米国の大手メディアの節操の無さについては米国の一般庶民も多かれ少なかれ気付いていたと私は思う。そのことは、特に、昨年秋の米大統領戦で顕著になった。そして、今も続いている。その結果、米政府は機能麻痺寸前の状態に陥っているようである。
しかしながら、最近、ある変化が表面化してきた。私には、これは結構大きな変化ではないかと思えるのだが、どうであろうか。ロシア・バッシングを推進する大手メディアの一角にあるCNNニュースのあるディレクターが迂闊にもボールを落としてしまったのだ。そして、そのことが公開された。
本日は、そんな新たな状況を伝える記事 [注1] をご紹介したいと思う。この記事の表題は「CNNがうっかり秘密を漏らす - ロシア・ゲートはでっち上げ、トランプを不要に悪魔視」と記している。
<引用開始>
Photo-1:
CNNの本拠。© Russell Boyce / Reuters
米国の商業メディアはトランプ大統領がロシアと和解すること、あるいは、仕事上の関係を築くことを困難なものにしようとしているが、ロシアとの和解はトランプの選挙運動中の約束のひとつであった、と以前MI6に勤務していたアニー・マソンがRTに語っている
[訳注: ウィキペディアで調べてみたところ、アニー・マソンが勤務していたのはMI6ではなく、MI5である]。
米国のCNNニュースのあるプロデユーサーは同社のロシアに関する報道はしっかりした事実を伝えるよりも、むしろ、視聴率を上げることを狙ったものだと喋っているところをカメラに収められてしまった。
調査報道グループの「プロジェクト・ヴェリタス」は隠しカメラで収録した会話を公開した。これは大分前から何人もの人たちによって指摘されて来た見解をCNNのプロデユーサーのひとり、ジョン・ボニフィールドが表明したものである。
RT: 「プロジェクト・ヴェリタス」は隠しカメラを用いることで知られていますが、彼らのやり方についてはどう思いますか?録画された人たちには公正であると思いますか?
アニー・マソン: 確かに、何らかの説明がないことには判断は難しく、しっかりとしたメディアの説明が求められると私は考えます。メディアというものは犠牲者には目を向けますが、メディア自身の仕事の仕方に関しては透明性を保とうとはしません。これが本物のビデオであるとするならば、われわれの多くがすでに感じていたことを実証するものだと言えます。このフェークニュース、つまり、ロシアゲート関連の報道はドナルド・トランプが選挙運動中に約束したロシアと和解すること、あるいは、仕事上の関係を築くことを難しいものにしようとするものであって、でっち上げは続いています・・・
ただ単に視聴率のためであるかどうかは私には確信がありません。これには政治的な側面もあると思います。CNNを視聴する人たちは反トランプであると言えるでしょうから、彼らは反トランプ報道を視聴したいのです。あなたが誰であろうとも、また、あなたの政治的見解がどうであろうとも、事実そのものは神聖です。もしも事実を何としてでも操作しようとするならば、それは非常に大きな懸念を呼び起こします - これは独立したジャーナリストでもあり、コメンテーターを務めるマーティン・サマーズの言葉。
Photo-3:
RT: このCNNのプロデユーサーはビデオで同社のロシアに関する報道はほとんどが視聴率を高めるためだと言っています。これを聞いて、大手メディアの編集態度あるいは文化をどのように思いますか?
アニー・マソン: 図らずもこれは大手メディアが考えていることは帳尻についてだけだということを示していると思います。理由や原因を説明するために権力を握っているわけではなく、読者の見識を高めるために真実を伝えようとしているわけでもないのです。たった数日前のことですが、3人の職員が辞職せざるを得ないこととなりました。彼らはロシアに関してフェークニュースを掲載したからです。他にも、もう一人がトランプのチームのひとりとロシアの銀行とが謀議を図ったと報じようとしたことが表面化しています。これも撤回しなければなりませんでした。われわれは、今回も、同じことを繰り返して見ています。これはCNNだけのことではありません。
ワシントンポストで何が起こったのかに関して見てみましょう。昨年、同社はロシア人によるハッキングに関して2本の反ロ記事を出版しました。これらが嘘であることは検証可能でした。彼らはこれらの記事を撤回しなければなりませんでしたが、撤回の記事は非常に小さく、その気はさらさら感じられませんでした。結局のところ、読者が実際に記憶するであろう内容はロシア人が米国の送電網にハッキングしようとしたという点です。本件は一台のパソコンがマルウェアに感染し、たまたまそれがバーモント州の送電網で働く従業員と関わっていたのです
[訳注: つまり、送電網云々はロシア人によるハッキングとは無関係だった]
。また、ワシントンポストは隠れた存在である「PropOrNot」と称するグループが作成したブラックリストを出版しました。これらの連中がいったい何者であるかは誰にも分からないのですが、彼らは200もの独立系のニュース配信社をリストアップして、これらはプーチンの「便利な愚か者」だと称したのです。あれはプロパガンダでした。実際には、まったく逆の状況に注目してください。プロパガンダはワシントンポストやCNNのような組織から発信されているのです。
私に言わせると、フェークニュースはアメリカ中でたくさん出回り、頻繁にトランプ大統領をぶちのめそうとする。基本的には、メディアはトランプ大統領が好きではない。彼らはトランプが米国市民によって選出されたという事実が好きではないのだ。彼らは彼を葬り去ろうとして全力を尽くしている。 ― これはスコットランド選出の欧州議会議員であるイギリス独立党のデビッド・コバーンの言。
RT: 前FBI長官のジェームズ・コミ―さえもが匿名の情報源から伝えられたとするトランプとロシアとの繋がりに関する多くの記事は誤解を招く恐れがあると述べました。既知の情報源を防護しようとするジャーナリストと出所不明の記事を掲載することとの間の境界線はいったい何処にあるのでしょうか?
アニー・マソン: これは問題です。これこそが今週の始めにCNNがロシアに関するフェークニュースを撤回しなければならなくなった理由です。なぜならば、彼らはひとつの情報源だけに頼っていたからです。これはジャーナリストの慣習に反するものです。記事の印刷を行う前にその記事の裏付けを取っておく必要があります。われわれが目にしているのはわれわれがかって信頼していたニュースの配信元が政治化されてしまっているということです。これこそが視聴者が伝統的な大手メディアからは立ち去ろうとしている理由なんです。一般大衆は複数の情報源からの情報を読み、複数の見解を観察して、自分の意思を決めたいのです。一般大衆は諜報関係者ほどには騙されやすくはないのです。諜報関係者はこれらのニュースの提供元を多いに操作しようとし、企業メディアは一般大衆は騙しやすいと思っています。
注: この記事に表明された声明や見解ならびに意見は全面的に著者のものであって、必ずしもRTの見解や意見を反映するものではありません。
<引用終了>
これで仮訳は終了した。
どこの国の政治でも見られることではあろうが、政治が嘘を積み重ねて、一方向に向かって走ると、ある時点で限界に達してしまって、さらに先へ進むことは難しくなり、ついに、逆方向へ向かって動き出すことがある。
本日このブログに掲載した記事を読んでみて、米国におけるロシア・バッシングにまつわるフェークニュース騒ぎはついに限界に達したような気配を感じる。数多くの事実無根の記事を流して、CNNの視聴率が上がったとしても、CNNはこれを見て喜んでいることはできないと思う。ビジネスの帳尻を最優先し、ジャーナリズムの本質を忘れているCNNやワシントンポストの正体をはっきりと見てしまった今、心ある視聴者はこれらの大手メディアを頼りにし続けることはできないであろう。
CNN離れやワシントンポスト離れがこれから進行するのではないだろうか。他の大手メディアにとっても問題の深刻さは多かれまったく同様である。
このような現状を見るにつけ、素人考えではあるが、インターネットを有料化しようとする考えは大手メディアやそれを後押しするウオールストリートから出て来たのではないかと勘ぐってしまう。「誰が一番得をするのか」という定石から判断すると、他には答がないと思えるのだが、どうであろうか。
参照:
注1: CNN spills the beans: ‘Russiagate is fake,
Trump being demonized': By RT, Jun/27/2017,
https://on.rt.com/8g82
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