2018年4月3日火曜日

スパイ、嘘、戦争の宣伝 - もうひとつの陰謀が形成されつつある

英国のソールズベリーではスクリパル親子(父親と娘)に対する毒殺未遂事件が起こった。これは34日のことだ。英国側に言わせると、ロシアが開発した神経ガスが使用されたとのこと。オランダのハーグに本拠を置く「化学兵器禁止機関(OPCW)」から検査官が送り込まれ、現場検証が始まっている。詳細な分析結果が得られるまでには少なくとも3週間が必要だと言う。

しかしながら、その結果が出る前に、米英両国やカナダ、EU諸国はかなりの数のロシア大使館の職員を追放するという具体的な強硬処置をとった。OPCWの公式見解はまだ発表されてはいないというのに・・・
この状況はいったい何を示唆しているのだろうか? 

米英両国はOPCWが行おうとしている専門家による調査報告にはまったく関心がないかのように見える。要するに、米英両国はOPCWと談合済みで、彼らが公表する調査結果の内容はすでに決めてしまっているということかも知れない。あるいは、OPCWには独自の調査をやらせ、調査結果を発表させたとしても、今進行している自作自演作戦は何ら変更しないということかも知れない。
これは2003年におこったイラク戦争の前に米国が大量破壊兵器の存在を喧伝した時の状況、あるいは、ウクライナでのMH17便撃墜事件に関するオランダの安全委員会を中心とした国際調査団が結論を出した時の状況とよく似ている。状況を総合的に判断すると、英国政府は所定のシナリオに沿ってブルドーザーの如く強引に事を進めようとする。

しばしば指摘されているように、国際法の遵守や国際機関の報告を受け取って、それに基づいて何らかの処置を取らなければならないのは覇権国以外の国々のことであって、米国自身(その筆頭従属国である英国も含めて)のことではないと言わんばかりである。

陰謀に次ぐ陰謀だ。
ここに、「スパイ、嘘、戦争の宣伝 - もうひとつの陰謀が形成されつつある」と題された最近の記事がある [1]

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。

 
<引用開始>

西側の国々や主流メディアは自分たちは敵国が戦争行為を行ったという証拠を持っていることをどのようにして国民に向かって告げるか、あるいは、他国に干渉するに当たっては自国の安全保障との関連からその証拠を公表することはできないということをどのように説明するか、あるいは、敵国がやったことが何であるにせよ、自分たちの第六感からは敵国がやったのだと告げて、後は国民がそうした物語を信じてくれることを期待するのは、どう見てもすべてが狂気じみている。代替メディアに身を置くわれわれは、政府文書や写真、世界の指導者が述べたことの引用、報告書、世界中の著名なジャーナリストや専門家による事実に基づいた分析内容を含めて、それこそ山ほどの証拠を示すことができる。しかしながら、われわれは西側の政府や主流メディアには陰謀論者と呼ばれる始末だ。
ロシアは、今、元ロシア人スパイを毒殺しようとしたとして非難されている。今回はセルゲイ・スクリパルと彼の娘ユリアである(前の事件ではアレクサンダー・リトヴィネンコが犠牲者となった)。英国のソールズベリーに居住するこの親子はロシアによって開発された軍事用神経ガスによって毒殺されるところであった!何と好都合なことであろうか。ちょうど、米国とその同盟国は一般市民に対して化学兵器を使ったとしてシリア政府を非難しているところであった。しかし、現実には(しばしば証明されてはいるのだが)、化学兵器攻撃を仕掛けたのは米国が支援するテロリスト、あるいは、反政府勢力である。西側の政府や主流メディアがその敵国を恒常的に大量破壊兵器と結び付けようとするやり方はまさに驚くほどである。たとえば、ニューヨークタイムズは227日に「国連、北朝鮮とシリアの化学兵器プログラムとを結びつける」と題する記事を流し、国連の調査によれば北朝鮮はシリアへ化学兵器製造用の部品を供給したとして下記のように報じたのである: 

北朝鮮はシリア政府に対して化学兵器の製造に必要な部品を供給して来た、と国連の専門家が強く主張している。
米国やその同盟国が、ダマスカス近郊の東グータで一般市民に対する攻撃のために用いられた塩素ガス様の物質も含めて、自国の市民に対して化学兵器を使っているとしてシリア政府を非難する中、北朝鮮との関わり合いを示す証拠が浮かび上がってきた。

国連の調査官の報告書によると、北朝鮮からの供給物資には耐酸タイル、バルブ、温度計、等が含まれる。同報告書によれば、北朝鮮のミサイル技術者がシリア国内の化学兵器やミサイルの施設で仕事をしていることが指摘され、この報告書は北朝鮮が国連による経済制裁に準拠しているかどうかの調査に当たった専門家たちによって作成されたものだ。
オーケー。つまり、北朝鮮はバシャル・アル・アサドのシリア政府が化学兵器を生産することに支援をするべく、物資を供給したということかい?しかし、この非難が興味深く感じられる理由はニューヨークタイムズがある報告書を引用しているけれども、その肝心の報告書を自分たちの手で公表しようとはしなかったという点だ。さらには、その著者や国連安保理の他のメンバーもこの報告書については誰もコメントをしようともしていない:

対象となる化学兵器製造用部品は、同報告書によると、2012年から2017年にかけて北朝鮮からシリアに輸出された少なくとも40回の出荷分の一部であって、軍事用にも民生用にも使える弾道ミサイル用の部品や材料であり、これらは公表されはしなかったが、ニューヨークタイムズによって引用されている。

同報告書を見ている肝心の著者や国連安保理の他のメンバーは誰もコメントをしようとはしないし、国際機関に派遣されている米国からの代表団も同様だ。この報告書が何時公表されるのかは不明で、いったい公表されるのかどうかさえもが不明である。
この報告書を一般に公開するかどうかについては、もちろん、彼らは必ず公開するとは決して思ってはいない。報告書が公開されると、それは代替メディアによって金正恩を悪魔視するためのプロパガンダとして見なされ、非難されることになるからだ。われわれはニューヨークタイムズの記事を実際に意図された目的に沿ってその性格を次のように名付けることができる。あれは紛れもなくフェークニュースだ!北朝鮮が中東での紛争に関わることなんてあり得ない。何と言っても、政治的にも経済的にも彼らの関心事ではないからだ。もしもそのような事が本当であったとしたら、米国や韓国の政府は北朝鮮を武力で脅しをかけるであろう。これは大嘘だ。金正恩はシリア中で化学兵器攻撃を繰り返しているISIS や他のテロリスト・グループとは何の関連も持ってはいない。ところが、米国やその同盟国は彼らと関係を持っている。つまり、これはまったく馬鹿馬鹿しい非難である。

312日、テレサ・メイ英首相は英国のソルズベリーで起こったスクリパル事件に関して議会でこう述べた: 
スクリパル氏と彼の娘はロシアで開発された軍事用神経ガスで毒殺されそうになった。「ノビチョク」と称される神経ガスの一種である。

これはポートンダウンにある国防省科学技術研究所にて世界をリードする専門家が行った確実性の高い同定に基づいた情報だ。ロシアは以前この物質を生産したことがあり、今でも生産することが可能であるとわれわれは認識している。ロシア政府が後押しをした暗殺の履歴についても認識している。われわれの判断によると、ロシアは何人かの亡命者を暗殺の対象とし、それを当然視している。我が国の政府はロシアがセルゲイおよびユリア・スクリパルを殺害しようとしたことは大いにあり得ることだという結論に至った。 
セルゲイ・スクリパル事件はアレクサンダー・リトヴィネンコの事件と同様に、こじつけによる陰謀となりそうだ。アレクサンダー・リトヴィネンコをご記憶だろうか?彼は他のふたりのロシア人(リトヴィネンコを殺害した廉で罰せられた)と一緒に一杯のお茶を飲んだと言われている。このお茶には致死量に達するポロニウム210が含まれていた。アレクサンダー・リトヴィネンコ事件に関して、Antiwar.comの編集長であるジャスティン・レイモンドは「正気の沙汰とは思えない陰謀説 - アレクサンダー・リトヴィネンコについての英国政府の報告は不出来なスリラーそのもの」と題した記事で、下記のように書いている:

冷戦の時代に育ったわれわれにとっては、あの頃が舞い戻って来たかのような感じだ。すなわち、西側の秩序を転覆させようとするロシアの企みや貴重な体液に対する毒物は至る所に存在し得るのだ。毒殺の手法について言えば、最近のロシアによる陰謀は今までの事例の中ではもっとも想像力に満ちており、アレクサンダー・リトヴィネンコを毒殺することによって達成された。以前はロシアの諜報部門の工作員であったが、彼は西側へ亡命し、反ロシアの宣伝を行い、奇想天外なことを思いつく非常に才能に恵まれた陰謀論者でもあった。彼の類い稀な世界観によれば、ロシアで起こったテロ攻撃はすべてがウラジミール・プーチンの命令で起こったという。実際にこれらの犯罪を犯したチェチェン共和国のイスラム過激派を擁護することは別として、リトヴィネンコの商売道具は精巧な陰謀説の展開にあった。ロシア人のアパートを爆破したとか、生徒らを殺害したとして、彼は常にプーチンを非難する。そして、その後には、彼自身の極悪な企てから関心を逸らせようとして、愛すべきチェチェンの人々を非難するのであった。彼が言うことについては何でも信じようとする傾向にはない限り、彼は悪魔的なロシアに関する不信感を延々と投げかけて来るのである。
英国政府によって喧伝され、今や本報告書に記録されることになった陰謀説はこの亡くなった夢想家が考え付いたであろうすべての事柄さえをも凌ぐほどである。英国人によると、リトヴィネンコは英国内で致死量のポロニウム210が盛られた一杯のお茶を飲んで、毒殺された。ロシアはこの希有な物質についてはもっともそれらしい供給源であること、さらには、ロシアはリトヴィネンコを捕まえようとしていたことなどから、KGBを継承したFSBが「多分」容疑者であろうと名指しされた。

この報告書を見て、連中は今までに見られたような手法ではもう宣伝をしなくなったのかな、と誰もが結論付けるに違いない。例えて言えば、J・エドガー・フーバーやロバート・ウェルチの確信は本報告書の著者であるロバート・オーウェン卿の中途半端な曖昧さに取って変わったのである。「多分」という彼の判断は本件における証拠となるものが欠如していることを印象付けるだけである。
この陰謀について常識的な判断をすることによって、レイモンドは自分の主張の正しさをまんまと証明して見せた: 

まず、ロシアは本当にリトヴィネンコを排除したかったのかどうかである。どうして彼らはドイツからヒースロー空港に至るまで追跡が可能となるような放射性物質を使って彼を毒殺しようとしたのであろうか?その過程では、数多くのホテルの部屋やオフィス、飛行機、レストラン、住宅、等を汚染してしまった。どうして彼の頭へ弾丸を一発お見舞いして、終わらせなかったのだろうか?まったく腑に落ちない。
しかし、陰謀説というものは道理にかなう必要なんてないのだ。つまり、彼らは何らかの想定に基づいて、信じ難いような結論に向けてまっしぐらに邁進する。もしも誰かがプーチンやロシア人は何でも仕出かしかねない悪魔的な勢力であり、へまをすることもないといった前提を立てると、何れにしても、それはこの奇怪な世界においては完ぺきな程に「論理的」であるのだ。

リトヴィネンコはロシア政府にとっては危険な反対勢力であって、政府の存続を脅かすかも知れないから彼を消さなければならないとする見方はまったくお笑い草だ。現実的には、ロシア国内で彼について何らかのことを知っている者は皆無である。ロシア国内で起こったテロ事件はすべてについてプーチンが背後から命令したものだとする彼の狂気じみた「政府陰謀説」に関連して、彼らが信頼を置いているのは西側メディアの共鳴箱以外だ、と断言した点は冗談も甚だしい。FSBには彼を暗殺する理由なんて何もない。これはFBIでデイビッド・レイ・グリフィンを捜査しようとする捜査官なんて誰もいないのと同じことだ。
お茶に致死量の放射性ポロニウム210を投入して、リトヴィネンコを暗殺しようという考えは米英両国の高官らが主張する内容としては思いも寄らないほど馬鹿げている。もう一人の反プーチン活動家としてはハドソン研究所の上級研究員であるデイビッド・サッターが挙げられるが、彼は2016年に「プーチン指揮下でのロシア国家による殺害」を著し、次のように主張している:

リトヴィネンコ事件の調査はロシアにおける政治的暗殺を客観的な国際的監視の対象とする格好の前例になるという見方は西側のためだけではなく、ロシアの将来のためにも、今や、欠かせないほどに重要だ。そういった類の事例としては2002年に起こったモスクワのドブロフカ劇場占拠事件、2004年に起こったベスラン学校占拠事件、ジャーナリストや反政府派の指導者の暗殺、等が挙げられる。結局のところ、これらの事件にも増して重要なのはプーチンを政権の座に押し上げるきっかけとなった1999年のアパート爆破事件である。

リトヴィネンコ事件においては、暗殺者として検挙されたアンドレイ・ルゴヴォイとドウミートリ・コヴトウンはリトヴィネンコのお茶へポロ二ウム210を入れたとして英国の審問で告訴された。放射能を帯びた彼らの経路はロンドンの至る場所に残されていた。ポロニウムの痕跡はルゴヴォイが泊まったホテルの部屋、リトヴィネンコが二人と一緒に寿司を食べたレストラン、モスクワからロンドンへ飛行した英国航空の便でルゴヴォイが座っていた座席、等から検出されたのである。

政敵を粛正するために使われているというプーチンの殺人装置に関するサッターの見解はまったく荒唐無稽である。本当に殺人を犯すつもりであるならば、殺人の手法は数多く存在する。どうして彼らは「ノビチョク」を使用するのだろうか?こんな手法を使えば、ロシアまで簡単に追跡が可能となる。ノビチョクは前のソ連時代に生産され、ロシアになってからは1993年まで生産が行われていた。
このような殺人行為を行った場合、いったい誰が一番利益を得るのだろうか?プーチン自身か?それはあり得ない。どちらかと言うと、これはロシア政府を悪魔視し続けることによってアングロ・アメリカンの指導者らに利をもたらすのだ。セルゲイ・スクリパルは以前はロシア軍の諜報部門の大佐であったが、彼は英国に国家機密を漏らしたとして2006年に13年の禁固刑を言い渡された。もしもプーチンがスクリパルの死を望んでいたとするならば、彼が拘禁されている最中に彼を処刑していたであろう。英国や米国、ドイツ、フランスを含む西側の列強は、メイ首相が先週の月曜日に声明の中で述べているように、自分たちが享受している「国際秩序」を維持しようとしているのである: 

「ロシアの攻勢に対処する上で英国は単独で行動している訳ではない。これまでの24時間の間に私は(ドナルド・)トランプ大統領や(アンゲラ・)メルケル首相、(エマヌエル・)マクロン大統領と話をしている。この野蛮行為に対応する上で緊密に協調しあい、ロシアが崩壊させようとしている国際秩序に基づいたルールを維持するためにも一致団結することにわれわれは同意した。」
結局、いったい誰がセルゲイ・スクリパルと彼の娘を毒殺しようとしたのであろうか?

201834日、セルゲイ・スクリパルと彼の娘ユリアはソールズベリーのショッピングセンター脇の公共ベンチで意識不明で発見された。ちょうどそこを通りかかった医師と看護婦によって発見されたのである(何という巡り合わせであろうか?)。間もなく、ソールズベリー地域病院の医療団によってセルゲイ・スクリパルと彼の娘ユリアは神経ガスによって中毒を起こしていることが分かった。ふたりとも危篤状態である。現場で検証を行っていた3人の警察官も入院となった。スクリパル親子に関して見つかった毒物は見たところ「ノビチョク」であった。「ロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパルの毒殺未遂事件に英国は冷戦時代の反響を見る思い」と題されたニューヨークタイムズの記事によれば、基本的には、ロシアが容疑者であると言っている: 
冷戦時代の小説よりも不可思議な筋書きやプーチン時代初期のエピソードとも共鳴して、この事件はクリミアの併合を行い、ウクライナ東部を不安定化し、シリアのバシャール・アル・アサド政府を元気づけたことからロシア政府と西側との間では関係がすでに悪化しているが、それをさらに悪くする様相を見せている。そればかりではなく、ロシアは米大統領選に影響を与え、西側の民主制度に意見の不一致の種を蒔いたとして非難されている最中でもある。

「これはロシアが西側に対して進めている一種のソフト戦争である」と、英国議会の外交委員会の議長を務めるトム・タジェントハットが述べている。英高官らは最近同国で起こった暗殺事件については一件だけをクレムリンを相手に非難しているが、英政府は英国だけではなくよその場所で起こった他の不可思議な事件についてもロシアの関与を疑っている。
リトヴィネンコ氏の事件においては、使われた武器は放射性同位元素のポロニウム210が入ったティーポットであった。彼の死はゆっくりと進行し、苦痛に満ちたものであった。

他の何カ国かと共に、ロシアは「世界主義」の青写真には従おうとはしていない。これらの国々は自国の主権を尊重して貰いたいのだ。それ故に、西側からは「世界秩序」に対する脅威であると見なされている。仮にロシアの工作員がセルゲイ・スクリパルに対して軍事用の致命的な神経ガスを使って毒刹を図ったとしたら(明らかに、これは間違った非難ではあるが)、その毒ガスはソールズベリー中に拡散し、ロシアにまで追跡が可能となったであろう。とすれば、彼らはもっともひどい愚か者で、地球上でもっとも能無しの諜報員であるに違いない。スクリパルの毒殺未遂事件にロシア政府が関与した証拠はなく、実際には、これはロシアを非難するためにスクリパル事件を使った偽旗作戦であると思われる。MI6CIAを含めて、西側の如何なる国の諜報機関であっても、スクリパルを毒殺するためにこの種の神経ガス、あるいは、それに近い物質を入手することは可能だ。また、誰が実際にスクリパルやリトヴィネンコに対する犯罪を犯したのかについてはわれわれは決して知ることはないだろう。しかし、西側に言わせると、それはロシアなのである。英国政府や主流メディア(この場合はBBCニュース)によって伝えられるアレクサンダー・リトヴィネンコの物語は不出来なスリラーそのものであり、セルゲイ・スクリパル事件も同様である。両者の事件は将来映画化されるだろう。ハリウッドによって制作される映画の多くはロシアを含む米国の敵を描いたプロパガンダであって(ハリウッド映画の多くは、特に冷戦以降、ロシアを敵として描いている)、最近は北朝鮮が2013年に映画化され、「Olympus Has Fallenと題されている [訳注:日本語版の題名は「エンド・オブ・ホワイトハウス」]。これは北朝鮮のテロリストがホワイトハウスを乗っ取るという筋書きだ(確かに、お粗末なスリラーである)。間違いなく、セルゲイ・スクリパル事件はアレクサンダー・リトヴィネンコの殺害と共に何時の日にか映画化されるだろう。その公算は非常に高い。
英政府は他の西側諸国と共に手が届きそうもない陰謀説を広める一方で、主流メディアは政府の大嘘をカバーし、嘘をつき、皆にこう言ってのける。「検閲を受けなければならないのは代替メディアだ」と。なぜならば、彼らに言わせると、陰謀説やフェークニュースを広めているのはわれわれの側なのだから。米英両国の政府はサダム・フセインが「大量破壊兵器」を所有しているとして彼を非難した。今やわれわれの誰でもが知っているように、これは真っ赤な嘘であっただけではなく、イラクの社会を完全に破壊してしまった。遅かれ早かれ、セルゲイ・スクリパルを巡る事実はいったい誰が嘘をつき、誰が陰謀説の張本人であったのかは世界中が知ることとなろう。ここでもまた、アングロ・アメリカンの支配者層や彼らを支える主流メディアは信用をさらに失うことになる。私の意見では、彼らは遥かの昔に彼らが持っていた信用のすべてを失ってしまっているのだが。

<引用終了>

これで仮訳は終了した。
ところで、デイビッド・レイ・グリフィンは、ウィキぺディアによると、米国で神学や哲学を専門とする大学教授であって、超心理学の研究でも有名であるという。最近は同時多発テロに関して数々の著書を出版している。同時多発テロを論じる時、政府陰謀説は避けて通れない。米国政府にとっては同時多発テロ事件は最大級の事件であることから、本記事の著者は米国における政府陰謀説の事例としてデイビッド・レイ・グリフィンを引き合いに出したのであろう。

この記事の基本的な見解はスクリパル事件は自作自演であるという点だ。つまり、陰謀である。この記事はリトヴィネンコ事件とスクリパル事件とを並列させて、西側がでっち上げようとしてきた陰謀の詳細を詳しく述べようとしている。つまり、西側政府の筋書き通りには進まなかった事例の詳細や背景についてだ。
スクリパル事件についてわれわれ一般大衆が理解している点は、当然のことながら、まだほんの一部である。

42日の情報によると、ロシアにはフェースブックに類似したソーシャルメディアがあって、もっとも人気のあるソーシャルメディア(VK.com)におけるユリアのページへの最後のアクセスは37日の午前835分であるという [2]
彼女は34日から意識不明の昏睡状態にあって、状態が改善し、話をすることが可能となったのはつい最近のことであると報じられていることから、彼女自身が37日にソーシャルメディアにアクセスすることができたとは考えられない。彼女のパスワードを持っていたのは誰か?何のために彼女のソーシャルメディアのページへアクセスしたのか?英国側はロシアの領事からのユリアとの接触の要請さえをも拒んでおり、すべてが秘密で覆われて来ただけに、疑問が沸くのはどうしようもない。

今後、どのような情報が表面化して来るのか、注視して行きたいと思う。

 

参照:
1Spies, Lies and War Propaganda: The Making of Another Conspiracy Theory: By Timothy Alexander Guzman, Silent Crow News, Mar/17/2018

2Yulia Skripal’s social media page accessed while she was reportedly in critical condition: By RT, Apr/02/2018, https://on.rt.com/92c3



 
 
 

7 件のコメント:

  1. ソールズベリーでの事件の件、また記事にしてくださって有難うございます。

    以前コメントさせていただいたように、私もこの事件の続報をずっと追っているのですが、調べれば調べるほど、英国諜報機関と政府による自作自演の可能性が高いと思っています。

    しかも その計画もあまりにもずさんなので、日本も含めて西側のメインストリームメディアだけを読んでいる人は簡単に騙されるのかもしれませんが、オルタナティブメディアやRTなどロシアのメディアの記事やビデオも含めて見ている人の多くは ロシアの犯行だと決め付けるには 矛盾が多すぎることを すでに気づいているんじゃないかと思います。

    「ノビチョク」はVXガスの5~8倍の毒性 としながらも スクリパリの家のドアに毒物が塗られていた可能性が高いのなら、朝の9時に家を出て、レストランで昼食も楽しんだ後に 夕方4時に公園のベンチで発見というのは 効き目が出るのがあまりにも遅すぎるし、スクリパリ親子の他に警察官も含めて誰も死んでいないこと、娘のユリアさんが急速に回復して、しゃべれるようになっている 等、おかしいですよね。


    外交官追放に関しても 英国は 多くの他のEU諸国にロシアの外交官を追放するように圧力をかけていたことをオーストリアの外相に暴露されました。

    日本へもメイ首相が安倍さんに直々に電話をかけてきたようですから、おそらく同じような「圧力」はあったのでしょう。
    しかし、外交官追放の動きには同調せず、OPCWの調査結果待ち というふうにしたのは妥当な判断だと思いますし、在日本のロシア大使も日本の対応について感謝しているという記事がSputnikに掲載されていました。

    ただ、記事にあるように、OPCWが現在の状況で 何も圧力を加えられずに客観的なデータを出せるのか・・・甚だ疑問ですね。

    ウクライナで起こったマレーシア航空機撃墜事件のような、最初からロシアを犯人だと決め付けた「結果ありき」の報告書が出てくるかもしれません。

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    1. Kumiさん、コメントを有難うございます。仰る通りだと思います。

      まずは、読者の皆さん、
      この事件の被害者である「スクリパル」氏の苗字をロシア語表示から直接読みますと、Kumiさんが書かれていますように「スクリパリ」さんとなります。

      ところで、本日(4月6日)の報道(OPCW Knows No Chemical Weapons Made in Russia’s Saratov Facility - Official)によると、興味深い情報がありました。その一部を引用しますと、下記の通りです:

      先に、タイムズ紙はセルゲイ・スクリパルと彼の娘を暗殺するために用いられた神経ガスはロシアのサラトフ州のシハニ市にある研究所で製造されたと報じていた。
      国際的な専門機関である化学兵器禁止機関(OPCW)はロシアのサラトフ州には化学兵器は存在しないという事実を知っている、とクレムリンからこの州に派遣されている特別代表のミカエル・バビチが述べた。
      英国の諜報部門の報告書に言及されている「化学兵器はシハニ市の国立応用化学技術研究所で貯蔵されたこともなければ、生産されたこともない」と、バビチは報道陣に語った。
      同氏によると、この研究所は有機化学品や農薬、殺虫剤、等の撲滅に当たっている。
      OPCWのわれわれの同僚たちはこのことを十分に知っている。ロシアの化学兵器製造施設のすべてを訪問したOPCWのウズムジュ事務局長は4月4日に開催されたOPCWの緊急会合でこの事実を言及しなかったことには酷く困惑している、とバビチ氏は強調した。

      上記の報道の中で私が「オヤ」と感じたのは、OPCWの事務局長は十分な理解をしていないな、という印象です。あるいは、彼は米英両国の意向を汲んで、この情報をわざと引用しようとはしていないのかも知れません。もし後者が事実であるとすれば、現在進められているOPCW による現地調査もMH-17便撃墜事件に関するオランダの安全委員会の報告書の二の舞となるのではないかという懸念が現実のものとなるかも。

      タイムズ紙の報道はサラトフ州の国立応用化学技術研究所を言及していますが、これは英国政府がNATO諸国の「団結」を求めようとした会合においてNATO諸国の代表の前で英国の諜報専門家が報告した内容だそうです。つまり、こうした一連の情報(事実ではなく、憶測や前提)を伝え、「団結」という名の下でロシア大使館からの外交官の追放に賛同を求めたようです。自作自演のシナリオに信憑性を与えようとした策であったわけですが、これも時間の経過と共に作り話であることが判明し、その意図に反して、英国政府の信頼性をさらに弱める結果となりそうです。

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  2. ご返信ありがとうございます。 また、興味深い記事のご紹介を
    ありがとうございます。

    スクリパリ親子の襲撃に使われたという神経剤が 「ロシアのサラトフ州のシハニ市にある研究所で製造された」など、かなり具体的な場所を特定したかのような報道が かえってこの事件の胡散臭さを増しますね。(苦笑)

    私も かつてメーカーの品質管理部門で ガスクロマトグラフィー(GC)や高速液体クロマトグラフィー(HPLC)といった機器を使った化学分析の仕事をやっていたことがあるので少しは分かるのですが、その化学物質が何であるか ということは分かるのですが、産地もしくは製造場所の特定というのは非常に難しく、例えば純度の低いものを使用していて夾雑物や不純物の存在やその構成比率から、産地が分かることがあるのですが、純度が高いものが用いられていた場合やたくさんの場所で製造されているような場合、このように簡単に、また詳細に、製造場所まで特定できる ということはかなり難しいと思うのです。

    実際、英国のPorton Down軍事実験施設のチーフ・サイエンティストはスクリパリ親子の襲撃に使われた神経剤が「ロシア産」である ということを証明できていない。 というふうに4/4のインタビューで答えていますからね。

    UK Authorities Unable To Prove Novichok Nerve Agent Was Made In Russia
    https://www.zerohedge.com/news/2018-04-03/uk-authorities-unable-prove-novichok-nerve-agent-came-russia

    「ノビチョク」を開発したとされる化学者は90年代にアメリカに亡命し本や論文も出していて、その中で化学式や製造法について説明しており、もしも本当に「ノビチョク」なる神経剤が存在するのなら、英米の化学者にも必ず作れるはずです。(検証の為にイランの化学者が作ったところ、作ることに成功したという情報もどこかにありました。)

    ですから、「ロシアがやったという確かな証拠がある。ロシアがプーチンの命令でやった」 等とボリス・ジョンソン外務大臣がロシアを非難しているのは全くおかしな話だと思います。


    >英国政府の信頼性をさらに弱める結果となりそうです。

    そうですね。多くのメディアから情報を収集している人はこの事件の胡散臭さにすでに気づいている方のほうが多いと思います。zerohedgeのサイトのコメント欄なんかを見ても、英国を非難したり馬鹿にしたりするコメントのほうが多いです。

    しかし、日本語での記事が少なく、多くの日本人の方が実際、英語の記事まではなかなか読もうとしない中で、興味深い英語記事を日本語に翻訳して記事を配信してくださる管理人様のブログのような存在は貴重だと思います。 

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    1. Kumiさま、

      「ノビチョク」を開発したとされる化学者は90年代にアメリカに亡命し本や論文を出していて、その中で化学式や製造法について説明しており・・・とありますが、この件についてはもう少し詳細な情報が出回っています(”Chemical weapon named “Novichok” - a reality check”: By The Saker, Apr/01/2018)。要点は下記の通りです:

      (米国へ亡命した)ヴィル・ミルザヤノフはソ連邦は米国のVXに比較して8~10倍も毒性が強い二元タイプの神経剤を開発したと述べた。二元タイプの神経剤は使用する直前に単独では毒性がないふたつの原料成分を混合することによって所定の神経剤を形成する・・・ 興味深いことには、1992年のオリジナルの出版では問題の神経剤は単に二元性のタイプであると述べているだけだ。「ノヴィチョク」という名称が最初に用いられたのはロシアの化学兵器について論じたレフ・フェオドロフの1994年の論文においてであった。一連の新しい化学兵器に関してミルザヤノフと同じ研究所で仕事をしていたウラジミール・ウグレフによると、開発プログラムの公式名称は「フォリアント」と言った。後に、ミルザヤノフもそのことを追認した・・・ フォリアント・プログラムは米国のVX剤に対応するものである、とウグレフが具体的に述べている。生産された神経剤の量は数ミリグラムから数キログラムと変動し、何百種類もの神経剤が合成された。これらはすべてが開発段階のものである。どの製剤を取り上げても、どれかが武器化されたという証拠はない・・・ 彼(ミルザヤノフ)が認めているように、彼自身は武器化の研究には関与していなかったから、彼がこれについて直接の情報を持っているとは思えない。特筆すべきはウグレフのグループはいくつかの致死性の高い物質を開発したが、二元性の神経ガスを作ることには成功しなかったし、それ以降にも二元性の神経ガスは生産されてはいない、とウグレフが述べていることだ。

      自分の仕事についてウグレフが述べた内容はミルザヤノフが述べた内容よりもより具体的であり、それ故に、信頼性が高い。それに加えて、ウグレフは、ミルザヤノフとは違って、神経剤の実際の開発作業に携わっていた。防諜部門の長を務めていたミルザヤノフの仕事は研究所の周辺をコントロールすることであって、技術を開発することには参画していなかった。いくつものインタビューでさまざまなメディアを相手にミルザヤノフが述べた内容は英国には二元性の神経剤というバージョンをもたらし(ふたつのアンプル剤で、小さなコンテナー入り)、何らかの器具が用いられる(スプレイか何かで混合し、その後で、それらを攪拌する何らかの手法を用い、数秒後には毒物を発射する)。毒物は犠牲者に投与する直前に生産されるとするこの筋書きは純然たる幻想でしかないと言えよう。

      ***

      上記のように西側のメディアが情報を得た情報源(ミルザヤノフ)は実際にはノヴィチョクの開発には直接関与してはいなかったという事実が報じられています。その一方、実際に開発に関与していた別の研究者(ウグレフ)の証言が報じられています。その結果、西側のメディアは不完全な情報に踊らされる結果となったように思われます。

      今回のスクリパル事件では事実を検証しないで、前提に次ぐ前提で物事を進めたことが失敗を招いたとも言えましょうか。
      最先端の化学兵器の分野は諜報機関の能力の限界を越していたようですね。自分たちの能力の限界も知らずに政治家に対して助言を行う。あるいは、政治家の野心的な意図に対しては事実に基づく適切な助言や反論をすることができなかった。ここに失敗を導く大きな間違いがあったようです。

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  3. またご返信を頂き、有難うございます。

    Chemical weapon named “Novichok” - a reality check”: By The Saker, Apr/01/2018 の記事は私も知らなかったので、ご紹介頂き、有難うございました。コメントを拝見した後、タイトルから検索して記事も読みました。とても興味深い内容でした。


    ソールズベリーでの事件に おそらく神経を麻痺させる何か が使われた というのはたしかでしょうが、それが何か、どこで作られたか もまだ不明ですし、娘のユリアさんが自分のいとこと電話で会話ができるまでに急速に回復していることや、父親のセルゲイ氏も回復していること、警察官も含めて誰も死亡していないこと、倒れるまでにも7時間もかかっていること等からすると、もしも本当にスクリパリ氏を暗殺しようという意図があったのなら、明らかに失敗した ということですし、現場で誰かが実験しようとしたが、効力の弱い毒物しか生成しなかったのかもしれませんね。

    現場からわずか12kmのところには英国の化学兵器研究機関もありますし、そこではサルやモルモットを使った化学兵器の実験が長年行われていました。2013年にはロンドンの地下鉄で乗客に対して化学ガスを散布し、数千人が暴露したようです。(もちろん致死的なものではないと思いますが)
    https://southfront.org/salisbury-nerve-agent-attack-reveals-70-million-pentagon-program-porton/

    ソールズベリーの事件とちょうど同じ時期には300人以上の軍人や科学者が参加して化学・生物・核兵器に対する軍事演習も行われていました。
    https://www.royalnavy.mod.uk/news-and-latest-activity/news/2018/march/06/180306-toxic-storm-for-royal-marines-in-major-chemical-exercise

    スクリパリ氏の家にはモルモット2匹と猫が飼われていました。
    事件後、そのモルモット2匹は死んでいて、猫も苦しんでいる状態だったようです。モルモットと猫は 本来なら 何の化学兵器が使われたのか、調べるためには 貴重な検体になるはすです。
    しかし、なぜか猫は殺され、モルモットの死骸も猫と一緒に火葬されてしまったのは 証拠隠滅したい という英国の意図があるのかもしれません。
    https://www.nytimes.com/2018/04/06/world/europe/yulia-skripal-russia-britain.html

    さらに ユリアさんと電話で会話した従兄弟のビクトリアさんがユリアさんと面会するため、英国にVISAを申請したようですが、それが英国から却下されたとのことです。
    http://weaponews.com/news/26581-britain-has-closed-the-door-on-victoria-skripal-the-russian-embassy-re.html

    これも うがった見方をすれば、ビクトリアさんは英国に不信感を持っている発言をしていたので、あくまでロシアが加害者だという主張を続けるためには ビクトリアさんを英国に入国させたくないということなのかもしれません。

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    1. Kumi様

      その通りですよね。
      まだまだ数多くの疑問が未解決のままです。

      ある識者はこう問いかけています。

      神経ガスが使用されたというが、どうやってこれらの二人の犠牲者だけに限定することが可能であったのだろうか?そんなことはいったい可能なのか?どうやってコントロールしたのだろうか?

      被害者には解毒剤が投与されていたのではないか?

      被害者は何時間も経ってから意識不明になったが、その場にやって来た警察官は一瞬の内に影響を受けたのはどうしてか?

      すでに1か月になりますが、この出来事が報じられてからかなり初期の段階に今われわれが知っている状況を予見していた人がいました。それは元ウズベキスタン英国大使のCraig Murryです。(彼の論評は前々回のブログでご紹介しています。)

      外交官であったという経歴から伺えるように、言葉の綾を読み解く彼の能力は格別ですよね!他にも外交官であった人たちは五万と居る筈ですが、脱帽です!

      また、外交官の世界を見ますと、今回ドジを踏んだボリス・ジョンソン外相はその対極に位置しています。世はさまざまですよね。

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  4. Kumi様、

    興味深い記事がありますので、ご紹介してみます。すでにお読みになっているかも知れませんが・・・

    ミズーリ大学のマイケル・ハドソン教授は経済学を専門とし、米国ばかりではなく世界中で注目を集めています。最近、英国のソールズベリーで起こったスクリパル親子毒殺未遂事件に関してハドソン教授の対談記事が配信されました。

    記事の表題:「The Economics Behind the Skripal Poisoning」: By The Hudson Report, Apr/06/2018 

    ハドソン教授から見たスクリパル親子毒殺未遂事件の要旨は下記のよう
    な具合です:

    先週、トランプ大統領は大統領選で言っていたことを繰り返して述べた。彼はヨーロッパ各国がNATOのために軍事費をもっとたくさん支出するよう望んでいる。彼はもう1年以上もそう言って来た。私が思うには、スクリパル事件はまさにこの点がすべてだと思う。化学兵器のように非常に感情的になり易い状況を用いる主たる目的は、反ロシアのヒステリー状況を高めることによってNATO加盟諸国に米国が今行っている以上に軍事支出を増加させることにある。これはすべての加盟国がGDPの2パーセントを米国の軍産複合体に支払わせることになろう。つまり、本質的には、スクリパル事件は人々を恐怖に陥れて、NATOが米国の軍需産業に向けてもっと多くの軍事支出を行い、NATOの費用を増加させるためなのだ。人々が「待てよ、EU圏の予算は赤字予算を抑制している。もしもわれわれの社会福祉に対する支出を削減する以上にNATOのために軍事費を増大させるとすると・・・ われわれは銃とバターの両方を手にすることはできない・・・」 つまり、スクリパル事件はヨーロッパの世論を軟化させ、彼らを恐怖に陥れて、「銃に金を使った方がいい。バターなしでもわれわれは何とかやって行ける」と言わせたいのだ。ヨーロッパは1960年代のベトナム戦争の際に米国で起こった闘争とまったく同じ状況を今経験しようとしている。 

    ***

    経済学の専門家らしい、非常に興味深い見方ですよね。何時ものことではあるのですが、われわれ素人には非常に啓蒙的な内容です。


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