多くの医師や研究者は善良であって、それぞれの国で新型コロナウィルスと闘っている。そのご努力には全面的に感謝したいと思う。
その一方で、コロナウィルスの最前線で毎日闘い、疲労困憊して命を落としたという悲報を幾つも聞いた。さらには、コロナウィルスに感染して死亡した看護師や医師も決して少なくはない。そういった方々には心から哀悼の意を表したい。
しかしながら、短期的な政治的目論見のために科学が押しのけられ、献身的な医療専門家の知識や見解がなおざりにされた場合、医療従事者ばかりではなく、その国の一般庶民は結果として大きな負担を強いられることになる。これは実に大きな不幸だ。その最たる事例は国内の諸々の政治課題から国民の関心を逸らして、外部に向けようとする政治家であろう。すべては当人の保身のためである。
それはそれとして、世界を見回してみると政治家の中にも卓越した理性と公益に奉仕する意欲に燃えた人たちが存在することも事実だ。それを知ると、明日への希望が湧いてくる。
今回の新型コロナウィルスの大流行に対する処置を巡っては、好むと好まざるとにかかわらず、どのような政治家が一国のトップに座っているのかが図らずも浮き彫りになった。後知恵の部類に属するものであろうが、この大流行はトップの政治家が、側近も含めて、十分な理性を備え、公益に奉仕する意欲に燃えているのかどうかを評価することができる格好のリトマス試験紙になったとも言えよう。
われわれの国、日本は果たしてどのような政治家を擁しているのか?それは読者の皆さんの評価にお任せしたいと思う。
今日のブログではベトナム、キューバ、スロバキアの3国に焦点を当ててみたい。これらの国々はコロナウィルスの大流行の中でそれぞれが特有の成果を収め、国民の安全を図ることに成功したからだ。言うまでもなく、そういった対応をタイミングよく可能にしたのはその国のトップの指導力に他ならない。率直に言って、大多数の国々はその対応に失敗した。もっとたくさんの成功例があっても良さそうに思えるのだが、成功例は完全に少数派である。非常に不思議なことであり、残念なことでもある。
ベトナム、キューバおよびスロバキアに関する三つの記事を仮訳し、読者の皆さんと下記に共有しようと思う。これらの記事は国民の生命を守ると言う非常に基本的な社会的・政治的使命を実行し、それに成功した国々の物語である。
(1)ベトナムは感染者数がピークに達したことからコロナウィルス関連の規制を緩和(原題:Vietnam
relaxes virus restrictions as cases plateau: By AFP, Apr/23/2020)
Photo-1:
© Nhac NGUYEN 中国と接する長い国境を持ち、しかも、
それは穴だらけであるにもかかわらず、公のデータによると
ベトナムは感染者数が268人で、死者はゼロである。
ベトナムは社会的距離の確保を木曜日(4月23日)に解除した。専門家らは新型コロナウィルスを封じ込めるために採用した集団隔離や広範にわたる接触者のきめ細かい追跡が功を奏したことを指摘している。
中国との間に非常に長く、しかも、穴だらけの国境を有しながらも、この東南アジアの国家は公的なデータによると266人の感染者を記録したが、死者はゼロである。
新型コロナウィルスの感染に関する試験数は比較的少数に限られてはいるが、専門家は専制的な政府の保健省がこれらの数値の唯一の情報源であると指摘するが、彼らはこれらの数値を疑う根拠は何もないとも言う。
ベトナムは中国と行き来する航空便を禁止した最初の国のひとつであって、2月の始めに禁止措置をとった。当時、感染者数がまだ10人前後であったが、首都に近い1万人の人口を持つ集落が隔離された。
それと同時に、きめ細かな接触者の追跡も実施された。
Photo-2:
© Manan VATSYAYANA ベトナムは4月の初めから
部分的な都市封鎖を行った
近隣の住民を監視する草の根的な共産党組織を頼りにしながら、感染が疑われる人たちを徹底的に追跡する任務に関して、ハノイ在住の72歳の住民は彼自身と彼の集落のチームとがどのように任務を遂行したのかを説明してくれた。
「われわれは個々の通りへ出向いて、戸別訪問を行った」とウェン・トウリン・タングがAFPに語ってくれた。
「われわれはこの大流行はあたかも敵と戦うようなものだという政府の指針を遵守している。」
WHOの西太平洋地域事務局長である葛西健はベトナムが一般大衆の協力を得ることに成功したことがもっとも重要な要素であると言う。
「彼らは自分たちのそれぞれの役割をこなしている」と彼は今週の始めに語った。そして、約8万人が隔離されたと付け加えた。
「それこそが感染者数を低く抑え続けることができた最大の理由ではないかと私は思う。」
今ベトナムへ飛来する国際便はほとんどゼロで、ベトナムは4月始め以降は半閉鎖状態である。
ハノイの通りは通常ならばモーターバイクや旅行者、行商人らでごった返しているのだが、実質的にすっかり人通りが絶えて、いわゆる施し用のお米のATMに列を作る人たちにとっては助けとなっている。
厳しいコントロールが明らかに功を奏している。
水曜日(4月22日)には6日間連続して新たな感染が出なかったことが報じられた。その後で政府は特定の店やサービス業は開業が許されると述べた。
木曜日(4月23日)、通りは依然として閑散としたままではあるが、首都のカフェのいくつかは営業を再開した。
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予想を超える成果
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ヨーロッパや米国では何処でも地方政府は市民を屋内に留めておくことに手を焼いているのが現状だ。たとえば、海水浴客が海岸を埋め、反対者たちは都市閉鎖命令に従うことを拒んでいる。
それとは対照的に、共産主義国家であるベトナムでは、帰省して来る海外居住者を含めて、何万人もの人たちが国中で軍のキャンプの様な施設で国家による隔離下に置かれた。
ヴュ・ティ・ニョングと彼女の息子は3月にドイツから帰国した際にはハノイのキャンプでマットレスもない2段ベッドで2週間を過ごした。
兵士が三度の食事を運んで来て、二人の部屋の外へ置いていった。
「家に居る時とは比べものにはならないけれども、ベトナムの現在の経済環境や大流行の真っただ中にあることを考えると、私が予想したよりもはるかに良かった」とAFPに話してくれた。
1月の中旬、中国国外としては初めて隣国のタイが感染者を報告した。そのタイも、先週、感染者数が減少したことを報じた。医師らは政府がタイミングよく規制をしたこと、たとえば、夜間の外出禁止令を出したことを賞賛している。
カンボジアでは感染者数が1週間ずっと122人に留まり、ラオスでも19人に留まった。
しかし、タイのチュラーロンコーン病院の緊急感染症科を指揮するオーパス・プチャロエンは
隣国の感染者数が低いのは「検査数が少ないからだ」と言った。
今までのところ、タイ(訳注:現在の総人口は約6970万人)は新型コロナウィルスの感染に関する検査を142,000回行い、カンボジアは9,000回行った。ベトナムは総人口9600万人に対して180,000回の検査を行っている。
ニューサウスウェールス大学の名誉教授であるベトナムの専門家カール・サイアーはベトナムの感染者数について異議を挟む者は誰であってもハノイ政府によって罰せられることがあり得るので、これらの情報の取り扱いには注意を要すると言った。
しかし、こうも付け加えている。「今や、(隠そうとしても)海外からの入国者は多過ぎるし、携帯電話を所有する人は余りにも多い。しかも、インターネットへのアクセス人口は余りにも多過ぎる。」
(2)新型コロナウィルスの大流行の中、キューバは利益よりも人々を優先する取り組みに成功。その一方で、資本主義は米国に苦渋をもたらした(原題:Covid-19:
Cuba’s people-before-profit approach pays off as capitalism proves
a bitter pill for the US: By RT, Apr/28/2020)
Photo-3:
キューバのヘンリー・リーブ国際医療旅団の医師や看護師たちがアンドラ
でのコロナウィルスとの闘いを支援するために出発するのに先立って
行われた歓送会に参加。ハバナの医療協力セントラル・ユニット
にて、2020年3月28日。
©
AFP / YAMIL LAGE
著者のプロフィール:
パブロ・ヴィヴァンコはジャーナリスト兼分析専門家。米州の政治や歴史の分野を扱う。以前は
teleSUR(訳注:ベネズエラのカラカスに本拠を置くテレビ局で、中南米全域に向けて報道している)の英語部門でディレクターを務めていた。最近の署名入りの記事にはThe
Jacobin、Asia
Times、The
ProgressiveおよびTruthout向けのものが含まれる。
彼のツイッター@pvivancoguzmanをフォローして欲しい。
ハバナ政府は医療分野で何十年にもわたってその能力を超すと思われるような業績を実現してきた。しかしながら、キューバの社会主義システムとキューバに関しては世界でもっとも辛辣な悪口を言う米国の市場原理に基づくシステムとの相違が今回ほどあからさまになったことはない。
キューバは3月に国内のコロナウィルス感染者を報告したが、その報告以前にさえも世界的な大流行を食い止めるための取り組みにおいてはキューバはすでにさまざまな分野で活躍していた。中国は患者の治療のためにこの島国で開発された治療薬を使用した。英国のクルーズ船は最終的にキューバに入港することを許可され、新型コロナウィルスに感染した6人を含めて、1000人もの乗船客が帰国できるように支援を行った。
ほとんどが英国人の船客でいっぱいのブレ―マー号は幾つかの港への入港を打診したが、入港許可を拒否されていた。ある報告によると、英国の主要な同盟国である米国は入港を拒否した国々のひとつである。同船を運行するフレッド・オルセン・クルーズ・ラインズは具体的には米国についてコメントすることを避けたが、彼らはいくつもの選択肢を試みたと言った。しかし、その交渉に関する具体的な内容については言明をしなかった。最終的にはこのクルーズ船がキューバへ入港したという事実はこの大流行に対する取り組み姿勢には国によって大きな違いがあることを浮き彫りにした。
60歳以上の年配者が多いとか、同国への旅行者が数多くいるといったさまざまなリスク要因がありながらも、キューバは4月27日現在の感染者を1,370人に抑え、死者を54人に抑えることができた。
この成果の多くはこのカリブ海の島国が人口当たりで世界中でもっとも多くの医者がいるというだけではなく、前向きで、地域社会による対応に根ざし、無料で、誰に対しても平等な保険制度によって支えられているという事実にも大きく関係している。
rt.comによる関連記事:エクアドルの新型コロナウィルスの惨事は人為的なものだ。なぜならば政治エリートにとっては一般庶民は単に使い捨ての存在でしかないからだ。(原題:Ecuador’s
Covid-19 catastrophe is man-made disaster — because for political
elites ordinary Ecuadorians are just disposables)
同国の社会主義政府は、悲惨な1990年代の特別時代から始まって年中行事のようなハリケーンの季節における動員に至るまで、何十年にもわたって強いられた危機マネジメントによって鍛えられている。そして、被害を最小限にするために、特に、人命を救うためには速やかな対応をするのが常である。
1月に開始された対策には医療関係者の訓練や医療施設の準備が含まれているが、3月までにはこれらの対策は他の分野にも拡大され、実質的に観光産業を停止するほどまでになった。観光産業はキューバ経済にとっては大きな部分を占める。
依然として、キューバ政府はコロナウィルスの感染をコントロール下に収める上でキューバからの支援を必要とする国々へ医師を派遣し続けた。こういった医師団の派遣はアフリカ諸国では2014年に始まったエボラの大流行を抑えて、コントロール下に置く上で大きな助けとなったのである。
rt.comによる関連記事:新型コロナウィルスの大流行は米国の破綻した保険制度を露呈(原題:The
Covid-19 pandemic exposes deep flaws in America’s broken healthcare
system)
しかし、今や、キューバの医師たちはヨーロッパで、たとえば、イタリアやアンドラにおいて諸手を挙げて迎えられている。たった数か月前にはキューバを中傷し、キューバ人を追い出していた南米の親米派諸国ではいくつかの国が彼らが戻って来るのを歓迎しさえしている。
キューバで訓練を受け、他国で働いている医師の数はハバナ南米医科大学からの卒業生を加えるとさらに増える。同大学は1999年以降138ヵ国から35,000人にも上る留学生を無料で教育してきたのである。
これらの活動はすべてが野蛮な米国による経済制裁の結果余儀なくされた厳しい制約や乏しい資源の枠内で実施されてきた。この経済制裁は最近トランプ政権によってさらに強化されている。
rt.comによる関連記事:「非倫理的であり、非人道的だ」:ロシア外務省は米国の経済制裁は新型コロナウィルスの大流行と闘う全世界の努力を妨げていると非難(原題:'Immoral
& inhumane': Russian FM denounces US sanctions hampering worlds'
efforts against Covid-19 pandemic)
キューバにとっては医師や看護師を海外へ派遣することは歳入を確保する重要な稼ぎ手でもある。毎年約110憶ドルの歳入を実現し、これはこの島国の観光産業による稼ぎよりも大きい。どの時点を取っても、約5万人のキューバ人の医師が67ヵ国で働いている。まさに「白衣を着た軍隊」であるとある高級官僚が彼らのことを描写している。
しかしながら、キューバの人たちが世界中で国家やそこの住民を支援するために自分たちを危険に晒している中で、米国はまったく正反対のことをしてきた。
偽善振りを大胆に発揮して、ワシントン政府は自らは何の支援も提供せずに、キューバからの医師団を受け入れないようにと各国に圧力をかけた。そして、出荷中の医療器材を故意に差し止めた(恐らく、これは非合法だ)。自分たちのもっとも近しい同盟国のいくつかに対する出荷分さえもがその対象となった。
もっと公平に言えば、たとえ米政府にその気があったとしても、同政府にとっては何処の国に対しても支援の手を差し伸べることができるような状況にはないのである。
米国の保険制度には現在のところ人口ひとり当たりでは世界でもっとも多くの資金が提供されているのだが、逆説的に言えば、今回の大流行以前にさえもその弱さをすでに露呈していた。民主党の大統領候補らは保険制度の恩恵に浴してはいない7千万人を超す人たちに適切な医療を提供できる案を思い描いていたのである。
現行の危機に入ってからすでに数週間となるが、状況はより深刻である。さらに何百万人もが失職し、それに伴って保険制度を活用する権利を失い、病院は患者や医療従事者のための適切な保護具にさえも不足している有様だ。
さらに悪いことには、州や地方の行政レベルでの対策には大きな食い違いがあって、米国の総合的な対応振りはまさに精神分裂症的でさえある。その一方で、ホワイトハウスの意思決定は、大流行への対応を指揮する責任のある地位に犬の育種家を抜擢したことや患者には消毒剤を注入するといった失言を含めて、ますます皮肉っぽくなって来た。
この悲劇的であり、滑稽でさえもある状況を見ると、保険制度そのものやその対応の仕方における米国とキューバとの違いはより以上に明白なものとなる。
キューバは長い間医療制度をすべての国民が享受するべきものとして優先して来たが、米国は医療制度を享受する、享受しないは市場原理に任せるとしてきた。キューバは大流行の潮流を食い止めるために医師団を世界中に派遣したが、米国はキューバがそのような活動を続けることを邪魔しようとして、この島国に対して締め付けをさらに強化した。
rt.comによる関連記事:キューバはコロナウィルスに対する取り組みを邪魔しようとする米国の「邪悪で大量虐殺的な」封じ込め策を厳しく非難した(原題:Cuba
enraged over ‘cruel & genocidal’ US blockade impeding
anti-coronavirus efforts)
両国間の相違は金の問題ではなく、むしろ、哲学の問題である。キューバは全ての分野で欠乏をしているにもかかわらず、人々の健康を維持し、生命を救うことに断固として関与し続けてきた。今回の大流行においてキューバはその正当性を証明した。
その一方で、彼らの北側に位置し、極めて裕福である隣国は死の底へ沈みつつあるにもかかわらず、資本主義の正統性を証明しようとして自分たちの主張を他国の生活のあらゆる分野に当てはめ、世界中の何処へでも当てはめようとする。
(3)スロバキア - コロナウィルスによる死者数がもっとも少ないヨーロッパの国は対応の迅速さが鍵であることを物語っている (原題:European
Nation With Least Virus Deaths Proves Speed Is Key: By Radoslav
Tomek,
Bloomberg, Apr/28/2020 )
ヨーロッパではコロナウィルスによって一日に何千人もの死者が出ているが、ひとつの国が死亡率を低く抑えることで抜きんでている。
スロバキアは海への出口を持たず、人口が550万人の小国家であるが、イタリアの事例を見て、他の国々よりも速やかに学校や商店を閉鎖し、国境を閉じた。その一方で、政治家やテレビの司会者は政府がその使用を義務付ける以前からマスクを使用し始めた。
これらの対策が実を結んだ。最初の感染者が報告されてから6週間後、スロバキアにおける死者数はたったの18人で、4月26日付けのジョン・ホプキンス大学が作成したデータによると、ヨーロッパ中の人口当たりの死者数のリストにおいて最低を記録している。
Photo-4:汚職追放という政治運動を行っている「庶民と独立心のあるパーソ
ナリティ」(OLaNO)の指導者であるイーゴル・マトヴィッチが他の
党首ら(Olano, Sme Rodina, SaS and Za Ludi)と会合を終えて、帰る
ところ。これらの政党は2020年3月13日に新政府を発足する潜在的な
同盟相手である。政党指導者らは新政府の樹立について合意した。
ナリティ」(OLaNO)の指導者であるイーゴル・マトヴィッチが他の
党首ら(Olano, Sme Rodina, SaS and Za Ludi)と会合を終えて、帰る
ところ。これらの政党は2020年3月13日に新政府を発足する潜在的な
同盟相手である。政党指導者らは新政府の樹立について合意した。
(Photo
by VLADIMIR SIMICEK/AFP via Getty Images)
「迅速さこそがもっとも肝要である」とウィーン医科大学の疫学部長を務めるエヴァ・シェルンハンメルが電話で答えた。「新たな患者のすべてについて接触者をきめ細かく追跡することが可能な初期の内に流行を封じ込めることが理想だ。」
ブラチスラバ行政区の長であるユライ・ドロバは最初の感染者が報告されてから二日以内に学校を閉鎖した。この閉鎖処置は国内の他の地域よりも一週間も速かった。彼はイタリアで何が起こっているのかを理解することができたのである。
この地域はこの国の人口の10%超を擁している。
Photo-5:
スペインのセビリアにて、4月26日。スペイン政府が2020年4月26日
に子供たちに対する封鎖の規制を緩めたことから、セビリヤで自転車を乗り
回す少年。ヨーロッパではもっとも厳しい封鎖措置をとった国のひとつで
あるスペインでは子供たちは一日当たり一時間だけ自宅外へ出ることが
許されるようになった。同国は新型コロナウィルスの感染者が22万
人、死者は2万人となった。これらの数値は数週間に及ぶ隔離に
よって減少している。(Photo by Marcelo del Pozo/Getty Images)
に子供たちに対する封鎖の規制を緩めたことから、セビリヤで自転車を乗り
回す少年。ヨーロッパではもっとも厳しい封鎖措置をとった国のひとつで
あるスペインでは子供たちは一日当たり一時間だけ自宅外へ出ることが
許されるようになった。同国は新型コロナウィルスの感染者が22万
人、死者は2万人となった。これらの数値は数週間に及ぶ隔離に
よって減少している。(Photo by Marcelo del Pozo/Getty Images)
世界中がコロナウィルスの大流行と闘っている中、一日当たりの新規感染者数が減少したいくつかの国は、市民らが最近の数週間で初めて自由に動き回り、経済の再開に当たることを許すために、一時的な解除措置を取り始めた。写真をクリックして、各国が徐々に、しかも、警戒をしながら通常に戻ろうとしている様子をご覧いただきたい。
(写真の事例) スペイン政府は14歳以下の子供たちに対する規制を緩めた。男の子がスペインのセビリヤで自転車に乗っている様子。2020年4月26日。
注:都市閉鎖を解除する措置の内容は国によっては今後修正される可能性がある。このスライドショウは4月27日の時点のもの。
また、スロヴァキアの環境保険長官であるヤン・ミカスはオーストリアから帰国してきたスキーヤーの団体を停止する命令を下し、彼らを監視付きの隔離施設へと誘導した。検査の結果、約60人が陽性を示した。
都市閉鎖によって経済が破壊されたが、その後、政府は今ゆっくりと経済を再開しつつある。こうした処置を課すことは小国ではより簡単である。
科学者らはコロナウィルスに対する戦争が終わったと宣言するにはまだ早すぎると警告している。
「この傾向が維持されれば、この事態の取り組みではわれわれは最良の結果をもたらした国のひとつだ」と、ウィルスの感染をモデル化する作業に従事する国立保険政策研究所の所長を務めるマルチン・スマタナが述べた。「人口のほとんどの部分にはウィルスは拡散してはいない。」
これで三つの記事の仮訳が終了した。
今回の新型コロナウィルスの大流行を巡る各国の対応は千差万別である。その結果、死者数の低減と集団免疫の樹立という政治的に、ならびに、公衆衛生上で基本的にもっとも重要なふたつの目標に関しては、その達成の度合いは国によって大きく異なっていることが判明した。時期が来れば、これらの詳細は誰の目にも明らかになって来るであろう。
その違いの一端をここに引用したベトナム、キューバおよびスロバキアに関する三つの記事が伝えていると私は思う。
また、これらの三つの国の他にもさまざまな知見が出始めている。
たとえば、スウェーデンでは都市封鎖を行わなわず、学校やレストランは閉鎖されることがなかった。スウェーデンがとった措置については、当初、国の内外からさまざまな批判が沸き上がった。しかし、今、結果を見ると、スウェーデンは死者数の低減と集団免疫の樹立という二つの相反する目標のそれぞれをほぼ達成するという離れ業に成功したようだ。コロナウィルスの特徴や挙動が必ずしも理解できてはいない現時点ではスウェーデンの今回の経験は貴重な情報を残してくれたのではないだろうか。
新型コロナウィルスの大流行に関しては、半年後には真相にもっと近づくことが可能となって、誰もが今とは見違えるような理解をしているかも知れない。
「スウェーデンは死者数の低減と集団免疫の樹立という二つの相反する目標のそれぞれをほぼ達成するという離れ業に成功したようだ。」
返信削除集団免疫の樹立との判断は早計で誤認。
スウェーデン国立銀行の推計では、レストランとカフェは70%減、映画・スポーツ・その他の人が集まるイベントは90%減、レクリエーション旅行は75%減としている。
要するに政府は封鎖政策をとらなかったが、国民がそれと同様の行動をとったということ。
それ以前にこの国の平常の在宅勤務率は40%代で、この点でも前提条件に特異性がある。また、人口密度は25人/キロ平米で粗密。
その他にも自動車販売40%減、輸出23%減というデータもあり、事実上の経済収縮となっている。
したがって、スウェーデン政府は集団免疫に賭けているとは言えるが、それに成功した実例とはならない。実質的にロック・アウトしているからだが、人口がおよそ半分のノルウェーやフィンランドに比べて10倍以上もの死者を出しているので、果たして成功と言えるか疑問は残る。
鷹尾さま
返信削除コメントを有難うございます。
「スウェーデンは死者数の低減と集団免疫の樹立という二つの相反する目標のそれぞれをほぼ達成するという離れ業に成功したようだ」という宣言はあくまでも現時点での見方であって、この大流行が終わった後では他国との差はそれほど大きくはないかも知れません。あるいは、その差がさらに広がっているかも知れません。そうは言っても、厳密には死者の死因の判定基準は国ごとに違いがありますし、国家間の比較は大雑把な議論しかできないのではないかとも思っています。何れにしても、新型コロナウィルスの大流行が収束した後で、数値を再度吟味し、大きな差が出ている場合はその理由を解明する価値は十分にあるのではないかと思われます。
なお、5月7日現在の人口100万人当たりの死者数を見ると、ヨーロッパではスウェーデンよりも高い数値の国がいくつもあります。
ベルギー: 726人
スペイン: 557人
イタリア: 491人
英国: 443人
フランス: 395人
スウェーデン: 301人
ドイツ: 85人
もちろん、この数値だけですべてを判断できるとは思いません。でも、ひとつの有力な判断材料ではないかと思われます。何れにせよ、これは現時点での数値でしかありません。半年後、あるいは、1年後に再吟味が必要となります。
ドイツは立派な成績を残していますが、その理由についても説明が欲しいですよね。
なお、スウェーデン人は個人的に感染が拡散しないように行動したというご指摘はその通りだと思います。スウェーデン政府は国民がそのように行動するであろうことを予期した上で具体的な政策を決めたとも言っていますから、政府の判断は少なくともこの点に関しては正しかったようです。
副作用がないワクチンの開発はそう簡単には進まない、つまり、時間がかかるとの専門家からの指摘がありますから、治療法がない中で今後の死者数を低減させるには集団免疫を確保しながら、第二波や来シーズンの到来を考えますと、死者数を低減させるという二つの目標を実現する必要性は依然として残ります。
今後もさまざまな報告がされると思いますので、注視して行きましょう。