それによると、オランダのある大学の研究者はビールスに突然変異を繰り返させて、いままでは空気感染をすることはなかったビールスに空気感染するような特性を付与したものだという。従来の鳥インフルエンザ·ビールスは人から人への感染は非常に珍しかったのだが、この新たに獲得された特性によってこのビールスは毎年起こるインフルエンザのように誰にでも感染する能力を持つに至ったという。
ビールス研究者であるロン·フシエとその仲間の研究者らがH5N1ビールスを初めて変異させ、その結果を今年の9月に学会で報告した。その際、この研究成果が持つ潜在的な恐怖がインターネットを駆け巡り、この情報は専門からの間で一気に広まったという。
この研究に従事したビールス研究者たちは彼らの研究成果を公表したいとしている。
しかし、微生物学者であり米国のバイオセキュリテイ科学諮問委員会(NSABB)の委員長を務めるポール·カイム氏はこの種の情報の公開には懐疑的だ。「こんなに恐ろしい病原性微生物は他にはとても考えられない。あの悪名高い炭素菌でさえもこれに比べたら全然恐ろしいとは思えない程だ」と、単刀直入に意見を述べている。
鳥インフルエンザ·ビールスは約10年程前にアジアでその存在が確認された。特にH5N1ビールスが最も致死率が高いと言われている。渡り鳥を媒介して各地で流行が見られ、今や全世界的に鳥インフルエンザが発生する。人に感染すると約50%は死に至ると言われている。過去10年間に600人弱の死者が出ている[2]。しかし、今までは空気感染をすることは無かったので、人から人への感染は殆ど無かった。
この人工的に作り出されたスーパー·フルーは、目下、オランダのロッテルダムにある医科大学の地下室に保管されている。しかしながら、武装したガードマンが目を光らせて警護しているわけではない。
この研究結果を公表するべきかどうかにつては議論が高まるだろう。作り上げてしまったビールスによる世界規模の流行を防止するには、そのような流行の危険性をわきまえた上で他の科学者のさまざまな考え方を広く取り入れて取り組むしかない。しかし、その課程でこのビールスがテロリストの手中に陥る可能性はゼロとは言えない。非常に理不尽な状況になると見られている。
米国政府は著者に対してこの研究の詳細を公表しないように求めているが、この研究課題に助成金を出した米国の国立衛生研究所(NIH)は12月20日に「研究者たちは原稿の内容を変更している。研究成果の全体像を公表することは大事だ」との見解を示した、とAP通信社は伝えている。
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人道的な見地からするとても許容することはできないとする常識論の立場と自分たちの研究成果を是非公表したいとする研究者のエゴとの間の駆け引きとなりそうだ。さらに、そこへはNIHという米国の国家機関の戦略も絡んで来る。
世間には人口爆発対策として人口を制御するためにエイズ·ビールスが作り出されたという陰謀論が存在する。そのための研究がどこかで密かに行われているという。エイズ感染は感染者の血液や体液に接触することによって伝播する。そこに、このスーパー·フルーが獲得した空気感染の特性が付与されたとしたら、手に負えないような爆発的な感染力を備えることになる。恐ろしい話である。
「エイズと鳥インフルエンザがどう関連し合えるのか?」という問いかけが起こるだろう。
一昔前はSFの世界の話であった事柄が現実の話になる昨今である。今後の10年間に何が起こるか分かったものではない。それだけに、こうした研究結果が持つ潜在的な可能性は安易に放置しておいてはならないと思う。
出典:
[1] Outbreak: Man-made super-flu formula to be published? RT News, Dec/21/2011
[2] Man-made super-flu could kill half humanity: RT News, Dec/03/2011
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