2020年4月2日木曜日

本当に病んでいると言えるのは中国ではなく、西側である

新型コロナウィルスの大流行に関してある著者が次のように書いて、一般大衆の無関心を嘆いている。正直に言って、私自身もかっては技術分野一辺倒でしか周囲を眺めないという典型的なノンポリ族の一人であったことから、この著者が言わんとすることは個人的なレベルでの議論としてもよく理解できる。その著者の嘆きの一部分をここに抜粋してみよう。

今日の社会における非常に深刻な問題は著しく多くの人たちが自分の身の回りの政治世界に関して何も分かってはいないという点にある。彼らは自分たちが後押ししようとしている主張の多くが実はトランプ政権や極右派のプロパガンダの主眼点であるという事実についてさえも理解してはいない。この文脈に沿って世間を眺めてみると、ソーシャルメディアは覇権を維持するための道具として世論を操作し、間違った理解を植え付けるという役割に関して言えばまさに大成功だ。私が何とか接触しようと試みてきた身内の連中や周囲の人たちについて言えば、彼らは科学の分野の専門家が提言する警告を拒み、広がるばかりの新型コロナウィルスの感染については最新の情報を軽蔑の念をもって眺める。どうしてそんな態度をとるのかと言うと、これらの情報源が伝える内容は自分たちのフェースブック上の友人たちが言っている点から大きく逸れているからだ。これは ソーシャルメディアによって形成されるエコーチャンバー現象やバブルがもたらした結果だ。(出典:Misinformation and the Coronavirus: On the Dangers of Depoliticization and Social Media: By Anthony DiMaggio, Countepunch, Mar/27/2020

私に言わせると、エコーチャンバー現象はフェースブックとかツイッターといった交流サイトだけで起こるとは言えない。たとえば、何の成果も挙げることができなかった米国の政界における「ロシアゲート」がその大騒ぎの頂点にあった頃、西側の主要メディアは共通のシナリオに沿ってあれこれと偽情報を流し、ロシア指導部の信用を失墜させることに余念がなかった。その頃、旧ソ連ならびに現代ロシアの歴史や政治に造詣が深く、その分野では米国の知性を代表する研究者として知られているスティーブン・コーエン教授の見解や意見が主流メディアによって取り上げられることはまったく稀であった。米国の知性として見なされ、リベラル派の先頭に立ち、米国の歴史を記録するとさえ言われている老舗の日刊紙は非常に狭量な編集姿勢を取り、大騒ぎの中心的な役割を担った。しかしながら、そのことがごく当たり前のこととして受け止められていたことは私にとっては大きな驚きであった。米国の知性はどこへ行ってしまったのであろうか。まさに、これは主流メディアにおける典型的なエコーチャンバー現象である。

日本の社会に目を向けると、NHKのニュースを視聴し朝日新聞を読んでいるだけでいいのか、それでことは足りるのかという話になる。小生のブログを長い間読んでいただいている読者の皆さんはすでにその答えを知っている。少なくとも、どこを切っても同じ顔が現れる金太郎飴とは違って、同一の政治的出来事に関してまったく異なる見解や意見が存在し、時には代替メディアを通じてそれまで気が付かなった事実を初めて目にするといった経験をしておられるのではないか・・・と思う。少なくとも、私自身はそんな感じでこの10年間を過ごしてきた。

ここに「本当に病んでいると言えるのは中国ではなく、西側である」と題された記事がある(注1)。最初にご紹介した著者の議論は個人のレベルでの議論であるが、この引用記事の論点は集団、国家、さらには国家集団のレベルへと移って行き、国際政治の舞台に至る。この引用記事の著者はお馴染みの論客、アンドレ・ヴルチェクである。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。

<引用開始>

これはそれ程前のことではないが、ウールストリートジャーナル紙が中国を軽蔑して、中国のことを「アジアの重病人」と評した。中国はこれに反論した。米国紙もさらに応酬した。感情論が激高して、中国駐在の米ジャーナリストはついに国外への追放処分を食らった。

突然、中国の高官が中国やロシアの数多くの人たちがそれまで何週間にもわたってひそひそ話をしてきた内容を公に喋った。何と、中国に打撃を与えることによって世界を取り返し、西側のコントロール下に置こうとして、新型コロナウィルス(COVID-19)を複雑な経路を経て武漢に持ち込んだのは、多分、米国の軍部だと言ったのである。

全世界は、突如、居心地の悪い気分に襲われた。明らかに、世界が統治されている様は著しく屈折している。人々には多くの場合その理由は分からず、ただ単に脅威を感じ取り、刺々しい不安を覚える。事実、人々は過去数十年間いつもそう感じてきたのであるが、今回の出来事はあまりにも「過剰」であった。

世界の国々はお互いに信用し合っているわけではない。人々はお互いを信用しているわけでもない。人々は自分たちの政府を信用してはいない。 資本主義は軽蔑されている。しかし、国民はそれに代わるものをはく奪されてしまっている。

私は世界中で仕事をし、このことをつぶさに観察してきた。しかしながら、私が目にした物事は決して好きにはなれなかった。

ワシントン政府とロンドン政府とが仕組んだ今回の出来事については以前にも増して恐怖感を覚える。いい結末に終わることはないだろう。まさに、悲劇が待ち構えているような感じがする。

***

帝国主義は毎年のように何百万人もの人々を殺害しているとして私は何年間にもわたって警告を発してきた。圧倒的に多くの出来事が西側の帝国主義によってもたらされたが、ある地域においては、その帝国主義から派生し、以前の植民地主義者の主から征服地の住民を如何に苦しめるかを学び取ったその国の一部のエリートたちは同じことを仕出かした。たとえば、ジャカルタやニューデリー、テルアビブだ。

大量虐殺や現代的な奴隷制度は現代社会のもっとも卑劣な側面である。もちろん、それだけではないが、もっとも卑劣だ。

私は、最近、このオンライン誌(NEO)にこんなに酷く分断された世界は見たことがないと書いたばかりだ。

旅行、インターネット、ソーシャルメディア - これらはすべてが世界中の社会を改善し、人々をお互いに近づけるためのものであると思われてきた。しかし、そういう結果はもたらされなかった。私の身の周りでは誤解と大嘘に満ちた情報をたくさん目にする。多くの人たちが旅に出るが、何も見ず、何も理解しない。かってテレビの画面を眺めていたように、彼らは、毎日、何時間もコンピュータの画面を見つめているが、世界がどのように機能しているのかに関しては何のきっかけも見い出さない。

かっては、人々は何らかの忠告を得るためにわれわれ哲学者のところへやってきたものだ。われわれはそれに応じた。しかし、今や、誰もそんなことはしない。ここで、哲学そのものに注目してみよう。哲学は政府によって無味乾燥な、管理がよく行き届いた大学の学科のひとつに成り下がってしまった。かっては、哲学者であるということは思索者であることと同義語であった。今や、痛ましいほどにも、哲学者とは大学の哲学科の学位を持った一個人を指すに過ぎず、その学位は指導者層の一部を構成する教授陣によって発行される。

とにかく、今はほとんどの人たちは、少なくとも西側の世界においては彼も彼女も誰でもが自分は哲学者だと思い込んでおり、自分の考えに没頭し、ソーシャルメディアに投稿し、セルフィーを使い、残酷なまでにむき出しのままのエゴを見せびらかしている。

何かがどこかで狂ってしまった。ほとんどすべてが狂ってしまった。人間性は甚大な危険にさらされている。何故だろうか? どうしてかと言うと、人間は自分自身を理解しないからだ。人々の夢は低級で、哀れなほどに不完全で、悲しい野心に代わってしまった。 人々が何世紀にもわたって培ってきた高遠な理想は西側の虚無主義的な物語によって取るに足りない存在へと変わった。

***

そして、われわれは今新型コロナウィルスの大流行に見舞われている。

コロナウィルスについてはくれぐれも過小評価をしないで欲しい!致死率は通常のインフルエンザとほぼ同等かも知れないが、インフルエンザよりも遥かに危険である。その危険性は医学上のものではない。むしろ、心理的な面で、さらには、哲学的な面でも非常に危険なのである。

コロナウィルスは予告もなしにやってきて、われわれが住む世界にはもはや統合性も同志意識もないことをあからさまに見せつけてくれたのだ。

各国はひどく乱暴な仕方でコロナウィルスとの闘いを開始し、対抗しようとしている。まさに、恐ろしい程だ。すべてがハリウッドで制作される悪質で二流の恐怖映画のように見える。

政府はむきになってお互いを非難し合う。航空会社は嘘をつき、顧客を守ろうとしていると言いながら顧客を奪い合う。

大韓航空は中国行きの便を出し抜けにキャンセルし、行き場を失った旅客にルートの変更を提示することは何もしてくれなかった。私は最近香港から何とか「脱出」することに成功した。私は南米の自宅へ帰り着くまでに5日間もかけることになった。幾つかのアジアの国々を経由し、言いようもないような不可思議なルートを通ることになった。北へ向かい、南へ向かい、再度北へ向かって、アムステルダムとスリナムを経由し、ブラジルではジグザグに幾つもの都市を通って、ようやくチリへ帰ってきた。ソウルはそもそも旅程には入っていなかったのだが、奇妙なことにある時点で私はソウルへ到着した。私の皮膚の色に絡んでいるようだが、よく知られている韓国特有の人種差別を体験することになった。アムステルダムに向けて出発するゲートでは偽造通貨の行使を疑う尋問を受け、頭に来るほどの屈辱を感じた。ソウルに比べると、北朝鮮は間違いなく旅客の尊厳や自尊心により多くの気配りをしてくれる。

このことについては、近い将来、別の場所でもっと詳しく書きたいと思う。そもそも、この課題はこの書き物の主要なテーマではない。

基本的に重要な点は論理が欠如していることだ。もしも理性が人間性や人類の営みにおける進歩と同義語であるとするならば、多くの国の振る舞いはきわめて非理性的なものとなっている。今や、物事は他人を制御し、他人の権利を侵害し、略奪し、屈辱を与えたいとする欲求の観点からだけ意味を成しているかのようだ。

コロナウィルスはどうか?

世界中の何十億人もの命を代償にしてまでも、米国は治療法を占有し、自国の経済と通貨を救うために現状につけ込もうとしているのだろうか?

2020315日に、サン紙は次のように報じた: 
「ドナルド・トランプの側近がコロナウィルスに対するワクチンを米国人のためだけに確保しようとしてドイツの企業に膨大な金額を支払うことを提示した。」 

その翌日、2020316日、メール・オンラインはこの話をさらに増幅した: 
「安全性試験の最中にあるコロナウィルス用ワクチンを米国人のために獲得するためにトランプはドイツのバイオ企業、キュアーヴァックを買収しようとしているが、ドイツの高官はこれを中断させようとしている。」 

ドナルド・トランプ大統領はキュアーヴァックを米国へおびき出すための資金を提示した。ドイツ紙ウェルトの日曜版が報じた内容によると、ドイツ政府はこの企業がドイツ国内にとどまるように対案を示した。

ドイツ政府の匿名の高官は同紙に対してトランプが科学者らの仕事を独占的に確保しようとしており、ワクチンを米国のために、つまり、「米国だけが使える」ようにしようとしていると述べた。

帝国の振る舞いはコロナウィルスそのものよりも人々を遥かに苛酷に病ませてしまう。しかも、いとも簡単にだ。

***

米国は他国を占領し、敵に回し、さらには、その国の人々が自分たちを防護しようとすると、彼らを罰しさえする。イスラエルもそれとまったく同じことをする。インドネシアもインドもそうする。NATOもブロックとしてそうする。トルコはすっかりのめり込んでしまった。イランやベネズエラおよび他の国々は何の理由もないのに経済制裁や禁輸措置によって残忍に扱われ、悲鳴をあげている。ロシアは恒常的に悪名を着せられているものの、中東やアフリカおよび南米の傷ついた国々に対して支援の手を差し伸べている。

私はこのような事態を観察しいつも思うことがある。この種の状況はいったいどこまで続くのであろうか?この種の山賊行為や愚かさは今後もさらに続いて、ごく普通のことだとして永遠に受け入れられてしまうのだろうか?

話をコロナウィルスへ戻そう。すべてが上記に述べたことと繋がっている。ね、そうだろう?何億人もの人たちが今や自分の権利や意思を剥ぎ取られ、追い立てられ、完全なコントロール下に置かれ、ごく普通のインフルエンザと同レベルの致死率を持った感染症によってすべてが正当化されてもいいのか?犠牲者は今や犯罪者のように扱われていることに皆さんはお気づきだろうか?これは2030年前には想像することさえもできなかったことだ。

中国は米国によって感染させられた。あるいは、そうではないかも知れない。しかし、中国はずっと続けて蔑視され、孤立化させられ、汚名を着せられている。西側の反中国路線のプロパガンダ・マシーンがコロナウィルスの大流行のほぼ最初の時点から介入してきた。何と醜くく、何と悪魔的な行動であろうか!

西側のプロパガンダの専門家たちは注意を怠らず、待機し、世界を監視している。一滴の血が流され、一片の肉塊が剥き出しになると、彼らはピラニアのように稲妻のようなスピードで攻撃してくる。

災難に見舞われるやいなや、彼らは敵の弱みにつけ込む。彼らは殺害に没頭する。彼らの振る舞いには人間性のかけらさえも見当たらない。それはまさに犠牲者に対する計算通りの攻撃であって、その動きは外科用メスのように一分の隙もない、殺しのための確実な動きである。まさに、もっとも恐ろしいやり方だ。

中国は完全に真逆のやり方で反応した。イタリアが感染に見舞われた時、中国人医師らが支援の手を差し伸べた。彼らは医薬品や機材を携えてイタリアへ飛んできた。

中国だけではない。災害に見舞われ、当事国への飛行や支援が受理されると、キューバの医師や救難部隊が決まったように派遣される。

べネズエラもそうだ。相手がたまたま彼らを虐めるガキ大将の最たる国家、米国の市民であったとしても、ベネズエラは困窮者に対しては安い燃料を供給する。

そして、ロシアだ。それがどのような政体にあったとしても、たとえば、最大級の国家であった旧ソ連邦の時代、あるいは、ロシア連邦になってからであろうとも、ロシアは何十ヵ国にも及ぶ破壊された国家を支援してきた。病人を治療し、学生を教育し、インフラを整備し、その国の言語による書籍や音楽を通じて文化を広めてきた。

ロシアは多くを喋らない。しかし、ロシアは行動し、実行し、支援をする。中国やキューバ、その他の国々も同様である。

***

私は世界が連携する姿を見たいと思っている。人間性が美しいプロジェクトに取り掛かるのを是非とも経験したいのだ。地球環境を改善し、平等なシステムを皆で一緒に模索し、困窮のない、不治の病が一掃された社会、悪行のない世界を。

しかしながら、私は決してナイーブではない。西側とその極端な資本主義や帝国主義が世界に対して行っている諸々の行為が私にははっきりと見える。

そして、古典的な主義だけが人々の心の中に共感や同志意識を呼び起こすことができるのだと私は確信する。ワシントンやロンドンのプロパガンダの専門家たちはまったく逆のことを言うであろう。つまり、共産主義や社会主義は死んだ、少なくとも、完全に時代遅れになってしまったと嘘吹くであろう。彼らを信用しないで欲しい。彼らの目標はわれわれの地球環境を改善することとは何の関係もないということは皆さんもご承知の通りだ。彼らが何を言おうとも、その逆を信じて貰いたい。

今、われわれ人類は病に冒されている。重病人になっている。それはコロナウィルスそのもののせいではなく、コロナウィルスに対する対応策のせいだ。

中国は決してアジアの重病人なんかではない。それがどのようにして勃発したのかとは無関係に、中国では感染の大流行が起こったが、中国は立ち上がり、偉大な決意と勇気をもって闘い、この感染症を撲滅し始めた。

中国の医師や住民は今祝福をしている。彼らは今最高の気分に浸っている。彼らは勝利の途上にある。コロナウィルス感染者の専用に供された最初の病院は今や武漢で閉鎖されている。彼らのシステムは人々のために構築され、明らかに勝利した。

ほとんど同時に、中国は他の国々に対する支援を開始した。

実際に、中国と中国の人たちは人類が振る舞うべき当然の姿を振る舞っている。もしも、それを「重病人」のようだと形容するならば、「健康」とはいったい何を指すのだろうか?

著者のプロフィール:アンドレ・ヴルチェクは哲学者、小説家、映画製作者、調査報道ジャーナリスト、等を兼務する。彼は Vltchek’s World in Word and Images」を立ち上げ、「China’s Belt and Road Initiative: Connecting Countries Saving Millions of Lives」を含めて何冊もの書籍を執筆している。現在は特にオンラインマガジンのNew Eastern Outlook」のために執筆。

<引用終了>

これで全文の仮訳は終了した。

アンドレ・ヴルチェクの思索者としての物の見方は次のような言葉に集約されていると思うのだが、どうだろうか?

「基本的に重要な点は論理が欠如していることだ。もしも理性が人間性や人類の営みにおける進歩と同義語であるとするならば、多くの国の振る舞いはきわめて非理性的なものとなっている。今や、物事は他人を制御し、他人の権利を侵害し、略奪し、屈辱を与えたいとする欲求の観点からだけ意味を成しているかのようだ。」

「帝国の振る舞いはコロナウィルスそのものよりも人々を遥かに苛酷に病ませてしまう。しかも、いとも簡単にだ。」

「実際に、中国と中国の人たちは人類が振る舞うべき当然の姿を振る舞っている。もしも、それを重病人のようだと形容するならば、健康とはいったい何を指すのだろうか?」

これらの著者の言葉は実に鋭く、問題のすべてを言い表しているように思う。この辺りがアンドレ・ヴルチェクの魅力の本質ではないだろうか。

参照:

1It is Not China, but the Western World that should be Defined as the “Real Sick Man”: By Andre Vltchek, NEO, Mar/24/2020








5 件のコメント:

  1. 登録読者のИсао Симомураです.ロシア人の友人より,4月4日より国際線全便が運航停止となるので,4月3日成田直行便で帰国するよう強く勧告され,同便で帰りました.ロシアにはほぼ一月居りましたので,二週間の自主隔離は不要とのことで,その日のうちに宿に入ることができました.しかし潜在的汚染患者と見た隣人が朝五時半から薬房の前に行列し,小生のために不織布製マスク二枚を届けてくださった.これは二時間程度しか飛沫拡散を防ぐことしかできませんね.集団ヒステリーとしか思えません.一方,店の前の密集した行列,スーパー内の混雑,通勤電車内の混雑等は野放し.ユジノサハリンスクでは,自宅100m以内の散歩―犬の散歩ではこれを越えること可―,行列は前後間隔1.5m保持,買いだめ禁止,弱者救済義務,4人以上の集会禁止,等がよく守られておりました.昔の「火の用心の夜回り」のように,民間防衛隊によるパトロールがあり,拡声器でこれらの規制を遵守するよう呼びかけがありました.ロシアではもう二週間も有給の非労働日となっており,収入減を心配する必要がありません.みな静かに屋内で過ごしておりました.自分としてはあと数箇月居てもよかったのですが,31日で海外旅行保険が切れるので,しかた無しに日本に”帰る”―自宅は存在しないので,どう表現すべきか―決心をしたわけです.この情況を見ると,年末まで続くのではと心配しております.もうポーランドの林檎の花盛りが恋しくてなりません.ルームイニアは李ですか.昔新宿東口にデユボン松葉屋という輸入雑貨の店がありまして,そこで李ブランディーを見つけ,初めて飲みました.素晴らしい味でした.ポーランドでもカルパチアでこれが名産となっております.

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  2. シモムラ様
    無事に日本へお帰りになった模様で安堵しております。
    東京や埼玉、千葉、神奈川、他何県かについては非常事態宣言が出るとのこと。ヨーロッパのような外出禁止ではないようですが、どの程度の規制が待ってるのか気になるところです。今後のニュースに注目です。
    これぐれもご自愛願いたいと思います。

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  3. よっちゃん ユジノサハリンスクの友人よりニュースが入りました.千島を含むサハリン州全体で現在七名が感染者で,そのうち四人は回復したということです.この四人かどうかは不明ですが,キューバからの帰国者家族の四人が,検査で陽性と判定され,二週間の軍施設での隔離観察中に,家族の二人が発症したといいます.ロシアのこの検査隔離体制は実に有効なものであることがわかりますね.それに比べ,通勤電車の相変わらずの混雑を見ると,日本での感染爆発はもう目前であると心配しております.壮大な実験をしておるのではないでしょうか.

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  4. シモムラ様
    日本ではマスクをしていれば通勤地獄さえも感染の場にはならないとの盲信があるような気がします。インターネット情報を見ると、マスクをしても感染は防ぐことはできないとする警告がありますが、日本の専門家はこの指摘をどう理解しているんでしょうね。
    朗報がひとつあります。われわれは結核の予防のためにBCGワクチンを子供の頃接種していますが、これがコロナウィルスにも有効であるとの報告が出回っています。欧米に比べて中国や韓国、日本で発症者が比較的少ないのはBCGワクチンのせいではないかと推測されています。これが正論であるかどうかはこの時点では分かりませんが、興味深い議論です。(出典:Can a century-old TB vaccine steel the immune system against the new coronavirus? By Jop de Vrieze, Science,
    Mar/23/2020)

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  5. Yotchan ユジノサハリンスクの友人より,日本から帰国したロシア人(外交官を含む)が体験した興味深い様子が伝えられてきました.症状の有無に拘わらず,空港から数台の防疫部隊医療車両で隔離施設へ移送された.入口では,衣服,靴,携帯電話,お金-汚染が激しいらしい-などは,専用のプラスチックバッグに自分で収納させられた.シャワー室で身体を洗い流したあと,医療衣に着替え,完全防護衣を身にまとった,看護士からの予備的問診があり,鼻孔経由と咽頭経由による検体採取のテストを受けた.看護士の話では,この検体は軍用機でノボシビルスクの防疫研究所に運ばれ,分析評価されるのだという.隔離舎は二重扉の個室であり,トイレとシャワーが完備.食事はメニューとなっており,自分の好みのものを選ぶことができた.食事は三度,午前と午後にお茶の時間があった.食膳は二重扉に挟まれた部分の棚に載せられており,膳を運ぶ人間とは対面することなく,上げ膳下げ膳を行うことができた.公共施設であるので禁酒であった.中庭に出て三十分以内の運動が認められ,これは時間をずらし,常に三十メートルほどの懸隔を維持するように求められた.このかたは検査結果が陰性であり,二週間を過ぎた時点でも無症状であったため,家族の車で無事自宅へと帰ることができた.二人の陽性者は,同市であるかどうかは書いてなかったが,感染症専門の病院へと転院させられたらしい.私シモムラはこのメイルを読んだとき,何故かしら大学生のとき読んだ「今日のソ連邦」(旧ソビエト連邦大使館広報誌)の記事”私は洗濯兵だった”を思い出しました.確かスターリングラード対岸のボルガ河岸で野戦洗濯兵として活躍した経験をもつおばあさんの思い出話であったと記憶しています.戦場清掃-この用語を初めて知りました-の後,まだ使用可能な軍装は回収され,洗濯兵によって洗濯され,高温高圧蒸気滅菌窯で茹でたのち,修繕補綴されるのだそうです.しかし激戦の後となると,水での洗濯で失う時間が惜しく,已む無く血液で濡れたままのものを蒸気滅菌だけで処理し,戦線へ送り出した,それが今でも心残りであった,とありました.今日本は20時24分.you tubeで Первый поезд победы という,モスクワの白ロシア駅に入構する”勝利者第一号”汽車の映像をあらためて見ました.(白ロシアの”白”は中国五行思想の色で,方角をも意味し”東ロシア”とも解釈されています)行進曲が流れ出した途端泣いてしまった.老人になったのだと自覚しました.Yotchan,日本は危ないと思います.隔離施設に向かうに,公共交通機関をつかうことができません.布マスク二枚が各家庭に配給えることをご存知ですか.その費用二百億円そうです.自衛隊の防疫車両で送迎すると,経済的で安全で効果的しょうに.官僚組織も政治家も知性の劣化と小児化が著しい.ロシアで助かる人間が日本では苦悶のうちに亡くなるのでしょう.九月に開かれる科学アカデミーの学会は,来年六月開催となりました.クレムリンはこの疫病収束が年内には無いと判断したのです.

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