2015年1月22日木曜日

パリでの週刊風刺新聞社の襲撃には米国とイスラエルが関与していたと推測される ― ロシアの新聞およびトルコの高官が非難


私はこの事件が17日に発生した時、その第1報を読みながら、「この襲撃で、いったい誰が一番得をするのか」と自問自答していた。
昨年の7月、ウクライナ東部でマレーシア航空のMH17便が撃墜された際には、事故原因が何だったのかが判明する前から、西側のメデアでは「あれはウクライナ東部の反政府派の仕業だ」、「いや、あれはロシアの仕業だ」とか「プーチンは大悪党だ」といった大合唱が起こった。旅客機が撃墜されたその日からである。あの大合唱はあたかも予定通りの行動のようでもあった。しかしながら、あの時、冷静な分析専門家たちはこの撃墜事件によっていったい誰が一番得をするのかとの問いを発して、「ウクライナ政府だ」との答えに到達した。
あれから多くの時間が経過した。
結論を出すのをためらっているかに見えるオランダ政府主導の事故調査委員会の結論を待つまでもなく、政府の思惑に捉われず客観的な報道に専念する代替メデアや独立心が旺盛な分析専門家、ならびに、常識的な一般市民の多くは「もっともそれらしい下手人はウクライナ政府だ」という結論に到達した。
あの時学んだ教訓に基づいて今回も自問自答してみた。「パリでの襲撃事件ではいったい誰が一番得をするのだろうか」と。
パリのど真ん中で起こったこの惨劇の特異性を反映してか、さまざまな推測や見解が出回っている。特に、大手メデアが推進する筋書きとは一味もふた味も違う見解が幾つも提起されている。昨今の経験知から言えることは、これらこそが、通常、われわれ素人にとっては十分に吟味しておきたい情報である。
幸か不幸か、今や、われわれ一般庶民は政府や主流メデアが後押しする嘘に満ちた情報や情報操作を見抜くことができるだけの自衛をしておかなければならないのだ。これが911同時多発テロ以降の国際政治の中で生きるわれわれ一般庶民の現実の姿である。
日本の市民さえもが国際政治の混乱に巻き込まれようとしている。ふたりの日本人がイスラム国で拘束され、身代金を要求されているとのニュースが飛び込んできたばかりだ。このお二人が無事に解放されることを願うばかりである。
最近、このブログのタイトルに示すような表題を持つ記事が目に留まった [1]。まさに陰謀説あるいは自作自演説を示唆するような表題である。今日はこの記事に注目してみたいと思う。 

<引用開始> 

Photo-1: 月曜日に発行されたロシアのコムソモルスカヤ・プラウダ紙の第1面最上段には「パリでの惨劇ではアメリカ人が関与していたのか?」というタイトルが見られる。 (Photo: Liveuamap.com)


CNSNews.com】 先週パリで起こった襲撃事件をめぐっては、いくつもの陰謀論が飛び交ている。これらの陰謀論は通常の非主流のウェブサイトを遥かに凌駕するものだ。これらはトルコの政治家やロシアの中心的な新聞ならびにイランのメデアから発信されたものである。 
 
これらの陰謀論を示唆し主張する本人たちはシャルリー・エブド紙の事務所やコーシャ基準の食料品店の襲撃の背後には米国またはイスラエルの諜報機関が暗躍していたとする説を世間に信じて貰いたいようだ。3日間の襲撃によって、路上での襲撃を含めて、合計で17名の犠牲者が出た。
大量に購読されているロシアのコムソモルスカヤ・プラウダ紙は月曜日の第1面最上段の記事で「パリでの惨事ではアメリカ人が関与していたのかも」と題する記事を掲載した。
政治分析を専門とするアレクサンドル・ズーリン大佐はウクライナ危機における対ロ経済制裁を巡って米国とヨーロッパとの間に生じた温度差との関連性を指摘している。
ーリン大佐はモスクワ応用問題研究センター(Moscow Center for the Study of Applied Problems)という組織を率いている。フランスのフランソワ・オランド大統領が15日に対ロ経済制裁の継続に関して疑念を表明した直後、同大佐は近いうちにフランス国内でテロが起こるかも知れないと予測した。
米国は対ロ経済政策に関してはEUとの間の協調関係を強化することができる何らかの手法を必要としており、テロ攻撃を引き起こすのは「費用が掛からず、非常に効果的な」選択肢である、と同大佐は言う。
上記とは別に、コムソモルスカヤ・プラウダ紙はロシアの経済専門家であり、「ネオコノミスト」と称するコンサルタント企業を代表するミハイル・ハズン氏とのインタビューを行った。この襲撃によっていったい誰が一番得をするのかという問いを吟味し、彼が到達した結論はもっとも得をするのは米国だという。
「米国のエリートたちの間には幾つものグループがあって、それぞれのグループには今回の襲撃を遂行する理由や機会があって、それぞれがそういった行動を組織化する能力を持っている」と彼は述べている。 
今回の襲撃によって得をする者として、ハズンは英国やサウジアラビア、「イスラム国やアルカエダ、等」も挙げているが、後者の可能性はより小さいと判断している。
新聞に見られる別の報告によると、ある方面筋はこの襲撃に関して疑惑の念を伝えている。パリのカフェのあるウェイターはこう言った。「誰かがイスラム教徒とキリスト教徒との間で戦争が起こることを望んでいる…」と。 
イランでは、プレスTV局が自社のウェブサイトで米国の元財務省高官であり、コラムニストでもあり、911同時多発テロについては陰謀説を唱えているポール・クレイグ・ロバーツの記事を掲載している。シャルリー・エブドに対する襲撃は「フランスの米国への追従をテコ入れするために意図されたものだ」と彼は記述している。
「容疑者たちは確かに罪を犯したが、彼らは犠牲者でもある」と、ロバーツ氏は述べている。「FBIによって仕掛けられたテロリストの企みはすべてが米国人にとってはあたかも本物であるかのように作り上げられている。」 
ロバーツ氏自身のウェブサイトを覗いて見ると、他の情報源から入手した情報も報告している。それによると、パリでの襲撃は「自作自演」であったと言う。即ち、噂に登った犯人を追跡するように綿密な秘密作戦が練られ、実際の黒幕の正体は隠されたままである。
「これが自作自演であろうとなかろうと、より広範な目的、あるいは、複数の目的のために銃の乱射が行われたのだ」と、彼は述べている。
上記の複数の目的には「フランスを米国の衛星国に引き戻すこと」や「パレスチナに対するヨーロッパの同情心を抑えること」ならびに「中東戦争に対するヨーロッパの反対を抑えること」が含まれている、とロバーツ氏は述べている。

イスラム世界に対する企み:
トルコの首都アンカラで長年市長を務めているメリ・ゴクチェクは、この日曜日に「イスラム教徒によるイスラム教徒のための正義と発展を推進する党(AKP)」による若手党員の会議において演説をし、モサドの介入を指摘している。
公共のアナトリア通信による報告によれば、フランス議会が最近パレスチナ国家を支える投票をしたことにイスラエルが立腹していることを理由に挙げ、ゴクチェクはイスラエルの諜報機関が黒幕であるとして非難した。
「イスラエルは、紛れもなく、ヨーロッパに親パレスチナの機運が高まることを望んではいない」と彼は述べた。「それ故に、この種の事件ではモサドが黒幕であることは確かだ。彼らは事件を引き起こしてイスラム教徒に対する嫌悪感を煽っている。」 
トルコの国会議員でありAKPの古参党員でもあるアリ・サヒンは、イスラム教徒に対する信用を破壊するために、シャルリー・エブドへの襲撃は「映画の一場面のように作り上げられている」とツイッターで述べた。
パリでの襲撃事件は報道されている内容がすべてではないと主張するトルコの指導者の間では、エルドガン大統領の言葉がもっとも影響力がある。彼は、もちろん、襲撃の当事者を厳しく非難している。 
「テロ行為は何もない真空状態に起こるのではないことに留意して欲しい」と、アンカラでのパレスチナ自治政府のアッバス議長との共同記者会見でエルドガン大統領が述べている。「これらのテロ行為は周到に練り上げられた筋書きにしたがって実施されたものであって、われわれはイスラム世界に対して行われる陰謀に敏感でなければならない。」 
エルドガン大統領はイスラエルを酷評する政治家として知られ、米国がテロ組織としてリストに挙げている「ハマス」を支援しているが、この機会を利用して、他の国の指導者たちと一緒にこの日曜日にパリでの反テロの大行進に参加したネタニヤフ首相を厳しく非難した。 
「彼がどうしてあそこへしゃしゃり出たのか私には理解できない」とのエルドガン大統領の言葉をアナトリア通信が報告した。「ガザでは2,500人もの市民を虐殺する国策テロを実行した」と述べて、ネタニヤフ首相を強く非難した。
<引用終了> 

ここで、引用記事の著者についてプロフィールをご紹介しておこう。
パトリック・グッドイナフPatrick GoodenoughCNSNews.comの国際版の編集に従事している。専門分野としては政治、セキュリテイー、テロ、倫理、宗教ならびに国際関係を網羅する。パトリックは南アフリカや中東で政府や政治に関連する分野を担当し、Daily DispatchEast Cape通信社およびエルサレムのICEJにて仕事をしてきた。彼の記事は他のメデアでも幅広く報道されている。彼はCNSNews.comのためにエルサレムやロンドンならびに環太平洋地域で海外支局を立ち上げ、海外特派員を監督している。グッドイナフは南アのイースト・ケイプにある「民主的ジャーナリスト協会」の副議長を務めた。南ア海軍の退役軍人でもある。著者のウェブサイト:Cybercast News Service 

パリでの襲撃事件の容疑者は射殺されてしまって、もはや本人たちからは何も聞くことはできない。しかしながら、この事件についても遅かれ早かれ新たな真相、あるいは、それに近い事実をさらに知ることができるかも知れない。
国際政治の世界では混迷が深まるばかりだ。人類は物的な富や権力に貪欲になるばかりで、他者との協調や妥協あるいは他者に対する慎みを忘れてしまったかのようだ。常識を逸した極端な行動をとることが頻繁にみられるようになった観がある。米国が唱える「米国の例外主義」は米国政府が国際法を無視した対外政策をとることに格好の理由付けを与えている。
極端な政治要求を掲げるのは過激な活動家の専売特許というわけではなく、一般庶民を政治の面でリードする政治家の間にも過激な発言をして人気を高め、票を集めようとする政治家が増えているような気がする。その一方、われわれ庶民にとっては自分たちの意見や好みを政治の世界に反映させるための選択肢が狭まっているかのようにも思える。
これは何故だろうか?われわれの政治に対する無関心が結果としてこのような状況を到来させてしまったのだろうか?ここで言う政治に対する無関心とは主流メデアが流す情報に頼り切っているわれわれ自身のことである。要するに、主流メデアだけに頼っていると政府や経済界が言いたいことだけがわれわれの耳に伝わり、不都合と思われる情報はフィルターにかけられ、排除されてしまっている。情報操作が巧妙に行われており、政治に対する不信は募るばかりである。
あるいは、民主主義がついに機能しなくなったのだろうか?商業主義に陥ったメデアにおけるジャーナリズム精神の欠落が現状をさらに悪化させているのだろうか?
このような状況は、私が感じるところでは、その程度には差があるとは言え、日本でも、米国でも、そしてヨーロッパでも、今や、丸っきり同一のプロセスが進行しているような気がする。 
 

参照:
1Russian Media, Turkish Politicians Suggest U.S., Israeli Involvement in Paris Attacks: By Patrick Goodenough, CNSNews.com, Jan/13/2015

 

 

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