フランスのマクロン大統領はウクライナへ派兵すると繰り返して述べている。
思うに、同大統領の判断は1月にウクライナで二番目に大きな都市であるハリコフで60人ものフランス人傭兵らがロシアの爆撃に見舞われて死亡したことに対する報復なのかも知れない。あるいは、アフリカの旧植民地からフランス軍が放逐され、それに代わって、ロシアがアフリカに進出してきたことに対する報復であるのかも知れない。あからさまな報復ではないとするならば、報復したいという潜在意識がこの決断をもたらしたのかも知れない。要するに、今のNATO軍の実力を見ると、ロシア軍には対抗できないのではいかとの懸念が高まる一方であるからだ。ましてや、フランス軍単独ではなおさらである。
フランスは他のNATO加盟国からの賛同を得たと公言しているが、実際には賛同はかなり限られているようだ。他の報道によると、NATO諸国はほとんどがウクライナへの派兵には反対だという。
ところで、1月18日のスコット・リッターの解説によると、ウクライナにおける外国人傭兵に対するロシア側の対応は下記のような具合だ:
ウクライナ軍の大攻勢作戦が失敗に終わった後、ウクライナが失った人的資源を補充するために外国人傭兵が採用された。1月17日、ウクライナ北東部の都市ハリコフが攻撃され、ひとつの建物が爆撃され、60人の外国人傭兵が殺害された。クライナ第二の都市に武装したフランス人がいたことから、彼らはいったい誰のために働いているのかという憶測が飛び交っていると、元米海兵隊情報将校で国連兵器査察官を務めたスコット・リッターはスプートニクに語った。これはNATOの対ロ代理戦争へのフランスの秘密裏の直接関与を暴露する可能性があると彼は述べている。「ウクライナ側のために戦っているならば、国籍が何であろうとも、今や、ロシア側の正当な標的となる」とリッターは指摘。リッターはこの攻撃についてふたつの重要な側面に焦点を当てた。ロシアの軍事計画立案者らは、もはや、外国人傭兵とウクライナ兵を差別してはいないことを示している。「ロシアは、ウクライナ軍のために戦っている外国人傭兵を排除することに何の躊躇も示していない」と彼は述べた。また、フランス軍がウクライナの対ロ紛争に直接関与している可能性も浮上している。(出典:Scott
Ritter: Russia Won’t Hesitate to Eliminate Western Troops in Ukraine: By Sputnik,
Jan/18/2024)
ロシアの外務省は西側から送り込まれて来る武器に関して、それらはロシア軍の正当な攻撃目標になると繰り返して警告して来た。こうして、西側から投入された戦車や対空防衛システム、レーダー装置、等が、連日、ロシアの攻撃によって破壊されている。外国人傭兵も例外ではない。
フランスのマクロン大統領の主張に関して、ここに最近の記事がある(注1)。「マクロンのウクライナへの派兵はオデッサへおしっこをひっかける犬みたいなものだ」と題されている。
ウクライナへ送り込まれたフランスの正規軍は、遅かれ早かれ、ロシア軍からの攻撃を受け、死傷者が出る。NATO条約第5条に則ってフランスはその適用を提言し、NATO加盟国の軍隊を公にウクライナへ送り込ませることになる。この場合、問題ははたして他のNATO加盟国が積極的に第5条を適用し、自国軍をウクライナへ派遣するのだろうかという点だ。マクロンの行動は他のNATO加盟国に何らの影響をも与えない可能性が残る。もしもフランスの勇み足に終わったとすれば、マクロンはこの政治的賭けには失敗したこととなる。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
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ロシアのセルゲイ・ナルイシキン対外諜報局長官は、火曜日(3月19日)、フランスはウクライナのオデッサ地域に数千人のフランス軍を配備する準備をしていると警告した。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領がオデッサに約2,000人の兵士を配備する計画は「人間でできた導火線部隊」としてのみ機能し、それは「NATOがオデッサにおしっこをかけて、NATOの領土としてマーキングする犬に等しい」と、国際関係と安全保障の専門家であるマーク・スレボダは、水曜日(3月20日)、スプートニクの「クリティカル・アワー」に語った。さらに、彼はこの例えにおいてはフランスは「プードル」だと付け加えた。
同火曜日、フランス陸軍参謀総長ピエール・シル大将はフランス軍は「最も厳しい交戦」に対応する準備ができているとオプエドで述べ、30日以内に2万人の部隊を手配することができると述べた。
「彼は間違っている。フランス軍は、間違いなく、そんな準備はできてはいない」とスレボダは将軍の主張についてコメントした。もし彼らが、キエフ政権が余儀なくされているように、ロシア軍より遥かに少ない砲弾を発射しなければならないような激しい戦闘に巻き込まれたならば、フランスはロシアとの交戦では4日間に相当する砲弾は持っていることになる。たった4日間だ」とスレボダは説明した。
それに比較すると、ロシアや西側の分析によれば、ロシアは特別軍事作戦地域に60万人以上の兵力を配備している。「もちろん、NATO条約第5条は適用されないが、フランス軍は制服を着ているので、NATO加盟国を攻撃することを恐れて、ロシア軍はこれらのフランス軍に対しては発砲しないとフランス側が信じている可能性がある」とスレボダは説明した。
スレボダは、もしもフランス軍兵士がロシア軍に殺されたならば、国内では紛争への支持が高まり、他のヨーロッパ諸国が戦闘に加わるよう「政治的に動員する」のを助けるであろうとマクロンは考えていると思うと付け加えた。
「もしマクロンがオデッサに軍隊を派遣したとしたら、明らかに、それは戦場でロシア軍と激戦を繰り広げることができるような部隊ではなく、人間でできた一種の導火線部隊としての役割だと思う。それは、NATOがあたかもオデッサにおしっこをひっかけて、そこをNATOの領土だとしてマーキングする犬みたいなものだ」とスレボダは述べた。
「もちろん、公式に軍服を着ているNATO軍兵士がウクライナで死亡するのであるから、それはわれわれをまったく別のレベルに連れて行くであろう」と彼は警告した。
スレボダは「非常に大きな情報戦ゲーム」になり、その標的はフランスの国民や他のNATO加盟国の国民であると予測する。フィンランドやチェコ共和国、バルト諸国、カナダがフランスに加わる可能性を「すでに示唆している」と彼は指摘している。
共同司会者のウィルマー・レオンが、マクロン大統領は「背後からの途方もない兆しは見えていない」と本気で信じているのかと尋ねると、スレボダはNATO特有の「サラミ切り戦術」とも言えるような漸進主義を描写して、答えた。
「NATOの指導者たちは、今や、公然と認めている。そう、まったくその通りだ。われわれはウクライナ全土に軍隊を配備している。彼らは戦闘のあらゆる作戦に深く関与してきた」と彼はスペインの新聞を引用して語った。「ウクライナ以外で、つまり、この代理戦争のパラメーター以外ではロシアはNATOに対していまだに報復行動をとってはいない。だから、これは彼らが漸進主義を使って何とか乗り越えられると信じているもうひとつのエスカレーションだと思う。」
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これで全文の仮訳が終了した。
「ロシア軍より遥かに少ない砲弾を発射しなければならないような激しい戦闘に巻き込まれたならば、フランスはロシアとの交戦では4日間に相当する砲弾は持っていることになる。たった4日間だ」というスレボダの説明には驚いた。フランス軍は砲弾の備蓄は非常に少ない。それでも、マクロンはロシアに喧嘩を売るのか?彼の政治的な目標、あるいは、利益はいったい何なのだろうか?
米国の戦争屋はNATOに対ロ代理戦争をやらせたが、その目標は達成できずに終わりそうだ。肝心の米国の真意は、今や、この秋の米大統領選を控えて、選挙民には人気がなく、莫大な額の戦費を浪費しているこの戦争が長引くことは米国政府や民主党にとってはマイナスだと思う。ましてや、NATOとの戦争に発展すると核大国間の戦争に発展する危険性があり、米国としては米本土が核攻撃に曝されるような現実は間違いなく避けたい筈だ。そう判断するだけの正気は維持して欲しいものである。
参照:
注1:Macron Sending Troops to Ukraine ‘Like a
Dog Urinating on Odessa’: By Ian DeMartino, Sputnik, Mar/20/2024
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