酷暑に見舞われたブカレストの夏
この夏は暑い。実に暑い。
ロンドンでのオリンピック競技場では熱い戦いが毎日のように展開されたが、ブカレストで代表されるルーマニア南部の平野地帯では「長い暑い夏」となった。
そして、乾燥した日々が続いている。夜の間に雨が降ったことが2回あった。日中はほとんどが快晴続き。この夏の最高気温は、私の断片的な記録によると、下記のような推移だった。昨年の夏は40度Cを超すことはなかったと記憶している。今年は何度も40度Cを超した。
6月19日に35-36度Cの予報が出て、「黄色コード」の注意報となった。
6月24日、久しぶりの雨。
7月4日、40度Cの予報。
7月14日、41度Cの予報。
7月21日、38度Cの予報。
8月6日、40-41度Cの予報。日陰で44度C、日当たりで50度Cとなった。51年振りの暑さだったとのこと。
8月7日、42度Cの予報。実測値は不明だが今夏最高の温度みたい。
8月9日、夜中に雨。かなり降った模様。
8月10日、夕刻から遠雷が聞こえたが、雨にはならなかった。
8月21日、38-39度Cの予報。また熱波がやってきた。
8月24日、39度Cの予報。
8月25日、40度Cの予報。
決して詳細な記録ではないが、この夏のブカレストの様子はある程度お分かり願えたものと思う。
暑さだけではなく、降雨量が非常に少なかった。
地域によってその程度は大きく異なるが、ある地域では旱魃が2ヶ月間も続いた。ルーマニア南部の平野地帯の殆どは旱魃に見舞われ(ルーマニアの全農地の約40%が旱魃の影響を受けたとのこと)、トウモロコシやヒマワリといった農産物は大打撃を受けた[注1]。収量がかなり落ちるのではないかと予測されている。旱魃に見舞われた農家には総額で5千万ユーロの補助金(1ヘクタール当たり22ユーロ)が支給されるとのことだ。でも、1戸当たりの金額はほんの僅かだろう。
ヨーロッパでは2番目に大きなダニューブ川の水位が下がっている。ダニューブ川がルーマニアへ流れ込む地点での流量は2,900m3/秒。この流量は例年8月の平均値よりも40%も低い。その結果、幾つかの区域では水位が2メートルを割ったとのことだ[注2]。ダニューブ川は古くから内陸の農産物を河口まで運び、黒海の港へとつなぐ重要な水路である。
隣のブルガリアでもダニューブ川の水位が下がり続けており、昨年夏の危機状態がまた繰り返されるのではないかと懸念されている。シリストラ区域では24時間の内に水位が12cmも下がって、ダニューブ川の水位は85cmに低下。航行する船やバージは船底が川底に接触することを避けるために積荷の量を減らし始めている。数日前には100人ほどの外国人旅行客を乗せたクルーズ船が川底に接触し、他の船に曳航され、何とか浅瀬から脱出するまで1時間も立ち往生した[注3]。
この夏、旱魃は各地で起こっている。北米、ソ連、そしてヨーロッパではバルカン諸国。ロシアからの小麦輸出が無くなり、米国のトーモロコシや大豆が減収となり、ヨーロッパの穀倉地帯ではトウモロコシやヒマワリが打撃を受けている。国際市場ではこれから農産物価格が急騰することになるのではないだろうか。
参照:
注1:Drought damages 40% of
Romania’s land, corn, sun flower crops, most affected
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