2021年5月14日金曜日

人類は何年かのうちに絶滅する?

 考古学の専門家に言わせると、人類の祖先は数百万年前にまで遡る。約1万年前に氷河期が終わると人類は農耕や牧畜を開始して、文明の時代に入った。約5000年前にエジプトで文明が起こった。他にもメソポタミア文明、インダス文明、黄河文明がこれに続いた。

そして、2021年の今、われわれの毎日の生活は大量生産システムによって供給される食料を消費し、文字を使った情報伝達によって海の向こうの人たちともコミュニケーションをしている。そして、そういった活動を可能にするには半導体技術を駆使したパソコンや高速度の通信技術が欠かせない。情報の伝達は広く地球を覆い、瞬時に行うことが可能となっている。また、農業生産だけではなく工業生産や医療技術が進歩して、人々の平均寿命は100年前に比べて大きく延びている。

国連の世界人口推計の2019年版によれば、現在の77億人から今後30年間に20億人も増加すると推測されている。そして、今世紀末頃には総人口が110億人となってピークに達し、それから減少に転ずると推測されている。人口について議論する場合の主要なテーマとしては国や地域による貧富の差、平均寿命、女性1人当たりの出生率、65歳以上の年齢層の急速な増大、人口が増加する国家と人口減少に悩む国家、移民の国際移動、等が挙げられる。


人口が増え続けていることに関しては今さまざまな議論が起こっている。ローマクラブが「成長の限界」を根拠に「人口爆発」について警鐘を鳴らしたのは半世紀も前の1972年のことであった。


ところで、ここに「人類は何年かのうちに絶滅する?」と題された記事がある(注1)。あまり議論をしたくはないような表題ではあるのだが、その内容は非常に重要なテーマである。


本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。


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 ビル・ゲイツや国連の「持続可能なアジェンダ2030」を推奨する連中は人類に優生学を適用しようとする熱心な推進者でもある。人間嫌いで知られている英国のプリンス・フィリップは、かって、「人間の群れを淘汰する」とさえ言った。環境問題の顧問としてローマ教皇にお仕えするヨアヒム・シュネルンフベルのような連中は「持続性のある」世界人口としては10億人以下が好ましいと大っぴらに喋っている。今や、極めて真剣な研究が出現し始めた。人口を減らすのにもっとも効果的な方法のひとつが、幸か不幸か、いわゆる「近代的な科学的農業」によって今世界中で広められているのではないか。いくつかの有毒な農業用化学品、たとえば、除草剤は使用しても安全であるとされてはいるものの、安全と言える代物ではない。

シャンナ・ショー博士の新著「カウントダウン」によると、EUや米国を含む西側の工業立国においては男性の精子数が今劇的に減少している。ショー博士は過去の40年間に精子数は平均で50%以上も減少したと推定している。換言すれば、家族を持とうとしている今日の若者は彼の祖父の世代に比べて半分のレベルの精子数しかなく、子供を持てるチャンスは半減している。農業や環境における有毒な化学品に対する暴露が劇的に変わることがない限り、ごく自然に子供をもうけるというわれわれの能力はそう長くは続かず、2050年頃には中国を含めた工業立国においては子供をもうけるのには医療的な支援を必要とするようになるだろう、とショー博士は推定している。

ショーの本は2017年に彼女と同僚らが共著者として著していた技術論文で専門家による査読を受けていた論文をさらに入念に掘り下げたものである。その論文では、ショーは1973年から2011年にかけて精子サンプルを提供した42,935人の男性に関する185個の研究論文から精子濃度と総精子数(TSC)に関する244例の推定値を取り上げ、それらを注意深く分析した。 彼女らが見出した内容は最高度の警告を発するに値するものであった。しかし、いくつかのメディアが見出しを飾ったものの、バイエル・モンサント、シンジェンタ、ダウ・デュポン(今はコーテヴァ)、等は規制当局に対してロビー活動を行い、当局は結果としてこれらの研究成果を無視した。 

ショーは「西側諸国からランダムに報告された研究結果から見ると、平均精子濃度は低下し、年ごとに平均で1.4%づつ低下し、1973年から2011年までの期間全体で52.4%の低下となる」ことを見出した。「TSCに関してはこの男性グループでは毎年平均で1.6%低下し、この期間全体では59.3%の低下が起こった。」つまり、約10年前の時点で、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドの男性の精子数は、不妊症の有無を考慮に入れずに見ると、59%以上も低下したのである。そして、この趨勢は今も年々続いている。

本件に関しては新たな研究に対する真剣な支援が欠如していることから、その後の新たなデータの発表は限定的である。15年前、中国の湖南省では潜在的な精子提供者の半数以上は品質基準を満たしていた。しかし、今はたったの18%が満たすだけであって、ひとつの研究報告によるとこの低下は内分泌かく乱物質のせいである。同様の精子数の減少は台湾でも報告されている。そして、イスラエルでも同様の結果が報告されている。ショーは「男性の生殖上の健康度は精子の品質だけで決まるものではないが、極めて重要なことであり、これは早晩何らかの影響をもたらすであろう」と言う。「子供をもうけることができるかどうかだけではなく、この問題は人類全体の健康に大きく影響する」と結論付けている。彼女は、たとえば、「低精子数、不妊症、精巣癌、ならびに、そまざまな一般的欠陥を指摘している。それらの欠陥のひとつは降下しきらない精巣であり、もうひとつは尿道の開口部が本来あるべき場所にはないといった事例である。」

内分泌かく乱物質:

スワン [訳注:これは「ショー」の間違いだと思われる] は今はニューヨークのマウントサイナイ・アイカーン医科大学にいるが、この原因は最近数十年間に急速に増加した毒性化学物質、最近特に増えている「内分泌かく乱物質」別称ホルモンかく乱物質への暴露によるものであると彼女は考えている。彼女が指摘するのは「プラスチックの軟化剤であるフタル酸、プラスチックの硬化剤であるビスフェノールA、あるいは、テフロンに含まれる難燃剤、等、さらには、除草剤・・・。」[訳注:pesticideは、通常、殺虫剤と訳すが、米国では一部の人たちは除草剤もpesticideと呼ぶことが少なくない。あるいは、混用することがある。この引用記事の著者も除草剤をpesticideと記述している。この訳文では除草剤と訳すことにする]

上記で最後に言及された除草剤は地下水脈へ混入し、人が消費する食品連鎖に入り込むことからも、大きな警鐘を鳴らして然るべきである。今日世界でもっとも広く使用されている除草剤はバイエル・モンサント社製の恐らくは発がん性があるとされるグリホサートを主成分としたラウンドアップであり、シンジェンタ社(今のオーナーはChemChina)製のアザトリン [訳注:これは「アトラジン」の間違いだと思われる] である。

アトラジンの影響:

2010年、著名なカリフォルニア大学バークレイ校の科学者であり統合生物学の教授でもあるタイロン・B・ヘイスはカエルのアトラジンへの暴露に関してその影響を調査した。彼は米国ではトウモロコシやサトウキビの栽培に広く使用されているこの除草剤は雄のカエルのセックスライフに大きな影響を及ぼすことを見出した。3分の2を去勢せしめ、10個体中1個体の割合で雄を雌に変えてしまうのである。「これらの雄のカエルはテストステロンが欠如しており、精子も含めて、テストステロンが制御するものはすべてが欠如している」ことを彼は発見した。さらに、「カエルの10%が雄から雌に変わり、雄のカエルと交尾することが自然環境の中で両生類に起こるなんて誰にも知られてはいない現象である」と指摘している。「そもそも、これらの雌は遺伝的には雄であって、これらの雌の子孫はすべてが雄となる。」ヘイスは「証拠の優越性はアトラジンが野生生物や人間に対してリスクとなることを示していると考える」と宣言した。

アトラジンは強力な内分泌かく乱物質である。また、アトラジンは米国ではモンサントのグリホサート製品であるラウンドアップに次いで二番目に広く用いられている除草剤である。証拠があるにもかかわらず、異論が多い中での決定として、米環境庁は2007年に「アトラジンは両生類の性的発達には悪影響を与えず、追加的な試験を実施する必要性はない」との裁定を下した。これで話は終わりか?これで終わったわけではない。2004年、EU当局はシンジェンタ社は同社の製品の安全性を証明することを怠ったと述べて、アトラジンを禁止した。

内分泌かく乱物質であることが確認されているもうひとつの農薬はモンサントのグリホサートを主成分とするラウンドアップである。ラウンドアップは世界でもっとも広く用いられている除草剤であって、ロシアや中国も含めて140か国以上で使用されている。米国における遺伝子組み換え(GMO)作物での使用は、米国産トウモロコシの90%以上がGMOであり、大豆でも同程度のレベルにあることから、人への暴露は近年爆発的に増加した。モンサントのGMOトウモロコシとGMO大豆が米国で認可された1996年から2017年までの間、米国人に対する化学品の暴露はなんと500%も増大した。内分泌かく乱物質は飲料水や店頭に並ぶシリアル類ならびに妊婦の尿中にもその存在が確認されている。ほとんどすべての肉類や鶏肉は家畜用飼料に含まれるグリホサートによって飽和されている。

フリンダース大学の研究者らが最近行ったオーストラリアでの研究によると、ラウンドアップは女性の体内でプロジェステロンを生産する細胞を死滅させ、プロジェステロンのレベルの低下を引き起こすことが判明した。グリホサートとラウンドアップは「先天異常や生殖上の問題ならびに肝臓病と関係し、人の臍の緒や胎盤および胎児の細胞のDNAを損傷する可能性を持っていることが分かった。」

2015年、ナイジェリアの科学者らはグリホサートとアトラジンの両者のラットに対する同時暴露の影響を調査した。この組み合わせは精子やテストステロンの合成、雄の生殖器にさらに悪い影響を与えることが判明した。

2016年、中国の国営化学品企業である「ケムチャイナ」は430億ドルの巨額を払ってシンジェンタを買収した。と同時に、ケムチャイナは中国ならびに他のアジア諸国におけるモンサント製のラウンドアップの販売権を取得した。ケムチャイナのウェブサイトには同社が販売する他の除草剤と並んでアトラジンを「トウモロコシ畑に使える安全で効果的な除草剤」であるとして掲載している。また、ケムチャイナは中国の農業市場のためにグリホサートを生産する主要企業でもある。

今日中国は同国が自ら認めているように深刻な農業危機に直面しており、食料の安全保障を確保するために様々な方法を駆使している。報告によると、中国の特許を持ったGMO作物が果たす役目、ならびに、増大する一途にある役目は新5か年計画でその中核を成すことであろう。これは、疑いもなく、グリホサートやアトラジンを使用することだ。と同時に、中国政府は「一人っ子政策」を緩和したにもかかわらず減少し続けている出生率に関しては今まで以上に警戒している。中国の農家は収穫率を上げるために大量のグリホサートやアトラジンを使っている。彼らは悲惨な結果を追及していることになる。つまり、必ずしも食糧危機を解決することにはならず、89千万人にも及ぶ農村人口の大部分から、さらには、無数の都市住民から子供をもうける可能性を奪ってしまうのである。

官僚たちがグリホサートやアトラジンならびに他の内分泌かく乱物質が人間の生殖機能に及ぼす危険についてはまったく無知であることから、これらの危険極まりない内分泌かく乱物質は世界中でその使用を許可されたのであろうか?こういった化学物質が存在するのは企業が膨大な利益を追求する金儲け主義のせいなのであろうか?ニクソン・フォード時代の優生学の文書「NSSM-200」の著者であるヘンリー・キシンジャーの1975年の言葉を引用すると分かり易い。つまり、こうだ。「人口の低減は第三世界に対する外交政策においては最優先事項である。何故ならば、米国の経済は海外からの大量の鉱物資源を必要としており、特に低開発国からの資源が必要である。」そして、ビル・ゲーツの言葉を引用すると、「世界人口は68億人・・・そして90億人になろうとしている。もしもワクチンや健康管理、生殖機能に関するサービスで立派な仕事をしさえすれば、世界人口を1015%程低減することは可能であろう。」あるいは、優生学の曽祖父的存在であるプリンス・フィリップの言葉を借りると、「私は特に致死性の高いウィルスとして生まれ変わりたいという願いを持っており、このことを告白しなければならない。」これは英国のRobin Clark から1968年に発刊されたプリンス・フィリップ著「If I Were an Animal 」の前書きからの引用である。

これらの毒性物質が人間や他の生命体に及ぼす危険性を無視し続けることによってわれわれは人類の絶滅を今急速に出現させつつある。

著者のプロフィール:F・ウィリアム・エングダールは戦略的リスクに関するコンサルタントであり講師でもある。彼はプリンストン大学で政治学の博士号を取得し、石油と地政学に関してのベストセラー作家でもある。オンライン誌の「New Eastern Outlook」に特別寄稿をしている。

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これで全文の仮訳が終了した。

除草剤やプラスチックの生産に用いられる硬化剤や軟化剤ならびにテフロンに用いられる難燃剤は内分泌かく乱物質であって、男性および女性の生殖機能に甚大な影響を与える。このような状況がこのまま放置されていると、人類は近いうちに絶滅してしまうのではないかという警告である。

最近亡くなった英国のプリンス・フィリップは既存のワクチンでは効かないようなスーパー・コロナウィルスとして生まれ変わって英国に出現してくるかも知れない(!?!)。皆さん、くれぐれもご用心を!

天文学者たちは彼ら自身の専門的な知識に基づいて太陽系はいつの日にか死滅すると推測している。その過程で地球は大きく膨らんだ太陽に呑み込まれ、その生涯は終りとなる。しかしながら、天文学者らが推測する地球の終焉の日よりも何十億年も前に人類はわれわれ自身の無知のせいで絶滅してしまうのかも知れない。政治家が、そして、政治家を選ぶわれわれ自身が無知でいる限りそのようなシナリオの可能性は膨らみ続ける・・・

参照:

1Will Mankind Be Extinct In a Few Years? By F. William Engdahl, NEO, Mar/09/2021

 




2021年5月8日土曜日

チェコの弾薬庫の爆発にロシアが関与していたというストーリーは米英の心理戦を打ちのめした ー 米専門家の弁

 

米ロ間の新冷戦はさまざまな情報戦争、心理戦争、あるいは、局地的な武力紛争を次々と引き起こしている。識者に言わせると、それらは旧ソ連邦の崩壊によって約30年前にNATOがその存在理由を失ったという現実が引き金となっている。この過程を眺めてみると、米国および西側諸国、主として米英はロシアを敵国として祭り上げることによってNATOの存在理由を誇示するために、ロシアを悪魔視し、プーチンの国内政策や出来事に関して悪口を言って、ロシア国内の世論を分断しようとしている。そういった場面は、実は、頻繁に観察される。トランプ前大統領は4年間の任期中ロシアの支援を受けて民主党候補のクリントンを破ったとしてさまざまな悪口や執拗な中傷、フェークニュース、等々に見舞われた。これも新冷戦絡みのロシア憎しという台本から演出されたひとつの大きな場面であったと言える。

まず、米ロ新冷戦において対ロ心理戦のために米英側が都合よく取り挙げたり、プロパガンダのために引き起こしたりした主な出来事を挙げてみよう。

ー 女性ジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤの殺害(2006年):彼女は第二次チェチェン紛争やプーチンに反対し、批判していたことで知られる。自宅アパートのエレベータ内で射殺体で発見された。2011年、モスクワ警察の元警視、ドミトリー・パブリュチェンコフが拘束された。彼は何者かから金を貰い、部下にポリトコフスカヤを殺害させたとして2012年に懲役11年の判決を受けた。実行犯の二人は終身刑、他の3人は懲役12年から20年の刑を受けた。しかし、パブリュチェンコフに金を渡した人物は特定されてはいない。十分な調査はまだ行われてはいないとの指摘がある所以である。この事件は西側のメディアではロシア政府を中傷する典型的な材料として頻繁に登場する。

ー 元スパイのアレクサンドル・リトビネンコの毒殺(2006年):KGBFSBの職員であったが、後に英国へ亡命し(2000年)、ロシアに対する反体制活動家となり、作家として活動。ロシア諜報機関員によって毒殺された。英国側はリトビネンコは毒殺されたとし、ロシア政府はこれを否定。両国の主張は並行状態が続いている。英内務省の公開調査委員会は20161月に調査結果を報告し、プーチン大統領が「恐らく」毒殺を承認したとしている。この事件も西側のメディアではロシア政府を中傷する典型的な材料として頻繁に登場する。

ー マレーシア航空MH17便のウクライナ上空での撃墜事件(2014年):これはアムステルダムからクアラルンプールへ向かう旅客機で、乗客の283人と乗員の15人全員が死亡するという痛ましい事件となった。オランダ政府の安全委員会が主導する国際事故調査員会が設定され、事故の調査を行い、報告書を提出した。それによると、MH17便はロシアからウクライナへ運び込まれたブクミサイルによって撃墜された。撃墜後、その部隊はウクライナからロシアへ帰った。しかしながら、国際事故調査委員会が公開したブクミサイルの残骸から取得されたふたつの部品の製造番号をロシア側が調査を行い、それらの部品番号を追跡した結果、それらの部品は「8868720 の製造番号を持つブクミサイルの製造に供されていたことが分かった。この製造番号を持つブクミサイルは1986年にロシアからウクライナの西部の部隊(223rd Anti-Aircraft Artillery regiment at Stryi, Lviv oblast. Buk-M1)へ納入されたものであることが判明。ウクライナの223対空防衛部隊は、20146月、ウクライナ東部の反政府武装勢力を掃討しようとしていたキエフ政府軍の軍事行動の一翼を担っていた。らには、ロシア側は新型のブクミサイルへの更新を行っており、そのような古い型式のミサイルはロシアではすでに使用されてはいない。また、ウクライナ東部の反政府武装勢力がウクライナ軍の基地からブクミサイルを盗み出したのではないかという疑惑に関しては、ウクライナ政府の高官がそのような出来事は起こらなかったと公に述べている事実をロシア側が指摘している。

ー 反プーチンの指導者ボリス・ネムツフの暗殺(2015年):ネムツフは真夜中、近く結婚する女性とモスクワ市内の橋の上を歩いているところを射殺された。女性は無傷であった。犯人と思われる人物は車で逃走。20177月、チェチェン共和国ではネムツオフを襲撃した主犯のザウル・ダダイエフが20年の刑を宣告され、他の従犯者らも11年から19年の刑を受けた。なお、チェチェン共和国の大統領を務めるラムザン・カディロフは熱烈なプーチンの信奉者である。カディロフの単独の決定であったのか(つま、プーチンからの要請はなかったのか)、ダダイエフの個人的な犯行であったのかという疑問は解明されないまま残されている。

ー 英国のソールズベリーでのスクリッパル父娘殺害未遂事件(20183月):元二重スパイのスクリッパル氏と娘のユリアさんはソールズべり―の公園のベンチで意識不明となっているところを発見された。第一発見者はたまたまそこを通りかっかった英陸軍の看護師長であって、彼女に救助され、病院で手当てを受けた。二人とも昏睡状態から生還した。当時のメイ英国首相は、この事件は「かなりの確立で」ロシアの仕業であると断じた。「ノビチョク」と称される軍用の神経剤が用いられたという。因みに、その後の政治の舞台では証拠を挙げずに「かなりの確立で」という言い回しをすることが流行っている。二人は退院したと報じられたが、スクリッパル父娘の動向はその後絶えていた。しかしながら、事件の2年後、二人は別名を名乗ってニュージーランドへ移住した(させられた)そうである。そして、スクリッパル氏が住んでいた住宅は手入れを施した後に競売に付されることになった。英国当局は毒殺未遂の容疑者としてロシア人二人を特定した。アナトリー・チェピガとアレクサンダー・ミーシキン。英国政府がロシア政府に二人の身柄を引き渡すよう要求するも、ロシア憲法によって如何なるロシア市民も外国へ引き渡すことはできないとして、ロシア政府は英国の要求を拒否した。ところで、この事件は英国の諜報機関であるMI6が仕組んだものであるとの指摘があるが、そうだとすると見事な失敗である。

ー プーチンの政敵、ナヴァリヌイ毒殺未遂事件(20208月):2020820日、反プーチンの指導者であるナヴァリヌイはトムスクからモスクワへ向かう航空機の中で容体が悪化し、航空機はオムスクへ緊急着陸し、彼は病院へ運び込まれた。昏睡状態にされて人工呼吸器に繋がれた。そして、容体は安定した。二日後、ベルリンへ移送。OPCWの認証を受けているラボの分析によって、ナヴァリヌイには軍用の神経剤「ノビチョク」が使用された痕跡が認められた。今まで知られてはいない新型の「ノビチョク」だという。当初、オムスクの病院の医師は彼の体には有毒物質は認められず、彼の容体が急変した理由は血糖値が下がったことが原因であろうと指摘した。ナヴァリヌイのチームは彼がトムスク空港で飲んだ紅茶に有毒物質が投入されていたと主張。ナヴァりヌイは当日紅茶以外には何も食べたり、飲んだりはしていなかったという。その後、ベルリンへの移送後は事態は急速に政治的解釈へと急旋回して行った。ナヴァリヌイのチームの主張は彼が泊まったホテルの部屋で見つかったペットボトル入りの飲料水が毒物で汚染されていたという主張に変わった。米国は、20203月、ロシア連邦保安庁(FSB)の7人の高官に対する制裁を発表した。これはバイデン政権の発足後のロシアに対して発せられた初の挑戦となった。EUもこれに同調。

前置きが長くなったが、私としては米ロ間の新冷戦によってさまざまな出来事や紛争が起こっている現状を改めて俯瞰してみたかった。これら以外にもたくさんの事件が存在することは言うまでもない。この世の中に新冷戦という状況がまったく無かったとしたら、少なくとも、これらの事件はこんなに深刻な状況に発展したり、無残な結末を引き起こしたりすことはなかったであろう。MH17便の撃墜によって死亡した298人の犠牲者のことを考えると、新冷戦という国際政治ゲームが如何に残酷なものであるか、そして、如何に非人道的なものであるかが分かる。

ここに、「チェコの弾薬庫の爆発にロシアが関与していたというストーリーは米英の心理戦を打ちのめした ー 米専門家の弁」と題された記事がある(注1)。西側のメディアが大騒ぎを始めたもうひとつの愚行(!?!)についても詳しく学んでおきたいと思う。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しよう。

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ヴルビェティツェで起こった弾薬庫の爆発事件から6年後、チェコ当局は、突然、その実行犯としてモスクワを名指しした。同国の安全保障部門はロシアの関与についてはまったく何の証拠も掴んではいなかったにもかかわらずそうしたのである。突然気が変わり、筋書きが変わった理由はいったい何なのだろうか?このロシアとチェコとの間の紛争ではいったい誰が得をするのだろうか?

2014年に起こったヴルビェティツェでの爆発事件の背景にある要因についてはチェコ政府の要人の見解は割れている。つまり、429日にNovinky.cz に対して述べているように、マリー・べネソヴァ司法相はこの事件に関してはいくつかの見方があり、彼女の見解はミロシュ・ゼマン大統領の見方に非常に近いと言っている。

まず、ゼマン大統領はアンドレイ・バビシュ首相がこの爆発事件の背景にはロシアのシークレット・サービスが存在すると言ったことに対して疑義を挟んだ。先週の日曜日、ゼマン大統領はテレビ演説でチェコ共和国の安全保障情報サービス部門は、過去6年間、ヴルビェティツェ事件へのロシアの関与については何の報告もしたことはないと強調したのである。

6年後にヴルビェティツェ事件が突如浮上:

「チェコ警察は過去の6年間に及ぶ調査の結果、民間企業のImex Groupによる無鉄砲なまでの危険な行為によるものであったと断定した。同企業はいかがわしいブルガリア人の武器業者が所有する弾薬を安全とは言えない状態で保管をしていた」と、米国の元軍人で国際関係や安全保障の分析専門家であるマーク・スレボダが述べている。

この分析専門家によると、弾薬庫の爆発はロシアの工作員のせいだとして、突如、ロシアの批判を開始したバビシュ首相はかっては弾薬を貯蔵していた企業のImex Group を批判していたものだ。爆発が起こった後、当時財務相を務めていたバビシュは公営放送局のチェコテレビ(CT)でImexは、禁輸品であるにもかかわらず、議論の多いコンゴへの武器輸出を行ったことやブルガリアへ弾薬を売り、そこでも爆発を引き起こしたことで窮地に陥っていると述べた。

Imex Groupはバビシュ首相が調査情報を開示し、情報を歪曲したと主張し、その結果、同社の評判が損なわれたとしてチェコ政府を相手に訴訟を起した。だが、これは無駄に終わった。

その一方で、弾薬庫の状態は極めていい加減なものであり、危険な状態にあることを示していたとスレボダは指摘している。

「ヴルビェティツェの弾薬庫についてはチェコの専門家による調査が実施され、第一次および第二次世界大戦当時の弾薬が保管されていることが発見された。また、現場の周囲に施されている防護柵には木材の伐採によって生じた穴があって、弾薬庫からの盗難が起こった」と彼は言う。「弾薬庫に出入りする人たちをチェックする警備態勢や書類確認は無かったようだ。」 この弾薬庫の安全性が低い状況や弾薬庫をリースしている会社を巡ってはさまざまな議論が起こっている中、最大の問題はチェコ政府が弾薬庫の爆発について今になっていったいどうしてロシア人の諜報部門を非難することにしたのかという点にあると述べ、スレボダは疑問視している。

べリングキャットやザ・インサイダーおよびRFEが炎を煽っている:

英国のジャーナリストであるエドワード・ルーカスは彼が書いたCEPAThe Center for European Policy Analysis)のオプ・エドの中でこの難題を解く手がかりを明快に提供している。つまり、「同盟国の諜報サービス(ほとんどの場合、米国と英国だけ)が介入する時には何事でも起こり得る」と彼は書いている。「今回もまさにその通りだ。」 彼が言うところによれば、ペトロフとボシロフがあの爆発に関与していたと「誰かがチェコ当局へほのめかしたのだ。」

特に、スレボダによれば、バビシュ首相は「インテグリティ・イニシアティブ」 [訳注:英国のディープ・ステーツのひとつの組織であって、Institute for Statecraftによって運営されている。この組織はロシアに対する新冷戦に従事しているとして知られている] と称される英国の国を挙げてのプロパガンダ作戦の一部を担っていると疑われていることから見ると、ルーカスのこの想定はどうやら的中しているようである。

リングキャットは、最近、英外務連邦省(FCO)の支援を受けてアノニマスのハッカーを使ってロシアを貶める作戦の一翼を担っていることが発覚したが、ここでもまた一枚加わっている。420日、ザ・インサイダーと共にべリングキャットは、ペトロフとボシロフを含むロシアからのスパイ・グループがモラヴィア北部で大きな弾薬庫の爆発が起こった頃偽名を使ってチェコ国内に居たことを突き止めたと主張した。

セルゲイ・スクリッパルを毒殺することに失敗した英国によって起訴されているこれら二人のロシアの「ならず者」、つまり、ペトロフとボシロフが「カムバック」したわけであるが、彼らの主張は極めて滑稽であり、まるで古いマンガの「ロッキーとブルウィンクル」に現れるボリスとナターシャのことを思い起させるとスレボダは揶揄している。しかし、それだけには終わらない。

「彼らは今このドタバタ喜劇の二人組のロシア人を非難しようとしている。チェコにおける弾薬庫の爆発だけではなく、後に起こったブルガリアでの爆発に関してもだ [訳注:他の情報を見ると、ブルガリアでは2011年に1回、2015年に2回、さらに、2020年にも1回起こった]。そして、ブルガリア人武器商人 [訳注:名前はエミリアン・ゲブレフ] の毒殺未遂事件が起こった」と安全保障の分析専門家は述べている。「西側のメディアならびに諜報当局はこれら二人を大馬鹿者のスーパーマンと形容しようとしている。彼らは必要とされる技量が多岐にわたるさまざまな仕事、つまり、いくつかの毒殺未遂事件から始まって民間弾薬庫の爆発に至るまでの数多くの仕事を世界中で遂行するよう、恐らく、ロシア政府によって要請されたのだ。そして、彼らはそこいら中でヘマを仕出かしている。」

しかしながら、これこれのロシア人が中欧の何処かの国に居たとする説明は弾薬庫の爆発を引き起こす役目を担っていたことを必ずしも実証するものではない。ましてや、クレムリンやロシアの諜報当局がこの事件に関与していたことを実証するものではないとスレボダは言う。

加えるに、ロシア人には弾薬庫を爆破するという明確な動機がない。モスクワがこの事件に関与したという理由をあれこれと説明した後、べリングキャットの仮説は今やこんなことを言っている。「ロシアはソ連邦時代の弾薬が何時の日にか、恐らくは、ウクライナへ輸出されることを恐れて、先手を打ったのだ」と、米国の軍事専門家が述べている。けれども、彼は「だが、これは起こりそうにもない筋書きだ」と付け加えた。[訳注:ウクライナ内戦との絡みで見ると、ここで議論されている弾薬とは120ミリ砲や152ミリ砲に使用される砲弾である。ウクライナ軍は旧ソ連邦時代の大砲を使用している。これらの大砲に使われる砲弾はどこからでも入手可能というわけではなく、供給できる業者は限られている。そういう意味ではべリングキャットの仮説は興味深いとも言える。]

その一方で、422日、米国政府から資金が提供されている「ラジオ・フリー・ヨーロッパ」(RFE)局はロシアの諜報当局(GRU)と2015年のブルガリアにおける爆発事件との関係を見い出したと報じた。

安全保障分析専門家によれば、いくつかのメディア組織が「ロシアがやった」というストーリーを国際社会に向かって報じたことは米英の諜報部門が背景に居て、チェコ政府や諜報サービス部門をその話に乗せたことを示すものであって、それ以外の何物でもない。

チェコ・ロシア間の騒ぎではいったい誰が得をするのか?

スレボダは「CIAMI6が引き起こしたと推測されるこの心理戦」で意図された目標は下記に示す事項であろうと言う:

 第一に、ロシアを悪魔視することをさらに押し進め、そうすることによって東欧諸国に対するロシアの影響力や関係を低下させる。

 二番目には、一番目の項目から由来することではあるが、ヨーロッパを政治的にも経済的にもロシアからさらに引き離すこと。

チェコ共和国に関しては、次のような要素が明らかに絡んでいる:

 チェコのドコバニ原発の拡張工事に関する入札からロシアの国営企業であるロスアトムを追い出す。そうすることによって米国のウェスティングハウス社はコスト的には遥かに高価なものとなるにしても入札で最有力となり得る。

 チェコ政府によるロシア産の「スプートニクV」ワクチンの調達を中断させる。ワクチンの不足に見舞われながらも、チェコ政府はもはやロシア産のスプートニクVワクチンを購入する気はない。

と同時に、チェコの著名な政治家の間では緊張が高まっている。スレボダによると、ひとつには、このスキャンダルはアンドレイ・バビシュ首相や彼が新たに指名した反ロ的なヤクブ・クルハーネク外相、チェコのカウンター諜報部門SISの長官であるミカル・コウデルカ、チェコ内務相のヤン・ハマーチェク等によって推し進められているからである。

そして、反対側にはチェコ大統領のミロシュ・ゼマン、前大統領のヴァクルヴァヴ・クラウスやこれら二人を支持する他の政治家らが居る。

バビシュの首相としての地位は汚職調査や欧州委員会の監査によって窮地に陥った。億万長者であり農業・化学品の多国籍企業「Agrofert」の所有者であるこの人物にとっては彼が占める政治的地位とは利害が一致しない。それに加えて、チェコ首相はパンデミックの取扱いにおいては彼が見せた「混乱振り」が長い間批判されて来た。彼に対する信認の度合いが低下するにつれて、202110月の議会選挙におけるバビシュの勝算は決して高くはない。

その上に、バビシュ首相が率いる少数党の連携による政府は脆弱で、最近、「チェコ共産党」が脱退したことから、このことは不信任投票が起こり得ることを示唆している。彼の内閣は早めに、秋の選挙前にさえも、崩壊するかも知れないとスレボダは指摘している。

「もしもこういった事態が起こるとすれば、ゼマン大統領は政府を維持するためにも代行内閣を指名する権限を行使することになり、選挙が始まる前に彼の権力をさらに強化することとなろう」とこの安全保障分析専門家は言う。「ロシアに対する新たな批判が出たことでゼマン大統領をより防御的にさせ、彼の政治的地位を弱めたことからも、チェコ議会の反対派はバビシュ政権の崩壊をもたらし、ゼマンに忠実な代行内閣を現出させることになるかも知れない不信任投票を行うことは、恐らく、差し控えるであろう。このように、これらのロシアに対する新たな批判はそういった政治的シナリオが展開することを阻止する効果がある。」

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これで全文の仮訳が終了した。

この記事はまたもや「ロシアがやった!」という内容である。

この記事によると、チェコの国内政治のドタバタがチェコ・ロシア間の国際関係に飛び火したようだ。つまり、結局誰が得をするのかと言えば、国内政治の面では6年前の弾薬庫の爆発事件の容疑者としてロシア人スパイをでっち上げることによってバビシュ首相は今年秋の選挙でゼマン大統領派を出し抜こうとしているのだと読める。バビシュ首相が英国の「インテグリティ・イニシアティブ」と称されるプロジェクトでどのような役割を担っているのかがキーポイントとなりそうだが、その詳細情報には素人の手は届かない。洋の東西を問わず、政治家にとっては選挙対策が最大の関心事であって、そこには決まったルールはなく、何でも起こり得る。

経済面では誰が得をするのかと言うと、ロシアを貶めることがうまく行けばチェコにおける原発の拡張工事の入札ではウェスチングハウス社が入札を勝ち取る勝算が増す。そして、チェコ政府による新型コロナ用のワクチンの調達では西側のワクチンの競争相手となるロシア産ワクチンを蹴落とすことができるだろうと言う。金儲けのためのロビー活動が行われていた模様だ。

ところで、この事件でも英国のべリングキャットが登場して来る。この組織は民間の調査報道ウェブサイトであるが、その資金源は英国政府と繋がっていると言われている。べリングキャットはマレーシア航空のMH17便撃墜事件やスクリッパル父娘毒殺未遂事件でも登場して来ることは読者の皆さんのご記憶にもあるだろうと思う。

どちらが正で、どちらが邪であるかを見分けることは私ら素人にとってはそう簡単ではない。しかしながら、個々の事件に関する判断は当面避けて、過去のさまざまな事例を辿ってみると、ひとつの典型的なパターンが浮き上がって来る。一言で言えば、「ロシアがやった!」という言葉に象徴される。つまり、その言葉には新冷戦を推進する西側のエリートたちの考え方が色濃く反映されている。この記事の著者が記述している「同盟国の諜報サービス(ほとんどの場合、米国と英国だけ)が介入する時には何事でも起こり得る」という見方は言い得て妙である。

個々の事件の真相は依然として闇の中に置き去りにされているが、私は冒頭にいくつかの事例を列挙することによってこういった典型的なパターンを示してみたかった。見えて来るのはひどく荒廃した風景である。

今後もチェコにおける秋の総選挙に向けて紆余曲折があるものと思われるが、真相に少しでも近づけるような新たな情報を期待したいものだ。

参照:

1Story of Russia's Alleged Role in Czech Arms Depot Blast Smacks of UK-US Psyop, US Vet Says: By Ekaterina Blinova, May/02/2021, https://sptnkne.ws/GfBe





2021年5月1日土曜日

米国は生物兵器による戦争を準備しているのだろうか?

 

2019年の12月に中国で初めて新型コロナが報告された。その後14カ月、全世界で3百万人強が新型コロナで死亡したと言われている。

しかしながら、その正体は今も依然として不明のままだ。そして、その不明振りは極めて基本的な事柄に関するものであって、この感染症のひとつの大きな特徴となっている。もっと具体的に言えば、世界的な感染が始まった最初の段階では自然発生的なものであったのか、それとも、人工的なものであったのかに関しては今でさえも結論付けられてはいない。さらには、このウィルス感染症に感染しているかどうかを定義するために使用されているPCR検査は必要とされる感度の1000倍も高いレベルで使用されており、多くの擬陽性患者が陽性として診断されている。つまり、感染者数は不必要に誇大化されたものとなっている。この大流行でもっとも皮肉な側面はその誇大化された感染者数の増加に基づいて経済を破壊する都市閉鎖政策が各国で実施されている点にある。そのことが指摘されていながらも、PCR検査の手法を修正しようとする気配は見えない。こうして、すでに多くの指摘があるように、新型コロナの大流行に便乗して大きな利益を挙げている勢力がどこかにいるのだ。あたかも彼らやその支援勢力がこれらのすべての状況を演出しているかのように見える。

PCR検査の正当性についての詳しい議論は別の場に譲ろう。ここでは、新型コロナウィルスの起源に関する最近の情報を整理しておきたいと思う。

まずは、米中央情報局(CIA)がこの新型コロナの起源について今どのような見方をしているのかに関してひとつの記事(原題:CIA says possibility of Covid-19 leaking from laboratory cannot be ruled out: By Lucas Soares, Apr/19/2021を覗いてみよう。これはかなり最近の記事だ。その要旨は次のような具合だ:

最近、WHOは、この感染症の起源を突き止めるべく、新型コロナウィルスが最初に発見された中国の武漢に関する現地調査の結果を報告した。この報告の実現のためには多額の経費が費やされた。結論としては、恐らくは、ウィルスが動物から人に飛び移ったものであろうとしている。 ところが、CIAは新型コロナウィルスが研究所から漏洩した可能性は排除することができないとも述べている。

国家情報局長官のアブリル・ヘインズとCIA長官のウィリアム・バーンズは、先週の木曜日(415日)、同局は依然としてこの可能性を調査していると述べた。「何処で、何時、そして、どうやってコロナウィルスが人への感染を開始したのかに関しては、われわれの見解によれば、われわれはまだ依然として正体を把握してはいない。ふたつの有力な筋書きがあって、われわれはそれらを調査しているところだ」とヘインズが述べている。

「ひとつの筋書きは新型コロナウィルスが研究所から漏洩、もうひとつの筋書きは感染した動物を介して人に飛び移ったというものだ」とCIA長官が指摘。WHOの報告書は研究所からの漏洩は「在り得そうもない」と言っている。

私の記憶によれば、今回CIAが研究所漏洩説を捨ててはいないと言明したことは極めて意味深であり、画期的なことだ。何故かと言うと、米諜報当局は今までは研究所漏洩説が出ると、それを直ちに否定し、そういった主張は陰謀論だとして排除して来た経緯があるからだ。何故かCIAでは何らかの大きな変化が最近起こったと言えよう。

新型コロナウィルスの起源が依然として確定してはいない中、さまざまな憶測や推察が飛び交っている。

ここに、「米国は生物兵器による戦争を準備しているのだろうか?」と題された最新の記事がある(注1)。この記事は新型コロナウィルスという限定的なテーマを議論するのではなく、生物兵器を使った戦争の準備に関するものである。とは言え、新型コロナウィルスの起源を論じる上で非常に示唆に富んだ内容であると私には思える。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

***

最近、新型コロナウィルスの起源についてはさまざまな説が各国の科学者や専門家たちによって活発に論じられるようになって来た。326日、米疾病予防管理センター(CDC)で前長官を務めたロバート・レッドフィールドさえもが新型コロナウィルスは、結局のところ、人工的に作られたものであると述べた。これは新型コロナウィルスの感染の広がりに見られる特殊性からそう判断されるという。 WHO総裁のテドロス・アダノム・ゲブレイエソスは、その一週間後、コロナウィルスの起源はまだ特定されてはいないことを認め、WHOはコロナウィルスの起源に関してはあらゆる可能性を究明し続けると言った。

414日に開催された米上院諜報員会で国家情報局長官のアブリル・ヘインズは米諜報部門には新型コロナウィルスの起源に関してふたつの有力な説があることを認めた。「研究所からの漏洩事故」もそのひとつである。

世界中ですでに3百万人以上もの犠牲者を出しているこの21世紀の「死のキメラ」には何の関係もないと米国は不可思議にも言い張っては来たが、ワシントン政府に対する非難があり、そういった非難はさまざまな分野の専門家たちの結論の中に頻繁に出現するようになった。そういった非難に対する米国側の反論を支える英国のデイリー・ミラー紙さえもが「2019年に新型コロナの大流行が起こるなどとはまったく誰も想像し得なかった2017年の時点で米諜報部門は新型コロナの大流行を予見し、感染が広がるのを食い止めるために各国が採用しなければならない方策を予測している」ことを報じた。この事実だけに基づいてさえも、このような「非常に困難な予測」に関して言えば、世界中のあちらこちらに米国が運営している秘密の生物兵器研究所で行われている活動から得られる完璧な知識に根ざしさえすれば、「予測」の対象を厳密化することが可能であることは明白であって、この想定の信憑性は強固になるばかりである。近年、中国やロシアとの国境に近い地域には数多くの研究所が出現した。

そして、これは歴史的にも明らかにされている諸々の出来事、つまり、米国が世界中で関与した生物兵器によるジェノサイドを思い起させる。特に、出来るだけ多くのインディアンを殺害するためにチフス菌で汚染されたシラミが付着している毛布を使用したことを思い起させるのに十分である。あるいは、オーストラリアでは残酷にも住民の一掃が行われた。だが、同地では致死的な感染症を広げる手法は使用されなかった。また、ペンタゴンによるランチョ・ハンド作戦では南ベトナムの広大な地域が枯葉剤「エージェント・オレンジ」によって酷く汚染された。

こうして見ると、中国が米国に対して求めた米軍研究所、特に、ウクライナやメリーランド州のフォート・デートリックで行われて来た実験に関する情報についての開示要求は今や妥当なものであると言えよう。「当事国や米国は責任のある、透明性に満ちた立場をとることをわれわれは望んでいる。そして、WHOとの強力関係を持つことを開始し、米国における新型コロナウィルスの出所を調査するために専門家を招待して貰いたい」と北京政府は理に適った要望を述べている。

この要求は、今や、中国から聞こえて来るだけではなく、他にも数多くの国々から聞こえて来る。中国や他の国々において、ならびに、その近隣諸国において、近年、ペンタゴンならびに米諜報当局の「専門家たち」は生物兵器研究所の膨大なネットワークを秘密裏に構築して来た。200個所にも及ぶ米生物兵器研究所があって、今や、10ヵ国強の国々ではその脅威に直接曝されている。米国は世界中25ヵ国で生物兵器研究所を設立した。たとえば、中東、アフリカ、東南アジア、および、旧ソ連邦に属していた国々である。ウクライナには18か所もある。例を挙げると、オデッサ、ヴィーンヌィツャ、ウージュホロド、リヴィウ(3カ所)、ハリコフ、キエフ(3カ所)、ヘルソン、テルノーピリ。数カ所の研究所はクリミアやルハンスクの近傍に位置している。

しかしながら、米国は1972年に生物兵器禁止条約を批准したものの、2001年には相互監視メカニズムの議定書を受け入れることを拒否した。つまり、国際的な法規制に則ってワシントン政府が同条約に準拠しているかどうかを実証することは不可能となったのである。ワシントン政府はこれをいいことに世界中で軍事的な生物兵器研究所のネットワークを拡大し、秘密の活動を行っている。

米国の秘密生物兵器研究所に関連したスキャンダルや議論が時々これらの研究所が所在する国々で巻き起こる。そして、これらの問題を正しく描写するにはウクライナにある米国の「秘密施設」の活動内容を引用するだけでも十分なのだ。

2005年、ウクライナと米国は(ついでに言えば、今日米国の秘密生物兵器研究所が所在している多くの他の国々と同様に)合意書を交わした。これはウクライナの保健省と米国の国防相との間の合意であって、「生物兵器の開発に当たって使用される技術や病原菌ならびに専門知識の拡散防止に関して」との表題が付けられている。この条約の表題自体が「生物兵器の開発」をあからさまに謳っており、それらに関する知識が外部にばら撒かれることを防止しようとしているのである。同条約は「もしもウクライナが如何なる情報であってもそれを機密事項であると認めるならば、米国はその情報を公開することはできない」と明確に規定している。そして、当該情報にアクセスすることができる者は国家機密の枠内で仕事を遂行し、行動することが求められる。具体的な報告が成されることはなく、これらの研究所は実質的に治外法権であって、ウクライナ政府の監督の手は届かない。このように機密性の徹底が実行されている事実はこれらの研究所の活動をさらに疑わしく感じさせるのである。結局のところ、これらの研究所が人道的な目的の下で危険なウィルスやバクテリアについて研究活動をしているとするならば、彼らの仕事に関する情報は何でもが機密事項と指定されてしまうのは何故だろうか?

事実はどうかと言うと、米国の分類によると、こういった研究所はアフリカやアジアのいくつかの国、民主主義を勝ちとったウクライナやジョージアならびに数多くの中央アジアの国々に存在するだけであって、米国は言うに及ばず、ヨーロッパにはそのような研究所は存在しない。この状況はむしろ特筆すべきことだ。科学や医療関係の基盤がしっかりしている国々では危険な感染症と闘う必要なんて無いとでも思っているのだろうか?あるいは、ただ単に欧州連合は公に認められた米国の敵国ではないことから、米国が生物兵器の実験をしようものなら、それが何であっても速やかにバレてしまい、反対されるであろうと容易に予測されるからか?

もちろん、これらの秘密の生物兵器研究所が犯した「間違い」は何処ででも起こり得るし、彼らの活動から得られた「成果」はそのような「研究活動」を開始した国々自身に対しても悪影響をもたらす。2009年以降、ウクライナの 新聞「2000」ならびに数多くの他のメディアは米国の生物兵器がもたらした脅威に関して10本以上もの記事を書いている。中でも、特に、ハリコフの近傍の小さな町「メレファ」では反政府デモが起こった。政府は獣医学研究所に新たな研究施設を建設しようとした。結局、この施設の建設は2015年に完了し、「ハリコフ近傍の死の研究所」というニックネームが贈呈された。ウクライナにおける米国の生物兵器研究所を調査するようにという要求にはウクライナのメディアや市民団体が活発に参加しただけではなく、これらの施設が自分たちの国にも危険をもたらすことに気が付いた近隣諸国さえもが加わったのである。

米国の生物兵器研究所と関連するもうひとつのスキャンダルが20204月に起こった。これはビクトル・メドべドチュクが大統領や保健省の指導者たち、ならびに、ウクライナ諜報部門や首相に宛てて、「ウクライナでは15カ所もの軍事用生物兵器研究所が稼働している」と主張した後を受けたものであった。その後、この話題はもうひとつのウクライナのニュース・サイト「Strana.ua」によって引き継がれ、同サイトは大統領や関連当局に対して10個以上の質問を並べた記事を公開した。それと同時に、ウクライナにおいて「不法な外国の研究所」による研究活動に許可を与えた政府高官にその責任を問うよう要求した。これらの不法な外国研究所は、ウクライナ市民に対する実験をも含めて、生物兵器を製造するために実験を行った。

数多くのウクライナのメディアはウクライナにおける米国の生物兵器研究所に関して客観的な調査を行い、これらの研究所を閉鎖するよう求めた。Xファイル報告書と並んで、彼らは、特に、「米国の秘密の生物兵器研究所がウクライナでいったい何をしているのかをジャーナリストが発見」との見出しを付けた記事を出版した。これに対して、キエフ政府は、明らかにワシントンからの命令を受けて、それらの記事の配信を遮断し、チャンネル「1+1」のビデオも遮断した。

さまざまなメディアによって出版された数多くの記事はこれらの研究所の研究活動とウクライナのいくつかの地域において発生した不可思議な病気とを結びつけることとなった。特に、2009年にテルノーピリで起こった内出血性肺炎を引き超すウィルスや2011年のコレラの流行が例として挙げられる。2016年の1月、ハリコフでは20人の兵士らがインフルエンザ様のウィルスで死亡し、200人以上が入院治療を受け、2カ月後にはウクライナ全体で364人の死亡が確認された。2017年にはキエフとエルソンにおいてボツリヌス菌が発生し、血清の欠如から市民が死亡したが、同地で稼働している米国の生物兵器研究所はまさにそのような流行と直接闘うことが彼らの仕事であると言う。2012年には、何千人ものウクライナ市民が「突然」麻疹に罹ったが、この流行が今また戻って来つつある。2016年の9月、(オデッサ地域の)イスマイールでは不可思議な腸内疾患が発生し、特に子供たちを襲った。

これらの状況の下、もしも米国の生物兵器研究所が一般公開されなければ、あるいは、もしも同研究所が一般大衆からの圧力を受けて閉鎖されなければ、そして、この問題について米国が無視しようとしている背景に逆らうとすれば、世界は疑いもなく1972年に締結された生物兵器禁止条約の破棄に直面することであろう。そして、そのような状況は各国が自国製の生物兵器を開発することに繋がるであろう。だが、生物兵器研究所からの漏洩によってすでに300万人以上もの死をその代償として支払った今の世界は本当にこのような状況を必要とするのであろうか?あるいは、世界はワシントン政府が他国の意見を尊重するよう求めるのであろうか?

著者のプロフィール:ウラジミール・プラトフは中東の専門家であって、オンライン誌の「New Eastern Outlook」に特別寄稿している。

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これで全文の仮訳が終了した。

この記事には非常に重要な要素がいくつも含まれている。

326日、米疾病予防管理センター(CDC)で前長官を務めたロバート・レッドフィールドさえもが新型コロナウィルスは、結局のところ、人工的に作られたものであると述べた」という報告は非常に重いと私は思う。CDCとしては、私の憶測から言えば、現役の長官が直接的に発言する代わりに、前長官にCDCの総意を述べて貰ったというかも知れない。今後、この方向での見解が主流になるのかも知れない。ただし、この大流行の責任を中国に負わせたい米国政府にとっては、米国の資金が武漢の研究所に流れていたことがすでに公知の事実となっている点を考えると、自国の責任を避けるためにも自然発生説を支持するのかも知れない。新型コロナの起源に関してはさまざまな議論や説明が成され、紆余曲折を辿ることであろう。

それとも、これらふたつの説はどちらに転んでも中国に責任を取らせようとする米国側の思惑に逆らうものではないということなのであろうか?何れにしても、ポストモダーンの今日、真相からは離れ、捻りに捻った論理の横行や情報の歪曲が続くであろう。

もうひとつの基本的にもっとも重要な点は「英国のデイリー・ミラー紙さえもが2019年には新型コロナの大流行が起こるなどとはまったく誰も想像し得なかった2017年の時点に米諜報部門はすでに新型コロナの大流行を予見し、感染が広がるのを食い止めるために各国が採用しなければならない方策を予測していた」と報じた事実だ。驚くべき情報である。著者が言うように、この点を取り上げるだけでさえも、米国による一人芝居あるいは自作自演作戦という見方の信憑性が急速に増してくるではないか。

そして、「米国は1972年に生物兵器禁止条約を批准したが、2001年に相互監視メカニズムの議定書を受け入れることを拒否した」という事実に話が及ぶと、米国の自作自演説を支持する決定的な状況証拠がもうひとつ出揃うことになる。米国が相互監視メカニズムの議定書を拒否したという事実は将来の米国による生物兵器の使用を容易にするための準備であったとしか言いようがない。

しかしながら、EUを含めて、他国がどのような非難をしたとしても、米国はその非難を聞き入れることはない。何と言われようとも、すべての批判を拒否し、米国の見解や政策を他国に一方的に強要してくる。それが今の米国だ。米国の考えはあくまでも「アメリカ・ファースト」であり、覇権国家としての地位を継続するためにも経済や政治および軍事面における「米国の優位性」が挑戦を受けるようなことがないようにそういった非難はことごとく拒否する。国際法の遵守さえをも拒否するのである。まさに「ツキジデスの罠症候群」である。

最後に残る最大の課題は、米国は自国で行っている生物兵器の開発研究や世界中に存在する米国の生物兵器研究所からの病原菌の漏洩に関しては説明をしようとはしない点だ。中国やWHOが何と提言してもそれを聞き入れようとはしない。これももうひとつの「ツキジデスの罠症候群」の症状である。

米国は正気に戻らなければならない。もしも米国が正気に戻らないとしたらいったい何が起こるか?たとえば、台湾を巡る米中戦争が起こって、全世界は未曽有の困難に曝されることとなる。そして、日本は台湾の直ぐ傍に位置する尖閣諸島を巡ってこの米中戦争に引きずり込まれて行く。

最近バイデン大統領との会談を持った菅首相が米国との約束をしたことから、日本も参戦することは米国としてはごく当然だと判断するであろう。むしろ、米国側は沖縄を始めとして日本列島の南から北の端まで米軍基地をたくさん抱えている日本が中国に対して代理戦争をやってくれることを目論んでいるのではないか。

素人であるわれわれが上記のような事柄を日常の思考の中であれこれと考え始めたという今日の状況は驚くに値する。これはそれだけ米中間の緊張が高まっているという証でもある。最近の日本の世論調査によると、中国に対して圧力を強める米国に67%が同調すべきだ考えているという。

これでは、米中間の緊張を回避することにはならず、むしろ、米中戦争を煽ってしまうのではないかと私は懸念する次第だ。これは日本の現代史においては80年振りのことであり、この現状は日本にとっては未曽有の不幸の始まりを意味することであろう。と同時に、「歴史は繰り返す」という言い古された状況をわれわれは易々と許してしまうことにもなる。

長期的な流れを見ると、米中間のバランスがどちらに振れて行くのかはすでに明らかであると私は思う。それにもかかわらず、今日の日本人はどうして中立の立場を模索しないのであろうか?私には不思議でならない。

参照:

1Is the US Preparing to Start a Biological War?: By Vladimir Platov, NEO, Apr/24/2021