2011年11月23日水曜日

米国は歴史的教訓を学びとることができるか

面白い記事が見つかった。

それは、「我々は尊敬されなくなった」と題する記事[1]で、米国の元上院議員が最近の米国の政治を憂える内容だ。

米国は異を唱える国に対してはどの国に対しても戦争を吹っかけようとする酔っ払いみたいになってしまった。私はアメリカが好きだ。しかし、同時に、この国は強大であるとはいえ、今坂を転げ落ちつつある国家であるが、そのことを我々のリーダーは認めようともしない.....」と、元上院議員で、米国大統領選の候補者にもなったことがあるマイク·グレイブルは言う。

米国が今行っていることはと言えば、それはまさに非道徳そのものだ。9/11同時多発テロの結果、我々は自分たちの道徳のコンパスをすっかり変えてしまった。人々はお互いを残忍に扱うことに慣れてしまった。我々アメリカ人はドイツで起こったようなことは我々の間では起こりっこない!』と言っていたものだ。ところが、それが今起こっているのだ。しかも、世界規模での米国の地位を代償にしてまで、今、起こっているのだ.....」と。

米国は歴史から何も学ばないのだろうか?

後ろを振り返ることは勝利主義者にとってはタブーであるとでもいうのだろうか?



そこへ、次のような記事が今朝登場した。

ロシアのテレビ局(RT ニュース)の1123日版にはマレーシア法廷、イラク戦争でブッシュとブレアーを有罪判決に[2]という記事が掲載された。

それを仮翻訳すると次のような内容である。

­  マレーシアで開かれた象徴的な法廷は元米国大統領ジョージW.ブッシュと元英国首相トニー·ブレアーをイラクにおける「平和に対する犯罪」について有罪と判決した。この法廷はマレーシアの活動家たちが始めたもので、4日間を要して、上述の政治家二人を不在のまま有罪とした。

このクアラルンプールの法廷は何ら法的管轄権を持ってはいないことから、この評決は象徴的なものである。2007年に、イラクへの軍事行動に反対したことで有名なマレーシアのマハティール·モハマド元首相によって同国に戦犯法廷が設立された。



非常に興味深い内容だ。

ブッシュ元米国大統領は重大な戦争犯罪を犯したとする論調は前々からあった。特に、イラク戦争を開始する理由の中心にあった大量破壊兵器の存在が脆くも崩れ去った時、そのような指摘が結構たくさんあったと記憶している。しかし、かっての一国の首相がこの件に真正面から取り組み、世界の人々の良識に訴えようとするこの動きには脱帽だ。政治的にも健全だと思う。

さらに本件に関係する記事を漁ってみた。

数日前の20111118日に「象徴的な戦犯法廷がブッシュ、ブレアーを裁く[3]と題する記事があった。


それの仮訳を次に示す。

マレーシア、クアラルンプール発(AP)  マレーシア人に率いられた活動家たちが元米国大統領のジョージW.ブッシュと英国の元首相トニー·ブレアーはイラク戦争において平和に対する犯罪を犯したとして今月象徴的な法廷を開く、とこのイベントの組織関係者が火曜日に語った。

このクアラルンプール戦犯法廷はマレーシアのマハティール·モハマド元首相のイニシアチブで始まったもので、同氏は2003年の米国主導のイラクへの出兵に断固として反対した一人だ。

本法廷は土曜日から4日間の公聴会を開き、ブッシュとブレアーが平和に対する犯罪を犯したかどうか、ならびに、イラク侵攻において国際法を犯したかどうかを特定する、とマレーシアの弁護士、ヤコブ·フサイン·マリカンが説明した。

「起訴を免除されてきたこれら二人を我々はこのフォラムにおいて法廷へ連れ出し、彼らが戦争犯罪を犯したことを実証したい」と、ヤコブはAPに語った。

活動家たちは、最近、告訴に関する情報をブッシュとブレアーに送付したが、先方からは何も反応がない、とヤコブは言う。

イリノイ州出身の国際法を専門とするアメリカ人、フランシス·ボイル教授はこの公聴会での検察官の一人である。本公聴会は、イラク戦争によって影響を受けた人たちの訴えに耳を傾けたマハティールによって設立された「マレーシア平和基金」によって実施された2年間に及ぶ調査の後を受けて開催されるものである。

この種の公聴会には前例がある。それは1967年のベトナム戦争犯罪パネルだ。このパネルは哲学者のバートランド·ラッセルやジャン·ポール·サルトル等によってスウェーデンとデンマークで開催された、とヤコブは言う。このベトナム法廷は米国がベトナムに対して侵略行為を犯し、民間人を爆撃したと断定した。しかし、米国ではこの訴追はほとんど無視されたままだ。

クアラルンプール法廷は7人の裁判官で構成されたパネルを持ち、このメンバーにはマレーシア最高裁の元判事二人や米国からの平和活動家アルフレド·ランブルマン·ウェブルやインド出身でムンバイに拠点を置く弁護士ニロウファー·バグワド等が含まれている。

この法廷がブッシュとブレアーは有罪であると判決した場合、同法廷は彼らの名前を象徴的な「戦争犯罪人名簿」に登録する。

来年、同法廷は別個の法廷を開き、イラク戦争において甚大な苦痛を与えた罪で、元米国副大統領のディック·チェイニーや元国務長官のドナルド·ラムズフェルドならびに元検事総長のアルベルト·ゴンザレスを含む米国政府関係者を訴追する、とヤコブは語った。
 

するどい洞察力を持ち、個人的な利害関係に溺れない人たちだけが物事を正しく捉えることができるのではないかと思う。マレーシアの元首相は政治家でありながらも、そんな人たちの一人なのかも知れない。また、上述の米国の元上院議員もその好例だ。これらお二人はすでに引退しているとはいえ、今も政治の分野で人々を導こうとしている。
 
こういった動きを積みかさねることによって、マレーシアは小国かも知れないが、そこからの人道への呼びかけが周りの国を動かし、国連を動かし、米国を、そして、世界を少しでも変えて行って欲しいと思う。国際政治の方向性を少しでも修正して欲しいものだ。
 


 
出典:

[1] ‘We have lost respect’ – former US SenatorNov/22/2011, RT News

[2] Malaysian court convicts Bush and Blair over Iraq warNov/ 23/ 2011, RT News

[3] Symbolic 'war crimes' tribunal to try Bush, BlairNov/18/2011, Associated Press





 



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