2018年7月24日火曜日

米民主党員は怒り狂っている。ギャラップ世論調査によると、米国人は粉ジュースなんて飲まないし、ロシアが脅威であるなんて思ってもいない。

7月16日にヘルシンキで開かれたトランプ・プーチン会談の後、トランプ大統領とプーチン大統領は共同記者会見で記者たちの質問に答えた。

英国のガーディアン紙の記事(Trump condemned as treasonous after press conference with Putin: By David Smith in Helsinki, The Guardian, Jul/16/2016)によると、この記者会見でトランプ大統領はプーチン大統領が米大統領選への関与を強く否定したことを受けて、プーチン大統領の言葉を受け入れたことから、米国内ではトランプ大統領が自国の政府機関、つまり、諜報部門が報告した内容を無視しただけではなく、クレムリン側の肩を持ったとして非難の大合唱が起こり、大混乱となった。ある識者はこの混乱ぶりは9/11同時多発テロ直後の状況に匹敵すると評した。

トランプ大統領を批判する声は主に民主党側からであるが、ロシアゲートの勢いをさらに上回るかのようにさえ感じられる。批判の声は米政界、批評家、メディアから凄まじい勢いで沸き起こった。中には「背信的だ」、「国家への反逆だ」といった攻撃的な批判の言葉さえもが飛び出した。そして大統領の弾劾さえもが囁かれている。

しかしながら、この狂乱振りはいったい何だろうか?

米国のディープステイツや軍産・ウオールストリート複合体、ならびに、大手メディアは執拗にロシア人ハッカー説を喧伝して来た。2016年からであるから、もう2年近い。

しかしながら、「元諜報専門家のグループがロシア人によるハッキングに関して疑問を表明」と題した2017年7月29日の投稿で詳しくご紹介しているように、民主党全国委員会(DNC)のデータは遠隔地のハッカーがインターネットを通じてコピーすることが可能な速度を遥かに超す速度でストーレッジデバイスにコピーされたこと、ならびに、データのコピーとその改ざんは米国の東海岸地域で行われたことが判明し、これらの事実が報告されている。これは独立したサイバー捜査専門家が到達した結論である。

この報告を冷静に理解しさえすれば、ロシアゲートはとてもじゃないが成立し得ないと私には思えるのだが。

こうして、ロシア人ハッカーがDNCサーバーからデータを持ち出したとする筋書きはとうの昔に崩れてしまっている。換言すると、ロシアが米大統領選に介入したとする言い分の非常に重要な部分、つまり、ロシア人がインターネットを通じてハッキングしたとする筋書きはまったく信憑性に欠けているのである。

とは言え、クリントン大統領候補を支持した連中は、今でもなお、クリントン候補の電子メールを持ち出したのはロシア人のハッカーだと思っているのだろうか?今回の狂乱振りを見ると、まるで今でさえもそう思っているかのようだ。

米民主党の政治家や評論家、大手メディアは作り話のロシアゲートの延長線上にどっかりと座ったままで、科学捜査の結果には全然耳を傾けようともしないまま、今回のトランプ・プーチン会談後の記者会見を受け止めているのであろうか?不幸なことには、どう見ても、「いや、そんなことはない」とは言えそうにない。そういう意味で、この狂乱振りは私には理解できないのだ。

つまり、彼らの批判はすべてがありもしなかったことを土台にして、その上に次から次へと構築されているのである。

ところで、米国の一般庶民はロシアゲートをいったいどう見ているのだろうか?

この疑問に関して非常に興味深い世論調査の結果を報じている記事がある [注1]。この記事は「米民主党員は怒り狂っている。ギャラップ世論調査によると、米国人は粉ジュースなんて飲まないし、ロシアが脅威であるなんて思ってもいない。」と題されている。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。


<引用開始>

左派の間では中間選挙での大勝への期待は絶対に満たされると観測する一方で、先週の「危機」 [訳注:トランプ・プーチン会談後の記者会見を指している] を見ると、物事は計画通りには進まないかも知れないと思わざるを得ない。トランプ大統領がヘルシンキへ足跡を記す前にさえも、左派やメディアは「大悪党」のプーチンに対して戦争のドラムを鳴らしていたし、トランプ大統領に対してはいったいどんな切り札を切るのかについて騒いでいた。記者会見での熱狂が終るや否や、左派の連中は「背信的だ」とか「降伏」といった言葉を発して、お互いに徳を示し合おうとして、地獄のような大混乱が起こった。


事実、インターネットは「トランプ」や「国家に対する反逆」といったつぶやきで一杯となった。彼が2016年の7月に冗談まじりに「ロシアはヒラリーが紛失した電子メールを3万本も所有している」と言い放った時以上の反響振りである。[訳注: 下記のグラフを参照ください。]










Photo-1

又もや、「ロシア、ロシア、ロシア」という大合唱が起こって、新冷戦の終焉を真面目に論じようとする声はかき消されてしまう程だ。




 
















Photo-2 [訳注: 民主党のマスコットはロバである。ロバは賢くて勇敢であると言う。一方、共和党のマスコットは象で、象は力強く、威厳があると言う。]

民主党が果てしなくロシアに焦点を合わせ続けることや共犯説を喧伝するメディアのお喋りには深刻な問題がある。即ち、それらの事柄を気にする米国人なんてほとんどいないのだ。なぜならば、一般庶民は気掛かりな実態経済の中で毎日の生活を送っているからだ。


最近のギャラップ世論調査 [訳注: 2018年7月1~11日の調査] は次のように述べている。米国が直面するもっと重要な問題は何かと問うた結果、ロシアという回答は1パーセントにもならなかった。しかも、悪いことには、1パーセントのレベルから下降し続けているのだ。 





































Photo-3  原典: ギャラップ

デイビッド・シロタが記述しているように、『ギャラップは米国が直面する問題の中で何が一番重要であるかと米国人の考えに関して最近世論調査を行った。「ロシアとの関係」と答えた米国人の割合は数値で表すには文字通り余りにも小さい。』

共和党に投票する者は反米だと主張する元FBI 長官のコミーはもちろんのこと、トランプの選挙運動にロシアとの共謀の罪を着せようとして全エネルギーが注ぎ込まれ、多くの市民が辛酸を舐めている世界をわれわれは目隠しをしながら眺めさせられている。昨日、スティーブ・バノンはCNBC の「Delivering Alpha」 [訳注: 「もっとも重要なことを述べる」の意] の会議で「民主党は米国の労働者を見捨ててしまった」と述べている。

選挙への干渉は脇へ押しやられており、民主党員はこのことを受け入れる必要がある。共謀に関してはどうかと言えば、彼らは何の証拠も見つけてはいないのだ。

民主党員はどうして敗北したのかをこれから受け止めなければならない・・・ 彼らは、11月9日の午前2時半以降 [訳注: ウィキぺディアによると、前日8日の投票後即時開票が行われ、2016年11月9日の午前2時45分にはトランプの当選が確実となった]、やり直しを望んできた。彼らは嘘をつき、愚痴をこぼし、この11月には彼らのやり直しの機会がやって来る。しかしながら、嘆かわしい連中も今年の11月6日 [訳注: 中間選挙の投票日] にはやる気十分であろう。

この11月には投票者たちは決意を固める。彼らが何を決めようとしても、それはトランプが唱える経済ナショナリズムのプラットフォームに関する話である。彼のプラットフォームは経済成長を促し、職場を作り出している。 

「票数が増加するかも知れないし、減少するかも知れない。経済や減税を含めた政策全体によって決まる。連銀は第2四半期は4パーセントの経済成長だと言うのではないかと思う。これは経済ナショナリズムのせいだ。」 

左派はこのようなプラットフォームで運営される政策は「社会主義」的ではないと言うのだろうか?「反トランプ」的でもない?




















Photo-4 [訳注: 「ブルーウェーブ」とは選挙での地滑り的勝利を指す]

原典: 
Zero Hedge

<引用終了>


これで全文の仮訳が終了した。


この記事の著者は何を言いたいのだろうか?

依然として大騒ぎを続けている民主党のお歴々の関心事は党利党略に走り、一般庶民のそれとはまったくかけ離れている。思うに、著者は大混乱の様相を見せているロシアゲートが如何に非生産的であるかを示そうとしたのではないだろうか。国民の権利や福祉、安全を第一に考えて然るべき民主主義政治がここまで堕落してしまったという事実を指摘したかったのではないだろうか。

特に、2016年の大統領選でトランプ大統領に敗れたクリントン候補を推していた民主党は選挙で敗れたという事実や敗れた理由を真摯に受け止めようともせずに、相手のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領との共謀説をでっち上げ、同大統領の信用を落とすことにやっきとなり、大手メディアと共に執拗な攻撃を続けてきた。

また、著者は『記者会見での熱狂が終るや否や、左派の連中は「背信的だ」とか「降伏」といった言葉を発して、お互いに徳を示し合おうとして、地獄のような大混乱が起こった。』とも述べているが、「お互いに徳を示し合おうとして」という表現が実に興味深い。これは、あの大騒ぎは民主党のお歴々がお互いに競演したものでしかないという見方だ。党の重鎮たちはそれぞれが自分の発言の威力や徳の高さを競い合ったのである。こう表現することによって、著者はこの大騒乱の本質の一端を示してくれた。

米国の経済成長が続くと、トランプ政権は盤石の助っ人を得て、11月6日の中間選挙に臨むことになる。もしもこういった現政権に好意的な条件が揃うならば、民主党にとっては「やり直し」の機会は2020年、あるいは、2024年まで待たなければならなくなる。

民主党が鳴りを潜めると、新冷戦の構図を覆そうとするトランプ大統領は対ロ外交を存分に展開することが可能となる。何回目かのトランプ・プーチン会談で軍拡競争を取り止め、中東やウクライナでの代理戦争を終息させる。そうすることによって、核大国間の核戦争の可能性を低減させることができるのだ。戦禍を逃れようとして郷里を離れざるを得なかった何百万人もの難民は郷里へ帰ることができる。米国自身は軍事費を削減することによって、真の意味で貧困問題や年金、医療制度、教育といった国内政策に予算を注ぎ込むことも可能となるに違いない。かっては、こういった政策は労働者の見方であった民主党のお家芸であった筈なのだが・・・ 

果たして、今後どう展開して行くのであろうか?



参照:

注1:Democrats Are Mad, Gallup Shows Americans Aren’t Drinking the Kool-Aid, Don’t Think Russia Is a Threat: By Tyler Durden,
Zero Hedge, Jul/20/2018




1 件のコメント:

  1. Photo-4の手前に「連銀は第2四半期は4パーセントの経済成長だと言うのではないかと思う。」という仮訳がある。しかしながら、「4パーセント」とは経済成長のことではなく、金利のことかも知れない。原文だけでは私にはどちらが正解であるかは分からない。当面トランプ大統領や政府高官の今後の発言を注目して行く必要があることを指摘しておきたい。

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