2022年11月28日月曜日

ブラック元米上院議員はロシア兵の捕虜に対するウクライナ軍の戦争犯罪に言及 ― 西側のメディアにおいては検閲が行われない始めての事例となった

 

西側のメディアによるロシア・ウクライナ戦争の扱い方については、多くの人たちが気付いているように、行き過ぎた偏向や歪曲が見られる。米国ではトランプ政権の頃、トランプ大統領を失脚させるために共和党とメディアはフェークニュースを流し、プロパガンダマシーンをフル稼働させた。そうした体質やメンタリティーを引き継いでいる米国のメディアは当然の如くに自己の行動を修正しようとはしない。

それらの偏向や歪曲の中でもっとも典型的な事例のひとつは今年の2月に始まったウクライナに対するロシア軍の特別軍事作戦に関する報道であるのではないだろうか。何と言っても、西側のメディアは2022224日以前の8年間にもわたってウクライナ政府軍が行ったドンバス地域の一般庶民に対する爆撃や砲撃は一切無かったかのように振る舞う姿を顕わにしたからだ。つまり、西側のメディアにとってはロシア・ウクライナ戦争は224日のロシア軍のウクライナへの侵攻によってすべてが突然始まったのであって、それ以前の8年間の歴史は何もなかったと言わんばかりだ。何と言う歴史の歪曲であろうか!

しかしながら、何時の日にか彼らにも妄想からは別離し、地上の現実に目を覚ます日がやって来るのではないか。そうなって欲しいと願うばかりである。

ここに、「ブラック元米上院議員がロシア兵捕虜に対するウクライナ軍の戦争犯罪に言及  西側のメディアにおいては検閲が行われない始めての事例となった」と題された最新の記事がある(注1)。

ロシアと戦うウクライナにとって都合の悪い情報は報道をしないことにしている西側のメディアが今回は検閲をせずに報道したということは何らかの変化を思わせるのに十分だ。恐らく、時間が十分に経って後を振り返った時、あの件は歴史的にはこういう意味を持っていたのだと気付くことになるのかも知れない。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1:  ウクライナ軍。手持ちの写真。© AP Photo / Evgeniy Maloletka

【モスクワ発、1126日、RIAノーボスチ】 バージニア選出のリチャード・ブラック元上院議員はロシア兵の捕虜に対する銃撃を収めた動画についてコメントし、RTとのインタビューでウクライナ軍兵士によるこのような流血沙汰は初めて起こったわけではないと言った。

「この動画は間違いなくやらせではない。そして、これはウクライナ人による戦争犯罪を示すものとしては初めてのものでもない」と彼は言った。

同政治家は、この春、「移動病院」の長であるゲナディ・ドルゼンコがロシア人捕虜を去勢せよというウクライナの医師に対して出した命令について自慢したことを思い起こした。「これは実に衝撃的で、悪夢のような戦争犯罪だ!」とブラック元上院議員は述べている。

Photo-2:ロシア大使館はロシア人捕虜を撃ったことについての米国の反応を批判。1122日。

彼はキエフ当局がこれらの事件についてのコメントに何ら反応をしなかったことに注目している。また、元上院議員はウクライナ人がロシア兵の捕虜の足を撃ち、他にも拷問を課している様子を示す別の動画についても思い起こした。

「これはとてつもない戦争犯罪である。その意味では、この事件には新しい要素は何もない。しかしながら、今回の事件で新しい点はメディアが初めてこれに注意を向けたことだ。今日まで、このようなニュースは常に検閲され、報じられることはなかった」と同政治家は総括している。

先週の終わりに、ウクライナの過激派が、降伏して地面に横たわっているロシア兵の捕虜を撃った様子を示す動画がインターネットに登場した。ロシア国防省によると、ウクライナ軍の兵士らは10人のロシア兵捕虜を意図的に殺害した。これは孤立した戦争犯罪ではなく、ウクライナ軍の間では一般的な慣行であって、「ゼレンスキーと彼の子分たちは拷問され、殺害された捕虜の一人一人に対して応えなければならない」という点に注目すべきである。

Photo-3: ポロツエンコはウクライナン人医師は捕虜を去勢するようにとの要請に応えた。323日。

調査委員会は捕虜の殺人と虐待について刑事事件の取り調べを開始した。ロシアの人権委員会のヴァレリー・ファデエフ長官と人権委員のタチアナ・モスカルコワは国連人権高等弁務官事務所、欧州安全保障協力機構、欧州評議会、アムネスティ・インターナショナル、赤十字国際委員会などの国際機関に向けてこの捕虜の処刑を非難し、調査を実施するよう要求した。

ロシア国防省は、その一方で、捕虜となっているウクライナ軍の兵士らは捕虜の扱いを規定するジュネーブ条約のすべての要件に従って保護されている事実に注意を喚起した。

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これで全文の仮訳が終了した。

10人のロシア兵捕虜がウクライナ軍の兵士によって無惨にも殺害されたことについて事実関係をもう少し補足しておこう:

議論の対象となっている動画は1117日にインターネット上に掲載された。降伏し、地面に顔を付けて横たわっているロシア軍の兵士をウクライナ軍兵士が撃った。ロシアの人権委員会は国連人権高等弁務官事務所や欧州安全保障協力機構、欧州評議会およびその他の国際人権組織宛に本動画を送付すると述べた。

1118日、ロシアの調査委員会はウクライナ軍によるロシア軍兵士の捕虜の処刑について刑事犯罪の調査を開始した。

1119日、国連のファルハン・ハク報道官は国連はウクライナ人によるロシア人捕虜の処刑に関連して報告されたすべての人権侵害行為について完全な調査を求めると述べた。(原典:Russian Embassy in Washington Condemns US Reaction to Murder of Russian POWs by Ukrainians: By Aletho News, Nov/22/2022

引用記事に戻ろう。この記事は非常に興味深い事実に焦点を当てており、われわれ一般庶民がロシア・ウクライナ戦争の本質についてさらに理解を深めようとする時、大きな助けになると思う。つまり、ウクライナ軍の目に余る行為を非難するブラック元米上院議員の言葉がメディアによって取り上げられたという事実は重い。残念ながら、私には本件を報道したメディアの具体的な名称は分からない。とは言え、大きな流れとして見ると、これは奇しくも米国内においてはウクライナ戦争を巡って疲弊が表面化して来たということではないだろうか。米国内でこういった意見がエリート層から公に出てきたことは和平を実現するという大きな目標にとってはいいことだと思う。

また、極めて類似した場面がEUにおいても観察される。ドイツの大衆紙の「ビルド」の記者もツイッターでウクライナ兵がロシア兵の捕虜を殺害したことに言及し、調査を求めている。(原典:Bild journalist urged to investigate the murder of captured Russian soldiers by militants of the Armed Forces of Ukraine: BY THE NEWS GLORY, Nov/18/2022

少なくとも、このように考える米国人やEU市民が少しでも多くなって、最終的にはウクライナとロシア、ならびに、米国やNATO諸国の全ての関係各国がこの消耗戦を一日でも早く終わらせる政治的決着に漕ぎ着けて欲しいものである。今や、ウクライナでは、キエフ市内を含めて、何百万人もの市民が電力不足によって寒さに震えているに違いない。和平が今冬の到来の前に実現しなかったことは非常に残念だ!

 

参照:

1American politician spoke about the shooting of prisoners by militants of the Armed Forces of Ukraine. (Subtitle:) Ex-US Senator Black: Western media for the first time did not censor the war crimes of the Armed Forces of Ukraine: By RIA Novosti, Nov/26/2022

 

 


2 件のコメント:

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  2. 補足情報:ゼレンスキーは女性兵士を前線に投入

    ルガンスク共和国のアルチョモフスクの前線ではウクライナ軍の消耗が激しく、軍の病院は満杯で、前線での負傷兵は塹壕に放置され、死を待つだけだという。その結果、死者数が急増。ロシア軍の捕虜になったウクライナ兵は遥かに幸せだ。何と言っても、彼らはロシア軍によって医療措置が提供されるからである。ゼレンスキー大統領はマリウポリでの失敗を繰り返すことはウクライナ軍の戦意を失うことに繋がるため、軍部にはアルチョモフスク戦線を死守せよと命じている。女性兵士さえも前線へ送り込むつもりらしい。メデイアによると、男の兵力が足りなくなって、昨日、5万人強の女性兵士を動員したという。(出典:Huge losses of the Armed Forces of Ukraine near Artemivsk: Zelensky sends women to the front: By Russian Spring, Nov/30/2022)
    ウクライナ軍はまさに末期的な兆候を示しているようだ。

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