2011年8月2日火曜日

ブカレストの夏

ブカレストの夏、ザルゼレが熟する頃

落下した桑の実がひとしきり通りを黒く染めていた。

その頃、市場では小生の大好物のラズベリー(ルーマニア語でzmeurăが出回る。期間は決して長くないので、その時期を逸しないように注意していることが大事だ。砂糖を加えてミキサーでペースト状にすると即製のラズベリージャムとなる。アイスクリームに添えても旬の味を楽しめる。

この頃は本格的な夏の手前であることから夕方になると雷雨に変わることも多い。ちょうど日本の梅雨の頃に相当する。

ラズベリーの季節が終わる頃、ザルゼレ(ルーマニア語でzarzăreの実は大きくなって赤みをさしてくる。ザルゼレはこのルーマニアの地では果実酒としてのツイカという蒸留酒の原料となる。スモモの仲間だ。ザルゼレの実がさらに赤みを帯びてくる頃、ブカレストの街は本格的な夏の暑さに支配される。

国民的なこのツイカという酒はそのほとんどが家庭で作られたものだと言われている。インターネット情報によると、1世帯当たりに許可されている量はアルコール度が100度相当で50リッター。例えば40度に仕上がったとすれば125リッターだ。日本酒の一升瓶で69本強となる。1年分とは言え大変な量だ。つまり、このように自家用に製造されたツイカがヘンリ・コアンダ空港の売店で売られているツイカの供給源となっていることになる。市場に出回っているのは工場で作られた大量生産による製品ではないのだ。そう言えば、ブカレストから日本へ発つ際にツイカを購入しようと売店に立ち寄っても品切れで買えなかったことも何回かあった。

7月16日撮影、ブカレストにて


暑さの中我が家の夏の味はというと、まず取り上げたいのはサラタ・デ・ヴナタ(直訳すると「ナスのサラダ」)だ。焼きナスの黒く焦げた皮を剥いて熱の通った身の部分だけを取り出し冷却するのを待つ。みじん切りにした玉ねぎとニンニクを加え、さらにはオリーブ油とレモン汁を加えてペースト状にしたもの。レモン汁の量は当地で手に入る結構大き目のナス(1個が250-300グラム位)4-5個分に対してもせいぜい2-3滴だけだと家内は言う。必要に応じて塩味で調節する。また、家庭によっては胡椒を加えたり、ゆで卵を加えたりすることもあるそうだ。この薄緑色のサラダはペースト状なのでスライスにしたパンであってもちぎったパンであっても、スプレッドとして非常に良く合う。多めに作った場合はこのサラタ・デ・ヴナタを冷蔵庫に入れて冷やしておくと、夏の暑い日にはお誂え向きの惣菜となる。簡単な食べ物ではあるのだが、不思議なくらいに旨い。お試しあれ!
            
真夏のブカレストは結構暑い。私たちのアパートは1階にあるので夏の暑さからは最も縁遠いことになるのだが・・・。階上では蒸し風呂のように温まってしまって、エアコンなしではやって行けないと思う。この夏(2011年)今までのところ最も暑かった日、外の最高気温は38Cにまで昇った。その時の最高室温が27.5Cだった。この時はさすがに日本から持参したうちわを使った。その後は高くても33C辺りで、室温もせいぜい26Cに落ち着いている。この建物は熱容量が大きく、日夜の温度変化はほんの僅かで驚くほどに安定している。

しかし、さらに地球の温暖化が進むとこの1階でさえもエアコンが必要になってくるかも知れない。さて、どうなることか。



 

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