2024年3月6日水曜日

われわれはわれわれの敵となった:ポーランドの農民はヨーロッパが自殺するのに抗して立ち上がった

 

欧州の政治システムは、今、大きな挑戦に直面している。私が住んでいるルーマニアもEUの一角であって、お隣の独自路線を貫こうとするハンガリーやさらにその隣のスロバキアとは違って、EUとの集団行動志向が強く、EUからの圧力を陰に陽に受ける。その一方で、EUからはさまざまな資金提供の恩恵を受けている。

プーチン大統領の最近の演説の一部を借りて言えば、EU圏に見られる現行の混乱振りはまさに無能なエリートたちのせいだと言えそうだ:

「エリートという言葉自体が大きく信用を落としていることは皆さんもご存知だろう。社会に何のメリットもないのに、自分たちを特別な権利や特権を持ったある種のカーストだと考えている人たち。」これはロシア国内のオリガルヒや富裕層となった人たちを表した言葉であるが、西側のエリートにも言えることではないかと思う。自分たちは特権を持っていると思い込み、ある種の特別な階級にいると勘違いし、自分が神様でもあるかのように哀れな庶民たちを導いてあげようなどと不遜な考えを持っているのが今のエリートたちではないだろうか。そして、プーチン大統領は次のようにも語っている。「本物の真のエリートとはロシアに奉仕する労働者や戦士、そして、ロシアへの献身を示した、信頼のおける、信用のある全ての価値ある人々のことだ。」エリートとはいったい何だろうか。一度フォン・デア・ライエンEU委員長やヌーランド米国務次官に聞いてみたい質問である。(原典:【RusNews解説】プーチン大統領が分析する西側エリート達の本質〜年次演説の内容を深堀り‼️ニキータ伝〜ロシアの手ほどきMar/02/2024https://youtu.be/wyhgVhKI_vM?si=WAX9-b-YANmbzum7

ロシア・ウクライナ戦争を受けて現出したさまざまな混乱の中で、ウクライナへの支援は何時まで続けるのかという確実な答えは見い出せそうもないウクライナ紛争と並んで、EU各国の指導者を悩ませているのは何と言っても農民が展開している反政府デモであろう。国内のインフレ、エネルギーコストの高騰、金利の高騰、農家に対する補助金の先細り、等はヨーロッパ中で農民の生活に大きな歪をもたらし、いったい農業を継続できるのかという死活問題にまで発展している。追い打ちをかけるかのごとく、ウクライナ産小麦のEUへの輸出がEUのエリートたちによって決定され、超安値の小麦が無関税でヨーロッパへ流れ込む。これでは、高コストに悩まされているヨーロッパの農民はたまったものではない。こうして、各国の農民たちが立ち上がったのである。

ルーマニアでも1か月前に政府に対する要求を捧げるトラックの運転手たちが二日間にわたって抗議行動を行った。ポーランドではウクライナとの国境沿いに多数のトラックが集結し、彼らの抗議行動は1か月以上にも及んでいる。

ここに、「われわれはわれわれの敵となった:ポーランドの農民はヨーロッパが自殺するのに抗して立ち上がった」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1© AP Photo / Czarek Sokolowski

実態を把握してはいない欧州のエリート指導者たちは市民の生活の質と自分たちの政治的正当性を破壊していると、ある専門家は主張している。

欧州の政治システムは、しばらくの間、かなりの緊張状態に曝されてきた。英国のEUからの脱退は、おそらく、欧州大陸が向かおうとしている方向性に対する人々の不満を最も顕著な形で表明したものだと言える。しかしながら、他にも多くの課題が続いている。

ポーランドの駅でデモ隊が鉄道車両から160トンものウクライナ産小麦を地上にぶちまけたことによって、この週末、注目すべき抗議行動が起こった。ウクライナのオレクサンドル・クブラコフ副首相は直ちにこの行為を非難し、逮捕を呼びかけ、同国の傀儡政権は欧州連合の政策を命令し、徹底させる権利をどれだけ必要と感じているかを示そうとした。しかしながら、欧州大陸の指導者たちは欧州市民のニーズと福祉を無視しているため、この抗議行動はこれが最後のものとはなりそうにないのである。

「今起きていることは欧州の至る所で起きており、広がってさえいる」と、ジャーナリストのイライジャ・マニエが火曜日(227日)にスプートニクの番組「断層線」で指摘した。「これは氷山の一角であって、ほんの始まりに過ぎない。事のすべてはヨーロッパ国民のニーズや利益とは相容れず、EUが推進する誤った政策によるものだ。」

「そして、今日欧州で起きていることはウクライナとそれに付随するすべての物事に対して指導者たちが採用した政策がもたらしたブーメラン効果であるとさえ言える。」

Photo-2:関連記事:Take a Look at How Polish Farmers Block Ukrainian BorderBy Sputnik, Feb/27/2024

マニエは、キエフ政権に対する欧州の奴隷的な献身が、EU諸国がウクライナに振り向けている資源の面からだけではなく、紛争のより大きな経済的影響の観点からも欧州の農民にいかに大きな害を及ぼしているかを詳述した。ウクライナからの非課税の農産物の輸入を認めることでウクライナ経済を救おうとする試みは欧州の農民が競争できない環境を作り出していると彼は指摘している。

インフレにより欧州製品の競争力はさらに低下しており、EUの気候変動対策は収益性を低下させ続けている。

輪作や肥料の削減といったEU政府からの指令は多くの農民にとっては我慢の限界だ、とマニエは言う。「特に補助金が削減された今、われわれは生き延びるのに十分なお金を持ってはいない」と、この元従軍記者は欧州の農民のジレンマを要約して言った。「農民らは完全に追い詰められており、彼らの背中はすでに壁に接している。先月、ブリュッセルの街路に1,300台ものトラクターが終結したのはそのせいだ。」

「欧州の農民たちが抱いている不満は欧州の農民に限ったことではなく、農民ではない他の市民も加わっているため、さらに拡大するであろう」とマニエは予測している。

より広範な危機をさらに悪化させているのは欧州大陸全体で政治的正当性が欠如していることだ。EUの政策は、平均的な人々の闘争からは切り離されており、選挙ではなく欧州委員会が任命したエリートたちによって立案されていることから、EUは長い間「民主主義の欠陥」と称され、批判されてきた。ところで、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はウクライナへのヨーロッパ軍の派遣について非常に挑発的な発言をしたことから、特に正当性がないと見なされている。

「特にフランスでは非常に不人気で、人々が右翼過激派のマリーヌ・ルペンに投票したくなかったために、わずか24%の得票率で権力の座に就いたエマニュエル・マクロンのような人物に対してはますます多くの抗議行動が行われるだろう」とマニエは述べた。

最近の2020年の米大統領選で起こった醜い出来事のように、欧米の著名な政治家たちはマクロンのような不人気なリベラル派が極右の敵対者を恐れて、利益を得るような選挙を画策することができた。だが、やがて、こういった政治家たちは彼らの政治的目標の現実が明らかになるにつれて、苦しむことになるだろう。マクロン大統領は労働者たちが苦労して勝ち取ってきた諸々の権利を抹殺し、フランス国民の生活の質を低下させようとする中で、在任中、大規模な抗議行動に見舞われてきた。

「イングランドでは医療制度が崩壊しつつある。エネルギー・コストは少なくとも5倍から6倍に上昇し、今年は年初からすでに14%も上昇している」とマニエは付け加えた。「だから、われわれは完全な混乱に陥って、大惨事に向かっている。それらはすべてがウクライナで何をすべきか、ロシアとはどのように戦うべきかについての指導者たちの決定によるものであるが、われわれは自国の経済と戦っているのだ。」

「彼らがやっていることは欧州を貧困化させている」と彼は付け加えた。

マニエは、ロシアを悪者扱いする欧州指導者の決定は欧州大陸全土に大混乱を引き起こし、ロシアと敵対するという名目で欧州の経済と政治制度の正当性を犠牲にしていると結論づけた。

「政府は180度態度を変え、ロシアは我々の敵となった。 しかし、それは真実ではない。なぜならば、われわれこそが自分自身の敵になってしまったからである」と彼は主張した。

同氏はポーランドでの反抗的な行動について「これはほんの始まりに過ぎない」と述べ、抗議行動は今後数カ月、あるいは、数年にわたって欧州を揺るがすことになるだろうと予測している。

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これで全文の仮訳が終了した。

「政府は180度態度を変え、ロシアは我々の敵となった。 しかし、それは真実ではない。なぜならば、われわれこそが自分自身の敵になってしまったからである・・・ ロシアを悪者扱いする欧州指導者の決定は欧州大陸全土に大混乱を引き起こし、ロシアと敵対するという名目で欧州の経済と政治制度の正当性を犠牲にしていると結論づけた」という要約は憎い程真実が詰まっている。

マイダン革命以降10年も続いてきたウクライナにおける紛争、ならびに、米国の対ロ代理戦争は欧州の農民だけではなく、EU市民のほとんどすべての生活の質を低下させた。これが最大の、そして、避けようと思えば避けることができた筈の代価なのである。

欧州の悩みは尽きることがない。それはEU政府が対米従属路線を採用した時にすでに約束されていた状況であったと言えるだろう。具体的にはノルドストリーム・パイプラインが破壊工作を受けて、それまで供給されていたロシア産天然ガスの安定供給が中断され、それに代わって、高価な米国産LNGが輸入されている。その結果、欧州におけるエネルギーコストは急増し、インフレ率が高まり、金利が跳ね上がって、欧州経済の機関車役であったドイツは競争力を失い、脱工業化のプロセスが進行している。

そんな環境であってさえも、欧州の政権は対ウクライナ支援政策を継続している。そして、欧州の農民は甚大な被害を被っている。これは、「みんなで渡れば怖くない」と揶揄される赤信号と同様で、EUおよびNATOという集団行動を隠れ蓑として行動する政治エリートたちの倫理観や常識の欠如、市民のニーズや現実からの乖離、等がもたらした結果なのである。


参照:

1‘We Have Become Our Own Enemy’: Polish Farmers’ Remarkable Protest Against Europe’s Self-Destruction: By John Miles, Sputnik, Feb/28/2024

 

 



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