気温が急に高まって、今日の最高気温は19度Cにまで上昇するとの予報。晴れ上がった青空を見上げていると、アパートが立ち並んだブカレストの街からは脱出したくなってくる。カルパテイア山脈の一帯へ行くには何時間もかかる。そもそも、ブカレストでは車の運転をするのは諦めただけに、やはり、今の私には機動性はまったくないのが現状だ。今頃の植物園で何が待っているのかは分らないが、とにかく市内にある植物園へ出かけてみることにした。
3月ももう月半ばになってしまった。今年は暖かくなるのが早かっただけに、当地での早春の花「ギオチェイ」にはもう遅すぎるかもしれないという懸念があった。昨年、凱旋門の近くでギオチェイの花を撮影したのは2月28日、一昨年は3月21日だった。雪解けの時期が年によって振れるので、花の時期は毎年大きく異なる。ギオチェイは日本では「スノードロップ」という名称で園芸ファンの間で人気があると聞いている。昨年の秋植物園へ出かけた際に、私は守衛のおじさんにギオチェイが咲く場所をたずねてみた。東洋人からギオチェイのことを聞かれて、一瞬、ちょっと不審そうな様子ではあったが、ある場所を指して、「この辺りにはギオチェイの花がたくさん咲く」と教えてくれた。
その場所へ足を運ぶ前からあちらこちらに白い小さな花が咲いているのが目についた。紛れもなくギオチェイである。そして、昨年の秋に教えてもらった場所へ行ってみると、辺り一面にギオチェイが咲いているではないか。昨年と一昨年ギオチェイの花を見に出かけていた凱旋門の近くの場所とは違って、この植物園内のギオチェイは群落を形成している。見事であった。
Photo-1:ギオチェイ
Photo-2:ギオチェイ
今日の植物園で私たちの目を楽しませてくれたのはギオチェイの他にもクロッカスやデイジーといった草花だ。
クロッカスの花は色彩が豊富である。ここでは、白、ブルー、黄色が主体。それぞれがとても鮮やかだ。
10数年前にブカレストから日本へ帰る折にアムステルダム空港を経由した。空港では乗り継ぎの時間をもてあましてブラブラしていたが、その時目についたのがクロッカスの球根だった。長野市にある実家の庭先とか畑の片隅へ球根を植えた。それ以来、クロッカスは毎年のように、雪が消えると同時にその花を見せてくれている。
Photo-3:クロッカス
そして奥の方へ歩いていくと黄色の花をつけた結構背の高い樹木が大きく球状に枝を伸ばしているのが遠望できた。花に近づいてみると、日本でも早春に咲く壇香梅の花にそっくりではないか。葉が広がってから葉の形状を確かめてみたいと思う。
Photo-5: 壇香梅の花にそっくり!
他にも目についた草花に白い花をつけたスミレがある。オオイヌノフグリの小さな花もたくさん見かけた。葉を伸ばし始めたギョウジャニンニクは可憐な白い花をもうじき咲かせることだろう。その頃にはキンポウゲや十二単も数多く目につくようになってくる……
植物園では私には名前が分からない草花がたくさんある。名称が分からないとそれらを記録として残しにくいのが実情だ。そうは言っても、今日の青空と暖かさが娘と一緒に私をブカレスト植物園へと誘ってくれた。風もなく穏やかな一日であった。
壇香梅とおぼしき木の周りはまだ裸木ばかりで、高く聳える樫の木の真黒な枝は芽吹きの様子さえも感じられない。でも、本格的な春は駆け足でやって来るに違いない。
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