少なくとも西側のメディアや一部の政治家が喧伝する最近の論調によれば、ロシアのウクライナへの侵攻は真近に迫っていた。
しかしながら、ウクライナのウオロディミル・ゼレンスキー大統領は1月28日に行われた外国からの記者団との大きな会見の場で西側の一部の政治家やメディアはウクライナの現状に関する発言で「いささかバランスを欠いている」と述べて、批判した。「今まで以上にエスカレーションしていることを、今日、誰もが目にしているわけではない。兵士の数は確かに増えてはいるが、2021年の始めに皆がロシア連邦の軍事演習について議論をした時にそのことについて私は話をした。」と述べたのである。ウクライナ大統領の批判はウクライナの市民が西側のメディアの扇動によってパニックに陥り、国内経済が沈滞することを懸念した発言であった。
それよりも3日前(1月25日)、ウクライナの国防大臣はこんな発言をしていた。「ロシアがウクライナへ侵攻するかも知れないという恐れは増してはいるものの、モスクワ政府が近い内に攻撃を開始するという兆候は何もない。」
EUの外交と国防を担当する最高責任者であるジョセフ・ボレルは、同じく1月25日、アントニー・ブリンケン米国務長官との会談の後に「間違いなく、侵攻なんてない。攻撃が迫っているとの懸念を増大するような新しい兆候は何もない」と述べた。
ペンタゴンの報道担当官であるジョン・カービーも、同日、記者会見で「ロシアは何かを仕出かすかも知れない。侵攻が真近に迫って来ればその兆候が現れる。しかし、われわれはまだその段階には至ってはいない。われわれはそういった兆候を見い出すべく細心の注意を払って観察を続けている」と述べた。
最近の数週間、ロシア軍がウクライナへ侵攻するとの報告がたくさんされていたが、フランス外相は、2月2日、「ロシアがウクライナに対して大規模な侵攻をする兆候に関してパリ政府は何も感知してはいない」と述べた。
また、1月29日、ドイツでは世論調査が行われ、回答者の約59%がウクライナへの武器の供給は拒否するとして、ドイツ政府の方針を支持した。ドイツは第二次世界大戦後の伝統的な政策として戦争当事国へは武器の輸出は行わない。今回のウクライナ危機においては他のNATO諸国がウクライナへ武器を供給する中、ドイツ政府は5000個のヘルメットを供給することにした。もちろん、このドイツの動きについてウクライナ側は不満タラタラである。誰かが「この次は枕を送って来るかも・・・」と揶揄した。
ロシア政府はウクライナへの侵攻の意図はないと繰り返して表明していた。
私の印象では、結局のところウクライナ危機は多分に西側のメディアが作り上げたもののようだ。ウクライナの市民は昨年の10月頃から西側のメディアに翻弄されっぱなしで、必要以上のストレスを強いられて来たのである。
そして、もうひとつ重要な点はNATOという巨大な組織では各国の国益は微妙に異なるのが現実だ。新型コロナで疲弊している国々が新たな負担を喜んで受け入れる余裕などあるのだろうか?
ここに、「西側の団結は崩壊か?」と題された最近の記事がある(注1)。
本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。
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副題:ロシアに関してはヨーロッパ各国がお互いにますます亀裂を深める中、西側の団結はもはや保証の限りではないようだ
ロシアが西側、米国およびその同盟国との不均衡な関係を改善しようとする中、米国とその同盟国はモスクワ政府が次に何をやろうとするのかを見守っている。表面的には、単純な妥協をしようとはしない姿が支配的だ。本質的には西側の一般的な路線が推し進められ、われわれは誰もが対話をする用意ができていると言いながらも、現実にはもっとも重要な事柄やモスクワ政府がもっとも望んでいるテーマについては対話をしようともしない。
これはNATOの拡大を止め、結果としてウクライナを中立国化するかも知れない(訳注:冒頭の「これ」は「西側の団結はもはや保証の限りではない」を指しているようだ)。
それに代わって、西側は東ヨーロッパへさらに多くの兵力を送り込み、キエフへは武器や「軍事顧問」を注入し、もしもロシアがウクライナへ侵攻するならばロシアを泥沼に引きずり込むための蜂起を支援するといった騒ぎを引き起こし、さらには、キエフ政府に対するクーデターを計画しているとし、ロシアに関する偽情報を流布している。しかしながら、これらの計画については彼の地では誰も知らないし、誰も真面目に受け止めようとはしない。
ところで、ウクライナのウオロディミール・ゼレンスキー大統領は「攻撃を起こす時が来た」と言って、彼には大きなエスカレーションを引き起こす用意があることを仄めかした。恐らく、これは2008年に当時のジョージア大統領であったミカイル・サーカシビリが採った自滅的なスタイルとそっくりだと言える。もちろん、当時との相違点は間違いなくある。キエフ政府との間では西側は当時のトウビリシ政府に対する関与よりもより遥かに深く関わっている。ジョージアの指導者は「尻尾が犬を振る」といった主客転倒した状況を引き起こし西側を対ロ戦争に引きずり込むことには、幸運にも、失敗したが、同じことを仕出かそうとするウクライナの試みは必ずしも排除することはできず、最悪の場合、彼らの試みは成功するかも知れないのだ。
どう見ても四つに組んで、ますますリスクが高まっているこの勢力争いにおいて、理論的には、西側は依然として戦争のための資源をより多く所有している。新冷戦の脅威を喧伝するレベルが徐々に高まっている中、もしも後押しがあるならば、全面的に動員を果たした場合、NATOはロシアに比してより多くの火力と奥行きのある経済を有することであろう。しかしながら、ロシア側には実際的に有利な点がみっつある。
第一に、ロシアは西側と同じようにすべての資源を統御しているわけではないが、ロシアが度し難い敵であることに変わりはない。ロシアが所有する核兵器は本質的に西側のそれに均衡している。両者は相手を徹底的に痛めつけることができるし、完全に破壊することもできる。だが、どちらも自分たちだけが生き残って、相手を追い詰めることができるという確信は持てないでいる。
その一方で、ロシアの通常兵力は十分に強力であって、西側の戦争計画者らがしばしば認めているように地域的に駆逐し、西側を脅かすであろう。もちろん、これらの警告のいくつかは一般大衆に特定の印象を与えるためのものだ。大事なことを言い忘れていたが、これらはより多くの国防予算を勝ち取るためのものでもある。とは言え、ロシア軍の復活という現実を過小評価することは愚かなことだ。
少なくとも、モスクワ政府は甚大な犠牲とコストを伴う戦争を引き起こす力を持っている。ロシアとの戦いはまったく非力な相手、たとえば、イラクやリビアに対して行われたような一方的な殺戮行為では終わらず、両者の気力と忠誠心を徹底的に試す戦いとなるであろう。どちらが優勢となるかは何とも言えない。しかし、ロシア軍兵士を過小評価することは今までのところいい考えではなかった。
要するに、もしもジョー・バイデン大統領が今までにはなかったような制裁をウラジミール・プーチン大統領に課すとすれば、プーチン大統領はバイデン大統領に対して今までの長い間に決して見たこともなかったような戦争をお返しするかも知れない。西側の現在の公式な(そして、賢い)立ち位置は、あの気違いじみた考えを手放すことはとてもできそうにはない強硬派の連中からの訴えがあるとは言え、ウクライナにおける直接的な軍事衝突は排除することにある。
第二に、モスクワ政府にとっては地理的条件は自分たちの側に有利だ。つまり、西側にとっては戦争資源のすべてを実際にウクライナや東欧の国々へ持ってくることはクレムリンがそうする場合に比べてより困難となる。この点も西側の専門家の間では認められている点だ。
三番目のロシア側の利点は政治的および心理的な側面である。ロシアにはCSTO (集団安全保障条約機構)同盟があり、モスクワ政府はベラルーシを支え、中国からの支援がますます明白になって来ているにも関わらず、ロシアは広大な国家であり、潜在的には同盟に漕ぎ着けようが、依然として一国でしかない。しかしながら、それは西側と同じように団結を心配する必要はないことを意味する。そして、団結は西側にとっては仮想上の問題ではないことが判明しているのである。事実、それはすでに実質的な課題として露呈しており、最近の出来事が証明しているように潜在的なアキレス腱となっている。ロシアとの紛争がエスカレートした場合、西側の団結が強化されるのか、それとも弱体化するのかについてはどちらとも断定できず、未解決のままなのである。
この脆弱さは明らかであって、このことを心配することは今やごく普通のことである。こうして、少なくとも三人の著名な西側の指導者が最近西側の団結を危険に曝したとして批判されている。フランスのエマヌエル・マクロン大統領とドイツのオラフ・ショルツ首相、さらには、米国のジョー・バイデン大統領である。それに加えて、ドイツ海軍の長は西側の団結を脅かしたとしてその地位を更迭された。
数多くの出来事が西側の権力構造のトップにまで到達している。これらは偶然に起こったのだとして無視することはできない。そこには、明らかに、あるパターンが存在し、それは奥深くにある課題を指さしているのだ。
たとえば、ドイツは「やる気が十分にあるのか」と非難されている。政治的には保守派でネオコンを代表するウオールストリートジャーナル紙はベルリン政府はもはや信頼できるパートナーではないと主張している。と同時に、ドイツ政府は立脚点を譲歩しながらも米国政府の要求を巧妙に逃れ、明らかにワシントン政府のロシアとの対峙に向けた動きを和平に向けて方向転換をさせようとして、複雑なゲームを押し進めている。こうして、ドイツ首相は米大統領の要求を退けたが、ノルドストリーム2パイプラインに関する立ち位置を修正した。ショルツは事実上このプロジェクトを純粋に商業的なものであるとして擁護してきたものではあるが、もしロシアがウクライナへ大規模な侵攻をした場合は同プロジェクトは止めることが出来ることを、今や、はっきりと示唆している。
しかし、ドイツの政治は政府だけで成り立っているわけではない。事実、連邦制を敷いていることからも、そのサイズにしてはドイツは非常に広範にわたるパワーセンターやプレイヤーを抱えている。経済のことはすべてを扱う新聞のトップであるハンデルスブラット紙は、最近、ロシアに対する強硬路線に抵抗する政治家に関して敵意に満ちた纏めを掲載した。
しかしながら、一方に偏っている点を無視さえすれば、この記事はロシアと対峙することについて幸福だとは思わないドイツ人エリートが如何にたくさん居るのかを教えてくれる。ドイツの保守派の大物のひとりでババリアの指導者でもあるマルクス・ジュ―ダーは、著名なフランクフルター・アルゲマイネ・ツアイトウング紙とのインタビューを付け加えて考えると、「東方政策」についてもっと融和的な要求をすることに関しては政党間の垣根を容易に飛び越えて行けることが明白に分かる。
そして、ドイツと共にある(あるいは、場合によってはドイツに対抗する)のはEUで第二の指導力を発揮するフランスだ。フランスでも、NATOの「神聖なる同盟」を容易に達成するには物事が余りにも複雑過ぎるのだ。ひとつには、大統領選挙が近づいており、この大統領選は厳しい戦いとなりそうである。候補者は誰もがロシアとの関係について自分自身の立ち位置を明確にしなければならない。現職大統領であるエマヌエル・マクロンはすでに欧州議会やあらゆる場所で行った演説で自分の立場を明確にした。実際には強硬路線を貫きながらも、ヨーロッパは自立しなければならないという彼の穏健で妥当な呼びかけはすでに「断絶しようとする連中」からの厳しい批判を浴びている。その一方、民衆を扇動する極右のエリック・ゼムアーはドゴール的なマクロンを止めて、自分自身のために融和的なアプローチを主張しようとしている。事実、これは他のすべての候補者たちにも圧力を与えることになりそうだ。
最終的には、西側の指導者である米国はどうなのかだ。米国でも、選挙にまつわる政治がますます大きな役割を演じるようになっている。バイデン政権では誰もがロシアとの紛争を悪化させることによって最悪の政府支持率から脱することができると考えているならば、彼らは自分たちがいったい何を望んでいるのかに関して非常に慎重になるべきだ。フォックスニュースのタッカー・カールソン・シヨウが介入したように、エスカレーションへの動きについて批判することが、今や、人気を博している。これは驚きである。
前大統領、そして、多分、次期大統領にもなりそうなドナルド・トランプは「ロシアゲート」は作り話であったと正確に主張することができることを付け加えておこう。あなた方にとっては彼の立場は(1)ロシアに抱えられているわけではなく、(2)現政権に就いている戦争推進派の連中に比べて急進的な傾向は弱く、より以上に現実的であると判断することは実に完璧な出発点であろう。はたしてこれは公平かい?そうとも言えない。では、効果的であろうか?多分ね。
このような事例は増え続けるかも知れないが、西側の団結は少なくとも本物と同じくらいに切望されていることは明らかだと思われる。軍事的にせよ、経済的にせよ、西側の団結を大規模な対ロ戦争のストレスに曝すようなリスクは完全に避けることが賢明だ。ロシアとの抗争が更に先へ進むならば西側の団結にはいったい何が起こるのかについて事前に知ることは不可能である。その一方、この不確実性はふたつの展開の可能性を持っていると言う見方をする方がより安全だ。
西側の団結を妄信するような馬鹿げた振る舞いは誰もするべきではない。ロシアとの深刻な衝突は団結を打ち砕くかもしれないし、そういった事態は特に西側における強硬路線派にとっては注意深く吟味しなければならないリスクであり、潜在的なコストでもある。西側の団結は事実であるよりもむしろ口先の話だけであったことからも、これは強硬な政策を実行するには弱い立場となろう。要するに、パラドックスが出現する。もしもあなたがロシアに対抗することに熱心であるならば、多分、あなたはそのような役割を過度に演じることはしないで、ロシアに対する抗争はやり過ぎることなく、控えめに留めるべきであろう。
著者のプロフィール:タリク・シリル・アマルはドイツ人の歴史家であって、イスタンブールのコチ大学にてロシア、ウクライナ、東欧、第二次世界大戦後の歴史、文化面での冷戦、記憶政策、等を研究。彼のツイッター:@tarikcyrilamar。
注:この記事に述べらている主張や見解および意見は全面的に著者のものであって、必ずしもRTの見解や意見を代表するものではありません。
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これで全文の仮訳が終了した。
西側の好戦派はロシアとの戦争は間違いなく西側が勝つと言う前提で、ああだ、こうだと喋っているようである。ところが、少なからずの軍事専門家たちはNATO軍はロシア軍によって壊滅されるだろうと予想している。
まず第一に、西側の軍事専門家はロシアが極超音速ミサイルを開発したこと、さらには、それを実戦配備したという最近の動きをどのように受け止めているのであろうか。当ブログでは、2021年10月2日に「ロシアのミサイル技術が何百億ドルもする米空母を時代遅れにした」という記事を掲載した。西側にはあの内容を否定できる軍事技術的な背景が何処かにあるのだろうか。ロシアの極超音速ミサイルを迎撃することができる何らかの秘密兵器がはたして存在するのであろうか?そんなものは何もないと言うのであれば、西側の勝算は悲観的なものとなりそうだ。
ただ、悲観的な状況が西側で永遠に続くわけではない。やがては、米国は極超音速ミサイルの開発に成功するだろう。だが、その頃にはロシア側は次世代の兵器へと移行している。こうして、軍拡競争は継続する。
こういった状況をあれこれと考えると、最近の米ロ間の対話の内容はどうしてこうも実りの無いもので終わってしまうのか、私にはまったく理解できない。ロシアは「NATOはウクライナをメンバーとして認めるな」、「ロシア国境にはロシアを攻撃するためのミサイルを配備するな」との要求を出した。ジュネーブで最近行われた米ロ会談で米国はロシア側の要求を認めようとはしなかった。
最近、プーチン大統領は中国の習近平主席と会談した。中国・ロシア間の連携が再確認され、今まで以上に強化された模様である。米国主導のNATOに勝算があるとするならば、米国ははたしてどのようなカードを隠し持っているのであろうか?米国の政治家からは時々提案が成されるけれども、核による先制攻撃はすでに現実的な選択肢ではないと皆が思っているのではないか。核兵器が関与すると、どう見ても、最終的には相互に壊滅してしまうだろうからだ。
そして、本日(2月7日)、戦争をでっち上げようとするメディアの姿を伝える素晴らしいブログを目にした。それを見て、世界中でもっとも覚めた目でウクライナ紛争を観察しているのはMoon
of Alabamaというブログの著者ではないだろうかと私は思った。2月7日の表題は「ロシア軍が兵力を増強 ― オオカミが出たという叫びは過去8年間も続いている」と題されている。その冒頭には2014年5月2日にワシントンポストが掲載したロシア軍の侵攻を予測する地図が転載され、それ以降2022年1月27日までにNYTやBBCを含むメディアが掲載した記事の表題が10個ほど並べられている。つまり、大手メディアのオオカミ少年振りを雄弁に総括しているのである。
参照:
注1:Is Western unity breaking apart?: By Tarik
Cyril Amar, RT, Feb/02/2022
「大手メディアのオオカミ少年振り」と言えば、政治に限らず、今回の変な風邪騒ぎも同様かもしれません。もっと見ていけば、医学も科学の世界も同じことが繰り返されているように感じます。嘘を繰り返し刷り込んで信じ込ませるという手法です。そこには社会的にも個人的、心理的にも問題を生む価値観が巧妙に刷り込まれているように感じます。
返信削除Kiyoさま
削除コメントをお寄せいただき有難うございます。
まったく同感です。こういった政治状況の背後には政策を操るエリートがいます。彼らが全体の流れや方向性を演出していると言われています。そういったエリート集団のひとつがダボス会議を運営している非営利団体の世界経済フォーラムであると。ここに集まる世界中のリーダーたちはダボス会議で討議された政策を各国へ持ち帰って、自分の国で宿題を実行する。これが世界を牛耳るメカニズムのようですね。
今回の新型コロナの大流行では世界のエリートたちは何を学んだのだろうか?
個人的に思うのはこうだ。一般大衆は恐怖に曝されると実に簡単に、まさに羊の群れのようにひとつの方向になびいてしまうと言われているが、今回改めてそれが実証された。都市閉鎖は死者数を減らす効果が0.2%しかないと最近ある大学教授が発表したが、2020年の始め、都市閉鎖については誰もが政府や識者が喧伝する理由(英国の著名な疫学者は何百万人もの死者を出さないためには是非とも必要だと提言した)を盲目的に信じ込んでしまった。そして、あれから2年間、エリートたちは自分たちの筋書きに都合が悪い意見をする学者やジャーナリストを排除し、発言を封じてしまった。言論の自由や民主主義のリーダーとして自他ともに認められてきた米国では前大統領さえもがツイッターのアカウントを停止されてしまった。こういったことは国の政府がやるのではなく、民間企業がその下請け業務を(ダボス会議の宿題として)遂行したのである。実に巧妙なやり方であった。世界のエリートたちはこの実態を観察して、彼らが実行した手法は成功であったと認めているに違いない。
今回のコロナ禍ではワクチンパスポートを世界中に普及させるには至らなかったけれども、彼らが主張する諸々の課題の中で最優先とされる世界の人口問題ならびに食糧問題を解決するためには世界中の住民の一人一人を監視下に置くことが是非とも必要だと改めて実感したのではないだろうか。あくまでも個人的な見方ですが、次回(たとえば、地球の温暖化問題)はもっともっと巧妙な手法を打ち出してくるのではないでしょうか。
2022年1月27日,アラステア・クルック氏が『アメリカの武装「歩哨国家」による包囲(翻訳は『マスコミに載らない海外記事」で読むことができる)』(Strategic Culture Foundation)で,アメリカ財務省と国務省がブリンケン国務省長官に警告を発したと書いております。この件に関してどのマスコミも注意を払っていないようですが,前代未聞のような気がしてなりません。理由は「ブリンケン長官らの包囲網がヨ-ロッパの景気を悪くするばかりでなく,アメリカ国内の経済にも悪影響を与える」からだそうです。
返信削除中国包囲網やロシア囲い込み政策に関してRT.comの記事だったと記憶していますが,国務省のブリンケンとサリヴァン両氏の政策が欧米や世界の経済を追い詰めたのでバイデン政権はこの両名を左遷するのではないのか,との観測を流しました。この記事を読んで思い出したのが文芸評論家加藤周一の「アメリカは選手交代の社会,日本は聡明で,滑らかな変身型の社会」という説です。
もしこの仮説が正しいとすると,バイデン政権は国務省のブリンケン・サリヴァン氏を解任し,別の人物と入れ替えるはずです。つまり中ロ包囲網を解き,緊張緩和に向けた政策をとる国務省役人と入れ替えるという事になるでしょうか。バイデン大統領は,いろいろ発言をしていますが,「ウクライナからアメリカ人の避難」を昨日に発表しています。すでにアメリカ大使館員は退避していますので変な話ですが,これでもかと戦争の到来が近いことを意味する文言を発しています。北京冬季五輪が終わるのが今月20日でパラリンピックが終わるのが3月末ですがとりあえず2月21日以降に戦いが激しくなると戦争を煽る記事がたくさん出回っています。その煽りを静めるべく選手の交代が行われるのかどうか,これが今後の見どころだと小生はみています。
Unknownさま
削除コメントをお寄せいただき、有難うございます。興味深い内容ですね。
2月21日という具体的な日付が挙げられていますよね。2月中であればウクライナの広大な土地がまだ凍っているので、戦車が展開するには好都合であるといった指摘もあります。多くの憶測があるようですが、ロシア政府の真意がいったい何処にあるのかが決定的な要素だと思います。西側の論調に対してロシア政府はウクライナへの侵攻は行わないと繰り返して反論しています。プーチンやラブロフの言動を見ると、すべてを外交努力で解決することが最優先であるように見受けられます。少なくとも、私はそうなることを期待しています。
米国のドミトリ・オルロフに言わせると、米国は今やその力を失い始めており、国際社会ではやがて普通の国のひとつになるだろう、そして、その崩壊の過程は旧ソ連の崩壊以上に厳しいものとなるのではないかと警告しています。米軍はその典型的な例であって、勝ち目がない相手には手を出さない。さまざまな作戦を行い、「しまった!」の繰り返しであった。今まで手を出した相手国の中で米軍がうまく作戦を終えて、勝利したのはカリブ海の小さな島国であるグラナダに侵攻した時だけであったと揶揄し、彼は皮肉たっぷりに現状を解説しています。
人材の交代は米政府にとっては容易い作業なのではないでしょうか。指名された人物が実際の業務に就くと、個人の資質がどうしても公の目に曝され、メディアによって報じられる。2回、3回と失敗をすると、後継者との引継ぎが行われる。政府としては次の選挙を考えなければならないからだ。これが繰り返される。そういった状況が国際政治の舞台でも起こっているのではないかと思います。われわれ一般大衆には報じられない裏の世界では好戦派と和平派との戦いがあり、単独覇権派と多極覇権派との綱引きもあって、米政府の政策や行動は頻繁に右に動いたり左に動いたりするという。これらふたつの陣営間の戦いは世界の現状(経済、政治、軍事、等)を正確に捉えている側と現状には目もくれず古い思考にこだわっている側との戦いであると言った方がより正確かも知れませんね。
発言を封じるというのは昔からありましたが、今は一網打尽でやっちゃおうという感じですね。嘘のグローバリズム的意図的展開です。次のことも予定されているのでしょうが、気付く人も増えていますね。おかしいと思っている人は潜在的にかなりいると思います。ここに何が火をつけるのか? 昔だったら支配者側の扇動で一直線に戦争だったでしょう。いま、ウクライナで焚きつけてます。ですが、喜劇になるような気がしています。
返信削除Kiyoさま
削除コメントをお寄せいただき、有難うございます。「嘘のグローバリズム的意図的展開」という言葉はまさにそのものズバリですね。この状況は長い歴史を持っているように私も感じています。
メディアや政治家が何かを主張すればするほどに、その主張の裏を読み解いてみたいという衝動に駆られます。そして、最終的に到達する答えは、多くの場合「またもや裏切られた」という感覚に襲われる。マレーシア航空MH17便撃墜事件、シリア政府による化学兵器の使用という反政府軍の主張と自作自演、英国におけるスクリッパル父娘毒殺未遂事件、2年前の米大統領選における選挙不正とロシア疑惑、新型コロナ、2014年以降続いているウクライナの内戦、等。どれを取り上げても、特定のグループや国家による偽旗作戦であったことが容易に判断できます。ところが、西側の一般大衆の多くは政府の発表や大手メディアの解説が正しいと思い込んでいる。そこから一歩も外へ出ては来ない。
ウクライナの現職大統領は元々が優秀なコメディアンであったことから、観衆の反応を読み取る才能に長けていると言われています。当初は平和を勝ち取ると主張して大統領選で圧倒的な勝利を手にしたものの、当選後短期間の内に好戦派に転向してしまった。これはウクライナ国内の好戦派やネオナチスに脅迫されているからではないのかといった憶測を呼んでいます。真相は私には分かりませんが、もう一度世論を読み解くことに正直に、そして、政治生命をかけて専念しさえすれば、ウクライナにとってはロシアとの戦争はあり得ないと思います。
さて、この2月どう展開するのでしょうか?コメディアンの本領を存分に発揮するでしょうか?
И.Симомураです.読みながら理解が進む翻訳に感謝申し上げます.NATOの置かれた今の状況は,ナポレオンの大陸軍のように,プーチン大統領とショイグ国防相ーとゲラシーモフ参謀総長の三人組が構築した壮大な戦略によって,誘き出されたものなのではないでしょうか.解体は起こると思います.戦争嫌いでロシア好きのイタリヤが先鞭をつけると,ハンガリーとルーマニアが続くのではありませんか.最後まで主人に忠実なのは,吾が第二の祖国波国かな.ラトビア,エストニア,そしてリトワはもうすでにダメージコントロールを考えていることでしょう.
返信削除シモムラさま
削除コメントをお寄せいただき、有難うございます。私も、NATOはいよいよ崩壊するように思えてなりません。ただ、どういう風に展開するのかはさまざまな可能性があるような気がします。誰の目にも一番はっきりとする展開はロシア軍と戦って、NATO軍が惨敗するシナリオですが、これはもっとも犠牲が多くなるシナリオですので、起こって欲しくはないです。もうひとつは米国の国内情勢が急変して、対ロ戦争どころではなくなるケース。今年の中間選挙や2024年の大統領選で民主党が惨敗、あるいは、米ドルの崩壊といった状況。しかしながら、国内の問題から選挙民の関心を逸らせるために対外戦争を引き起こす政治家は必ず出て来ます。
さて、どう展開するのでしょうかね。