4月4日の早朝、反政府武装勢力によって支配されているシリア北西部のイドリブ県のハンシャイフンで化学兵器により多数の犠牲者が出た。
これを受けて、4月7 日未明、トランプ米大統領はシリア国内のシュアイラート空軍基地に対してクルーズミサイル攻撃を行った。同大統領はこのミサイル攻撃はシリア政府軍が行った残虐な化学兵器の使用に対する報復であると説明した。
化学兵器の使用による死者は、4月7日のBBC NEWSの報道 [注1] によると、その時点で80人を超し、何百人もの市民が神経ガス特有の症状を見せていた。犠牲者は、たとえば、目を充血させ、口から泡を吹き、瞳孔は縮小し、皮膚や唇は血の気を失い、厳しい呼吸困難に陥り、窒息状態、等のさまざまな症状を示した。「化学兵器禁止機関」(OPCW)は試料の分析が認定分析機関によって完了するまでは断定的なことは何も言えないとしているが、Sarminの町の病院で何人かの犠牲者の治療に当たった医師は原因物質は神経毒のサリンではないかと疑っている。
別の報告によると、サリンではなく塩素ガスあるいは有機リンであるかも知れないと報じられている。
化学兵器による惨事が起こった当日、4月4日、EUの外交でトップの任を務める元イタリア外相のフェデリカ・モゲリーニはこの化学兵器攻撃の責任はバシャール・アル・アサド政権にあると言った
[注2]。さらには、英国とフランス政府もこの化学兵器攻撃に関してシリア政府を非難した。
この日、またもや、大合唱が始まろうとしていた。
要するに、この化学兵器による惨事は4月4日の早朝に起ったのであるが、その日の内に、EU、英国、フランス、つまり、米国に追従する国々はアサド政権にその責任を負わせようとしたのである。この化学兵器の使用が政府軍側、それとも、反政府武装勢力側が行ったのかについて具体的な証拠も確認せずに、政治的な思惑だけに走ったのである。
これに対して、シリア政府軍指令部は反論して、化学兵器攻撃の責任は反政府武装勢力にあると当日声明を発表した [注3]。また、シリア政府を支援するロシアも西側の非難に対して反論した。
2014年7月17日、ウクライナ東部の上空でマレーシア航空のMH17便が撃墜され、283人の乗客と15人の乗員の全員が死亡した。私はあの時のものであると記憶しているが、当時、米国政府のある高官は「早く嘘をついた方が勝ちだ」と言った。この高官は自分の念頭にあった考えを不用意に口走ってしまったのかも知れないが、政府高官の言葉としての適切さを考えると、これは途方もなく奇妙な考え方である。しかしながら、ある意味ではこの文言は情報戦争の特徴をうまく捉えているとも言えそうだ。嘘を言う政府高官らはこの論理に限りなく勇気づけられてしまうのであろう。
こうして、シリアを巡る情報戦争ではメディアを巻き込んで、まったく新しい章が始まった。
シリアに対する米軍のクルーズミサイル攻撃は国際法違反であるかどうかという議論よりも先に、4月4日の化学兵器の使用が誰によって行われたのかを究明することが大事だ。これは誰の目にも明らかなことである。
ただ残念なことには、こういう事態に対して国連安保理がその機能を十分に果たしているとはとても見えない。とにかく、動きが余りにも遅い。そして、動きが遅い要因は米ロ間の対立にある。凋落の一途を辿る米国は覇権を維持するために発展しつつあるロシアと中国を何としてでも弱体化したいという願望を持っているのだ。米国は多極化を止めたいのである。
今回の化学兵器の使用の特徴は、2013年8月21日に1,400人を超す死者を出した大惨事とは違って、下手人がそう簡単には特定できないことが大きな特徴となっているようだ。要するに、前回の失敗から学んで、化学兵器攻撃の首謀者やその下手人は今回はより巧妙に事を運んだようである。シリア政府側と反政府武装勢力との間の応酬には決定的な要素が見られない。
シリアとそれを支援するロシアを非難する西側の政治指導者の間にも一部に変化が現れ始めた。4月11日の報道 [注4] によると、イタリアで開催されたG7の会合で英国のボリス・ジョンソン外相はロシアに対する追加制裁を提案したが、G7のメンバー国はこれを拒否した。その理由は化学兵器の下手人がいったい誰なのかが未だ確定されてはいないからだ。4月4日の当日、シリアとロシアとを名指しで非難した各国の首脳らもこのまま非難を続けると、増してや、追加制裁を発動すれば、政治的には失うものが多いと判断したのであろう。
2013年のシリアにおける化学兵器による大惨事と同様に、下手人を究明するには「いったい誰が一番得をするのか」という問いかけが非常に有効であろう。動機の究明とならんで、これは捜査時の基本的な手法であると言われている。
ここに、「化学兵器の使用は米国がシリア戦争を開始するための自作自演ではないか」と題された4月7日付けの記事 [注5] がある。一読に値する記事だと思う。
本日のブログではこの記事
[注5] を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。
<引用開始>
Photo-1: シリアでの化学兵器による犠牲者。AP Images
どちらの側にも明白な証拠が見られないが、今週シリアで民間人を相手にサリンガスが使用された事件は「自作自演」作戦だったのではないかと考えることには立派な理由が存在する。独裁者バシャール・アル・アサドが化学兵器を使ったのだと喧伝されたが、そのストーリーを詳細に究明し結果、その信ぴょう性は急速に崩れて行った。2013年の大惨事は国連の調査官や信用が置ける多数の調査専門家によって究明されたが、その結果によると、もっとも説得力のあるスト-リーはグローバル経済の信奉者によって支援された聖戦士らで構成された「反政府勢力」 が「自作自演」作戦の中で化学兵器を使ったものであった。その目的は米政府にアサドに対する武力介入を開始させることにあった。
外国の高官や幾人もの著名な調査専門家らは、今回もまた、まったく同様に虚偽が演じられたのであると受け止めている。ただ、今回は、事はより巧妙に運ばれたのだ。たとえば、元下院議員で長年非介入論者として著名なロン・ポールはアサドが化学兵器攻撃を命令した可能性はゼロだと述べている。「現状の中でアサドが突然毒ガスの使用を選択するなんて考えられない」と彼は言った。さらには、アサドと彼の政権にとって現状は今週の化学兵器攻撃が起こるまでは好転していたとも指摘している。世界中を駆け巡ることになったツイートで、ロン・ポールはこの攻撃は「自作自演」だと言った。
今週100人を超す民間人が殺害された化学兵器攻撃では自作自演作戦が行われたのだと当初から何人もが主張している。シリアの高官もそのグループの一人である。アサド政権の外務省は声明文を発表し、化学兵器の使用に関する責任を排除した。それに代わって、アサド政権は厳禁となっている化学兵器を使った残酷な市民の殺害は実際には「米国がシリア軍に対する攻撃を開始するために前もって計画していたものである」と主張した。同政権は数年前に国連の検査官の下ですべての化学兵器を廃棄してしまったと主張。アサド政権を支援するロシア政府もこの事実を支持している。
もちろん、ダマスカス政府が市民に向けて化学兵器を用いたとするならば、その事実を政府が認めるとは考えられない。しかし、単に真剣な捜査を行う場合の第一歩である動機の解析を行ってみるだけでも、アサドは化学兵器の使用は如何なるコストを払ってでも回避すると言える。その一方、反政府武装組織は化学兵器を用いたい理由は山ほどもある。グロ―バル経済の信奉者らによって支援された聖戦士やテロリストたちと何年にもわたって戦った後、ダマスカスの独裁者は勝利を目の前にしていると報じられていた。少なくとも、トランプがシリア国内の目標物に向けて何十個ものミサイルをぶち込んで、武力介入を開始するまでは。
西側諸国やスン二派の専制国家によって支援されている聖戦士のグループに対する戦争を遂行しているアサド政権の側に立つロシア政府はシリア政府高官の主張を支持して、シリア政府の転覆にすっかり憑りつかれているとしてグローバル経済を信奉するいくつかの国家を槍玉に挙げた。クレムリンの高官はアサド政権の爆撃機が反政府武装勢力が支配している地域に対して行った爆撃が同地域のテロリストたちのために化学兵器を製造し、武器の倉庫として使われていた建物を破壊したからだとの説明をした。この説明はより現実的であるとして複数の分析専門家が支持している。
諜報も引用しながら、ロシアの高官は何が実際に起こったのかに関しては決して曖昧にはしなかった。「昨日(火曜日)、現地時間で午前11時30分から午後の12時30分までシリア空軍はハンシャイフンの町の東側郊外にある弾薬や武器を貯蔵するテロリストたちの貯蔵庫を爆撃した」と、ロシア国防省のスポークスマンであるイーゴル・コノシェンコフがメディア向けの報告で述べている。「貯蔵庫の敷地内には作業所があって、そこでは化学兵器が製造されていた。」
西側の政府や自他ともに認める「専門家」たちは政府のプロパガンダ機関が唱える筋書きに沿って小走りに走り回り、速やかに上記の説明を嘲った。それに代わって、彼らはアサドが責任を負っていることを示唆する「情報」を持っていると主張した。テレビでは死にかけている子供たちの様子が絶え間なく報道され、感情に訴える心理操作が行われてはいたが、アサドに責任があるとする証拠は一般大衆には公開されなかった。まず、この攻撃にはアサドの「指紋」が残されていると、「身元を明かすこともなく」潜在的には偽りの可能性がある「米国の諜報関係者」が述べている。そして、「まったく疑いもない」と言った。
しかしながら、2013年、同様の事件の際にアサドを非難するためのものとされる「情報」のことをオバマが言及した時、非常に良く似た事態が展開して行った。オバマのトップの側近は彼らが持っている「情報」はアサドに責任があることを示していると主張。しかし、何日か、何週間か、そして、何ヶ月か経つと、実質的に分析専門家の誰もがそう理解したのであるが、化学兵器を用いたのはオバマによって支援されている反政府武装勢力であることが速やかに明白となった。彼らは国際的な介入によってアサド政権の退陣をでっち上げようとしたのである。米市民や議会からの強い反対の声がこの陰謀を阻止したのである。
実際に何が起こっていたのかを証拠が明確に示していた。2014年にMIT(マサチューセッツ工科大学)が発行した前年の化学兵器攻撃に関する分析と報告は、たとえば、進行中にあるシリア内戦に米国政府や米軍をより確実に巻き込もうとする企てのもとで、オバマ政権は図らずとも虚偽やいんちきの「情報」を用いたことを示すことになる証拠を提示したのである。「間違いだらけの米国の技術情報によって引き起こされかねない影響」という表題のもとで、この報告書はシリアで行われた神経ガス攻撃は政府側がコント―ルしている地域の中心、あるいは、東側の端から発射されたとする見方は「あり得ない」とする結論を導いた。さらには、他の証拠も政府側ではなくて、反政府武装勢力側が化学兵器を配備したことを示していた。
「ひどい間違いを含んだ情報」に言及して、将来の悲劇を回避するには、爆発的な影響力を秘めたこのMITの報告書はこれらの間違いが作り出されるプロセスを是非とも修正しなければならないと、警告を発した。「もしもこれらの間違いの源が修正されないならば、このような情報の間違いをもたらした手順が何の修正も加えられないままに残され、政策上の大失敗が将来間違いなく増大する可能性がある」と、その著者である国連の元武器検査官であるリチャード・ロイド、および、MIT
の科学・技術・国家安全保障政策教授のセオドア・ポストルが結論付けている。この警告は無視されたままで、前回の企みで暗躍したこの「ディープ・ステート」の多くの工作員たちはその多くが連邦政府の官僚制度の下で今も雇用されたままである。
米国の高官らは反政府武装集団が2013年の攻撃の際にも化学兵器へアクセスしたことに関してよく理解している。その攻撃の1ヶ月後、WND [訳注:
WNDはオンライン・ニュース社であるWorldnetdaily.comを指す]
が入手した機密扱いの米軍文書によると、アルカエダ主導のシリアのジブハド・アル・ヌスラ派に属する戦闘員らはオバマの「同盟国」によって支援され、武器を提供されていたこと、さらには、サリンガスを所有していた事実を高官らが認めた。あの年の始め頃、テロ・グループから約5ポンドの有毒ガスがトルコで押収されたことから、米国の高官らはそのことを知っていたのである。
前回のシリアにおける化学兵器の使用についてはオバマはアサドが仕出かしたと言ったが、その後、国連の調査官さえもがこれは「反政府派武装勢力」が行ったものであると結論付けている。「われわれの調査専門家は隣接する国々へ出かけ、犠牲者や医師から、さらには、野戦病院で聞き取り調査を行った。先週彼らからの報告書を受け取り、その内容を見たが、それによると、サリンガスの使用に関しては犠牲者が受けた治療から判断すると、強力で具体的な証拠があるのだが、これはまったく論争の余地がない証拠というわけではない」と、カーラ・デル・ポンテが言った。彼女はスイスの元検事総長で、当時はシリアに関する国連の独立委員会のメンバーであった。「これは反政府派が使用したものであって、政府側ではない。」
英国の大手新聞のひとつであるデイリー・メールの
2013年1月29日発行の記事 によると、オバマ政権は反政府武装勢力が化学兵器を用い、その責任をアサド大統領に負わせるという筋書きを実際に後押ししたのである。この記事は当時一般読者に広く読まれたが、何の理由かは分からないがそれ以降は撤去された。しかし、同記事は防衛関連の下請け企業、Britam からリークされたと言われている電子メールを引用していた。問題視されている2012年12月の文書は化学兵器のことを言及し、その筋書きは「ワシントン政府の同意を得た」と述べている。
皮肉なことには、西側の特定の国々ならびに支配者層、グローバル化を標榜し戦争を扇動する宣伝機関、等は今回の化学兵器攻撃の後に自作自演と言う文言を聴いただけでショックを受けたかのように振る舞った。しかしながら、支配者層の少なからぬ者たちはロシアのザンクト・ペテルスブルグで最近起こったテロリスト攻撃はまさにそのような種類のものであったのではないかと仄めかしている。プーチン政権は、以前、特定の政策を施すためにそのような攻撃を仕掛けて利用したとしてその信頼性を批判されたことがある。しかし、そこには途方もない二重基準が目立つ。支配者層のプロパガンダ機関はテロリストや聖戦士のグループ、あるいは、西側のならず者官僚機構はどうして自作自演行動を起こすことがないのかについては何の説明もしてはくれなかった。
先月のことであるが、左翼の活動家であるノーム・チョムスキーはトランプ大統領は支持者を扇動し、自分の約束を実現することが出来ないという現実から皆の関心を他所へ向けるために自作自演のテロ攻撃を引き起こすかも知れないと言った。「われわれは自作自演のテロ攻撃の可能性を排除するべきではない。そんなことが起これば、この国を一変させる」と、チョムスキーは述べている。支配者層のメディアは、自分たちは完全に正気であり、妥当な人間であるとでも言うかのように、律義にもこの「左翼の知識人」が述べた見解を報道した。失うものはもはや何も無く、すっかり追い詰められたシリアの聖戦士テロ・グループが引き起こす自作自演行動は、ほとんど間違いなく、トランプが支持者たちを扇動するための自作自演行動に比べればその可能性は非常に大きい。
すでに、グロ―バル経済を標榜する支配層はアサド政権を排除するために言語に絶するような犯罪を犯すことにはやぶさかではなかったということを示す動かぬ証拠が存在する。事実、オバマ政権やスンニ派イスラム教の独裁者およびその他の勢力は政権転覆を成し遂げることにむきになっており、アメリカ国防情報局の2012年の文書によると、彼らはアルカエダやムスリム同胞団によって主導された反政府行動を喜んで支援した。同文書はアサド政権を不安定にするためにシリアの東部に「サラフィスト公国」(これは、今日、イスラム国またはISISとして知られている)を築き上げることを支援するという非合法的な構想の概略を示している。トランプはこの構想を十分に承知している。そして、オバマ政権のトップの高官はこれを公に認めた。
米国でもっとも著名な議員のひとり、ランド・ポール上院議員(共和党、ケンタッキー州)はこの問題についてもっとも分別のある姿勢をとった。結局、証拠の提示を要求したのである。アサドを描写するに当たって、ポールは「彼は世界でももっとも間が抜けた独裁者だ。そうでないとすれば、事は実に複雑だ」と言った。ローラ・イングラハム・ショーでのお喋りの中で同上院議員は疑う余地はないと言った。つまり、アサドが戦争に勝っている時、ロシアからの強力な支援を得ている時、さらには、トランプ政権がオバマ政権の失敗に終わった「政権転覆」という筋書きを反故にしたことを知っている時、アサドがそのような兵器を用いるなんてまったく意味を成さない。「私は証拠を見たいもんだ」とポールは付け足し、証拠そのものについて議論するのではなく、証拠を見たいと言った。
トランプのもっとも忠実で、もっとも重要な支持者の幾人かにとっては恐ろしい話となるかも知れないが、戦争を挑発するオバマ政権を席巻していた外交問題評議会のような支配者層・グロ―バル経済信奉者の多くはトランプ政権の奥深くへと入り込んでいる。つまり、トランプがグローバリズムとの戦いを何度となく繰り返して約束したにもかかわらず、この状況は戦争を挑発する支配者層やその他の邪悪そのものである。トランプ政権は最近行った攻撃に関する情報源については自分たちが所有する証拠は何でも議会や一般大衆に向けて公開するべきである。そうすることによって、米国人や市民を代表する議員たちは、戦争を挑発する「ディープ・ステート」の官僚組織や支配者層のメディアにおける信用することができない宣伝屋に依存する必要はなくなり、自ら事実を判断することが可能となるのだ。
著者のプロフィール: アレックス・ニューマンはNew
Americanの外国特派員であって、通常はヨーロッパに本拠を置いている。ツイッターでの追跡は@ALEXNEWMAN_JOUをご利用ください。あるいは、フェースブック上で彼を追跡してください。彼との通信は
anewman@thenewamerican.com.で。
関連記事:
<引用終了>
これで仮訳は終了した。
この仮訳作業を進めている間にさまざまな情報が新たに公開されている。特に、自作自演であったのではないかという記事が急に多くなっていることに気付かされた。
中でも興味深く思った記事は化学兵器によって千数百人が犠牲になった2013年の事件で真相の解明、つまり、下手人の特定に活躍をしたMITのセオドア・ポストル教授が、今回もまた、米政府がシリアの空軍基地に対してミサイル攻撃を実施した理由を分析、批判し、その中心的な理由として政府が説明した化学兵器攻撃は実際には反政府勢力による自作自演であったという結論に到達したことだ。米政府が主張するところのシリア政府軍の関与を示すような証拠は何もないのである。
そして、何よりも重要なことは同教授が概ね次のように警鐘を鳴らしたことだ。「シリア政府軍が化学兵器攻撃を行ったとする報告が証拠も示さずに米政府に持ちあげられ、国際政治に利用されているという事実は我が国の安全保障の対処の仕方に大きな疑問を抱かせる。」 諜報部門の分析専門家の報告が途中で歪曲され、政治的思惑に合うように改ざんされてしまう、あるいは、政府の上層部には届かないという米政府機関の現状を憂慮しているのである。
詳しくは、4月12日の最新記事
[注6] を参照されたい。
今回の化学兵器の使用をめぐる米諜報部門の混乱、米政府の無能振り、共和党と民主党との間の争い、大統領選から尾を引いているロシアの介入を巡る大騒乱、等は米政府の機能をすっかり低下させてしまったようである。
参照:
注1: Syria ‘chemical attack’: What we
know: By BBC NEWS, Apr/07/2017, www.bbc.com/news/world-middle-east-39500947
注2: European Union Puts Responsibility
Of Syrian Gas Attack On Bashar Al-Assad: By Taboola, Agence French-Press,
Apr/04/2017
注3: Syrian Army
Rejects Claims of Chemical Weapons Use in Idlib, Blames Militants: By Sputnik,
Apr/04/2017, https://sptnkne.ws/dZjf
注4: G7 rejects
Boris Johnson’s call for more anti-Russian sanctions over Syria: By RT, Apr/11/2017, https://on.rt.com/88jl
注5: Was Chemical Attack in Syria a False Flag to Trigger U.S.
War?: By Alex Newman, New American, Apr/07/2017, www.thenewamerican.com/.../25785-was-chemical-atta...
注6: MIT
Professor Questions White House Claims on Syrian Air Forces Involvement in
Chemical Attack in Idlib: By SOUTH FRONT, Apr/12/2017, southfront.org/mit-professor-questions-white-house-clai...
初めてコメントを投稿いたしますが、時々ブログを拝見しております。
返信削除いつも有益な情報を有難うございます。
今回のシリアでの化学兵器による被害も ロン・ポール氏の言うとおり、反政府軍による自作自演の偽旗作戦の可能性が高いですよね。
被害者の方々を救出するホワイトヘルメットのビデオが出回っていますが、そもそもこの団体もアルカイダ系武装組織とつながっている怪しい団体ですし・・・。
そのホワイトヘルメットの隊員の中には 防護服はもちろん、防毒マスクや手袋もつけていない人がいます。
ノーム・チョムスキー氏に関しては この4月のシリアでの事件以降、
なぜかアサド政権とロシアを批判する立場に変わっていますね。
それが気になるところです。
↓
Syria is a horrible catastrophe. The Assad regime is a moral disgrace. They’re carrying out horrendous acts, the Russians with them.
https://www.democracynow.org/2017/4/5/the_assad_regime_is_a_moral
Kumiさま、コメントを有難うございます。
削除おっしゃる通り、ホワイトヘルメットが被害者を救出している様子がビデオで撮影されてインターネットに掲載されましたが、素手で作業をしている様子をみて、これはおかしいぞと直感的に感じました。サリンが使われたのだとすれば、救出側の自分自身の身体の安全性や保護策を考えると、とてもあり得ない光景。フェデリカ・モゲリーニが述べた文言と並んで、自作自演を疑わせるには十分でした。
ノーム・チョムスキーに関するインプット、有難うございます。
4月4日の事件当日からすでに10日以上にもなっていますが、米ロ間の綱引きはどなるでしょうか。先日はティラーソン米国務長官がモスクワを訪問し、ロシアのラブロフ外相と会談をしましたが、当然のことながらシリア情勢が中心的な議論であったと報じられています。結局、議論そのものは平行線をたどったようですが、ラブロフ外相は何らかの感触を掴んでいるようです。プーチン大統領との会談も行われたようですが、その内容はまったく報じられてはいません。
家族の安全を確保するために国外に去った何百万ものシリアの市民が帰還できるのは何時になるのでしょうか。一日でも早くシリアの国内政治が安定化して欲しいものです。米国大統領は何百万人もの難民の目線に立ってシリアの安定化を具体化して欲しいと思います。
管理人さま、私のコメントに丁寧なご返信を頂き、有難うございます。
返信削除ティラーソン米国務長官とラブロフ露外相の会談についてはロシア・トゥデイが報じている記事を見ると、米国はロシアに対し、「ロシアは米国かアサドか、どちらかを選ばなければならない」と強硬にアサド退陣を迫っているようですが、その一方で シリアへのミサイル攻撃については「もう行うべきではない」とのことで合意したようですね。
議論が平行線をたどった中で、それが唯一のポジティブな面でしょうか・・・。
Tillerson backs down on ultimatum mission to Russia
https://www.rt.com/op-edge/384730-tillerson-lavrov-politics-syria/
‘Highly provocative’: Lavrov says agreed with Tillerson no future US strikes on Syrian govt
https://www.rt.com/news/384672-lavrov-tillerson-syria-strikes/
アメリカのトマホークミサイル攻撃を受けた後のシリアの基地の写真を見ましたが、滑走路がほとんど無傷で残っていること、また、ロシアに2時間前にこのミサイル攻撃を通告していたについて、「被害が少なくなるように米も配慮したのでは」とも言われていますね。
選挙期間中からロシアによるハッキング云々という真偽不明な情報をネガティブ・キャンペーンとして利用されていたトランプにとっては 今回のロシア、シリアへの武力での威嚇は ネオコン連中や彼の言うフェイクメディア、CNNなどを黙らせる良い機会だと思ったのかもしれません。
しかし、テロや戦争の犠牲になるのはシリアから出られない一般市民の人々ですから、本当に胸がいたみます。
また、何の証拠も見ることなく、米の行動を即座に支持したわが国の安倍首相には呆れます。
これは イラク戦争の時にやみくもにジョージ・W・ブッシュを支持した小泉元首相を思い出させますね。
Kumi様
返信削除コメントを有難うございます。
公開されている情報で見る限りでは、今回のシリアの空軍基地に対する米国のミサイル攻撃は意図的に控え目に攻撃を行ったと見る専門家の意見もあります。滑走路を破壊しなったこともその一部だとする見方です。
それでは、いったい何が目的だったのかという疑問が残ります。その疑問に対しては、今回の攻撃の真の目的は米国のふたつに割れてしまった国内世論をひとつに統合するためのものだという説明です。確かに、この攻撃の後には、世論調査の結果で見るとトランプ政権の支持率は多少改善したようです。この見方は少数派ではあるのでしょうが、ひとつの側面としてあり得るかなとも考えられそうです。
目的が何であれ、何時ものことながら戦争がもたらす一般大衆への不正義は取返しがつかない結果を招きます。抵抗することも出来ずに殺害され、家族全員が家を破壊され、路頭に迷わされます。多くの人たちが難民キャンプで何年も過ごしています。
しかし、自国が戦場になった経験を持たない米国の指導者、議員、多国籍企業の経営者、メデイア、批評家、そして一般市民にとっては自国から何千キロも離れた国での戦争は実際には痛くも痒くもないということのようです。大多数の関心事は何とか米国の経済を回して行くためには、何処かで大規模な戦争が続き、武器や弾薬をふんだんに消費し、米国の軍需産業に繁栄を導いてくれることがアメリカ経済の発展には必要だ、という暗黙の了解があるのではないでしょうか。これは米国以外の国々にとっては大きな不幸であると言わなければなりません。
事実、軍産複合体がどのように米国の指導者に理解されているのかについては、次のようなエピソードがあります。イラク戦争を推進したジョージ・ブッシュ(ジュニア)元大統領が当時のアルゼンチンのキルチネル大統領と話をしていた際に、同大統領は「戦争こそが米国の経済を繁栄させてくれるんだ」と述べ、キルチネル大統領はあきれ果てたそうです。人類がこれまでに築き上げて来た倫理観はまったく感じられないのです。
今や世界にとっては最大級の悪と化してしまった米国に100%追従しようとしているNATO加盟国や日本、韓国はそれ以上に度し難い「平和ボケ」だと言えるのではないでしょうか。安倍首相もさることながら、投票に出かけるわれわれ自身もしっかりとした世界観や信念ならびに倫理観を養っておく必要があると考えます。