2020年11月4日水曜日

アングロ・シオニスト帝国が崩壊したのはいったい何時だったのか?

 

米国にべったり追従する日本にとっては極めて刺激的な表題を持った記事がここにある。「アングロ・シオニスト帝国が崩壊したのはいったい何時だったのか?」と題されている(注1)。

米国が今まで維持してきた覇権が衰退し、中国が新たに台頭して、世界は多極化するという将来の見通しがさまざまな論客によってさまざまな形で論じられている。そして、これらの議論はすでに久しい。多くは経済発展や技術革新が急速に進展している中国がそれ程遠くない将来に多極化された世界の一翼を担うであろうと予測している。これらの議論はあくまでも将来の話である。10年後、20年後、あるいは、30年後のことだ。

ところが、ここに引用する記事は「・・・帝国が崩壊したのはいったい何時だったのか?」と言って、過去形で尋ねている。この点が非常にユニークであり、興味がそそられる。この著者はいったい何を、どのように見ているのであろうか?

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。

私はもう大分昔となった1991年にSAIS(訳注: ジョンズ・ホプキンス大学の高等国際関係大学院)のカフェテリアで何人かの友人と一緒にテーブルを囲んで、パキスタンの陸軍大佐や米空母を指揮する米国人大佐およびスペイン人外交官といった優秀な学生たちと共に米国の将来について議論をしていた。誰もが、いわゆる「システム」が完璧であることに同意し、外部からの強力な衝撃が米国を襲った場合にのみ米国は崩壊することであろうとの意見に一致した。史上最高のプロパガンダ・マシーンと馬鹿げたテレビ番組で何時間も過ごす愚民政策との組み合わせは完璧な専制政治のために準備された非常に有効な抑圧装置、つまり、民主主義と人民パワーの妄想をもたらすものであることをわれわれは全員が認めた。

あれから何年も経った。2017年に私はJ.M.グリア―の見事な著作「Twilight’s Last Gleaming」を読んだ。後に、この本についてはこのブログで書評を書いた。非常に上手に書かれたフィクションであるとは言え、米国が将来崩壊することに関して書かれた書籍の中ではもっとも素晴らしい内容であることを私は付け加えておきたい。この本は超強力な国家が劣悪な状況の中で陥るある種の心理状態を見事に描き出してくれていたのである。

私にとってはこれはすべてが理にかなっていたが、私やSAISの友人たちは当時誰もが米国の特権階級が国家的な自殺行為を図り、その途上でアングロ・シオニスト帝国を巻き添えにするなどとは夢にも思わなかったからだ。

ところが、実際に起こったのだ。

いったい何時起こったのであろうか?

この問い掛けに対する答えはいくつもあり得る。誰かはケネディが暗殺された時点だと言う。他の者はクリントンを指摘し、彼の大統領時代が世界中に武装化された帝国主義を広めて行った時だと言う。同政権においてネオコンが初めてのさばり出した(数多くのネオコンはリーガン政権にすでに深く潜りこんでいた)。さらには、9/11同時多発テロとそれに続いて始まったテロとのグローバル戦争だという説もある。すでに述べているように、これらは何れも立派な候補者であり、これら以外にも数多くの説がある。

私の個人的な考えは崩壊が本格的に始まったのはバラク・オバマ政権の下であった。彼は類稀にみる程に弱い大統領であった。彼は中古車のセールスマンとしては大成功したに違いないのだが、大統領としては自分の国をコントロール下に置くことにさえも失敗し、自分の政権をコントロールすることができなかった。政府の頂点に真空状態が生まれ、その結果、さまざまな官庁(DoSDoDCIA、ペンタゴン、等)がしゃしゃり出て、それらのどれもがそれぞれ独自の「外交政策」を提言したのである。これは外交政策に深刻な混乱状態をもたらした。言うまでもなく、ヒラリー・クリントンやスーザン・ライス、サマンサ・パワーといったハーピーズ(訳注: ギリシャ神話に現れる頭は人間の頭で、体は鳥の怪獣)をのさばらせることは何の役にも立たなかった!

[補足: 西洋の女性が権力のある地位に就くと彼女らは男性よりもはるかに好戦的になる。そうさせるのはいったい何だろうか?!サッチャーやヒラリーを見ると、実際には彼女らが持っている酷い性格を精査することもなしに彼女らを選出してしまったのではないかと思わざるを得ない。彼女らは男性の政治家よりも酷く殺人的であることを示すことによって男性と比べてまったく遜色がないことを見せつけようとした・・・]

ドナルド・トランプが大統領に選出されてからは、彼の政権下でうまく事が運ばなかった物事については何かにつけて彼を批判することがごく普通となった。確かに、彼に文句を言いたいことはたくさんある。しかし、実に多くの人たちが見逃していることは彼の政権下でうまく行ってはいないことのほとんどすべてはオバマ政権で始まっていたものだ!トランプは驚くべき混乱ぶりを引き継いだと言っているが、彼の主張はまったく正しい。しかしながら、これは混乱や崩壊に対する彼自身の責任を放免することにはならない!

真実を明かすとすれば、オバマとトランプの間の最大の相違点はトランプは戦争を開始してはいない点にある。確かに、トランプは軍事的侵攻を仄めかして数多くの国々を脅かした(このこと自体は国際法の下では犯罪である)のは事実であるが、彼は意味のある攻撃にゴーサインを出したことはないのである(高度に象徴的で、まったく効果のない攻撃をシリアに対して行っただけである)。繰り返して言っておこう。侵略犯罪を起さなかった米国大統領はとても少ないが、彼はその一人である。ニュルンベルグ戦犯法廷で米国検事長を務め、米最高裁の判事であったロバート・H・ジャクソンの言葉を借りると、侵略犯罪は「それ自体に凝縮された邪悪さが含まれていることから」国際法の下では人道に対する犯罪や大量虐殺をも超すような犯罪なのである。このことを理由にして、まともな人は誰でもがバイデン(彼自身はハリス「大統領」のための表看板に過ぎず、クリントン・ギャング集団の操り人形だ)ではなく、トランプを選ぶべきだと私は提案したい。あるいは、もしもご自身の良心がトランプに投票することを拒むならば、投票には出かけないことだ。少なくとも私の謙虚な意見を言えば、正直な一市民がバイデンに投票するなんてとても考えられない。

トランプ政権の下にあったこの数年間に驚くべきことが起こった。つまり、トランプと彼の政府が帝国を外部から破壊することに多忙を収めていた一方で、民主党は彼らの全エネルギーと全資源をトランプ潰しのために動員した。しかしながら、ロシア人の著作家であるジノヴィエフの言葉を引用すると、「彼らはトランプに狙いを定めたが、彼らは米国を攻撃してしまった」(ジノヴィエフの引用は腐りきった反ソビエトに関するものである。“Метили в коммунизм, а попали в Россию”とは「彼らは共産党に狙いを定めたが、彼らはロシアを攻撃してしまった」と訳せる)。

その次に起こったことはSAISでの私の友人たちや私自身にとってはまったく想像することが出来ないことであった。米国の指導者層は集団自殺を図ったのである。

自殺は典型的には3段階を通過する。つまり、自殺を決意し、自殺を実行し、そして、死ぬ。もしもわれわれが自殺行為でしかないと思われる行動をとるという意思決定がオバマ政権時代に行われたことを認めるならば、われわれは今いったいどの辺りに居るのであろうかと問わざるを得ない。換言すると、帝国はすでに死んでしまったのか、あるいは、依然として悶えている最中なのであろうか?

先日、私はこのことを自問自答していた。私は帝国が崩壊した時期として極めて具体的な日付を確定したことに突然気付いた。それは202018日だ。

その日に何が起こったのか?米国が(202013日に)行ったドローン攻撃によってカセム・ソレイマニ将軍を暗殺したことを受けて、イラン側は報復としてイラクにあるいくつかの米軍基地をミサイルで攻撃した。米国側の報告によると、軽症者が出ただけであった。イラン側はいくつかの裏のルートを通じて彼らがこれから行うことに関して米国側に警告を出していたことからも、これはあり得そうなことであった。この議論はトランプと彼の支持者によって活用され、イランの反応は時期を失しており、効力がまったくないので、完全に無視することができると彼らは言った。

私の意見では、まさにトランプ政権がこの声明を出した時、帝国の死亡証明書に署名が与えられたのである。何故か? 

第一に、米軍の負傷者数が少なかった(恐らくは、公式の負傷者数よりも多かったに違いない。米軍は撤退し、兵士らはいくつかの国で治療を受けた)のはただ単にイラン側が戦略的に優れていたからに過ぎない。米兵を多数殺害すると、トランプに強力な報復を誘発することになると彼らは考えたのだ。こうして、彼らを殺害しないことにした。その代わり、銃を彼らの集団頭脳に突き付けた。どうやって?

そのことについて考えてみよう。イラン側の反撃は全世界に向けてほとんどの人たちが想像したこともないことを示してくれた。イランのミサイル(弾道ミサイルと巡航ミサイル)は以前思っていたよりも遥かに正確であった。事実、イランのミサイルは目標への到達のために飛行の終末段階で何らかの誘導システムを装備していることが明らかであった。簡単に言うと、イラン人は数百ポンドもの高性能火薬が充填された弾頭を中東の何処にでも極めて正確に打ち込むことが可能であることを証明したのだ。彼らが何処から何処までを攻撃できるのかについてはこのページをチェックして欲しい。

これは繰り返しになるけれども、イラン人は35メートルの半数命中半径(訳注: 弾道ミサイルや誘導爆弾の命中精度を指す)で数百ポンドもの高性能火薬が充填された弾頭を中東の何処にでも極めて正確に打ち込むことが可能であることを証明したのだ!

ホバル・タワー爆破事件をご記憶だろうか?そう、これはミサイルが運ぶことができるよりも遥かに大量(少なくとも、一桁も多い)の火薬をトラックに満載して行った爆破事件であったのだが、トラックは建物からはずいぶん離れて駐車されていた!それでも、あの日、500人近くが死亡した。

中東にはこれと似たり寄ったりの米軍の施設がたくさんあり、数多くのビルに何百人もの米兵が居住している。想像してみてくれ!もしもイラン人が出来るだけ多くの命を奪うことを決意し、たとえば、10個のビルに向けてミサイルを打ち込んだとしたら、多くの人命が奪われ、甚大な損失を被ることになる。

しかし、イラン人は賢明であって、もっと賢い手法を選んだのである。つまり、彼らは米国にとって痛みを感じる場所へミサイルを叩き込んで来たが、彼らが主に実証して見せたかったのは米国に対してたった数分間に何千人もの犠牲者を生じさせる能力を持っているという点であった。

今や否定できないイランのもうひとつの能力はこの地域にある天然ガスや原油の生産設備、つまり、油井や精製設備、ターミナル、等、あなたが思いつく物事は何であっても瞬時に破壊することができるということであって、それはもう明白だ。その目標が重要であり高価であれば、イランはそれを破壊することが可能なのである。

また、イランはホルムズ海峡を閉鎖し、米海軍の艦艇を攻撃することさえも可能である。恐らく、これには空母も含まれる。

最期になってしまったが、これも他に劣らず非常に重要なことだ。それは今や証明済みとなったイランの能力から見れば、最重要施設と並んで、各国政府のビルはどれもが危険に曝され得るということだ。

この話では、この時点で、プロパガンダに十分に浸かっており、旗を振っている連中はすぐにも立ち上がって次のようにまくしたてるのではないだろうか: 

「だからって?これらの砂漠の黒んぼが一線を越えるならば、われわれが彼らをこてんぱんに爆撃するだろうってことは彼らにもよく分かっている!われわれは彼らを原爆で攻撃し、彼らを石器時代に戻すことが出来る!さあ、やってみたまえ。そうすれば、この地球上で最強であり、歴史上かって見たこともないような強力な武力を持っている国家からの報復が読み書きも出来ない百姓どもに対して何をもたらすかを実際に知ることになるだろう。大笑いだぜ!奴らの「アラー」の神が彼らをお救いになるかどうか拝見しようじゃないか!」

こういった群衆が典型的に吐き出す無知な決まり文句は別にしても、この「論理」(論理という言葉を私は気前よく使っているのだが)には分析上の大きな過ちがある。つまり、イラン人は1979年以降この種の脅かしの中で毎日を生きてきた。そして、そういった脅迫には慣れっこになっている。そればかりではなく、これらは空威張りに過ぎないという事実を彼らは十分に知っている。確かに、「間違っている」政府を支援するために、イスラエルが2006年の「神の勝利」戦争の最中にレバノンに対して行ったこと、あるいは、NATOがコソボ戦争(19981999)の最中にセルビアに対して行ったこと、つまり、民間人の殺害やインフラの破壊をイランに対しても米国が実行することは可能である。しかし、もしもイスラエルがレバノンに対して行ったことを米国がイランに対して行うとすると、その結果は同じことであろう。つまり、イラン人たちは国家を再興し(彼らは国を再興することに実に長けている)、2倍も強力になって戻って来る。彼らの殉教者たちについて言えば、多ければ多い程、イラン人の抵抗はより強力になるのである(イラン人の学者が立派な英文で書いたこの記事を確認していただきたいものだが、彼はシ―ア派イスラム教徒のユニークな価値観を説明している)。

最期に、これは他にも劣らず重要なことであるのだが、米国大統領と彼の側近は米軍の実情についてはよく理解している。つまり、米軍は簡単な抗争であってさえもそれに勝利することはできないような軍隊であり、米海軍は極超音速のミサイル(イランもまた開発を急いでいる!)によって時代遅れの艦隊と化しているし、米空軍は第4世代の戦闘機よりも性能が劣る「第5世代」の戦闘機を開発するために膨大な予算を浪費している!

[補足: これは米軍の中でうまく機能しているのはいったい何だろうかとの問いを産むことになる。私の意見では、米国の潜水艦は依然として強力であり、米国の核による抑止力は依然として堅固だ。これを除くと? 別に大したことはない・・・]

肝心な点: 米国は報復することなんて気にもしてはいないとか、「奴らに対しては原爆を投下することができる」から気にはしないといった議論は典型的に一般庶民の間に見られるナンセンスであり、これは現実の世界には何の関係もない(米国が核攻撃を標榜する、特に、非核武装の国家に対して核攻撃を行うことは極めて不人気であり、その政治的な影響を想像してみて欲しい!)。

それはそうと、どうして米国は報復をしなかったのか?

単純に言えば、米国はイランをやっつけるために必要な何かを持っていなかったからだ。ふん、米国の玄関先に位置し、極めて弱体化しているベネズエラに対してさえもだ(!)さらに率直に言えば、現大統領または次期大統領が「われわれの力を誇示するために弱小国を選び、同国を壁に叩きつけてやろう」と決断するならば、私はグレナダを推奨する。グレナダは基本的には1983年には無防備であったものの、銃火に曝され、途方に暮れていた特殊部隊を救出するために第82空挺師団を派遣することになったことは私も知っているが、あの年以降、ペンタゴンには「教訓を学ぶ」には十分な時間があった。今や、米国は、軍事史上では最悪の事態のひとつとなった状況を繰り返すこともなく、この小国へ再侵攻することができるのではないかと思う次第だ。

結論

イランが米軍基地を攻撃し、米国がまったく何の報復もしなかった時点で帝国は死んだ。実際にあの日からわれわれが観察して来た事柄を下記に列記してみよう: 

イラク人は動くのが遅いが、彼らは間違いなく米軍をイラクから追い出そうとしている。

イラクにおける米軍に対する攻撃の数は、「グリーン・ゾーン」として知られている大規模な米国の地下要塞地帯も含めて、急速に増加しており、同ゾーンはもはやグリーンではなくなった。

イラン人は米国を面白おかしくバカにし続けている。

米国は国連安保理で対イラン制裁を更新することに失敗し、ロシアはすでにイランに対してS-400 対空防衛ミサイルを売ることに積極的な姿勢を見せている。この偉大な武器の市場においては中国をも数える対象に入れることができる。

米軍に対する攻撃はさらに危険になってきたシリアからも米国は撤退の機運にある(シリアにおいてロシア軍と地上戦で何時もぶつかることは潜在的に非常に危険な現象である)。

イエメンでは、イランからの支援を受けているフーシ派は基本的に内戦に勝利し、KSAUSAの両者を破った。

アフガニスタンでは、米国とその「同盟軍」はソビエト軍よりも長期間にわたって駐留したが、完璧なまでの敗走やもっとも屈辱的な失敗を除けば、旧ソ連軍と同様に何の成果も挙げなかった。徴兵制から成るソ連第40軍(装備は貧弱で、指揮能力はごく普通)と豪華な装備で固められた米国の職業軍人集団が成し遂げたことを比較すると、全ての面について驚愕を覚える程だ。ソ連軍がアフガニスタンで実際に如何に多くを築いたかを見ると、それはすべてを物語ってくれている(これらの施設は今でも米軍が毎日使っている!)。アヘンの商売を除けば、米軍は何でも破壊するばかりだ・・・ 

換言すれば、米国を中東から追い出すと言い放ったイランのゲームプランの通りに物事はすべてが進行しているのである。これは、目下、考えがまったく及ばないように思えるのは確かではあろうが、あれ以降起こった「考えられない」ような出来事のすべてを書き上げてみて欲しい。すると、起こる筈がないと想定すること自体が如何に危険であるかをあなたは直ぐに感知することであろう。

ツヒンバルでロシア軍の平和部隊に対してジョージアが攻撃をした時、死傷者は限定的であった。しかし、ロシアは直ちに反撃し、3日間でジョージア軍を敗走させた。(少なくとも、反撃を行った当初は)数の上では劣っていたが、反撃は余りにも遅かった(ロシアの典型的な弱点だ)。そして、ロシアの反撃が送り出した「関係各位」宛てのメッセージは簡単そのものであった。つまり、「ロシア軍基地を攻撃してみたまえ。あるいは、ロシア兵を殺害してみたまえ。そんなことをすれば、あんた方をやっつけるぞ」というものであった。シリアにおいては、ロシア兵が殺害される度にロシア側は強力なミサイル攻撃や空爆によって敵側に報復を行った。他の事例では、ロシア軍特殊部隊はタクフィリの司令官を選択的に殺害した。誰もがこれらのことを「理解」した。たとえば、トルコさえもがロシア人にシリアにおける彼らの影響圏を以前よりも小さくすることを止めさせるなんてことは到底できそうもないと理解したのである。

よく聞いて欲しい!ロシアは帝国になろうとしてはいない。ましてや、ある種の超大国になろうなんて思ってもいない(ロシア人は帝国は属国に対して如何に邪悪になるかを十分に弁えている。彼らはこの「帝国」という邪悪な状況に300年以上も置かれ、苦渋を経験した。彼らは十分に苦しんだのだ!プーチンの政策は膨大な量のロシアの資源を浪費し、ロシアには何の役にも立たなかった周辺諸国を以前のロシアの周辺から切り離しそうとした。さらには、周辺諸国には無用であって、資源を浪費すだけのワルシャワ条約機構を反故にしようとした。その時、アホなヒラリーだけは、さらには、もっとアホなブレジンスキーだけはロシアは「ソ連邦」を再構築しようとしていると思っていた)。ロシア人が望んでいることのすべては自国が真剣に、そして、尊厳を持って遇されることであって、超大国として遇されることではない。簡単に言えば、重要な国家としてその主権や力を認識してもらいたいということである。

そのことを米国の指導者に見られるような成層圏にさえも達する誇大妄想癖、自己陶酔的な自己崇拝、ならびに、粗野な無知、等と比較して貰いたい。そうすると、帝国はもう死ぬことはないことに気付くことだろう。何故かと言うと、帝国はもう死んでしまっているからである。何ヵ月も前に死んでしまった。

次に起こることはいったい何か?

もちろん、それは大統領選だ。如何なるシナリオにおいても次期政権がこの道筋を逆戻りさせ、奇跡的に帝国を蘇生することができるとは思えない。帝国は蘇生しない。過去においても蘇生が試みられた(ナポレオンさえもがそうした)が、ついぞ蘇生しなかった。帝国が一旦勢いを失うと、特に、そのイデオロギー上の信頼性を失うと、帝国は終わりだ。確かに、死体はしばらくはある程度の熱を発散し、何らかの臓器や細胞はしばらく機能してはいるが、死は死である。多くの死体は膨らみ、匂いを発する。このことは帝国にも当てはまる。

これは結果は重要ではないと言っているのではなく、結果はやはり重要である。米国の将来にとっては重要だ。単純に言えば、これから行われる投票は米国が米国に法と秩序を維持することに投票するのか、それとも完璧な虚無主義に投票するのかのどちらかを意味する。深層においては、親米投票を行うのか、それとも反米投票を行うのかであり、民主党員は誰もがこの国やこの国に住む「哀れな連中」を憎み、米国のほとんどの歴史的出来事を憎み(引き倒された像はこの憎悪を象徴している)、米国における人種間の緊張の真の要因は「システム」とはほとんど関係なく、すべては主としてヨーロッパに起源を持った文化における黒人問題と関係しているのだ。それにもかかわらず、「人種差別的なシステム」と彼らが称している事柄を彼らは憎んでいるのである。

帝国は死んだ。帝国の死は米国が「普通の」国家に生まれ変わることを示すものであることを私は希望し、確かにそうなることを信じたい(これは先に帝国であった国々のすべてで起こって来たことである)。 

それが起こるまでは、少なくとも、当面は、たとえごく少数の人たちだけがこのことに気付いているだけであるとは言え、われわれにとってはこの驚くほど邪悪に満ちた帝国がついに死んでしまったので一安心である。

セイカー

追記: この記事を書いている最中、私の気持ちはトランプによって卑怯にも殺害されたカセム・ソレイマニ将軍のことでいっぱいであった(あの時、彼は外交の任務に就いていた)。誰かが彼に向けて次のような取引を提示するかも知れないと私は思いを馳せてみた。ハジ・カセムよ、もしもあなたが殉教することによって帝国という「ラクダ」の背を折る「藁」になるのだとしたら、あなたは殺されても構わないかい?私が想像するには、彼は目に涙をたたえて、こう返事をするのではないだろうか。「私にこのように偉大な名誉と喜びを与え、私がシャヒード(殉教者)となることをお許しくださる神に栄光あれ!」 ソレイマニは兵士であった。本物の兵士であった。偽装したビジネスマンや政治家ではなく、彼自身はまさに何時でも死に立ち向かうことができることを彼自身が知っていた。彼はイスラム革命防衛隊ならびにクッズ・エリート軍団の将軍として死亡した。トランプは、彼自身が持つ無知と傲慢さから、ソレイマニが望んでも望み切れないような最高の死に方を彼に与えたのである。この偉大な人物に安息を与え給え!

これで全文の仮訳が終了した。

帝国の崩壊は何をもってそう断定するのかに関しては、それを論じる観点によってさまざまな見方に分かれる。たとえば、大英帝国を例に挙げてみよう。ひとつの説としては、スエズ運河がエジプトによって国有化された時(1956年)をもって大英帝国の終焉とされる。しかしながら、他の定義もある。大英帝国の植民地であったパキスタンやインドの独立(1947年)は決定的な打撃となったと言われている。同様に、英国の植民地であったビルマやマレーシアも独立した(1948年)。これらの植民地の独立をもって大英帝国の終焉と定義することも可能だ。終焉のプロセスは長い時間を要することからも、そもそもある特定の時点をもって大英帝国の終焉と定義すること自体が無理なのかも知れない。

そんなことを考えながら、私はこの引用記事を読んでいる。一言で言えば、米国の帝国としての覇権が実質的に終わったとする議論が出て来た事実が存在することこそ重要であると思う。非常に興味深い記事であることには変わりがない。

世界が注目する米大統領選の投票が昨日(113日)行われ、今日は投票結果の速報が始まっている。本引用記事が言うように、果たしてトランプの再選は実現するのであろうか?選挙結果が確定するまで何日かかるのかは分からないが、まったく目が離せない。


参照:

1When Exactly Did the AngloZionist Empire Collapse?: By The Saker, Information Clearing House, Oct/28/2020





4 件のコメント:

  1. 登録読者のシモムラです.じっくりと読もうと思っておりました記事です.丁寧な翻訳ありがとうございます.「よく聞いて欲しい!ロシアは帝国になろうとしてはいない」ですが,波露二十言語話者である家内は,ポーランドのNATO加盟承認のニュースを聞いて,「これで安心だ,もうソ連は攻めてこれない」,と心底からの安堵の声で言いましたよ.加盟後すぐにユーゴ空爆が始まり,国内にはこのスラブの国への攻撃に不安の声があがりました.今思えば,あの加盟は壮大な詐欺だった.

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  2. シモムラさま

    コメントをお寄せいただき有難うございます。
    ポーランドの歴史を見ると大陸国に特有な状況が見られます。時の列強による侵略を受けたり、外部への膨張を果たしたりと、ポーランドは国家としてさまざまな出来事を経験していますね。中でも、国土の全てが列強によって分割されるといった悲惨な時期もありました。現在のポーランドなのか、それとも、ウクライナなのかは失念しましたが、ひとつの特定の町を取り上げて当時の国際政治の環境を描写したジョークを見ますと、生まれて死ぬまでにポーランド、オーストリア、ウクライナ、ソ連、ハンガリー、等の統治下となり、国名が7回も変わったという逸話が思い起されます。しかも、その人は一歩も生地の町から外へは出なかったという。目まぐるしい程に国名が変わった町、そんな町がいくつもあったのがヨーロッパの歴史の一面を伝えています。東西冷戦の終了のプロセスを目の当たりに見て来たわれわれにとってはグダンスクの造船所を中心とした労組「連帯」の華々しい動きは非常に強い印象を残しています。プラハの春、連帯、ヨーロッパ・ピクニック、ベルリンの壁の崩壊といった一連の解放の動きを追う時、ポーランドが担った役割は際立って来ます。しかしながら、そのようなマクロな状況の中で、個人の運命は大きく翻弄されることが多いのが常ですよね。そのいくつかは映画や小説として描かれ、今もわれわれ一般人の関心を引き、歴史を紐解こうとさせてくれます。日常生活のレベルではショパンの「革命」や小説「耐えられない存在の軽さ」、映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」、等々が頭をよぎります。
    NATOの存在は、結局、米国が欧州諸国を従属させるための道具であるように思います。政治的対話よりもNATOの軍事演習の方がヨーロッパの政治に大きな影響を与えているように見えてなりません。東西冷戦が終わってもNATOが存在し続けてきたこと自体がそのような考えを支持しているとも言えるのではないか。
    今進められている米大統領選の開票を巡る混乱は果たしてどこまで行くのでしょうか?内乱状態にまで発展してしまうのでしょうか?ひょっとすると、後世の歴史家はこの混乱こそが帝国の崩壊の引き金になったのだと言うのかも・・・

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  3. ご返信ありがとうございます.”生まれて死ぬまでにポーランド、オーストリア、ウクライナ、ソ連、ハンガリー、等の統治下となり、国名が7回も変わったという逸話”は,実話と思います.恐らくカルパチア山麓居住のルシン人は,WWⅠではオーストリア・ハンガリー二重帝国に,WWⅠ後は再興ポーランドとウクライナ人民共和国に,WWⅡ後はソ連邦構成ウクライナ社会主義共和国に支配されていました.ナチに敗れたポーランド政府は当時国境を接していたルーマニアに逃れ,フランスに移り亡命政府樹立,最終的にロンドンに亡命政府を移すことになります.世界地図では欧州は広大に見えますが,どれも車で行ける距離に小国が密集しています.二年前に車でウクライナの旧三国境(ポーランド,ウクライナ,ルーマニア)が山頂で接するチェルノフーラに登ってきました.素晴らしい眺望でした.

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  4. シモムラさま

    この逸話は何処かで読んだのですが、残念ながら町の名前はまったく記憶にありません。ただ、推測いただいたようにカルパチアの山麓だと思います。また、実話であることについては間違いありません。
    今日もいい一日を!

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