性同一性障害に悩む人たちやLGBTの方々は社会的少数派として不当な扱いを受けることが多かった。歴史を見ると、近年だけでも、日本においても、そして、多様性が早くから議論されてきた米国においても悲惨な結末を招く事件があった。
日本で初めて性的少数派の権利が認められ、行政側に対して裁判所で勝利を勝ち取った事例は「府中青年の家事件」(1990)であったという。また、「一橋アウティング事件」(2015)においては、恋愛感情を告白した相手によって一方的に暴露された男子学生が投身自殺をするという極めて悲惨な展開となった。米国においては、性的少数派のための社会的運動の嚆矢となった出来事は「ストーンウォール事件」(1969)であった。当時、米国のほぼ全域で同性間性交渉を禁止する法律(通称:ソドミー法)が適用されていた。たとえ成人間の同意に基づいていようとも、性交渉を持ったことが明らかになった同性愛者らは罰金刑や自由刑を科せられ、解雇も違法ではないという時代であった。性的少数派に対する風当たりの強い社会情勢の中で、ゲイバー「ストーンウォール・イン」で事件が起きた。令状を手にしてストーンウォール・インを訪れた警察官が店員たちを逮捕したことに対し、同性愛者らが警察官に初めて抵抗したのである。(出典:【日本・アメリカ】LGBTの歴史を変えた事件 まとめ6選:著者:
JobRainbow編集部、Jun/05/2021)
最近の米国社会を始めとする西側諸国では、性同一性障害に悩まされている人たちにはホルモン療法だけではなく、性転換手術を行うことも選択肢として存在する。だが、問題は子供たちだ。親にも相談できず、毎日のように出口が見えない葛藤に悩まされている若年層の子共たちの場合だ。しかも、対応はまだ歴史が浅く、医学的にも手術の手法が確立されているとは限らない。しかも、数年後に気持ちが変わって後戻りをしたくても、そうすることは極めて困難な、新たな手術が必要となる。この新しい医療分野に参入する医師は少なくはないらしい。まだ腕が上達してはいない、若い医師に遭遇すると、患者はその後の人生を左右するようなとんでも健康被害に見舞われる可能性もある。そして、もっと大きな視野で観察すると、LGBT問題を社会問題として扱うことは人口低減策の一環としての役割も与えられているようでさえある。
こういった状況を受けて、米国のあるベテランの医師は次のように警告している。「心がまだ発達途上にある子供たちに、このような若い年齢で人生を変えるような決断をさせることは危険であり、しかも破壊的である。特に、自分は異なる性別に適合していると信じる子供たちの約90%は、医学的介入がなくても、身体が発達し、成長するのに任せておけば、大人に成人した頃には若い頃に抱いていた思いはもはや消えてしまう。」(出典:Protecting
Minors from Gender Ideology: By Peter A. McCullough, MD, MPH, Jun/17/2023)
ここに「性転換治療に潮目の変化」と題された記事がある(注1)。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。身近に思春期のお子さんをお持ちの方々に少しでも参考になれば幸いである。
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昨年6月、私は保健省次官補のレイチェル・レヴィンを未成年者に対して大規模な暴力を幇助したとして非難したが、あれは同「提督」が「若者たちのために性同一性障害の治療を肯定することは文字通り自殺予防策でもある」と宣言した後だった。
だが、これは地獄からの宣告であり、親に子供を屠殺することに同意するよう促すものであって、最も暗黒で、感情的な恐喝でさえある。いったいどのような親がレヴィン提督から医学的、精神医学的、または性的な問題についてアドバイスを受けるのだろうかと疑問に駆られる次第だ。
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ついに、子供の虐殺を主張する精神病に冒された大人の犯罪組織に対して潮目が変わりつつある。昨日、テレグラフ紙が下記のように報じた:
フランスの上院議員は未成年者の性転換を「医学史上最大級の倫理的スキャンダルのひとつである」と報告し、18歳未満の性転換治療を禁止したいと考えている。
このニュースは英国のNHS(国民医療サービス)が臨床医に思春期遮断薬の定期的な処方をやめるように指示した直後に報じられた。BMJ(British Medical Journal)で報告されているように:
この決定は、NHSイングランドがイングランドで進められている子供の性別自認に関する対応策に対する全面的な見直しの一環として、3月12日に発表された。NHSイングランドは新しい指針で「現時点では、PSH(思春期抑制ホルモン)の安全性や臨床的有効性を裏付ける十分な証拠はないため、治療を日常的に利用できるようにすることはできないと結論付けた」と述べている。
私はこれをピュロスの勝利と特徴づけようと思う(訳注:「ピュロスの勝利」とはウィキペデイアによると、「損害が大きく、得るものが少ない勝利」、つまり「割に合わない」という意味の
慣用句)。なぜならば、それは未成年者の性別適合治療を完全に禁止するのではなく、その一歩手前で終わっているいるからだ。さらには、思春期を抑制するホルモンは恐ろしい薬であることは常識の観点からでさえも明らかであるからだ。
マッカロー博士の同僚でもあるスタンリー・ゴールドファーブ博士は何年も前からこの状況について警鐘を鳴らしてきた。2022年4月の設立以来、彼の組織「Do No Harm」は略奪的で、気が変な大人たちから未成年者を守ろうとしている。
ゴールドファーブ博士は公的資金で私腹を肥やしながら新型感染症用の「お注射」を人類に押し付けたバイオ医薬品複合体に反対をして来たけれども、「性同一性障害の治療」という子供をむさぼり食う怪物に対抗する戦場においても前進をしているようである。
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これで全文の仮訳は終了した。
フランスの上院議員たちはかなりまともな判断をしたと言えよう。また、英国のNHSが臨床医に思春期遮断薬の定期的な処方をやめるように指示したという。これらの決断を賞賛したいと思う。
思うに、西側におけるいわゆる「ポリコレ」の風潮は余りにも過激になり過ぎた。
西側各国の混乱振りはその頂点に達したようだ。そのような混乱の中でお金儲けとしての性同一性障害の治療はさまざまな新しい問題をもたらしている。
英国の医学論文によると、性転換を行った男女の死亡率は生まれつきの性を維持している男女よりも死亡率が高い。ジャクソンと彼の同僚らは男性として生まれたが女性になった人たち(1,951人。平均年齢は36.9歳で、白人が1,801人[92.3%])、ならびに、女性から男性に性転換を行った人たち(1,364人。平均年齢は29.2歳)について、最近、調査を行った。性転換を行ってはいない通常の人たちから成る対照区は68,165人(白人が59,136人[86.8%])の男性と68,004人の女性(白人が57,762人[84.9%])で構成される。通常の成人男性の対照区と比べ、女性となった男性の総死亡率は増加した(平均相対リスクは1.34。95%信頼区間は1.06~1.68)。通常の成人女性の対照区と比べると、男性となった女性の総死亡率も増加した(平均相対リスクは1.75。95%信頼区間は1.08~2.83)。性別を変更した人の最も顕著な相対リスク要因は自殺と殺人である。これらのデータが示唆していることは、背景となる性別違和感、ならびに、性転換のプロセスから生じる精神医学的負担や行動的決定要因が生まれつきの生物学的性別から反対の性別への変更を選択した人たちが比較的若い年齢で死亡したことに寄与しているという点だ。(出典:Analysis of
Mortality Among Transgender Individuals: By
Peter A. McCullough, MD, MPH, Apr/09/2023)
また、米国においては奇妙な現象が起こっている。州知事が民主党系である州においては州法として子供の性別志向を両親には知らせず、秘密にすることが学校関係者に要求されることがある。それに対して、現場の教師や親たちが裁判所で争い、教育委員会に対して勝訴するといった事例が現れている。象徴的な事例を次に示そう。2023年9月14日、連邦判事はカリフォルニア州のエスコンディード統一学区がカリフォルニア州教育省が発行した生徒の性別移行を親に秘密にしておくよう教育者に奨励する指針に従うことに拒否したふたりの教師を罰することを阻止した。ロジャー・T・ベニテス判事は州とエスコンディード統一学区に対してこの政策は違憲であるとして仮差し止め命令を発した。教師のエリザベス・ミラベリとロリ・アン・ウェストは州と学校区が憲法上および宗教的権利を侵害していると主張した。ふたりとも4月に訴訟を起した後、有給の休職へと移行されたが、教室での仕事に復帰するために学校区側との交渉をしている。これらの教師はエポックタイムズ紙に対し、中学校の女子生徒の性転換は「社会実験」であり、それが社会に伝染していると語った。少女たちが学校の相談員のところに行くと、「たくさんの賞賛や肯定」の言葉を受け、「勇敢」で「正直」だと称賛されるとウェスト教師は言う。(出典:Parents,
Teachers Start Winning Court Battles Against Secret Gender Transition Policies:
By Brad Jones, The
Epoch Times, Oct/05/2023)
一言で言えば、カリフォルニア州政府やエスコンディード学校区がとった行動は傲慢であり、やり過ぎがあったと言える。権力を行使する側に対して市民の側から歯止めをかけることは容易ではない。特に、メデイアが権力側に忖度している場合はなおさらのことである。だが、その揺り返しが今起こっているのである。
最後にもうひとつの重要な側面を付け加えておこう。性同一性障害に悩まされている子供たちに対するカリフォルニア州政府や学校区側の行動を見ると、子供たちの両親に対する配慮は見られず、学校側の指導や子供たちとのやり取りは両親には秘密にされ、彼らはつんぼ桟敷に置かれた。親権は剥奪され、性転換治療を施すことによって子供たちの将来が独善的に決定される。もしくは、そういった方向へ子供たちが誘導される。場合によっては、上にご紹介した英国のデータが示すように極めて不幸な活末をもたらす可能性さえもがあるというのに・・・ 奇しくも、全世界が新型感染症のお注射で最近観察し、自ら体験し、あれこれと苦労させられた状況とまさに瓜ふたつである。
このような状況は英国や米国に限ったことではない。ヨーロッパでは各国でさまざまな出来事が起こっている。まさに、これは過剰なポリコレが引き起こした社会現象だ。だが、英国や米国では潮目が変わった。
さて、日本ではLGBT法が昨年6月に成立し、6月23日に施行された。その結果、これからどのような新しい問題が生じるのかは国民一人一人が注視して行かなければならない。英米で起こったような悲惨な状況は絶対に再現させてはならないからだ。
参照:
注1:Tide Turns On
"Gender-Affirming Care": By
JOHN LEAKE, Courageous Discourse, Mar/24/2024
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