2022年9月10日土曜日

ザポリージャ原発 ― NATOは世界大戦を引き起こす口実にしようとしている

 

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長が率いる検査官チームは8 31日早朝にウクライナの首都キエフを発って、その日の夕刻には450キロ離れたザポリージャ原発の現場へ到着する予定であると報じられた。

原発の安全性は様々な観点から評価される。ただ、問題は国連の下部機関であるIAEAがどれだけ第三者的な立場を維持することができるのかは、私に言わせると、まったく未知数である。米国が率いる西側世界では対ロ攻勢が衰えを見せてはいない今、このIAEAによる安全性の検査がどのように実施され、どのような勧告が成されるのかは予断を許さない。

実は国連の下部機関については手放しで喜んではいられないことを示す悪い前例があるのだ。それは化学兵器禁止機構(OPCW)の悪例である。2018年のことだった。多くの読者の皆さんにもご記憶にあると思うが、シリアにおいて反政府武装集団が仕組んだ塩素ガスを使った化学兵器攻撃について調査を行ったOPCWの高官らは中立的な立場を貫く努力はせず、逆に、現地での検査を行った検査官が提出してきた内部報告書をシリア政府を貶める内容に改ざんし、最終報告書として公表するという破廉恥な行為をした。

IAEAOPCWの二の舞を演じないことを願うばかりである。

ここに、「ザポリージャ原発  NATOは世界大戦を引き起こす口実にしようとしている」と題された記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有したいと思う。

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Photo-1:  エネルホダルのザポリージャ原発。資料写真 © RIA Novosti / Konstantin Mikhalchevsky

西側はロシアとの直接の軍事衝突を準備している。このことはますます明白になって来た。例えば、ウォール・ストリート・ジャーナル紙はワシントン政府が「キエフを支援する軍事的任務」にコードネームを割り当てること(これは雄弁以上のものでさえある)を既に計画しており、これを支援するためにある将軍を任命していると発表した。確かに、その翌日、ペンタゴンの報道官であるパット・ライダー将軍はこの事実を確認しなかったが、特に熱心に否定もしなかったのである。記者たちには公式発表を待つようにと求めた。

西側がウクライナ紛争に直接関与するよう世論を準備していることは、ウクライナ紛争を取り巻く危機が進展するにつれてますます明らかになりつつある。ザポリージャ原発は 同じ西側の直接指導下にあるウクライナにあって、状況は毎日悪化している。欧米マスコミにおけるこの深刻な問題の報道内容を見ると、それらは利害の意識を著しく引き上げていることを示している。一般庶民はウクライナが支配している原子力発電所をロシアが砲撃していると絶えず聞かされている。初歩的な疑問(たとえば、なぜロシアはすでにその支配下になっている領土を砲撃しなければならないのか?あるいは、なぜロシアはウクライナの手中にある他の原子力発電所を砲撃しないのか?)に対する明確な回答が欠けているのは、欧米の挑発が悲惨な結果に終わるのに先立って、ロシアを非難するために、あるいは、われわれの国家の信用を落とすために、あからさまなプロパガンダ攻勢がすでに開始されていることを証明している。

典型的な例を次に示してみよう。今週、ロシアはザポリージャ原子力発電所周辺の状況に関する国連安保理の緊急会合を招集した。その翌日、フィナンシャル・タイムズは「キエフは原子力発電所で国連オブザーバーに呼びかける」という見出しの記事を掲載した。つまり、原発砲撃事件の徹底的な調査を積極的に要求し、それらの終結を求めているのはロシアではなくて、ウクライナであると言うのだ!

それと同時に、IAEA調査団の将来の訪問を西側諸国がいかに恐れているかを肉眼でも見ることができる程である。IAEAの査察を予期して、デイリー・テレグラフ紙はザポリージャ原発の従業員が放射能汚染のリスクについては検査官に話すことがないようにと「酷い圧力を掛けている」という恐ろしい話を報じた。 IAEAの検査官は、定義上、ある特定の損傷が何によって起こされたのかを原発の職員に伝えることができるのだが、そのテーマについては取り敢えず脇に置いておこう。だが、ロシア自身があらゆるプラットフォームを通じてこれらのリスクについて大声で訴えてきたという事実が背景にあることを考えると、このような非難は何と馬鹿げていることか!しかし、原発の従業員はそれらを否定したと伝えられている。

この馬鹿げた話に加えて、IAEAの訪問の際には「占領者」は「われわれ(ウクライナ人)の要員の存在を最小限に抑え、彼らの代表者である者を何人かコントロールセンターの各部屋に張り付ける」ことを計画しているといった話が「ウクライナ人のエンジニア」からさらに追加されている。彼らは「キエフの政権からの解放を非常に楽しみにしていたと大声で叫び上げることだろう」。このような不条理を理解するために、こういった状況を想像してみて欲しい。しかし、デイリー・テレグラフの読者にとっては何も上手くは行かないであろう。どうやら、この種のフェークニュースの顧客は解放された地域の住民がウクライナ当局に掛けて誓う物語が西側のテレビによってますます多く漏れて来るであろうことを非常に懸念しているのである。ということで、われわれは念のため「誤解」の可能性を未然に防ぐことにしたい。

Photo-3:関連記事:August 26, 08:00、「Auditors go to the Zaporizhzhya NPP: what it threatens Ukraine and the West

ウクライナ側はこの嘘とパニックによって構成された狂気の雰囲気をさらに助長し、いかなる論理的な説明にも反する、到底信じられないような物語を絶えず投げかけて来る。こうして、キエフ政府はロシアがウクライナ領土の電力を遮断したとして非難した。そして、ウクライナの原発に対する砲撃の結果が取り除かれた際には、ウクライナのエネルゴアトムは、「占領者による多数の挑発があったにもかかわらず」ザポリージャ原発の従業員は「英雄的に」キエフが支配する地域への電力供給を回復したと喜んで報じたのである。すなわち、彼らの「論理」によると、「ロシア人の占領者たち」はウクライナの電力供給に対して熱心に干渉していることが判明したが、原発の「英雄的な」職員たちは、いくつかのパルチザン的な拷問の経路を通る合間に原発のコントロールセンターへ侵入し、「占領者」の目と鼻の先で、そして、IAEA検査チームの面前で拷問や演説の暗記に従事し、 エネルギーの供給を回復するためにはいくつかの奇跡によって原発をコントロール下に置く。まさに、壮大な物語である!

しかしながら、これらの作り話がどんなに馬鹿げて見えようとも、彼らは誰もが西側が画策した挑発にまつわる反ロシア・ヒステリーを煽るというひとつの目標に向かって行動している。このロシアを嫌悪するレベルを高めることはまさに西側の大衆に武力行使の必要性については何の疑いも持つべきではないといった価値感を抱かせるためにあるのだ。

もちろん、NATO憲章の第5条を適用する必要性に関する声明が米英の政治家の口からますます頻繁に聞こえてきたことは偶然ではない。それはザポリージャ原発で核の惨事が発生した場合はNATOが公式に関与するということである。英国議会の議員であるトビアス・エルウッドはザポリージャ原発でロシア軍が「偽旗作戦」を準備しているとタイムズ紙上で喧伝し、それに対応するコメントを付けたことを思い出していただきたい。つまり、「ウクライナの原発でなんらかの放射能漏れをもたらすような意図的な設備の損傷が起こった場合はNATO憲章の第5条の違反となる。」ここで、「なんらかの」という文言がコメンテーターの間で強い関心を呼び起こした。もしもこれがロシアが支配する原発に損傷を与えた場合は、NATOはウクライナを攻撃することを意味するのかという質問について同議員は無視した。われわれ皆が理解しているように、このような質問は西側の政治エリートの考えには合わないのである。

Photo-4:関連記事:August 5, 08:00、「The West is afraid of the Russian flag over Kiev

そして、英国に続いて、まったく同じ論旨が米国議会の副議長であるアダム・キンジンガーによっても繰り返された。彼はこう言った。「実際、これはまともな議論さえもされてはいない。放射能のいかなる漏洩もNATO諸国の人々を殺すことになる。そうなれば、自動的に第5条だ。」すなわち、米英の議員たちはザポリージャ原発で自分たちが組織化した原発事故が起こった後には、ウクライナではなく、自動的にロシアを攻撃するだろうと直接主張しているのである!

ところで、二人の冒険家が、新聞社のスタッフであり挑発者でもあるマキシム・タッカーが書いたタイムズ紙の記事を参照している事実は極めて特徴的な事態である。その中で、何の批判的な分析さえも行わずに、彼はウクライナの特別サービスに言及し、日本で起こった「福島」の大惨事のような規模でのザポリージャ原発の核の惨事を準備しているとしてロシアを非難している。この著者は、20158月にも、世界に対してこれと同様な「巷で評判となるようなこと」を主張したことでよく知られている。その後、SBUに言及して(そして、もちろん、批判的な分析は何も行わずに)、同タイムズ紙でタッカーは一部のロシア人核科学者が密かにドネツクへやって来て、そこでドネツク人民共和国の命令によって化学製品を製造する国営工場において「汚い」核爆弾を製造をしていると述べた。この記事は、奇妙な偶然によって、ウクライナ軍によるこの工場の放射性廃棄物貯蔵施設の砲撃が急激に強化された事実と一致したのである。その前日、ウクライナの国家安全保障国防委員会のオレクサンドル・トゥルチノフ長官はキエフ政権が「汚い」核爆弾を作るために作業をしていることを認めた。そのことから、タッカーの記事はウクライナの特殊部隊と英国人の情報提供者らが準備した挑発を隠ぺいするための情報であったとかなりの確度で推測することが可能だ。

しかし、もしもその時すべてが情報ノイズに限定されていたとしたとするならば、今や、欧米自身が利害関係を過度に危険な高みにまで引き上げたということになる。前線に立つキエフ政権にとっては彼らの状況が絶望的になればなるほど、「欧米はプーチンが勝つことは許さない」というスローガンが彼らのあらゆる立場からお経のように聞こえて来るのである。タイムズ紙の社説は「ロシアは紛争が広範に広がることに対する西側民主主義国家の恐怖を利用している」として、遺憾の意を込めて嘆いている。同社説は、結論として、これらの自称「民主主義国家」はロシアとの広範に及ぶ、あからさまな紛争に入ることは恐れるべきではないとしている。

Photo-5:関連記事:August 8, 08:00、「The United States is looking for a replacement for Zelensky

実に多くのことが危機に瀕している。これは一極世界全体のことだ。そこでのプロパガンダは常に「ルールに基づく世界」を連呼している。そして、これらはすべてが米国にやって来る中間選挙に重ね合わされ、ジョー・バイデン政権にとっては、すなわち、一極的な西側世界にとっては極めて重要なのである。誰もが、11月以降、民主党は上院と下院の支配権を失うという事実を、どういうわけか、自分たち自身さえもが諦観している。しかし、最近のフォックス・ニュースの分析によると、共和党のリードは多くの人が考えていた程には大きいわけではなく、民主党は11月までに自分たちの立場を強化するあらゆるチャンスをまだ保有している。

しかし、そのためには、米国社会は大きな変革を必要とする。米国の歴史の中では、有権者を動員するためには選挙の前夜に何度も紛争が始まっている。と同時に、普通の米国人はウクライナ紛争自体をまったく気にはしていないことを理解すべきである。最近、ニューヨーク選挙区のひとつから選出されているパット・ライアン下院議員は選挙運動中に有権者からウクライナに関する質問は一度も聞かなかったことを認めた。これは、米軍による当紛争への直接関与だけがそのような揺さぶりとして役立つことができることを意味する。核による世界的な惨事をもたらしかねない非常に危険な道である。

そして、ゼレンスキー政権がますます悲しむべき状況になってきているという事実は、週末前に行った彼の次のような演説からも明白に読み取れる。「前線の状況は大きな変化もなしに残っている」と述べて、ウクライナ政権のトップはほとんど涙を流さんばかりであった。状況が如何にしても「変わらない」ことは彼にとっては明らかに悪化の一方を意味する。だからこそ、ゼレンスキーは欧米に直接介入するよう呼びかけ、「ロシアによるザポリージャ原発の砲撃」に関して益々大嘘をついているのである。これはキエフ政権の唯一の希望のようだ。他には何も残ってはいないからだ。

ゼレンスキーは欧米の利益のために自国をすでに犠牲にしてしまった。そして、今や、ウクライナは西側が地球全体を犠牲にする用意ができていることを期待しようとしている。残念なことには、ゼレンスキーに加えて、冒険者たちは他にもいくらでもいる。

Photo-6:関連記事:August 18, 08:00、「How Ukraine Is Turning into a Kamikaze State

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これで全文の仮訳が終了した。

「最近、ニューヨーク選挙区のひとつから選出されているパット・ライアン下院議員は選挙運動中に有権者からウクライナに関する質問は一度も聞かなかったことを認めた。これは、米軍による当紛争への直接関与だけがそのような揺さぶりとして役立つことができることを意味する。核による世界的な惨事をもたらしかねない非常に危険な道である」という部分は、米国政府が日本海軍を誘導して真珠湾の攻撃をさせて、米国民を一挙に欧州戦に関与させた経緯を思い起こさせる。私には、米中間選挙の直前に米民主党側がとんでもないフェークニュースを流して、政局を有利にしようとする状況が目に浮かんでくるのだ!政治のメカニズムにおいては、常に、教科書通りに歴史が繰り返される。

本投稿について原稿を書いている最中にIAEAの検査官チームによる現場での検査が終了した。そして、報告書が発表された。

「ザポリージャ原発の検査報告書を発表、安全地帯の設定を要請」と題された96日の記事(注2)があるので、同記事の内容をここで確認しておこうと思う。仮訳を下記に示す。

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副題:IAEAの査察官はザポリージャ原発における設備の損傷を確認し、同施設での放射能災害を防止するための措置に頼るよう関係者に要請

Photo-7© Stringer/TASS

モスクワ発、96日、タス通信。国際原子力機関(IAEA)は、ザポリージャ原発ZNPP)を含むウクライナの原子力施設への査察訪問の結果をまとめ、火曜日(96日)、報告書を発表した。当局は、軍事行動によって引き起こされる可能性のある緊急事態を未然に防ぐために、ZNPPを囲む「安全・セキュリティ・ゾーン」を設定することを勧告した。

IAEAの推計によると、ウクライナの他の3カ所の原発、つまり、ロヴェンスカヤ、フメリニツカヤおよび南ウクライナの原発は標準モードで運転を続けている。

タス通信はIAEA報告書の主要条項を次のように要約した。

原発の安全・セキュリティ・ゾーン:

IAEAZNPPの周囲にセキュリティ・ゾーンを直ちに設置するよう強く促した。当局は軍事行動によって引き起こされるかも知れない原発事故の防止に役立たせるためにこの問題に関する協議を直ちに開始する用意があると述べた。

「紛争の終結や安定した状況の回復によりけりではあるが、軍事的手段による物理的損傷から生じる原子力事故を防止するための暫定措置が緊急に必要である。これは、原子力安全・セキュリティ・ゾーンを即時に確立することによって達成することが可能だ。」

IAEAZNPPにこのような原子力安全・セキュリティ・ゾーンを緊急に確立することにつながる協議を直ちに開始する用意がある。」

セキュリティ上の脅威:

IAEAの査察官はZNPPで起こった損傷を正式に記録し、同施設での原子力災害を防ぐ措置に頼るよう呼びかけた。同国際機関は核の安全に関する原則に違反してZNPPで発生した「数多くの出来事」を報告した。

「この4月以降、ZNPPではかなりの数の出来事が起こり、七柱を著しく危険にさらした」と彼らの声明は読み上げ、IAEAの専門家チームは「ZNPPの近くで砲撃を真近で目撃した・・・、われわれのチームは報告された出来事によって引き起こされた損傷をさまざまな場所で観察し、損傷の一部は原子炉建屋の近くでも起こっていた」と付け加えた。(訳注:「七柱」とは「叡智の7本の柱」を指しているようだ。聖書からの引用である。そこでは叡智の完全性が説かれている。ZNPPにおける完全性とは設備の安全やセキュリティーの完全さを指すものと言えよう。)

IAEAは「原発の現場およびその周辺に対する砲撃は、原発および関連施設へのさらなる損傷を回避し、運転要員の安全を確保し、安全かつ確実な運転を支えるための物理的完全性を維持するためにも、直ちに停止するべきである。これには、ZNPPの周囲に原子力安全・セキュリティー・ゾーンを確立することに関して関係者すべての合意を得ることが必要である」と勧告した。

また、ZNPPへの予備電源を再確立することが必要であり、ZNPPの冷却システムおよび他の原発の運用に必要な電力供給を再確立する必要があると当局は勧告した。

IAEAは、オフサイト電源ラインの冗長性を設計通りに再確立し、いつでも利用可能にすること、ならびに、電力供給システムに影響を与える可能性のあるすべての軍事行動を終了することを勧告する。」

原発のさらなる運用の可能性:

また、IAEAは紛争当事者に対して原発施設の従業員が適切に働けるような条件を提供するよう勧告した。

IAEAは、家族からの支援を含めて、原発を運営する要員のための適切な職場環境を再確立すべきであることを勧告した。さらには、原子力事業者は原発の安全性やセキュリティーについて主要な責任を負っていることから、明確な責任と権限をもってその使命を果たすことができるはずだ」とIAEAの報告書は述べている。

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これで二番目の記事の全文の仮訳が終了した。

全体についての印象としては、IAEAの長官はOPCWの長官のような卑劣な態度をとらなかった。私に安堵感をもたらしてくれた。特に、ウクライナ軍がザポリージャ原発に物理的な損傷を与えたという事実を現場で詳細に確認し、そのことを報告書に記述した。この事実は、核シェルターを持たないわれわれ一般庶民にとっては、原発事故や核戦争を回避する努力における大きな一歩であると言いたい。

具体的な設備の損傷:

9月7日のDWの記事(表題:Zaporizhzhia: UN urges safety zone around nuclear plant)によると、ZNPPがウクライナ軍の砲撃によって受けた主な損傷は下記のような具合だ:

タービン用潤滑油貯蔵タンク、使用済み燃料運搬車両の車庫を含むいくつかの建物の屋根、未使用核燃料用の建物および固形放射性廃棄物貯蔵庫、新トレーニング用建物、物理的な防護システムのための集中警報システムを擁している建物、ならびに、乾燥使用済燃料貯蔵設備を監視する放射能監視システムを収容するコンテナー。

これで、さすがのゼレンスキーも実際にはウクライナ軍が行った砲撃を「ロシア軍がザポリージャ原発を砲撃した」と喧伝し、NATO憲章の第5条の適用に結び付け、NATO軍の参戦を公式に促すことはもはやできないのではないだろうか。あるいは、それでもなお、ゼレンスキーや彼を取り巻く米英の好戦派たちは創造力を発揮して、今後はまったく別のアプローチを採用するのであろうか。現時点では決定的なことは何も言えない点がこの米ロ代理戦争のもっとも不気味な側面である。この状況は、少なくとも、11月の米中間選挙までは続くことであろう。

また、米国の専門紙「ザ・ヒル」の最近の記事(「Zelensky echoes UN call for safety zone around Ukraine nuclear plantby Julia Shapero, The Hill, Sep/07/2022)はこう述べている。「ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は国連の監視機関からの呼びかけに同調して、自国のZNPP周辺に安全地帯を設けることを支持すると表明している。」

私の印象では、ゼレンスキーは意外と速やかにIAEAの勧告を受け入れた。

その一方、ロシア側からはIAEAの勧告に対する応答はまだない。おそらく、ZNPPとその周辺を非武装地帯にせよというIAEAの勧告の狙いや政治的意味を探っているのではないだろうか。IAEAが報告書を公開した後、西側の大手メデアは沈黙したままである。この沈黙は西側には不利な状況が来たことを示しているようだ。西側のメディアが沈黙するのは、経験則から言うと、西側の戦略が失敗した時、あるいはほとんど失敗しそうになった時だ。上記に引用したように、ドイツのDW紙が報じたことは例外であったと言えよう。それとも、ロシア側の新たな動きを待っているのであろうか。

ロシア軍がZNPPから撤退すると、それに代わって、国連安保理による平和維持軍をZNPPへ送り込むしかない。だが、ロシアにとっては国連安保理の信用は地に堕ちているのが現状だ。そのことが分かっているからこそ、あるいは、次に待っている西側のシナリオに期待して、ウクライナ大統領はIAEA勧告をいち早く支持したのかも知れない。

今回のIAEAの現地査察の結果は好ましい点もあるのだが、どう見ても、全面的には頷けない部分が残っている。引用記事の表題である「ザポリージャ原発  NATOは世界大戦を引き起こす口実にしようとしている」との見解はIAEAの現地査察報告書によって消え失せたのだろうか?それとも、まだしぶとく残っているのであろうか?私には分からない。

ウクライナとロシアの両国が前向きにIAEA勧告に応じて、相互協力してザポリージャで原発事故が起こる可能性を回避しようとするならば、世界は一安心だ!あるいは、米国の中間選挙を控えて、米国発のとんでもない政策、あるいは、偽旗作戦によって全世界がまたもや振り回されることになるのであろうか?引用記事の著者が述べた「米国の歴史の中では、有権者を動員するためには選挙の前夜に何度も紛争が始まっている」という言葉は極めて意味深である。

そして、「ゼレンスキーは欧米の利益のために自国をすでに犠牲にしてしまった。そして、今や、ウクライナは西側が地球全体を犠牲にする用意ができていることを期待しようとしている。残念なことには、ゼレンスキーに加えて、冒険者たちは他にもいくらでもいる」という著者の指摘は人類が今や「世界の終末」的な状況に陥っていることを示唆している。

この著者の指摘とわれわれ一般庶民の認識との間には、不幸なことには、極めて大きな、目が眩む程のギャップがあると言わざるを得ない。今後の動静に注目しよう。

参照:

注1:Zaporizhzhya NPP: NATO creates a pretext for a world war: By Vladimir Kornilov, RIA Novosti, Aug/28/2022 

注2:IAEA releases report on its inspection visit to Zaporozhye NPP urging safety zone: By TASS, Sep/06/2022

 

 


2 件のコメント:

  1. ロシアは着実に多極世界に向けて体制を固め、マリウポリは新しい住宅が次々に建設され入居が始まり、復興が目に見えて進んでいます。かたや、西側は、燃料価格上限を設定して、買う側が買ってやるから値段はこれ以下にしろってことですか。傲慢にもほどがあります。
    「著名人」の訃報が相次ぎますが、これを契機に様々な悪が暴かれて、多くの人がこれまで何が行われていたのか真実を知る流れになればいいですね。日本では海外の情報はほとんど隠されています。マスクをしているのもアジア、特に日本だけという事実もテレビしか見ない人は知りません。日本ではウクライナが攻勢をかけているということになっております。
    Я снова потерял контакт с господином Шимомурой.

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  2. Kiyo様
    コメントをお寄せいただき、有難うございます。
    ロシアと中国が推進する多極世界は意外と早くやって来るのかも知れませんね。全面的にそうだと言えるようになるまでには相当の時間がかかりそうですが、すでに多極世界に入っていると指摘する識者もいますよね。確かにそう言えるような一面が感じられます。ぺぺ・エスコバーは多極世界の到来について度々記事を書いています。もうお読みになっているのかも知れませんが、たとえば、下記の記事は興味深いです。
    A Eurasian jigsaw: BRI and INSTC interconnectivity will complete …
    https://thesaker.is/a-eurasian-jigsaw-bri-and...

    Что касается г-на Шимомуры, то в предыдущем электронном письме от него упоминалось, что его компьютер вышел из строя, что вызвало трудности в общении. Надеюсь, для него нет никаких личных трудностей. После того, как я прочитал ваше сообщение, я также отправил ему одно электронное письмо прошлой ночью, но до сих пор нет ответа.

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