2012年7月23日月曜日

ルーマニアの夏「ひまわり」


この夏は記録的な猛暑が続いている。74日にはブカレストで40C14日には41Cが予報され、酷暑を避けるべく「黄色コード」が発令された。(黄色コード: 酷暑や酷寒といった異常気象に対する注意報。今年の2月にはドナウ川が凍結するほどの寒波に見舞われ、この「黄色コード」が発令され、学校は休校になった。)昨年も例年にない暑さを記録したが、今年はそれを大きく上回ったようだ。さらには、この夏は雨が少なく旱魃気味でもある。農業に悪影響が出ないで欲しいものだ。
昨年の夏は結局計画倒れになってしまった「ひまわり」の花の撮影がようやく実現した。ウルジチェニ市の方向にブカレストからほんの僅か外へ出るだけで(大雑把に言うと、ブカレストの北東方向)、撮影に手ごろな場所が何箇所も見つかった。710日のことだった。




今回気がついたことであるが、ひまわりにも実がつく部分が非常に大きいものと、それほど大きくはないものと様々だ。その直径が倍も違うのだ。直径が倍も違うと、実をつける面積では4倍もの違いになる。実の数には大きな違いがないとすると、1個の実の大きさそのものがが大きく違ってくることになる。これはどうしてだろうか。収量を増加させるには大型の花をつけた方がいい。ある文献によると、水分が十分に得られたかどうかによるという。播種の時期とその後の降雨量との関係だ。特定の地域での天候次第ということである。
ひまわりは最も手間のかからない作物なのだそうだ。極端に言うと、葉が5枚か6枚開いた以降の作業は収穫だけだという。種まきと除草剤の散布だけで肥料も必要ないという。ひまわりは乾燥に強いとはいえ、旱魃の年は収量が落ちる。2000年と2007年がそうだった。

ひまわりは根を深くはって(1.5から2メートル)水分を吸収する能力があるので乾燥地帯での栽培に適していると言われている。輪作をする場合3年とか4年に1回の栽培だそうだ。ひまわりの次にはどんな作物が適しているのか。これはルーマニアでの事例ではないが、ある文献[1]によると、コロラド州では小麦>とうもろこし>ひまわり>休耕の繰り返しがいいという。カナダでは春まき小麦>えんどう豆>大麦>ひまわり、ノースダコタ州ではひまわり>大麦>えんどう豆>小麦が理想的だとのこと。その土地の気候や土壌の性質次第で様々な戦略が採用されている。
ひまわりの生産はヨーロッパでは菜の花や大豆と並んで油脂用の最も重要な農作物だ。特に、ルーマニアではEUへの加盟後輸出できる農作物としてその重要性を増していると言われている。

ルーマニアでは伝統的にひまわりの生産が大規模に行われている。食用油のためだ。その規模はEU27カ国では1位で、EU全体の生産量の23%を占めるという[2]。その後にフランス(21%)が続き、さらにブルガリア(18%)、ハンガリー(17%)と続く(2009)。
しかし、今後の推移はどうかと言うと、上記に参照した報告書によると、菜の花が急速に伸びて、ひまわりに代わって首位に立つだろうと推測されている。ひまわりも菜の花も最も手数がかからない農作物のひとつであり、商品性も高いことから人気があるようだ。さらには、菜種油についてはEUの政策として環境に優しいバイオデーゼル燃料の生産を促進するための補助金(45ユーロ/ヘクタール)が付く。この政策が生産を伸ばす後押しをしているようだ。一方、大豆の生産は伸びないとのこと。その根本的な理由はEUが遺伝子組み換え大豆を許可しなかったからだという。結構なことだ!

昨年は当初の予想に比べて生産量の伸びがそれ程ではなかったが、概して農業は好調だったようだ。農業に従事する人たちがどう感じていたかを示す興味深い記事[3]が見つかった。それを簡単に紹介したい。
ヤシ県のモルドヴァ・ツガナシ共同組合の理事長、アウレル・プラチンシ氏2011年は前年よりも豊作だった。ひまわりについては2010年の収量が1ヘクタール当たり2,800kgだったのに比較して、2011年は3,000kgから3,100kgを達成した。1,000ヘクタールがトウモロコシ生産に使用され、500ヘクタールをひまわりに充当。その内200ヘクタールはハイブリッド種。

ガラツ県のアンギナレア協同組合の理事長、ヴェシレ・ダジボク氏:長年農業に携わってきているが、降雨不足によってこんなに被害に遭ったことは一度もない。3ヵ月半も雨が降っていない。2010年のひまわりの収量は1ヘクタール当たりで3,900kgだったが、2011年はたったの2,400kgに終わった。旱魃によって大きな減産となった。500ヘクタールの所有地のうち110ヘクタールでひまわりを生産。
地域によって降雨の状態が丸っきり違い、単位面積当たりの収量もガラリと変わる。農業の難しさを見せている。 

広大なひまわり畑の見事さを眼にしたついでに、ひまわりを巡るルーマニア農業についてざっと基本的な点をおさらいしてみた。
 

参照:
1The Rotation Equation: Where should sunflower fit?: National Sunflower Association, Sunflower Magazine, February 2003
 
2RESEARCH REGARDING OIL SEEDS CROPS DEVELOPMENT IN ROMANIA IN THE EU CONTEXTAgatha PopescuEconomics of Agriculture 1/2012
 
3Porumb şi floarea soarelui: Rezultate mai slabe decât estimărileAgronomie紙、2011107


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