2013年9月4日水曜日

<シリア> やっぱり、化学兵器を使ったのは反政府派


今朝(93日)、非常に興味深い情報が見つかった。シリアで化学兵器を使ったのは、やっぱり、反政府派のようだ。 

これが事実だとすると、米国政府がシリアへの空爆の理由として挙げた根拠の信憑性は大きく揺らぐことになるだろう。またしても! 

そうなった時、つい最近シリア空爆を押し進めようとしている米国に対して外務大臣が賛意を表した日本政府も面目を失うことは免れられない。われわれは国際政治の不可思議な世界をまたもや見ることになりそうだ。 

米国のミネソタ州に本拠を置くニュース・サイト「ミントプレスニュース(MintPress News)」の報道が非常に重要な情報を提供している。今朝配信されたInformation Clearing Houseの一連の記事の中に「Which Syrian Chemical Attack Account Is More Credible?」という表題が目に飛び込んできた。その記事ががここに引用するミントプレスニュースの記事を紹介していた。 

さっそく、ミントプレスニュースの記事[1]を覗いてみよう。その仮訳を段下げして下記に示す。
 

副題: ゴータ地区の反政府派や住民らは、アル・カイーダと連携する反政府グル-プに化学兵器を提供したとしてサウジアラビアのバンダル・ビン・サルタン王子を非難
 

注:デイル・ガヴラックはこの記事のための調査や作成の過程で手助けをしたが、シリアの現場へは出むかなかった。デイルと一緒に本報告書を作成したヤーヤ・アバブネーは特派員としてゴータの現地へでかけ、そこで反政府派の人たちやその家族、科学兵器の犠牲者やその地域の住民たちと直接話をした。

ガヴラックはミントプレスニュースで中東を担当する記者であって、以前はヨルダンの首都アンマンでAPの特派員として10年近く活動していた。この報告はAPの記事ではなく、ミントプレスニュースの独占記事である。 

【シリアのゴータ発】 先週の化学兵器攻撃を受けて米国主導のシリアへの軍事介入のための戦争マシーンがその速度を高める中、米国やその同盟国は間違った相手に向かって攻撃を加えようとしているのではないか。 

首都のダマスカス、ならびに、人道支援団体である「国境なき医師団」によって神経ガスによると思われる攻撃のせいで少なくとも355人が犠牲となったと伝えられている現場、シリアの首都郊外のゴータ地区で行ったインタビューは多くのことを語っている。 

米、英、仏およびアラブ連盟はシリアのバシャル・アル・アサド大統領が化学兵器攻撃を行った、その犠牲者はほとんどが一般市民だったと述べて、同大統領を非難した。化学兵器による大量虐殺を行ったシリアに罰を加えるためとして、米国の艦船が地中海に配置されている。米国や他の国々は、アサドの罪は「全世界にとってすでに明白だ」と米国務長官のジョン・ケリーが月曜日に述べたのを受けて、それとは食い違うような証拠を検証することには消極的だ。 

しかしながら、現地で医師たちやゴータ地区の住民、反政府派の戦闘員やその家族と行った数多くのインタビューからはまったく異なる世界が現れてくる。反政府派のあるグループがサウジアラビアの諜報部門のチーフであるバンダル・ビン・サルタンから化学兵器を受け取り、彼らが毒ガス攻撃を行ったのだ、と多くの人たちが確信している。 

「息子が二週間前に私の所へやってきて、彼が輸送するようにと頼まれた兵器についてどう思うかと聞いてきた、あれが化学兵器だったのだ」と、ゴータ在住で息子が反政府派のために闘っていたアブ・アブデル・モネイムが語った。 

アブデル・モネイムによると、彼の息子と他の12人はアブ・アイエシャという名前のサウジの過激派(戦闘集団を率いるリーダー)から提供された兵器を貯蔵するトンネルの中で死亡した。この父親は問題の兵器は「チューブのような構造」だった、他の者は「大きなガスの容器」のようだったと描写した。 

ゴータの町の人たちの話によると、戦闘員たちはモスクや民家で寝泊りし、兵器はトンネル内に保管する。 

自分の息子や同僚たちは化学兵器攻撃の最中に亡くなった、とアブデル・モネイムは言った。あの当日、過激派グループのジャブハット・アル・ヌスラ(アル・カイーダと連携している)は、報復のためにアサド政権の重要拠点である西海岸にあるラタキアの一般住民に対しても同一の手法を用いて攻撃すると宣言している。 

「彼らはこれらの兵器が何であるか、どう取り扱うのかについては私たちには何も教えてはくれない」と、「K」という名前の女性戦闘員が言った。「あれが化学兵器だとは私たちは知らなかった。誰も化学兵器だとは想像もしなかった。」 

「サウジのバンダル王子がそのような兵器を一般民衆に与える時には、それらの取り扱いや使用方法をよく知っている連中に渡すべきだ」と、彼女は警告した。他の多くのシリア人のように、彼女も報復を恐れて自分の氏名を明かすことは好まない。 

ゴータの町ではよく知られている反政府派の「J」もそれに同意する。「ジャブハト・アル・ヌスラの過激派は、地上戦で一緒に戦うことを除いては、他の反政府派グループと協力する気配はまったくない。彼らは機密情報をわれわれと共有しようとはしない。連中はごく普通の反政府派の戦闘員をこのような兵器の運送や取り扱いに当たらせる」と、彼は言った。 

「われわれはこの兵器に非常に強い関心を抱いている。でも、不幸にも、何人かの戦闘員は兵器の取り扱いを間違えて、爆発させてしまった」と、「J」が言った。 

化学兵器の犠牲者たちを治療した医師たちはインタビューを行うわれわれに対して「誰がこの化学兵器攻撃を行ったのか」という質問は慎重を期すようにと言った。 

人道支援グループである「国境なき医師団」は、3,600人の患者の治療に当たっている医療関係者たちからも「患者たちと同様な症状を体験したという」報告を受けていると付け加えた。つまり、口から泡を吹いたり、呼吸困難、けいれんや目がかすむといった症状だ。しかし、われわれのインタビュー・グループはこの情報を独立に検証することはできなかった。 

十指に余るほどにもなる数多くの反政府派グループに対してインタビューを行ったが、彼らは自分たちの給料はサウジ政府から支給されていると答えた。 

先日(830日)の小生のブログ、「<シリア> 毒ガス使用は反政府派の「自作自演」ではないか」の中で、「国境なき医師団」とはどのような組織かに関して一部の情報を掲載した。重要な部分を下記にも転載してみる。 

....西側の報道ではこの組織は「独立した組織」として記載されることが多いが、この記述は真実とはかけ離れたものだ。
まず、「国境なき医師団」はウオール街やロンドンの企業投資家あるいは海外政策(シリアやその隣のイランにおける政権の移行といった政策を含む)に関与する集団とほぼ同義語である企業からそのすべての資金を提供されている。「国境なき医師団」の年次報告書(2010年の報告書はここからアクセス可能)を見ると、ゴールドマン・サックス、ウェルズ・ファーゴー、シテイグループ、グーグル、マイクロソフト、ブルームバーグ、ミット・ロムニーのベイン・キャピタル、ならびに、その他たくさんの企業や投資会社が資金の提供者として名を連ねている。「国境なき医師団」の役員会には投資家が含まれ、そこにはゴールドマン・サックスのエリザベス・ベシェル・ロビンソンも含まれている。
「国境なき医師団」のいわゆる「独立性」や「支援」をさらに複雑にしている要素はこの組織の医療施設がシリアのテロリストたちに占拠された地域に設定されているという事実であり、特に、NATOのメンバーであるトルコとの国境に近いシリアの北部地域にあるという点だ。NPR(訳注:NPRは米国のNational Public Radioの略)とのインタビューにおいて、「国境なき医師団」のステイーブン・コーニッシは彼の組織がシリア紛争にどにように関与しているかその性格を述べた。それによると、支援物資はシリア政府軍が占拠している地域外(訳注:つまり、反政府軍が占拠している地域)へ送付され、同組織はこれらの反政府軍地域で医療施設を設定していると述べた。また、コーニッシは下記の状況を認めた:

最近の何ヶ月かの間にわれわれは洞窟の中で手術用施設を開設したり、養鶏場にも開設した。三番目の施設は民家だ。こういった組織で、われわれは十分に近代的な技術や必要な全領域をカバーする医療チームを提供することができるように全力をあげている。元来の目的は、戦闘員の負傷に対処し、紛争によって直接の影響を受けた市民を治療することだ。

言葉を換えて言えば、ウオール街から資金提供を受けるこの組織は西側の諸国によって資金や武器を受け取っている武装勢力に対して支援を行っているということになる。そして、そのほとんどはシリア人ではなく外国からやってきた連中であって、アル・カイーダと近かったり、直接そのメンバーだったり、あるいは、事実上の政治団体であるムスリム同胞団に所属していたりする。このいわゆる「国際支援」組織は、実際には、シリアに対抗することになった軍事的マシーンのもうひとつの歯車であって、医療部隊としての役割を演じているのである....
上記のような背景を念頭において、冒頭で引用したミントプレスニュースの独占記事とを平行して読むと興味深い情景が浮かび上がってくる。 

ミントプレスニュースの特派員に対して、化学兵器の犠牲者たちを治療した医師たち(つまり、「国境なき医師団」の医師?)は「誰がこの化学兵器攻撃を行ったのかという質問は慎重を期すようにと言った」とのことだ。その「慎重を期す」とはいったいどのような意味だろうか。察するに、「そういう質問はしないでくれ」、「答えは分かっているが、そういう質問には答えられない」、「私らは給料を貰ってここで治療に当たっているだけだ。余計なことには関わりたくはない」、等を容易に想像することができよう。 

再度、ミントプレスニュースの独占記事へ戻ろう。 

サウジアラビアの関与: 

ビジネス・インサイダー(訳注:ニューヨークの拠点を置くビジネスとテクノロジー関連のニュースを専門とするウェブサイト)での最近の記事で、レポーターのジオフレイ・インガーソルは2年半にわたるシリアの内戦におけるサウジアラビアのバンダル王子の役割を詳しく述べている。多くの観測者は、バンダル王子こそが自分が持っているワシントンとの結びつきを活用してアサド大統領に対して米国が戦争を起こすように行動した中心人物である、と確信している。  

インガーソルはロシアとサウジアラビアとの間で行われた秘密会合に関する英国のデイリー・テレグラフの記事を引用した。その会合で、バンダル王子はロシアのプーチン大統領に対してアサドを切って捨てる代償として安い石油を提供したい、と申し入れたとのことだ。

「アサド政権が転覆しても、シリア国内のロシアの海軍基地はそのまま温存させることをバンダル王子は約束したが、それと同時に、合意が成り立たない場合はロシアが主催するソチの冬季オリンピックではチェチュニアのテロリストたちを送り込む、と匂わせた」と、インガソルが記述している。
「来年の冬季オリンピックを保護することは私がすべてを保証する。オリンピック会場の安全を脅かすかも知れないチェチュニアのテロリストたちはわれわれのコントロール下にあるからだ」と、バンダル王子はロシア側に言ったと伝えられている。
「サウジ側を支持して、米国はこれらの話をロシア側に伝えることに親指を立てて賛成した。したがって、このような話があったこと自体は驚くには値しない」と、インガソルは書いている。
「バンダルは米国で軍事教育と大学教育の両方を受け、影響力が非常に高い在米サウジアラビア大使の役を務め上げ、CIAは彼が大好きだ」とも彼は付け加えている。
英国のインデペンデント紙によれば、この2月にシリアの政府側がサリン・ガスを用いたとする報告を最初に西側の同盟国に流したのはこのバンダル王子が率いる諜報部門だった。
サウジ国王がバンダル王子をアサド政権を転覆する作戦を主導する地位に指名した時サウジアラビアがこの作戦に真剣に取り組んでいることを理解した、と最近になってウオールストリートジャーナルは報道した。
「バンダル王子はワシントンやアラブ世界の外交的陰謀のベテランであり、CIAさえもが成し得なかったようなことを実現するだろうと周囲は信じていた。つまり、飛行機に満載した金や武器、ならびに、米国のある外交官が言うように、テーブルの下での影響力、アラビア語で言えば「ワスタ」に長けている。」と、同紙は伝えている。
バンダル王子はアサド大統領や彼の同盟者であるイランやヒズボラを駆逐したいサウジアラビアの外交政策を操るトップの座に上り詰めた、とWSJ紙が報告した。
その目的のために、バンダルはワシントンを動かして、ヨルダンで軍事基地と予定されている場所で反政府派を武装し訓練するプログラムを支援させることに成功した。
「そのような基地に関しては気分が進まないヨルダン側」と彼が面会をした時の様子を同紙は伝えている:
ヨルダンのアブドラー国王との彼の会談は、時には、会合が始まると8時間にもなることがある。アブドラー国王は「またバンダルがやって来るのかい。それでは、会合のためには二日間をあけておこうじゃないか」と冗談を言っていた、と会談の様子を知っている側近が語っている。 
ヨルダンは財政的にはサウジアラビアを頼りにしており、このことがサウジ側には強力な切り札となっているようだ。2012年の夏、滑走路や武器の貯蔵庫を含めて、ヨルダン国内の作戦センターが稼動を開始した。サウジが調達したAK-47や弾薬が到着した、とアラブ高官の話を引用して、WSJ紙が報道している。
サウジアラビアは公的にはより穏健な反政府派を支援すると述べているが、同紙の報道によると、「資金や武器は、ただ単にカタールが支援するライバルのイスラム過激派に対抗するためだけだ。」 
インタビュウを受けた過激派の連中が言うには、シリアにおけるアル・カイーダ過激派の間ではバンダル王子は「アル・ハビブ」のような存在だ。つまり、「愛する人」だと。 
木曜日にデイリー・テレグラフ紙に寄稿したピーター・オボーンは、米国はアサド政権に対して政権を打倒しようとするものではなく、化学兵器を使用する能力を低下させるものだとする、いわゆる「抑制された攻撃」を急ぐ必要はまったくないと、警告を発している。 
次のことを考えてみよう: 最近起こった大量虐殺の最大の受益者はそれまでは戦いに劣勢であった反政府派だ、その反政府派に対して今や米英が彼らの側に立って軍事介入をしようとしている。化学兵器が使用されたことについては疑念の余地がなくなった今、誰がその化学兵器を使用したかについても疑いようがない。
以前アサド大統領は一般市民に対して毒ガスを使用したとして非難されたことがある。そのときのことを思い出すことが重要だ。あの時、国連のシリア検査官のカーラ・デル・ポンテはアサドではなくて、反政府派の仕業だ、と結論付けた。
この記事の一部の情報については独立に検証することはできなかった。ミントプレスニュースは引き続きさらなる情報や更新情報を提供していく所存である。
デイル・ガヴラックはミントプレスニュースの中東担当記者であり、以前はヨルダンのアンマンからAPNPRならびにBBCに寄稿していた。中東での出来事を専門とし、ガヴラックは地中海の東海岸一帯の国々を網羅し、政治、社会および経済動向について報道する。デイルはシカゴ大学で中東の研究で修士号を取得している。デイルとのコンタクトはdgavlak@mintpressnews.comで。
ヤーヤ・アバブネーはヨルダンの自由契約ジャーナリストであり、現在ジャーナリズムを専攻して修士号の取得を目指している。今まで彼が網羅した出来事はヨルダンから始まり、レバノン、サウジアラビア、ロシアおよびリビアにまで及んでいる。彼が報道する内容はAmman NetSaraya NewsGerasa News、その他至る地域で報道されている。
ミントプレスニュースの829日のニュースを最初から最後まですべてを仮訳し、それを上記に示した。この現地報告はジャーナリズムの基本を実践して、現地で情報収集を行ったという点で非常に貴重だと思う。 

米国のケリー国務長官が化学兵器を使用したのはアサド大統領だとしてシリアへの空爆を叫んでいた時、ロシアのプーチン大統領は、「国連でその証拠を示すべきだ」と述べた。そう言われてみると、ケリー国務長官は、たとえば、821日当日の早朝、シリア政府軍の化学兵器を担当する高官の電話の内容を傍受したとしているが、これを国連で証拠として公表できるのだろうか? 

また、主流のメデイアがまったく報道しない情報として他にもたくさんの情報が存在する。それらと本記事とを並べてみると、ジグソーパズルのようにひとつの情景が浮かんでくる。その情景は本記事によって物の見事に描写されている。 

今後も、さまざまな記事が毎日出版されることだろう。現地に密着した情報は、たとえその情報源が知られた存在ではなくても、その情報自体に大きな価値があると思う次第だ。今や、インターネットの普及によって、ちょっと時間をかければ無数の情報にアクセスをすることが可能である。 

このことが、多分、自分の選挙区の人たちがシリア情勢に関しては多くのことを理解しているという厳然たる事実があって、英国の議員たちは、与党や野党の区別なく、政府提案のシリア空爆の動議に対して反対票を投じたのではないだろうか。
 

 

参照: 

1: EXCLUSIVE Syrians In Ghouta Claim Saudi-Supplied Rebels Behind Chemical Attack: By Dale Gavlak and Yahya Ababneh, MintPress News, August 29, 2013

 

 

 

 

2 件のコメント:

  1. シリアはイラン経由でケッシュ財団の技術を受け取ったから攻撃されている。

    http://sunshine849.blog.fc2.com/blog-entry-106.html

    このようにケッシュ財団の技術を使えば米軍機を無傷で鹵獲することもできる。
    これを潰したいイスラエルが必死にシリアを攻撃しているにすぎない。

    日本も去年11月にケッシュ財団から原発問題やエネルギー問題を解決する技術を受け取っているが未だに政府に隠蔽され続けている。
    ケッシュ財団の技術が表に出れば世界平和も実現され、環境問題や食料エネルギー問題などは全て解決する。
    ケッシュ財団の詳細については

    http://www.onpa.tv/2013/08/11/1893

    http://sunshine849.blog.fc2.com/blog-entry-118.html

    http://blog.goo.ne.jp/narudekon/e/a614779c0fb09de38540b4e86e5c99da

    を参照されたい。

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    1. 「しおさま」様

      コメントを拝見しました。正直言って、当方はケッシュ財団に関する知識はまったく持ち合わせてはいませんでした。

      早速掲示いただいたウェブサイトを覗いてみましたが、このケッシュ財団が主張する技術は必ずしも実証が行なわれてはいないような印象をいだきました。

      今後のさらなる情報を吟味していきたい、と思っています。

      Yocchan

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