2017年6月3日土曜日

マンチェスターでの自爆テロ事件は自作自演か?



テロ事件が起こった場合、いったい誰がその恩恵を受けるのかを考えることが犯行の当事者や組織を割り出す第一歩であると多くの専門家は言う。そして、この考え方は多くの事件で正解に導いてくれたことであろう。もちろんのこと、正解に辿りつけるかどうかは政府組織が何らかの形でそのテロ事件に絡んでいなかったならばの話である。政府組織が何らかの形で絡んでいる場合はそう単純ではない。犯人は犯行現場で射殺されてしまうことが多い。

過去のテロ事件を反芻してみると、ニースやパリ、ブリュッセル、あるいは、ストックホルムやベルリンで起こった個々のテロ事件がイスラム系テロリストによる犯行であるとする大手メディアの報道とは裏腹に、政府が関与していたのではないかと推測されるような事例が少なからずある。多くの場合、現場では銃撃戦となって犯人は射殺される。死人に口なしとなる。正確に言えば、死人に口なしとしてしまう。メディアは犯行現場には犯人のIDが残されていたと報道する。それはシリア政府発行の偽パスポートであったりする。

このような筋書きで展開するテロ事件が2件か3件続いた。どう見ても、自作自演くさい!

522日の夜英国のマンチェスターで起こったテロ事件では22人もの犠牲者が出た。もっとも若い犠牲者は8歳の少女であったという。入院した負傷者は59人を数え、そのうちの12人は16歳未満であった。

この自爆テロが自作自演であったと断定することは、多分、まだ時期尚早であろう。しかしながら、ここ数年間にわれわれが学んで来たことを振り返ってみると、自作自演の可能性に関して基本的な側面を詳しく分析してみる必要性は十分にあると言える。

本日のブログでは自作自演ではないかと疑うある識者の疑問点をご紹介しておきたいと思う [1]


<引用開始>

政府がその政治的目標のために自国の市民の殺害を支援する・・・ことがごく普通のパターンになってきた。メディアはそのような出来事を「テロ」とうそぶき、恐怖心を煽る。一般大衆はこれらの嘘を何度でも鵜呑みにし、そう信じ込む。

英国の選挙は201768日の予定だ。

米国からのポップ歌手、アリアナ・グランデの公演が終了した直後、「コントロールされた」大爆発が起こり、英メディアの報道によると、少なくとも22人が死亡、59人の負傷者が出た。このコンサートにやって来たのは若い人たちであって、犠牲者の多くは子供や未成年者だ。

歌手は何の傷も受けなかった。このコンサートホールは21,000人を収容する。爆発後、パニックが起こり、観客は出口へと殺到した。これによっても死亡者が出たのかどうかに関してはまだ何も明らかにされてはいない。

爆発の数時間後BBCは実際に何が起こったのかは未だ明らかではないと報じていたが、英国の警察および当局は速やかにテロ行為であると述べていた。

523日火曜日の早朝、英当局はイスラム国(IS)がこの爆発事件に関して犯行声明を出したと述べた。マンチェスター大都市圏の警察署長であるイアン・ホプキンスは、この爆発は調査専門家らの判断によると自家製の爆発物を用いた単独犯による自爆テロであると言う。この爆発で犯人も死亡した。

ISの宣伝機関であるアマク通信はこのテロ事件はISが引き起こしたものであると報じた。果たしてこの報道が本物であるかどうかを当局の独立機関は確認しているのであろうか?

米国の高官が犯人の氏名は英国人のサルマン・アベデイ、22歳であると指摘した(どうしてここへ米国の高官がしゃしゃり出て来るのだろうか?)。彼は英国生まれだ。犯人は手製の爆発物を爆発させたと報じられている。

もうひとりの23歳の容疑者がマンチェスターの南部で逮捕された。しかし、当面、警察署長は容疑者らに関してメディアに話すことは控えている。

首相のテレサ・メイは警戒態勢を「重度」から最高位の「極重度」に引き上げ、新たな攻撃が引き続き起こる可能性を示唆した。これは英国でもっとも高いレベルの警戒態勢である。また、彼女は警察に対して犯人は単独犯であったのか、それとも、テロ集団のメンバーであったのかどうかを調査するように命じた。

このテロ事件は200577日にロンドンで56名の犠牲者を出したテロ事件以降に英国で発生した事件では最悪である。

テレサ・メイならびに選挙戦における彼女のライバル、労働党党首のジェレミー・コービンは両者とも犠牲者の家族に対して弔意を表明した。68日の選挙のための選挙運動はすべてが中断された。

サディク・カーン・ロンドン市長は格上げされた警戒態勢がロンドン市にとっていったい何を意味するのかに関して、「ロンドンの通りには武装警官も含めて、今後、もっと多くの警官を配備することになります。ロンドンの周辺では兵士の姿も見かけるようになるでしょう。われわれの安全を維持し、重要な拠点を防護する警察官を支援するためです」と公表した。

首都圏警察のカウンターテロリズム部門を率いるマーク・ローリーはこう説明した。「一人が逮捕され、目下、複数の捜査が進行中であって、私がこうして話をしている間にも別の捜査活動が行われています。しかしながら、この時点ではこのテロ攻撃に大きなグループが関与していたかどうかを判断することはできません。24時間後には、われわれは当面の脅威を収束することができる捜査の糸口を手にしていることでしょう。」 

これらの状況のすべてを総合すると、英国はフランスと同様に急速に軍事国家になろうとしていると言えそうだ。EU圏でこれに続くのはどの国であろうか? 

こんなことをすればNATOEU・米国が自分たちに対する軍事的攻勢をさらに激化するだろうということを知りながらも、イスラム国の連中はどうして英国の子供たちを殺害したのだろうか?どうして英国なんだろうか?英国では選挙が真近に迫っているからだろうか?イスラム教徒に対してさらなる差別を約束する候補者が選出され、自分たちには不利な選挙結果をもたらすかも知れないということが彼らには分からないのだろうか?中東における平和的解決に関しては候補者はより消極的になるということを知らないのだろうか?

もちろん、彼らは知っている。そもそも、ISISIS (デーイッシュ)、アルカエダならびに中東で西側のために代理戦争に従事している他のテロ集団は殆んどが西側によって作り出されたものだ。われわれ市民はこの現実に目覚め、現在の重要な時点にこれらのテロ行為のありのままの姿を正面から捉えなければならない。つまり、これらは挑発行為や自作自演である。これは一般大衆を欺いて、指導者層が望んでいるものを一般大衆の側から求めさせようとしているのだ。より強力な「保護」を一般大衆に求めさせようとしている。徐々にではあろうが、これは西側を加速度的に軍事国家に変えることに他ならない。

戒厳令の施行さえも遠い話ではない。オランド前仏大統領はへプト・チャーリー・テロ事件(自作自演であった)後に戒厳令を導入しようとしたが、失敗に終わった (
http://www.globalresearch.ca/germany-and-nato-towards-martial-law-preparing-for-a-fascist-repression-in-europe/5590292、および、http://www.globalresearch.ca/french-election-fraud-will-macron-be-able-to-form-a-government/5589262 を参照)

これはヨーロッパの都市に繰り出して来る反政府デモの参加者を弾圧し、必要とあれば暴力的に抑圧することができるお墨付きをデイープ・ステイツによって設立されたEU、つまり、ブリュッセルに与えようとするものだ。西側の経済においてはネオリベラル的な融資が圧倒的に増え、財政は緊縮され、公共サービスや教育および医療制度が民営化され、年金は削減されて、端的に言って、ファシスト的な経済が行われる。まさにそういった状況が起こるかも知れないのだ。ギリシャを見たまえ。そういった状況はもう真近に迫っているのだ。
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何時ものことではあるが、問題はいったい誰が恩恵に授かるのかという点だ。一見したところでは、この「テロ」行為はテレサ・メイや彼女の保守政党に利するようだ。「テロリスト」を締め出すために彼らはテロリズムや移民に対する弾圧政策を広げる。警告もなしにテレサ・メイによって決断された解散総選挙はあのテロ攻撃からたった17日後の68日に予定されているが、親保守党色、かつ、反労働党色の強いプロパガンダをぶち上げるには十分な時間がある。

興味深いことには、ジェレミー・コービンは急速に世論の支持率を伸ばしていた。今回のテロ攻撃は彼の支持率の増加を元へ押し戻し、治安により重点を置く保守党党首のテレサ・メイの支持率を伸ばすことになるのかも知れない。あたかもジェレミー・コービンならびに労働党は治安を重要視してはいないかのようで(これはプレスティチュートの暗黙の偽りであるのだが)、見え見えだ。まさに、選挙がまんまと盗まれることが予告されているみたいなものだ。

面白いことには、最近のフランスでの大統領選においてもテロ攻撃が選挙前に起こった。第一ラウンドの数日前、ひとりのガンマンがシャンゼリゼで警察の車に発砲し、警官が一名死亡し、二人が負傷した。ガンマンは仏警察によって射殺された。これでもっとも確実な情報を持っていた目撃者が消えてしまった。すべては終りである。

この事件がマクロンとルペンとを第二ラウンドへと送り込んだ。これこそが「政治システム」の黒い手が待望していたことだった。だから、自称中道派で、親欧州、親グローバリズム、親NATO、そして、ごく自然に治安を重要視する、すなわち、欧州の軍国化に賛成し、ロスチャイルド家の銀行家であるエマヌエル・マクロンの宣伝に集中することはいとも簡単なことであっただろう。このようにして、彼はブリュッセルに抗し、ユーロ通貨に抗し、ならびに、NATOに抗してフランスの主権を取り戻すことを訴えていたマリーヌ・ルペンを相手に地滑り的な「勝利」を手にした。

われわれは、今年の後半には、マダム・メルケルが再選されるのにさらなる市民の殺害が必要となるのかどうかを知ることになるだろう。

著者のプロフィール: ピーター・ケーニッヒはエコノミストであり、地政学的な分析を行う専門家である。彼は以前世界銀行に勤務し、世界中で環境や水資源の分野に関する仕事をしてきた。米国やヨーロッパ、南米の大学で講義を行い、定期的にグロ―バル・リサーチ、ICHRT、スプートニク、プレスTV、第4メディア(中国)TeleSURVineyard of The Sakerのブログ、ならびに、他のインタ―ネット上のサイトのために執筆している。著作:「Implosion」、これは戦争に関する経済スリラー。「Environmental Destruction and Corporate Greed」、こちらは事実に基づいたフィクションであって、世界銀行での30年間にわたる経験を反映したもの。

注: この記事に表明された見解はあくまでも著者のものであって、必ずしもInformation Clearing Houseの意見を反映するものではありません。 

<引用終了>


これで仮訳は終了した。

この記事の中で疑問符が付けられている文章は著者が感じた率直な疑問点である。

たとえば、「ISの宣伝機関であるアマク通信はこのテロ事件はISが引き起こしたものであると報じた。果たしてこの報道が真実であるかどうかを当局の独立機関が確認しているのだろうか?の部分に関する著者の思いはISの犯行声明に関してその真偽の程を当局は実際には調べていないのではないかという不信感だ。最悪の場合、英国のMI5ISに頼み込んで、犯行声明を出させたのかも知れない・・・ ISが元々は米国や英国が作り出した組織であることを考えると、これは当然の疑惑であると言えよう。

著者がこの記事の表題に記したマンチェスターでの自爆テロ事件は自作自演か?という問いかけは最近の諸々の事例を解析した結果、論理的に到達した著者の結論であると言える。何とおどろおどろしい現状であろうか。

「われわれは、今年の後半には、マダム・メルケルが再選されるのにさらなる市民の殺害が必要となるのかどうかを知ることになるだろう」という文言は、実際問題として、非常に示唆に富んでいる。たとえば、NATOの立案者の考え方は今までの経験の中で事がうまく運んだ事例を模範にすることが多いという。そうであるならば、フランスや英国に続いてドイツでも選挙前にテロ事件が起きる可能性は非常に高くなるとする推論を単なる妄想だとして片付けてしまうことは難しくなるだろう。



参照:

1False Flag in Manchester?: By Peter Koenig, Information Clearing House, May/25/2017





2 件のコメント:

  1. いつも興味深い記事のご紹介を有難うございます。

    私もマンチェスターのテロ事件は 自作自演の偽旗作戦の可能性が高いのではないかと思っておりました。

    クライシスアクターを使ってテロ事件を演出しているようですが、事件の犠牲者(死亡)として英の新聞に写真が掲載された女性とそっくりな人(同一人物?)が なぜか事故の目撃者としてインタビューに答えていたり・・・とにかく怪しい点があります。

    https://www.youtube.com/watch?v=SXj2Q_HwIks&t=56s

    ISも しょせんは米英イスラエル、サウジ、カタール等の息のかかったテロ集団なのでしょうが、それにしても 何のために わざわざイスラム教徒が忌み嫌われるような状況を自ら作り出しているのか・・・。

    これらのテロを裏で操っている人たちは 選挙に何らかの影響を及ぼしたい というのも もちろんあるのでしょうけど、それ以上に テロを起こすことで 世界中で「監視社会」を作りたいのかな?という気が 個人的にはしています。 

    Wikileaks が報道した、CIAが流出させたハッキングツール等も 
    テロリストを含む個人が 監視される社会を作るのに役立つものですものね。

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    1. Kumi様

      コメントを有難うございます。

      クライシスアクターの件、インプットしていただき有難うございます。調べてみると、このような側面は数多くのテロ事件で登場して来ますよね。たとえば、2013年にボストンマラソンでテロ事件が起こり、何人もの犠牲者を出しました。大手メディアの報道では両足をもぎ取られた被害者が車イスに載せられて運搬されて行く様子が出て来たそうですが、これは実際にはこのテロ事件の被害者ではなく、アフガニスタンの戦場で両足を無くしていた元米陸軍少尉のニコラス・フォークトであったことが分かっています。要するに、センセーショナルな報道にするためのメディアによる「やらせ」以外の何物でもなかったのです。

      これと似た事例が他にも数多くありますね。今回のマンチェスター自爆テロ事件でも、報道された場面に出て来る金髪の女性はかってオーロラ劇場乱射事件(2012年、コロラド州)やサンディフック小学校乱射事件(2012年、コネチカット州)、および、ボストン・マラソン爆発テロでのそれぞれの事件の際、現場の惨状を伝える報道で3回も登場していた人物と同一の女性ではないかと指摘されていますよね。この女性はクライシス・アクターとして今や国際的なスターになったかの観があります。

      メディアの視聴率に対する過剰な執着心が常識や倫理の枠を越してしまう行動を起こさせ、メディアにとってはそれなりの効果をもたらしているにが現状で、この手法は繰り返して用いられているようです。

      言うまでもなく、目的のためには手段を選ばない状況は戦争の場では数知れない程に起こっています。21世紀の今日ではあっても、貿易戦争やサイバー戦争、金融戦争、あるいは、情報戦争に直接的に関与している連中にとっては、心理的には古典的な軍隊による戦争とまったく同じであって、目的のためには手段を選ばないという暗黙の了解があるのかも知れませんね。昨年の米大統領選でヒラリー・クリントンを押す民主党の選挙支援団は選挙における自分たちの大失敗を認めず、「ロシアが介入したからだ」と主張して、米国の世論を二分させてしまいました。過剰とも言える程のフェークニュースが横行しました。これらもすべてが同根だと思われます。

      自作自演テロ事件を用いて選挙戦を有利に勝ち抜こうとする戦法は、ピーター・ケーニッヒが指摘しているように、ひとつの効果的なやり方としてすでに定着しているのかも知れません。

      ディープ・ステ―ツの真の目的は決して公表されることはないようです。フランスや英国で選挙に勝って、現状を維持することが彼らにとって当面もっとも大事なことのひとつなのでしょう。次は、ドイツの選挙です。親グローバリズム、親NATO、親ユーロ通貨、等の路線を維持することが当面の目標であって、それは米国の経済的覇権を維持することにあるように見受けられます。何れにしても、近視眼的なものですが、これらの目標が各国にさまざまな悪弊をもたらすことは確かです。別の大きな議論が必要となりましょう。

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