2019年6月16日日曜日

ゴルノフに関してロシアのメディアが連帯 - アサンジのことで媚びへつらう欧米の不快なメディアとはまったく対照的


イワン・ゴルノフという調査報道ジャーナリストのことをご存知であろうか。誰も知らなかったと思う。ロシア人のジャーナリストのことであることから、今回の出来事が世界中を駆け巡るまでは、このジャーナリストの存在は日本の一般庶民にとっては知る術もなかった。

彼は、最近、麻薬ディーラーの容疑でモスクワの警察に逮捕された(6月6日)。しかしながら、警察は確固たる証拠を示すことが出来なかった。市民やメディアからの批判を受けて、結局、当局は彼の逮捕を白紙に戻した。内務省は今回のスキャンダルを引き起こした警察の幹部を調査すると約束した。このような展開はロシアでは異例のことである。それだけに、この一週間世間の注目を集めていた。

ロシアにおいてはジャーナリストが首を突っ込むことが出来ない、あるいは、非常に難しいと言われている分野がいくつかある。プーチン大統領の個人的な事柄を筆頭にして、ロシア政府に対する批判、等々、はタブー視されている。首都モスクワの警察がイワン・ゴルノフを逮捕したことは不当であるとする批判も、その展開次第ではあらぬ方向へ走ってしまう可能性があった。しかしながら、今回はメディアが彼の逮捕に対する批判をしっかりと支えてくれたことから、警察はゴリ押しすることができず、ゴルノフの逮捕を白紙に戻した。

ここに「ゴルノフに関してロシアのメディアが連帯 - アサンジのことで媚びへつらう欧米の不快なメディアとはまったく対照的」と題された記事がある(注1)。著者は長年モスクワに駐在しているアイルランド人のブライアン・マクドナルドである。この著者はロシアを正しく理解しようという姿勢を常に貫いていることを私はここで指摘しておきたい。それは米国で2年以上も続いたロシアゲート事件にかかわる彼の論評、等から容易に感じられる。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。ブライアン・マクドナルドの意見を拝聴してみよう。

<引用開始>
Photo-1: © REUTERS/Tatyana Makeyeva; © AFP / Daniel LEAL-OLIVAS 

もしもあなたがイワン・ゴルノフについて懸念を表明し、ジュリアン・アサンジについては何の懸念も示さずに言論の自由を支持すると宣言したならば、あなたはとんでもない偽善者である。逆の場合も同じことだ。

モスクワで根拠が薄弱なまま麻薬取締法違反で逮捕されたロシアン人ジャーナリストについて連帯の表明があった。これは大歓迎だ。しかしながら、自国におけるジャーナリズムに対する攻撃を無視し、あるいは、それを助長しておきながら、地政学的な得点をあげようとする輩からの連帯の表明はご免蒙りたい。

予測通りではあるが、ゴルノフの逮捕に関する米英のメディアならびに政治家からの反応はそのほとんどがこの出来事をクレムリンが言論の自由を抑圧するものとして捉えようとしていた。

RT.COMからの関連記事: 
Russian journalist accused of drug dealing tests negative for drugs

しかしながら、現実は遥かに複雑である。西側の大手メディアはロシアに関して真面目な専門的知識に欠けている実態を、またもや、露呈することになった。

先ず、ロシア政府の狼狽振りを1から10の点数尺度でこの出来事を明確に評価しておこうではないか。ロシア政府にとってはこのゴルノフの逮捕は最高点を越して、11点だ。麻薬取締法違反で自分の仲間を逮捕することは馬鹿げており、ロシアへ外資を呼び込む旗艦として働いている「サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム」の存在を霞ませてしまった程だ。

第一面でサンクトペテルブルグを訪問している習近平中国主席を報道し、ウラジミール・プーチン大統領のチームのために立派なPRを行う筈であった。しかし、その代わりに、ニュース紙は繰り返してゴルノフに焦点を当てることになった。国内でも、そして、国外でもだ。
rt.comからの関連記事: Court puts Russian journalist charged with drug dealing under house arrest 


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ゆっくりとした変化:

クレムリン政府が莫大な費用を要する自分たちの通商媒体に破壊工作をするという何らかのサディスティックな願望を持ってはいない限り、明らかに、この出来事には「プーチンをまさにボンドのような全能の悪党」と見なす西側が頻繁に使う筋書きを通して見る場合に比べてさらに何かが存在するみたいだ。皮肉なことには、現実は専制的で、全権力を掌握する政府が反対意見を封じ込めようとしているという筋書きよりももっともっと深刻であるのかも知れない。

それに代わって、この出来事は国の安全保障当局の内部には実際に罰を受けることもなく活動する工作員がいることを追認するようなものでもある。これはロシアだけに特有なものという訳ではないが・・・。

さらには、微妙な違いに興味を抱く人たちは、その歴史から見てさえも、ロシアにおける変化はどうしてこうも遅いのかを理解しているに違いない。さらには、プーチン(あるいは他の指導者)が深く根付いている政府機関に分け入って、一日の内にそれをひっくり返すことはできないということをも十分に理解しているに違いない。一日ではなく、多分、何十年もかけたとしてもだ。

とは言え、何時も繰り返される反ロシアの大合唱には、予想通りではあるが、何かを理解しようとする姿勢は何も見えては来ない。彼らはこの出来事が潜在的には分水嶺的な瞬間であるということを理解するのに必要な知識もなく、何の関心も持ってはいないのだ。

Michael Weiss (@michaeldweiss) のツイッタ一、
2019年6月9日:

ロシア政府によって無実の罪で投獄されたジャーナリスト、イワン・ゴルノフ
@meduzaprojectとの完全な連帯、これは実に心打たれる光景だ。日刊紙のコメルサントやヴェドモスチ、ならびに、RBKテレビチャンネルが出版・放映した: pic.twitter.com/1ZXT58CYiG

ロシアにおけるジャーナリスト集団はゴルノフを巡って団結し、社会運動を引き起こした。この連帯は思想が何であるとか、所有者が誰であるとかという諸々の境界を越して、結集された。たとえば、公共テレビ網のNTVではイラダ・ゼウナロヴァは、驚くことには、こう言った。「この国はペレストロイカの過程でオーウェル的な反ユートピア社会にはならないと決断した。今、わが国はそこへ戻ってはならない」と。

 その一方で、フィル・ドナヒューと一緒に行って来た仕事振りや公共テレビでの人気の高いショウ番組の司会役を務めたことから米国では知名度が高いウラジミール・ポズナーは
こう言った。 「イワン・ゴルノフの逮捕はロシア人ジャーナリスト全員の顔に唾を吐きかけたようなものだ。私は自分の顔に唾を吐きかけようとは思わない。」 

RTならびにロシア・セヴォードニャの編集長を務めるマルガリータ・シモニアンは金曜日(6月7日)に
ツイッターでこう言った。 「政府はこの逮捕に関しては一般大衆の疑問点のすべてに答えなければならない。理由は簡単だ。一般市民は実に多くの疑問を抱いているからだ。」 

彼女は、土曜日の午後、
さらにこう言った。 ゴルノフを裁判前の逮捕の状態に置くのではなく、彼は自宅へ帰らせるようにと嘆願した。これは「彼の健康と一般的な状況を配慮した結果だ」と言った。さらに、彼女は悪行があったことを示す何らかの「証拠」を一般大衆に示さなければならないという自分の主張についても念を押した。

グルノフは偶々RTのTシャツを着ていた。そのTシャツにはフランスでの「黄色のヴェスト」運動とロシアとの関連性を見つけ出せという上層部からの圧力の下でBBCの特派員が述べた「ニュース編集室は血なまぐさいニュースを求めている」という引用が書かれていた。結局、英国の国営テレビ局は自分たちの国内から始まった運動の中にロシアの幽霊を見つけ出すことはできなかった。
rt.comからの関連記事: ‘We are Golunov’: Leading Russian papers run similar frontpage supporting charged journalist 


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彼らは一緒に肩を並べている: 

月曜日(6月10日)に、ロシアの三つの「高級日刊紙」が 「Я/Мы Иван Голунов」 (私・われわれはイワン・ゴルノフ)という同一の見出しでそれぞれの第一面を
飾った。これは、明らかに、2015年にフランスで起こったパリの風刺雑誌社に対するテロリスト攻撃の後に現れた「Je suis Charlie」(I am Charlie) という連帯を表明する文言からヒントを得たものだ。

これらの三紙はどれを取っても「親プーチン派」であるとは言えない。彼らは一般的に政府に対しては批判的である。しかし、今回の出来事には前例がなく、「ロシアのメディアには自由がない」として頻繁に用いられる欧米のたわ言をはっきりと否定するものだ。

明確さを期して言えば、当地のテレビ局はほとんどが国営であり、彼らは極めて親政府的である。しかしながら、新聞はほとんどが独立しており、多くの新聞はクレムリン政府に対しては毅然とした態度を保ち、敵対することも辞さない(たとえば、ノーバヤ・ガゼタ紙がそうだ)。

と同時に、インターネット(今やニュースの供給源としてはテレビとライバル関係にある)はほとんどまったく検閲を受けず、数多くの反政府的な新聞が広く購読されている。これには西側によって支援され、西側の管理下にあるBBCのロシア語放送、カレント・タイム(訳注:これは米国が2年前に設立したロシア語放送であって、ロシアのRTに対抗するものだ)、米国のRFERL(ラジオ・フリー・ヨーロッパおよびラジオ・リバティー)、ドイチェ・ヴェレ、フランス24、ベル、メデューサといったメディアも含まれる。因みに、メデューサはゴルノフの雇い主である。

そして、これは西側はいったいどのような反応をしたのかという点にわれわれの関心を向けさせ、最近起こった、非常に知名度の高いジャーナリストの逮捕との比較を余儀なくさせるのだ。言うまでもなく、ジュリアン・アサンジとの比較だ。
rt.comからの関連記事: Journalists silent on Assange’s plight are complicit in his torture and imprisonment 


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米国への送還を明確に意識した罪状でアサンジが逮捕された時、BBCのボスであるトニー・ホールは黙りこくっていた。2014年、英国の国営放送局はロンドンのエクアドル大使館に亡命しているジャーナリストを揶揄するホームコメディーを製作し、ホールはその放送予定を喜んで
発表した。 ポズナーやゼウナロヴァとは対照的に、この国営テレビ放送局の他の司会者らはホールに倣って沈黙していた。

また、ロンドンの指導的な新聞各社はアサンジを防護するために結集することはなかった。それどころか、(ドナルド・トランプを支持するルパート・マードックが所有する)タイムズ紙はこの逮捕を支持した。ガーデイアン紙だけは気の抜けたような支持を表明し、反アサンジのくだらない馬鹿騒ぎに対して一定のバランスを保った。

実際に、同紙のもっとも秀でた、論調を決めてくれる記者ではあるのだが、退屈で、繰り返しの多い、飽き飽きするような無骨者で、どうにかこうにか読み取れる長い記事やツイッターによって親体制派の田舎者であるという自分の
地位を何年にもわたって固めたマリナ・ハイドはアサンジの苦しみや屈辱にサディスティックとも言えるような快楽を見出していた。

Joseph A. Farrell (@SwaziJAF)のツイッター、
2019年6月1日:

国連の特別報告者による拷問に関する声明の中に
@marinahydeを参照する記述を見つけた。あなたも歴史に残るだろう。でも、それは悪い意味でだ。@wikileaks#Assangepic.twitter.com/xe2M1n0V4Y


ふたつの顔: 

最後に、われわれはジェレミー・ハントのことを忘れることはできない。英国の外相で、将来、首相となるかも知れない彼が、先週、米国のテレビでアサンジの米国への送還を阻止する積もりはないと言った。しかしながら、日曜日に彼は「われわれは本件の行方を見守っている」と
ツイートして、ゴルノフについて懸念を表明した。

彼のロシア人ジャーナリストに対する支援は、それが純粋なものでありさえすれば、歓迎されるだろう。主権国家の内政への干渉を匂わせる何かがあるとしても、アサンジに対する間違った取り扱いや彼に対する抑圧に関するハントの姿勢を見ると、彼の言動は実にばかばかしい。

もちろんのこと、ハントは自分の言動に饒舌さとか偽善性とかを感じ取っている訳ではない。なぜかと言うと、彼のようなタイプは洗練さを求めることはないし、倫理的な同義性を追求することもないからだ。自分たちはそういった不都合を超越した地位にあると思っている。

私はグルノフを応援するだけではなく、アサンジをも応援する。これら両者を応援することができずに、自分は基本的な倫理観と行動原理を持ったジャーナリストであるとか、政治家であると自認するならば、あなたは鏡の中の自分を数日にわたってじっくりと見つめ直す必要があるだろう。とは言え、この忠告は、多分、ピントが外れている。なぜならば、これらの連中の多くや宮廷の道化師らは、恐らく、鏡に映った自分の姿を賞賛しながら何日間かを過ごすだけであって、必要とされる自己反省には取り組もうともしないだろう。

注: この記事で表明されている声明や見解および意見は全面的に著者のものであって、必ずしもRTの見解や意見を代表するものではありません。

<引用終了>


これで引用記事全文の仮訳が終了した。

英国のメディアとロシアのメディアとの比較が興味深い。ブライアン・マクドナルドの世界観から見ると、英メディアのジャーナリストとしての倫理観や使命感は完全に地に堕ちたと言える。つまり、彼らが新聞を売り、テレビ放送を継続している理由は金儲けしかないのだ。一般大衆にとって不幸なことには、彼らは真理の追究をとっくの昔に捨ててしまった。彼らは事実を隠蔽し、捻じ曲げて、報じたいことだけを報じ、一般大衆の理解を特定の方向へ誘導しようとする。そのことは大分以前からさまざまな出来事を通じて感じられていた。最近の例では、マレーシア航空MH-17便撃墜事件やスクリッパル父娘毒殺未遂事件に関するメディアの取り組み方を見て、何らかの疑問を抱いた人たちにはこのことは容易に納得できるであろう。

一方、ロシアでは、引用記事に報じられている3紙に加えて、欧米のメディアや政治家から敵視されているRTの編集長を務めるマルガリータ・シモニアンも言論の自由を守るためにゴルノフの釈放を求めていた。ロシアのメデイア界では幅広い支援があったのだ。

ゴルノフは6月11日に釈放された。驚くほどに急速な展開であった。

しかも、当局はゴルノフを麻薬ディーラーとして罠にかけようとした警察を調査することを約束した。ゴルノフの釈放は捜査当局が自分たちの間違いを認めた非常に稀な事例である。また、ロシアのジャーナリストが汚職事件や政治的腐敗あるいはプーチン大統領の個人的な生活について報じるには大きな困難が伴うことが露呈された。(出典:Russian journalist freed after police abruptly drop charges: By Nataliya Vasilyeva and Francesca Ebel, Associated Press, Jun/12/2019)

総じて、ブライアン・マクドナルドは「この出来事は潜在的には分水嶺的な瞬間である」という見方をした。これは歴史的な流れを直視した結果であると思われる。ロシアと西側とを比較する時、たとえば言論の自由について論じる時、今まではロシアには言論の自由がなく、言論の自由を享受しているのは西側だけだという見方が主流を成していた。ところが、相前後して最近起こった二人のジャーナリスト、つまり、イワン・ゴルノフとジュリアン・アサンジの逮捕劇を見ると、ロシアでは言論の自由が定着し始めているが、西側は言論の自由を投げ捨ててしまったと言える。今、真の意味で民主主義が所在する場所が入れ替わろうとしているのである。2019年6月はまさに時代の流れを変える分水嶺的な瞬間である。

ブライアン・マクドナルドのジャーナリストとしての冷静な分析、ならびに、旺盛な独立心に敬意を表したい。


参照:

注1: Russian media solidarity for Golunov contrasts with loathsome US/UK press bootlicking over Assange: By Bryan MacDonald, RT, Jun/10/2019,
https://on.rt.com/9w48






2 件のコメント:

  1. 記者ゴルノフ氏が逮捕されたことを知っていましたが,その全容が分からず聞き流しでした。ところが捜査当局が彼を釈放したというのですから,その理由もよく分からずそういう事もあるのかなと思った次第です。
    ジュリアン・アサンジ氏の場合は米政府に都合が悪いニュ-ズを世界に配信したという理由ですから,表現の自由,取材の自由,権力の悪を暴くといった字ジャ-ナリストとして当然のことをしたわけです。ですから,米国政府の引き渡し要求は到底許されるものではないと思います。米国憲法修正第一条は空文化しているのだと思います。
    しかしトランプ大統領は,「(アサンジ逮捕)はわが事に非ず」と言っていたと思います。またファウェイの孟晩舟逮捕もアルゼンチンの会議に出席しているとき知らされたという事ですから,どうもトランプの選挙公約にはない事が行われようとしているのだと思います。国務省や国防省に居残った高官がトランプを差し置いて勝手にやっているような気がするのです。
    ゴルノフ氏の場合はロシア国内問題ですが,アサンジ氏の場合は英国やエクアドルそして米国が絡み米国がアサンジ氏の「引き渡し」を求めています。またカナダ政府にはファウェイの孟晩舟氏の「引き渡し」を求めています。こう見ると容疑者「引き渡し」は国際社会一般または米国だけの問題なのかという疑問が湧きます。
    一方で最近の香港の大規模デモをみますと,日本では「逃亡犯条例」と翻訳されています。北京政府が香港政庁に「逃亡犯条例」の改正を要求しているというのです。ところが逃亡犯ではあまり意味が分からないのです。映像を観るに
    “NO. Extradition”とありますので容疑者「引き渡し」が原義に近い翻訳だと思うのです。そうするとアサンジ氏と孟晩舟氏と香港のデモがつながるわけです。
    ところで日本記者クラブで会見した香港のデモ指導者の一人周庭氏の会見を聞きましたが,少々,感情的で非論理的でした。例えば日本人でも香港に行った場合,北京政府から好ましからざる人物と見なされれば,北京へ引き渡されるというのです。大勢の日本人記者がいる中での煽情的な会見でした。
    香港のデモ,雨傘運動と聞けばCIAが後ろにいると直感的に思う小生です。CIAが北京政府を倒すためにデモや独立運動を仕掛ける…。
    そんなことを取り留めなく考えていたのですが,映像では黄色の傘がほとんどなく,白や黄色のヘルメットが目立ちました。また女性や母親も多数参加したというのです。
    香港はどんな政治体制になろうとも,英国政府との合意により2047年に北京政府に引き渡されます。一国二制度とはいえ,台湾とは別です。だから「引き渡し」条例が強化されても不思議ではないのです。その時期(中国化)が遅いか早いかの違いです。他国は内政干渉になりますので口を出せないわけです。もし人権侵害が酷いとするならばフランス政府の黄色いベスト運動に対する酷い仕打ちも問題にされなければなりません。
    また民主化を求めるデモという事ですが,香港には1997年の返還前には民主主義も自由もなかったわけです。英国総督府の厳しい監督下にあったわけです。 
    そんなことを考えていたら,今回の香港デモはCIAではなくて北京政府のヤ演技ではないかと思いついたのです。つまり,孟晩舟氏をカナダ政府から取り戻すための演技ではないのか。孟晩舟氏やアサンジ氏が米国政府が外国政府に「引き渡し」を要求しているように,北京政府が彼女を救うために仕組んだ香港デモではないのか。ゴルノフ氏やアサンジ氏はジャ-ナリストであるから表現の自由がある。孟氏とは関係ない。しかし香港の容疑者「引き渡し」デモは北京政府は米国政府と同じことをやっているに過ぎない,ですよとトランプに思わせるための演技なのではないだろうか。

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  2. 箒側兵庫助さま、コメントを有難うございます。

    返事が遅くなってしまって恐縮です。正直言いますと、香港での大規模デモに関しては表題を横から眺めていた程度であったので、箒側さまの懸念を読ませていただくまではまったく訳も分からないままでおりました。早速、最近の記事をあれこれ読んで、現状の把握に追いついたという次第です。

    大学の調査によると、香港に住む人たちは中国人と言うよりも、「香港人」という意識が強いようですね。若い人たちの間では中国人だと答えたのはたった3%だけだったとのこと。
    一方、香港には米英両国から大量の政治資金が流れ込んでいるのではないかと推測します。CIAから始まって、さまざまなNGO組織が米帝国のために世論の形成を行っているのだと思います。具体的な情報は持ち合わせてはいませんが、米英両国の通常の行動から察するに、大規模なデモについて他には説明のしようがあり得ないように思えます。
    香港人が最も嫌うのは自由の喪失と財産の喪失でしょうね。香港を巡る「一国二制度」体制は50年間の期限付きです。その期限が迫るにしたがって、香港から脱出する人たちが増えるかも知れません。

    長い中国の歴史を見ますと、まったく別の視点が存在するように思えます。「一国二制度」体制はあくまでも暫定的なものであって、香港の中国への返還を具体化するための妥協の産物だった訳ですから、時が来さえすれば、中国は大手を振って国益を追求し始めるに違いないと思います。そうすることによって150年間続いた英国の植民地支配から脱却し、今進行している50年間の暫定期間を経て、中国は中国としてのプライドを取り戻すという政治的悲願を実現しつつあるのだと考えられます。

    香港の居住者にとっては何らかの痛みが伴うかも知れません。民主主義社会に住んでいることに満足している日本にも日本社会に特有の痛みが存在します。社会面を賑わす事件やニュースを減給するまでもありません。香港ではわれわれ日本人が理解するものとは違った痛みがあるのだと考えます。


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