2019年8月8日木曜日

MH17便撃墜事件の証拠の隠滅についてマレーシアが暴露 - オランダは偽の録音テープを隠蔽し、ウクライナはレーダー記録を隠蔽


マレーシアのマハティール首相が発した批判を契機に、MH17便撃墜事件に関するオランダ政府主導の共同調査班(JIT)による結論は、今、真っ向からの挑戦を受けて、その信憑性が疑われている。勢いを増しつつあるこの新たな動きは2014年の7月に起こった事故以来満で5年を過ぎた今、事故の真相を知る上で非常に重要なものとなりつつある。何か重要な真相が隠蔽されていると感じて来た一般庶民は非常に多い筈だ。その素朴な疑念は単なるMH17便撃墜事件だけには留まらず、政治に対するさらなる不信感、米国による単独覇権構造に対する不満となって、全世界で一般庶民の心の中に沈殿しつつある。

ここに、「MH17便撃墜事件の証拠の隠滅についてマレーシアが暴露 - オランダは偽の録音テープを隠蔽し、ウクライナはレーダー記録を隠蔽」と題された記事がある(注1)。これはMH17便撃墜事件に関して行われてきた情報隠しの実態を暴く総括記事である。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

6月24日、私は「MH17便の撃墜はロシア人の仕業ではないとマレーシアのマハティール首相は言う。米国およびその同盟国はたくさんの事柄について回答しなければならない」と題して投稿した。その投稿と本投稿の両方を読んでいただければ、読者の皆さんは最新情報を手にしたに等しいと言える。しかも、公的な報道ではまったく触れられてはいない情報ばかりである。

NHKを含めて、日本で公に報じられている情報には限界があって、世界を取り巻く政治に関与するような、つまり、米国の覇権に関係するような事件については多くの情報が隠蔽され、意図的に情報操作が行われている。それ故、われわれ素人には真相に近づくことは極めて難しい。2014年のMH17便撃墜事件、2018年の英国ソルズベリーでのスクリッパル父娘殺害未遂事件、等がその好例である。また、米国における2016年大統領選で勝利を収めたトランプ陣営はロシアとの共謀によって選挙に介入し、勝利したとの共謀論がメディアによって毎日のように喧伝された。しかしながら、ミュラー特別検察官の最終報告書がトランプ大統領とクレムリン政府との共謀を実証することができなかったことから、このストーリーには幕が降ろされた。

好むと好まざるとにかかわらず、大手メディアだけに頼っていると、どこからどこまでが真相であるのかを正確に掴むことは、控えめに言っても、われわれには非常に難しい。われわれは、今、そんな世の中に住んでいる。


<引用開始>


マレーシア航空MH17便事件を独立した形で調査を行って来たマックス・ファン・デル・ウェルフによる新ドキュメンタリー・フィルムが検察用資料の改ざんや偽物の作成を示す画期的な証拠を明らかにしている。たとえば、ウクライナ空軍のレーダー・テープの隠蔽、オランダやウクライナ、米国およびオーストラリア政府による大嘘、等。また、米連邦捜査局(FBI)の工作員が撃墜された旅客機のブラックボックスを取得しようとした事実もマレーシアの国家安全保障委員会の職員によって初めて暴露された。




Photo-1: MH17便事件に関する大嘘を撃破しよう

突破口を開いたのはマレーシア人だ。モハマド・マハティール首相、ならびに、2014年7月17日に起こったMH17便の事故について現地調査を実施する任務を課され、首相府やマレーシア国家安全保障委員会のために職務を果たしたモハマド・サクリ大佐であった。さらには、ウクライナのシークレット・サービス(SBU)が提示し、オランダの検察官が「これは本物だ」として公表した電話の録音テープが作り物であることを見事に解析したマレーシアの「OG IT Forensic Services」社が行った科学捜査だ。

MH17便の犠牲者298人には192人のオランダ人、44人のマレーシア人、27人のオーストラリア人、15人のインドネシア人が含まれていた。国籍別の人数は実際の人数とは異なる。なぜならば航空会社の乗客名簿はオーストラリアや英国および米国の二重国籍の乗客を識別しないからだ。

この新ドキュメンタリーはマレーシア政府の発言に重点を置いている。マレーシアは共同調査班(JIT)の五つのメンバー国家のひとつであるが、出版された調査結果に反対し、JITに関わるオランダ政府職員によって最近報じられたロシア人容疑者を告発することにも反対している。マレーシアやオランダに加えて、JITのメンバー国家にはオーストラリア、ウクライナおよびベルギーが含まれる。マレーシアは当初からJITから除外され、ベルギー(MH17便の乗客名簿には4人のベルギー人が記載されている)が加えられたが、これらに関しては何の説明もされてはいない。

このドキュメンタリー・フィルムはJITの証人が行った陳述や写真、動画、および、電話記録がウクライナのシークレットサービス(SBU)によって改竄されており、マレーシアの法廷ばかりではなく、他の国でも、さらには、国際法廷においても犯罪の起訴に使用するには堪えられないような代物であると判断し、その証拠を示した。

初めての公表であるが、マレーシア政府は撃墜事件の一週間後に米国がウクライナ東部でNATOによる軍事攻撃を起こそうとしたが、その企てを阻んだ事実も暴露した。その企ての表面上の理由は航空機や乗客の遺体および墜落を引き起こした証拠を回収するためであるとされた。実際には、この展開はドンバス地域における分離派を駆逐することが目的であり、ロシアによって確保されているクリミアに抗するための動きであった。

この新しいドキュメンタリーは秘密裡に行動したマレーシアの軍事作戦が7月22日にMH17便のブラックボックスを手中に収め、米国やウクライナが取得することを阻んだことを暴露している。この作戦を指揮したマレーシア陸軍の大佐によって暴かれたマレーシアの作戦はカモフラージュのストーリーを組み立てるための証拠を排除することに成功し、NATO軍による軍事攻撃に対するドイツ政府の反対意見を強め、オランダ政府は7月27日の侵攻作戦を諦めることとなった。

マックス・ファン・デル・ウェルフとヤーナ・イエーラショヴァによるこの28分のドキュメンタリーは最近公開されたばかりである。イエーラショヴァは映画監督であり、ファン・デル・ウェルフやアフメド・リファザルと一緒にドキュメンタリーの製作に従事した。ヴィタリー・ビルアウコフが撮影を担当した。このフィルムの全編をこちらでご覧ください。

マハティール首相とのインタビューは、別途、先に公開されていた。そのインタビューはこちらでご覧ください。


Photo-2: マレーシアのモハマド・マハティール首相

マハティールは米国とオランダ、オーストラリアがどうしてマレーシアを調査活動の最初の段階でJITのメンバーから外したのかについて暴露した。その頃、米国、オランダ、オーストラリアおよびNATOの高官らは9,000人の兵力をウクライナ東部へ派兵し、表向きは撃墜現場、航空機、旅客の遺体を確保し、7月17日のMH17便撃墜事故におけるロシアの役割に対応するというものであった。この構想の詳細についてはこちらを読んでください。

軍事介入に関してはドイツが反対したことから中断されたけれども、オーストラリアは200人の特殊部隊をオランダへ送り込み、後にキエフへ配備した。ヨーロッパ連合と米国は、7月29日、対ロ経済制裁を発動した。

旅客機を撃墜したとしてロシアを非難する米国の企てに対するマレーシアの反対は事故の数時間後には当時マレーシア首相であったナジブ・ラザクが当時のオバマ米大統領に明確な立場を伝えていた。このストーリーの詳細はこちらこちらをご覧ください。

新しいドキュメンタリーでナジブの後継者であるマハティール首相は次のように述べている: 

「彼らはわれわれが関与することは最初から許そうとはしなかった。これは実に不公平で、まったく尋常ではない。彼らには墜落の原因や誰の犯行であるかを究明する積りなんてさらさらないことがわれわれには容易に読めた。彼らは犯人はロシアであるとすでに決めていた。われわれはこのような態度は決して受け入れることはできない。われわれは法の支配に興味があるのであって、誰が関与していたのかには関係なく、だれにも公平な司法に興味を持っているのだ。われわれは誰がミサイルを発したのかを知る必要があり、それを知ることができる時に初めてわれわれは完全な真実を受け入れることが可能となる。」 

7月18日に、撃墜後初のマレーシア政府の記者会見が行われ、ナジブ首相は電話で確認したオバマ米大統領とウクライナのポロシェンコ大統領との合意内容を公表した。

『「オバマと私は調査は秘密裡には行わず、国際調査団に墜落現場へのアクセスをを与えなければならないことを確認した。」 ナジブ首相はウクライナ大統領が完全な、徹底した、独立した調査を行うことやマレーシア政府の代表も参画することを約束したと述べた。「また、墜落現場への人道的回廊を設けるためにウクライナ大統領は東部の反政府派とも交渉をする」とナジブは述べている。「彼は、また、誰も航空機の破片やブラックボックスを現場から持ち出してはならない」とも言った。マレーシア政府はキエフに向けて特別機を派遣し、マレーシア特別救難チームと医療チームを送り出す。われわれはこの旅客便にいったい何が起こったのかを究明しなければならない。たとえ一個の石であってもそれをひっくり返して、徹底的な調査を行う。』 

新ドキュメンタリー・フィルムはマレーシア・チームを率いるモハマド・サクリ大佐とのインタビューでその次に何が起こったのかを明らかにした。プトラジャーヤにある彼のオフィスで撮影されたサクリの証言はマレーシア国外のメディアによってこの5年間に初めて報じられたものである。1年前、サクリ大佐はマレーシアの新聞に自分が与えられた任務を部分的に公開していた。


Photo-3: マレーシアのモハマド・サクリ陸軍大佐

「私は首相と話をした」とサクリ大佐は言う。「首相からは私が墜落現場へ急行するようにと指示された。」 当時、サクリは首相府の救難対策本部で安全保障を担当する上級将校であった。キエフへ到着後、ポロシェンコ政府の職員はマレーシアからの一行を遮ろうとしたとサクリは言う。「現場へ直行することは許されなかった。そこで、私は小さなチームを編成し、彼らを密かにキエフからドネツクへ向かわせた。」 現地ではサクリは墜落現場を見て回り、アレクサンダー・ボロダイに率いられたドネツク分離派政府の職員と会った。

二人の医療専門家、通信隊員、マレーシア陸軍特殊部隊員を含む11人の一行が現地へ急行した。オーストラリアおよびオランダの武装集団やウクライナ政府職員のグループとの競争となったが、マレーシアが先行した。オーストラリア・オランダのグループはドネツクの分離派勢力によって遮られたのである。オーストラリア軍の一行はキエフに控えているオーストラリアとオランダ両国の外相、つまり、ジュリー・ビショップ外相とフランス・ティマーマン外相によってせっつかれていたものの、自分たちの任務を放棄せざるを得なかったとオーストラリアのABC国営放送が報じた。 この報道はサクリ大佐がMH17便のブラックボックスを手中に収めた後のことであった。ブラックボックスが手渡される儀式は7月22日のボロダイのオフィスで行われ、その様子がフィルムに収められた。

米国の関係者は当時ウオールストリートジャーナルに次のように語った。「サクリの任務の成功はナジブ政権に政治的勝利をもたらした・・・ また、この成功はドネツクに現れたマレーシア政府の職員が署名をした合意書を介して分離派には非常に価値のある贈り物を与えることとなった。当の墜落現場をドネツク人民共和国の領土として認知したからだ。この認知は分離派には何の信頼感をも抱いてはいないキエフやワシントンの両政府の反感を買ったに違いない。主な指導者らはこの地域とは何の繋がりも持たないロシア人なのだ(訳注:因みに、当時ドネツク分離派政府を率いていたアレクサンダー・ボロダイはロシア市民である)。米国務省の副報道官のマリー・ハーフは月曜日の記者会見でこの交渉は分離派を正当だと認めることにはならないと言って、水をさした。」

オーストラリア国営ラジオ局は、当時、ブラックボックスの証拠によると「旅客機の破壊と墜落の理由はロケットの爆発に起因する複数のシュラップネルによって開けられた穴から起こった爆発的な破壊によるものであった」とウクライナ政府が主張していると報じた。しかし、これは作り話であった。6週間が経って、9月にオランダ安全保障会議によって発表されたブラックボックスやコックピットの音声記録、飛行データ記録の証拠からはこの種の内容は何も報告されてはいない。これらの証拠が示した内容はこちらをご覧ください。

ビショップ外相はキエフで、7月24日、オーストラリア軍がウクライナ国内で武器を携行することができるようにウクライナ政府と交渉していると言った。「われわれが武器の使用に頼ろうとしている訳ではない」と彼女は国営ニュース局に向けて述べた。「しかし、これは万が一のための策であり、この種の合意書にこういった条項を含めないとすれば、それは余りにも無謀だ。」 しかしながら、私は強調しておきたい。われわれの任務は人道的なものであることから、われわれは武器を携行しない。」


Photo-4: キエフにて、2014年7月24日。左から右へ、ジュリー・ビショップオーストラリア外相、フランス・ティマーマンオランダ外相、パヴロ・クリムキンウクライナ外相の面々。

彼女が国営ラジオに向けて話をする時点まで、ビショップは3,000人のオーストラリア軍を含む軍事介入の計画は取りやめになったことは隠していた。また、ブラックボックスはすでにサクリ大佐の手中にあるという事実も彼女は隠していた。

ブラックボックスを引き取るためにサクリ大佐が署名した文書は新ドキュメンタリーで確認することが可能である。サクリ自身が署名し、マレーシア国家安全保障委員会のスタンプを押した。

サクリはウクライナに派遣されている欧州安全保障協力機構(OSCE)の特別監視団からもブラックボックスをウクライナへ引き渡すよう要請を受けたと言う。しかし、彼は断った。それから、彼はFBIの工作員からも面会を求められた(6分56秒の辺り)。「連中は私に近づいて来て、ブラックボックスを見せてくれと言った。私はノーと言った。」 キエフではウクライナ政府がブラックボックスを引き渡すよう強引に求めて来た。われわれはノーと言った。「そんなことはできない。そうはさせない。」 


Photo-5: ドネツクでの引き渡しの儀式。2014年7月22日。

サクリ大佐が報道陣に話をすることについての許可はプトラジャーヤの首相府にいる上司から下され、彼の情報開示には事前に合意が与えられた。

その後キエフ政府が公表した内容はロシアが旅客機の撃墜に関与していたことを裏付けようとする電話記録を含んでいた。これらは、先月、4人のロシア人を起訴する証拠であるとしてJITによって提示されたものである。その詳細については、 こちらを読んでください。
ファン・デル・ウェルフとイエーラショヴァは、これらの電話の録音テープを詳しく調査するために、訴訟資料として用いられる音声や動画およびデジタル・テープに関して科学的解析を行うことを専門とするマレーシアの企業、OG IT Forensic Servicesに連絡をした。クアラルンプール所在のこの企業はマレーシア法曹協会によって認証されている。全143ページに及ぶ技術報告書はこちらで読むことが可能だ。

Photo-6: アカシャ・ローデン。OG IT Forensic Services社のデジタル科学捜査の上級専門家。

アカシャ・ローデンが報告した調査結果、ならびに、カメラに向けて描写された内容はこの録音テープは切ったり貼ったりして編集されており、捏造されたものであることを示していた。6月19日にオランダ警察の担当オフィサーで、オランダの国家犯罪捜査部門を率いるパウリッセンによって行われたJITの記者会見によると、このテープの出所はウクライナのSBUだ。ドイツの分析専門家であるノルマン・リッテルもファン・デル・ウェルフのドキュメンタリ-の中で同様の発見事項、つまり、テープの捏造や証拠の隠滅について報告している。

Photo-7: 左側:「いや、単純に言うと、それはウクライナからの盗聴電話だ」 右側: 「たくさんの編集が行なわれている」 - 録音テープの専門家、ノルマン・リッテルの言

ファン・デル・ウェルフとイエーラショヴァはウクライナ東部の撃墜現場で撮影をした。数人の地元の目撃者がインタビューを受け、トレーズの町のアレクサンダーという名前の男性やレッド・オクトーバーと称する農業集落からのヴァレンティーナ・コヴオレンコが含まれる。その男性はミサイル発射装置が7月17日の当日にロシアとの国境を越して持ち込まれたとするJITの説明に反して、少なくとも一日前からトレーズにあった、場合によっては、7月17日の撃墜の日の2日前からだったかも知れないと言った。彼はJITが断定したブク・ミサイルの識別については言及しなかった。

コヴオレンコはミサイルの発射を目撃した「比類のない」人物として、3年前に、BBCのドキュメンタリーに初めて登場した。彼女は自分が見たミサイルの発射地点に関してはBBCが報じた内容よりも遥かに詳しい内容を喋った。


Photo-8: ヴァレンテイーナ・コヴォレンコ:「しかし、間違った方へ行った。落下ではなく上昇。」(訳注:Photo-9のキャプションと一緒にして、理解してください。)

発射地点はJITによる記者会見で特定された場所ではなかった。ファン・デル・ウェルフはこう説明している。「われわれはコヴォレンコにミサイルがどちらの方向からやって来たのかを示してくれと頼んだ。そして、私はJITが言った発射地点の方向から来たのではないかと二度も重ねて質問した。彼女はそちらの方向に発射や飛行雲を見たのではなかった。JITが述べた「発射地点」は彼女の家や庭先から2キロ弱であることに留意されたい。彼女の証言の中でももっとも重要なこの部分をBBCは削除した。」 


Photo-9: ヴァレンテイーナ・コヴォレンコ: 左側:「最初の思いは撃墜された飛行機が落下するのではなく、どうして上昇していったのかという点。」 右側:「ミサイルはどこから来たんですか?」 「この辺りからよ。」 

新ドキュメンタリーでのコヴオレンコの証言によると、彼女はこのミサイル発射地点には「あの時、ウクライナ軍がいた」と明確に断定したのである。

コヴオレンコは7月17日の前の何日間かウクライナの軍用機が彼女の集落の上空を飛行していたことも記憶している。彼らは責任逃れのテクニックを用いていたと彼女は言う。彼女は民間機の陰に隠れて飛行する様子を見ていたのである。


Photo-10: 左側:「2機の軍用機が飛んでいた。見上げると、旅客機も飛んでいた。」 右側:「彼等は軍用機に向かって射撃を始めた(訳注:この部分はキャプションが間違っているようです。「軍用機」ではなく「旅客機」でしょう)。ジェット機は旅客機の真下へやって来た。」

「7月17日にはウクライナ軍のジェット機が周辺を飛び廻っていた。あれはちょうどMH17便の撃墜の時点だった」と他の3人の村民もファン・デル・ウェルフに話している。

このドキュメンタリーの結論として、ファン・デル・ウェルフとイエーラショヴァはオランダ人の独立したジャーナリストであるステファン・ベックが撮影したインタビューも紹介している。彼については、JIT高官らは彼が撃墜現場を訪問することは差し控えるようにと警告していた。ベックはエフゲニー・ヴォルコフをインタビューした。ヴォルコフは2014年7月にはウクライナ空軍の航空管制官を務めていた。ベックはヴォルコフにオランダ安全保障委員会の旅客機の撃墜に関する報告書、さらには、JITが後に発行した報告書によって裏付けされているウクライナ政府の声明に関してコメントを求めた。これらの報告書は撃墜の当日にはウクライナ軍のレーダーは稼働してはいなかったので、撃墜時点のこの空域に関するレーダー記録は何もないと報告していたのである。


Photo-11: 左側:「一基だけではなく、三基ある。」 右側:「チュグエフ?」
 
ヴォルコフはチュグエフの空軍基地からはジェット戦闘機が発進していることから、7月17日にはチュグエフに設置されている3基のレーダーは「厳戒態勢で」稼働していた筈だと説明した。チュグエフ基地は撃墜現場の北西200キロに位置している。彼はレーダーの一基について修理作業が行われていても、3基全部が稼働していなかったという理由にはならないと反論した。MH17便の撃墜の場所や時刻はウクライナのレーダーに記録され、保管されているとヴォルコフは言う。「連中は記録を持っている。ウクライナの何処かに持っている。」 

先月、6月19日にオランダで行われたJITの記者会見にはマレーシアからの代表がいた。マレーシア法務省の3人の法務次官のひとりであるモハメド・ハナフィア―・ビン・アル・ザカリアは、マレーシア政府のために、JITが提示した証拠とロシアに対する非難を受け入れることを拒否した。「JITが犠牲者の正義を希求することにはマレーシアは献身すると重ねて言いたい」とザカリアは述べた。 「JITの目的は調査を終わらせ、全ての証言者から証拠を収集することにある。これは犯行者を起訴するためであって、マレーシアは法の支配ならびに正当な裁判手続きを尊重する。」 [質問: あなたは結論を支持しますか?] 「結論の一部は・・・[聞こえなかった]・・・われわれの立ち位置を変えるものではない。」 

原典: Dances With Bears

<引用終了>


これで全文の仮訳が終了した。

MH17便のブラックボックスの行方を探すレースが展開されていた。このレースに登場した連中は最初から米ロ間の新冷戦の最前線に立たされていたことになる。結局、マレーシアからやって来たモハマド・サクリ大佐の使命感と機敏さがこのレースでの勝利をものにした。

NATOが9,000人の将兵をウクライナ東部へ送り込もうとしていたが、ドイツの反対にあってこの計画はおじゃんになったという情報は私はここで初めて耳にした。非常に貴重な情報である。この情報によってMH17便撃墜事件の背景が、まさに、霧が晴れたかのように、明確に見えて来たからだ。

もしもMH17便のブラックボックスがウクライナ政府の手中に陥ったとしたら、ウクライナ政府はさらなる大嘘を展開することが可能となり、ウクライナ東部へのNATO軍の派遣へと繋がって行ったことであろう。その先は米ロ間の戦争だ。マレーシアの行動がもたらした成功は、多分、神様が与えてくれたご褒美なのかも知れない。

一言で言えば、MH17便の撃墜はNATO軍を投入して、ウクライナ東部の反政府派を駆逐するための口実として必要だったのだ。NATO軍は独立を宣言したドネツクとルガンスクの両人民共和国を武力で手中に収めるだけではなく、クリミア半島から黒海に睨みを利かせているセバスト―ポリにあるロシア海軍の基地を奪いたかったのだ。米国の助けを受けてクーデターによって前政権を排除した当時のウクライナ政府はNATO、つまり、米国の手先となってMH17便を撃墜するという明確な任務を課せられていたということになる。JITのメンバー国には拒否権が与えられ、ひとつのメンバー国が拒否すれば、その情報は公表しないとの合意があった。言うまでもなく、このシナリオではこの拒否権を最大限に活用することになるのはウクライナであり、必要となる舞台道具はすべてが用意されていた筈であったが、何処かで歯車が噛み合わなかったのだ。

マレーシア政府の一連の言動と行動は主権を尊重する民主主義国家はマレーシアのような見識と行動力を持つことが最低限必要なんだということを改めてはっきりと認識させてくれた。米国に追従する日本政府と敢えて比較するまでもないが、マレーシア政府の毅然とした態度には拍手を送りたい程だ。



参照:

注1: MH17 Evidence Tampering Revealed by Malaysia - The Dutch Covered-Up Forged Telephone Tapes, Ukraine Hid Radar Records: By John Helmer, Checkpoint Asia, Jul/23/2019







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