国際経済フォーラム(WEF)の年次総会は2024年1月15~19日にダボスで開催された。今回の総会のためのキャッチフレーズは「信頼の再構築へ」と題されていた。何らかの理由でWEFの信頼が損なわれたようである。
口喧しい第三者らは「このキャッチフレーズは彼らが仕出かした間違いを明白にしない限りは意味がない」と言う。たとえば、新型コロナの大流行においては具体的な対応策で大きな間違いを犯した。その結果、政策に対する批判的な意見を封じ込めただけではなく、接種によって世界中で1700万人もの無駄な死者をもたらした。それにもかかわらず、WEFはその責任の追及や反省については何の議論もせず、何の提言もしないのである。それどころか、今後さらなる検閲を行い、監視の策を強めることが予想されるのである。今回の総会である講演者は人類が直面する「問題」に関しては今まで以上に専制主義的な解決策を講ずるべきであるとさえ発言した。
WEFは概してグロ-バリストたちの集まりであり、新型コロナウィルスの大流行の際には製薬企業の金儲けをおおっぴらに後押ししたように、多国籍企業の利益を援護する立場をとる。
今回のWEF総会における数多くの講演者の中でふたりの人物が抜きんでていた。これらふたりの主張はWEFの出席者に「アッ」と言わせた。その一人はヘリテージ財団の代表を務めるケビン・ロバーツであり、もう一人は最近アルゼンチンの大統領に選出されたばかりのハビアー・ミレイである。それぞれがWEFのエリートたちに向かって彼らをこき下ろした。WEFの年次総会としては極めて異例な事態が起こったのである。
ここに「ヘリテージ財団の代表がトランプを擁護し、世界経済フォーラムであなたたちこそが問題だと言って、エリートらを叱る」と題された記事がある(注1)。
トランプ前大統領は反グローバリズムの立場を取ったが故に、彼の再選は、2020年、デイープステーツ(=グローバリスト)による前代未聞の不正選挙によって阻止されたことは周知の通りである。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
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副題:「敬意を表して言うが、あなた方こそが問題なのだ」とケビン・ロバーツはダボスの会議で語った
米国の人々はDHS(国土安全保障省)のマヨルカスが不信任となり、辞任することには心の準備ができている ― ケビン・ロバーツの言
ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長は国土安全保障省(DHS)のアレハンドロ・マヨルカス長官に対する下院での2回目の弾劾公聴会について議論し、政府の閉鎖を回避し、2024年の選挙への期待を述べた。
ヘリテージ財団の会長は木曜日(1月18日)にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムでホストと対峙し、WEFは民主主義を保護しているという主張に対して異議を唱え、(このWEF総会に集まっている)「いわゆるエリートたちこそが問題の一部である」とあるさえ主張した。
ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長はWEFのパネルディスカッションに招待され、ダボスの総会で発言をした。ロバーツ氏は演説後、記者団に対して、世界の指導者やグローバリストの人物が集まるこの年次総会への招待状を受け取ったことに多少のショックを受けたが、ここに出席している人たちの集団によって傾聴されたり、彼らに考えて貰うこともない「忘れられた人々」に発言の機会を与えることを大切にしたいと語った。
「忘れられた人々とは数多くの民族的背景を持った貧しい人たちや労働者階級に属する米国人だけに限られるわけではない。最近の数年で判明しているように、忘れられた人たちはたくさんいる。小規模のビジネス・オーナーや掻き集めて救い上げられた人たちのことだ」と彼は言う。これらの人たちの多くは本質的に政治的ではないとも付け加えた。
「彼らは皆同じことを信じている。つまり、彼らが信じてきた「アメリカン・ドリーム」は、今や、彼らの手から滑り落ちつつある。」
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WEFでロバーツ氏は「共和党政権の可能性に期待したいこと」と題されたパネルディスカッションで講演したが、これにはロブ・ポートマン元上院議員(共和党、オハイオ州)、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のジェラルド・ベイカー、バード大学教授のウォルター・ラッセル・ミードらも参加した。彼はダボス会議の大多数の参加者たちに反論する鋭い見解を示し、時には司会者を動揺させているようにも見えた。
司会者である英国の国際問題の専門家であるロビン・ニブレット卿は、ある時点で、トランプ前大統領が大統領に返り咲いた場合には「報復する」との約束についてロバーツに質問し、WEFが主張する自由や民主主義の擁護は大御所によって「カーペットの下へと一掃される」可能性があると口を挟んだ。
「あなたや誰かがダボス会議は『自由や民主主義を擁護する』と主張するのはおかしな話だ」とロバーツは述べた。
「同様に、ダボス会議で『独裁』という言葉を使い、それをトランプ大統領に向けて使うこともお笑い草だ。実際、馬鹿げていると思う。」
ダボス会議でロバーツは保守派からの次期大統領はエリートたちの権力を引き継ぐことについて国民の負託を受けるであろうと述べた。
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ヘリテージ財団会長のケビン・ロバーツ博士は「Mornings
with Maria」の番組に参加し、米国と中国の関係、ならびに、バイデン政権の5.8兆ドルの予算について話し合った。
「私が皆さんに納得して貰いたい点、つまり、私がここダボスでの会議に座っている理由はここにいる多くの人々に向かって、敬意を込めて、そして、見守っている多くの人々に対して個人的なことは何ら関係なく、あなた方こそが問題の一部であるということを説明するためだ」と彼はニブレットに語った。
WEFの流れを汲むエリートたちは国境警備から気候変動に至るまでの諸々の課題について平均的な人々に対して「現実は『X』だが、実際には『Y』である」と述べているとロバーツ氏は言った。
ニブレットがロバーツに、第2次トランプ政権の一部になると思われる人物について尋ねると、それは次期大統領が決めることだろうと答えた。しかしながら、ロバーツは、続けて、「忘れられた人々」が官僚機構に見たいと思う人物像についてはっきりとした特徴付けをした:
「率直に話すよう私はここに招かれていると思うので、ここでは率直に話そう。次の保守政権に就任する人物はひとつの原則によって支配される。それは政治エリートや選挙で選ばれてはいないテクノクラートが平均的な人々に対して持っている強大な支配を破壊することだ」と彼は言った。
「率直に言って、(次期)政権のすべての閣僚らが解決すべき課題はWEFでこれまでに提案されてきたすべてをリストにまとめ、それらすべてについて全面的に反対することだ」と述べた。
第47代大統領のオフィスの官僚機構を改革する気がない高官らはワシントンには居場所がないだろうと彼は言った。
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slamming 'open press system' at Davos panel
ジョー・マンチン上院議員(民主党)は「FOXビジネス」のマリア・バーティロモにダボス会議のパネルディスカッションで「オープンな報道システム」は「問題」だと言ったことを「完全に」謝罪したいと語った。
WEFでの発言に先立って、FOXビジネスのマリア・バーティロモと共演したロバーツは「アメリカ・ファースト」のメッセージは会議では共感を呼ばないように思えたと皮肉って述べた:
「意外なことには、そうではない。それなのに、ここに招待されている数千人のうちで4、5人はアメリカ・ファーストの政策が米国人だけでなく、非米国人にとっても正しいということを実際に理解している」と彼は「Mornings
with Maria」の番組で述べた。
「米国人が自由の頂点にいる限り・・・世界の他の国々の人たちも本当にその恩恵を享受することであろう。」
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これで全文の仮訳が終了した。
ケビン・ロバーツがWEF総会で述べた言葉は総会出席者たちにとっては極めて挑発的に聞こえたに違いない。彼らが彼の言葉をすんなりと理解することができたのかどうかは私には分からない。多くの人達は否定的であったのではないだろうか。心理学者がよく説明するように、自分の立ち位置が真っ向から否定されると、多くの人々は、通常、まずはその指摘を否定しようとする。
米大統領選がある年には何が起こっても不思議ではないとよく言われる。今回のWES総会でヘリテージ財団会長のケビン・ロバーツとアルゼンチンのハビアー・ミレイ大統領の二人は異彩を放つ主張を公開した。
それでは、ふたりめのアルゼンチン大統領のハビアー・ミレイの演説を覗いてみることにしよう。演説の冒頭で彼は次のように所信を述べた:
本日、私は西側世界が危機に瀕していることをお伝えするためにここにいる。欧米の価値観を守らなければならない筈の人々が容赦なく社会主義に傾き、ひいては、貧困へと導くような世界観に取り込まれているからだ。残念なことには、ここ数十年、西側世界の主要な指導者たちは自由のモデルを放棄し、私たちが集団主義と呼ぶ体制のさまざまなバージョンのために行動してきた。他の人たちを助けたいという善意によって動機づけられた人もいれば、特権階級に属したいという願望に動機づけられた人もいる。集団主義的な実験は世界の市民を苦しめている問題の解決策には決してならないことをお伝えするために私は今ここにいる。むしろ、ここに出席している皆さん方こそが根本的な原因である。私を信じていただきたい!われわれアルゼンチン人ほどこれらふたつの点を証言するのにふさわしい人たちはいない。・・・(出典:Davos
2024: Special address by Javier Milei, President of Argentina: By World
Economic Forum, Davos
2024: Special address by Javier Milei, President of Argentina | World Economic
Forum (weforum.org), Jan 18, 2024)
ケビン・ロバーツとハビアー・ミレイのふたりは今回のWEF総会で歯に衣を着せない、率直な発言をした。実に見事である。これらおふたりの言葉が世界の新たな潮流となって欲しいものである。
グローバリストたちが主導する世界において、新型コロナウィルスの大流行の際には人々の健康を守る筈の国際的な機関がとんでもない間違いを引き起こし、推計で1700万人もの人々を死に至らしめた。
ロシア・ウクライナ戦争では当事国間で和平の合意がイスタンブールでほぼ到達しかけた際、急遽、当時英国の首相であったボリス・ジョンソンがワシントンの命を受けて、乗り込んで来て、その合意をぶっ潰した。この出来事がなかったならば、18カ月前に停戦して、何十万人もの若者が死ぬ必要はなっかったであろうと交渉に当たったウクライナ側の当事者(ウクライナ側の交渉団長を務めたダビッド・アラハミア)が述べている(原典:「米メデイア、特別軍事作戦地域における現状を認める」:芳ちゃんのブログ、Nov/26/2023)。
これらの出来事の背景に見られる共通要素はグローバリストたちの暗躍である。
これらふたつの歴史的な出来事や他の様々な出来事を総合的に俯瞰してみると、ここにご紹介したヘリテージ財団会長のケビン・ロバーツの主張やハビアー・ミレイ大統領の所信表明は常識的に見て極めて妥当であると言える。
2024年は何が起こっても不思議ではないという命題を実証するかのように、最近、タッカー・カールソンがプーチンとのインタビューを行い、その全体を収録した動画を公開した。ロシア・ウクライナ戦争を背後から支援し、指揮してきた米国(あるいは、デイープステーツ)の暗躍ぶりが詳細にわたって暴露されたのである。もっと、正確に言えば、プーチンは何ら新しいことを暴露したわけではないのだが、この2時間のインタビューにおいてロシアの歴史的背景やロシア文化、ロシア人の魂を説明することによって、プーチンはロシアとウクライナの全体像を総合的に浮き彫りにした。ロシア側は和平交渉の準備が出来ていると何度となく繰り返した。今、戦争を悪化させないためのイニシアチブを取らなければならないのは米国(西側)だと指摘しているのである。こうして、今まで西側のメデイアが公開しようとはしなかった数多くの要素がタッカー・カールソンのインタビューによって諸々のエピソードや文化的背景、歴史的事実、2014年のマイダン革命、等が有機的に散りばめられた一枚の壮大なタペストリーとして米国の一般大衆や世界中の人たちに向けて公開されたのである。まさに、とどめを刺すかのようだ。その結果、言わば、「グローバリズム教」を崇拝する西側の指導者やメデイアはパニック状態に陥ったと報じられている。
本年、さらなる大きな出来事が起こるとすれば、それはいったい何だろうか?自暴自棄に陥った戦争屋がウクライナで核のボタンを押すのか、ガザ地区が地図上から抹殺されてしまうのか、米国がイラン爆撃を開始するのか、米国の大統領選でまた何かが起こるのか、それとも、米国の内戦か?・・・
参照:
注1:Heritage Foundation head defends Trump, 'scolds' elites at
World Economic Forum: 'You’re part of the problem': By Charles Creitz,
FOXBusiness, Jan/18/2024
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