2018年7月27日金曜日

「今までとは完全に違う世界秩序が始まる」 - ロシアの一番人気のトークショーがトランプ・プーチン会談を語り合う

716日にヘルシンキで開催されたトランプ・プーチン会談は米国の軍産複合体を中心とした戦争推進勢力に激震を引き起こしただけではなく、EUやロシア国内にも大きなショックを引き起こしたようだ。特に、プーチン大統領のお膝元では今いったい何が議論されているのかという問い掛けは非常に興味をそそる。

ここに「今までとは完全に違う世界秩序が始まる - ロシアの一番人気のトークショーがトランプ・プーチン会談を語り合う」と題された記事がある [1]

この記事の原典はロシア語によるYouTubeの動画である。動画の表題は「“He Fears For His Life”: President Trump Trying His Best to Not End Up Assassinated Like Kennedy」で、そのアドレスはhttps://youtu.be/IUK5g6v5zrg。英語の字幕付き。もっと長い動画の一部分を取り出して、英語版を準備したような感じだ。このトークショウの参加者は何人もいるのだが、ひときわ光っているのは映画監督、脚本家、映画製作者と幅広い活動を行っているアルメニア系ロシア人のカレン・シャフナザーロフだ。彼の熱弁振りを動画で観察して欲しい。映画監督特有の鋭い洞察力が如何なく発揮されており、非常に興味深いトークショーとなっている。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。

<引用開始>

ロシアでも指折りの政治評論家のひとりが非常に興味深い議論をしている。彼はいくつもの事柄についてソ連邦の崩壊と平行に議論を進めている。

米国の大手メディアが喧伝する古臭いネオコン系のまやかし商品に比べると、このロシアのトークショーは非常に新鮮である。 
  字幕を下記に転写する: 

カレン・シャフナザーロフはディレクターで、ロシア人民芸術家: 

あなたが言っていることはこの会談とどのような関係があるのか?

明らかに何の関係もない。彼は主題を遠回しに喋って、自分の思惑を推し進めようとしている。


私は完璧な記者会見だったと思う。劇的な性格は完璧そのものだ。トランプ氏は何故サーバコンピュータについて喋っているのかをお分かりだろうか?彼は自分の命のために弁護しているんだ。

もちろん。

自分の地位ではなくて、自分の命だ!何故かと言うと、彼は米国のシステムとはどのようなものか、そして、米国のシステムは権力に対抗する人物をどのように扱うかを熟知しているからだ。彼はケネディ・シニアやジョン・ケネディ、等のケネディ一家の伝記について完全にわきまえている。リーガンについてさえもだ。彼が自分の命を守ろうとしていることは明白だ。ディレクターとして私が言うことを信じて欲しい。私にはそれがありありと見える。彼にとってあれは生か死の問題だった。実に素晴らしい記者会見だった。

このような記者会見は私の記憶にはない。私とは違って、多分、あなた方は遭遇したことがあるのかも知れない。米国の大統領が彼のライバル(連中は、実際に、プーチンをライバルとして見ている)と一緒に記者会見をするなんて初めてのことである。米国のジャーナリストは自国の大統領がそのライバルと一緒に居ることについて直接批判した。この点はまさにあらゆる規範とももつれあうのだ。米国のジャーナリストがプーチンに対してトランプ大統領の名誉を傷つけるような何らかのネタを持っているのではないかと質問したが、こんな質問は前例がない。まったく前代未聞だ。これは米国社会が大きく分断していることを物語っている。あなた方はあれやこれやを喋り、われわれに関しても喋って、藪の周りを叩いているだけだ。これはあの件とどんな関係があるんだい?

前にも言った通り、これは実に奇妙な現象だ。トランプはまるでペレストロイカをやろうとしているみたいだ。見てご覧。今、1989年とまったく同一のシナリオが演じられている!ゴルバチョフはソビエト圏のエリートたち、つまり、東独、チェコスロバキア、ポーランド、等の指導者から反撃を受けたが、トランプはあれとまったく同じ状況に今直面している。もちろん、政治的文化そのものは異なるけれども、状況はまったく同じだ。



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Photo-1: カレン・シャフナザーロフ:「われわれは地球上のあらゆる国家へ兵士を送り出し、戦いをすることなんてもう望んではいない。」

連中は彼をどうしても受け入れなかった。諜報機関についての言動も同様だ。シナリオはまったく同じだ。何故だろうか?トランプは世界を凌駕する帝国としての米国を潰そうとしており、連中はそれに感付いているからだ。連中は完全に理解している。米帝国によって育て上げられた欧州の権力者らもこのことを理解している。帝国が崩壊するならば、彼ら自身も立ち退かなければならないと理解している。そう、彼らは立ち退き始めるだろう。
もっとも重要な点は、トランプが、意識的、あるいは、無意識的に、恐らくは、無意識的にであろが、実際にはいいことを実行していることだ。事実、彼は「もう、たくさんだ!これ以上は望まない。政治的権力に対する戦争が始まった。われわれは地球上のあらゆる国家へ兵士を送り出し、戦いをすることなんてもう望んではいない。戦争はもうたくさんだ!」と言っている米有権者の半分を代表しているのだ。
しかし、問題は彼が非常に強力なシステムに対して挑戦をしている点だ。このシステムはソビエト時代のエリート集団よりも遥かに手強い。ソビエト帝国は軍と官僚で構成された帝国であったが、エリートたちは皆が礼儀をわきまえていた。このエリート集団はゴルバチョフを受け入れなかったけれども、彼を打ち負かすことはできなかった。今回のケースでは、われわれは軍と金融界のエリートを相手にする。これらのエリートと闘い、トランプは生産資本を呼び込もうとしている。これがエリートたちを破滅に追いやるトランプの手法であるが、彼らは実に強力だ。こうして、トランプはエリートらに対して闘いを挑んだ際に遭遇した数多くの米国の政治家と同じ結末に直面する。彼らは、時には、ジョン・ケネディの場合と同様の結末に見舞われた。
これこそがこの記者会見が実に凄いものであることの理由である。たくさんの劇的な性格を帯びている。この文脈で言えば、トランプが支援を求めてプーチンに向かったことは正解だ。もちろん、彼は米国社会の中のたくさんの人たちから支持を受けている。このグループの人たちにとってプーチンはライバルではない。その文脈では、プーチンの立ち位置は正しい。しかしながら、状況は非常に劇的である。
私は賛成だ。

ところで、緊張緩和を期待する人たちがいる。しかし、緊張緩和はないだろう。それとはまったく正反対で、米ロ関係はさらに悪化するだろう。舵取りをするエリートらは、経済制裁や敵対的な行動を含めて、明らかにロシアをさらに叩こうとするだろう。こうして、われわれは国際政治においては非常に劇的な時代に突入することとなる。

私には理解できないが・・・
要は、私が「ペレストロイカみたいだ」と言う時、その言葉を文字通りには受け止めないで欲しい。歴史においては何事も文字通りには行かない。

セミョーン・バグダサーロフ: 

もしもあなたが・・・
バグダサーロフ氏よ、ちょっと待った。ちょっと待ってくれ。われわれはあなたの素晴らしい技巧についてはよくわきまえているが、私の声の方が強いよ。信用して貰いたい。私は(映画の製作で)何千人もの群衆のシ-ンを取り扱っているんだ。
バグダサーロフ氏よ、中断してくれ。バグダサーロフ氏! 
要するに、このような規模の歴史的な出来事について、例えば、帝国の崩壊あるいは革命について理解すると、これらの出来事は実際には同一のシナリオに従って展開している。私が「ペレストロイカ」を引用する時、私はそれをその文字通りの意味で引用している訳ではない。セルゲイ、あんたはゴルバチョフはペレストロイカがいったい何をもたらすことになるのかについてはまったく考えが及んではいなかったと言うが、それは正解だ。彼は当時のわれわれのソビエト人民に不満を抱いていると表明していた。
何かを変革しなければならないと誰もが理解していた。そこで、彼は変革を導入した。トランプもまったく同じだ。彼の挑戦がいったい何をもたらすかに関して彼は何の考えもない。われわれにもない。しかし、われわれにもそれと分かるように、明らかに、彼の行動はすでに西側を壊し始めている。非常に大きな動きだ。それだけではなく、彼は今の趨勢を継続するだろうと私は推測するし、これは非常に客観性の高いプロセスであると思う。こちらでわれわれに出来ることなんて何もない。

そうだ、このプロセスは、ちょうどソ連邦の崩壊がそうしたように、予想外の事柄をもたらすかも知れない。私は米国がばらばらに崩壊すると言っている訳ではない。しかし、欧州のエリートたちは変化するだろう。何と言っても、彼らは、現在、余りにも「天使」のような存在だ。アンゲラ・メルケルはホーネッカーみたいだ。彼女は米国の優位性の中で育って来た。彼女はそれ抜きにしては生きられないし、他のエリートたちも皆がまったく同じだ。

これは彼らにとっては大惨事だ。彼らはこの種の世界で生きることに慣れている。さて、世界はバラバラになり、深刻な結果を伴うだろう。でも、それに備えて準備する事なんて出来ない。われわれは何も準備してはいなかったとあなたは言うが、あなたの言っていることは正しい。米国人だってソ連邦の崩壊に対して準備をしていた訳ではない。誰も認めようとはしなかったが、彼らはソ連邦の崩壊を幸せに思っているし、われわれだって同様だ。私がペレストロイカのことを喋る時、私はソ連邦にとっては非常に貴重な機会であったと言おうとしている。とにかく、ペレストロイカはわれわれには有益であった。

もちろん、有益だ。

好ましいことだった。しかし、それが世界にどんな影響を与えるかについてはわれわれには分からない。米国人の考え方からすると・・・ 親愛なるバグダサーロフ氏よ、われわれが米国人であると想定しよう。われわれ側の見解を知って、記者会見後に私は次のことを言うとする。「さあさあ、あんたは何をしているんだい?あんたはライバルの眼前で汚れ物の洗濯をしている。何てことだ!」 

国内政治の汚れ物!そんなことはするなよ!

もちろんだ。ところで、あんたは反トランプなんだろう?あんたは彼には大反対だ。あんたにとって彼は反逆者だ。

その通り。彼はどうしてわれわれの諜報機関について悪口を叩くんだろう!

それがポイントだ。それこそが私が言いたいことなんだ。もしもあんたが米国人であるとすれば・・・ 

彼は米国大統領にはならなかっただろう。

いや、そうではなくて、問題はもっと遥かに複雑だ。

個人的には誰も彼に属してはいない。でも、彼は最高司令官だ。

いや、そうではなくて、もっと、もっと複雑だ。それこそが彼が諜報機関の何人かを解任した理由なんだ。

しかしながら、最終的には、トランプはこの客観性のあるプロセスを表明する。今日の世界秩序はソ連邦の崩壊後はまったく意味を成していない。米国は軍事力を誇示し、その強大で、どこへでも配備することが可能な諜報機関を自慢する。でも、これらは不可避的に崩壊する運命にある。トランプはひとつの症状だと言えよう。彼がどのような運命を辿るのかは私にも分からない。彼にとっては最悪の状況となるかも知れない。米国では内戦が始まるかも知れない・・・ 
セルゲイ・スタンケヴィッチ:

彼は2期目に出馬することを実際に宣言した。彼はそのことを隠そうともしない。

その点に関してもっとも重要なことは・・・ 

—88百万人が彼を支持している・・・

申し訳ないが、終わりまで話させてくれ。あの会談の一番凄い点はシリアやウクライナ、あるいは、クリミアのために準備されたものではなく、プーチン氏が米国の有権者に向けて「トランプはわれわれのエージェントではない。信じてくれ。保証するよ」と言ったことだ。これこそがトランプがこの会談で実現したかったことなんだ。なぜならば、あの記者会見はこのことを土台にしていることを如実に示していた。これは実に興味深いし、劇的だ。

私は、個人としては、別の意見だ。まず、トランプの大統領としての業績を評価すると、彼のような大統領は、たとえ誰かがいたとしても、長いこと現れなかった。彼がもたらした結果は凄い。確かに、トランプは術策に特に長けているという訳ではなさそうだが、それでもなお、彼は米国の大統領だ。そして、トランプは選挙選で訴えていた公約に実際に固執している。この点はほとんどの米国の大統領とは異なっている。

この記者会見の際に、彼は就任演説で述べたことを再確認した。つまり、ワシントンのドブ池を掃除するという意味だ。セルゲイは彼の概念は不明瞭だと言うが、明確だ。実際には、それはパックス・アメリカーナだ。それはリーガン政権によって、あるいは、それよりも前から発展して来たものだ。トランプはこの概念を仄めかし、ひとつの理由として自分のモットーを「米国を再び偉大な国家にする」とした。数多くの件で、彼は国内生産に依存する伝統的な手法に従おうとしている。米国人は、事実、彼が言っていることが良く分かる。彼は狭い範囲の学生やリベラル派のメディアに訴えかけるのではなく、米国の有権者に向けて訴えており、とてつもなくアメリカ人的な大統領だ。この文脈において言えば・・・ 

プーチンとトランプはどうしてこうもお互いに理解し合えるのだろうか?それは二人共自分たちの有権者を完全に理解しているからだ。プーチンはロシア連邦の大統領であり、トランプはアメリカ合衆国の大統領だ。二人はどちらも相手側のエージェントではない。彼らは二人共それぞれの国家が発展することを望んでおり、このことが相互コミュニケーションの余地を与えているのだ。

彼らは何らかの理由で中国の指導者に尊敬の念を抱いている。われわれは今新しい世界秩序を構築する第一歩を目撃しているように思う。概念的には、これらの三つの大国は相互に作用しあい、お互いの目を覗き込んで、相手が自分の国家や人類のためにどんなことを行いたいのかを判断しなければならない。それこそがトランプが両国は全世界の核兵器の95パーセントを所有していると特に注釈した理由である。われわれは交渉しなければならないのだ。 



本投稿はまずRussia Insiderにて公表された。
このテキストは誰でも自由に如何なる媒体やフォーマット上であっても再出版、コピー、再配布すること、ならびに、内容を練り直し、変形させ、このテキストを元に商業用に再構築することが可能です。その際、Russia Insiderとのリンクを明記し、原典を表示してください。Russia Insiderに連絡する必要はありません。ただし、画像やビデオは除きます。
Licensed Creative Commons

<引用終了>
 
これで全文の仮訳が終了した。

カレン・シャフナザーロフ映画監督の指摘は非常に鋭く、奥が深い。特に、将来起こりそうな米国の変化をソ連邦の崩壊の過程と対比させた説明は秀逸だと思う。人によって、その受け止め方は千差万別であろうが、彼の説明は説得力を持っていることがこのテキストを読んでいる最中にひしひしと感じた。映画監督であり、脚本家でもあることから、彼は個々の要素を全体像の中で何処へ位置づけし、どのような役割を持たせ、全体からどんなメッセージを読み取って貰うかといった構成の仕方が非常に巧みだ。少なくとも私にはそう思えた。

多くの識者が述べているように、このトランプ・プーチン会談は歴史的な出来事であることには間違いない。このトークショウに出演した人たちの中でもっとも中心的な人物、カレン・シャフナザーロフはこの会談に紛れもない歴史的胎動を感じ取っている。彼の思いはソ連邦の崩壊と比較するところまで行った。そうすることによって、われわれ一般読者にこの歴史的な動きの意味を明瞭に示してくれた。

また、米国の政治が時にはとんでもないことを仕出かすことを十分にわきまえているカレン・シャフナザーロフはトランプが暗殺される可能性さえをも懸念している。

最期に個人的な感慨を敷衍して付け加えるとすれば、特に、日本の大手メディアにしか接してはいない方々にとってはこの記事は新鮮な印象をもたらすのではないか・・・と勝手ながら想像している。

 

参照:
1'It’s the Start of a Completely Different World Order’ - Top Russian Talk Show Discusses Trump-Putin Summit (Video): By RUSSIA INSIDER, Jul/24/2018

 


 

2 件のコメント:

  1. 日本の片田舎でロシアの衛星放送を見ている者です。ロシアのテレビ番組のご紹介ありがとうございます。大変嬉しく思いました。何分素人観察ではありますが、僕の理解の範囲で解説させて下さい。

    1) 政治番組の放送時間
    恐らく現在ロシアには数十の放送局がありますが、全国ネットで政治関連番組を放送しているのは5局です。僕はこの内4局の放送を見ていました。(日本に漏れていた電波が絞られ去年から見られなくなった局が2つあります)第1チャンネル、ロシア1(以上国営)、TVC、NTV(民放)、それぞれの局が、今回ご紹介いただいたような「政治討論番組」を放送しています。驚くべきはその量と回数で、各局、基本月~金曜日の枠で毎日2~3時間の放送です。(現在は夏期休暇中)延べにすると、毎週50~60時間は、ロシア全土でこの種の討論番組が流れていることになります。司会者は一人か二人でほぼ固定されています。かなりの精神労働だと思いますが、毎日十分にこなしています。討論参加者は、勿論内容により異なります。政治家、学者、社会活動家、ジャーナリスト等、能力さえあれば誰でもOKで、外国人の参加も多いです。(残念ながら日本人はゼロ) とはいうものの、モスクワ在住、或いは滞在者の中から探すにしても限りがあるらしく、半数以上の「論客」は全ての局に出演している感じです。ウクライナ危機以前の5年前までは、現在のような状況ではなく精々週に1~2回程度の放送で、その内容も国内問題が多かったように記憶しています。しかしこの数年は年毎に内容も変化し、回数も増えました。ロシアでも「視聴率」が局の経営に直結しており、視聴者の要望の結果だと思います。それと、最近のネットの発展で、これらの番組はすべてyou tubeで見ることができます。NHKみたいに囲うことはせず、寧ろ、積極的に配信しています。ご紹介のあったシャフナザロフの出演した番組はここにあります。この後半部分です。
    https://www.youtube.com/watch?v=QiQzzF8bc1c&t=0s&index=24&list=PLwJvP0lZee7wGKLURAENUVekHeK0nGO-A
    2時間41分のビデオになっていますが、実際の放送は1回5分のCMが頻繁に入りますので、3時間は優に超える長さになります。

    2) 番組の内容
    これは、完全に現在の政治状況を反映していて、国際問題が中心です。ウクライナ、シリア、アメリカ、NATOがテーマになることが多く、中国北朝鮮は少し、日本については、1、2回見た記憶がありますが、ほぼ皆無です。ロシアに対しては、ソ連時代からの引き継ぎで「報道、言論の自由がない」と見なされているのかも知れませんが、プーチン批判を恐れている参加者は見たことがありません。番組により参加者の配置に違いがあり、分かり易いのは、左右2列に分かれ、一方がプーチン支持、一方は反プーチンとして、討論するのが基本です。(紹介のあったビデオでも2人は反プーチン派です)反プーチン派は、ロシア国内の「リベラル」、ウクライナ人でキエフ政権支持者、ポーランド、バルトの反ロシア派、英米のネオコン、ネオリベといった人々です。特に、ウクライナ、ポーランドのネオナチの流れを汲む連中の、プーチンというよりもロシア人一般に対する侮蔑表現は凄まじいものがあります。畜生以下の存在としてロシアを貶すのですが、それに対するロシア人の反撃も凄まじく、こういう「対決」を売りにして「視聴率」を稼ぐのかという批判すら聞きます。国際情勢を冷静に見ている人ならお分かりになると思いますが、プーチンの国際戦略に論理破綻は少なく、西側戦略の粗がやたら目立つので、討論になれば、反プーチン派はヒステリーになり、喚くだけのようになり、視聴者に与える印象は最悪のものになるという繰り返しです。この数年のプーチンの支持率の高さはこのテレビ討論番組の反プーチン派の拙さが影響していると僕は見ています。


    思うに、日本を含め西側のマスコミでは、討論、インタビューにおいても結論ありき、最初からシナリオあっての番組、記事になっているのはないでしょうか。紹介いただいた討論番組は16日のヘルシンキ会談直後の収録で、参加者は一種の興奮状態の中、各自自由に意見を述べており、結論を導き出すような趣向の番組ではありませんでした。その同じ日に撮られたアメリカFOXのインタビューは、インタビューワーが、プーチンから何等か彼に有利な言質を取ろうという魂胆が見え見えの大変お粗末なものでした。
    https://www.youtube.com/watch?v=rHY8yG4mVzs
    米国人記者の能力の問題かもしれませんが、僕には彼の置かれた立場の「自由の無さ」を反映しているように見えました。

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    1. 石井鶏児さん、コメントを有難うございます。お久しぶりに登場して頂き、殊更です。なんと言っても、毎日ロシア語の報道番組をご覧になっている石井様からのインプットは掛け替えのない存在価値です。私には、残念ながら、ロシア語の放送を直接視聴することはできません。原文がロシア語である場合は、英訳された文書に頼るしかありません。
      ご紹介いただいた「左右2列に分かれ、一方がプーチン支持、一方は反プーチンとして、討論するのが基本です」という説明を頂き、実際にスクリーンを目の前にしているような感じがしました。
      また、「プーチンの国際戦略に論理破綻は少なく、西側戦略の粗がやたら目立つ」というご指摘は米ロ関係そのものにも該当するように思えます。だからこそ、ロシアはシリアで成功したのではないかと思います。西側の評論家は少なからずがプーチンの論理破綻が少ないのを「彼は柔道家だから」と言って、言い訳にしています。ラブロフ外相やショイグ国防相に見るように、ロシア政府には人材が揃っています。質が全然違うような感じさえしますが、これは単なる勘違いでしょうか?

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