2016年7月25日月曜日

なぜNATOはロシアを最大の敵として見るのか?なぜイスラム国ではないのか?



日本ではいわゆる全国紙を購読することが当たり前のように受け止められている。全国紙が存在することによって、大都市や田舎の区別もなく、一般市民が同一の情報を共有できるということは素晴らしいことだと思う。

しかし、その全国紙が、読者には気付かれないような形で、強力なプロパガンダ・マシーンとしても使われているとしたらどうだろうか。一例を挙げると、「日本のメディアが誰にも喋って欲しくはないこと 」と題してある専門家の意見を711日に投稿した。そして、この投稿は思いがけない程多くの皆さんに読んでいただいている。

現実のさまざまな事象を見ると、実際には「この当たり前の事が必ずしも当たり前ではないんじゃないか」ということにうすうす気付いておられる方が決して少なくはないようだ。

このブログを読んでいただいている皆さんにはそれぞれの方々が購読している全国紙ではカバーし切れない部分を多かれ少なかれ補填してくれているものと期待する。日本の全国紙から見える世界の姿は海外の主要なメディアが描くそれ(つまり、米国の新資本主義、グローバリズム、等にとって都合のいい世界観)とほとんど変わりはないが、代替メディアが報じている実情とは大きく異なる。日本の全国紙では入手できないような情報を少しでも多くお届けすることによって、それらの情報が何らかのテーマを理解する上で読者の皆さんに有用であったり、何かの判断を下す際に中心的な、あるいは、補助的な役割を演じてくれるとするならば、当ブログを掲載する小生にとっては嬉しい限りだ。

本題に入ろう。

「ロシアの脅威」とか「ロシアの侵略」という言葉が毎日の様に聞こえてくる。なぜかと言うと、米国や西側の大手メディアが政府の方針に沿って、飽きることもなく、プロパガンダを繰り返しているからだ。

ロシアの国営企業のひとつで船舶業に従事するソブコムフロット社が、623日、75千万ドルの社債を無事に発行したことを受けて(社債発行を代行する企業として、ニューヨークのDTC,ブリュッセルのユーロクリアーならびにルクセンブルグのクリアーストリームが関与)、米国の対ロ経済政策が緩和され始めたのではないかとの観測が出ているが、これはまだほんの氷山の一角に過ぎない。米ロ間の情報戦争はしっかりと続いている。特に、米国から発せられる情報はそれこそあらゆる機会をとらえて、休むこともなく、毎日繰り広げられている。日本もその戦場のひとつだ。しかも、重要な戦場のひとつとなっているようだ。

前の投稿(719日の掲載分)では、最近ポーランドのワルシャワで開催されたNATOのサミットに関するロバート・パリーの意見をご紹介した。28ヶ国の首脳が集まったこのNATOサミットを評して、彼は「狂気か、それとも嘘の塊りか? NATOはロシアに関して偽りの物語を再び確認」と題してこのサミットを酷評している。

ロバート・パリーは、ウクライナ危機について当初から独自の詳しい報告を行い、調査報道に徹してきたジャーナリストのひとりだ。つまり、ワシントン政府が喧伝したいウクライナ情勢に関する公の筋書きからは完全に独立して、自分が調査し、詳しく分析して辿りついた結論を報道してきた。彼の報道の内容は政府が一般市民に信じて貰いたい筋書きとはまったく違う。これこそがジャーナリストに期待されるもっとも基本的な機能であることは言うまでもない。

ここに「なぜNATOはロシアを最大の敵として見るのか?なぜイスラム国ではないのか?」と題された最近の記事 [1] がある。著者はロシアに活動の本拠を置くアイルランド人のブライアン・マクドナルドだ。この指摘もNATOが一般大衆に信じて貰いたい内容とはまったく異なる、著者独自の意見を述べようとしたものだ。この著者の意見は先日ご紹介したワルシャワでのNATOサミットに関するロバート・パリーの意見とはその切り口がまったく異なるが、NATOについての論評としては重要な要素であると思う。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。


<引用開始> 

この週末ワルシャワで開催されたサミットで発表された声明によると、NATOはロシアをISISよりも大きな脅威であると見なしている。もちろん、この声明はひどく馬鹿げたものであるが、一皮剥いでみると、こういった偽りの言葉の使用は非常に歪んだ感覚を生み出す。

グレブはダブリンに住んでいるロシア人の学生である。最近、我々の共通の友人からの要請があって、彼の大学での論文の作成に支援をして欲しいと私は頼まれた。彼の論文はヨーロッパにおいてはNATOへの加盟に抵抗してきた数少ない国のひとつであるアイルランドの状況やその理由に焦点を当てようとするものだ。アイルランド人の殆んどは自国が周囲の国々とは違うんだということについて大層誇りに思っている。

私自身もアイルランド人の一人であるので、英国や欧州大陸の数多くのエリートたちがNATOを何か素晴らしいものであるかのように受け止めている様子を見ると、私は実に複雑な気持ちにさせられる。結局、我々自身の関心からは、多くの場合、程遠い事柄にしか関心を抱こうとはしない外部勢力(つまり、米国)が君臨することにいったいどれだけの栄光があると言うのだろうか?
西ヨーロッパが受けている脅威としては、現時点においては、イスラム原理主義や不安定化した中東がもたらす副次的な影響が最大級のものであることは明らかだ。しかしながら、米国はこれらの課題に関してはどちらかと言うと無関心のままであって、奇妙なことには、ロシアにその焦点を当てている。

ところで、グレブは先週ワルシャワで開催されたNATOサミットの後で私が何かを見落としていた事に気付かせてくれた。彼には借りができてしまった。土曜日(79日)の午後、NATOはふたつの重要な声明を発表した。最初の声明は「北米・欧州の安全保障に関するワルシャワ宣言」と題され、これはポーランドの首都で合意された中心的な事項を概説したものだ。不思議なことに、かつ、大変興味深いことには、この宣言はISILをたった一回言及しているだけであるにもかかわらず、ロシアについては4回も言及している。


実際の政策:

結局、あの宣言は前菜だった。2時間後にメインコースが登場した。「ワルシャワ・サミット・コミュニケ」と題されて139項目を網羅し、多くの項目は極めて長文である。全体として、加盟国が合意した内容の要約は驚くべき長さとなっている。何と16,000ワードだ。この長さはその内容の面白さでは抜群とも言えるロアルド・ダール著の「チョコレート工場の秘密」の半分以上にも相当する。この文書においては、ISILは12回言及されているが、それとは対照的に、ロシアという言葉は58回も現れる。

ということで、グレブからの電子メールの表題は「なぜNATOはロシアを最大の敵として見るのか?なぜイスラム国ではないのか?となっている。

私の答えは要約するとこうだ。

もちろんのこと、もっとも主要な理由は独自のスタイルを持ったイスラム国(IS、あるいはISISまたはISIL)を相手にして戦うということはまったく金にはならないという点にある。先ず第一に、NATOの目的は金を搾取することにある。NATOが存続することによって、非常に心地のよいライフスタイルを維持し、自家用ジェットで世界中を飛び回り、直接的にあるいはシンクタンク網を通じて高額の報酬を約束するような仕事を作り出す機会をエリートたちに提供する。

ここで、まずは物事をはっきりとさせておきたい。ISILと交戦するには潜水艦や核装備は要らないが、ロシアとの想定上の戦いを遂行するにはそれらの装備が必要となる。ひとたびそのような衝突が起こってしまうと、核弾頭が登場することによって人類の文明は終焉となるといった議論はNATOにとっては関係がない。なぜならば、NATOは、実際には、ロシアとの核戦争を望んではいないからだ。その代わりに彼らが何を狙っているのかと言うと、米国の軍事費を高レベルに維持するためにロシアを非常に好都合なならず者国家として使いたいのである。米国の軍事費は、「対テロ戦争」のさ中にあった2000年から2009年までの間、毎年9パーセントも増加し続けた。

このような非常に潤沢な軍事費の膨張は当初はオサマ・ビン・ラーデンを排除するため、また、暫くしてからはサダム・フセインを国際政治の舞台から抹殺するために正当化された。これらの二人が排除されてからは軍事費を散財することは止めて、寛大過ぎる程の予算は9/11以前のレベルに低減されるものと誰もが思ったことだろう。


金、金、金、・・・: 

問題は余りにも金びたりに依存し過ぎていることだ。軍事費は今や米国の裁量支出の54パーセントを占め、ワシントン政府の歳出17パーセントを占める。これが多くの人たちの収入源となり、広範な産業を維持している。それと同時に、ロシア は今年は軍事費に国家予算の約19パーセントを充当している。この状況は米国の状況と同様に浪費以外の何物でもなく、ばかばかしい限りである。しかしながら、大きな違いが存在する。ロシアはどの国が脅威であるとか、何が脅威であるとかに関してヨーロッパ諸国に対して処方箋を書くようなことはしていない。

もっとも単純な事実を挙げると、全世界における上位8位までの防衛産業における契約企業の内で6社が米国の企業である。これらの企業は、合計すると75万人を直接雇用している。それに加えて、他のさまざまなサービス業や供給産業では何百万人もの人たちがこれらの大手軍需企業からの恩恵に浴している。武器弾薬の出費が幾らかでも減少すると、これらの職場の多くが影響を受け、米国中の都市に失業をもたらすことになる。そして、失業者はすでに10年も20年も前から起こっている産業の空洞化に見舞われている、いわゆる「ブルーカラー」地域に集中する。これらの地域の多くは大統領選の度に勝利政党が民主党と共和党との間を変動する州に位置している。失業を是認するような政治家は誰であっても自分のキャリアーを犠牲にすることになるのが落ちだ。

NATOはヨーロッパの組織であることを念頭に置いて率直に考えて見ようではないか。今、ヨーロッパの安全保障にとっての最大級の危険性は中東に由来している。昨年、百万人を超す難民がドイツへやって来た。これはヨーロッパ大陸の全域に政治的ならびに社会的な不安定をもたらした。この出来事のほんの一部でさえもロシアのせいであるとは言えないのである。しかしながら、新たにやって来たこれらの人たちの多くは、イラクやリビアといった米国が破壊した国々からやって来た。また、最近パリやブリュッセルにおいて引き起こされたテロ行為に関してISISが犯行声明を出しているという事実についても留意しておきたい。言い換えれば、ISISはNATO圏の内部で殺人を行っている。ロシアはそのようなことはしていない。

それにもかかわらず、NATOは引き続きロシアに執着している。それは巨大な軍事予算を維持するためのものであり(その予算額はポーランドの名目GDPよりも大きい)、ワシントン政府は「値の張る」敵国を必要としているからだ。当面、ロシアがぴったりだ。

ISISとの戦いは高価な武器を必要とはしない。それに代わって、地上軍の投入が必要となる。これは国内政治のコストを高めこそすれ、財政的な見返りは非常に僅かだ。それとは対照的に、モスクワと四つに組むことは心地良い毛布に包まっているようなものだ。一般大衆には分かりきっていることではあろうが、実際の戦争にまで進むことはどう見てもあり得ない。それでも、このような状況は軍需企業にとってはとても儲かるのだ。 

ツイッターでブライアン・マクドナルドを追跡しよう: @27khv

免責条項: 上記の見解や意見はあくまでも著者のものであって、RTの見解や意見ではありません。

<引用終了>


米国の政治家や国防省は実際にはロシアとの戦争を望んではいないという見方はしばしば見かける。しかし、たとえそれが真の意図であったにしても、毎日続けられている情報戦争は当事国間の感情を損なうばかりである。火遊びを続けることは非常に危険だ。すべては人の行動であることから、誤解や計算ミスは何時でも、また、何処でも起こり得る。偶発的な軍事的接触が引き金になるとか、システムの誤作動から核ミサイルの応酬へとエスカレートする可能性が未解決のまま残されている。ノルウェーの沖合に潜む米原潜から発射される核ミサイルは15分程でモスクワに到達する。ミサイルが発射が確認されたならば、ロシアはその数分以内に報復攻撃をしなければならない。非常に切羽詰まった瞬間となる。米ロ間での軍事的緊張が続くと、両国は相手が先制攻撃を仕掛けてくるのではないかと疑心暗鬼にかられる。誤解や計算ミスに起因するミサイルの発射を全面的な核戦争には導かない何らかのハードウェア的な安全装置が米ロ間に設置されているわけではない。今我々は危険極まりない世界に住んでいるのである。

1995年のことだ。ノルウェーの沖合から発射されたオーロラ観測用のロケットが米原潜から発射された核ミサイルではないかとしてロシア軍に緊張が走った。この状況は大統領に伝達され、仰撃用の核ミサイルの発射を指令するために用意されているブリーフケースに、史上初めて、電源が入れられた。幸いにも、飛行コースが北へ逸れていることが間もなく判明し、モスクワを狙った核ミサイルではないかとの疑念は急速に晴れたという。

この事例は、疑心暗鬼に襲われたまま毎日を過ごしているミサイル監視施設に勤務する将校や専門家たちがいとも簡単にとんでもない誤解に陥る可能性があることを示している。これは敵の核ミサイルではないとする確信が得られるまでは、依然として疑ってかからなければならないとする軍事的必然性によって支配された精神構造から導かれたごく当たり前の結果であろう。

米ロ両国の政治家やエリートたちにとって人為的な間違いや誤解の可能性を限りなくゼロに近づけることが現在ほど強く求められたことはない。問題は米国の好戦的な政策決定者や政治家、軍人、ならびに、エリートたちがこの問題に関してどの程度の自覚をもっているのかだ。常識的な理解に基づいて率直に言えば、残念なことには、多くを期待することは出来ない。現状では、核戦争の脅威は決してゼロではない。

米国とロシアの政治家の言動や行動には決定的に異なる相違点がひとつある。ロシアは国際間の問題を外交を通じて解決しようとする。一方、米国は軍事力を使おうとする。この違いは我々一般庶民の目の前でさまざまな形で毎日のように繰り返されている。


♞  ♞  ♞

米国はEU諸国や湾岸諸国に武器を売りつけることに余念がない。ロシア様様であろう。日本に対しても同じことだ。北朝鮮の核実験やミサイル実験は米国の軍産複合体にとっては非常に望ましい状況であるに違いない。高価な軍需品を韓国や日本へ売りつけるきっかけとなるからだ。
上記のブライアン・マクドナルドの記事が言いたいことを補填する意味から、一例を覗いてみよう。

たとえば、ここに「国務省:11ヶ月間でGCC諸国へ330憶ドルもの武器を売却」と題した今年3月の記事 [2] がある。その記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。

この記事は米国務省が流した情報だ。要するに、国務省としては中東における軍事的な意味がどうであれ、「米国が引き起こした中東諸国の不安定化の成果として、これだけ儲けたよ。しかも序の口だよ」と言って、自慢しているかのように私の目には映る。皆さんはどう感じていらっしゃるだろうか?


<引用開始>

【ドバイおよびワシントン発】 米国務省発表の数値によると、同省は20155月以降アラブ湾岸諸国に対して330憶ドルに相当する武器の売却を促進した。

国務省の政治や軍事問題を担当する部門のスポークスマンであるデイビッド・マクキービーによると、湾岸アラブ諸国協力理事会(GCC)に加盟する6カ国は大陸間弾道弾防衛施設や攻撃用ヘリ、最新式のフリゲート艦、対機甲ミサイル、等を含むさまざまな武器を受け取った。

「昨年の5月に開催されたキャンプ・デービッドのサミットで湾岸諸国のパートナーと交わした約束に沿って、武器の輸出を促進するために、我々はあらゆる努力をしてきた。あれ以降、国務および国防の両省は330憶ドルを超す武器をGCC6カ国に向けて輸出することを承認した」と、マクキービーはディフェンス・ニュース紙に語った。

「これに加えて、米政府ならびに産業界は2015年に4,500発の精密誘導兵器をGCC諸国へ納入した。これには米軍の在庫から直接取り出された1,500発が含まれている。これは我が軍のニーズに基づいて採用された特別な計らいである」と、彼は付け加えた。

米政府としては武器の輸出やその他の安全保障関連の活動を通じてクウェートやカタールとの協調関係をさらに強化して行きたいと、マクキービーは強調した。

これらの湾岸二カ国は40機の40 F/A-18スーパー・ホーネット・ジェット戦闘機や72機のF-15サイレント・イーグル戦闘爆撃機の発注に対して承認待ちであった。これらのふたつの発注はその過程をクリアーするのに2年を要したが、主導的な議員たちにはオバマ政権がこの武器輸出を意図的に遅らせていたのではないかとの疑念を抱かせた。

それに応えて、国務省はこれら2カ国と米国との関係を強調し、カタールは米国にとっては2014年に米国製の武器を調達した諸国の中でも最大級の顧客であり、アパッチ・ヘリコプターやパトリオットミサイル防衛システム、ジャブリン・ミサイル、等を含めて最新式の武器を100憶ドル超も購入したと指摘した。また、同年、カタールは8機のC-17長距離輸送機や4機のC-130輸送機を直接商業契約の下で調達した。 

国務省トップの職員はディフェンス・ニュース紙にこう述べた。つまり、クウェートとカタールに対する戦闘機の輸出は、(同時並行の話し合いがされていた)武器に関する資金援助の合意が米国とイスラエルとの間で保留されていたことから影響を受けて、遅延したというわけではない、と言う。

これらの戦闘機の輸出はイスラエルとの合意が未決定であることから保留されて来たのではないかとの具体的な質問を受けて、武器のコントロールや国際安全保障を担当するローズ・ゴッテンメラー国務次官補はこう言った。「いいえ、関係はありません。連結してはいません。」 

「これらは同時に起こっただけのことです。しかし、お互いに連結しているわけではありません」と、彼女は付け加えた。 

彼女はそのメッセージをどのようにクウェートやカタールに伝えるのかとの質問に、「我々が出来ることは彼らとの話し合いを続けることだけです」と、ゴッテンメラーは言った。

クウェートやカタールの消息通はディフェンス・ニュース紙に「我々はイスラエルが米国との取り決めを保留しているせいだと思う」と言った。ベンジャミン・ネタニヤフ首相が率いるイスラエル政府はアラブ湾岸諸国に対する武器の輸出について懸念を表明しているが、この懸念は特にクウェートに対するF-15戦闘機の輸出に焦点が合わされている。

マクキービーは米国の法律の下ではこの地域に対する輸出では個々の案件はイスラエルの軍事的優位性のレンズを通して輸出が行われ、イスラエルの軍事的優位性を脅かすような輸出案件は承認されないと言った。 

「我々の観点から言うと、米国製の武器ならびに他国との間の我々の強力な相互協力関係は最終的には両方ともイスラエルの軍事的優位性を守ることにつながる」と、彼は言う。

Twitter: @Awadz | @AaronMehta

<引用終了>


これで仮訳は終了した。

米国製の武器に関して超ド級の商談が超お金持ちのアラブ湾岸諸国との間で促進されている。米政府は公式にはテロとの闘いに必要なんだと言っている。それと並んで、イスラエルの軍事的優位性を維持しようとする米国の政策がアラブ湾岸諸国への武器輸出にも微妙に絡んで来るという現実を私は初めて知った。しかも、イスラエルの軍事的優位性を維持することが米国の国内法でも定めらているとのこと。これには驚いた!

米国の議会は地元の産業を維持したい議員、軍産複合体のために働こうとする議員、イスラエル・ロビーに逆らわずに次回の選挙を成功裏に進めようとする議員、等々、さまざまな思惑が渦巻いている場所だ。この記事はその一端を見せているような気がする。


♞  ♞  ♞

中近東における米国政府の最重要課題は時の変遷とともに大きく変化する。

中東に関しては、我々一般庶民の関心は「アラブの春」から始まったと言えるのではないだろうか。当時、アラブ諸国は専制的な政権から解放され、民主的な政治制度の恩恵を享受することになるだろうと多くの人たちが期待を抱いた。

しかし、実際にはそうはならなかった。

 「米国の最終的な目標はアフリカや中東の資源を軍事力の影響下に置くことによって、中国やロシアの経済成長を妨害することにある。そうすることにより、ユーラシア大陸全体を支配下に置くことだ。」 著者で歴史家のウィリアムF.エングダールはこう明かす。これは20111130日に「芳ちゃんのブログ」に掲載した「アラブの春と米国の思惑」からの抜粋だ。

中近東では10年足らずの間にさまざまなことが起こった。

最近の数年間だけでさえも、米国にとってはしばらく前までは経済制裁によってイランを国際社会から締め出しておくことが最重要課題であった。その後、核兵器製造計画の疑惑が晴れて、イランに対する経済制裁は解除された。表向きは経済制裁が解除されたかに見えたが、ヨーロッパ諸国の銀行には米財務省の職員が訪問して、イランに対する大型商談は避けるようにと要請していると言われている。これはイランに対する実質的な経済制裁である。現在のイランはロシアと並んでシリアのアサド政権を支援していることから、米国やイスラエル、サウジアラビア、ならびに、他のスンニ派イスラム諸国からは敵視されている。一方、イスラエルは米国との蜜月は終わって、ロシアに接近しつつあるとも言われている。数日前、トルコではエルドアン政権を打倒しようとする軍事クーデターが起こったが、これは未遂に終わった。トルコ政府はこの反政府クーデターを背後から指揮したとされる米国在住のギュレン師の身柄を引き渡すように米政府に要請した。しかし、米国はこの要求に応じようとはしていない。トルコと米国の間では溝が深まっている。このクーデターの可能性を数時間前にトルコに伝えてくれたのはロシアだった。一方、米国はギュレン師の身柄引き渡しには否定的で、しかも、諜報の世界では超大国の米国からはクーデターの可能性に関する情報は何ひとつ事前に提供されることはなかった。その結果、トルコは米国が黒幕であったのではないかとの疑惑を強めている。こうして、トルコは今やロシアへ傾斜し始めているとの報告がある。

まったく予断を許さないが、もしもトルコが米国主導のNATOから離れ、EUへの加盟要求を撤回し、ロシアや中国との連携を深める政策へと大転換をしつつあるとしたら、米国の中東政策は大打撃を受けるだろう。対シリア行動ではトルコはサウジアラビアと並んで急先鋒であった。ウクライナ紛争に関しては、トルコはロシア艦隊の母港であるセバストーポリを擁するクリミアの表玄関である黒海に面しており、その影響力は計り知れない。地中海と黒海を繋ぐダーダネルス海峡はトルコ領内にある。トルコはカスピ海を介してロシアの南西部に近接しており、コーカサス地域にも接している。これらだけを取り上げても、トルコは地政学的に非常に重要な位置を占めていることが分かる。

そのトルコが地殻変動を起こすかも知れないのだ。この地殻変動が起こったら、米国の中近東政策は激震に見舞われるだろう。

今後の展開に注目したいと思う。



参照:

1Why has NATO chosen Russia as its enemy instead of ISIS?  By Bryan MacDonald, Jul/14/2016, http://on.rt.com/7iuk

2State: $33 Billion in GCC Weapon Sales in 11 Months: By Awad Mustafa and Aaron Mehta, Mar/25/2016, www.defensenews.com/.../state-33-billion-gcc-weapon-sales-1...





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