4か月余り前、2月24日にロシアはウクライナへ侵攻した。その目標は過去8年間にわたってドネツクとルガンスクの東部2州に住むロシア語住民に対して繰り広げられてきたウクライナ政府軍による空爆や砲撃から地域住民の安全を確保することにある。
それに対して、欧米諸国はロシアに対して新たな経済制裁を発動。狙いはロシア経済を損耗させて、戦争遂行能力をゼロにすることにあると公言されている。こうして、この目標のためにはロシア・ウクライナ戦争は長ければ長い程いいという考えが必然的に生まれ、「ウクライナ兵が最後の一兵になるまで戦う」という言葉が政治家やメディアの間で公然と繰り返されるようになった。一般庶民に対する洗脳手法としては聞き慣れた言葉のひとつだ。こういった文言はこのような状況においては当然予期されるものだと言えよう。
日本のメディアではロシア軍がウクライナへ侵攻したという時系列上の一点における出来事だけが恣意的に取り上げられ、「ロシアはけしからん」、「プーチンは悪党だ」という大合唱が始まった。そのヒステリックで一方的な主張はヨーロッパでもまったく同様。ロシアの特別軍事作戦をもたらした背景にある8年前のマイダン革命以降のウクライナ国内における歴史は都合よく何処かへ置き去りにされた。一言で言えば、これはロシアをウクライナへ侵攻させることに貢献した西側の戦争計画者たちが望んだ筋書きの通りだ。
たとえば、ウクライナ内戦の発端を探ろうと思えば、2月24日の時点においても関連情報はいくらでも入手可能だった。少なくとも、2014年まで遡ることができる。さらには、2004年のオレンジ革命にまで遡る専門家もいる。(注:たとえば、詳細については5月7日に掲載した「芳ちゃんのブログ: 「あれはもう我慢の限界であった」 ― ウクライナ内戦の …」https://yocchan31.blogspot.com/2022/05/blog-post_7.html、さらには、5月15日に掲載した「ドンバス:2014年~2022年におけるマリウポリの犠牲者たち ― 同市の住民が語る」を参照ください。さらには、2019年11月4日に掲載した「ロシアとの戦争に導こうとしている」を覗いてみて頂きたい。)
このロシア・ウクライナ戦争に関する日本の反応振りは外部ではいったいどのように見られているのであろうか?これに答えるには、日本国内から日本を見るのではなく、日本を統御している集団的な意思や思想からは独立した精神の持ち主によって外部から日本を観察する作業が必要となる。
ここに「特別軍事作戦のプロパガンダに対する日本の見方」と題された記事がある(注1)。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
この記事の著者は外国人であるが、日本に長年居住しているという。彼女の非日本人としての思考形態や論理、文化的な背景、あるいは、それとは関係のない彼女自身が持っている個人的な特性が日本国内で日本人が自分たち自身を観察するのとは一味違う見方をもたらしてくれそうだ。とは言え、私はこの記事がすべてを語っていると言いたいのではない。これは数多くある中のひとつの見方なのである。
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2月24日のプーチンによるウクライナでの特別軍事作戦(SMO)の発表の直後、日本のメディアは欧米の他の人々すべてに馴染みのあるロシアを一方的に非難する電撃戦を仕掛けた[1]。この電撃戦は日本ではよく計画され、調整されていたように見えたが、毎朝早朝に放送されるNHKの国際ニュースソースの番組から5分間のニュース報道の部分を削除するのには約1週間もかかった(それ以降は復元されてはいない)。翌月には、ウクライナに関するニュースや今後のドキュメンタリーを発表する生々しい宣伝文句を見ずに15分間以上テレビを見ることはできない程にまでなった。トークショーには新しい若い「ロシア専門家」が集結し、有名で尊敬されている専門家は欠席した。たとえば、これらの若い教授たちはミンスク合意については全く知らないように見えたが、この話題は立ち入り禁止であることを単にこれらの専門家たちに明らかにしただけではないかと私には思える。マスコミからの全体的な印象はどうかと言うと、ロシアのウクライナ侵略は全面的に無辜の民間人に対する野蛮で恐ろしい残虐行為を伴う領土征服戦争であるというものであった。
私はソーシャルネットワーキングサービスを使用してはいないが、電撃戦はそこではさらに激しく、その影響から判断すると、特に女性を対象としていたようである。私が日本で知っているほとんどすべての女性たちはこのプロパガンダに直感的に反応した。私は彼女らにロシアを思い出させるものすべてに関して怒りが存在することを目撃した。オリンピックのために設置されたロシア語の看板は閉鎖された。ロシア語を勉強しているある友人は、モスクワの先生に連絡を取り、ロシアがこの厄介な侵略を止めるまでは、レッスンを続けるために自分が出かけることはできないとその先生に伝えた。彼女の先生は涙ながらにウクライナには家族がいると説明した。私の友人は、この話にはもうひとつ別の側面があることに気付いた筈だ。私は日本におけるウクライナに関するニュースがいかに差別的であるかを彼女に説明し、そして、昼も夜も砲撃されている残虐行為の真実については私たちは誰もが本当にすべてを証明することはできないという事実を説明した。それでも、彼女はただこの現状に圧倒されていた。
私は40年近く日本に住んでいる女性として、たとえそれがすべて未確認であり、ほとんど誤解を招く可能性が高いと考えたとしても、犠牲者に何らかの同情を示さなければ、私はモンスターになってしまうだろうと感じずにニュースを視聴することはできなかった。私はこのことを証明することができる。私はそのようなレベルでの認知的不協和を容認することができず、私は数分後には逃げ出すだけとなる。私とは対照的に、私の夫や彼の兄弟は当局がそのような明白なプロパガンダをどこまで続けるのかを見たい一心から、感情的な関与をせずにテレビを見続けることができる。
筋書きに亀裂
女性たちによる感情的な男性の扱いが成功したのとは対照的に、私の知人である日本の男性はほとんどすべてがすぐに欺瞞を見抜き、実際には多くの人がそれを傲慢として受け止めた。ウクライナについて絶え間なく聞くのはもううんざりだと私に言ったのは男性たちだった。これは遠く離れた小さな貧困国に対して絶えず関わって来たのと同じ類の行動であり、そうでなければニュースに対してまったく関心を呼ばないことを考えても、彼らはロシアに対する一方的な非難がいかに奇妙であるかを指摘した。彼らは連中が試みている心理操作を認識し、男性たちだけではなくますます多くの女性がこの背景に気付き始めたことは、海外で軍事行動に従事することを可能にするように日本の憲法を書き換えるという新たに予期される試みのためであるという現実の認識にも繋がっていく。
付け加えるに、これらのトークショーは親ロシア派の見解を完全に締め出すことはできなかった。SMOが開始される前、日本のメディアではロシアについて肯定的な報道がされていた。紛争前から人々が抱いていた知識は消し去ることができなかった。私の夫によれば、ある解説者はゼレンスキーがロシアによる侵略と戦うために民間人を武装させたことは国際法の下では民間人全員を軍事目標にしてしまうと指摘したという。この紛争におけるゼレンスキーの役割に対する日本国民の認識は変わった。ある昼間の番組でミンスク合意が取り上げられ、若い「専門家」の一人は無防備状態に見舞われた。確かにこの物語には別の側面があるんだという一般的認識が一般庶民の間でも徐々に形成されていった。
駅のロシア語の看板は、4月に、修復された。SMOの最初の数週間に発生していたロシア人(またはウクライナ人を含むロシア人であると疑われる人)に対するオンライン上での嫌がらせについては、最近、私は聞いたことがない。バイデンが最近日本を訪問する前はプロパガンダが増えてはいたが、その後は幾分沈静化しているようである。先日、「独裁者プーチンとは何者か」というドキュメンタリーが放映された。
公式の「真実」に対して肩をすくめる
日本には、今も記憶に残っている時代を含めて、専制政治の下での生活には長い歴史がある。この専制政治は仏教や儒教に根ざした社会制度に基づいており、ヨーロッパのものとは区別される特徴を持っている。私はここでそれに深入りする積りはないが、結果として、日本人は比較的尊厳を維持しながら有意義な生活を送ることを可能にする専制政治に対する対処法を受け継いでいる。そのひとつは「タテマエ」対「ホンネ」という概念だ。タテマエは文字通り「正面」を意味し、ホンネは「ホン」(メインまたは通常)と「ネ」(音)で構成され、「本当の意図」または「本当の意味」を意味する。社会が悪質な物事や長年の紛争に躓くこともなく円滑に機能するためには、日本人は前者の必要性を認識している。前者とは対照的に後者が存在することは普遍的に認められていることだ。儒教はこの考え方に祝福を与え、他のほとんどの関心事よりも調和を重んじてきた。誰もが自分のタテマエを掲げ、適切だと思えるように自分のホンネを取り扱う。
もちろん、これはどこででも起こることだ。ここ日本での違いは普遍的な認識にある。不正直な公式の「真実」は本当に重要なことが危険にさらされるまでは容認される。こうして、ここでは人々は静かに問題を解決しようとする可能性が高まるのだ。日本は米国と大いに同調しなければならず、米国が地方または末端の領域でルールを見落とすといった卑劣な傾向を示して日本と対決して来ない限り、米国と対決する理由はまったく見当たらない。そして、当面の問題において彼らにとって重要な点は露骨なプロパガンダや感情操作にあるのではなく、彼らが過去半世紀にわたって大きな恩恵を受けてきた中立的な立場を維持できるかどうかにある。
左翼と右翼
日本にはロシアに好意的な右派が存在すると聞いているが、私にはそれ以上の知識はない。第二次世界大戦以降67年間(訳注:これは1956年の日露共同声明から起算した年数)にもわたって日露平和条約が締結されなかったことから、 私が知り合いになった右派の人物は千島列島の四つの島を巡って領土的不満を抱いている[2]。 https://tass.com/world/1041010?utm_source=yandex.ru&utm_medium=organic&utm_campaign=yandex.ru&utm_referrer=yandex.ru andしかし、一般的には日本の右翼は孤立主義的になりがちだ。神道は大部分が右翼ではないが、高度に地域的な宗教であって、私の知り合いである献身的な実践者のほとんどは海外に行ったことはなく、海外旅行を見下す傾向にある。私は富士山を中心とする修験道派の富士友愛会の集会に出席したことがあるが、どの宗教にも内在する道徳的立場を考えると、3時間も続いた集会でウクライナ人の窮状を訴える人がひとりもいなかったことは嬉しい驚きであった。
日本の左翼は、ソ連・ロシアを支持する共産主義派や社会主義派閥は別として、その理想主義と民主主義の原則から米国を強く支持している。彼らの多くは海外旅行をしているが、主に商業ツアーのグループの一員として、将来のビジネスを利するかも知れないタテマエを保護することに動機付けられている。また、日本語と他言語との言語的な距離は海外から情報の選別を受けてはいない情報を入手することをより困難にしている。その結果、米国に対するロマンチックな見方と欧米の情報源に信憑性を与える傾向が生まれている。この傾向はアジア全域である程度共通して当てはまると思う。
知識を求める市民精神
しかし、上に記したような筋書きの亀裂を考えると、日本の市民志向者、特に左翼の間ではロシアの見解を聞くことについての関心が高まっている。5月21日、日本の水戸市で茨城大学を退職した曽我秀雄教授が行ったウクライナ紛争におけるロシアの視点の理解を促進するための講演会に私は出席したが、出席者の好調な出足[3]を見て私は嬉しかった。
曽我教授は講演とそれに付随する配布資料の中で、2月24日にロシア国民に向けて行われたプーチン大統領の演説の内容[4]を説明した。これには、1990年代以降のNATOの東方拡大による脅威が含まれていた。国連安保理決議による承認を得ていない国々(ベオグラード、イラク、リビア、シリア)に対して挙行されたNATOの連続攻撃。ロシアが2021年12月に重要な安全保障問題に関してNATOとの合意に達することはできなかったこと。ロシアがトップ核保有国のひとつであり、最も先進的な兵器の多くを保有しているにもかかわらず、状況は年々悪化していること。NATOをさらにウクライナへ拡大し、ウクライナにはロシアに敵対的な国々から近代兵器を持ち込むというNATOからの更なる脅しにロシアは曝されていること。ドンバスにおけるロシア系住民に対する大量虐殺は国連憲章第7章第51条に従ってロシアからの軍事的対応を必要とすること。そして、ウクライナを無力化し、非武装化し、ネオナチを排除することが目標であって、ウクライナを占領しないというロシアの狙い、等々。
曽我教授はNATOの東方への拡大を説明し、ウクライナの歴史の概要を示し、ウクライナのさまざまな地域における異なる民族と言語グループの割合を示す図を示した。彼はゼレンスキーの大統領職について語り、コロモイスキーの支援やクリミアのロシアへの復帰、ウクライナ東部の内戦、現在の紛争を引き起こした2014年以降の出来事に言及し、ジョー・バイデンと彼の息子ハンターが深く関与した事実についても解説した。彼は分離主義者とウクライナ政府との間のドンバスでの紛争をより詳細に説明し、NATOはネオナチ大隊が行った民間人の虐殺や住宅地の破壊には目をつぶり、実際にはそれを扇動し、ドンバスに対する攻撃は2021年後半に激化したことにも言及した。彼はオデッサでの虐殺にも言及し、ユーチューブのリンクを示した。
彼は、元駐ウクライナ大使(2005-2008)の馬渕睦夫を引用して、米国のディープステートについて議論し、ウォール街と1912年にウッドロー・ウィルソン大統領の下で資金を発行する権限を持つように設立されたFRBとの関与を指摘した。彼は、これらの影の権力はそれ以降国際的に拡大し続け、グローバリゼーションを通じて「ひとつの世界秩序」を創造しようとしていると述べた。馬渕氏はバイデン氏をディープステートの一部と考えているとも述べている。
最後に、曽我教授はロシアの資産を支配しようとし、エリツィンとロシアの寡頭政治によって可能になった米国のディープステート(ネオコン)の狙いはロシアとウクライナの分裂を活用することであり、その一方で、プーチンの当初の目標は寡頭政治を排除し、民営化された資産を再国有化し、ロシア経済を再建することによるロシア資産を回復することであったと述べ、これらの状況に関する彼自身の見解を要約した。これはプーチンをディープステートのナンバーワンの敵にし、その最優先の任務は何らかの形でプーチンを打倒することである、と彼は言った。これにより、彼らはNATOを東に拡大し、ディープステートはグローバリゼーションや民主主義のような素敵な名前で世界支配の目標をカモフラージュした。プーチンは国家の独立権の侵害に抵抗することによって正当化されたと彼は言う。ロシアが独立を維持するためには緩衝地帯が必要であり、ロシアは友好的または中立的な国家で包囲されていると彼は述べた。ソ連が崩壊した時NATOはこのことを認識していた筈であった。だが、これらのニーズを正確に認識するどころか、ゼレンスキー政権はNATOのウクライナへの拡大を促進し、密接に関連していたロシアとウクライナの両民族グループの分裂の炎を煽っていると曽我教授は述べている。これは、ロシアの軍事的対応を正当化するものであると彼は述べた。
彼は生物研究所のことやウクライナは核兵器を獲得するというゼレンスキーが表明した目標を持ち出さなかったことを私はここに指摘しておこう。
より完全な理解のためにはさらなる努力が必要
私が曽我教授の講演会に出席したのは、非主流派の視点にある程度受容的な日本の人たちがウクライナの状況をどのように捉えているのかを知りたいと思ったからであったが、十分にやりがいを感じている。曽我教授の発表後の討論では、ロシア側の見解が日本のメディアによってことごとく排除されたことが人々の理解に大きなギャップをもたらしたことは明白であり、教授の説明以外に私の方からも情報を付け足すことができた。曽我教授の話であるが、私は主に彼の講演を聞きたかったから議論そのものを支配しないように控えていた。もしもロシアがウイグル人に代わって中国に介入するのであれば、彼らは、日本になぞらえて、米国が何のビジネスも持ってはいない国々で行っている干渉に似ているという印象を持っていたようだ。だが、曽我教授のプレゼンテーションはその誤解を正すのに大いに役立った。ゼレンスキーがユダヤ人だったら、アゾフ大隊はどうしてナチスになり得るのかという疑問があり、それについて私はナチスの犠牲者はユダヤ人だけにはとどまらなかったと説明し、第二次世界大戦でのソ連の経験を説明した。たとえば、ベラルーシの私のロシア人教師の母親はユダヤ人ではないにもかかわらず、侵略したナチスによる夫の処刑を見守ることを余儀なくされた。出席した女性たちは西側諸国は他の国よりも言論の自由を享受しているという印象を持っていた。私は彼女らに、状況は変わって、ヨーロッパや米国では、今や、多くの検閲が行われていると説明した。彼女らはそのような状況についてはそれまで聞いたことがなかった。
この種のニュースはより落ち着いた情報源に戻り、それを信じる傾向にある人たちにとってはショックとなるであろうが、もし彼らがこの反体制派的な考えが存在することを知っていれば、彼らは私が言ったことには真実が含まれているという証拠を見ることになるのではないか。
全体として、日本が紛争に巻き込まれるように説得されてしまうのではないかという懸念が議論の対象となり、グローバルな視点から見ても、日本人にとって最も重要なことはその可能性を警戒することにあると思う。日本の皆さんとの会話を踏まえて言えば、ロシアとの紛争に引きずり込まれることに対しては日本国内には相当な抵抗があると思う。
平均的な市民が考えていることこそが違いを生み出すとするのであれば、もちろん、米国からの後押しが押し寄せるようになった時、そのことを見定めることになる。
講演の後に曽我教授と話す機会があり、米国の予算の何パーセントが軍事費に費やされているのをか知っているかと聞かれた。私は正確な数字を掴んではいなかった ― 「とてつもなく巨額」である。「なぜ米国民はこれに対処しないのか?なぜ誰もこれについて議論しようとはしないのか?これこそがウクライナでの戦争に対するあらゆる圧力の根源となっている。彼は、日本のように、問題は人々が自分の狭い家族や社会的な付き合いの範囲以外には何の興味も示さないことにあるのではないかと思っている。私は米国は日本ほど他の思考事項を除外して自分のグループ内だけに集中することには当てはまらないと答えた[5]。米国では「国防予算」を議論することは「強い米国」に反対していると見なされるため、政治的スペクトルのどちらの側からも批判はできないのだと私は説明した。それは誰も触れることができないものなのである。
注:
1 日本は近代化に着手し、植民地主義者の成功を模倣し始めた1世紀以上前の明治時代から自分たちを「西洋」として認識してきた。特に、日本は日本で使われている科学用語の多くをもたらした国であるドイツを賞賛した。
2 この問題に詳しい友人は、政治的に支配的な自民党は平和条約に向けて動いて来たが、そのたびに米国はすぐにそれを破綻させたと言う。
3 約20名。過去2年間に新型コロナ禍への対応として何が起こったのかを考慮すると、この数値は大きい。日本人はより大きな善のために自制することを信じているので、これは本物の興味を示しており、参加者はここで学んだことを自分の知り合いたちと共有する。
4 ユーチューブではこちら: https://www.youtube.com/watch?v=1qS6J-WbTD8 、日本語への訳文はこちら: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220304/k10013513641000.html 。NHKがこの翻訳を提供してくれたことは意義深いことだと思うが、曽我教授には心から感謝している。テレビではプーチンが眉をひそめ、唇を動かしている時に、ニュースキャスターは彼の言っていることとは矛盾するような解釈をしているのをしばしば見かける。
5 Thorsten J. Pattbergは、日本に関する一連の記事で、これが引き起こす可能性のある不条理のいくつかをカタログ化している。(最新版はこちら:https://thesaker.is/top-guns-kishida-and-us-biden-showdown-with-russia-and-china/)。さらに付け加えると、日本にはボランティア活動が比較的少なく、社会的不公正が無視され、被害者は自力でそれをかわすことを余儀なくされている。これは欠点である。だが、プラス面としては社会の安定性の向上に繋がる。
著者のプロフィール:パトリシア・オームズビーは1984年から日本に住み、翻訳家として働いている。1995年から2002年まで日本からバイカル湖へのエコツアーを主導し、日本語に加えてロシア語、タイ語、インドネシア語も操るようになった。彼女と夫は2001年に東京を離れ、田舎で有機農業を営んでいる。2001年には神道の巫女に認定された。
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これで全文の仮訳が終了した。
この著者が指摘したウクライナ紛争に関する男女間の反応の違いは実に興味深い。NHKによる電撃戦は女性を対象にしていたとする指摘は新鮮で、素晴らしい。著者の鋭い観察眼に敬意を表したい。それと並んで、タテマエとホンネに関する考察も面白い。著者は日本におけるウクライナに関するニュースがいかに差別的であるかを実感している。私自身がしっかりとは認識してはいなかった側面を明確に指摘してくれたことに感謝したい。
ところで、7月5日の報道によると、ロシア安全保障委員会の副議長を務めるドミトリー・メドベージェフは日本はロシアからの石油やガスの供給が停止され、日本はサハリン-2LNGプロジェクトの22.5%を所有しているが、この事業は国有化されると宣言した。(出典:Medvedev allowed the
cessation of Russian oil and gas supplies to Japan: By Vedomosti, Jul/05/2022)
サハリン-2からのLNG輸入の停止によって、日本の総発電量の3%が失われることになるという。日本が輸入するLNGの総量では、2019年のデータによると、ロシア産が8.2%を占めた。これに比べると、たとえば、ドイツではロシアからの天然ガス輸入がゼロになると、天然ガス総需要の55%を失うことになると言う。日本とは比べ物にはならない程に超深刻な事態である。
ロシア・ウクライナ戦争を巡って対ロ経済制裁を発動した米欧日はエネルギー資源の供給元であるロシアを失う。日本が失ったサハリン-2LNGプロジェクトの利権は何れ中国またはインドが手に入れることになると予測されている。
米欧日は十分なエネルギー資源を持たず、他の地下資源も乏しい。その一方で、ロシアや中国を始めとする非欧米諸国は概して天然資源に恵まれている。今回米国が採用した対ロ経済制裁に参画した西側諸国は、日本も含めて、今後、エネルギー資源の確保において安定性を欠き、エネルギー価格の高騰やインフレに悩まされ、国内経済はドカ貧となる方向だ。いい話はまったくない。上述のドミトリー・メドベージェフの言葉は西側経済の崩壊を約束したも同然だと言えるのではないか。
ヨーロッパと日本はエネルギー源をロシアに頼る面が大きい。しかしながら、ロシア産原油・天然ガスの供給が絶たれた場合の影響の度合いについて言えば、日本の方が厳しいのではないか。ヨーロッパはグリーン政策を一時的に引っこめて、最悪の場合は石炭の採掘を再開し、石炭火力を復帰させるというカードを持っている。日本にはそれがない。
伊藤貫が言うところの戦場としてのウクライナにおける「目の前の現実」について言えば、7月5日現在、ルガンスク地域は全面的にロシア・ルガンスク同盟軍のコントロール下に入ったという。残るはドネツク地域となり、ロシア軍は今後ドネツク地域からウクライナ政府軍を駆逐することに集中することが可能となる。ロシア・ドネツク同盟軍が全地域をウクライナ軍から解放した暁には、ドンバスはロシアの完全な勢力圏となる。ウクライナへの侵攻の理由が達成されることになる。
加えて、ロシア語を喋る住民が大半を占める黒海沿岸地域の一部の州はすでにロシアへの帰属を宣言している州もある。残るはオデッサ周辺の動向だ。近い将来、ロシアの勢力圏はドンバス地域だけにはとどまらず、ドンバス地域から黒海沿岸に西へと続き、その結果、モルドバと接するトランスニストリア地域さえもがロシア本国と陸続きになる。クリミア半島も陸路で繋がる。ウクライナを舞台とするロシア側の最低限の安全保障策はこれで達成される。結果として、ウクライナは版図が縮小するだけではなく、海への出口はなくなる。
こうして、現行のロシア・ウクライナ戦争が終わると、世界はいよいよ伊藤貫が予測している世界規模の地殻変動の段階へと移行していくのかも(注:詳細は【伊藤貫の真剣な雑談】第7回「文明の衝突とロシア国家哲学」[桜R4/6/25]、https://youtu.be/vd1jg5gcE3s を参照ください)。
参照:
注1:Japan’s Perceptions of the
Propaganda regarding the SMO: By Patricia Ormsby, The Saker, Jun/05/2022
素晴らしい論考の分かりやすい翻訳に、感謝申し上げます。まるでイザベラ・バードの「日本奥地紀行」を読んでいるかのような印象をもちました。ブログ主様の解説も素晴らしい。
返信削除近所にロシア女性がおり、訪ねて「戦争は終わった、ウクライナ無条件降伏、勝利は我らに有り」と伝えたところ、わっと泣き出し、抱きついてきました。相当辛い目にあったのでしょう。私も泣いてしまいました。メディアはどうやって落とし前をつけるのでしょうか。今回登場した、ロシア専門家は、信頼を失いますね。いいことです。
シモムラさま、
削除コメントをお寄せいただき、有難うございます。
ロシア人女性のご近所さんはまさに感極まったという感じですね。今や、世界中が注目しているのでしょうが、公の停戦や和平の日が待ち遠しいです!
ところで、英国のボリス・ジョンソン首相は辞任することを決めたそうです。西側の対ロ戦争のチアーリーダーも力尽きた感じ。次はゼレンスキーやバイデン自身がどう幕引きをするか・・・
今日のお勧めの一曲はクバン・コサックの”ああ、草堆よ、草堆よ”
返信削除https://www.dailymotion.com/video/x716a7n
Марина Гольченко Ой, стога, стога,
素晴らしいですね。
素晴らしいです!
削除クバンはウクライナのザポロージエ地域。この地域もロシア語を喋る人たちが多い地域のひとつですね。
削除широкаを正しくшырокаと発声しておりますね。гкхжчшщは硬い子音であって、軟母音иは硬母音ыと発音されるのです。革命後正書法がさだめられたのですが、例外としてこの慣習が定着したのです。КиргизияがКыргызとなったのは、チュルク語での元々の発音に戻ったからです。「点
返信削除天は二物を与えず」と言いますが、彼女は例外ですね。容姿端麗、歌も素晴らしい。べラルース出身です。ここの女性は頬骨の高い方が多いのです。その美女の典型です。
https://www.youtube.com/watch?v=qd6HDGdRmqI
返信削除Оборванная эизнь
今日のお勧めの一曲です。ボタンの動きは、トッカータとフーガなのです。
シモムラさま、
削除有難うございます。視聴してみました。バイアンの音色が実にいいですね!
安部氏の射殺、これは処刑ですね。警官隊の警備が弱められたのでしょう。散弾銃は目立ちます。警備側に手引きするものがいたに違いありません。目的は、自民党に同情票を集めることでしょうね。JFKと非常に似ています。
返信削除https://twitter.com/funasejuku/status/1545393477516726272
返信削除https://twitter.com/Tamama0306/status/1545360502108602369
https://twitter.com/QUADRANGLE_BOX/status/1545290421710241794
おまけ
https://twitter.com/Jano661/status/1545327339105845248
ぷらす
返信削除https://ameblo.jp/sunamerio/entry-12752373077.html
日本で銃を使ったこんな事件が起こるとは思ってもみなかったですね。しかも、民主主義の根幹を形成する選挙を行う矢先の出来事。もっとも、地下鉄サリン事件が起こった時、日本社会が安全だとする神話は完全に吹っ飛んでいましたから、日本社会にとっては不幸なことですが、もうひとつの不安定要素をあらためて再認識しなければならないですね。
返信削除もうひとつ:
返信削除田中宇の国際ニュース解説 無料版 (2022年7月8日) https://tanakanews.com/
「英ジョンソン首相辞任の意味」
この記事に安倍元首相の暗殺に関して興味深い考察が含まれています。必読です。
一夜明けて今朝の報道によると、容疑者は「当初ある特定の宗教団体のトップを狙っていたが、安倍元首相に変更した。安倍元首相の政治信条には関係ない」と供述しているとのこと。とすると、ロシアとの関係は重要ではなかったということになって、田中宇氏の推測は外れですね!
削除私はライフル銃の他に、ソ連製散弾銃20番口径をもっておりました。ブレネッケという獣猟用の一粒弾で鹿狩りをしておりました。散弾銃は最大口径は12番で、弾頭重量は32gです。20番は28g。32gが1500m/sで射入し、1/5000sで停止したとすると、胸腔内には子供の頭ほどの爆発孔が生まれます。私はポーランドの戦史博物館で、対戦車ライフル弾を撃ち込まれた戦車を観察したことがありますが、綺麗に開けられた孔の周囲には、涙雫が見られました。美幌には200のライフル射撃場がありますが、十発ほど撃ち、弾頭の変形を調べるために、安土までゆき、それを拾いあげました。あまりの熱さのために、反射的に棄てました。恐らく安部氏の胸腔にも1000度ほどのエネルギーが解放されたことでしょう。体温計は42度までしか表示されておりませんが、42度で血中蛋白質は固形するからです。今回の処刑は散弾銃が最適だったのです。
返信削除シモムラさま、
削除銃弾の威力は凄いことはよく分かっている積りでしたが、このように詳細な解説をしていただくと、その根拠が明確になって、より正確な理解ができました。感謝です!
2mという距離だと、鴨弾はほぼ2㎝の球状で射入します。傷は瞬間的に閉じますから、射入孔は見えません。当然出血も見られません。拳銃弾だと飛び出しますから、致命傷にはなりません。欧米の機動隊は、散弾銃で武装しているでしょう。接近戦には最も強力だからです。
返信削除一粒弾で仕留めた鹿を解体したとき、弾頭の周りの肉が白く変色していることに気がつきました。火傷の跡だと分かりました。
返信削除”美幌には200の”は、”200m”の間違い。
返信削除”カッサード大佐”によると、ЛНРとДНРは死刑を廃止しました。いいことです。
返信削除シモムラさま、
削除ちょっと付け足したい点があります。「死刑を廃止」したではなく、「死刑の執行停止を廃止」したということですよね。「執行停止」が落ちています。
そうでした。ロシアと同じく、執行モラトリアムです。ありがとうございます。
削除ネットでは”胸に皮下出血”とあり、不審だとされていますが、これは胸腔内で生じた爆発により、胸骨が瞬間的に膨張し、毛細血管を破壊したことによるものです。心臓は破裂したのでしょう。
返信削除ロシア語でказньは絞首刑、расстрелは銃殺です。
返信削除体内に残った散弾粒は、溶けて塊になっているでしょう。鹿の場合でも、ブレネッケ弾は溶けて変形しております。
返信削除https://www.youtube.com/watch?v=H2XsHjG1IUg
返信削除T-34伝説の戦車、時間軸17:58に砲弾が砲塔をかすめる場面があります。砲弾はその瞬間赤熱します。
北村滋、中村格、山口敬之も危ないですね。
返信削除https://www.youtube.com/watch?v=CaU_K8d_lVM
返信削除Вальс юнкеров 今日のお勧めの一曲は”幼年学校生徒のワルツ”です。Всё было как будто вчера ”全ては昨日の如し”いい文句ですね。
このワルツ、実にいいですね。感謝です!
削除釈然としませんね。政府とメディアが世論を何処に引っ張ろうとするのか観察したいと思っています。
返信削除一般的に散弾銃を使って大型獣を倒す場合、一粒弾を使うことが多いのです。今回の場合、一粒弾で撃ったとしたら、貫通し、後ろの人間に致命傷を負わせたことでしょう。安部氏は貫通銃創、後ろの被弾射は毛管銃創で、助かったとしても、銃創周辺の毛細血管は壊滅しており、薬や免疫物質を輸送することができず、多くの場合、敗血症となり、不幸な余後を辿ります。狙撃者は綿密に計算していますね。32gと28gの弾頭重量の差は、エネルギーの差としては非常に大きいのです。ですが銃身長が同じであり、弾頭直径と比べると、20番口径の方がより長めとなり、長距離を直線性の高い弾道をとるのです。
返信削除追加情報:
返信削除(注:これは前々から感じていたことではあるが、米フォックスニュースが公に主張始めたことは注目に値すると思う。米中間選挙を控えて、米国ではウクライナ紛争と並んで、国内問題が大きな焦点になりそうだ。)
フォックス・ニュースのコラムニストを務めるダグラス・マレーは、米国人はロシアのウラジーミル・プーチン大統領が米国の燃料価格の急激な上昇に対して責任を有するというジョー・バイデン米大統領が発した声明は信じていないと述べた。マレーによると、過去6カ月間、大統領政権は米国のすべての問題をプーチンのせいにしようとしているが、「米国人はそれには同意しない」。(出典:Fox News: Biden tried to shift responsibility for problems in the US to Putin: By Ekaterina Volkova, Gazeta.ru, Jul/11/2022)
Дорогие друзья, здравствуйте
返信削除У меня плохо работает компьютер. К тому же у сотового телефона нет японских букв. Ваш сайт по английскому нельзя найти! И Сэйка и полковник Кассад то же! Подходит конец Запада!
Боже мой!
削除Вы переживаете трудности прямо сейчас. Надеюсь, вы найдете определенные решения с вашим компьютером и мобильным телефоном как можно скорее. Кстати, на мой веб-сайт можно попасть по английскому URL: yocchan31.blogspot.com
Пожалуйста, попробуйте его.
Да, окончание войны в Украине, похоже, подходит к концу, наконец.. Я с нетерпением жду этого.
Хорошего летнего дня, Симомура-сан!
追加情報をもうひとつ:
返信削除もうすでにご覧になっているかも知れませんが、「藤原直哉の「日本と世界にひとこと」 2022年7月13日 時代は前に進むのみ(2022/07/12) が実に面白い。
個人的な恨みから安倍元首相を暗殺したとされる山上容疑者とは別に本当の暗殺者がいたのではないかという仮説が実に興味深い!藤原直哉は米国の仕業ではないかと推測している。
見ました。まともなと言ったら失礼かもしれませんが、嘘だらけの世の中で、”まともな”論説が聞けることだけでも幸せだなと思った次第。ありがたいことです。
返信削除Симомура-сан!
パソコンは中古で買えば、結構安くていいものが手に入ります。ハードディスクをSSDにすれば早くなります。