2020年からの3年余り、全世界は新型コロナ禍で翻弄されてきた。だが、それが終わったわけではない。
その過程でさまざまな醜悪な部分が表面化した。新型コロナウィルスの大流行を一部の企業が金儲けの一大チャンスであると見たことによって、一般大衆が目にする情報を歪曲し、ワクチン推進派が支持するシナリオに合わない科学的情報は、たとそれが真実であっても、無視することが日常化して行った。その最たる事例は早期の治療に有効であるとして推奨されたヒドロキシクロロキンやイベルメクチンの使用が新型コロナ感染症の治療に当たる最前線である病院で徹底的に排除され、mRNAワクチンだけが治療薬として取り上げられたのである。全世界で広く使用されるようになったソーシャルメデイアにおいては、彼らは自分たちの筋書きに反論を唱える医師や研究者の口を封じ、個人的な攻撃を加え、彼らの存在をキャンセルしようとさえした。ソーシャルメデイアを運用するハイテック企業は情報の検閲、一般庶民の洗脳に一役も二役も買った。高名な医学専門雑誌は主流派の考え方に反する内容の投稿を何らかの理由から撤去したり、最初からそれらを受理することを拒んだ。状況は、まさに、かって欧州で吹き荒れた異端裁判の様相を呈した。
ここに「英国の病院もまた死刑執行人の役割を担っている」と題された記事がある(注1)。
著者は著名なポール・クレイグ・ロバーツである。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
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私は9月6日に「米国の病院は殺人センターと化したのだろうか」という疑問を放った(https://www.paulcraigroberts.org/2023/09/06/has-the-western-medical-system-turned-murderous/を参照)。ジョナサン・ターリーは死刑執行人の役割は英国の病院や裁判所によっても引き継がれていると指摘した。自分の命のために戦いたいと思っており、精神科医によって自分で意思決定を下す能力があると判断されている19歳の女性について、英国の裁判官は病院側が彼女の生命維持装置を切り離すことができるとの判決を下した。その女性は「生きるためにあれこれと試してから死にたい」と言っている。裁判官は、彼女が生きながらえるチャンスはゼロであると彼女に告げた医師の言を信じてはいないため、彼女は自分自身の決断を下す能力はないと判断した。言い換えれば、同医師によると彼女はとにかく死ぬのであるから、病院側は一歩先へ進み、彼女を殺すことができると言うのである。
医師たちの全能性に関する裁判官の信念にはいったい何がかかっているのかと誰もが疑問に思うに違いない。新型コロナワクチンが安全で効果的であるという医師たちの信念に起因して、数多くの人たちが死亡し、健康被害に見舞われた。われわれはこの状況を経験したばかりであり、今も経験し続けている。
明らかに、医療専門家の人命に対する態度は悪化した。皆さんは米国や英国の病院にはご自分の自己責任で入院していただきたい。
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これで全文の仮訳が終了した。
非常に短い記事である。だが、この記事は実に重苦しい。
病院業にも利益の追求が付きまとうことはわれわれ素人でも容易に理解することができる。企業経営について判断を下す人たちにとっては無駄遣いを見つけ出し、如何にしてそれらを削減するかを考えることはある意味で正当であると言えよう。
しかしながら、もしも病院側が下した判断が入院患者の意思や個人の尊厳を著しく損なうならば、その病院は社会的責任を果たしてはいないのではないかとして非難され、責任を問われたとしても弁明の余地はない。当然ながら、一方的な判断をする前に当事者間には十分な議論があって然るべきであろう。裁判所が公正さを失って、病院側に余りにも傾斜してしまうとすれば、そのこと自体が社会全体にとっては由々しい問題だ。
本件について議論を進めることは決して容易くはないけれども、避けて通ることはできないし、避けてはならない。
参照
注1:British Hospitals Are Also
Assuming the Role of Executioner: By Paul Craig Roberts, Institute for
Political Economy, Sep/08/2023
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