキジデスの罠」として歴史上繰り返して観察されてきたことは覇権国は新たに台頭する強国との間で戦争を引き起こすことが少なくないという点だ。覇権国が勝つこともあるし、新興の強国に敗退することもある。

今世界中が注目している米中関係は今後どうなるのであろうか?米中関係の行方は、場合によっては、日本にとってはまさに死活的な問題となり得る。

2021年、米軍とNATO軍はアフガニスタンから撤退した。今や、中ロ両国がアフガニスタンを支援する動きを強めていると報じられている。それだけではなく、米国はイランを攻撃しないと決断したとも見られている。イランが上海協力機構の新メンバーとして最近迎え入れられたことがそのことを端的に示しているというわけだ。つまり、米国がイランを攻撃しないことが分かったからこそ、米国との核戦争の可能性を心配することもなく中ロ両国はイランを新しい仲間として上海協力機構に迎え入れることにしたのだ。こうして、2021年の地政学上での最大の出来事はアフガニスタンやイランが米国の影響圏から離脱し、中ロの影響圏に移行したという点だ。

とは言え、軍事的にも経済的にも、そして、国際政治の場においても依然として世界をリードしているのは米国である。一方、中国は経済的な力をつけて、米国に迫っている。中国経済は購買力ベースでは米国の経済規模をすでに追い越したという見方も少なくはない。さらには、中国における個人消費は今後どんどん増えて行くであろうと予測され、中国経済はさらに拡大する。中国経済が米ドルベースでも米国のそれを追い抜くことはもはや時間の問題であろう。また、最近の外交面では米中間の駆け引きの力はどうも中国の方が優勢に見える。その典型的な事例は今年の3月にアラスカのアンカレッジや10月にスイスのチューリッヒで行われた米中政府高官の会談に見られる。報道によると、米国は中国に対して譲歩に次ぐ譲歩を余儀なくされたようである。

ここに、「なぜ米国は台湾を守るために戦争をしなければならないのか ― ヤフーニュースが大バカ者の百姓を相手に解説」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

台湾を巡る米中戦争の議論は「米国の国益」という抽象的な言葉で語られているだけであって、実質的な議論をしていないではないかという指摘である。

***

ヤフーニュースは、木曜日(1014日)の朝、次のような見出しの記事を掲載した:

Photo-1:台湾の話になると、米国は戦争に直面する見込み 

この記事をクリックすると、違った見出しが現れて来る:

Photo-2:米国は台湾を防衛するために戦争を始める気か?

この記事については実際的にもっと適切だと思える見出しがある。それは次のようなものとなるであろう:「中国統一を妨げるために米国はなぜ世界戦争を始めなければならないのかに関して赤ん坊向けの指針」

この記事は手短で、偏っているだけではなく、大偽に満ちた概要を示している。台湾に関する中国側の立場については説明をしようともせず、「米国の国益」にとってなぜ台湾が重要であるのかを説こうともしていない。

それから、この記事の内容は本来ならばジョー・バイデンが言及するべき事柄であるのだが、その筋の専門家の言葉を引用している。

台湾を防衛するという断固たる決意の表明は武力侵攻を防ぐ最高の策だ:

「米国は台湾の防衛に駆けつけるのかに関しては曖昧さを排除しておく必要がある。米国の意図に関する不確実性は戦争のリスクを高めるだけだ。・・・バイデン大統領はそのことを宣言するべきである。われわれは台湾が中国から独立することを支援するのではなく、もしも台湾が中国の攻撃を受けるならばわれわれは台湾を防衛をすると」 ― ワシントンポスト紙のマックス・ブート、

台湾を防衛することによって米国は何の利益も得ないということを受けとめなければならない。「率直に言って、勝利が見込めない北京との戦争に引っ張り込まれることは米国は拒否すべきだ。そのことは前もってはっきりと告げるべきであろう。つまり、もしも台湾を武力で取り返すという何十年来の脅かしをついに中国が遂行するならば、ワシントン政府にとって許容できる選択肢は何もないであろう」 ― ガーディアン紙の防衛問題に関する上級記者、ダニエル・L・デイビス、

米国はできるだけ長い間曖昧な態度を取り続けるべきだ:

「超大国としての米国は世界規模の安全保障案件に関しては柔軟性を保っておくべきだ。台湾の国民が米国による安全保障を確保することについて明確に歓迎するかどうかは必ずしも明らかではない」 ― ナショナル・リビュー紙のテレーズ・シャヒーン、

中国が台湾を取り戻すことを放置することは米国の国益にとっては余りにも重要であり、放置しておくことはできない:

「中国の武力侵攻を目にしながら台湾を諦めることは類を見ない大失策となるであろう。・・・米国は大西洋西部に戦略的なスペースを持った国家が中国に征服されるのをただ眺めていることはできない」 ― ブルームバーグのハル・ブランズ、 

中国との戦争は米国の存続を左右するような脅威となるだろう:

「台湾を巡って撃ち合いに巻き込まれることはまさにパンドラの箱を開けるようなものだ。20年間にも及んだ中東における紛争さえもが特に何も起こらない平和維持活動と比べても大差がないものとして見えて来るに違いない。ワシントン政府と北京政府との間の戦いは核戦争にまで発展するかも。特に中国共産党が核兵器の使用は屈辱的な敗退の前に立ち塞がる唯一の策であると断じるならば、まさにそのような展開が起こる可能性は高い」 ― NBCニュースのダニエル・R・デぺトリス、

米国は自由世界を独裁主義から守る義務がある:

「米国とその同盟国は過去の75年間というもの規範に則った国際システムを構築し、それを防御してきた。そうすることによって前例を見ないような平和や繁栄、そして、自由を世界的な規模で実現してきた。私は米国人が中国のような修正主義的な独裁主義国家の脇に立ち、中国が武力によって隣国を呑み尽くす様子をただ眺めているような世界になって欲しくはない」 ― フォーリンポリシーのマシュー・クレーニッヒ、

また、米国には中国が侵略することを回避させる外交力がある:

「米国の決意をはっきりと示すには、台湾のデモクラシー・サミットへの参加に対して中国がさらに武力を誇示するならばバイデンは台湾を独立国家として直ちに承認し、「ワン・チャイナ、ワン・タイワン」の政策を新たに採用することを公式に表明することになると北京政府にはっきりと告げるべきだ。北京政府には戦争の開始は即座に台湾の独立を意味することを理解させなければならない」 ―  ザ・ヒルのジョセフ・ボスコ、

台湾を防衛する最良の策は投資であって、武力行使ではない:

「中国が台湾に見せつけている脅威をさらに高めることは北京政府が自国のためにやりたいと思っていることを成し遂げてくれる。台湾の人々は自分たちが曝されている危険性をただ単に思い起こすだけではなく、自分たちの将来に自信を抱くことができる明確な理由を必要としている。もしも米国の政策決定者が台湾を支援したいと言うのであれば、武力による脅かしを超してその先へと進む必要があろう。米国・台湾の経済関係を近代化し、台湾が貿易を多様化するのを支援し、台湾が国際的な舞台において尊厳を実感し、尊敬の念を勝ち取れるような場を設けてやる必要がある」 ― NPRのボニー・グレイザーおよびライアン・ハス、 

ある引用は他の引用よりも秀逸である。国民に対してワクチン接種を強制する国家はそうしない国家よりも独裁性が弱いとする捉え方は実際にはたいそう馬鹿げている。そのような国家はまさに精神錯乱または狂気に次ぐような存在であると言えよう。

しかし、この記事は実際問題としては皆が主要メディアで通常目にするものよりも反戦的な内容であることから、ヤフーは実にいい仕事をしてくれたと私は評価したい。

でも、誰もが「多分、われわれは核戦争を望んでいるのかどうかについては良く考えてみるべきだ」と言っていることを彼らはこの記事に含めている。その事実からも、この記事に欠けているのはより冷静な将来展望である。

なぜ台湾が問題なのか?

なぜわれわれはこのことばかりを議論しているのか?

メディア全体を見ても誰一人として次のことに取り組もうとはしていない:
つまり、台湾の占領が「米国の国益」に適うという考え方を具体的な言葉で解説すること。そして、 誰もその概要を明示しようとはしていないことをはっきりと言うこと。

つまり、われわれが実際に議論している状況に関しては誰も何の考えも抱いてはいないという現実にあなたは遭遇するのである。

こんなことが起こり得るのであろうか?実に曖昧な「戦略的な国益」に則って核戦争を議論していながら、国益については誰も具体的に説明することができないままでいる。

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さらには、私がこのことを指摘しなければならないことは私自身は嫌うところではあるのだが、何処の国であっても状況は実に厳しい。

米国や西側の他の国々は何処も問題を数多く抱えている。問題が山積しているのだ。我々は経済や政治の分野で、そして、社会においても非常に現実的な問題を抱えているが、それについて誰も解決策を提示してはいない。地球上の反対側に位置している何とかという国家を防衛するために戦争をすることについて議論するという現状は率直に言って説明がつかない。

もしあのヤフーニュースの記事について私が200語程度のキャッチフレーズを提言することが許されるとするならば、それは下記のようなものとなる:

台湾は中国の一部であって、米国が元々台湾を占領した理由は今や何の関係性もない。台湾の国家意識という伝説の下で民主的中国といった幻想を引き続き支援することではなくて、米国は中国の再統一についての話し合いを開始すべきだ。再統一という機会を与えられることの代償として中国側は平和的な譲歩をすることに吝かではないのではないか。そうすると、これを弾みにして、国際貿易に関わる事柄も含めて、西側は中国とは無関係ないくつかの紛争の解決にも繋がって行くことであろう ― ホークスワッチのアンドリュー・アングリン。

メディアにおいてはここで話している内容は核戦争に関することであると誰かがついに喋っていることを私は嬉しく思う。この状況は23年前にわれわれが居た場所から見ると長い道のりとなった。あの頃、国務省はドナルド・トランプの下で初めて武力を誇示した。だが、アフガニスタンにおける屈辱の経験は人々を冷静にさせたようだ。

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しかしながら、この議論は依然として現実からは大きくかけ離れており、酷い誤解を生み出しかねないような抽象的な領域に残されたままである。この事実は米国人の精神が如何に愚かなものであるかを物語っている。これらの人たちは、このコーラスを唱和する人たちは誰一人として上記の概念のどちらに関しても何を意味しているのかについては何の説明もすることがきないままでいるにもかかわらず、西側世界の人たちは一人残らず「独立した、民主的な台湾」は「米国とその同盟国にとって戦略的に重要である」とあなた方が信じ込んでくれることを願っているのである。

基本的な事実は歴史を知っている者ならば誰でもが分かっていることではあるのだが、米国のメディアにおいては誰もそのことを喋ろうとはしない。それは台湾は中国共産党政権の代替政権として設立されたという事実だ。米国の目標は台湾に「民主的な」政府を作り、それが何時の日にか中国全体を統治するようになることであった。今日に至るまで、台湾政府は中国全土を網羅する正当な政府であると公に主張して来た。これは秘密でも何でもないのだが、なぜか今やそのようには取り上げられなくなってしまった。それに代わって、「台湾」は独立国家であり、「中国」は台湾に侵攻し、征服を試みるだろうという話になっている。

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台湾は国家ではなく、米国に占領された中国の一部地域であるという事実は台湾を単に中国に返還するべきだということを必ずしも意味するものではない。しかしながら、台湾を返還しなければならない、あるいは、返還すべきではないという議論をわれわれが真面目に議論するに当っては、「台湾とは何か」をもっと正確に定義することから始めなければならない。それが正確に定義されたならば、それは多くの人たちに中国人の物の見方を把握させ、中国はそんなに悪党ではないとする見方も出て来るのではないか。現状はメディアにおいては台湾を正しく定義することを、どちらかと言えば、やんわりと禁じてきた傾向にあることの所以である。

単純に台湾を中国へ返還することは倫理的にもいいことだと私は思う。しかし、地政学的な判断は必ずしも倫理的良心に根差すわけではなく、米国は現在台湾をその支配下に置いていることからもその点は理解できる。それに代わって米国は再統一のプロセスの一部として中国側の譲歩を求めるべきなのではないか。だが、幻想の世界に安住するわれわれはそのような議論を行うことができないままであり、「台湾の独立を防衛するためには中国と戦争をするべきではないか」といった提言をしている。実に馬鹿げた、不条理極まりない呼びかけである。

米国は真面目な国家ではない。国家的な検閲への執着はそれがどんな議論であってさえも真摯な態度をまったく見せることはない。現実について議論を展開する代わりに、メディアや政治的エリートは物理的な現実に対して抽象的な結びつきだけで捉えようとし、幻想を論じているだけである。

まさに「死に瀕した帝国」そのものだ。

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これで全文の仮訳が終了した。

私の第一印象では、この引用記事の著者は厳しい意見を持っている。政治的信条によって米国社会が分断され、政治的正しさが舞台の正面に据えられ、伝統的な価値観が破壊され、言論の自由が抑圧され、新型コロナの流行によって職を失ったりとさまざまな理由から不満を抱く市民が増加している昨今、米国ではそういった姿勢や意見は今まで以上に共感を呼ぶのかも知れない。どこの国もさまざまな問題を抱えているが、ここで議論されている物理的な現実とはいったいどのようなものであろうか?多種多様な問題が何層にも積み重なっているに違いないと想像する。数え上げ始めたならば、恐らく、切りがないのではないかとさえ思える。結局のところ、「台湾は国家ではなく、米国に占領された中国の一部地域である」という見解は歴史的には、多分、正しいのかも。

中国との戦争も辞さないとするえらく強気な意見が飛び交う中、米軍は、今、非常に基本的な問題を抱えているという。そのことに関してここで再確認をしておきたいと思う。「米陸軍の悲劇」と題された65日の記事(注2)によると、米軍は、今、下記のような窮状に陥っている:

今日現在、米軍の訓練を受けた予備役は約1400万人に達するが、そのほとんどは1990年から2010年にかけて実際に兵役を経験してきた者たちである。しかしながら、この「黄金の予備役たち」は確実に齢を重ねて、「Xデイ」が実際に起こった際には突然「期限切れ」という状況になるかも知れない(訳注:たとえば、Xデイが10年後に起こったとしたら、黄金の予備役たちの年齢は40歳から60歳となる?)。ワシントンの政策は具体的に予期することが非常に困難であって、ホワイトハウスの対ロ恐怖症や対中恐怖症に基づいた報復主義的な考え方が強まっていることからも、問題の「Xデイ」は何時やって来ても不思議ではない。陸軍の人員補充に最適な年齢層であるとして常に受け入れられて来た17歳から24歳の若者たちは、今日、彼らがもっとも重要な任務に就くことには適してはいない。ペンタゴンは男性の志願者の71%および女性の84%が軍による試験には合格しないと言う。主に三つの理由が挙げられる。肥満、高校を卒業してはいないこと、あるいは、恩赦の対象にならない刑事犯罪の履歴。他の政府組織や民間企業が直面しているのと同様に、米軍もまた最近の若者が採用基準を満たさないという社会横断的な問題に直面しているのである。

何と言うことだ!

米国では肥満が蔓延していることは良く知られている事実であるけれども、その肥満が米軍にこのような窮状を引き起こしているとは!

これもまた、まさに誰も解決策を提言できそうにもない「さまざまな問題」のひとつであろうかと思う。

ところで、米国の現状について米国民は、今、どんな受け止め方をしているのであろうか?米国人と具体的に話をしたわけではないけれども、多くの一般庶民は、恐らく、毎日の生活に追われており、この引用記事に書かれている内容については何の関心もないのかも知れない。米中間で核戦争が起こるかも知れないという可能性に関して大多数が何らかの関心を抱いているならば、それは遅かれ早かれ社会的な動きとなって表面化して来る筈であると私は思うからだ。常識的に言って、核戦争は誰にとっても受け入れられない。

不幸なことには、台湾を巡る米国の対中戦争は米軍基地を抱えている日本にとってもまさに死活問題である。米中戦争の可能性から目を離せなくなってきた。

参照:

注1:Yahoo! News Informs the Stupid Peasants Why the US Needs to Go to War to Protect Taiwan: By Andrew Anglin, Oct/14/2021

2The Tragedy of the US Army: By Vladimir Danilov, NEO, Jun/05/2021

 

 

 

 

2021年10月14日木曜日

フィリピンが世界で初めて遺伝子組み換えの「ゴールデンライス」を認可

 

世界人口白書2021によると、2021年の世界の人口は787500万人で、2020年に比べて8000万人の増加。年率で1.0%の増加である。2030年は85億人となり、さらに2050年には97億人、2100年には109億人へと増えることが予測されている。

2021年の日本の人口は12610万人で、昨年度同様世界で11番目。前年に比べて、40万人の減少。2015年以降毎年0.2%ずつ減少している。この傾向がさらに50年間継続すれば、2071年の人口は11412万人となる。

急増する世界人口と食料の確保に関しては、国際稲研究所(IRRI)の野口明徳理事が著した「世界の人口動態とコメの需給そして国際稲研究所の新戦略」によると、その記事は下記のように述べている:

「世界における農村部と都市部の人口を年齢性別でみれば、1519歳からは全年齢帯において、男女とも都市部の人口が農村部を上回っている。この総人口に対する都市人口比率は1950年に30%であったが、2014年に54%、そして2050年には66%に上昇すると予測され、なかでもアフリカとアジアでは各56%と64%に到達すると予測されている。いずれの地域でも、その人口移動が気がかりであるが、アジアにおける人口およびコメ生産の大国である中国、インド、インドネシアの年齢性別人口分布をみると、とりわけ中国の農村人口が各年齢で都市人口よりも少なくなりつつあり、農産物生産能力を将来どのように維持できるかが懸念される。」

「日本に目を転じると、近い将来に農村人口は危機的状況を迎えるといえよう。食料自給率は2016年度のカロリーベースで38%と記録的な冷夏でコメが不作だった1993年度に次ぐ低水準であった。食料自給率は、どこまで下がるのか懸念される。」

IRRIの設立時の世界のコメ生産量は約1億5000万トンであったが、近年では約4億7000万〜4億8000トンに増加し、その90%前後はアジアで生産・消費されている。なお、このアジアには、1日1.25ドル以下で生活する極度な貧困層の世界の70%に相当する約7億の人々が暮らしている。」

ここで、国際稲研究所(IRRI)の概要についても簡単に触れておこう。同研究所はフィリピンのマニラから南東65kmのロスバニョスに所在する国際農業研究協議グループ(CGIAR)傘下の農業研究機関である。1960年に設立され、国際非営利研究および研修のためのセンターであって、イネに関する研究調査を行うことを目的としている。その貢献地域は世界全体である。

さて、植物生理学に関わる側面についても確認をしておきたい。植物の葉に含まれているベータカロテンはクロロフィルと共に光合成に必要な光を捕捉する機能を有しており、葉緑体で発生する活性酸素を消去し、葉緑体が太陽光によって日焼けをしないように保護するという重要な役割を担っている。光合成を行うイネの葉にはベータカロテンが含まれるが、コメの大半を占める胚乳は光合成を行わないのでベータカロテンは産生されない。つまり、通常のコメにはベータカロテンは含まれてはいないのだ。

健康の観点から言えば、食品から摂取されるベータカロテンはヒトの体内でビタミンAに転換されることから、非常に重要な物質である。ビタミン A の欠乏は、直接視覚・色覚に作用する物質の欠乏につながり、夜盲症、まぶしさの視覚障害から始ま り、さらには眼球乾燥症から角膜軟化症へと進行し、最終的には失明する。ビタミン A 欠乏症はアフリカや東南アジアを中心に世界 118 カ国において公衆衛生的問題とされてお り、特に発症のリスクが高いのは途上国の乳幼児と妊婦である。およそ114千万人の子どもがビタ ミン A の欠乏状態にあり、うち例年 25 50 万人が視力を失い、更にその半数は失明後 1 年内に命を落と していると推定される。また、毎年約60万人の女性が出産に関連した原因で死亡していると報告されて いる。その大部分は妊娠合併症によるもので、ビタミンAを含む母体の栄養状態改善によって改善が可 能である。

コメは世界の半数以上の人々の主食であり、アジア諸国では摂取するエネルギーの30–72%を占めるため、ビタミンA不足を解消する媒体としては効果的な作物である。

通常のコメからベータカロテンを含むゴールデンライスが開発されたのは1999年のことであった。研究者ら(チューリッヒ工科大学の植物生物工学者であるIngo Potrykusフライブルク大学の生化学者であるPeter Beyer)はベータカロテンを生合成する遺伝子を導入し、胚乳でもベータカロテンが生産されるように通常のコメを改変した。その翌年、この研究成果はサイエンス誌に発表された。その後、より多くのベータカロテンを含む「ゴールデンライス2」が開発された。既存のゴールデンライスのベータカロテン含有量の23倍(最大で37μg/g)も多く含むゴールデンライス2は、2005年、シンジェンタ社の研究者チームによって作り出された(原典:Improving the nutritional value of Golden Rice through increased pro-vitamin A content: By Jacqueline A Paine et al, Nature Biotechnology volume 23, pages 482–487, 01 April 2005)。

ここに、「フィリピンが世界で初めて遺伝子組み換えのゴールデンライスを認可」と題された記事がある(注1)。

食料を増産し、すべての人たちに十分に食料を届けることは国際社会にとって長年の重要課題である。それと並んで、食品を通じて健康問題と闘うことも非常に重要なテーマであり、ビタミンA欠乏症との闘いもそのひとつだ。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。

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コメは子供たちに栄養を補給することができると思われている。本当にそうだろうか?

Photo-1: ゴールデンライスは黄色い方のコメ。国際稲研究所の提供。

遺伝子組み換え作物は米国等においてはごく普通のことではあるが、一般的に言って、これらの作物は二つの目的のために遺伝子組み換えが行われている。効率性と利益性である。

ゴールデンライスは1999年にスイスで遺伝子組み換え技術によって短粒米にベータカロテンを含む形質を付与することによって作り出された。しかし、連邦政府の認可を得るためのこのコメの旅は遅々として進まず、反対意見も多かった。今週、フィリピン政府はゴールデンライスを認可したと発表し、認可を公表する国家の第1号となった。

ゴールデンライスはビタミンA欠乏症と闘うためにベータカロテンを含有させる遺伝子組み換え技術の恩恵を受けて作り出されたコメの品種である。この色素は赤っぽいオレンジ色を呈し、数多くの植物に見出され、中でもニンジンが良く知られている(この色素の名称はニンジンから由来)。ヒトの体はベータカロテンをビタミンAに変換し、ビタミンAは免疫システム、視覚、消化作用にとって重要な栄養素である。ビタミンA欠乏症は世界でもさまざまな地域において重大な健康問題を引き起こし、WHOの推定によると、全世界の就学前の子供たちの3分の1が影響を受けている。

フィリピンはゴールデンライスの推進に指導的な役割を担って来た。その開発やさまざまな試験はフィリピンで行われた。しかし、このコメが辿った道程は決して楽なものではなく、ある意味で過去数十年間にわたって観察されてきた遺伝子組み換え作物に関する議論と同一の状況に陥ってしまった。

賛同者はゴールデンライスの開発は命を救う行為であって、コップ一杯のコメによって毎日必要とするビタミンAの約50%を供給してくれる。支援者にはメリンダ&ビル・ゲイツ財団が含まれ、遺伝子組み換え品種の研究に資金を提供してきた。

反対者としてはグリーンピースといった団体が含まれている。中には遺伝子組み換え食品については原則的に反対しており、その食品が何であっても遺伝子組み換え食品には反対する者がいる。彼らの多くは、過去の歴史を見ると、農民や消費者に対してではなく、モンサントやシンジェンタといった大企業に莫大な利益をもたらすだけであって、開発のために必要となった何百万ドルもの資金はもっと費用効率が高い、栄養に関する他のプログラムへ投入するべきだったのではないかと指摘する。また、コメは典型的に白いものであると理解している地域において果たして黄色いコメが実際問題として人気を博するかどうかについては不確実性が存在する。 

フィリピン・スター紙によると、このコメは最近「規制当局の段階」を通過した。つまり、これは他の通常のコメと同様に安全が確認されたことを意味し、栽培に供する準備は整ったのである。

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これで全文の仮訳が終了した。

人間社会における食料の供給問題は永遠絶えることがない課題であると言えよう。日本では古くから治水を制御する者が天下を取った。稲作には水が不可欠であるからだ。そして、現代では砂漠の緑化においては灌漑設備が不可欠である。

惜しくもゲリラ兵の凶弾によって倒れた中村哲医師はアフガニスタンで地方の恵まれない人たちに医療行為を行うたたわら、非常に基本的な疑問を抱いていたという。「この国ではどうして毎日患者が増えるのだろう」と。答えは水だった。地域社会のために農業を復興させるためのインフラとして用水路を作った。2008年に完成した25キロにも及ぶ用水路の周辺では16千ヘクタールが緑化され、約65万人の自給自足が可能になったという。

食料を巡る課題は多岐に及ぶ。この引用記事が伝えるゴールデンライスはその一つに見事な解決策を提供しようとしている。完全な解決策になったと断言することは現時点では時期尚早かも知れないが、成功の可能性は高いのではないだろうか。高くあって欲しい。

参照:

1Philippines Becomes First Country to Approve GMO ‚Golden Rice’: By Dan Nosowitz, Modern Farmer, Jul/28/2021