2022年1月19日水曜日

カザフスタン後、カラー革命の時代は終わる

 

副題:カザフスタンで起こった出来事は米国・トルコ・英国・イスラエルの主導によるクーデターをますます示唆しているが、ユーラシアにおける彼らの敵によって見事に蹴散らされてしまった。


113日の投稿(国家主義者の台頭  カザフスタンの政府批判はいかにして暴動化したのか、ロシアはなぜ静観してはいられないのか)に続いて、カザフスタンに関するその後の情報をおさらいしておこうと思う。

カザフスタンへ送り込まれたCSTOの平和維持軍は与えれた任務を終えて、その一部が、113日、モスクワ郊外の空軍基地へすでに帰還したという。残りの部隊も今後2週間のうちに順次カザフスタンを後にする予定だ。(出典:WATCH: First Russian peacekeepers return from Kazakhstan: By RT, Jan/14/2022

ここに、「カザフスタン後、カラー革命の時代は終わる」と題された最新の記事がある(注1)。著者のペペ・エスコバールは著名なジャーナリストである。地政学的な国際政治に関する解説や洞察は各方面から高い評価を得ており、彼はよく知られている。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

Photo-1:カザフスタンにおける2022年の出来事には外国勢力が残した指紋が至るところに認められ、中央アジアでの戦闘はふたつの敵対する勢力の間で展開して行った。 Photo提供:The Cradle

2022年はカザフスタンの炎上で始まったが、ユーラシア大陸の統合の観点から見ると、これは最重要拠点のひとつである国家に対する本格的な攻撃であった。いったい何がどのようにして起こったのかに関してわれわれは、今、ようやく理解し始めたところである。

月曜日(110日)の朝、集団安全保障条約機構(CSTO)の各国リーダーはカザフスタンでの出来事に関して意見を交換するために臨時会談に臨んだ。

カザフスタン大統領のカシムジョマルト・トカエフはこの出来事を簡潔に説明した。この暴動の真の理由は「計画もなしに始まった反政府デモの背後に隠されていた。」その目標は「政権を奪う」こと、つまり、クーデターを起こすことにあった。「作戦行動はひとつのセンターから発信され」、「外国からの武装勢力がこの騒動に関与していた。」

ロシア大統領のウラジミール・プーチンはさらにその先にまでも言及した。この暴動では「マイダン革命の際に使われたテクノロジーが用いられている」と述べた。これはNATOには友好的な振る舞いを見せなかった当時のウクライナ政権を転覆させるべく2013年から始まっていたマイダン広場における騒動に言及したものだ。

カザフスタンへCSTOから平和維持軍を急遽送り込んだ事実を擁護して、プーチンはさらにこう述べている。「遅れることなく対応することが必須であった。」CSTOは必要に応じて現地での任務を遂行するが、任務が完了した暁には、「もちろん、全兵力が同国から撤退する。」兵員は今週の後半から出国の予定だ。

しかし、決定的に重要な件はこうだ。つまり、「CSTO参加国は同機構の境界内で混乱を引き起こすことやカラー革命を実行することは決して許さない」という点を内外に見事に示したのである。

プーチンの発言はカザフスタンの国務大臣を務めるエルラン・カリンのそれと共鳴し合った。記録によれば、彼は自国で起こった出来事に適切な語彙を用いた最初の高官であった。次のように言ったのである。実際に起こったことは政府の転覆を目標にして内外の勢力によって引き起こされた「ハイブリッド・テロ攻撃」である。

もつれたハイブリッド網:

実質的な面は誰にも分からない。しかし、昨年の12月、キルギスの首都、ビシュケクにおいても別のクーデターがこっそりと阻止されていたのだ。キルギスの諜報部門は裏工作を行って、英国とトルコに結び付く一連のNGO組織を突き止めた。これは今回の大計画に関連して実に重要な側面を示してくれた。つまり、NATO関連の諜報部門や工作員は中央アジア一帯で同時的にカラー革命攻撃を準備しているのかも知れないという点である。

新型コロナウィルスの大流行が始まる前、2019年の後半、私は中央アジアを旅していた。西側のNGOは西側が行うハイブリッド戦争の最前線の部隊であって、キルギスやカザフスタンにおいて大きな影響力を持っていた。でも、彼らは中央アジアや西アジア一帯に配されて、西側のハイブリッド戦争のまさに星雲のような不透明さの中に漂っている単なるひとつの集団でしかないのも事実であった。この地域では、CIAや米国のディープステーツがMI6やトルコの諜報組織と縦横に交錯している姿をわれわれは目にする。

トカエフ大統領はあたかも「ひとつのセンター」を暗号のように言及したが、中央アジアの諜報関係の高官によれば、あれはアルマトイ南部のビジネス地区にある米国・トルコ・イスラエルからの軍部や諜報関係者による「秘密の」作戦室のことを意味していたのだ。この「センター」には22人の米国人、16人のトルコ人、6人のイスラエル人が居て、西アジアでトルコ人によって訓練を受けた妨害工作要員たちを統率し、アルマトイへと送り込んだ。

カザフスタン軍がロシアやCSTOの諜報部門からの支援を受けて、破壊されたアルマトイ空港を奪還した時、彼らの作戦は完全に潰された。同空港は外国からの軍需物資を受け取るためにハブ空港として使用する予定だった。

西側のハイブリッド戦の遂行者たちはCSTOが彼らのカザフスタン作戦を電光石火のようなスピードで妨害したことにすっかり度肝を抜かれ、蒼白になっていたに違いない。重要な要因がある。ロシアの国家安全保障委員会の長であるニコライ・パトルーシェルはとっくの昔にこの「大構想」をすでに見抜いていたのである。

それ故、ロシアの航空宇宙軍や空輸部隊、ならびに、必要となる大掛かりな兵站インフラの準備が着々と進められ、実際に発進するばかりになっていたことは何の不思議でもない。

11月に遡って、パトルーシェルのレーザーはすでにアフガニスタンで安全保障が劣化している状況にその焦点を合わせていた。タジキスタンの政治学者であるパルヴィズ・ムロジャノフは8,000人もの帝国側の武装したセラフィ聖戦士がシリアやイラクから送り込まれ、アフガニスタン北部の荒れ地を当てもなくさ迷い歩いている事実を報告した数少ない専門家の一人であった。

彼らは大多数がホラーサーン系のISISである。あるいは、トルクメニスタンとの国境付近で再構成されたISISである。その一部は正式にキルギスへ搬送された。かの地からはビシュケクから国境を越し、アルマトイへ姿を現すのは非常に容易いことなのだ。

帝国がカブールから撤退した後にジハドで構成された予備兵をいったいどのように使うのだろうかという件についてパトルーシェフと彼のチームがその疑問を解明するのに時間はかからなかった。つまり、目標はロシアと中央アジアの「スタン国家」との間に延々と続く7,500キロもの国境地帯である。

他の事柄も含めて、これについてはタジキスタン内にある第210ロシア軍団の基地で2021年後半に記録的に多くの準備が実施されていたことを示す記録が実にうまく説明してくれる。

ジェームズ・ボンドがロシア語を喋る:

汚らしいカザフスタン作戦の詳細は必然的に通常もっとも怪しまれている連中から話が始まる。つまり、米国務省だ。国務省は2019年のランド研究所の「ロシアを(過度に)拡張させる」と題された報告書に記された戦略を「賛美」していた。「地政学的な策」に関する第4章は「ウクライナに対する軍事的な支援」、「ベラル-シ政権の転覆を推進」、「シリアの反政府派への支援の拡大」から始まり(これらはすべてが失敗に帰したが・・・)、「中央アジアにおけるロシアの影響力を低減する」に至るまで多くを網羅していた。

これが主要概念であった。そして、実行はMI6・トルコの連携集団に任された。

CIAMI6は少なくとも2005年以降中央アジアの 怪しい連中に対して投資を行って来た。当時、彼らは「ウズベキスタン・イスラム運動」(IMU)の後押しを行い、それからタリバンに近寄り、キルギス南部で騒動を起こそうとした。しかし、何も実現しなかった。

20215月になると、状況はまったく異なっていた。その頃、MI6のジョナサン・パウェルはジャブハト・アルヌスラの指導者と会った。この集団はイドリブに近いシリア・トルコ国境地域でたくさんの中央アジア出身のイスラム聖戦士を擁していた。米国の言い方によれば、「中庸な反政府派」はNATOの反ロ政策を順守してくれさえすれば彼らに対する「テロリスト」の烙印は排除されるという。これが彼らの取引の内容であった。

そういった事がイスラム聖戦士をアフガニスタンへ送り込むための重要な準備工作のひとつであったのだ。こうして、中央アジアへの進出のための枝分かれの準備が完結する。

攻撃の種は20206月に観察される。その頃、2014年から2018年にわたってトルコ駐在英国大使を務めたリチャード・ムーアがMI6の長官に任命された。ムーアはキム・フィルビーのような人物の能力にはまったく手が届かなかったが、彼のプロフィールは打ってつけであった。つまり、彼は徹底したロシア恐怖症であって、西アジアから始まってコーカサス、中央アジアに至る住民、ならびに、ボルガ川流域のロシアの共和国さえをも含むトルコ語系の住民の統合を推進しようとする汎トルコ主義を謳う「グレート・ラニア」の中心的な応援者であった。

MI6は 専制政治のトルクメニスタンを除いてすべての「スタン国家」に深く浸透している。ロシアと中国に対抗するために、狡猾にも、汎トルコ攻勢に便乗しているのである。

エルドアン自身は、特に、2009年の「テユルク評議会」の創立以降、本格的な「グレート・トラニア」攻勢への投資を享受して来た。重要な点としては、この3月にカザフスタンにおいて「ルク国家首脳会議」が開催される予定だ。これは「テユルク評議会」の新しい呼び方である。カザフスタン南部にあるトルケスタン市がルク世界の首都として命名されよう。

こうして、「テルク世界」はロシアの統合概念である「ユーラシア経済連合」と正面衝突することとなり、トルコをメンバーにしてはいない上海協力機構(CSO)とも衝突する。

エルドアンの短期的な野望はまずは経済のみであると見える。アゼルバイジャンがカラバフ戦争において勝利を収めてから、彼はカスピ海を通して中央アジアへの進出を実現するためにバクーを利用することであろう。それはトルコの軍産複合体がカザフスタンやウズベキスタンへ軍事技術を売り込むことによって完成されることとなろう。

トルコ企業は固定資産やインフラへの投資をすでにふんだんに行っている。それと並行に、アンカラのソフトパワーは今や過熱状態となっており、大きな圧力を掛けることによって入手可能となる果実を収穫しようとしている。たとえば、カザフスタンにおいてはキリル文字をローマ字に切り替える時期を早めて、2023年には開始の運びだ。

しかしながら、基本的にはNATOの中央アジアへの進出についてトルコが代理役を務めていることについてはロシアと中国は明白に理解している。テルク国家の連合組織は対カザフスタン作戦を曖昧にするために「燃料の高騰にまつわる抗議」であると称した。

すべては曖昧模糊としている。エルドアンのネオ・オットマン主義は「ムスリム同胞団」を基盤にして大々的にその応援役を演じているが、本質的には汎トルコ主義とは関係がない。汎トルコ主義は相対的に「純粋な」トルコ人の優位性に基礎を置こうとするものであって、人種差別的な運動である。

問題は急進的になればなるほど彼らはトルコの右翼である「灰色オオカミ」と合流し、より深く関与するようになることにある。その懸念はアンカラの諜報当局がボスニアから始まって中央アジアを通して新疆に至るまでISIS・ホラーサーンをフランチャイズ展開し、多くの場合トゥーラーンの人種差別主義者を支援し、戦力と化していることからも良く説明できる。

帝国はこの毒を含んだ連合から大きな利益を得る。たとえば、アルメニアにおいてそうだった。そして、この作戦がうまく行けば、カザフスタンでも同じことが起こるであろう。

トロイの木馬を送り込む:

カラー革命はどれを取っても「最強の」トロイの木馬を必要とする。われわれの今回の事例においては、それは国家保安委員会の前委員長であったカリム・マシモフの役割であろう。彼は、今、刑務所に囚われ、国家反逆罪を問われている。

とてつもない野心家ではあるが、ウイグル人とのハーフであるマシモフは、理論的に言えば、前もって定められていた自分の出世の道を塞がれたのである。彼がジョー・バイデンやその息子との間に持っている心地よい関係はすでに詳細に分かっているが、彼のトルコ諜報機関との繋がりは何も分かってはいない。

内務・国家保安省の前大臣であったフェリックス・クーロフ中将はカラー革命中に形成されたクーデター内部の動力学的な諸要素を説明することができる、見事な程にもつれ合う蜘蛛の巣を紡いでいたのである。

クーロフによると、マシモフと最近更迭されたカザフスタン国家保安委員会議長のヌルスルタン・ナザルバエフの甥であるサミール・アビッシはこの騒動の最中「顎髭を蓄えた連中」から成る「秘密」部隊を監督する作業にどっぷりと浸かっていた。国家保安委員会(KNB)はナザルバエフの直接の指揮下にあったが、ナザルバエフは先週までこの委員会の議長の座にあった。

トカエフはこのクーデターの構造を理解した時、彼は早速マシモフとサマト・アビッシの二人を解任した(訳注:アビッシの名前は前出が「サミール」となっているが、ここでは「サマト」となっている。後者が正解のようだ)。そして、ナザルバエフは自発的に保安委員会の議長の座から降りた。そして、アビッシは「顎髭を蓄えた連中」の動きを止めることを約束して、このポストに就いたのだが、後に辞任した。

こうして、事態はナザルバエフとトカエフとの対決を直接示すこととなる。彼の29年におよぶ統治の間、ナザルバエフは多方面外交を演じ、その外交は余りにも西側に傾倒しており、必ずしもカザフスタンに恩恵をもたらすものではなかった。彼は英国の法律を採用し、エルドアンとは汎トルコ主義のカードを捌き、大西洋主義者の目論見を推進するためのNGO組織が津波のようにカザフスタンを襲うこととなった。

トカエフは極めて賢明に政治運営を行った。旧ソ連邦では外交について訓練を受けており、ロシア語と中国語に堪能で、彼はすべてをロシア・中国側に合わせ、これは一帯一路(BRI)やユーラシア経済連合(EAEU)および上海協力機構(CSO)のマスタープランと軌をひとつにするものだ。

トカエフはこのBRI/EAEU/SCOの三本足が帝国にとって如何に悪夢となるか、そして、三本足のために主要な役を担っているカザフスタンの不安定化が如何にユーラシアの統合にとって致命的なクーデターとなるかに関してプーチンや習近平とほとんど同様によく理解している。

結局、カザフスタンは中央アジアのGDP60%を生産し、大量の原油や天然ガス、その他の鉱物資源を産出し、最新のハイテック産業を擁している。つまり、豊かな文化遺産を継承する世俗的で中央集権的な立憲民主国家なのである。

トカエフにとってはCSTOに支援を要請するに当たって長い時間をかける必要はなかった。カザフスタンは1994年にこの条約に署名した。とどのつまり、トカエフは彼の政府に対して攻撃を仕掛けて来た外国勢力が主導するクーデターと戦ったのである。

他にもさまざまなテーマがある中で、プーチンはどうしてカザフスタンの公的な調査だけがこの出来事の核心に迫ることができるのかを強調している。誰が関与したのか、そして、暴徒への資金提供をどの程度行ったのかについては依然として不明のままである。動機としてはいくつかが考えられる。たとえば、親ロシア・中国を標榜する政府に対する妨害工作、ロシアに対する挑発、BRIに対する妨害、鉱物資源の略奪、サウジ王室スタイルによる「イスラム化」の推進、等々。

ジュネーブにおけるロシアに対する「安全保障」に関する米ロ会談の開始に先立つこと23日に迫っていたことから、このカラー革命はNATO高官らにとっては(まさに、切羽詰まった)お返しの最後通牒を伝えるためのものであったのだ。

中央アジア、西アジア、そして、南の発展途上諸国は電光石火のごとく迅速に遂行されたCSTO軍によるユーラシアでの対応を目にした。CSTO軍は任務を完了し、23日の内にカザフスタンを後にする予定だ。そして、誰もがこのカラー革命が惨めな失敗に帰したことを目にしたのである。

これは最後のカラー革命となるのかも知れない。苛立った帝国の憤怒には警戒しよう。

***

これで全文の仮訳が終了した。

前回の投稿は年初早々に起こったカザフスタンにおける騒動に関していくつかの暫定的な見解や概略の描写に終わっていたが、今回の引用記事はそれよりも遥かに詳しい内容である。全貌が見えて来た感じがする。

特に興味深いのは、やはり、この出来事はトカエフ現大統領とナザルバエフ前大統領との間の争いであったという点だ。そして、これはトカエフがCSTO軍の支援を得たことから、トカエフの勝利となったという点でもある。大きな構図で見ると、本件も米ロ間の地政学的な綱引きのひとつの場面であったのだ。

もちろん、カザフスタンの多方面外交による西へ、あるいは、東への揺らぎは今回の騒動が収束したことによってすべてが解決するというわけではないだろう。中央アジアにおいては、この記事でその詳細を学んだことではあるのだが、米英、ロシア・中国に続いてトルコが標榜する汎トルコ主義が三つ目の要素として存在しており、これが、新疆ウイグル地域を含めて、カザフスタンを始めとする中央アジア諸国を暗雲のごとく覆っている点である。さて、今後どのように展開して行くのであろうか?

最後に、この引用記事の表題である「カザフスタン後、カラー革命の時代は終わる」という文言は極めて意味深であると思う。その意味することが何かについては著者は何ら説明を加えてはいない。読者のひとりひとりがその答えを見い出してくれと言わんばかりだ。

そして、この記事の内容は西側の軍産複合体のプロパガンダ役を演じる主流メディアによって報じられることは少なくとも当面はなさそうだ。そういった状況こそが著者が奇しくも述べた「苛立った帝国の憤怒には警戒しよう」という結びの言葉に反映されている。こういった洞察にペペ・エスコバールの真価が見出せるのだと私には思える。


参照:

注1:After Kazakhstan, the color revolution era is over: By Pepe Escobar, The Saker, Jan/12/2022

 




 

2022年1月13日木曜日

国家主義者の台頭 ― カザフスタンの政府批判はいかにして暴動化したのか、ロシアはなぜ静観してはいられないのか

 

カザフスタンの国内情勢が不穏な状況を示している。最近の記事(Sitrep: Summary of Briefing from Colonel General Andrei Serdyukov, commander of the CSTO grouping in Kazakhstan”: by The Saker, Jan/07/2022)によると、当初伝えられていた暴動化の理由はカザフスタンでは大多数の自家用車がガソリンに代わって液化ガスを用いており、この価格が急騰したことが中心的な理由であったとされていた。しかしながら、隠れた最大の理由はトカエフ現大統領(69歳)とナザルバエフ前大統領(81歳)との間の勢力争いだと言う見方も浮上している。

トカエフ大統領がロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTOに平和維持軍の出動を要請し、CSTO議長(アルメニア首相)が速やかにその要求に応えたことから、暴動化した抗議行動はほぼ鎮圧される模様だ。不幸なことには、デモ参加者や警察の両者に多数の死者が出ている。その数はさらに増えることであろう。

ここに「国家主義者の台頭 ― カザフスタンの政府批判はいかにして暴動化したのか、ロシアはなぜ静観してはいられないのか」と題された最近の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆様と共有したいと思う。

これが単に国内問題で終わってくれればそれに越したことはないのであるが、この出来事は単なるカザフスタンの国内問題には留まらず、東西間の綱引きという地政学的な要素を明らかに持っている。

ところで、われわれ一般大衆がカザフスタンでは燃料ガスの高騰にともなって反政府デモが起こり、暴動化したという第1報を知ったのは先日のこと、つまり、年が明けてからのことであった。その後、事態は急速に展開して行った。最初に私の脳裏に浮かんだのはデモが暴動化した理由としてはまたもや西側のNGO(そして、その背後にはCIA)が暗躍したからではないのかという疑念であった。ウクライナのマイダン革命後に傀儡政権を樹立するまでに米国は何十億ドルもの金を注ぎ込んだと公言して憚らなかった。素人の素朴な疑問としては、果たして米国は今回のカザフスタンでの暴動にどれだけの金を注ぎ込んだのであろうかという点だ。

ユーゴスラビア連邦を崩壊させることに成功したNGO活動は、米国の意に沿わない国家に関してはその国の政権を転覆させる際の教科書的存在となり、さまざまな国を舞台にしてカラー革命を演出するために使用されて来たことで知られている(注:米国のNGO活動の詳細については、20111130日に投稿した「アラブの春と米国の思惑」という拙文をご一覧ください)。2014年に起こったウクライナでのマイダン革命もこの延長線上にある。

また、今回のカザフスタンでの暴動に関しては、最近になって知ったことではあるが、米国国際開発庁(USAID)は昨年の429日を期限としてカザフスタンにおける人権活動を行ってくれるNGO団体を公募していた。気に食わない外国政府を転覆させ、それに代わって傀儡政権を樹立することが仕事であるUSAIDの関与が同国で始まっていたとすれば、何をかいわんやという感じだ。今回のカザフスタンでのデモ参加者の暴徒化ではウクライナのマイダン革命を髣髴とさせるような狙撃者の存在までもが報じられており、多数の死者が出ている。また、殺害された警察官の何人かは斬首されており、イスラム国のテロリストの手口を思い起こさせる。

現時点の観察から言える限りでは、結局のところ、カザフスタンを政情不安に陥れ、西側の言いなりになる政権を樹立しようとする試みは失敗に終わったようである。110日の共同通信の報道によると、「カザフスタンのトカエフ大統領は10日までに全土で治安をほぼ回復した。死者164人という独立以来最悪の暴動を鎮圧したことで政権基盤の強化に成功した形だ。

***

モスクワ政府が旧ソ連邦のメンバー国家の政情不安を無視できない理由としては数多くあるが、中でも中央アジアの安全保障や宇宙探査用ロケットを発射する基地の利用、ならびに、同国に居住するロシア人同胞の安全、等が挙げられる。

Photo-1: 202215日の水曜日、カザフスタンのアルマトイ市の中心部で反政府デモ隊と警察が衝突し、放火された警察車両。© AP Photo/Vladimir Tretyakov

カザフスタンにおける暴力的な政情不安の背後にあるものは何か、旧ソ連邦の一員であったこの広大な国家の政治的安定性はどうして重要なのだろうか?

カザフスタンにおける出来事は驚異的な速度で変化しており、まさに1時間毎にその状況は変わっている。当初、エネルギー価格の急騰に対する反政府デモはより深刻な状況に発展することはないだろうと見られていた。しかしながら、その後、同国は集団安全保障条約機構(CSTO)へテロ活動防止の支援を求めることとなった。ロシア主導の軍事ブロックとその兵士らは武装した略奪者との間で激しい市街戦を展開するに至った。 

カザフスタンは旧ソ連邦内の国々ではもっとも安定した国家のひとつであると見られていた。第一代目の大統領からその後継者に権力が委譲され、国家運営はこの地域のエリートたちによって進められ、当初は乱れもなく効率的に行われていた。しかしながら、今、同国が30年前に独立国家になってから恐らくはもっとも深刻な試練に直面している。

RTはカザフスタンにおける今回の政情不安の背景に存在する理由を分析してみた。

カザフスタンにおけるデモ隊に関するビデオは世界中に拡散されている。デモ参加者らは公共の建物を襲い、軍用車両を奪って、それらを運転し、兵士の武装解除を行っている。彼らは同国で最大の都市であり、第二の首都でもあるアルマトイの市長オフィスに放火し、アルマトイは今や反政府デモの震源地と化している。

しかしながら、暴動はほとんどが即興的に起こり、何の統制も取れてはいないようである。群衆を組織化する指導者はおらず、反政府行動に向かって突き進む政党もいないようだ。政府側にとってはいったい誰と交渉をしたらいいのかさえも不明であった。その一方で、デモ参加者らはカザフスタンの公共の建物をいくつも占拠し、政権政党であるヌルオタン党の複数のオフィスや国営テレビ局を破壊した。

Photo-2: 202215日、水曜日、警察の機動隊はアルマトイの中心部で反政府デモを阻止するために準備を進めている。© AP Photo/Vladimir Tretyakov

反政府デモは燃料価格が高騰した際にカザフスタンの西部で12日に始まった。地方住民のほとんどは車両用燃料としてガソリンの代わりに液化天然ガス(LNG)を使用している。政府側は燃料価格に対して補助金を継続することを拒み、その時点以降、LNGのコストは市場原理によってのみ決定されると発表した。そして、燃料価格は速やかに2倍にも高騰したのである。リッター当たり60から120テンゲ(0.14ドルから0.28ドルに相当)へと。このステップは「需要と供給に基づくバランスの取れた燃料価格をもたらし、新たな生産能力を確保するための資本を呼び込むことにも繋がる」とした。当局は旧来のモデルは天然ガスの生産企業に恒常的な採算割れを強いており、彼らにとってはこのビジネスはまったく利益をもたらさないと述べた。

反政府デモの参加者の勢いはジャナオゼンの町でパッと燃え上がり、同国の西部や北部へと急速に広がって行った。彼らはカザフスタンの中央部で交通を遮断し、LNG価格を元の水準に引き下げるよう要求した。また、多くのデモ参加者は燃料の高騰に責任を有し、首都のネルスルタンに居住する高官らと差し向かいで交渉することを望んだ。当初、デモ参加者はほとんどが平和的であって、警察との衝突は皆無であった。しかしながら、状況は急速に変化し、12日と3日の当局の介入によって69人が拘束された。

デモ参加者の動きはさらに続いた。カザフスタン大統領のカシムジョマルト・トカエフは急騰した燃料価格の件について真剣に取り組むよう政府に指示を出した。間もなく、国営プレスサービスはカザフスタンの燃料供給ステーションの所有者らに対する調査を開始することを報じた。この調査は燃料価格を固定化するためにカルテル行為があったのかどうかを査定し、政府側としては「燃料価格を調整するために一連の策を導入しよう」とするものであった。企業は社会的責任が求められていることを受けて、一部の燃料供給業者はリッター当たり120テンゲから8590テンゲへ値下げすることを決めた。

しかし、これはデモ参加者の群衆を鎮めるには不十分であって、群衆はさらに急進的な行動に走った。14日の夕刻、数多くの都市で法の執行者との間で暴力的な衝突が起こり、これは一晩中続いた。警察官はデモ参加者らに対して警棒や催涙ガス、ゴム弾を用い、これに対抗してデモ参加者らは当局の車両や特殊車を炎上させた。

デモ参加者を鎮圧しようとしてトカエフ大統領はデモ参加者らの要求に応じ、政府を解散することにした。後に、議会の選挙が直ぐに行われるのではないかとの噂が広まった。しかしながら、この二つ目の譲歩は街頭の動きを鎮静化するには、またもや、効を奏しなかったのである。新政府のメンバーの構成を見ると、前政府のそれと変わり映えがしなかったことからも、この結末は容易に説明がつく。アリハン・スマイロフが新政府の指導者として指名された。前政府では彼は第一副首相の地位を占めていた。

Photo-4: カザフスタン大統領のカシムジョマルト・トカエフ。
© AFP / VYACHESLAV OSELEDKO

これらの譲歩はすべてが群衆の怒りをさらに燃え立たせるだけであったようだ。15日、彼らはさらに攻撃を加え、行政府の建物に放火した。と同時に、警察はデモ参加者を散会させることには消極的でさえあった。彼らの一部は攻守を入れ替わるほどであった。

今回の反政府運動はカザフスタンが今までに見て来たデモとは極端に異なっている。長期間にわたるリーダーであったヌルスルタン・ナザルバエフからトカエフへと権力が移譲された2019年に起こった大衆行動は速やかに、かつ、強圧的な形で解散させられた。この国で今日われわれが見た出来事とはまったく違っていた。普通の市民である観察者にとっては、カザフスタンの状況は非常に厳しいものとなって、数日の内に爆発したのである。そして、政府は部分的にとは言え麻痺状態に陥っている。

モスクワに所在する「ユーラシア分析クラブ」の指導者であるニキータ・メンドコヴィッチはこれらの反政府デモの背景にある理由は同国が厳しい経済状況にあることを含むだけではなく、政府が国家主義者らに擦り寄ろうとしたことにも起因すると考えている。

「過去12年の間、われわれは政府が反ロ的な策を導入することによって国家主義者や西側に好意的なグループに擦り寄ろうとする政府の動きを見て来た。これによって指導者であるエリート層はカザフスタンに在住するロシア語住民の反感を買った。ロシア語住民はロシアを支持し、カザフスタンの過半数を構成する一員である。その結果、政権政党は20211月に行われた議会選挙では100万票以上の得票を失った。しかし、国家主義的な野党はこれを与党政府の弱みであると判断し、政府を倒すことに努力した」と、分析専門家が述べた。

Photo-5: 202214日、アルマトイでのデモに加わる反政府派。
© AFP / Ruslan PRYANIKOV

彼が指摘したように、当面、西側に傾倒する野党の「Democratic Choice of Kazakhstan (DVK) や「Oyan, Qazaqstan(OQ)は彼ら自身の思惑を推進するために積極的に反政府運動の先頭に立ち、デモ参加者たちを利用しようとしている。メンドコヴィッチによれば、まさにデモ参加者が求めていた経済的要求に応じようとした政府の態度こそが暴動に終止符を打つことに失敗をもたらした。それどころか、デモ参加者をさらに急進的にさせ、純粋に政治的な要求を提案することさえも促してしまったのである。

ロシアの政治家であるローマン・ユネマンは彼の人生の最初の18年間をカザフスタンで過ごしたが、メンドコヴィッチが述べた地方の国家主義者らが反政府運動の土台となっているという見方に同意している。「反政府行動を起こしているのはリベラル派や進歩派ではなく、国家主義者や国粋主義者である。それが理由で、多くのデモ参加者が国旗を手にしており、中にはカザフスタン国家を歌っている者もいる」と彼は言った。ユネマンは今回のデモはカザフスタンの独立後では最大級の規模に発展したと指摘している。

この出来事における他の要因としては経済危機が長い間続いたこと、新型コロナの大流行がこの状況をさらに悪化させたこと、等を彼は挙げている。「私がカザフスタンを離れた頃は、彼の地での生活は、多分モスクワを除けば、ロシア地区のそれに比べても何の遜色も無かったものであったが、今や、生活水準は遥かに低くなってしまった」と言って、ユネマンは過去を思い起こす。政府は最近一連のコロナ対策を新たに導入したが、これは多くの人たちに街頭デモに参加する理由を与えたに違いない。

また、ユネマンは数多くの専門家がトカエフ大統領は政治的には自分の「ゴッドファーザー」でもあり、今も同国の政治に大きな影響力を見せているナザルバエフ前大統領と袂を分かつためにデモ参加者を一掃することについてはそれほど熱心ではないのではないかとの意見を述べていることについて批判した。カザフスタンにおいては、デモ参加者自身を含めて、誰もトカエフとナザルバエフとが本当に離反しているとは思っていないとユネマンは考える。たとえトカエフが前大統領に対して公な動きを取ったとしても、そうすることによって彼自身を何らかの責任から放免してくれることはなさそうで、反政府運動の群衆との間に平和を勝ち取ることにも繋がらないからだ。

Photo-6: 関連記事:  Government resigns amid mass protests in Kazakhstan

今回の暴動は長く続いた経済の低迷や新たに起こった危機的状況によって引き起こされたものであって、国内の政治サークル間の権力争いの結果ではないとユネマンは確信している。彼が考えるには、トカエフが国家安全保障委員会におけるナザルバエフの議長の座を奪ったことは、実際には、ナザルバエフ自身が自分に課した制裁である可能性がある。そうすることによって彼自身は政府がデモ参加者を一掃したことに対する非難や責任からは逃れることができるからだ。

ユネマンはトカエフが将来の政治改革に言及したことがここでは重要であると提言する。さらには、彼が自分の声明を徹底して貫くことが出来るかどうか、如何にして自分の声明を実現することができるかに大きくかかっているとも言う。「もしもトカエフが改革の一部としてナザルバエフが築いた「国家指導者」というタイトルに挑戦するならば、そこには明らかにクーデターの存在を目にすることとなり、デモ参加者たちは当初は何も知らされてはいなかったとしても彼らはこの政治劇を演じることに活用されることとなろう。」

ロシアはすでに今回の出来事はカザフスタン国内の事象であり、同国政府は状況をコントロール下に収めることができると考えるとする見解を公に表明している。もしも反政府デモが続く場合は、モスクワ政府はロシアの南側に位置する隣国に対してより多くの関心を寄せるであろうと述べた。

ロシアとカザフスタンとの国境はほぼ7,000キロにも達し、世界で最も長い陸上の国境であり、モスクワ政府の安全保障戦略においては鍵を握る非常に重要な要素である。カザフスタンの政治的安定性はロシアにとってはもっとも重要だ。なぜならば同地域における不安定性はこの国境が広大に続いているからだけではなく、居住者がほとんどいない草原地帯であることからも国境をコントロール下に収め続けることは非常に困難なのである。

この舞台におけるもうひとつの重要な要素はバイコヌールである。バイコヌールはロシアが借り受けている土地であって、宇宙センター基地としてこの地名はよく知られている。ロシアのもうひとつの宇宙施設であるヴォストチヌイ基地が最近建設され、今のところは無人の宇宙探査機の打ち上げだけに活用されている。バイコヌール基地と完全に置き換わる準備が整うまでは、ロシアはバイコヌールを必要とし、カザフスタンの政治の安定性は同宇宙基地を運営する上で必要不可欠だ。

ロシアの安全保障にとって重要な弾道ミサイルの試験基地として使用されているサリー・シャガンもカザフスタンにある。この基地は対弾道ミサイル(ABM)システムを試験する点においてはユーラシアでは唯一の存在だ。旧ソ連邦の崩壊以降、サリー・シャガンの一部の施設はロシアにリースされ、それ以外の部分は「カザフスタン国立無線電子・コミュニケーション・センター」に移管された。この試験基地の使用はロシアの国防能力を維持する上で重要な役割を演じている。

カザフスタンには大きなロシア人社会がある。約350万人のロシア人が居住し、この国の総人口の18.4%を占めている。彼らの中にはコサックの末裔がおり、彼らは少なくとも16世紀または17世紀頃から今日のカザフスタン領内に居住して来たことが知られている。ロシア帝国はかってカザフスタンを数多くの反政府派のための亡命の地として活用し、ソ連邦は後にこの地域の開発を支援するために産業や農業における有能な人材を送り込んだ。カザフスタンにおけるロシア系住民の安全は、その豊富な歴史と共に、ロシアにとっては大きな関心事である。

Photo-7: 202215日、カザフスタンのアルマトイの中心部でデモ参加者を押し留める機動隊。© AP Photo/Vladimir Tretyakov

カザフスタンでの今回の出来事をめぐる筋書きにおいてはロシアはすでにその一部分となっているとメンドコヴィッチはRTに述べた。「両国の相互関係が2020年から2021年にかけてしだいに悪化するに連れて、政府は住民からの支持を徐々に失って行った。国家主義者の動きが表面化し、当局はモスクワ政府からの支援を維持するのが困難となるであろうと多くの者が考え、それ故に今まで以上に勇敢になり、勝利を闘い取ることに熱心になって来ている」と、彼は言った。

この分析専門家は、カザフスタンでは国家主義者に対して政府が余りにも寛大であり、彼らをコントロール下に収める努力をほとんどしなかったことから、緊張の度合いが高まり、反政府デモとして燃え盛る火に油を注ぐ結果となったと見ている。

その一方で、ユネマンは「現状はこの国全体に関係するけれども、街頭デモに参加した者の中にロシア人はいない。デモ参加者は誰もがカザフ語を喋っており、ロシア語ではない」と指摘する。それと同時に、ユネマンは、今日のカザフスタンにおいては中国との摩擦はロシアとのそれよりも大きいことから、反政府デモが反ロシア運動になることはないだろうと考える。しかしながら、この見込みが薄いとは言え、その種のシナリオはまったくあり得ないというわけでもない。

カザフスタンにおける反政府抗議行動は国内政策ならびに対外政策の両方の観点からロシアにとっては非常に重要である。ロシアのメディアや政治家は2021年には年間を通してカザフスタンにおいて国家主義的動きが人気を獲得していることに言及していた。カザフスタンにおける現状はロシアの国内ならびに対外安全保障の両者にとって重要な鍵であり、ソ連邦崩壊後のこの地域における現状を維持することにとっても非常に重要となることから、モスクワ政府は間違いなく彼の地における状況の展開については注意深く観測して行くことであろう。

著者のプロフィール:ドミトリ・プロトニコフは政治分野を専門とするジャーナリストで、旧ソ連邦に属していた国々の歴史や最近の出来事について執筆している。

***

これで全文の仮訳が終了した。

カザフスタンの反政府運動の詳細に関する情報がいくつも流れ始めている。膨大な量の情報が毎日のように流されている。そのことを考えると、本日ここに投稿する内容は間違いなく氷山の一角でしかないことは明らかだ。全貌を見極めるにはさらなる情報収集が不可欠である。したがって、この時点で結論めいたことを断定することは意味がないことから控えることにしたい。

そして、今週ジュネーブでは米国とロシア、ならびに、NATOとロシアとの間で戦略的な話し合いが行われている、中心議題のひとつはロシアが要求しているNATOの東側への拡大の停止であり、ウクライナ内戦の平和的解決であると言われている、今、具体的な結果報告が世界中で待たれている。

率直に言って、カザフスタン情勢を含めて、今後の詳細情報から目を離せなくなってきた。


参照:

1‘Nationalists are on the rise’: How protests in Kazakhstan turned violent and why Russia feels it can’t stay silent: by RT. Jan/05/2022




 

2022年1月4日火曜日

米CDCは新型コロナウィルスの大流行は不適切な検査法の産物であったことを認めた

 

新型コロナウィルスへの感染が起こったかどうかを判断するためにPCR検査が実施された。ところが、このPCR検査によって擬陽性が乱造され、感染者数は必要以上に水増しされてきた。この現状を受けて、当初から少なからずの専門家によってサイクル数を下げることが提言された。しかしながら、医薬品業界から大きな寄付を受けているWHOや米国を始めとするEUの各国政府、西側の主要メディアはこれらの提言を真摯に受け止めようとはせず、前もって敷かれた筋書き通りの路線を走り続けた。

最近、新型コロナに関して既定路線を推進してきた権威筋の間において内輪揉めが起こっているようだ。1か月程前から世界的に流行しているオミクロン変異株は感染力は強いけれども、その毒性は弱く、以前の変異株が引き起こしたような肺炎をもたらす重篤性はほとんどないと報告されている。こういった事実に基づいて、今や、新型コロナウィルスの収束が大っぴらに論じられ始めている。新しい、大きな変化である。つまり、権威筋側は、今、新しい状況に適応しようとする勢力と既定路線にしがみついて行こうとする勢力のふたつに分かれる。

典型的な例は米国における政府与党の民主党と野党の共和党との間で長い間続いている議論だ。極めて政治化された議論である。民主党側は「ゼロコロナ策」を執拗に推進し、マスクの着用やワクチン接種、都市閉鎖策をとって来た。共和党側はモノクローナル治療薬の導入を提言して来た。州知事が民主党系であるか、共和党系であるかによって、個々の州に住む市民は毎日の生活において大きな違いに遭遇することになった。足並みが揃わない各州の対応、裁判所の判事が連邦政府の対コロナ策を違憲として判断したこと、等を受けて、バイデン大統領はついに全米の州知事が集合する会議で「連邦政府としてやれるコロナ対策はなくなってしまった」と述べている。(原典:Biden saying there is no federal solution to COVID means our patchwork response continues: by Louie Villalobos, USA Today, Dec/28/2021)つまり、連邦政府や民主党が進めて来た「ゼロコロナ策」はすべてが州レベルにて行うべきものだと述べたのだ。新型コロナの大流行に対する解決策として効果が見られないさまざまな愚策を推進するために連邦政府や民主党は嘘の上に嘘を塗り上げて来たが、この宣言は具体的な解決にはついに至らなかったことを自ら認めたも同然だ。不幸なことには、この米国の愚策を取り込んだ西側各国の一般大衆は必要以上に過酷な目に遭わされて来た。労働者層はその直撃を受け、完全失業者の増加に伴って貧困家庭が増大した。

また、フェースブックと英国の権威ある医学雑誌British Medical Journal (BMJ)はそれぞれが同じ権威筋の一員であったのではあるが、最近、彼らは内輪での喧嘩を引き起こしている。BMJが出版した最近の論文は新型コロナ用のワクチンを開発したファイザー社の臨床試験を下請けした企業であるVentavia社の品質保証活動が極めて杜撰であったことをすっぱ抜き、ワクチンの安全性について懸念を示した。この記事に関してフェースブックはファクトチェックを行い、同記事を批判したのである。BMJはフェースブックのファクトチェックの内容は同記事の読者を誤導しようとするものだとしてファクトチェック機能を停止するよう求め、強く反発した。(原典:The BMJ to Facebook - Stop Censoring Us and Shut Down Your Incompetent FactCheckers: by TrialSite Staff, December 17, 2021)。

この仲間内の喧嘩ではBMJは新しい状況に適用しようとする側に属し、フェースブックは既定路線にしがみついていたいとする側に属するようだ。これは時代の流れを読むことができる勢力と読むことができない勢力との間の争いであるとも言えよう。

新型コロナは、今や、そういった状況を生み出すまでに至っている。嘘の上に嘘を重ねて来た結果、その歪が余りにも大きくなり、ついに仲間割れを表面化させるまでになったのだ。

CDCPCR検査は止めにするとかねてから言っていた。もう数か月も前のことである。そして、最近の報道によると、202211日以降はPCR検査は使用しないと言う。ただ、それに代わる新しい検査法の提言はまだ聞いてはいない。

ここに、「米CDCは新型コロナウィルスの大流行は不適切な検査法の産物であったことを認めた」と題された記事がある(注1)。

一般大衆の多くは新型コロナの大流行には胡散臭い状況が隠されていることに大なり小なり気付いていた。あるいは、間違いなくそうだと最近になって感じ始めている。日本ではそれほど極端な状況にはならなかったにしろ、世界を見回してみると、都市閉鎖や在宅勤務、ワクチン接種の強制、等の政策によって最悪の場合は失職し、長期間にわたる苦汁を余儀なくされた人たちはが実に多い。そういった状況を意識的に作り出すことに貢献してきた主要な要素がこのPCR検査なのだ。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有したいと思う。

***

メディアからの注目を浴びることもなく、米疾病管路予防センター(CDC)は新型コロナへの感染を診断するために用いられて来たPCR検査の使用を極めて静穏に中断する。

20211231日以降、CDCPCR検査法に関して食品医薬品局(FDA)に対して申請していた緊急時使用許可(EUA)の申請を撤回する。この検査法は新型コロナの感染を診断するために20202月に導入されたものである。」 (https://www.cdc.gov/csels/dls/locs/2021/07-21-2021-lab-alert-Changes_CDC_RT-PCR_SARS-CoV-2_Testing_1.html

また、CDCPCR検査は新型コロナウィルスへの感染とインフルエンザウィルスへの感染とを区別することができないことを認めている

米国の公衆衛生に関与するこの連邦最高機関は実は数か月も前にこの結論に達してはいたのだが、その結論を実行することは2021年末まで棚上げにして来た。このことについて私は以前から皆さんにお伝えしていた。彼らはこの間にできるだけ多くのワクチンを生産し、それによって利益を最大化するために、毎日のように大嘘の検査結果を報告させ、一般大衆の恐怖を扇動し続けるのにまさにこのPCR検査法を引き続き必要としていたのである。

CDCPCR検査法の撤回を報じても、メディアや政治家からは何の関心も引かないという現実がある。これは余りにも異常である。

ノーベル賞の受賞者であるケイリー・マリス博士やPCR手法の発明者は何年も前に「PCRは単なるプロセスである。あなたが病気にかかっているかどうかについては何も診断してはくれない」と言っていた。この手法は新型コロナウィルスの感染を診断することについては何の意図もされてはいなかったことを示している。

臨床医学を専門とするベルギーの著名なパスカル・サクル博士はこう述べている。「市民の人権や憲法で認められている権利を侵害するためにPCR検査が誤用され、実際の新型コロナ患者ではなく、大嘘の診断結果に基づいて新型コロナウィルスの大流行を演出する戦略のためにこのPCR検査法が執拗に、かつ、意図的に使用されて来た。」

私が常日頃報告して来たように、PCR検査は意図的に高いサイクル数を用いて実施されてきたが、このような使い方はたくさんの擬陽性をもたらすことが知られている。報告されている新型コロナウィルスの感染者数の大多数は意図的に作り出されたものだ。病院は、実際問題として、死因のすべてを新型コロナのせいであるとして報告することによって経済的見返りを得ていたことから(訳注:新型コロナウィルスに感染し、肺炎を起こして入院した患者にはメディケア保険制度からは通常5,000ドルが支給される。新型コロナとの関連性が報告されている場合は13,000ドルが支払われ、ベンチレーターに接続する程の重篤な患者については3倍の39,000ドルが支払われる。原典:Fact check: Hospitals get paid more if patients listed as COVID-19, on ventilators, by Michelle Rogers, USA TODAY Network,

Apr/24/2020)。彼らは大嘘で成り立っているこの詐欺行為の一部を演じているのだ。どんな理由で死亡しようがPCR検査を行うと、陽性者の中で最高で97%もの事例は擬陽性の結果をもたらすことから、それに基づいて「新型コロナによる死亡」を宣言することが可能で、実に簡単なことであった。

世界が問い質したいことは、ロバート・F・ケネディ・ジュニアが指摘してくれたように、「公衆衛生当局」は大手製薬企業の利益のためにサクラの役割を演じたのではないかという点であり、政治家や噓つきのメディアはワクチン接種によって引き起こされた健康被害や死亡、ならびに、無意味な都市閉鎖によってもたらされたビジネス上の損害に関して責任を負うべきではないのか、さらには、ワクチン接種の義務化はニュルンベルグの国際法に対して甚大な違反になるのではないかという点である。

世界中の人たちはこの念入りに計画された「新型コロナウィルスの大流行」は人類史上ではもっとも凶悪な人道犯罪であるということを理解する必要がある。この凶悪な犯罪を組織化し、実行したのは「自由な西側」なのである。

ファウチを信用し、バイデンを信用し、医療当局を信用し、メディアを信用した人々は自分自身の生命や生活を破壊してしまった。

Photo-1

人権や市民の自由に関する偽善やそのことがもたらした結末を理解するにはわれわれ人類は余りにも愚か過ぎるのではないか?人類は本当の意味における専門家たちの大多数の口を封じ、罰を与えることを強制する実に巧妙に仕組まれた筋書きに基づいて皆を欺いてきた政府当局やメディアを信用し続けるのであろうか? もしそうだとするならば、人類は皆が完全に奴隷の地位に陥ることであろう。

次の記事も参照されたい:

https://www.globalresearch.ca/bombshell-cdc-no-longer-recognizes-the-pcr-test-as-a-valid-method-for-detecting-confirmed-covid-19-cases/5765179 

(著者あるいは著者の代理者からの許可を得てPaulCraigRoberts.orgからこの記事を転載。)

***

これで全文の仮訳が終了した。

この記事の著者は著名な論客、ポール・クレイグ・ロバーツである。これまでもさまざまなテーマについて彼の見解をこのブログでご紹介して来た。

彼の主張の中でもっとも印象的な文言は「CDCPCR検査は新型コロナウィルスへの感染とインフルエンザウィルスへの感染とを区別することができないことを認めている」に尽きるのではないだろうか?新型コロナウィルスの大流行が始まった当時、コロナウィルスが流行したことによって、インフルエンザウィルスの流行が抑えられているという見解が出回っていた。このことをご記憶であろうか?今考えてみると、PCR検査は新型コロナウィルスとインフルエンザウィルスとを区別することができないことを知っていながら、当局は巧妙に嘘をついたのではないのか?あれは蔓延する新型コロナウィルスのすべてを検査しているとして見せかけるためのものであって、mRNAワクチンを緊急導入するための都合のいい作り話であったのではないのか?

つまり、新型コロナウィルスの大流行は意図的に作られたものであり、プロパガンダの産物であったという現実を直接的に裏付けているようにさえ思える。

科学が政治によってハイジャックされた時、われわれ一般大衆に強いられた苦難がその後の2年間にもわたって続くことが約束されたのである。そして、ヨーロッパの多くの国々は今でさえも苦難に喘いでいる。もしも科学が尊重され、一般大衆の健康維持こそが真の意味でWHOの最大の使命であったとするならば、イベルメクチンの効能はとっくの昔に臨床的に解明され、全世界の何処であっても店頭で安く入手できるようにすることが可能であったのではないか?そうしていたならば、イベルメクチンを定期的に投与して来たアフリカ諸国と同様に、世界を席巻した新型コロナウィルスの感染は世界中で劇的に食い止めることができたのではないか。その効能はインドにおけるイベルメクチンの使用によって感染者数が劇減したことで実証されている。インドで最初にイベルメクチンの使用に踏み切ったのはインドで最大の21700万人の人口を擁するウッタル・プラデシュ州だ。一般大衆にとって幸いなことには、同州では住民の健康を守りたいとする基本的な政治理念が見事に実を結んだのである。

インターネット機能によって新しい情報は世界中に瞬時に拡散することが可能であることから(ただし、これは大手メディアがそうしたい場合だけの話ではあるのだが)、現代版の魔女狩り行為は科学者やジャーナリストを極度に臆病にさせ、日和見的な政治家の野心を助長し、人間社会を極端なまでに歪めてしまった。これがわれわれを取り巻いている今日の世界である。

今回の引用記事によって奇しくも指摘されているように、この歴史的なレベルの苦難をもたらしたのは「自由な西側」であるという事実は新自由主義やグローバリズムを標榜して来た資本主義世界の指導者らにとってはまさに最大級の皮肉であろう。あるいは、彼らは何の痛痒も感じてはいないのかも知れない。

われわれ一般大衆のレベルから言えば、2022年の到来と共に小さな変化であってもいいからそれらを実現し、全世界がより正常な社会に向けて再出発して欲しいものである。もちろん、人間社会に大きな影響力を持っている筈の政治家やメディアは世の中の不条理と闘うことに関して確固たる自覚を改めて持つことが求められる。そして、それを可能にするのか、あるいは、その重要さに気付かないままに時を過ごしてしまうのかはひとえに投票権を行使するわれわれの自覚にかかっている。

最後に一言。新型コロナの大流行には胡散臭いものがあるとお気づきの読者の皆さんには、この投稿とはまったく違う見解も含めて、幅広く情報収集を行って、均衡のとれた判断を導くことに役立てていただきたいと思う。

参照:

1CDC Admits That the Covid Pandemic Was the Product of an Inappropriate Test: By Paul Craig Roberts, The Unz Review, Dec/27/2021