たとえば、9/11同時多発テロ、イラクに対する西側連合による軍事侵攻、ウクライナにおけるマイダン革命、マレーシア航空MH-17便の撃墜とオランダ政府主導の国際事故調査委員会が主張するロシア犯人説、シリア内戦における化学兵器の使用、英国におけるスクリッパル親娘殺害未遂事件、トランプ前大統領の弾劾を目標にしたロシア疑惑、ロシア・ウクライナ戦争、ノルドストリーム・パイプラインの破壊工作、等。事例には事欠かない。
最近の例。PCR検査によって擬陽性を多発させ、恐怖感を煽り、全世界を集団ワクチン接種に巻き込んだ新型コロナウィルスの大流行も、一般庶民を洗脳して所定のシナリオを実現するという意味合いにおいてはまったく同様のパターンで展開されたと言えよう。各国政府は彼らの上に立つご主人様からの命令を受けて、さまざまな対策を講じた。都市閉鎖や社会的距離の維持、ワクチン接種、マスクの着用、ワクチンパスポート、違反者に対する罰金、異論を唱える専門家に対する口封じ、等。これらの策はワクチン接種を強制するためであった。科学は商業主義にハイジャックされたかの観を呈した。今判明しつつあることは、結局のところ、新型コロナを封じ込める筈であったワクチン接種は期待ほどの効果を示さなかった。
この大騒動は3年間近くにわたって継続されて来たが、それを支えてきた最終的な目標は、それが公言されている表面上の目的、あるいは、巧妙に隠された目的であろうとなかろうと、実際には世界の80億人の生命を守ることではなかったのではないかという点に収斂する。何かまったく別の思惑、あるいは、目標があったのではないかと思わせる程だ。
一般大衆の生命を守ることが最大の責務である筈の国家機関について現状を観察してみよう。たとえば、11月4日の報道によると、2020年以降に米疾病予防コントロールセンター(CDC)の報告システムに報告された新型コロナワクチンによる死亡件数は31,696件で、これは過去30年間に他のすべてのワクチンによる合計死亡件数の3倍にもなるという。しかも、この数値は現時点のものであって、今後引き続き報告される事例がさらに追加されて、次第に増加していく。「CDCはいったい何をやっているのか!」と多くの人たちが疑問を感じることであろう。この記事が示す数値はあくまでも報告された事例であるから、何らかの理由で報告されなかった事例は含まれてはいない。それらがどれだけ存在するのかは推定するしかない。控え目の数値から大胆な数値に至るまで幅広い振れが予想される。一方、過大に報告されているのではないかとの指摘もあり得るが、これらの報告は大部分が医療関係者によって報告されていることから、過大報告の可能性はそれほど大きくはないだろうと推測される。(原典:31,696 COVID Vaccine Death Claims Submitted to CDC’s Reporting System Since 2020: Triple All Other Vaccines Combined Over 30 Years: By Roman Valmacov, FACTS MATTER, Nov/04/2022)
余談が長くなってしまったが、最近20年間に起こったさまざまな大きな出来事が明白に示すように、隠された目標を達成するためには西側のメディアは虚偽報道を行い、各社が歩調を揃えて喧伝し始めると、「何かが隠されているに違いない」と一般大衆は思い始める。これは繰り返して行われて来たプロパガンダ戦術(不思議なことに、いつも同じパターンだ)から一般大衆が学んだ貴重な教訓である。
ここに、「新たなキューバミサイル危機 ― 本当はそうではない」と題された最新の記事がある(注1)。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
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「キューバミサイル危機」という表現は悪意が込められた誤称である。キューバは核ミサイルを所有してはいなかった。キューバは一時的にいくつかのソ連製核ミサイルのホスト役を演じたのだ。この危機は、米国が中距離核ミサイルをトルコに配備したことから、ソ連側がキューバに同様のミサイルを配備し、対応したことによって米国にとっては新たな脅威として発展して行ったものである。米国人は激怒したが、最終的には落ち着きを取り戻し、米国はトルコから核ミサイルを撤去した。ソ連もキューバから核ミサイルを撤去した。こうして、この危機は終わった。したがって、この危機は「米国によるミサイル危機」と称するべきである。
今起こっていることはキューバミサイル危機の実態とは大きく異なるというわけではない。ここ数週間地下の退避壕に隠れて過ごしていたわけではないとするならば、「プーチンによる核の恐喝」によってある種の新しい核危機が進行中であると皆さんはお聞きになっていると思う。その結果、神経衰弱に襲われ、自分の義務を怠り、一般的に言えば自分自身を見失ってしまう人たちもいるのである。前英国首相のリズ・トラスを例にとってみよう。愚かなことに、彼女は「風が上がったどの方向にでも向けることができる」と言ったプーチンの言葉(戦術核兵器の完全な無用さについてその事実を指摘したものではあったのだが)に引っ掛かったのである。その後、ウクライナ上空の風向きを彼女が執拗に追跡している間に、英国経済は自由落下してしまった。可哀そうに、リズにとっては惨めな終焉となった。皆さんは決してリズのようにはならないで欲しいものだ。
私は、いつものこと、つまり、西側のプロパガンダのいつもの偽情報を乗り超えて、今何かが起こっているわけではないことを皆さんにお伝えするためにこの原稿を書いている。
これは、特に、プーチンや核とは何の関係もない。その代わり、これはすべてがストーリーの失敗を何とか補うための必死の試みについてのものであって、そういった試みの失敗に関するものだ。世界人口の80%にも相当する国々はロシアを非難し、制裁を課し、あるいは、他の何らかの方法による罰ゲームに参画することは拒否しており、いくつかの非常に大きな国(中国やインド)はこの件に関してはロシアに対して支持的、あるいは、中立的である。
アジアや中東、アフリカ、南米を含めて、世界の国々のほとんどは、ロシアが世界中でも遥かに巨大で、かつ、最も有能なNATOの装備を持ち、NATOによって指揮された軍隊(つまり、ウクライナ軍)を組織的に破壊するのを注意深く見守っている。そして、現在展開しているのはワシントンにとってはまさにワーテルローの戦いであることを十分に理解している。一部の国々(例えば、サウジアラビア)は結果を余りにも確信していることから、ワシントンの命令に従うことは既に拒否している。ワシントンの連中が知っていることと言えば、それは自分たちの意志を世界に押し付けることだけであるので、これは大問題だ。他者を平等に扱ったり、ウィンウィンゲームを交渉する機会を探したりすることは、端的に言って、彼らの中核的な能力ではない。さらには、それは彼らの能力の一部でさえもないのだ。ひとたび牙を抜かれてしまうと、彼らが知っていることと言えば吠え声を上げ、よだれを垂らすことだけだ。
この問題を解決するために、ワシントンとブリュッセルのストーリーに夢中になっている連中は核のカードを弄び、ロシアの核恐喝を非難することに決めた。一方、ロシアが行ったのはウクライナ軍に数回にわたって大打撃を与え、かなりの数の国際監視員が注意深く見守る中で実施された非常に決定的な地元民による住民投票に基づいて、4つの旧ウクライナ地域をロシア連邦に受け入れ、必要ならばあらゆる手段を用いて外国からの攻撃から同地域を守ると発表したことだ。ロシアは核兵器を所有しており、その核ドクトリンに従ってそれらを使用することになるので、これらの手段には明らかに核兵器が含まれる。しかしながら、ロシアの核ドクトリンは先制攻撃を排除している。
一方、米国は核ドクトリンにそのような規定がなく、実際に(日本で)民間人に対して核兵器を使用し、対抗できない核による先制攻撃を行う能力を開発することを何十年にもわたって夢見てきた。核の脅威と判断されるべき国家があるとすれば、それはロシアではない。私がこれから説明するように米国はもはや核の脅威ではないという点を除けば、それは米国なのである。プーチンはこれについてはほとんど何も仄めかしてはいなかったが、ただ単にヒントを与えることで米国の国防当局を完全に激怒させるのには十分であった。現実こそが彼らの最悪の敵なのである。
プーチンは、この時点で、ロシアは核抑止兵器庫には西側のそれよりも優れた兵器をいくつも持っていることを指摘した。
これらの新しい兵器は、ロシアへの核攻撃は西側にとっては後になってから間違いなく自殺的な動きになることを保証するものである。つまり、欧米にはロシアを確実に破壊する方法はない(ロシアは広大過ぎて、経済の中核は方々に散在し、独立し過ぎており、防空・宇宙防衛システムによって十分に防御されている)が、ロシアは欧米を確実に破壊することができる(欧米は、ほとんど防御されてはいない)。だが、欧米が最初に攻撃しない限り、ロシアは攻撃をしないであろう。旧ソ連時代とはまったく異なり、今のロシアには教えを広めようとする熱意はまったくない。(ロシア産の石油やガスの不足によって)暗闇の中で(ロシアの化学肥料が不足していることから)西側が飢えて行くのを座って見ていられるということは幸せなことである。彼らがやりたいことはばらばらに散らばってしまったロシア世界の断片やソ連の崩壊がボルシェビキが布告した国境の後ろに置き去りにされた人々や土地を寄せ集めることだ。この状況においては核戦争のリスクはほとんどゼロである。ゆったりと座って、深呼吸をし、良い便りに浸っていただきたい。喜びを感じていただきたい。
しかし、「プーチンによる核の脅威」に関してあなた方に嘘をつくことが仕事である馬鹿者どもに耳を傾けると、あなたの喜びはおそらく長続きしないであろう。たとえば、ジャック・フィリップスがモスクワはウクライナでの戦争を救うために戦術核兵器を使用すると脅迫しているのだと書いた時、基本的には彼は私たちに嘘をついただけであった。同じ文章の中で一度だけではなく、三度も。ロシアは戦術核兵器を使用するとの脅迫はしなかった。だが、それに代わって、それらは役に立たないことを指摘した。そして、ロシアの特別軍事作戦は成功している。脅威はないという事実こそが私のこの記事の主要なメッセージであるのだが、ちょっと脇へ逸れて、ウクライナの勝利とロシアの敗北はいったいどのように見えるのかについて説明してみよう。
ウクライナの勝利というのは次のような感じだ:IMFによると、GDPは2022年には35%減少し、国立銀行によると、インフレ率は30%を超え、減速の兆しは見えない。世界銀行によると、来年はウクライナ人の55%が貧困ライン以下になり、1日あたり2.15ドル未満で生活する。ウクライナの経済大臣によると、失業率は30%に達する。首相によると、直ぐにでも対外支援をしてもらわないと年金や給与を支払うことができない。国連によると、人口の20%が国外へ脱出し、さらには33%が国内避難民となっている。エネルギー省によると、発電能力の40%をすでに失っている。ウクライナ軍は予備役を使い果たして、60歳までの男性を徴兵しており、前線において見舞われている死傷者数の増加は極めて恐ろしい状況にある。
その一方、ロシアは征服され、次のような状況にある:ロイターによれば、ロシアのルーブル通貨は世界で最も強い通貨である。ガーディアン紙によると、プーチンはこれまで以上に強力で、人気がある。農業省によると、今年の穀物収穫量は1億5000万トンを超え、そのうち5000万トンが輸出に廻され、ロシアは世界最大の穀物輸出国となっている。エコノミスト紙によると、まさに西側が不況に突入しているこの時に、ロシアは不況から抜け出している。ゴールドマンサックスによると、ロシアの経済活動指数は、現在、西側よりも高い。ロシアは訓練を受けた経験豊富な予備役から30万人、つまり、1%の召集を終えたばかりであって、彼らは、現在、ウクライナ戦線に送り込まれる前にNATOに対する最新の戦闘技術の訓練を受けている。
しかし、これらの事実が西側の支配的なストーリーの邪魔にならないようにしようではないか:ウクライナは勝たなければならないし、ロシアは負けなければならないのだ。そうではないとするならば、ロシアが核兵器で世界を脅かすほどに完全に絶望的になる原因とはいったい何なのか?話は単純だ。それほど明白ではないのは西側のプロパガンダを推進する連中はなぜ「プーチンによる核の恐喝」という虚偽の言説をでっち上げ、広めるのに必死にやっているのかという点である。
この超多忙なプロパガンダを進める理由のすべてはロシアが屈服し、いつでも、いかなる理由であるにせよ、没収し得る欧米中央銀行のコンピューター内に存在するエネルギーや鉱物資源について新たに作り出された数字と交換することに同意しない限りは、西側集団は政治的にも経済的にも生き残る術がないからなのだ。状況は悲惨そのものである:米国は猛烈なペースで戦略的石油備蓄を消費しているが、ディーゼル燃料の不足とガソリン価格の頑固なまでの高騰に直面させられている。支払いを延期しなければならない巨額の債務を抱え、それは拡大する一方であるが、直接お金を印刷することによってのみそうすることが可能で、インフレはすでに10%を超え、これまで以上に亢進している。ヨーロッパは途方もなく高くなったエネルギー料金、産業の閉鎖、大規模な失業に見舞われ、厳しい冬に備えようとしている。そして、米国はそれに続いており、大きく遅れているわけではない。米国のフラッキング原油や天然ガスによる大儲けの話は決して利益を上げてはおらず、今や、おそらく1~2年後には一文なしとなるであろう。そうなると、ヨーロッパにおいてはロシアからのパイプライン・ガスに取って代わるというアメリカの液化天然ガスを輸入する夢は決して現実的な計画ではなく、産業の閉鎖がアメリカにも広がって行く間に永久に死んでしまうであろう。
このシナリオを回避するために必死の対策が適用されて来たが、それらはすべてが失敗に終わった。まずは地獄の経済制裁の計画があった。多くの西側企業はロシアへの製品の出荷や同国でのビジネスを止めることを余儀なくされた。これは西側企業に大きな損害を与え、市場シェアはロシア企業によって横取りされるという機会を提供した。ロシア国内の生産で置き換えられないものは第三国経由の「並行輸入」に置き換えられた。
次に、西側(特にヨーロッパ)はロシアのタンカーに対する制裁を始めとして、ウクライナとポーランドを通る既存のパイプラインの使用を禁止し、バルト海でのロシアからのガスパイプラインに対する完全なテロ攻撃に至るまで、多くの手段を通じてロシア産エネルギーの輸入を削減した。EUへのロシア産石油の輸入の完全禁止は12月から開始すると予定されており、これは予想通りに状況をさらに悪化させることであろう。その結果、ロシアは代わりにアジアのパートナー、特に、中国に向けて石油やガスの輸送を開始し、西側は予備の供給が続く限りスポット市場でこのエネルギーをめぐって競争することを歓迎している。だが、西側は歓迎するどころではない。なぜならば、市場価格が上がったことから、ロシアは少量のエネルギーを輸出するだけであってさえも、今までよりも多くの外貨を稼げるのである。
そして、ウクライナにおける核の挑発のために独創的な計画が生まれた。米国と英国の支援を受けて、ウクライナは古いソ連時代の弾道ミサイル(トーチカ-U)を用いて、ウクライナの原子力発電所のひとつから得た核廃棄物を装填し、(すでに長寿命の放射性核種で汚染されている)チェルノブイリの立ち入り禁止区域のどこかで爆発させる運びとなっていた。それから、西側のメディアや外交筋はすべてがヒステリックに振る舞い、ことのすべてをロシアのせいにし、西側の対ロ経済制裁への参加を拒否している世界中の国々の少なくとも一部だけでもが西側に参加するよう騙せることに期待を寄せていた。
この計画はどれだけうまく行ったのだろうか?どうやら、まったくうまくは行かなかった!まず、ロシアの諜報機関はウクライナ内部のひとつの情報源、または、ふたつかみっつの情報源から作戦全体の詳細を入手した。これは驚くべきことではない。自尊心の強い原子力技術者はこのような茶番劇の責任を負うことに興奮し過ぎてしまうようなことはないからである。第二に、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相はプーチンからの直接の命令の下で世界中の彼の相手役に対して電話をかけ、この証拠を彼らと共有した。第三に、ロシアはIAEAにこの茶番劇がでっち上げられていたウクライナの二つの場所を調査するよう具体的に要請したのである。最終的な結果はどうかと言うと、ウクライナ側は今や急いで証拠を隠滅し、自分たちの足跡を消そうとしている。このような高度に管理された放射性物質のすべてをグラム単位で在庫管理し、そのすべての動きを記録する必要があることを考えると、この隠蔽にはいくつもの事件や事故、不可抗力的な状況がついてまわる可能性が高い。もちろん、茶碗一杯の核廃棄物や爆竹に絡んだ厄介な小さな事故についてさえも無視するべきではないし、ロシアのせいにするべきでもない。
ところで、核超大国の睨み合いという現実の世界ではふたつの興味深い出来事が起こった。2022年10月20日木曜日、それぞれのミサイルに10個の核弾頭を搭載したトライデントII型弾道ミサイルを24発も装備しているオハイオ級潜水艦である米国の原子力潜水艦「ウェストバージニア」がアラビア海に浮上し、マイケル・クリラ米中央軍司令官を迎えた。私が想像するには、彼は乗組員をデッキに整列させ、白い海軍の制服を着て彼らの前に立ち、ズボンを下げて、「milk, milk, lemonade, round the corner fudge is made」という小さなルチーンを演じたことであろう・・・。
なぜならば、彼はそういったルチーンを行ったことがあるからだ。原子力潜水艦を所有する目的はステルス性を維持することにある。なぜかと言うと、彼らがミサイルが何処からやって来るのかを知ってさえいれば、ロシアの防空システムはトライデントII型ミサイルを上手く迎撃することができる。したがって、浮上して、甲板でパレードを開催するといった行動は、基本的には、この潜水艦は当分の間非番であることを世界に向けて発信したことになるからだ。
なぜ米国人はこんなことをするのだろうか?これは不器用な平和のジェスチャーなのか、あるいは、不可解な降伏行動なのか、それとも、助けを求めるベールに包まれた叫びなのか?それとも、バイデンが持っているものは何でもが感染性であることから、彼らは皆が呆けてしまったというのであろうか?われわれには分からない。たとえそれが何であろうとも、ロシア人は何の影響さえも受けてはいないようだ。ロシアの原潜「ベルゴロド」は、最近、外洋へ出航し、NATO内に小さなパニックを引き起こした。すべてが100の数字で説明される。同艦は数多くの原子力駆動型のドローン魚雷「ポセイドン」を装備している。それぞれの魚雷は100メガトンに相当する。ポセイドンはほぼ無限の航続距離を持ち、1000mの水深(原潜の約3倍の深さ)で約100 km / hの速度で航行し、水中の沿岸尾根の近くで爆発させると100メートルもの津波を発生させることができる。それらのうちの5個の魚雷を使用しただけであっても、米国と北ヨーロッパの両方の海岸全域を破壊するのに十分である。これらは公海で行われる水中核実験であり、反社会的ではあるものの、誰かの領土に対する直接の核攻撃ではないので、ほとんど開戦事由とはなり得ない。そして、その後の津波は?うーん!おっと、ごめん!「津波の場合にはロシアを破壊する」として、米国の核ドクトリンに書き込もうとする者は誰もいない。何と言っても、ポセイドンは何年間も待つことが可能で、新しい命令を受け取るために定期的に浮上するだけだ。しかし、もしもロシアが破壊されたならば、彼らは立ち上がり、他の世界を破壊することであろう。「世界の中にロシアがいないならば、この世界はいったい何の役に立つと言うのか?」(プーチン大統領)
ロシアは核戦争を開始しないであろうとわれわれは確信することができる。核戦争の開始は危険であり、勝つためにそのようなリスクを冒す必要はないのである。米国は、それは自殺に繋がることから、核ミサイルを発射しないであろうと確信することができる。そして、「プーチンの核による恐喝」を喧伝する物語屋たちが狂わんばかりに吠え続ける間、われわれは皆座って、リラックスすることができる。誇大宣伝を実現するために核のナンセンス物語によって人々を怖がらせようとしているメディア界のさまざまな売春婦たちは恥を感じて然るべきだ!
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これで全文の仮訳が終了した。
「ロシアは核戦争を開始しないであろうとわれわれは確信することができる。核戦争の開始は危険であり、勝つためにそのようなリスクを冒す必要はないのである。米国は、それは自殺に繋がることから、核ミサイルを発射しないであろうと確信することができる」と著者は述べている。
皮肉を交えたオルロフ氏特有の語り口や極めて具体的なエピソードによる説明は、いつものことながら、秀逸である。何と言っても、非常に理解し易い文章がいい。
私は核戦争の回避に関連してはこのブログで何回か投稿をして来た。それは、核大国がひとたび武力紛争を開始したならば、最終的には全面核戦争へ行きつく可能性が極めて高いからである。だから、ロシア・ウクライナ戦争はその戦場がウクライナではあるけれども、実質的には米ロ戦争であるという現実を考えると、一日でも早く停戦に漕ぎ着け、最終的には二国間の和平に繋げてもらいたいと改めて願うばかりである。
参照:
注1:The New Cuban Missile Crisis That Isn’t: By Dmitri Orlov, The Saker, Nov/02/2022
追加情報:
返信削除日本での代替メディア(たとえば、ユーチューブ・チャンネル)での発言を見ると、ロシアがウクライナで核兵器を使う可能性は50%もあるといった発言をしているのを私は目にした。だが、私は11月5日に「新たなキューバミサイル危機 ― 本当はそうではない」と題した投稿をしたばかりで、その投稿では「ロシアも米国も核戦争を開始する積りはない」という見方をご紹介した。今日、ここではさらなる追加情報を読者の皆さんと共有しようと思う。
追加情報(1):
ロシア外務省は声明の中で、「五つの核大国」に属する他の諸国に対して大量破壊兵器による挑発を奨励し、互いの重要な利益を侵害するような試みは放棄する準備ができていることを示すよう求めた。この文書は「実際に核大国にこの優先課題の解決に取り組む準備ができていることを示すよう求めている」。これを実行するには、「壊滅的な結果につながる」可能性があるため「直接の武力紛争の危機に瀕した際には互いの重要な利益を侵害する危険な試みを放棄する」必要がある。ロシアは、勝者がいない核戦争を容認することはできないという想定を遵守しており、「ロシアの核ドクトリンは本質的に防衛的である」。さらに、同文書は「ロシアは核兵器の削減と制限の分野における既存の合意と理解における不変の関連性から物事を進めている」とし、「核戦争の防止に関する五つの核大国の指導者の共同声明への取り組みを完全に再確認し、核保有国の軍事衝突を防止する」と述べている。結論として、「ロシアは、予測可能性と世界的な戦略的安定性の確保に基づいて、国際安全保障のための新たな、より安定したアーキテクチャの形成を提唱し続ける」と述べている。(原典:The Russian Foreign Ministry urged the "nuclear five" not to encourage provocations related to weapons of mass destruction: By Alexander Bushev, RGRU, Nov/02/2022)
上記のような呼びかけをロシアが行ったことについて他の核大国はどのように反応しているのだろうか。これは近い将来を占う上で非常に気になる点である。11月6日の報道に興味深い情報があったので、下記にご紹介しておきたい。
追加情報(2):
西側は核戦争の防止に関するモスクワの声明に耳を傾けた。この意見はロシア外務省のMGIMO教授でPIRセンターの創設者兼ディレクターでもあるウラジミール・オルロフが表明したものである。われわれの国(ロシア)に対する情報戦争が行われているので、専門家らは公のレトリックや記事、スピーチでは告発が続くであろうと信じている。そのような誤った情報は平均的な人々にとっては非常に魅力的だ。「ロシア」という言葉と「核」という言葉を組み合わせて、ロシアを見苦しい光の中に置こうとすることは彼らにとっては非常に好都合なのであるとオルロフはRIAノーボスチに語った。しかし、彼の意見では、西側の軍や外交部門の指導者はロシアの声明の明確さと曖昧さのない点に注目している。「西側はボールが今や自分たちのコートにあることを理解していると思う」と教授は言った。しばらく前にロシア外務省は核戦争の防止に関する声明を発表していた。外務省は「核大国」の諸国に対して、大量破壊兵器による挑発を奨励し、互いの重要な利益を侵害するような試みは放棄するように求めた。一方、ロシア大統領のスポークスマンであるドミトリー・ペスコフは西側の政治家は定期的に核のレトリックを口にしていると述べた。彼はこのような行為は挑発的な慣行であると評した。(出典:PIR Center Head Orlov: The West Listened to Russia’s Statement on Preventing Nuclear War: By Maria Krylova, RGRU, Nov/06/2022)
ロシアの声明はどこまで信用できるのかと言う反論がすぐにでも聞こえて来そうだ。私は国際政治については素人に過ぎない。だが、シリアの内戦が始まった頃から約10年間にわたってこのブログのためにさまざまな情報を毎日のように漁って来た結果、私なりに到達した感触から言えば、ロシア外務省は非常に真面目に仕事をしていることは明白である。不思議なことには、それに比べると、西側は足元にも及ばない。こういった事実を考慮に入れると、これらふたつの追加情報を無視する根拠は見当たらないと言えそうだ。これは絶対的な信用ではなく、あくまでも相対的なものではあるのだが、これらを屑籠に放り込むのではなく、注目したいと思う次第だ。