この引用文書の著者は非常に重要なことを述べていると感じる。つまり、MH17便の撃墜事件においては、米国と西側の主流メデイアは偽情報を流すことに専念しており、真実を伝えようとしてはいないとして、著者らは商業主義によって毒されたメデイアの実態を暴き、ジャーナリズム精神をあきらめてしまったマスコミを証拠を挙げながら非難している。
そして、この構図は米国とヨーロッパ諸国だけに見られるものではなく、非常に残念なことではあるが、日本でもそのまま当てはまることは改めてここで検証する必要もなかろう。
ある識者は現在の米国社会は「収容所列島」そのものだと述べている。「収容所列島」はご存知の通り、旧ソ連時代の作家、ソルジェニーツインが書いた有名な小説のひとつだ。当時、この小説が出版された頃は冷戦の末期にあって、日本に住むわれわれ読者は鉄のカーテンの向こう側は何と悲惨な社会なんだろうと思いながら読んだものだ。その悲惨さがあの本を読み続ける原動力にさえなっていたような気がする。衝撃的な本であった。
米国社会は「収容所列島」だとする指摘は、米国社会は戦争を肯定する米国のメデイアによってすっかり洗脳されてしまい、自らの判断をしようとはしない大衆が持つ大きな弱点をわれわれに自覚させようとしているのだとも言える。ウクライナ危機については、インターネットを覗いてみれば政府や大手メデイアが描く公式見解とはまったく違って、正当と思える意見や耳を傾けたくなるような見解を山ほども入手することができる。さらには、米国人は自分たちが育った言語を通じてそれらを直接入手することができるという圧倒的な利点を持っている。それにも拘わらず、米国人の多くはひとつの大きな思想統制によって縛られており、外の姿を見ることができないでいるようだ。
米国とはそういう一面を持った社会でもある。
<引用開始>
Zero Hedgeが7月17日に下記の内容を報告した:
『問題は「少佐」とか「ギリシャ人」と呼ばれる人物が誰であるかを特定することはまったく不可能である。このウクライナの内戦では、ある挑発が行われ、それに反応して挑発に対する挑発が繰り返し行われてきた。そのことを考慮すると、キエフ政府のためにはCIAによって、ロシア側のためにはモスクワによってそれぞれの挑発が計画的に実行されてきたことは明らかだ。「確定的な証拠」と言われているこれら二人の人物はただ単に台本を読んでいるだけであって、ロシア語をしゃべる無名の人物ではないかと疑わざるを得ない。このビデオにはもう一人の「民兵」と呼ばれる人物も登場する。彼は東部ウクライナで作戦を遂行しているコサックのリーダーであるミコラ・コズイツインと思われる人物と話をしている。「民兵」はコズイツインにはっきりと報告している。あれは軍用機ではなく、機体の側面には「マレーシア航空」と書いてあると。墜落した機体で、爆発した本体の側面にいったいそのような記述が見つかるのだろうかと誰もが思うのではないだろうか。でも、これは調査の専門家にその判断を任せるしかない。』
加えるに、これらのオーデイオを複数の独立した分析専門家に分析をしてもらった結果、これらのオーデイオ記録は完全なひとつのファイルではなく、いくつかの部分をつなぎ合わせたものであることが判明した。これは生のオーデイオ・データからはそれぞれ違った日付が見えることからも明らかである。また、一部はMH17便の墜落よりも前の7月16日に編集されていることが判明した。ITAR-TASS 通信は下記を伝えている:
「二本目のテープはみっつの部分から構成されているが、一本のオーデイオ記録として提示されている。しかしながら、スペクトルおよび時間を分析した結果、会話は細かに分断されており、それらを繋ぎ合わせたものであることが判明した。テープの中にある短時間の休止部分は非常に暗示的である。つまり、このオーデイオ・ファイルはタイム・マークを保っており、それらのマークは会話が個々の断片から組み合わされたものであることを示している、と専門家は言う。テープを言語学的に分析した結果、この偽のテープを作製した連中は十分な情報や時間を持ち合わせてはいなかったことが明らかだ、と専門家が述べた。会話の断片はそれらが意味する内容から見た場合、相互の関連性がうまく噛み合ってはおらず、オーデイオ・テープのスペクトル図も互いに異なっていることから、そのことは頷けると言う。しかし、何と言っても、もっとも暗示的なことはこのオーデイオ・テープは旅客機の墜落の一日も前に作成されたという点だ、と専門家は言った。」
ここで、ひとつの結論を導き出すことができる。つまり、これらのテープは偽物であって、旅客機の墜落を反政府派とロシアのせいにするために公開されたものである。
これに加えて、これらふたつのキエフの「テープ」の作製は前のユーチューブ・ビデオとうまく符合する。つまり、グラフィックのスタイルや編集様式が同じで、このビデオはもうひとつ別の偽物であることがすでに証明されていた。興味深いことには、ウクライナのプロデューサーはMH17便に関するコサックの反政府派司令官、ミコラ・コズイツインという同一の役者をこのオーデイオの作製でも登場させたのである。Zero Hedgeは次のことを公にした。「最終的には、われわれには記録や登場人物が本物であるかどうかを証明することは明らかに不可能だ。あれは1ヶ月以上も前の6月5日だった。もう一つ別の試みが実行された。分裂派に責任を負わせ、彼らの信用を落とすために、ウクライナ政府はもうひとつのトレードマーク的なユーチューブの動画を公開して、コズイツインを過小評価し、彼をおとしめようとした。この動画にはロシアのコサック部隊がウクライナでの混乱の源との表題が与えられている。」
要約すると、キエフ政府の高官が公開したいくつかの偽の情報はわれわれをひとつの結論に導いてくれる。「隠ぺい」だ。それとは対照的に、ロシアの高官は他の当事者に責任を負わせることを目的とした偽の「証拠」はまったく何も公開してはいない。それどころか、モスクワはこの出来事を巡っては検証可能なデータを公表している。これを受けて、ワシントンは今や自分たちが行ってきたロシア側に責任を負わせようという野蛮な手法については再考せざるを得なくなっている。
ワシントンにとってはウクライナ西部のあからさまにファシスト的で人種差別的な政党やその民兵に対して支援を与えることは今までのところは可能であった。しかしながら、キエフの残酷なまでの内戦の遂行が進行するにつれて、世界のメデイアならびに歴史により深く傾倒するヨーロッパの市民たちはこのリスクの高い便宜上の結婚には反対を唱えることになるかも知れない。
米国は今や完全撤退と被害対策モード:
驚くべきことに、米国務省のマリー・ハーフ副報道官が行った7月22日の状況説明においては彼女はこう言い張った。米国の諜報機関の高官は国務長官のジョン・ケリーが述べた「証拠の山」の一部にはこれらの「ソーシャル・メデイア」で掲載された情報が含まれていることを認めたと…
明らかに、自信が完全に崩れ去って行く中でさえも力を誇示したいという圧力の下で、メデイアの一人によって浴びせられた難問に窮して、神経質に顔を引きつらせているハーフの姿を見ることができた筈だ。
Photo-11: マリー・ハーフ: オバマ大統領の下で国務省の報道担当官は「政治活動家」に変身
ハーフは「ソーシャル・メデイアの証拠」に質問を向けさせることにやっきとなっているかのようで、彼女は「米国の諜報部門の高官は例のオーデイオを本物であることを認めた」と述べ、国務省の歴史の中でも大失敗のひとつとして記録に残るような致命的な失言をした。例のオーデイオは「偽物」であることを確認したと言いたかった場合を除いては、彼女の言葉は米国の高官を悩ませることになりそうだ。多くの人たちは今やそれを真っ赤な嘘と称し、ソーシャル・メデイアで見つけた掲載内容を間違って取り扱ったこと、過剰に政治問題化したこと、あるいは、戦争の意図を推進するためにワシントンは恥じらいも見せずにそれを活用したこと、等を隠ぺいするためのものだったと考えている。
その結果、CNNや他のメデイアは「公正で一方に偏らない」主流の陰謀論の山の下から現れつつある事実を隠ぺいしようとして、今や、大惨劇の後に残されたゴミを漁っている始末だ。話の筋は、ある主要なメデイアの系列が「オバマ政権:いったい何を隠そうとしているのか?」という見出しを用いていることを見ても明らかなように、今や「何が起こったのか」から「米国の政治家は如何にしてこの危機を乗り越えるか」に移ろうとしている。
この火曜日、米国政府はマレーシア航空MH17便の撃墜の背景にはロシアがいると言ったが、間違った情報を用いてその確実性を誘導しようとしたことをついに認めるに至った。
ワシントンの新たな陰謀論:
被害対策の実施としてこの火曜日には、ワシントン政府はワシントン・ポストやLAタイムズといった主要メデイアの記者たちを「諜報に関する更新情報」の説明会に招き、経験を積んではいないマリー・ハーフが仕切る記者会見に招待した。
ロサンゼルス・タイムズ はこう報道した。「米国の諜報機関は今のところミサイルを発射した連中の国籍や身元を解明することはできないでいる。米国の高官はSA-11(地対空ミサイル)を発射したのはミサイルの取り扱いについて訓練を受けたウクライナ軍の脱走兵である可能性があると述べた。」
ワシントンが静かに逆戻りを始めたということは反政府派に責任を負わせようとした前の筋書きは脆くも崩れ去ったことを意味している。これはむしろ実際にはウクライナ軍がMH17便を撃墜したということを認めることになるのだが、彼らは「脱走兵」とか「ならず者集団」といった言葉で修正を施し、連中はたまたまウクライナ軍の制服を着ていたに過ぎないとする新たなでっち上げをすることにした。
ワシントンの新たな、そして、創造的な公式陰謀論には次のような筋書きも含まれている:
1.
ウクライナの分離派は余りにも複雑なAS-11システムの不明瞭なレーダー映像を読み間違えて、旅客機を撃墜した(あたかも米国の諜報機関の高官が実際に現地に居たかのようだ)。恐らく、旅客機をウクライナ軍の軍用機と見違えたのだろう(彼らは最初の筋書きに逆戻り)。
2.
マレーシア航空のジェット旅客機を撃墜したミサイルは、おそらく、親露派の「訓練が疎かな部隊」によって発射された。
この「訓練が疎かな部隊」論は「本件に関しては公表する立場にはないのでオフレコを要求した」米国高官の言葉である。いったい誰が彼を責めることができようか?
最終的には、ワシントン政府は自分たちが良く知っている場所に自分たちが居ることに気付くことだろう。つまり、地政学的にも大きな出来事あるいは犯罪を「一匹狼」の仕事にしてしまうのだ。この場合はウクライナ軍からの「ならず者の脱走兵」ということで、ウオルフ・ブリッツアーやアンダーソン・クーパー、ジョージ・ステファノポロス、および、ショーン・ハニテイー、等の辛辣な批判にさらに油を注ぐことになりそうだ。
アメリカ人の調査報道のリポーター、ロバート・パリー(彼は80年代にAP社やニューズウィークのためにイラン・コントラ・スキャンダルに関して数多くのスクープを物にした)は7月20日にConsortium News上で次のような情報を公表:
「この種の事件では過去においては何時も正確な情報を流して貰っていた人物から聞いたことではあるが、米国の諜報部門は間違いなく運命のミサイルを発射した装置に関して詳細な衛星画像を所有しているが、この発射装置はウクライナ兵の制服をまとったウクライナ政府軍のコントロール下にあったように見受けられる。」
この説明は次の事柄と完璧に辻褄が合ってくる: (1)7月22日火曜日に米国の主要なメデイアによって報道された「米国諜報当局の匿名の高官による状況説明」、(2)7月21日にロシアの国防省がおこなった状況説明
、(3)上記に報告済のアレクサンドル・ジリンの解析結果。
前に言ったことを撤回しようとして、ワシントン政府は全体的な訴えを公式に格下げした。もうひとりの「諜報部門の高官」はまったく新しい筋書きを発表した。それは以前のものよりも調子が下がって、「ロシアはこの悲劇が起こり易くなる条件を作り出した」と言ってロシアを非難した。
西側のメデイアによるさらなる情報操作:
ロンドンのメデイア部門もワシントン・NATO・キエフ枢軸による犯罪の割り当て部分をさらに大きくするような行動にのめり込んでいった。英外務省寄りの偏見を組織を挙げての行動で示す古典的なやり方を通じて、ガーデイアン紙の記者、ショーン・ウオーカーは「親露派の反政府勢力」のみを念頭に置き、「反政府派・ブク謀略論」を故意に補強して、西側が罪を負わなければならないとする裁定を注意深く鎮静化しようと試みたのである。
ウオーカーはこう言った。『ウクライナ東部における親露派分離主義者は、明らかに、MH17 便を撃墜するために使ったミサイル発射装置を所有したことはないと主張しているが、この主張は次第に見え透いたものと化している。何人もの目撃者が自分たちは先週の木曜日に墜落現場の近くで「ブク」ミサイル発射装置と思われるものを見たとガーデイアン紙に言った。この目撃の話はオンラインで掲載されている数多くの写真やビデオを裏付け、「ブク」発射装置と大惨事当日の墜落現場とを関係付けてくれる。先週木曜日の発射の直前、マレーシア航空の旅客機が離陸する前、「ブク」はTorezの町の目抜き通りであるガガーリン通りを通過して行った、と目撃者は言っている。』
ガーデイアン紙は実に巧みに目撃談を報道することができたと言えるけれども、目の肥えたメデイアの専門家はここにはトリックが潜んでいることに気付くのではないか。ウオーカーは反政府派以外の他の可能性を排除し、集めて来た証拠を予め決められている結論の中に放り込むことによって彼の新聞が抱いている偏見を見事に隠してしまった。もしもガーデイアン紙が組織を挙げての偏見(英国外務省が予め決めている結論)をここに適用しなかったならば、同紙の編集者は目撃者の話とロシア政府が提供した明確な衛星写真とを結び付けることができた筈である。誰が実際に地対空ミサイル発射装置を所有していたのかに関して結論を下すのに天才なんて必要なかったであろう。結論はウクライナ軍だ。
外交上の利益のために民間航空機を撃墜する米国の公式計画:
「民間航空機を自作自演作戦の中で絶好の攻撃目標として使うという考えは米国のセキュリテイーや諜報の企画専門家の間では特に目新しいものではない。米国国立公文書館は、2001年に起こった9/11同時多発テロの5か月前、以前は機密扱いであった危険性を孕んだ文書を公開した。同文書は「米軍のキューバへの侵攻に関する正当な理由」と題され、ロバート・マクナマラ国防長官のために要点を説明している。これは「ノースウッズ作戦」と名付けられた一連の自作自演の詳細を説明しており、これらの作戦は様々な目標に対して米国が実行し、キューバのフィデル・カストロに責任を負わせようとするものである。日付けは1962年3月13日で、この最高機密文書は米国の特殊作戦のトップに位置するエドワード・ランズデール将軍が作成したものである。」
「ノースウッズ」計画にはキューバから米国の海岸を目指してやって来るキューバ難民のボートを沈め、キューバの領海内で米国国籍の船舶を爆破し、ウクライナ東部でマレーシア航空MH17便が撃墜されたことを受けて今のわれわれにとって重要な点としては、偽物のキューバ空軍機が民間ジェット旅客機を攻撃するといった筋書きが含まれている。ランズデールとノースウッズ作戦の計画担当者たちは米国のキューバへの侵攻は怒りに駆られた世論が巻き起こる結果、幅広い支持を得ることになるだろうと結論している。同文書は「キューバ政府は性急かつ無責任であり、西側の諸国にとってはただならぬ存在で、予想もつかないような脅威になるといった国際的なイメージを作り出すことによって、世界の世論や国連での公開討論は好意的な影響を受けるだろう」と述べている。
Photo-12: キューバ危機当時の米国政府内の機密文書
もっとも確かなことは、米国諜報当局によるこの計画は、米国とそのNATO加盟国が(メデイアを後ろに従えて)完全に同調した宣伝戦を実行していることから、2014年の今日においてさえも完全に当てはまると言える。この宣伝戦は野放図な憶測やウクライナ東部の反政府派をテロリストとして、ロシアを敵国として、ウラジミール・プーチン大統領を「悪魔の化身」とする誇張や興奮に支配されている。すべては米国と英国の読者や視聴者のためだ。
全世界は「真実が世の中を支配してくれますように」と祈るだけだ。
<引用終了>
米国政府は自国の利益のためには自作自演作戦において民間航空機を撃墜することに何らの躊躇をも示さない。米国はそういう国であることを忘れてはならない。半世紀前の米国のキューバとの敵対関係の中では、キューバ航空455便のDC8機に2個の爆発物が仕掛けられ、同機はカリブ海の上空で爆破された。この爆破で78人の乗員・乗客の全員が殺害された。この撃墜は1976年10月6日のことであった [注2]。
MH17便との相似性には驚くばかりである。
MH17便の墜落原因はまだ特定されてはいない。最終的な結論に到達するまでにはさまざまな攻防戦が公然と、あるいは、水面下で繰り広げられることだろう。問題は公的な結論が出たとしても、その結論が真実を捉えているのかどうかは別問題となるような状況もあり得る。9・11同時多発テロの例が記憶に新しい。
旅客機を撃墜するのも政治であり、その撃墜事故を誰が引き起こしたのかという真相を隠ぺいするのも政治である。核戦争を起し人類の絶滅を招くのか、それとも、核兵器を廃棄する方向に向かうのかも政治である。
政治を如何に監視するかが今ほど重要になった時代はないと言える。
参照:
注1: MH17 Verdict: Real Evidence Points to
US-Kiev Cover-up of Failed False Flag – MUST READ!!!:by Jean, 21st Century
Wire, Jul/26/2014
注2: Northwoods and MH-17: False Flags Fly alongside «Old Glory»: By Wayne
Madsen, Jul/24/2014, www.strategic-culture.org/.../northwoods-and-mh-17-false-fla...
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