2014年11月8日土曜日

プーチンから西側のエリートへ - 「パーテイは終わった!」


副題: 最近プーチンが行った演説は国際政治においては最も重要な演説のひとつだ - ファイナンシャル・タイムズ紙

1025日、英国のファイナンシャル・タイムズ紙はソチで開催されたヴァルダイ・クラブでの会議にてプーチン大統領が行った演説は国際政治においてはもっとも重要な演説のひとつであると評した、とタス通信が伝えた [1]
1029日、ClubOrlovというブログ・サイトがこの演説について詳細な分析を試みている。冒頭で、プーチンのことをどう思っているかには関係なく、また、たとえ太陽や月の存在と同様にプーチンについてはまったく考えることがないにしても、この演説は194635日にチャーチルが行った「鉄のカーテン」の演説以降ではもっとも重要な演説であると評している [2]
また、同日、アレクサンダー・メルクーリスという国際法や国際関係の専門家は「プーチン大統領は対外政策に関して、2000年の大統領への就任以降もっとも重要な演説を行った」と評した [3]
また、ミカエル・ゴルバチョフは「この演説はプーチンの演説の中では最高のものであり、もっとも意義深い演説であると思う」と述べている。
このように、専門家らはプーチン大統領が最近行った演説を高く評価している。
さて、米国政府の御用新聞はどう反応したのだろうか?
1024日、ワシントン・ポストの記事「Russia’s Putin blames U.S. for destabilizing world order」はその冒頭でこう述べた:冷戦以降でもっとも険悪になった米ロ間の危機的状況からクレムリンは一歩も退く意思はないことを明らかにして、この金曜日、演説の中でロシアのウラジミール・プーチン大統領が米国は自国の利益のために「全世界を再形成しようとしている」として米国を非難した。この演説はロシアの最高指導者が過去15年間に行った反米演説の中ではもっともその色を濃くしている。』 
米国側にとっては当然ではあろうが、ワシントン・ポストの記事はこの演説が反米的であるかどうかという観点からしか物事を見てはいないのが現状だ。
素人目から見ても、プーチンの演説はさまざまな反響を呼んでいることは明白だ。
当然の成り行きではあろうが、賛成もあれば反対もある。要するに、プーチンに賛成すれば米国に反対することになり、米国に賛成すればプーチンに反対することになる。図式的には非常に単純である。しかし、どちらの側に転んでも、それが今後の世界に与える影響は恐らく計り知れないほど大きいのではないか。
今日は、この演説の内容を覗いて、米ロ間で今どのような攻防戦が行われているのかを詳しく調べてみたいと思う。何時ものように、このブログでは日本の大手メデアでは恐らくは扱われてはいない、あるいは、表面的にしか報道されていないと思われる情報に注目して、少しでも深層に迫りたいと思う次第だ。

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まずは、英国のファイナンシャル・タイムズの論評を掲載したタス通信の記事 [1] から始めたい。

<引用開始>
「この金曜日に、プーチン大統領は米国が冷戦後の秩序を乱しているとして同国を非難した」と、レポーターのニール・バックリーが報告した。Material has 1 page

 

Photo-1: ヴァルダイ・クラブでのプーチン大統領、© Михаил Метцель/ТАСС

【ロンドン発、1025日、TASS】 ソチのヴァルダイ・クラブにてこの金曜日にロシアのウラジミール・プーチン大統領が行った演説は、ミュンヘンで同大統領が2007年に演説を行って、西側をすっかり驚愕させた例の演説以降外交政策に関する演説としてはもっとも重要な演説である、とフィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。
「プーチンは、金曜日に、米国は冷戦後の世界秩序を台無しにしているとして米国を非難し、国際的なガバナンスを新たに構築しようとしない限り、世界は無政府状態に陥り、無秩序極まりないものとなってしまうとの警告を発した」と、FTのリポーターであるニール・バックリーが報告した。
2007年の2月、ミュンヘンで開催された国防政策に関する会議でプーチンは米国が「あらゆる形で境界に踏み込んできており」、ヨーロッパでは新たな境界線を構築しようとしているとして米国を非難した、と同レポートは言う。
プーチンの演説は国際政治に関する著名な分析の専門家やジャーナリストが集まっているヴァルダイ・クラブで行われ、これはロシアではもっとも権力のある政治家として過去15年間に行った演説の中でも反米色の強い演説のひとつである、とバックリーは報告している。
と同時に、プーチンは、最近の出来事については米国とロシアは境界線を設けて、他の経済大国と共に「多極的」な方針に沿って国際的なガバナンスにじっくりと取り組むべきだとのシグナルを発したのだ。
「プーチン氏の強い語気は米国の聞き手を後方へ引きずり戻した」と、このジャーナリストは書いている。
ヴァルダイでの演説で「米国はロシアにとっては脅威ではないものの、ワシントンの間違いだらけの政策は相互の利益や信頼を損なうものである」と、プーチンは述べた。ロシアの指導者は「ウクライナ紛争に絡んでモスクワに対して西側が課している経済制裁は皆に悪い影響を与えており、間違った政策だ」とも述べた。
<引用終了>

上記に引用されている20072月のミュンヘンでのプーチン大統領の演説とは国防政策国際会議で行われた演説を指しているようだ。
同演説では、プーチン大統領は米国がロシアと国境を接するチェコスロヴァキアやポーランドにミサイル防衛システムを配備する計画について批判した。東へ東へと進むNATOの拡大は許せないと言ったわけだ。しかし、先制攻撃を基本的な軍事政策にした米国にとってはNATOの東方への拡大は先手必勝の論理と相通じるものなのかも知れない。
現在米ロ間で展開されている地政学的な綱引きは、一言で言えば、米国は「単独覇権」を如何に引き伸ばすかに注力し、ロシアは中国や他のBRICs諸国の後押しを得て「多極的な世界」を米国に認識させようとしていることから生じたふたつの戦略のせめぎ合いであると言えよう。
英国はかって大英帝国を築き、その恩恵に浴していた英国の政府や国民は自国の覇権が衰えを見せ始めた時、米国にその覇権が移行しつつあるという事実は決して認めようとはしなかった、と歴史家が指摘している。今の米国は英国がかって辿った行動をそのまま体現し始めているかのようだ。

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ClubOrlovというブログ・サイトを覗いてみよう。
ここに引用する記事 [2] はかなり長いので、部分的な転載になってしまう点をまずはご了解願いたいと思う。この記事が言わんとしている内容は営利団体としてのメデアに所属するジャーナリストが行う報告とは「ひと味もふた味も違うなあ!」というのが小生の印象である。

<引用開始>
英語圏に住むほとんどの人たちは数日前にソチのヴァルダイ・クラブで行われたプーチンの演説は見逃してしまったのではないだろうか。あるいは、この演説については何らかの情報を得ていたとしても、それを読む機会には恵まれず、その重要さにはまったく気づかなかったに違いない。(あなた方の便利さのために、演説の全容を下記に貼り付けておこう。)西側のメデアはほとんどすべてがこの演説を無視した。もしくは、その意味するところを歪曲しようとした。プーチンのことをあなたがどう思っているのかには関係なく、また、たとえ太陽や月の存在と同様にプーチンについてはまったく考えることがないにしても、この演説は194635日にチャーチルが行った「鉄のカーテン」の演説以降ではもっとも重要な演説である

この演説で、プーチンは突然ルールを変えた。以前は国際政治のルールはどんなだったかと言うと、こういう風であった:国家の主権という聞こえの良い虚構を維持するために政治家が公式見解を表明する。しかし、それは単なるショウであって、国際政治の実態には何の関わりもないのである。そうこうしているうちに、政治家たちは陰で秘密交渉を行い、実際の取り組みが決定される。以前、ロシアも対等に取り扱われることを前提にして、この取り組みに期待し、プーチンはこのゲームに加わろうとした。しかし、その希望は粉々に打ち砕かれ、この会議で彼はついに「ゲームは終わった」と宣言した。党の領袖や政治的指導者の頭ごなしに人々と直接話をすることによって、彼が西側のタブーを破ったことは明白である。

ロシア人ブロガーがプーチンの演説の中でもっとも際立つ点を次のように整理してくれた:

1. ロシアはもはやゲームには加わらず、些細なことで秘密交渉をするようなことはしない。しかし、もしもこれらの活動が集団的な安全保障を導き、公正さを運営の基盤とし、それぞれの側の利益を配慮するというのであれば、ロシアは真面目な話し合いや合意については何時でも参画する用意がある。

2. 世界中の集団的安全保障システムは今や壊滅の瀬戸際にある。国際的な安全保障を保証するものは何もない。それらをすっかり破壊してしまった国の名前はアメリカ合衆国だ。

3. 「新世界秩序」の構築は失敗に終わり、砂上の楼閣を築き上げた。如何なる種類の新世界秩序が構築されることになろうとも、それは単にロシアが決定するものではないし、その決定はロシアの参画なしに行われるようなものでもない。

4. ロシアは社会秩序に新機軸を導入するよりもむしろ保守的な取り組み方を歓迎するが、それらを導入することが正当化できるかどうかを確かめるためにそれらの新機軸を詳しく調査し、検討することには反対ではない。

5. ロシアは拡大するばかりの米国の「無秩序の帝国」によって創出された濁り切った水域で魚を釣ろうとする意志は毛頭ないし、ロシアは自分自身のために新しい帝国を構築する意思もない(ロシアはすでに十分に大きな領土を所有しており、ロシアの挑戦はそれを開発することにある。新帝国はまったく不要である)。かってはそうしたこともあったが、ロシアは世界のための救済者として活動する積りはない。

6. ロシアは自分たちのイメージに沿って世界を再形成する積りは毛頭なく、他国がそのイメージに沿ってロシアを再形成することも許容するものではない。ロシアは世界に対して自国を閉ざそうとするものではないが、ロシアを世界から締め出そうと試みる国は嵐のような報いを受けるであろう。

7. ロシアは無秩序が広がって行くことを望むものではなく、戦争を望んでもいないし、戦争を開始する意思もない。しかしながら、今日、ロシアにとっては世界規模の戦争が始まることはほとんど不可避に見えるところから、それに対する準備を怠ることなく、準備を継続して行きたい。ロシアは戦争を望むものではないが、戦争を怖がっているわけではない。

8. ロシアは新世界秩序を構築しようとしている連中の邪魔をしようとは思わない。かれらの取り組みがロシアの主要な利益を侵害するようになるまでは邪魔をする気はない。ロシアは彼らを傍観し、可哀そうにも頭にはいくつものこぶを作ることになるかも知れないが、彼らの様子を眺めることにしたい。ロシアをこのプロセスへ引きずり込もうとする連中は、ロシアの国益を無視したことによって真の痛みがどのようなものであるかを悟ることになるだろう。

9. ロシアの外交政策、ならびに、それにも増して国内政策においては、ロシアの力は一握りのエリートたちや彼らが行う秘密の取引に頼るものではなく、国民の意思に頼るものである。

これらの9項目に私はもう1項目を付け加えたいと思う。つまり、

10. 世界戦争を避けることができる新世界秩序を構築することは依然として可能である。この新世界秩序は必ず米国を含んでいなければならない。しかしながら、それは米国が他国と同じ条件で加わり、米国は国際法や国際的合意事項に拘束され、一方的な行動を差し控えなければならず、他国の主権を全面的に尊重する場合だけである。

すべてを総括すると、こうだ:
遊びの時間はもう終わった!さあ、子供たちは玩具を片付けて欲しい。今からは大人の時間で、意思決定をしなければならない。ロシアは用意ができているが、ロシア以外は?
<引用終了>

上記に引用した冒頭の要約部分の後にはプーチンの演説の全文が延々と続いている。しかしながら、あまりにも長い演説であるので、演説そのものについては割愛することにしたい。
この演説を読んでみると、プーチン大統領の思考の論理、歴史観、倫理観、等が見て取れる。多くの読者がどのような印象を持ったのかに関しては、このClubOrlovのブログの最後にあるコメント欄にて確かめることができる。一般大衆の大方のコメントはプーチン大統領の率直さを賞賛するものであり、同大統領のリーダーシップに期待を寄せていることが特筆される。
また、米国政府は上記の10項目のそれぞれに対して反論をしている [4]。この米国政府の反論については専門家の方の注釈を待ちたいと思う。

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次に、アレクサンダー・メルクーリスの論評 [3] の仮訳を読者の皆さんと共有したい。

<引用開始>
先週の金曜日、プーチン大統領は対外政策に関して、2000年の大統領への就任以降、もっとも重要な演説を行った。また、ミカエル・ゴルバチョフは「この演説はプーチンの演説の中では最高のものであり、もっとも意義深い演説であると思う」と述べている。
その演説でプーチンはロシアが執るべき道筋を示し、国際情勢の場におけるロシアの立ち位置を定義し、その外交政策の原則と目的を設定した。
西側の政治家や大手メデアの反応は哀れな程に不適切であった。また、この演説に対する反応は驚くほどに少なかった。一般的に言って、プーチンが言及したロシアや国際関係についての反響はなく、単にプーチンが米国に関して述べた事に対する反応だけであった。 
西側からのコメントはこの演説を間違った形で受け取り、圧倒的に米国の対外政策に対する痛烈な批判であると見なした。プーチンは米国の外交政策をプーチンに目標を定めているものだとして偽善的に非難したと見なしたのである。この間違った判断の背景にはひとつの想定が存在する:つまり、実際にはこの演説はこの問題にほとんど言及してはいないにもかかわらず、この演説はウクライナ危機の始まり以降米国がロシアに課した経済制裁に関するプーチンからの挑戦的な反応であると西側は受け取った。
事実、プーチンにとっては米国の対外政策に関しては言いたいことが山ほどもあり、彼が述べた内容は決定的に重要である。しかしながら、この演説の中でその特定部分のみに焦点を当てるだけで、この演説の理路整然とした全体の知的枠組みを無視することは完全に正当性を欠くことになるだろう。
プーチンは攻撃的な拡張論者や国家主義者的な扇動家あるいは西側の批判に挑戦する賭博好きとはまったく異なる人物として印象を与えた。また、他の人たちはプーチンを別様に描写しようとするが、そうしたプーチン像とも違っているのである。プーチンが米国に対して強力な反対運動を始めることを期待する人たちはこの演説には失望したのではないか。もうお気づきかも知れないが、プーチンが実際に米国に望んでいるのは対立ではなく協調である。
国際システムに関するプーチンの見方は非常に保守的だ。事実、演説の後である質問に答えた時に彼自身がそのことを認めていた。演説の始めから終りまで見られる文脈は安定を切望し、変化には不信の目を向ける典型的に保守派的なものであり、それは予見可能なルールに基づいたシステムの希求でもある。そのようなシステムでは国家の主権が尊重され、何らかの変化が生じた場合にはそれを封じ込め、何とか処置し、決してそれを歓迎することはない。 
プーチンの関心事は安定性にあり、これは彼の視点の特徴でもある。このことは古いスタイルのヨーロッパの保守派には瞬間的になじみ得るものであろうが、西側のリベラル派にとっては完全に異質に見えることだろう。つまり、良くも悪くもないということだ。今日、西側の人たちは各国を民主的だとか、専制国家的だとかに習慣的に分類しようとし、それに基づいて各国に対する態度を決めようとし勝ちである。しかし、プーチンはすべての国を同等に扱い、各国の国内問題は当事国が自分たちで決定するべきものだとの立場をとる。
すべてを支えるのは力の均衡であって、それによって維持された秩序のあるシステムを必要とする。プーチンにとっては、ソ連邦が果たした最大の貢献は米国に「釣り合いとなる重り」を提供することによってソ連邦は国際的な安定性を保証していたという点だ。演説の多くの部分はソ連邦が提供していた釣り合いとなる重りが失われたことに対する嘆きの言葉である。
この演説の中で米国の対外政策を批判する箇所は次の前提に基づいている:つまり、米国はソ連邦の崩壊の結果手にした思いもよらない地位によってすっかり毒されてしまい、国際システムの安定性を維持しようとする行動をとる代わりに、むしろ、大暴れをした。米国はそのイメージや国益にしたがって、さらには、その優越性を長続きさせようとして、世界を再形成するべく計画した一連の一方的な暴力行為を招じ入れたのである。 
そのプロセスにおいては秩序や安定性は脇へ押しやられ、結果として暴力と混乱が現出した。プーチンは次のようなリストを読み上げている:コソボ、イラク、アフガニスタン(彼は1980年代にソ連軍に対抗して米国が支援したイスラムの聖戦に関してその歴史を辿った)、リビア、シリア、そして今はウクライナ。これらの国家ではどこを取り上げても、米国が関心を示す前と比べて状況が改善した国はひとつも見当たらない、と彼は指摘している。
米国が気分を害するかも知れないような人目を引く言い回しを用いて、プーチンは米国のことを棚ぼた式に入手した金を浪費する新興成金になぞらえている。  
この演説はプーチンがロシアを何処に位置づけようとしているのかについて言及している。別の言い回しを用いて、ロシアは、国際法を防護することを除いては、指導的な位置を演ずる積りは毛頭ない、と彼は述べている。
この演説の始まりから最後までを貫いているのは法律文書や条約の文言ならびに裁判所の裁定に基づいた、より保守的な形で解釈される国際法に対する飽くなき献身の姿勢である。(多分プーチンが言いたかったことだろうとは思うが)自己中心的な西側の国際法の再解釈(たとえば、「保護する責任」)に見られるような創造的な取り組みは国際法の侵害を正当化しようとするものに過ぎないとして、これを拒絶している。
一方、プーチンのクリミア政策に関する西側からの批判に関しては、彼はもっとも伝統的な形で当該政策を防護している。すなわち、プーチンは国連憲章ならびに国際裁判所のコソボに関する助言的意見を引用して、反論の基盤としている。 
プーチンは弁護士としての訓練を受けており、これが彼の個人的経歴を特徴付けているが、このことは西側では余り知られてはいない。彼の文言から判断すると、これは少なくともKGBで彼が勤務していた頃と同程度に重要な形成要因となっている。
これは国際システムに関するいざと言う時の頼みの綱としてのロシア側の展望であり、その同盟国である中国やBRICs諸国と共に行動を起こし、可能である場合には米国を抑制し、国際法や世界秩序ならびに安定性を防護しながら、愚行に走ろうとする米国を救い出そうとするものである。
これは19世紀のヨーロッパの優れた指導者ならば即座に認識するような展望ではあるのだが、今日の米国や西側の政治指導者はとてもそれを理解し得ないでいる。こうして、彼の演説はほとんど理解されてはいないのだ。
これはロシアでは非常に人気のある展望である。ロシアは混乱の歴史を持っており、秩序と安定性は高く評価される。それはロシアの国益ともよく一致する展望である。新興の経済国としてその経済を発展させるための市場を維持するためには、ロシアは安定した秩序だった国際環境を必要とする。
非常に重要なことではあるが、この演説を通じてプーチンはロシアにとっては経済発展が最優先事項であり、政府はその妨げになるような報復措置はとらないと繰り返して述べている。
また、西側陣営以外の国々で非常に人気のありそうなもうひとつの展望は、政府や国民は国内政策に対する西側の干渉を以前にも増して警戒するようになっているという点である。
西側において、また、特に米国においては、これは大きなチャレンジとなることは避けられそうにない。
<引用終了>

この論評はかなり専門的な内容だ。
正直言って、私ら素人が学び取らなければならない点がたくさん網羅されている。この記事の著者が「西側の政治家や大手メデアの反応は哀れな程に不適切であった」と述べ、詳しくその理由を指摘している点はまさに秀逸であると言いたい。国際政治の現状をわれわれに明確に教えてくれている。
この論評は何度も繰り返して読み、その行間をより正確に理解してみたいと思わせる何かを持っている。
 
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今日は読者の皆さんと一緒にプーチン大統領の最近の演説に踏み込んでみた。
この演説は、Dmitry Orlovに言わせると、第二次世界大戦直後に英国のチャーチル首相が行った「鉄のカーテン」演説以降でもっとも重要な演説であると位置づけられている。それが本当にそうであるかどうかは、チャーチルの演説がそうであったように、時が経って初めて証明されることになる。たとえそんなに長い時間を待たなくても、英国のファイナンシャル・タイムズが評しているように、昨今の国際政治にとってはずば抜けて重要な演説であることは確かなようだ。
このプーチンの演説によって世界中の政治家が何か新しいことに気付いたとすれば、あるいは、それにも増して、われわれのような素人さえもがそれが何を意味するのかを理解し始めたとしたら、政治や経済におけるエリートを除いた残りの99%の将来は多少とも改善する方向にその向きを変えるのではないだろうか。 

参照:
1Putin's Valdai speech one of most important foreign policy statements: Oct/25/2014, en.itar-tass.com/world/756477
2 Putin to Western elites: Play-time is over: By Dmitry Orlov, Oct/29/2014, cluborlov.blogspot.com/.../putin-to-western-elites-play-time-is.... 
3Putin Just Made the Most Important Speech of His Career. The West Should Listen More Closely: By Alexander Mercouris, Oct/29/2014, russia-insider.com/.../putin_just_made_most_important_speec...
4The United States of America responds to Putin’s Speech!: By THE REIGN OF THE HEAVENS SOCIETY POST, Oct/31/2014

 

 

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